『ドリトル先生北海道に行く』
第九幕 湖を見て
先生達は夕張からキャンピングカーで摩周湖に向かいます、その時に動物の皆は外の景色を見ながら言いました。
「広いね」
「お家なんてないよ」
「開けている中に道があるとかね」
「日本じゃないよね」
「日本って人が多いしね」
「しかも山も凄く多くて」
だからというのです。
「こんな景色他にないよね」
「北海道だけだね」
「さまか日本でこんな景色観られるなんて」
「思いも寄らなかったよ」
「北海道も山が多いけれど」
それでもと言う先生でした、先生も外の景色を観ています。
「ここはこうした場所もあってね」
「こうした風景も観られるんだね」
「平野の中の道一本とかね」
「あるんだね」
「山が近くにない場所も」
「日本でも」
「そうなんだ」
こうお話するのでした。
「日本には滅多にない景色だよ」
「というか日本はね」
王子も景色を観つつ言います。
「山と海の国だよね」
「うん、そうだよ」
「山がない場所はなくて」
「四方は海だよ」
「だからどっちも観られるけれど」
「平地はね」
それこそです。
「ここまで広い場所は滅多にないよ」
「そうだよね」
「けれど日本でもね」
「こうした場所があるんだね」
「山も海もない場所が」
「そうなんだ」
こうしたことをお話しながらお外を観ています、そしてそうしたお話をしながらでした。王子の執事さんとトミーがです。
ティーセットを用意していました、トミーは全部整ってから先生に言いました。
「先生出来ました」
「あっ、もうお茶の時間だね」
「はい、如何ですか?」
「やっぱり三時はね」
「旅行の時でもですよね」
「お茶を飲まないとね」
にこにことして言う先生でした。
「よくないね」
「そうですよね」
「じゃあ今から楽しもう」
「はい、ティーセットを」
「やっぱり北海道でもだよね」
ホワイティがその先生に言います。
「先生は三時にお茶は欠かさないよね」
「ティーセットをね」
ポリネシアも言います。
「飲まないとだね」
「むしろお茶を飲まない先生は」
どうかと言ったのはトートーです。
「何か違うね」
「そうそう、だから旅行の時も欠かさないし」
老馬はそのお茶の香りを楽しんでいます、キャンピングカーの中に満ちているそのかぐわしい香りをです。
「今もだね」
「そしてティーセットも」
「それもだね」
オシツオサレツも言います。
「欠かさないね」
「絶対に」
「じゃあ今からね」
「楽しみましょう」
チープサイドもうきうきとしています。
「僕達もお茶飲んで」
「ティーセットをついばみましょう」
「それで今日のセットは」
チーチーはその三段のセットを見ています。
「上はチーズを挟んだビスケット、真ん中は生クリームのシュークリームに」
「下はチーズケーキだね」
ジップもそのセットを見ています。
「北海道の乳製品を使ったんだね」
「ミルクもだね」
先生はミルクティーをもう手にしています、やっぱり先生が一番好きなお茶はミルクティーなのです。それもお砂糖を入れた。
「それもだよ」
「北海道のミルクだね」
「それをふんだんに使った」
「そのセットだね」
「北海道ならではの」
「そうだよ」
その通りだというのです。
「では北海道のティーセットを楽しもうね」
「うん、じゃあね」
「キャンピングカーの中でね」
「北海道の景色を楽しみながらね」
「今から」
「そうしよう」
こうしてです、先生達はその北海道のミルクをふんだんに使ったティーセットを楽しみます。そしてでした。
ミルクティーを一口飲んでです、先生はにこりとして言いました。
「うん、やっぱりいいね」
「北海道のミルクを入れた紅茶はね」
「凄く美味しいね」
「日本のミルクも美味しいけれど」
「北海道のミルクは別格だね」
「その中でも」
「全くだよ、これは絶品だよ」
こうも言いながらどんどん飲む先生でした、それはトミーも同じで。
先生にです、トミーはこうしたことを言いました。
「お水もいいですね」
「うん、北海道のお水もね」
「いいですね」
「清らかっていうかね」
「味が爽やかですね」
