『ヘタリア大帝国』
TURN91 アステカの女神
ケツアル=ハニーは枢軸との興和の場に向かっていた、そこには強硬派のハニワ達とのぞみも一緒だった。
まずはハニワ達が言う。
「とりあえず話は聞くホーーーー」
「エロゲをくれるならホーーーー」
「それにエロ漫画もだホーーーー」
「くれるなら話を聞くホーーーー」
「その通りだホーーーー」
ハニーも言う、一行はハニワ艦に乗っている、その中でのやり取りだ。
「まあ話は聞いてやるホーーー」
「そうするホーーー」
「あの、皆さんいいですか?」
のぞみがおずおずとハニー達に問う。
「お聞きしたいことがあるんですが」
「何だホ?」
ハニーがのぞみに応える。
「聞くホ」
「あの、講和は」
「考えてないホーーー」
これがハニーの返答だった。
「ずっと楽しむんだホーーーー」
「戦ってですか」
「その通りだホーーーー」
「やっぱりそうですか」
「ハニー達が何故戦うか」
その話もするハニーだった。
「それは楽しいからだホーーーー」
「若しもですよ」
のぞみはハニーの話を聞いてからそのうえでまた問うた。
「戦い以上に楽しいことがあればどうされるんですか?」
「そんなことは決まっているホ」
ハニーはのぞみに顔を向けて答えた。
「そっちに行くホ」
「そうですか。それじゃあ」
「とにかく話は聞くホ」
これはするというのだ。
「エロゲを貰えるならホ」
「ううん、私としては」
のぞみは困った顔のままである、そのうえでの言葉だ。
「戦争はもうしないで」
「それでホ?」
「日本に帰りたいなって」
「そ、それは困るホ!」
「考えなおすホ!」
即座にだった、ハニーも他のハニワ達も血相を変えてのぞみに叫んだ。
「のぞみはずっといるホ!」
「一緒にいるホ!」
「女神がいないと困るホ!」
「だからそんなこと言うなホ!」
「あの、本当に日本が恋しいので」
ハニワ達に気弱な顔で返す。
「お願いです」
「そんなことは言うなホ!」
ハニーはその白い陶器の顔を激怒させてきた、その上での言葉だ。
「ハニー達はのぞみが大好きだホ!眼鏡っ娘萌えだホ!」
「女神萌えホ!」
「気弱萌えホ!」
「何でも萌えなんですか?」
のぞみが今度突っ込みを入れたのはこのことだった。
「前から思っていたんですけれど」
「萌えは全てだホ!」
これがハニーの、ハニワ達の言い分である。
「それで萌えを否定してどうするだホ!」
「私にとって萌えは」
「関係ないと言うホ?」
「特に。これといって」
のぞみは気弱な青で返した。
「そもそ何が何なのか」
「ううむ、ハニー達は今非常に悲しいホ」
ハニーは実際に涙を流して言う。瞳はないが涙を流せてそのうえ見えるから不思議なことである。
「のぞみ、萌えとは全てだと言ったホ」
「はい、今」
「ハニー達はそれで生きているホ」
「だから全てなんですね」
「そうだホ」
「ハニワさん達は飲んだり食べたりする必要はないですね」
そうした身体の構造なのだ。
「けれどその代わりに」
「そうだホ、エロゲやエロ漫画をプレイして読んでホ」
「栄養にされているんですね」
「だから萌えは全てホ」
ついでに言えば性欲もだ。
「そうしたことは実際にしなくてもそれでもだホ」
「だからですか」
「萌えは否定出来ないことだホ」
ハニーは強い声で言う。
「だからのぞみもずっと一緒にいるホ」
「ですか」
「そうだホ、まあとにかく今はホ」
今現在の話に戻った。
「エロゲに免じて話は聞いてやるホ」
「その後でまた戦いだホ」
「楽しむんだホ」
ハニー達に講和に応じるつもりはなかった、そのうえで一応話は聞くという のだ。そうしたことを話してだった。
ハニー一行はブラジルに用意された交渉の場に来た、まずはそこでブラジル達と再会した。ハニーとブラジルはお互いに抱き合ってから話をした。
「元気そうで何よりだホ」
「って一週間前に別れただけやけどな」
「それでも元気そうで嬉しいホ」
