『ヘタリア大帝国』




                     TURN88  うぽぽ菌

 チリに戦略拠点を置いた枢軸軍はそこからアステカ深部に攻め込むことになった。
 だがこの際にだった。レーティアは難しい顔で津波に話すことがあった。それはというと。
「中南米の問題点だが」
「宇宙怪獣にハニワか」
「それだけではない」
 レーティアはそうしたことだけを見てはいなかった、ここにも彼女の視野の広さがある。
「ブラジルやアマゾンのことだ」
「どちらも熱帯だな」
 津波は久重の口から言った。
「キューバもそうだったfが」
「艦艇の中は冷暖房があるのでいいが」 
 基地の中もだ、その問題はなかった。
 だがだった。この問題があった。
「衛生管理だ」
「風土病の」
「どの星域にもあるが熱帯は風土病が特に多い」
「アフリカ南部然り」
「アマゾンもだ。風土病にも気をつけなくてはな」
「そういえばですよね」
 久重が自分の考えを述べた。
「マラリアなりデング熱なり」
「他にも多くある」
「ですよね、そういうのに気をつけないと」
「だからだ、未発見のものは患者が出てからだが」
「既に発見されているものは」
「全てチェックしてワクチンを開発しておいて」
 もうそうしているというのだ。
「事前の予防策も講じておいた」
「じゃあ風土病にも」
「万全の態勢を敷いた、全軍に伝えてくれ」
「わかった」
 今度は津波の言葉だった。
「それではな」
「戦争で問題になるのは敵だけではない」
「気候や風土病もまた」
「そうしたものに対策を講じてこそだ」
「万全に戦えるか」
「思えば東部戦線でもそうだった」
 ソビエトとの戦いもだった。
「あの国はほぼ全ての星域が極寒だ」
「それで防寒対策をした艦艇を建造した」
「あらかじめそうしていた」
 ソビエト戦の前にだというのだ。
「ソビエト侵攻は当初より計画していたからな」
「生存圏か」
「そうだ、北欧もそうだったからな」
 アルビルダの故国もそれで有名だ。
「防寒対策をしなければ戦えたものではない」
「ソビエト相手には」
「あの国は攻めることよりも守る方が得意だ」 
 ロシア帝国からの伝統だ、、その寒冷な気候を利用して戦ってきたのだ。
「その最大の楯が雪と氷だ」
「寒さそのものが」
「それならその楯を砕くまでだ」
 これもまたレーティアの考えだった。
「そう考えて対策を講じたのだが」
「しかしか」
「まずった、一人で全てを抱え過ぎたか」
 レーティアの反省点だ、過労で倒れたことをだ。
「私はそのことを見落としていた」
「ううん、難しい話ですよね」
 久重はここでまた自分の口で自分の考えを述べた。
「そこが」
「私は何でもしようと思った、だが体力のことをあえて無視してきた」
「他の人に任せられることは任せないと駄目なんですね」
「このことを見落としていたからだ」
 それでだったのだ。
「私はドクツを敗戦に導いてしまった」
「それは事実だ。しかしだ」
 また津波が語る。
「貴女は学んだな」
「ああ、よくな」
「失敗から学ぶことだ」
 これもまたレーティアが学んだことだ、失敗自体が学ぶことだということをだ。
「私もわかった」
「では今度は」
「同じ失敗は二度としない」
 レーティアのその顔が鋭くなる。
「絶対にな」
「ドクツに戻っても」
 それでもだというのだ。
「私には多くの者がいる」
「今もな」
「彼等により助けてもらいたい」
 レーティア自身だけでなく自分を助けてくれる仲間達のだというのだ。
「ドクツの為に」
「そうか。ならドクツに戻れば」
「あの時以上のことを果たしたい」
 立ち直ったレーティアは総統だった頃よりもさらに大きくなっていた、その放つオーラも違っていた。その彼女を見てだ。
 グレシアはにこにことしていた。そのうえでエルミーとドイツに話すのだった。
「もうね、今のあの娘ならね」
「無敵ですか」
「何も心配はいらないか」
「ええ、大丈夫なんてものじゃないわ」
 コーヒーを飲みながら話す。
「前よりも凄くなったし。それに」
「私達にどんどん任せてくれる様になりましたね」
「ドクツの頃は全て自分でやっていたが」
 まさに全てだった、だがそれがだというのだ。
「私達に出来ることは与えてくれています」
「それで自身の負担を軽減もしている」
「これは凄く有り難いことです」
「かえって全てがよくなっている」
「人間でも何でも頭だけでは動かないのよ」
 そうだというのだ。
「何度も言ってるけれど。あの娘もそのことをわかってくれたから」