「紅茶はイギリスでは硬水だけれど」
「日本では軟水ですからね」
このことは北海道でも同じなのです。
「そしてその軟水が」
「北海道はそちらもいいね」
「そうですね」
「神戸の水は日本でも屈指だよ」
先生が今住んでいる八条町のあるその街はです。
「けれどこの北海道のお水もね」
「確かにいいですね」
「石灰の味もしなくて」
イギリスの硬水には石灰が入っているのです、これはイギリスの土壌の底にあるのでどうしても出ているのです。
「いい感じだよ」
「ううん、日本はね」
「まずお水がいいからね」
「お茶の味も違うんだよね」
「お茶はお茶の葉とお水」
「その二つだからね」
動物の皆も言います。
「そしてミルクもいい」
「だから北海道のミルクティーは別格」
「そうなんだね」
「そうだよ、ではもう一杯飲もうかな」
「はい、どうぞ」
笑顔で応えたトミーでした、そして。
先生はティーセットも楽しんで摩周湖に行くのでした、摩周湖ではです。
その奇麗な、森と山に囲まれた湖の澄んだ青い水面を観てでした。動物の皆も唸ってこう言うのでした。
「来てよかったよ」
「何か吸い込まれるみたいだね」
「何処までもね」
「あの中に入りたいね」
「そして泳ぎたいね」
「あっ、泳ぐことはしないよ」
先生は皆の言葉を聞いてすぐに言いました。
「ただ観るだけだよ」
「ああ、先生泳げないからね」
「だからだよね」
「泳ぐことはしない」
「そうなんだね」
「水着は持って来ていないよ」
先生はこれまでの旅行でそうしたものを持って行ったことはありません。
「パラソルとかシーツもね」
「そうだよね、先生はね」
「旅行先で泳ぐことはしないからね」
「いつも正装でね」
「そうしたこととは無縁だからね」
「溺れてしまうよ」
泳げないからです、実際に。
「だからそれはいいよ」
「うん、じゃあね」
「ここから観るだけだね」
「それでマリモを買って」
「それもプレゼントだね」
「日笠さんに」
「あっ、そうだね」
言われて気付いた先生でした。
「日笠さんにもね」
「買わないとね」
「絶対にだよ」
「それは忘れない」
「いいよね」
「わかってるよ、ただね」
先生は日笠さんの名前を出した皆に言いました。
「皆本当に日笠さんのことは言うね」
「先生が忘れない為にね」
「あえて言ってるんだよ」
「日笠さんのことを忘れない様にね」
「絶対にね」
「忘れないよ、これでも記憶力は確かなつもりだから」
先生は皆にはっきりと言いました。
「日笠さんは大切なお友達の一人だからね」
「ここで普通にアウトなことを言うのがね」
「困るんだけれどね」
「僕達をしては」
「とてもね」
「サラさんは気付いているだろうね」
「あの人は絶対に気付いてるよ」
「ああ、サラのお土産も買わないとね」
先生はサラの名前が出たところで思い出しました。
「絶対に」
「まあサラさんはね」
「日笠さんの次でいいよ」
「妹さんはね」
「あの人のことはね」
「いや、サラは妹だから」
それでと返した先生でした。
「第一だよ」
「肉親だからなんだね」
「サラさんは第一」
「お土産を忘れたらいけない」
「そう言うんだね」
「そうだけれどよくないのかな」
「日笠さんだよ」
皆一斉に先生に言いました。
「まずはね」
「最初に日笠さんと考えないと」
「サラさんはその次でいいから」
「妹さんはね」
「ううん、そういうものかな」
本当にわかっていない先生です、それで首を傾げさせるのでした。
ですがその先生にです、王子が言いました。
「とにかくね、摩周湖は観たし」
「それでっていうんだね」
「何を食べようか」
「そうだね、摩周湖にもアイヌ料理のお店があったね」
「そこに行くの?」
「そうしようか」
「そうだね、じゃあね」
それならと言ってです、そのうえで。
先生達は皆で一緒にでした、この日もアイヌ料理を食べるのでした。ただそこの前に言うことはといいますと。
「いや、北海道でないとね」
「アイヌ料理はだよね」
「食べられないよね」
「八条学園にもないし」
「あと神戸の街にもね」
「北海道だけだよ」
まさにとです、先生も一緒に食べている皆に応えます。