ハニーはブラジルに明るい顔で話す。
「キューバさん達も元気だホ?」
「ああ、元気やで」
キューバはにこりと笑ってハニーに応えた。
「ただ、独立したさかい」
「僕もやで」
メキシコも言う。
「悪いけど俺等二国はそうなるわ」
「そういうことでな」
「それならそれでいいホ」
ハニーは彼等の意見を尊重して言った。
「キューバさんとメキシコさんはそれぞれの道で幸せになるホ」
「悪いな、そう言ってもらって」
「おおきにな」
「礼はいいホ、とにかく皆元気そうで何よりだホ」
「そうだホ、よかったホ」
「皆元気なら嬉しいホ」
他のハニワ達も言う、彼等は今も仲がいい。
ブラジル達はあえて挨拶以外は言わなかった、そのうえで。
ハニー達は交渉のテーブルに着いた、ハニーは席に着くと早速目を怒らせて宇垣達にこう言い切ってみせた。
「講和なぞしないホ!」
「やはりそう来たか」
宇垣がハニーの言葉を聞いて呟く。
「これは簡単にはいかぬな」
「戦うんだホ!まだまだ楽しむんだホ!」
「あっ、だったらね」
あくまで言うハニーにイタリアが言ってきた。
「一ついい話があるんだけれど」
「いい話?何だホ?」
「実は太平洋連合の中の一国日本は君達の好きなゲームや漫画が一大産業なんだ」
「エロゲやエロ漫画だホ!?」
「うん、もう凄いんだ」
「こんな感じだぞ」
ロマーノは実物を出してきた、パッケージやコミックをだ。
「これが一部だ」
「むっ、これはホ」
ハニーはロマーノが出してきた日本のそうしたゲームや漫画を見て目を輝かせた。とはいっても瞳はないので黒いままだ。
「中々よさげだホ」
「しかも他にもあるホ?」
「山みたいにだホ!?」
「一月でゲームだと千作は普通に出てね」
イタリアは今度は数の話をした。
「漫画も。同人誌なんかそれこそいちいと数えられない位よ」
「な、そんなにだホ!?」
「多いんだホ!?」
「そうなんだ、若しも太平洋経済圏に入ればね」
中南米も太平洋に接しているので入る資格がある。インド洋にいるインドやセーシェルまで参加している程だ。
「こうしたのが貿易でどんどん手に入るよ」
「どんどんだホ!?」
「そう、どんどんね」
イタリアは驚くハニーに言う。
「好きなだけ手に入るよ」
「す、好きなだけホ!?」
「そんなにだホ!?」
「それは凄いホ!」
「最高だホ!」
ハニーだけでなく他のハニワ達も声をあげる。ここでさらにだった。
ムッチリーニが右目をウィンクさせて一枚の写真をそっと差し出した。そこにはメイド姿の彼女とレーティア、それに帝がいる。
レーティアは強ばった顔でムッチリーニに抱き締められ帝は正面に手を前にして立ってにこにことしている。その写真を見てハニワ達は一斉に割れた。
「ホーーーーー!」
「ホーーーーー!」
「おい、大丈夫かよ」
「大丈夫だホ」
どのハニワも瞬時に戻った、ハニーが応じる。
「この破壊的な萌えもだホ!?」
「太平洋には山みたいにあるからな」
「こ、これは凄いホ」
「メイドだけじゃないからな」
ロマーノはハニー達にさらに言う。
「巫女にセーラー服、ブルマにスクール水着もあるからな」
「ううむ、何でもあるホ」
「ならどうするんだ?」
ロマーノはあらためてハニー達に問うた。
「講和か?それとも戦うか?」
「講和したらメイド喫茶も出来るわよ」
「メイド喫茶!?」
ハニーはムッチリーニの言葉にも声をあげる。
「それもだホ!?」
「そう、アステカ帝国にも進出してね」
「あの伝説の萌えも」
「どうかしら、それで」
ムッチリーニはにこにことしてハニー達に問うた。
「講和して太平洋経済圏に入ってくれるかしら」
「こ、ここまでならホ」
ハニーはまた割れそうになれながら言った。
「喜んでホ」
「じゃあそれでいいね」
こうしてハニー達はあっさりと講和に応じそのうえで太平洋経済圏に参加することになった。こうしてアステカ帝国との戦いは完全に終わった。