「ではドクツに戻られても」
「あの頃とはさらに違うわ」
 レーティアが蘇らせたあの頃よりもだというのだ。
「凄い国になるから」
「そうですね。では」
「ドクツに戻った時は」
 目を輝かせて応じるエルミーとドイツだった。彼等もまた輝きをさらに増したレーティアを見ていた。だがそれと共にだった。
 グレシアはここで眉を顰めさせてこうも言ったのだった。
「ただ。ハニワ族だけれど」
「あの連中か」
「とりあえず邪でないことはわかったけれど」
「欲望に忠実過ぎるな」
「ええ、エロゲだの同人漫画だの」
 こうしたものがハニワ族の栄養なのだ。
「そういうのばかりだから」
「それでなのですが」
 エルミーも丸眼鏡の奥の目を曇らせている。コーヒーカップは両手に持っている。
「彼等は恐れ多くも総統まで、その」
「ええ、知ってるわ」
「宣伝相や私と絡ませたり」
「三角関係も多いわね」
「帝だったり」
 レーティアを様々に絡ませているのだ。
「エイリスのセーラ女王もありましたね」
「カテーリン主席もあるわよ」
「あれは。太平洋経済圏では表現の自由がありましても」
「何かね、流石にね」
「はい、本心を見透かされてる様で」
「全くよ」
 二人は本音を言った。
「あまり気持ちのいいものではありません」
「どうにかならないかしら」
「待て、本音が出ているぞ」 
 ドイツはその二人に突っ込みを入れた。
「二人共そうした考えなのか」
「まあそれはね。何ていうか」
「愛情といいますか」
「相手が男なら絶対に許せないけれど」
「まだ多少は」
 許せるというのだ、二人にとっては。
 だがどうしても許せないことがある、それがだった。
「男と絡ませたハニワは割るわ」
「一回殺します」
 本気の言葉だった。
「どうせ割ってもすぐにくっつくから」
「成敗しておきます」
「本気だな、その言葉も」
「勿論よ、祖国さんもね」
「協力して下さい」
「わかった、だが俺もだ」
 ドイツもこうしたことはだった。俯いてそのうえで呟く様にして漏らした。
「そうしたことは嫌いではない」
「祖国さん結構だからね」
 グレシアはドイツを温かいが何処かにやにやとした感じで見ながら話した。
「というか嫌いな人いないわよね」
「うむ、実際な」
「イタリア君のあのはっきりさもいいわね」
 グレシアはイタリアが好きなままである。
「枢軸でも一緒っていいわよね」
「はい、私もイタリアさんは好きです」
 エルミーもだった。
「この前デートに誘われましたけれど」
「あら、一回行ってきたら?」
 グレシアはエルミーを明るい笑顔で見て言った。
「面白いわよ、イタリア君とのデートは」
「まさか宣伝相も」
「この前一回一緒に買い物に行ったのよ」
 そうしたことをしてきたというのだ。
「一緒にパスタも食べてね」
「そうしたのですね」
「イタちゃんあれで奥手だから」
「そうなのですか?」
「そうよ。確かに女の子が好きだけれど」
 それでもだというのだ。
「奥手なのよ。キスもしないのよ」
「あいつはそうだ。実は奥手だ」
 ドイツもよく知っていることだ。
「だから俺も安心しているが」
「あと凄く弱いから」
 このことを言うのも忘れないグレシアだった。
「変なのが来たら自分で戦うか」
「逃げるかですか」
「その場合イタちゃんちゃんと手を握って逃げてくれるけれどね」
 流石に見捨てはしないというのだ。
「けれど戦力にはならないからね」
「市街戦もですね」
「そう、イタちゃんが強いのはスポーツ」
 戦闘は駄目だというのだ。
「あと妹さん達は強いからね」
「イタリアさんとロマーノさんはですね」
「滅茶苦茶弱いから安心してね」
 所謂安定の弱さだ、実際に。
 三人のところにそのイタリアが来た、見事に泣いている。
「ドイツーーーー、助けてよーーーー」
「今度は何があった」
 ドイツは腕を組み目を瞑ってイタリアに応えた。
「一体」
「さっき町でハニワ族の若い人に喧嘩売られてさ」
「負けたか」
「だってハニワって凄い強いんだよ」
 イタリアから見ればだ。
「御前弱いだろ、って喧嘩売ってきてだ」
「全く、そのハニワ族は何処にいる」
「今外で勝ち誇ってるよ」
 イタリアに勝ったからである。
「もう凄く強いから」
「今から行く、そのハニワには俺が注意する」
 いつも通りである、ドイツのこれもまた。
「全く、仕方のない奴だ」
「有り難うドイツ、助かるよ」
「礼はいい」
 いつものことだからだ。
「それならな」
「これがよさなのよ、イタちゃんの」