「だからね」
「この際にだね」
「アイヌ料理もだね」
「食べるんだね」
「こうして」
「そうだよ、この機会を逃さないことだよ」
絶対にというのです。
「いい機会だからね」
「ううん、そう思うと忙しいね」
「ジンギスカン鍋にラーメンに海の幸にジャガイモ」
「乳製品にメロンもあるし」
「北海道に来たら胃が大変だね」
「実際にそうなってるしね」
「全くだよ、だからまた食べよう」
そのアイヌ料理をというのです。
「これからね」
「よし、それじゃあね」
「また食べて飲んで」
「楽しもうね」
「太るね」
また言った先生でした、この言葉を出したのです。
「これはまた」
「どんどん歩きましょう」
王子はそのトミーにお話しました。
「神戸に帰ったら、そしてです」
「今もだね」
「歩いてです」
「カロリーを消費するんだね」
「そうすればいいです」
肥満対策にはというのです。
「先生これでも来日されてから痩せてますしね」
「体重自体は減ってるんだね」
「脂肪率もですよ」
「大学の健康診断でも健康そのものと出たしね」
異常は一切なしだったのです。
「健康そのものだね」
「はい、本当に」
「和食が健康で」
「大学まで乗馬で行かれて大学の中でも歩かれていますね」
「毎日ね」
大学の研究室を拠点として学園のあちこちを回っているのです、動物園や植物園を。
「そうしてるから」
「それでです」
「痩せたんだね」
「健康的に」
「そうなんだね」
「歩くことも運動です」
何といってもというのです。
「だから歩きましょう」
「運動が苦手でもよく歩けばだね」
「カロリー消費になりますから」
「じゃあ食べた後は」
「そう、歩きましょう」
是非にと言うのでした。
「摩周湖の周りを」
「そして景色もだね」
「観ましょう」
「景色いいよね」
「この摩周湖って」
「じゃあその摩周湖の景色もね」
「楽しむんだね」
「これから」
「それはいいことだよ」
「いい景色を観ながらも散歩も楽しもう」
「食べた後は」
「トミーの言う通りにね」
「そうだね、そしてマリモもだね」
これも忘れていない先生でした。
「しっかりと買っておこう」
「日笠さん、そしてサラさんの為に」
「是非だよ」
「まず日笠さん」
「そしてサラさんだよ」
ここでも念を押した皆でした。
「ここ重要だからね」
「しっかり覚えておいてね」
「皆いつも言う様になったね」
先生だけわかっていないままです、相変わらず。
「まあ皆がそう言うのならね」
「そういうことでね」
「いいね」
「日笠さんには絶対にだよ」
「お土産を忘れない」
「何があっても第一」
「あの人は大事にしないと」
「友達を大事にしなくて誰を大事にするんだい?」
先生のお言葉です。
「一体」
「お友達からね」
「どうなるかとは考えないんだよね、先生って」
「そこがね」
「本当に困るんだよね」
「皆が言っていることはわからないけれど」
先生の今の言葉は少しいぶかしむ感じでした。
「それでも送るからね、日笠さんに」
「他にもだよ」
「今のところお土産は忘れてないけれど」
「函館や札幌のものもね」
「小樽、夕張のも」
「全部日笠さんに送ってるけれど」
「サラさんにもだけれど」
先生は妹さんのことも忘れていません。
「ここで注意するのはね」
「何といっても日笠さんだよ」
「先生がお友達って思っていてもね」
「そこから先も考えてね」
「一応はね」
「とにかくね」
さらに言う皆でした。
「マリモも買ったし」
「またアイヌ料理も食べて」
「そしてだね」
「次は何処に行くのかな」
「うん、屈斜路湖だよ」
そこに行くというのです。
「あそこにね」
「屈斜路湖っていうと」
その湖の名前を聞いてです、王子が言いました。
「北海道のかなり東で北だね」
「あそこに行くつもりだよ」
「またえらく東に行くね」
「函館や札幌からね」
「そうなってるね」
「それでもね」
「あそこまで行ってなんだ」
「そのうえでね」
それでというのです。
「あそこの温泉にも行くんだ」
「クッシー観る為じゃないんだ」
「クッシーはいるのかな」