メキシコとキューバの独立も正式に認められ南米諸国はアステカに残った、アステカは南米だけでも大国だった。
だが、その国家としての性格はというと。
「あの、あまりにも」
「変だよね」
フェムにインドネシアが言う。
「どう見てもね」
「私もこの前萌えって言われました」
「アオザイが?」
「はい、祖国さんと一緒に」
アオザイも彼等にとってはそうなのだ。
「それで集まってきて」
「ううん。手当たり次第ね」
「他にも白いスクール水着も」
フェム愛用の水着である。
「それも萌えだと言われました」
「とにかく何でも萌えなんだね」
「どうしたらいいでしょうか」
「いいといってもな」
ラスシャサも難しい顔になっている、そのうえでの言葉だ。
「どうしようもないのではないのか」
「ラスシャサさんでもですか?」
「私がどうこう言ってもな」
それでもだというのだ。
「聞く連中か?」
「それは」
「違うな」
「絶対にそうだと思います」
「だからだ」
「もう言わないんですね」
「私はこの軍服にだ」
提督だが陸軍のそれを思わせる軍服だ。半ズボンとベレー帽がトレードマークになっている。
「赤い髪がいいらしい」
「それが萌えなんですね」
「軍服萌え、赤髪萌えらしい」
「それもですか」
「とにかく私も寄られた」
ラスシャサにしてもそうだった。
「寄られるだけだがな」
「私もよ」
今度はララーだった。
「詰襟女子、褐色の肌萌えってね」
「ララーさんもですか」
「巨乳もいいって言ってるわ」
「私は貧乳萌えでしたけれど」
「私は並だった」
フェムとラスシャサの胸はそれぞれこうした評価だった。
「小柄もいいって」
「脚もだ」
「私お尻も言われたけれど」
とにかくあらゆるものに対して萌えるのがハニワだった、そして。
今度はサフランが来て言った。
「私はクール、カレー萌えらしいです」
「カレーもなんですか」
「カレー系女子だとか」
それがサフランだというのだ。
「そう言われて萌えられています」
「もしかしてクリオネさんも」
「あの人は熟女です」
萌えの対象は少女だけではなかった、三十路もだった。
「さっき群がられていました」
「本当に何でもなんだね」
インドネシアもここまで聞いて呆れる様に言った。
「萌えっていうのは」
「その様です。南雲さんやローザさんは人妻で」
こちらの趣味もあった。
「人のものがいいとか」
「それって危ないわよ」
ララーはりあるのことから言った。
「結婚してる人に萌えるのはね」
「私もそう思いますが」
それでもだとだ、サフランは言う。
「あの方々はただ萌えるだけで実際には何もされないので」
「それでなんですね」
「はい、問題なしとなっています」
「確かに何もしないけれど」
フェムは困った顔になって述べた。
「それでも」
「アステカが参加した以上仕方ないか」
ラスシャサは割り切ることにした。
「最早な」
「その様です」
サフランはラスシャサの言葉に頷いた、少女達は困っていた。
だが東郷は彼等と上手く付き合えた、今もハニーと仲良くコーヒーを飲みながらそのうえで話をしていた。
「そしてその時俺はな」
「教官の目を盗んでホ!?」
「そうして外に出てだ」
そしてだというのだ。
「街で遊んだという訳だ」
「酒にホ!?」
「もう一つな」
「女だホ」
どうして遊んだかは言うまでもないことだった。
「それだホ」
「その日もよかった。一週間兵学校の中だったしな」
「大変だったホ」
「大変とうよりかはだ」
どうかというと。
「楽しかった}
「楽しかったホ!?外出出来なかったのに」
「外出出来ないならどう外出するか」
今言うのはこのことだった。
「それを考えて抜け出ることがな」
「それが楽しいホ」
「俺はそうなんだ」
こう自分の考えを言うのだった。
「だからいつも楽しませてもらった」
「そうだホ」
「ああ、それでな」
東郷は今度はこう言った。
「そっちに我が国から来た娘がいたな」
「のぞみだホ?」
「あの娘は今どうしているんだ?」