 グレシアは極めて温かい目でイタリアを見て言った。
「愛嬌があるのよ」
「私もわかってきました」
 エルミーもそのイタリアを見てグレシアに応える。
「イタリアさんのよさが」
「ロマーノ君もだからね。こういうのがいいのよ」
「いいとはあまり思えないが」
 ドイツはやれやれといった様子で席を立ちつつグレシアに述べる。
「だが少し行って来る」
「宜しくね」
 こうしたやり取りもあった、いつもの面々はやはりいつもの調子である。
 戦局も進む、そのアルゼンチン戦だった。
 ハニワも怪獣もさらに増えている、そしてだった。
「うぽぽ菌かよ」
「そうだね」
 南雲が田中に応える。
「今度はそれだね」
「何だよ、災害ばっかりだな」
「わかってたでしょ、ここは中南米よ」
「災害の宝庫だってんだな」
「そう、だからね」
 それでだというのだ。
「うぽぽ菌も普通にあるわ」
「ったく、台風にイナゴにな」
「それでこれね。揃ったわね」
「揃わなくてもいいのにな」
 田中は本音も出す。
「本当によ」
「同感だよ。けれどね」
「いるならか」
「戦うしかないよ、いいね」
「ああ、それじゃあな」
 枢軸軍はそのうぽぽ菌にも戦力を向けなければならなかった、問題はその戦術だった。
 レーティアがここで一同に言う。
「あの菌は熱に弱い」
「つまり熱消毒ですね」
「そう、それだ」
 まさにそれだとオーストリアにも答える。
「一気に焼き払うといい」
「わかりました。ではここは」
「ナパームだ」
 レーティアはまずはこれを出した。
「艦載機のナパームを打ち込めば効果はかなりある」
「では艦載機にナパームを搭載し」
「そしてビームだ」
 今度はこれだった。
「ビームの熱も効果がある」
「台風やイナゴの様なことはないのですね」
「だからだ、一気に攻めるべきだ」
「了解です、それでは」
「長官、そう思うがどうだろうか」
 レーティアはオーストリアに述べてから東郷に話を振った。
「うぽぽ菌に関しては」
「よし、ではそれで行こう」
 東郷もレーティアの提案に頷く。
「艦載機にナパームを搭載する」
「そしてビームもですね」
「そうだ」
 秋山にも言う。
「では行くぞ」
「わかりました」
 こうして戦術が決まった、まずはうぽぽ菌だった。
 大型空母から艦載機が放たれてだった、そうして。
 そのナパームで攻撃を仕掛ける、するとだった。
 うぽぽ菌全体に凄まじい勢いで炎が走る、それでだった。
 菌は瞬く間にダメージを受ける、次にだった。
 ビームで焼き払う、これでうぽぽ菌は退治された。
 だが敵はそれだけではない、彼等もだった。
「ホーーー!今だホーーーー!」
「攻撃だホーーーー!」
「そや、うぽぽ菌は迷惑やけどな」
 この星域の指揮官であるアルゼンチンも言う。
「ええ楯になってくれたわ」
「では今からホーーーー!」
「攻撃だホーーーーー!」
「総攻撃や!やったるで!」
 アステカ軍はうぽぽ菌を攻撃しそこに戦力を集中させていた枢軸軍に一斉攻撃を浴びせた、ハニワ達が攻める。
「ホーーーー!」
「ホーーーー!」
 ハニワ艦のビームが枢軸軍を撃つ、そのダメージはというと。
「結構効きますね」
「はい」
 秋山は今度は日本に応える。
「ハニワ族の攻撃も」
「しかもビームは効果がありません」
「それもまた厄介です」 
 主力兵器が効果がないのはというのだ。
「わかってはいますが」
「それがですね」
「そうです。ここは仕方ありません」
 攻撃を受けるしかないというのだ。
「鉄鋼弾攻撃までの我慢です」
「そうするしかないですね」
「バリアか」
 東郷は二人のやり取りから言った。
「そういえばエアザウナ等大怪獣もビーム攻撃だな」
「?長官それが一体」
「何かあるのですか?」
「大怪獣は艦隊単位ではなく戦隊規模で攻撃をしてくる」
 艦隊が幾つか集まって戦隊になるのだ。それが戦域で戦うのだ。
「それで幾つもの艦隊が薙ぎ倒される」
「多少のバリアでも」
 秋山はそうした大怪獣達のことを話す。
「効果がありません」
「そうだ、なら相当なバリアを容易すればいい」
「しかしバリア艦ばかりでは攻撃になりません」
「そこは考えてある。エアザウナが出ればな」
 その時にだというのだ。
「それを実行してみよう。、大怪獣対策をな」
「その時にですね」
「仕掛けてみる」
 こうしたやり取りも為される、ハニワのその強固なバリアを見てからのことだった。
 ハニワ、そして大怪獣とアステカ正規艦隊の攻撃が終わった、枢軸軍は何とかその攻撃を凌いだ、それからだった。