首を傾げさせて王子に返した先生でした。
「本当に」
「いないかな」
「ネッシーもそうだけれどね」
先生のお国であるイギリスでも屈指の有名人のお話にもなりました。
「本当にいたら面白いけれど」
「いないかな」
「まあそのお話は後でね」
「屈斜路湖に行った時にかな」
「しようね」
あらためてというのです。
「そうしようね」
「うん、それじゃあね」
「さて、では行こうね」
「その屈斜路湖にだね」
「摩周湖の後はね」
その時はというのです、こうお話してです。
先生達は摩周湖でもアイヌ料理を楽しんで、です、それから。
キャンピングカーに乗り込んでそのうえで東に向かいます、外はもう夜になっていますが。
先生は皆にです、その屈斜路湖のことをお話しました。
「あそこは実は温泉でね」
「あっ、先生が大好きな」
「温泉なんだ」
「だから行くんだね」
「温泉だから」
「そうなんだ、そして屈斜路湖はね」
その湖のお話もするのでした。
「世界で二番目に大きいカルデラ湖でもあるんだ」
「あの火山の噴火で出来た」
「そうした湖だね」
「屈斜路湖ってそうした湖なんだ」
「本来はそのことで有名だけれど」
それでもというのです。
「今は他のことで有名になったね」
「そのクッシーで?」
「湖にいる怪獣?」
「それで有名なんだね」
「怪獣が出たってことで」
「そのことで」
「ネス湖と同じだよ」
有名になったその理由はです。
「その辺りはね」
「ネス湖ねえ」
「あの湖は僕達も何度も行ってるけれど」
「ネッシーはいるかな」
「実際にね」
「怪しい目撃例も多いけれど」
それでもと言った先生でした。
「写真でもね、けれどね」
「その全部が怪しいかっていうと」
「それもないよね」
「流木の見間違いとかインチキ写真とか」
「全部が全部そうじゃないよね」
「それも有り得ないね」
ネッシーの目撃例が全てそうしたものとは、というのです。
「まず」
「じゃあやっぱり」
「ネッシーはいるかな」
「あの湖に」
「いるのかな」
「川を遡って来ているって説もあるね」
先生はネッシーのお話をさらにしていきます。
「海から」
「それでネス湖に来て?」
「目撃されてるのかな」
「そうかもね、ネス湖はお魚が少ないから」
ネッシーが餌とするそれがというのです。
「あそこにずっといるとは考えられないし」
「餌がないとね」
「食べるものがないと生きていけないからね」
「僕達もそうだけれど」
「だからね」
それでというのです、先生も。
「あの湖に恐竜みたいな大きさの生きものはいつもいないんじゃないかな」
「そうなんだね」
「ネッシーはネス湖にいても」
「いつもいない」
「先生はそう考えているんだね」
「しかも生きものがその場所で暮らすには」
種族としてです。
「十つがい、二十匹は必要だから」
「ネッシーって一匹だけだね」
「目撃されてるのは」
「じゃあやっぱり」
「あそこにはいないのかな」
「普段は」
「そうかもね、そして一番有力な大昔の恐竜の生き残り説もね」
ネッシーはよくそれではないかと言われています。
「それもね」
「違うのかな」
「恐竜じゃないのかな」
「それが一番面白いけれど」
「夢があって」
「目撃の旅に身体の細かい部分が違っていたりするから」
だからというのです。
「身体の色とか背中の瘤の数とか頭に角があったり」
「そういうのを見ていくと」
「恐竜じゃないんだね」
「若しネッシーがいても」
「それでもなんだ」
「昔からネッシーの正体は色々言われているんだ」
恐竜説以外にもというのです。
「大きなアシカとかアザラシとかナメクジとか魚とかね」
「色々あるんだね」
「ネッシーの正体の説も」
「そしてそれのどれが正しいかっていうと」
「わからないんだね」
「グーグルに映った写真だとね」
そのネス湖においてです。
「何か蛸みたいだったね」
「蛸?」
「大きな蛸?」
「じゃあネッシーは蛸なのかな」
「その正体は」
「ダイオウイカもいればオオダコの目撃例が海にあるからね」
だからというのです。
「ネッシーの正体が蛸でもね」
「有り得るんだね」
「それもね」
「蛸は海にいるから」