「祖国さん達と一緒にいるホ」
ブラジル達とだというのだ。
「それで楽しくやっているホ」
「しかし時々、だな」
「むっ、わかるホ?」
「多少はな」
そうだというのだ。
「気付いていた」
「そうだったホ」
「それでだが」
東郷はハニーに切り出す。
「あの娘がよければだが」
「ううむ、それは出来ないホ」
ハニーはこれまでとは一転して難しい顔になって言った。
「のぞみはアステカの女神だホ」
「巫女じゃなくてか」
「そうだホ、女神だホ」
ハニー達から見ればそうなのだ。
「だからそう簡単にはホ」
「里帰りもか」
「のぞみがいないとハニー達は困るホ」
こうまで言う。
「だからその話はホ」
「それじゃあこうしてはどうだ?」
東郷は拒むハニーに今度はこう言った。
「時々でいいんだ」
「時々だホ」
「あの娘が里帰りをしてだ」
轟轟はハニーに己の考えを話す。
「家や国籍はアステカにある」
「そうすればというホ?」
「ああ、これでどうだ」
こうハニーに言った。
「そちらにも悪い条件じゃないな」
「のぞみは時々日本に帰って」
「そしてアステカに戻る」
そうなるというのだ。
「これでどうだろうか」
「ううむ」
ハニーは東郷の言葉に考える顔になった、そして。
そこから熟考する様、顔を顰めさせてそのうえで言った。
「わかったホーーーー」
「いいんだな」
「のぞみの困った顔を見るのも楽しいホが」
「いやいや、それは悪趣味じゃないか?」
「困っている娘萌えだホーーー」
ここでも萌えだった。
「それでも笑顔ののぞみはもっと可愛いホーーーー」
「だからだな」
「ハニワ族は基本的にハッピーエンド派だホ」
それがハニー達の嗜好だった。
「だからのぞみの笑顔を見たいホ」
「そうか、それじゃあな」
「ただエロゲとエロ漫画はふんだん貰うよ」
「ああ、貿易は自由化されるからな」
アステカも太平洋経済圏に加わったので自然とそうなることだった。
「存分に楽しんでくれ」
「それならホ、のぞみにも言うホ」
ハニーは元の顔に戻って言った。
「里帰りを認めるホ」
「そういうことでな」
こうしてのぞみは里帰りが出来る様になった、金曜の夜から月曜の朝までブラジルか日本に連れられて一瞬で実家、幼い頃からいなかったその家に戻られることになった。その実家に戻って両親に会うとまずこう言われた。
「のぞみが生きていたなんて」
「まさか」
「しかもこんなに可愛くなって」
「嘘みたい・・・・・・」
「顔も覚えていなかったけれど」
のぞみはその両親と会ってまずはこう言った。
「お父さんとお母さんよね」
「のぞみなんだね」
「あの娘なのね」
「うん」
両親の言葉にこくりと頷いて答える。
「私、ずっとアステカにいて」
「アステカではどうだった?」
「いじめられていなかったの?」
「こうした格好だったけれど」
アステカの服のままだ、だがだ。
その服でそして言ってだった。
お互いに抱き合い泣き合った、まさに最高の出会いだった。
里帰りを果たしたのぞみは同時にアステカ軍、即ち枢軸軍の提督になった。当然ハニーも提督になった。
「そういう訳で宜しくだホーーーーー」
「私頑張ります」
「そういうことで頼むで」
そしてブラジルも参戦となった。
「敵は連合やな」
「そや、イギリスとかロシアや」
スペインがブラジル達に答える。
「手強いけどあんじょうな」
「それで親分はエイリスとはやな」
「条約で戦わんことになったわ」
エイリスとは、というのだ。
「まあそういうこっちゃ」
「そやねんな」
「ソビエトとかドクツとは戦えるで」
そちらは大丈夫だというのだ。
「安心してええで」
「ソビエトか。寒いそうやな」
「何っ、ソビエトは寒いホ!?」
ハニーはそう聞いて驚きの態度を見せた。
「というと冷蔵庫みたいな感じだホ?」
「あんなものじゃないんだよ」
フランスがハニーに言う。
「あそこの寒さはな」
「というとどんな感じだホ?」