 東郷は攻撃を耐え切った全軍に告げた。
「よく耐えてくれたな」
「まあね」
 ランファが右目をウィンクさせてモニターから応える。
「生きてるわよ」
「それではだ」
「こちらの反撃ね」
「そうだ、仕掛ける」
 まさにそうするというのだ。
「今からな」
「わかったわ、それじゃあね」
「全軍攻撃だ」
 東郷は命じた。
「艦載機、そしてビームにだ」
「ミサイルと鉄鋼弾ですね」
 今度はリンファが言ってきた。
「それですね」
「既に鉄鋼弾で反撃はしている」 
 これで既にかなりのダメージも与えている。それに加えてなのだ。
「後は一気に攻めて終わらせる」
「それじゃあ艦載機出すあるよ」
 中国妹は機動部隊を率いているので言うのだった。
「それでハニワにあるな」
「宇宙怪獣だ。それを倒していく」
「わかったある」
 中国妹が応じそしてだった。
 香港もハニワ達を見て言う。
「段々やり方がわかってきた的な」
「ですね、アステカ帝国との戦いも」
 マカオもいる。
「何度も経ていますから」
「ハニワには艦載機的な」
「そして宇宙怪獣にはビーム」
「それから鉄鋼弾で止め的な」
「そんな感じですね」
「その通りね、じゃあ攻めましょう」
 ハニートラップも戦艦二隻と水雷駆逐艦達という編成だ、中国系の国家達の愛を受けた結果ここまでなっているのだ。
「結構やられたし、今回も」
「これは戦いの後でチリに戻って」
「一旦修理ね」
 j香港妹とマカオ妹が話す。
「それからブラジル」
「そうなるわね」
「大体順調だけれど」
「それでも安心が出来ないのよね」
「その通りある、時間が問題あるよ」
 中国妹がここでモニターから一同に言う。
「わかってるあるな」
「それですね、連合が何時再編成を終えるか」
「それ次第なのよね」
「アマゾンまで攻めたとするある」
 今いるアルゼンチン、ブラジルに続いてだ。
「そしてそこから前線に向かうのは一ヶ月、敵もそうあるが」
「三ヶ月ですね、最低で」
「その三ヶ月でも」
「連合も馬鹿ではないあるよ」
 中国妹は真剣な面持ちでマカオ妹と香港妹に応じながら他の面々いも話す。。
「今大急ぎで戦力の再編成をしているところある」
「それは間も無く終わるわよ」
 ハニートラップがむっとなった顔で話す。
「後数ヶ月でね」
「随分やられたけれどなのね」
「そう、それで結構手間取ってたけれどね」
 ハニートラップはその顔でランファにも話す。
「正直エロゲハニワ軍団の相手してる暇ないんだけれどね」
「若しアマゾンまでとなると最低で三ヶ月ですね」
 リンファは進撃計画を考えて述べた。
「あくまで最低で」
「そうよね、ダメージ受けた艦艇の修復もあるからね」
「ですから三ヶ月では」
「今回もあれじゃない、あのばい菌を焼くのはいいけれど」
 それでもだというのだ。
「その分向こうのハニワとかへの攻撃が出来ないからね」
「ハニワからのダメージは覚悟するよろし」
 中国妹もこのことを一同に告げる。
「宇宙怪獣なりもいるある」
「やれやれよね、まあ文句を言ってもはじまらないし」
 ランファは話をしても埒があかないと見てこう述べた。
「じゃあ攻めましょうか」
「では行くあるよ」
 中国妹はランファのその言葉に頷きモニターを通しての会話を止めた、そのうえでまずはうぽぽ菌への攻撃だった。
 うぽぽ菌はナパームですぐに焼き払われた、だが中国妹の予想通りに。
 うぽぽ菌への攻撃の分だけ敵への攻撃が出来なかったのは事実だ、そして敵であるアステカ軍もそこを衝いた。
「攻撃だホーーーーー!」
「覚悟するホーーーー!」
 ハニワ達が威勢よく攻める、そしてだった。
 枢軸軍はダメージを受ける、数が違っていた。
 それだけにダメージが大きい、これには東郷もこう言った。
「参ったな、これではな」
「ブラジルに即座に攻め入ることはですね」
「ああ、出来ない」
 軍全体の修理が必要だからだ。
「これはな」
「はい、残念ですが」
「残念でも修理はするしかない」
「応急修理も出来ますが」
 秋山はこのやり方も話す、だがそれはだったのだ。
「予算の関係で」
「今第八世代艦艇の開発と建造を行っているからな」
「アステカ帝国との戦いの後にです」
 つまり連合軍との戦いの時にだというのだ。
「主力艦隊全てに一気に配備しますので」
「そちらに予算を回しているからな」
「応急修理も出来ません」
 これが現実だった。
「チリに戻って最低でも一月です」
「痛い一ヶ月だな」
「残念ですが」