「やっぱり海から来ているのかな」
「そうかも知れないね」
あらためて言った先生でした。
「ネッシーの正体は」
「ネッシーは蛸」
「その可能性もあるんだ」
「じゃあ恐竜じゃないのかな」
「先生の言う通り」
「大きな鰻という説もあるね」
先生はこちらの説の名前も出しました。
「ネッシーには」
「鰻?」
「日本人が物凄くよく食べてる」
「あのお魚だね」
「実際に食べたら美味しいよね」
「特に蒲焼きにしたらね」
「僕も大好きだよ、実はその鰻だけれど」
先生がお話することはといいますと、ここで。
「稚魚から成体になると三十倍の大きさになるけれど」
「三十倍だね」
「また随分大きくなるんだね」
「その鰻じゃないかって説もあるんだ」
「二メートルの鰻の稚魚が見付かったことがあるから」
だからというのです。
「成体になると六十メートルになるかもね」
「それはまた大きいね」
「三十倍って」
「じゃあネッシーの正体も」
「鰻なのかな」
「その可能性もあるよ」
否定しない先生でした。
「実際にね」
「ううん、何かね」
「ネッシーの正体って色々な説があるんだ」
「蛸とか鰻とか」
「色々な説があるんだ」
「だから僕もネッシーはいると思うけれど」
それでもというのです。
「いつもあそこにいるか、正体は恐竜かっていうと」
「違うかもだね」
「どちらも可能性は低い」
「そうなんだね」
「うん、このことは他のそうした生きものもそうだよ」
ネッシー以外の未確認生物もというのです。
「正体は色々な説があるね」
「果たして恐竜か」
「恐竜が実際にいるかっていうと」
「それもだね」
「わからないんだね」
「いる可能性は否定しないよ、現実に目撃例があるからね」
先生は夜の車の中でお話していきます。
「イギリス海軍の軍艦が横を通る恐竜みたいな生きものを見たから」
「ディーダラス号事件ですね」
トミーが言ってきました。
「それですね」
「そう、あの事件を見るとね」
「恐竜がいることはね」
「否定出来ないですか」
「あの謎の生きものが恐竜かというと」
「可能性がありますね」
「若しくは昔鯨類だね」
先生はこの種類の生きものの名前も出しました。
「あちらだね」
「昔鯨類ですか」
「この種類は今の鯨の祖先にあたるけれど」
それでもというのです。
「それじゃないかとも言われているんだ」
「じゃあネッシーも」
「そうも言われているよ」
「昔鯨類ですか」
「恐竜と同じだけロマンがあるよね」
「もう絶滅したと言われてるんですよね」
「それがまだいるとなるとね」
そのこと自体がというのです、先生も。
「やっぱりロマンがあるね」
「実際にそうですよね」
「そのネッシーもディーダラス号のこともね」
「そしてクッシーも」
「いて欲しいね」
クッシーもというのです。
「実際にね」
「いる可能性は低くても」
「そう考えているよ」
こう言うのでした。
「やっぱりクッシーも海から来ているのかな」
「屈斜路湖に」
「そうかもね」
「じゃあ見られたらいいですね、クッシー」
「僕もそう思っているよ」
こうしたことをお話しながらです、先生達は一路屈斜路湖を目指していました。そしてこの日の晩御飯はといいますと。
「さて、海鮮丼とお刺身だけれど」
「うわ、凄いね」
皆は王子が出してくれたその晩御飯を見て声をあげました。
「鮭のお刺身にね」
「鮭の身とイクラ、雲丹に烏賊も乗せた海鮮丼」
「これはまた凄いね」
「函館にいた時思い出したわ」
「僕も函館で食べて美味しかったからね」
王子は皆ににこりとして言いました。
「それでシェフに作ってもらったんだ」
「これは凄いわ」
ガブガブも驚きを隠せていないです。
「まさに函館の再現よ」
「数の子が入った松前漬もあるし」
チーチーはそちらも見ています。
「こちらも楽しめるね」
「お酒もあるね」
ホワイティは小樽産の白ワインを見ています。
「しかも毛蟹まであって」
「毛蟹はボイルしたものだね」
ジップは目の前のその蟹の匂いをもう嗅いでいます。
「まさに北海道の海の幸だね」
「鱈はホイル焼きだね」
鱈のそれもあります、トートーはもうその前にいます。