「息が凍るんだよ」
ありのままのことを話す。
「下手したら目だってな」
「ホーーーーー!では見えなくなるホ!」
「あんたは大丈夫だろ」
フランスはハニーのその黒い穴だけの目を見て突っ込みを入れる。
「というか凍るのかよ」
「凍る!?ハニワは凍らないホ」
「だよな、全身陶器だからな」
「けれど暑さ寒さは感じるホ」
それはしっかりだというのだ。
「何百度でもマイナス何十度でも大丈夫ホが」
「いや、それだと大丈夫じゃないのか?」
あらためてハニワ族の不死身さが確認される。
「というか寒過ぎて視界やら艦艇の能力に影響が出てな」
「それでどうなるんですか?」
「艦艇の攻撃力が半減しちまうんだよ」
フランスはのぞみにも話した。
「勿論向こうは防寒設備は完璧だよ」
「つまり地の利は向こうにあるんやな」
「完全にな」
ブラジルにも話す。
「だから相当戦いにくい場所なんだよ」
「攻撃半減ってやばいやろ」
「それをどうするかだけれどな」
「具体的な策あるんかい、それで」
「第八世代の艦艇はどれも防寒、防塵が出来てるからな」
「あっ、それええな」
「今第八世代の艦艇が量産されてきてるよ」
都合のいいことにだった、まさに。
「ソビエト侵攻までには間に合うからな」
「ああ、じゃあそれに乗り換えてやな」
「国家は自然に艦艇が変わるだろ」
その国の技術に合わせてだ、それは変わるのだ。
「だから俺達が第八世代になればな」
「その時に行くで」
スペインもブラジル達に話す。
「ええな、それで」
「最初はソビエト戦だホ?」
「ちょっとソビエトを嫌いな奴が何人かいてな」
フランスはこのこともハニーに答えた。
「日本にアメリカに中国にな」
「あの三人だホ?」
「あの三人昔からロシアと仲が悪いんだよ」
それこそ誰が最もロシアと仲が悪いのか比較検証される程だ、尚ロシアもこの三人、三国を嫌っていたりする。
「だからな」
「まだ作戦会議してへんやろ」
「殆ど決まってるんだよ」
会議前に既にだというのだ。
「太平洋の主要三国だぞ」
「そこの上司さん達もかいな」
「君主国の国もあるし全部資産主義だからな」
「待て、君主制あかんのかいな」
「ソビエトの理屈ではそうなんだよ」
フランスはブラジルにこの事情も話した。
「君主制も資産主義も駄目なんだよ」
「ではエロゲも駄目だホ!?」
「ああしたゲームとか漫画だよな」
「それもだホ!?」
「ああいうジャンルも産業でな」
まずこのことがあった。
「それで買うものだよ」
「当然だホ、盗むと犯罪だホ」
「ソビエトは貨幣がないし物々交換でな」
「それならエロゲとエロゲの交換でいいホ」
「とならないんだよ」
フランスはハニーを絶望に落とした。
「あそこの国家元首のカテーリンって娘は滅茶苦茶真面目でいやらしいのなんてもう大嫌いでな」
「何っ、エロ自体がホ!?」
「しかも懐刀の内相兼秘密警察長官のゲーペさんもすげえ厳しい人でな」
「まさかホ!」
「そのまさかだよ」
既に白いが蒼白になったハニーにさらに言う。
「持ってるだけでお仕置きだろうな、グラウンド百周位か?」
「ホーーーーーー!ソビエトは地獄だホ!」
「共有主義って皆が平等に差別なく暮らせる楽園を目指してるんだよ」
「エロゲもエロ漫画もない世界の何処が楽園だホ!地獄以外の何者でもないホ!」
今度は怒り狂って言うハニーだった。
「そんな国とは絶対に国交なんて結ばないホ!言語道断だホ!」
「そのソビエトが攻めて来て太平洋全域も共有主義にしようとしてるんだけれどな」
「アステカもホ!?」
「太平洋経済圏に入ったからな」
それはもう、というのだ。
「そもそも世界中をそうするつもりだからな」
「打倒!共有主義だホ!」
今この瞬間にアステカの国是が決まった。ハニーはこれ以上はないまでに激怒した顔で言い切った。
「即刻ソビエトに宣戦布告するんだホ!」
「いや、まだ中立条約残ってるんだよ」