 勝利を収めてもだというのだ、東郷と秋山はアルゼンチン戦の後のことも考えていた、そのうえでの話だった。 
 だが戦いは続く、枢軸軍はうぽぽ菌に回さなかった分の攻撃も行いそうしてだった。
 鉄鋼弾も放つ、これで最初の応酬fが終わった。
 この次だった、東郷は全軍に話した。
「さて、これからだ」
「ああ、やってやるんだな」
「やられた仕返しだね」
「そうだ、今回の応酬で終わらせる」
 田中と南雲にも返す。
「幸い全艦隊生きていることは生きているからな」
「生きているけれど損害酷いよ」
 イタリアが大和のモニターに出て来て泣きそうな顔を見せる。
「俺結構やられたよ」
「俺もだよこの野郎」
 ロマーノも出て来て言う。
「ハニワ凄く強いんだけれど」
「全滅したらチリまで逃げるからな」
「そういえばイタリアさん達よく攻撃されますね」
 秋山はここでこのことに気付いた。
「何故でしょうか」
「そんなの俺が知りたいよ」
「俺が何したってんだよ」
「それでもいつも生き残っておられますが」
 全滅はしないのだ、確かによく攻撃を受けるが。
「災難ですね」
「イタリアってひょっとして被害担当?」
「そんな担当願い下げだぞ」
「挑発がある訳でもないというのに」
 秋山も真剣に思うことだった。
「妙なことです」
「まあその分他の艦隊の損害は減るがな」
 東郷は何気にその被害担当があるということをよしとも述べた。
「イタリアさんにはよくないことにしても」
「うん、凄く嫌だよ」
「だから交代しろ交代」
「まあそう言わないでくれ。とにかく今はな」
「はい、第二波攻撃です」
 秋山は東郷の顔を見てあらためて答える。
「まずは艦載機を放ち」
「ビームに鉄鋼弾にな」
「続けて攻めましょう」
「では全軍攻撃開始だ」
 その第二波攻撃をだというのだ。
「いつも通り行おう」
「了解」
「それでは」
 枢軸軍は東郷の言葉に頷きそうしてだった。
 その第二波攻撃に入る、この攻撃で大体のかたがつき。
 山下はすぐに日本兄妹に提案した。
「では今から」
「はい、陸軍と他国の陸戦隊の方々と共に」
「降下ですね」
「それにかかりましょう」 
 今ここでだというのだ。
「まだ敵は残っていますがこれ以上の戦闘は余計にダメージを出します」
「そうですね、それでは」
「今ここで」
 日本兄妹も頷きそうしてだった。
 日本陸軍と陸戦隊が降下し星域を占領した、それを見てアルゼンチンも降伏しこの星域での戦いは終わった。 
 アルゼンチンもまた枢軸に加わった、彼は屈託なく東郷達にこう話した。
「これから頼むで」
「はい、宜しくお願いします」
 日本は彼とは対象的に真面目に応える。
「それでは」
「まあこの戦争が終わってからな」
 ここでこう言うアルゼンチンだった。
「アステカがどうなるか気になるけれどな」
「こちらは即座に講和したいのだけれど」
 ハンナがアルゼンチンにこう申し出る。
「戦ってもあまり意味がないから」
「そっちの皇帝さんに言ってくれない?メキシコさんとキューバさんは独立したいって言ってるけれど中南米の土地は保障するってね」
 キャロルは講和での領土の条件を出した。
「あと賠償金も謝罪もいらないから」
「好条件やな」
「正直こっちはアステカと戦ってる暇ないから」
 連合の実情も言うキャロルだった。
「敵抱えてるのよ、連合をね」
「それなあ。俺はええんやけどな」
「そちらの皇帝さんがなのね」
「そや、それや」
 アルゼンチンは困った顔でキャロルに返す。
「こっちの皇帝さんはなあ。楽しいからやる人やからな」
「だからなのね」
「多分アマゾンまで、ひょっとしたらそっからもゲリラ戦仕掛けるかも知れんな」
「それは困りますね」
 クーはアルゼンチンの話を聞いて実際に困った顔になる。
「こちらとしては講和して太平洋経済圏に迎え入れたいのですが」
「まあなあ。ハニーさんはなあ」
「悪い人ではないんや」
 チリも一同にこのことを説明する。
「只のエロゲ、成人漫画好きの人や」
「楽しいことが大好きなだけでな」
 あくまでそうしただけの人だというのだ。
「ほんま悪気ないんや」
「そこはわかってや」
「それはわかったけれど講和は?」
 キャロルは眉を少し顰めさせてまたこのことを問うた。
「こっちはそれをしたいんだけれど」
「だから難しいんやって、それは」
「残念やけどな」
 アルゼンチンとペルーが答える。
「あの皇帝さんが飽きへん限りな」
「この戦い続くで」
「国益を考えると講和がいいわ」
