『ヘタリア大帝国』




                        TURN49  騎士と海賊

 ネルソンは日本の御所に入った。東郷や日本達と共に。
 それまでに日本や太平洋の市街や農村も見学した。そしてこう言っていた。
「多くの国の人間が肌や目の色に関係なく」
「ああ、勿論階級もない」
「インドさんのところにはカーストがありますが」
 東郷と日本がそのネルソンに応える。
「どの国も独立して対等の関係で参加している組織だからな」
「国民の方も同じです」
「貴族もいないのですね」
「ない」
 東郷が断言で答える。
「さっきも言ったが階級自体がだ」
「ないからですか」
「勿論市民の等級もない」
 エイリスの植民地にあったそれもだというのだ。
「全員同じだ」
「平等ですか」
「誰もが教育を受けられて権利が保障されている」
 東郷はこのことも話した。
「要するにどの国も主権国家になった」
「そしてそこにいる国民の権利も」
「保障される様になった。植民地ではないからな」
「最早植民地ではない」
「提督はどう思っていたんだ?植民地については」
 東郷は自分の話から思索に入ったネルソンにこう問うた。
「エイリスの国是でもある植民地については」
「反対ではないです」
 ネルソンは東郷の問いに正直に答えた。真面目な顔で。
「しかしです。植民地において行なわれていたことについては」
「反対だったか」
「植民地での貴族の腐敗は本国以上のものでした」
 女王の目が届かないからだ。必然的にそうなっていたのだ。
「そして植民地の民に階級を設けることも」
「反対だったんだな」
「女王陛下、先代のエルザ様もそうでしたが」
 二代に渡っての話になる。
「植民地のそうした状況については大規模な改革を考えておられましたが」
「難しかったか」
「先の大戦でのエイリスが受けた傷」
 それは決して軽いものではなかった。世界帝国としてのエイリスの地位は先の戦争でのダメージから揺らぎだしていたのだ。
「エルザ様はそれを癒すことに必死であられましたし」
「それで今の女王様になってもか」
「ようやく大規模な改革に取り掛かろうとした時に」
「今の戦争がはじまったんだな」
「それで今に至ります」
 ネルソンは無念そうに述べる。
「私も東方に来てです」
「そのことを知ってか」
「はい、あらためて」
 ネルソンは元々東方に縁がある。それで植民地の貴族達の腐敗は知ってはいた。だがそれでもだったのだ。
「腐敗はより進んでいました」
「それが今だったんだな」
「そうです。あのままではエイリスの植民地は全て腐敗し壊死していたでしょう」
 そこまでだったというのだ。エイリスの植民地の腐敗は。
「おそらくこの戦争が終われば」
「まあアラビアまではどちらにしてもな」
「独立していましたね」
「そうなっていただろうな」
「では今の状況は必然」
 ネルソンは言った。
「そうなります。ただ」
「それでもか」
「はい、日本の侵攻でその独立がただエイリスから独立するよりも遥かに順調に進んだと思います」 
 そうなったというのだ。
「ただ独立戦争になったりソビエトの介入を招くよりは」
「ソビエト、あの国か」
「ソビエトは全世界を共有主義にしようとしています」
 このことはエイリスでもよく認識されていた。エイリスにとっても共有主義は恐るべき敵であるのだ。同盟国であっても。
「共有主義が東方に紛れ込めば」
「ああした国がどんどん出来る可能性もあった」
「それは恐ろしい騒乱の種になったでしょう」
「しかしか」
「はい、l貴方達が入ったことにより」
 ネルソンは東郷に応えながら日本にも話す。
「それが大きく変わりました」
「そうなったな。結果的に」
「貴方達は太平洋経済圏をスムーズにはじめました」
 武力を用いてだがやはり結果としてそうなったというのだ。
「非常にいいことに」
「そのことは評価してくれるか」
「はい、しかしです」
 だがそれでもだというのだ。ネルソンの口調と表情が少し変わった。
「だからといってです」
「こちらに入ることとは別か」
「私はエイリスの騎士提督です」
 彼を彼たらしめている絶対の誇りの拠り所だ。
「それならばです」
「忠誠心は変わらないか」
「私は女王陛下の騎士です」 
 やはりこう言うのだった。
「だからこそ」
「入らないか」
「決して。しかし」
「しかしか」
「若しもこのはじまろうとしている平和が共有主義に乱されるならば」
 ネルソンは共有主義もまた主な敵に置いていた。
「私もまた」
「戦うか」
「ガメリカや中帝国も太平洋経済圏に入りたがっているとか」
「入りたいどころかな」
「彼等がこの経済圏の盟主になりたいですね」
「ああ、我が国とあの二国の戦いは太平洋の主導権争いだ」
 東郷ははっきりと言い切った。太平洋における戦争の本質を。
「我々としては各国の地位は平等でな」
「日本がリーダーにしてもですね」
「指導的な国は必要だからな」
 どの組織においても言えることだが太平洋経済圏においてもそれは同じだというのだ。だから日本がリーダーだというのだ。