日本とソビエトが結んだそれがだ、これは日本が中心となっている太平洋経済圏全てに適用されている。
「だからこっちから攻めることはな」
「むっ、約束は守らないとならないホ」
「ハニーさん律儀やさかいな」
ブラジルはハニーに顔を向けて言う。
「それでやな」
「では中ち率条約は切れた時にホ」
「ちゅうか向こう自分達で破る気満々やか」
スペインがこのことを話す。
「まあ放っておいてもな」
「開戦だホ」
「もうソビエトとの国境には防衛艦隊を集結させてるからな」
枢軸側も馬鹿ではない、もう読んでいるのだ。
「とりあえずは安心や」
「では向こうの攻撃を防いでからホ」
そこからだというのだ。
「反撃でソビエト侵攻だホ」
「そういうことでな。とりあえずな」
フランスはまた話した。
「中南米も落ち着いたし日本に向かうな」
「日本に何かあるんですか?」
「あそこには大修理工場があるんだよ」
のぞみに彼女の祖国のことを話す。
「そこに主力艦隊、要するに俺達が入ってな」
「それで、ですね」
「修理が出来てからな」
それからだというのだ。
「ソビエト戦な」
「ではその時にだホ」
ハニーは燃えていた、しかも真っ白な最も熱い炎だ。
「ソビエトに天誅を加えてやるホ」
「何かハニーさんめっちゃ燃えてるな」
「そう、萌えではなく燃えだホ」
今のハニーはそちらだった、目も怒っている。
「ソビエトも共有主義も打倒するホ」
「まあ正式なことは太平洋の国家に提督が日本帝国の帝さんの前に集まった会議で決まるからな」
所謂御前会議である。
「そこで議論しような」
「まあもう決まったけどな」
スペインは日本達のことを頭に入れハニーも見ながら言う。
「エイリスかドイツやなくてな」
「ソビエトだな、まあ一旦日本に集結してな」
それからだった、とりあえず主力の全軍が日本に集結し御前会議が行われた、会議がはじまるとハニーが即座に叫んだ。
「ソビエトだホ!次はホ!」
「ええと、はじまったばかりですが」
「開戦決定だホ!」
引く帝にさら言うハニーだった。
「そして共有主義を粉砕するんだホ!」
「最初からそのつもりでしたが」
日本も幾分かハニーの絶叫に応じながら言った。
「ですがそれでも」
「何か問題があるホ?」
「そこまでそうしたジャンルのゲームや漫画が禁止されることが、ですね」
「そうなったらハニワ族は死ぬホ!」
リアルでそうなるというのだ。
「だからだホ!まずはソビエトだホ!」
「それではですね」
ここでまた言う日本だった。
「まずはソビエト戦ですね」
「とりあえず第八世代の艦艇の生産は順調です」
平賀津波も話す。勿論久重の口でだ。
「ソビエト戦開始までには攻撃軍全軍に配備出来ます」
「ではその時に」
「おそらくソビエトは間も無く条約を破棄してきます」
伊藤が述べる。
「その時までには」
「ではお願いします」
帝は会議の参加者達の話を聞いて言った。
「まずはソビエト戦ですね」
「その間エイリスが動かないでしょうか」
「そのことですが」
ここで言ったのは宇垣だ、相変わらず外相として動き回っている。
「どうやらインド洋奪還作戦を計画している様です」
「そうですか、それでは」
「ソビエトのことも気になりますが」
それでもだというのだ。
「まずはあちらかと」
「わかりました、では日本からですね」
「一旦インド洋に向かいましょう」
そしてだというのだ。
「そこでエイリスを迎え撃つべきです」
「了解です、ではインド洋でエイリス軍を即座に退け」
東郷も言う。
「満州方面に向かいましょう」
「それでは」
ソビエトのことも気になるがそれでもだった、まずはインド洋だった。
実際にエイリスは反撃作戦に入ろうとしていた、モンゴメリーがロンドンにおいてセーラ達と話をしていた。
「それでは今からです」
「はい、南アフリカに入りですね」
「そこで祖国殿、妹殿と共にです」
モンゴメリーはそれぞれセーラの玉座の左右にいる二人も見た。
「反撃作戦に取り掛かります」