「これもよさそうだね」
「こうして何でもあると」
ダブダブの言葉はといいますと。
「何を最初に食べればいいのか困るよ」
「そうよね、全部食べるにしても」
ポリネシアはダブダブのその言葉に頷きます。
「どれが最初に食べるかは選びにくいわね」
「海鮮丼のお米は北海道のお米だね」
「そうね」
チープサイドの家族はお米に気付いています。
「北海道でもお米が採れる」
「そちらも楽しみね」
「いや、それじゃあ」
「今晩は海の幸を楽しむんだね」
オシツオサレツはここでも二つの頭でお話します。
「先生達は」
「そして僕達もだね」
「僕達はアルファルファ」
老馬達の前にはそれがあります。
「こちらも楽しみだね」
「全部楽しんでね」
そしてと言うのでした。
「皆で」
「よし、それじゃあね」
「皆で食べようね」
「これからね」
こうしてでした、先生達は皆ででした。
その晩御飯を楽しむのでした、その海の幸はといいますと。先生はまずは鮭のお刺身を食べてにこりとなりました。
「最高に美味しいよ」
「北海道の鮭だよ」
王子は白ワインを飲みながら先生に応えます。
「その鮭はね」
「やっぱりそうだよね」
「新鮮な鮭をね」
「お刺身にしたんだね」
「そうだよ」
その通りだというのです。
「一匹を丸ごとお刺身にしたんだ」
「それも何匹もだね」
「お刺身にしたんだ」
皆が食べるからそれだけの量を用意したのです。
「皮と内蔵は焼いて頭はお吸いものにしたよ」
「全部使ってるんだね」
「そうなんだ、日本人はお魚の頭捨てないよね」
「お吸いものにするね」
「だからシェフもなんだ」
王子お抱えのこの人もです。
「そうしてくれたんだ」
「鮭のお吸いものだね」
「人参と大根もね」
今そのお吸いものが出てきましたが実際にそうしたものも入っています、勿論鮭のその頭もお椀の中にあります。
「あるからね」
「お野菜もあるんだね」
「そうだよ」
その通りというのです。
「そちらも楽しんでね」
「わかったよ」
「白ワインもね」
王子はそうしたものと一緒にワインも楽しみつつ言います。
「いいからね」
「小樽のワインはやっぱりいいね」
「飲みやすいね」
「どんどん飲めるね」
「日本のワインはね」
そのワインのこともお話した王子でした。
「フランスやイタリアのワインもいいけれど」
「王子はだね」
「こちらも好きなんだ」
そうだというのです。
「山梨のワインも好きだよ」
「甲州ワインだね」
「あのワインもいいよね」
「王子はすっかり日本のワインが好きになったね」
「先生もだよね」
「うん、僕もね」
先生もというのです。
「日本のワインが好きになったよ」
「そうなんだね」
「日本酒もね」
先生はこちらも好きなのです。
「好きだよ」
「どちらもだね」
「うん、日本酒なんかはね」
「もう大好きになったよね」
「日本人の恐ろしい発明の一つだよ」
それこそというのです。
「あのお酒はね」
「発明なんだ」
「そう思うよ、お米が造ったお酒があそこまで美味しいなんて」
先生が日本酒について言うことはといいますと。
「思いも寄らなかったよ、だから日本酒を造る人達にはね」
「頑張って欲しいんだね」
「是非ね」
先生はこうも思っているのです。
「そうして欲しいよ、ただね」
「ただ?」
「ただっていうと?」
「いや、その日本酒を造る人達がね」
先生は皆に少し寂しいお顔で言いました。
「元気がないんだ」
「業者さん達も」
「そうなんだ」
そうだというのです。
「会社とお店も人も減ってきているんだ」
「そういえば日本酒を飲む日本人も」
トミーも言います。
「減ってきているそうですね」
「どうもね」
「そうなんですね」
「ビールやワインも飲まれる様になったこともあるだろうね」
実際に先生も今はワインを飲んでいます。
「そのこともあって」
「だからですか」
「日本酒は全体的に弱くなってるよ」
「難しい問題ですね」
「日本酒はなくならないけれど」
それはないけれどというのです。
「弱まってるね、ただこのお酒は日本人だけが飲んではいけないことはないから」
「じゃあ世界にですか」