 ドロシーもぽつりと述べる。
「けれどそれが出来ないのなら」
「アマゾンまで攻め込んでわからせるしかないか」
 ダグラスは難しい顔で強硬案を述べた。
「悪い奴を叩きのめすならともかく変な奴と訳のわからない戦いをするのはな」
「あまり気が進まないんだけれどな」
 キャヌホークも浮かない感じだ。
「まあハニワ族の素直なところは嫌いじゃないけれどね、俺にして」
「エロゲ好きは最高だ」
 ブラックホークはそこに共感を感じている。
「今も何度も語り合っているがな」
「ああ、俺はハニワの奴等が大好きだからな」
 ゴローンがそうならない筈がなかった、実際にこう言う。
「この国とは仲良くしたいぞ、エロゲもどんどん買うぞ」
「というか本当に講和したいのですが」
 日本も困惑した顔になっている。
「アステカ帝国とは」
「一応ブラジルと話すか?」
 アルゼンチンがここでこう提案する。
「あいつがアステカの中心国やしな」
「そうですね。出来れば」
「けどな、ハニーさんって人の話聞かんしな」
 これもハニーの問題点である。
「特に楽しむことについてはな」
「何処まで面倒な奴なんだよ」
 フランスが横で聞いて呆れていた。
「というかよ、ここであれこれやってる間に冗談抜きで連合が来るからな」
「こっちは何とか講和したいけど」
 アイスランドも同じ考えだ。
「ハニーさん捕まえて講和のサインしてもらうとかは」
「そう簡単に捕まる人ちゃうで」
 メキシコがこのことを話す。
「捕まっても縄抜けとか脱獄とか得意やで」
「ほんなごつ面倒な御仁でごわすな」
 オーストラリアも難しい顔である。
「そこまで面倒な人他にはいないでごわす」
「全くばい、この戦争が長くなるのは当然ばい」
「そうだよね」
 ニュージーランドとトンガも暗い顔にならざるを得なかった、そうした話をしつつ。
 枢軸側が思う様に講和出来なく困惑していた、勝利を収めてもそれでもだった。
 講和には至っていない、アルゼンチンは手中に収めたが戦いはまだ続く。
 このことに宇垣も難しい顔である、それで東郷にこう提案したのである。
「わしが乗り込んで直談判してこようか」
「いえ、それもです」
「無理か」
「それで話が済むのならとっくに話が収まっています」 
 東郷はこう宇垣に返す。
「あそこの皇帝さんは違いますから」
「全くだ、考えてみればわしはどうもな」
 宇垣も難しい顔で述べる。
「常識派には強いがな」
「変態にはですね」
 山下がここで言う。
「弱いと」
「どうも苦手だ、こいつにしてもな」
 東郷も見て言う。
「やりにくい」
「俺はそんなにですか」
「そうだ、御前も常識がないからな」
「ははは、型にははまらないですから」
「都合のよい解釈だな、しかしだ」
「あそこの皇帝さんにはですね」
「考えてみれば相手にしにくい。ではだな」
 宇垣もここで諦めることになった。
「直談判もだな」
「難しいです」
「全く、これ程難しい相手はないな」
 こうして宇垣の直談判もなくなった、結局アステカとの戦いは続くことになった。
 そして今度はだった。
 ブラジル戦となった、だがその前に。
 ダメージを受けた艦隊はチリに戻しそしてだった。
 修理に入る、だがその艦隊がというと。
「思ったよりダメージが大きいぞ」
「全くあるな」
 アメリカと中国はチリに戻っている艦は大破、中破しているものが多い。それではだった。
「一ヶ月では済まないな」
「二ヶ月、下手したら三ヶ月あるぞ」
「ううん、時間が問題になってきたな」
「どうするかあるな」
「ああ、それだけれどね」
「私達に考えがありますが」
 ここで出て来たのはキャロルと平良が言ってきたのだった。
「キリング財閥の修理班呼ぶけれど」
「支援団体がいますので」
「皆を使えば一月よ」
「それで回復出来ますが」
「そういえば君達がいたな」
「今まで忘れていたあるよ」
「いえ、忘れるものではないと思いますが」
 平良はアメリカと中国の今の言葉に少し呆れた顔になって突っ込みを入れた。
「実際に私は彼等にかなり助けられています」
「というか何で祖国ちゃんが忘れるのよ」
「ははは、最近忙しくて忘れていたぞ」
 笑ってこれで済ませるアメリカだった。
「しかしこれで思い出したからな」
「全く、しっかりしてよね」
「とにかくです」
 平良はあらためて話す。
「一月で修理を出来ますので」
「ここはお任せして頂けますか」
「ああ、じゃあ頼むぞ」
「それではある」
 二国が頷きそうしてだった。