「そうしてですね」
「まずはインド全域です」
そこだというのだ。
「奪還します」
「インドはまさにエイリスの生命線です」
セーラも硬い顔で言う。
「それを奪還しなければ」
「エイリスの今度はありませんね」
「若しもエイリスがインドを失ったままですと」
今のアフリカだけでは、というのだ。
「理想は東南アジア、オセアニアも奪還することですが」
「この戦いに勝ち」
「アフリカだけでは戦いに勝ててもです」
「エイリスは欧州の一国に過ぎません」
「ソビエトやドクツに遅れを取ったままです」
植民地がなければそこまで落ちるというのだ。
「ですから何としても」
「主力を総動員しそのうえで」
「インドまで攻め入ってくれますね」
「お任せ下さい」
モンゴメリーは敬礼してセーラに応えた。
「南アフリカから攻撃を仕掛けます」
「マダガスカル、そしてそこからですね」
「アラビアを経由してインドに入ります」
「俺達も行くからな」
「提督、及ばずながらです」
セーラの左右に控えるイギリス兄妹も言ってきた。イギリスは確かな顔で右の親指で自分自身を指し示し妹は手を腰の前で組み合わせて立った姿勢でだ。
「戦わせてもらうな」
「そのうえで」
「共にインドを奪還しましょう」
モンゴメリーも二人に微笑みで応える。
「まずは」
「ここでソビエトが攻め入ってくれたらな」
イギリスは彼等のことを考えてまた言った。
「違うんだがな」
「はい、枢軸軍の戦力がそちらに向かいますので」
妹も兄に応えて言う。
「そうしてくれたら」
「そうですね、ですが」
セーラは難しい顔で二人にこう言った。
「ソビエトのこれまでの行動を見ていますと」
「あえて俺達と枢軸の主力を戦わせてな」
「その上で攻め入ろうとしかねませんね」
「はい、彼等はそうするでしょう」
セーラはほぼ確信を以て見ていた。
「ドクツもです」
「艦隊の再編成が済んでいない、将兵の訓練が不十分だと」
イギリス妹が眼鏡の奥を曇らせてドクツがこれまで言ってきた攻撃を開始しない理由を述べていく。
「そう言ってです」
「動かないのですね」
「その素振りすら見せません」
「今の総統は相当な食わせ者だからな」
イギリスはもうヒムラーをそうした人間だと断定していた、そのうえでの言葉だ。
「全然信用出来ないな」
「ソビエトと同じくですね」
「ソビエトは共有主義が絶対の正義だからな」
このことが大きかった、ソビエトは。
「それこそ共有主義者じゃない奴なら本当の意味の同盟国じゃない」
「だからですね」
「こっちに協力しようともしないさ」
イギリスはそう見ていた。
「だからな」
「我々は同盟国がいても」
「実質単独で枢軸と相手してるよ」
そうなっているというのだ。
「顔触れが変わっても連合の仲は変わらねえな」
「というかより一層酷くなっていませんか?」
イギリス妹は兄に冷静に突っ込みを入れた。
「今の顔触れになり」
「ドクツがああだからな」
「むしろ敵同士です」
ソビエト、ドクツとはというのだ。
「そうした関係です」
「だな。こっちも他の国に援助なんてしてねえしな」
エイリスもエイリスでそうなのだ。
「本当に仲が悪じままだよ」
「それが連合jjyですね」
「さて、じゃあな」
ここでまた言うイギリスだった。
「明日南アフリカに向かうか」
「瞬間移動をされますか」
「向こうで準備もあるしな」
それでだというのだ。
「それじゃあな」
「わかりました、それでは」
モンゴメリーは自身の祖国達にも敬礼をしてそうしてだった。
南アフリカに入りそこで植民地奪還作戦にかかるのだった。
連合も各国が動く、無論ソビエトも。
カテーリンは己の執務室にジューコフを呼んでいた、この部屋も無機質で学校を思わせる素っ気のない内装である。
そこの生徒用の机に座ってそのうえで前に立つジューコフに問うた。
「同志ジューコフ、開戦準備はどうなっていますか?」
「順調です」