「広まればいいね」
こうも言った先生でした。
「是非ね」
「そうですよね」
「うん、それが日本酒の活路かな」
今は弱まっていてもというのです。
「貴重な日本文化だからね」
「先生はそうなって欲しいですか」
「僕は日本酒も好きだからね」
それ故にというのです。
「そうも思ってるよ」
「そうですか」
「美味しいものは皆が楽しむものだよ」
先生の持論です。
「だから日本酒もね」
「世界にですね」
「広めていくべきだよ」
「そしてそれがですね」
「日本酒の活路にもなるから」
「ワインみたいにかな」
こう言ったのは王子でした。
「日本酒もなれるかな」
「流石にそこまではわからないけれど」
「それでもだね」
「日本酒も努力次第で今以上に飲まれる様になるよ」
先生は王子にこう答えました。
「海外に売り出したりしてね」
「日本の中だけでなくて」
「そう、外にもね」
「日本酒は日本だけで飲まないといけないんじゃないんだね」
「何処でも飲んでいいから」
それ故にというのです。
「今以上に飲まれる様には出来るんだ」
「先生日本酒にも造詣あるんだね」
「造詣というよりかはね」
何かとです、先生は王子にワインを飲みつつ答えました。
「思い入れが出来たんだ」
「飲む様になって好きになったから」
「それでだよ」
つまり情が出来たというのです、日本酒に対して。
「僕もそう思うんだ」
「そういうことなんだね」
「うん、今はワインを飲んでるけれど」
それでもというのです。
「日本酒にも頑張って欲しいね」
「日本酒ね、僕もね」
王子も今はワインを飲んでいますがそれでもなのでした。
「好きになったしね」
「日本に来てからだね」
「そうなったよ、お米で造るお酒もいいよね」
「麦や葡萄もいいけれどね」
「お米もいいね」
「そうだね、あとこれは日本酒じゃないけれど」
この前置きからお話した先生でした。
「アイヌの人達のお酒もよかったね」
「あのお酒も美味しかったね」
「日本はお酒も美味しい国だよ」
「そして日本酒もだね」
「どのお酒も美味しく飲んでいきたいね」
「そういうことだね」
「うん、日本酒もね」
そちらのお酒もというのでした、そうしたお話をしながらです、先生は北海道の海の幸を小樽の白ワインと一緒に楽しんで。
そしてデザートのです、夕張メロンを食べてでした。
お外の暗い様子を見てです、微笑んで言いました。
「明日だね、クッシーのところに行くのは」
「クッシーさんいるかな」
「会えるかな」
「クッシーに会えたらいいよね」
「そうだね」
動物の皆はクッシーさんに会うことを楽しみにしています。
「本当にいるかどうかわからないけれど」
「本当にいるのならね」
「会いたいね」
「そしてお話をしたいね」
「恐竜じゃなくても」
「まあ恐竜じゃなくても」
先生も言います。
「実際にあの湖にいたら会いたいね」
「先生もそう思うよね」
「クッシーさんに会いたいよね」
「興味あるのね」
「ずっと恐竜や昔鯨に会いたいって思っていたんだ」
先生の密かな願いでした、ずっと。
「その機会があるのなら」
「是非だね」
「お会いしたい」
「そうなんだね」
「うん、だからね」
それでというのです。
「会いたいね」
「それじゃあね」
「明日は屈斜路湖」
「あそこに行こうね」
「そうしよう、じゃあ今日はもう寝ようかな」
夜も深いからというのです。
「そうしようかな」
「あれっ、まだ早いよ」
「けれどもう寝るんだ」
「まだ早いのね」
「そうするんだ」
「うん、明日は早く起きて」
「朝日も見たいしね」
だからというのです、そしてです。
先生は実際にでした、この日は早いうちから寝ました。そして朝日を見ることを楽しみにしながら夢を見ました。皆と楽しくクッシーとお話をする夢を。
クッシーに会う事は出来るのか。
美姫 「こればっかりは分からないわね」
後はお土産とかを買ってと。
美姫 「この辺りのやり取りは変わらないわね」
まあ、いきなり先生が変わる事もないだろうからな。
美姫 「確かにね」
次はいよいよ屈斜路湖。
美姫 「次回も待っていますね」
ではでは。