 チリに戻った艦隊は一月で修理が為された、こうしてブラジル侵攻は一月のタイムラグで済んだ、東郷はこのことについてキャロルと平良に言った。
「済まないな、お陰で助かった」
「いえ、お気遣いなく」
 平良は謹厳な調子で返した。
「公のことですので」
「あんたにしたことじゃないしね」
 キャロルはむっとした顔だった。
「だからお礼なんていいわよ」
「ははは、そう言うか」
「そうよ、あたしは祖国ちゃんや枢軸の皆の為には動くけれど」
 それでもだというのだ。
「あんたの為には何もしないからね」
「キリング長官、今のお言葉は」
 平良は感情を出すキャロルに言う。
「あまりにも」
「失礼だっていうの?」
「ガメリカ国務長官として日本帝国海軍相に申し上げる言葉ではないかと」
 こう言ったのである。
「幾ら何でも」
「それはそうだけれどね」
「はい、お言葉を選んで頂ければ」
「わかったわよ、じゃあね」
「はい、宜しくお願いします」
「とにかく、一月で話が済んだから」
 キャロルはこのことをまた言った。
「それでじゃあね」
「ああ、すぐにブラジルだ」
 東郷は戦略のことを話した。
「いよいよ敵の最深部だな」
「ブラジルでもうちのスタッフ用意しておくからね」
「憂国獅子団の有志達も」
 だからスムーズに進めると話してだった。ブラジルへの侵攻は即座に進められた。
 だがここでだった。平良はキャロルが去って、東郷にあからさまな嫌悪を見せてから去ったのを見てそれからだった。
 東郷に対してそっと囁いたのだった。
「お話は聞いていますが」
「隠してないしな」
「こうしたことをお話するのは好きではありません」
 謹厳な平良はこのことを断ってから述べた。
「ですがあえて言わせて頂きます」
「別にそこまで言わなくていいがな」
「それでもです、それでなのですが」
「ああ、あのことだな」
「キリング長官は海相の奥方の妹君でしたね」
「そうだ」
 まさにそうだと返す東郷だった。
「あの娘は俺の義理の妹になる」
「奥方のことですが」
「もう死んでいる」
 東郷はあえて表情を消して述べた。
「諦めているさ」
「事故でしたね」
 嫁いだ日本から祖国ガメリカへの里帰りの時だ、実家であるキリング家の方からどうしてもと言われてなのだ。
「あのことは」
「残念だった、本当に」
 東郷はここでも表情は見せない。
「生きていて欲しいがな」
「そうですか」
「あの娘にとって俺は姉を奪い死なせた男だ」
「そうなるからですね」
「俺を嫌っている」
 このことを確信している言葉だった。
「だからあの態度だ」
「難しい話ですね、これは」
「公を優先させる 分別があるからいいがな」
「ですが長官にとっては」
「構わない、誰からも好かれることは無理だ」
 どれだけのカリスマの持ち主でもだ、レーティアにしても国外では彼女を嫌っている者もいる、エイリス等がだ。
「だからな」
「構いませんか」
「特にな」
「長官がそう仰るのならいいのですが」
 平良も言うことではなかった、それで言ったのである。
「ではその様に」
「ああ、それでな」
 ここで東郷はこうも言った。
「最近韓国さんはどうだ」
「御覧になられた通りですが」
「いや、そういじゃなくてな」
「といいますと」
「起源の主張はどうだ」
「そのことですが」
 平良は難しい声で述べるのだった。
「どうも」
「相変わらずか」
「私も謹言しているのですが」
 それでもだというのだ。
「中々なおして頂けません」
「あの人の癖だからな」
「困ったものです」
「仕方ないな、人も国家も一瞬では変わらない」
 そうそうおいそれと何でも変わるものではないというのだ。
「だからな」
「根気よくですね」
「そちらは任せる、韓国さんのことはな」
「さすれば」
「台湾さんの方はかなり順調みたいだがな」
 福原が軍事顧問を務めているそちらはというと。
「政治も経済もな」
「日増しに発展しているとか」
 韓国もそうだが台湾はそれ以上にだというのだ。
「台湾人も頑張っている様です」
「元々高砂人が強かった」
 台湾の元々の現地民である。台湾は他には中帝国からの移住者も多い。
「そして根気よく生真面目だからな」
「その国民性が大きく影響していますね」
「そういうことだな。太平洋は全体的によくなってきている」
 それも飛躍的にだ。
「特にあの総統さんが入ってからな」
「レーティア=アドルフ総統ですね」
「伊達に人類史上最高の天才だった訳じゃない」
 そこまで言われている訳ではないというのだ、ただ単に。
「政策も発明も全く違う」