ジューコフは敬礼と共にカテーリンに答える。
「後は」
「条約の破棄だけですね」
「はい」
その通りだというのだ。
「シベリアにも戦力を集結させています」
「ではエイリスの作戦が終了し次第です」
セーラの読み通りだった、やはりカテーリンはこう考えていた。
「中立条約を破棄しそのうえで枢軸各国に宣戦を布告します」
「それでだね」
「まずは満洲を攻略します」
カテーリンは己の隣にいるロシアにも答えた。
「そしてそこから太平洋に雪崩込みます」
「その際は私が陣頭指揮を取ります」
「まずは先遣隊ですが」
「ドクツのトリエステ提督と」
そしてだった。
「彼が務めてくれます」
「彼がですね」
「今では立派な共有主義者です」
ジューコフの隣にいるゲーペが己の眼鏡に手を当てて答える。
「本人は洗脳に気付いていませんが」
「共有主義は教え込むものです」
カテーリンはこうも言った。
「だからそれでいいのです」
「はい、同志カテーリンの仰る通りです」
ジューコフも言う。
「拒む場合は」
「叩き込むことも必要です」
これがカテーリンの教育への考え方だ。
「ですからこれでいいのです」
「そして彼は今では書記長の忠実な同志になっています」
「よいことです。それでは」
「満州からですね」
「まずは日本です」
この国から潰すというのだ。
「太平洋の中心になっているあの国です」
「日本の勝利は想定外でした」
ゲーペも言う。
「まさかガメリカ、中帝国に勝利を収めるとは」
「ガメリカと中帝国は落ち込んだのはよかったです」
このことはカテーリンにとっては喜ぶべきとだった、両国が資産主義だからだ。
「ですが日本が伸長し過ぎたのは」
「喜ばざることです」
「だからまずは日本です」
太平洋の中心のその国だというのだ。
「あの国を攻略します」
「じゃあ僕達もシベリアに向かうね」
ロシアもカテーリンに言う。
「それで満州から日本進むから」
「お願いします」
カテーリンはロシアにも言った。
「後はドクツですが」
「何かあの国ってね」
ミーリャもいる、彼女も言うのだ。
「絶対に悪いこと考えてるわよね」
「尻尾は掴めませんが」
ゲーペもドクツのことを探っている、だがなのだ。
「それでもです」
「お願いします、同志ゲーペ」
カテーリンは厳しい顔でゲーペに応える。
「そしてドクツの正体を掴めば」
「戦後にですね」
「はい、このことを糾弾しドクツを倒します」
そうする考えだった。
「あのヒムラーという男、絶対に何かがあります」
「それが何かもわからないけれどね」
「不気味なものがあるのでは?」
ロシア妹が見たところである。
「あの総統には」
「そういえばレーティア=アドルフには不気味なものはありませんでした」
ゲーペもこのことは言う。
「覇気はありましたが」
「あの男には覇気はありません」
ジューコフもそうした見立てだった。
「小才はある様ですが」
「暗殺もしますか?」
ここで言ったのはゲーペだ。
「ゾルゲ大佐の手で」
「今は止めておきます」
カテーリンは首を横に振らなかった。
「ゾルゲ大佐には引き続き調査をお願いします」
「畏まりました」
「今は頃合を見て太平洋諸国に宣戦布告です」
これを優先させるというのだ。
「そうしましょう」
「わかりました」
全員がカテーリンに敬礼する、ソビエトは今は開戦の時を伺っていた、さながら獲物を狙う巨大な熊であった。
TURN91 完
2013・2・18
もっとあっさりいくかと思いきや。
美姫 「意外とごねたわね」
まあ、最終的には条件を飲んだけれどな。
美姫 「これでアステカ方面も無事に終わったわね」
いよいよ連合相手だな。とは言え、こっちは連合というよりも各個ずつ相手にできそうだが。
美姫 「確かにね。まずはソビエトからになりそうね」
だな。問題はソビエト戦の間にエイリスがどう来るか、かな。
美姫 「さてさて、どうなるかしらね」
次回も待ってます。
美姫 「待ってますね〜」