「兵器も第八世代にまで発展し」
「コストもかなり軽減された」
 開発及び製造システムの合理化、兵器製造施設の発展によりだ。
「全く別になった」
「それもまた大きいですね」
「日本の資源も発見された」
 そのせいで日本の国力もあがったのだ。
「何もかもがな、だが」
「だが、ですか」
「あの総統さんはやがてドクツに戻る」
 枢軸側が勝てばだというのだ。
「その時のドクツは再び雄飛する」
「間違いなくそうなりますね」
「戦後の欧州はドクツが軸になる」
 ヒムラーと同じ見立てではある、だがヒムラーのそれが自分自身の願望であり主観的に考え行動しているのではなく東郷は外から客観的に見て述べている。
 それでだ、東郷はこう言えたのだ。
「我々にとって重大な脅威になるかもな」
「太平洋にとって」
「出来れば融和したい」 
 東郷は戦後のことも平良に話した。
「対立をすれば厄介だ」
「戦争はしないに越したことはない」
 平良は帽子の奥で呟いた。
「そういうことですね」
「ああ、対立より融和の方が消費するエネルギーは少なく得られるものが多い」
 今度は消費の話だった。
「そういうものだからな」
「その通りですね、それでは」
「今は彼女に助けてもらう、だが勝利の後は」
「我々がどちらを選ぶかですね」
 これはレーティアもだった、レーティアもまたブラジルへの出撃の前にドイツ達に話していた。
「戦後どうするかだ」
「ドクツに戻ってからですか」
「そうだ、ドクツの国民達が私を受け入れてくれればのことだが」
 亡命して彼等を見捨てたという考えがよぎっての言葉だ。
「私をもう一度選んでくれたその時は」
「是非共ですね」
「ドクツを再び立ち上がらせる」
 こうオーストリアに話す。
「必ずな。そしてドクツは欧州の中心になる」
「で、そっからどうするんだ?」
 プロイセンが尋ねる。
「欧州の盟主になってな」
「そのことか、二つの選択肢fがある」
 やはりレーティアもわかっている、そのうえでの言葉だった。
「太平洋経済圏とな」
「対立か融和か」
 ドイツが呟く。
「どちらかだな」
「その通りだ、欧州はどちらを選ぶべきか」
 鋭い目になっての言葉だった、レーティア独特の自信に満ち全てを見抜いたその目を鋭くさせての言葉である。
「それが問題だ」
「向こうもどう考えるかだよな」
 プロイセンは太平洋側のことも話した。
「日本帝国とかがな」
「彼等とは今は友好的です」
 オーストリアはこのことを指摘した。
「互いに協力し合えています」
「彼等は優秀だ」
 レーティアも当初の見方を変えている、大きく上方修正しているのだ。
「そして心よい者達だ」
「それを考えれば問題ないが」
「しかし外交は国益だ」
 レーティアはドイツにこのシビアな現実を指摘した。
「それ次第で対立も有り得る」
「それ故にか」
「我々も対立する可能性がある、このことは念頭に入れておこう」
「それで総統さんはどっちを選びたいんだよ」
 プロイセンは真剣な面持ちでレーティアに尋ねた。
「日本達と戦うか?それとも仲良くしたいのか?」
「融和だ」
 レーティアが考えている外交はこちらだった。
「対立は労多く実が少ない、だからだ」
「仲良くしたいんだな」
「そうしたいが。対立した場合のことも考えておく」
 その時もだというのだ。
「あらゆるケースを考えるのが政治だからな」
「だからこそだな」
「祖国君達にはあらかじめ言っておく。ハッピーエンドはない」
 ドイツ達にこうも言った。
「勝利で終わらずそれからも続くのだ」
「それからが大事か」
「その通りだ」
 こう言ってそのうえでだった。
 レーティアは将来のことを考えていた、今の戦争を行いながらそのうえで将来のことも考え動いているのだった。


TURN88   完


                           2013・2・12



災害だらけだな。
美姫 「本当にこうも次から次へとって感じでね」
時間が欲しいというのにな。
美姫 「枢軸にとっては本当に頭が痛いでしょうね」
それでも、被害から考えると一ヶ月のロスで済んだのは良い方だな。
美姫 「その辺りは枢軸として戦力が拡大したお蔭よね」
レーティアとかは今だけじゃなく、先の事も考えているけれど。
美姫 「ともあれ、アマゾンまではもうすぐね」
気になる次回は……。
美姫 「この後すぐ!」



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