「しかし支配するつもりはない」
「各国をですね」
「融和路線だ。要するにな」
「我々は支配するつもりは毛頭ない」
 山下も毅然とした声で言う。
「それは我が国の国是に反する」
「日本の国是ですか」
「八紘一宇と言うべきか」
 山下の口からこの言葉が出された。
「つまりどの国ともだ」
「対等の立場で融和的にですか」
「交流をしていくのだ」
「理想論ですね」
 ネルソンは山下から聞いた日本の考えをまずはこう言い捨てた。
「そうしたことはとてもえす」
「できないというのですね」
 今度は日本がネルソンに応えた。
「そう仰るのですね」
「はい、そうです」
 その通りだとだ。ネルソンは日本にも答えた。
「厳しいことを言わせて頂きますが」
「そう言われるとは思っていました」
「それこそ我が国の様に植民地にしていくか」
 ネルソンはまずはエイリスのやり方から話した。
「ガメリカや中帝国が考えている様な」
「独立はしてもらってもですね」
「盟主として君臨し自分達が主導していくか」
 実際にガメリカと中帝国はそう考えていた。日本はその場合ソビエトへの番犬にするつもりなのだ。彼等が盟主となり。
「ファンシズム、ソビエトの実態もそうでしょうが」
「全ての国を統一して、ですね」
「ああして絶対の統治をするかです」
「一人の独裁者が全てを治める」
「その三つしかありません」
 ネルソンはこう断じた。
「日本が行なっている対等な国同士での経済圏はです」
「成り立ちませんか」
「各国がそれぞれ好きなことを言うだけです」
「実際に各国で意見の相違もあります」
「特に今度ガメリカや中帝国を入れればどうなるか」
 ネルソンはその可能性は殆どないと思いながらこの仮定を話した。
「日本が勝ち」
「あの二国はどちらにしても太平洋経済圏に欠かせません」
「そうですね。あの二大国が入らなければ」
「本当の意味での太平洋経済圏ではありません」
「しかしあの二国の我はあまりにも強いです」
 エイリス人であるネルソンから見てそれは忌々しい、目に余る程だった。彼等は本音、しかもあからさまに見せているそれはエイリスを世界帝国から引き摺り下ろそうとするものに他ならないからだ。
「彼等の意見も聞かれるのですか」
「はい、勿論です」
 日本はネルソンの問いにはっきりと答えた。
「その場合もです」
「それでは経済圏は停滞します」
 ネルソンもまたはっきりと言った。
「そうならない筈がありません」
「ガメリカと中帝国により、ですね」
「彼等は何としても我を通そうとします」
 こうも言うネルソンだった。
「それならばです」
「確かにあの方々は我を通されようとされるでしょう」
 日本もわかっていた。伊達にこれまであの二国と付き合ってきた訳ではない。
「しかしです」
「それでもですか」
「あの方々も参加してもらってです」
 そしてだというのだ。
「共にやっていくべきなのです」
「本当に理想ですね」
 ネルソンはこの場ではこの言葉は否定として扱う。肯定は現実だった。
「あの二国は違うというのに」
「ですが対策も考えていますので」
「現実もですか」
「はい、それもまた」
 考えているというのだ。それもまた。
「全ての国がおられます。私達三人だけでなく」
「その全ての国で話をすればですか」
「時として合従連衡にもなるでしょう」
 経済圏の中でそうなることも頭の中に入れていた。
「しかしそれでも話し合っていってです」
「経済圏を動かしていきますか」
「そのつもりです」
「既にインドが入っています」
 ネルソンはこの国の名前も出した。
「主要な、指導的な国は四国ですね」
「そうなるというのですね」
「日米中印です」
 やはりこの四国だった。確かにこの四国は太平洋経済圏の中で他の国と比べて国力が隔絶としていた。
「その四国だけでなくですか」
「各国でお話をしてです」
 日本がリーダーだとしても君臨することなく、言うならば議長として話をしていくというのだ。
「そうしていきます」
「各国の会議の場を設けてその都度ですか」
「進めていくつもりです」
「確かに理想でしかありません。ですが」
「ですが?」
「一度貴方達の国家元首である帝とお会いしたいです」
 ネルソンは結論を置いてこう言った。
「そのうえで、です」
「お考えになられますか」
「理想は時として妄想になってしまいます」
 やはり現実的に話すネルソンだった。
「しかし理想がなければです」
「駄目だと仰るのですか」
「私もまたそうです」
 何処か自嘲が入った微笑みになってだ。ネルソンは日本に述べた。
「騎士道というものは」
「騎士道ですか」
「実際にそれを守り実戦していた者は殆どいません」
 そうした意味で騎士道もまた理想だというのだ。
「殆どの者が植民地の貴族の様に」
「腐敗していたのですか」
「ああして横暴と腐敗を極めていました」
 それが現実だというのだ。
「実際にはです」
「そうだったのですか」
「武士道は違う様ですが」
 ネルソンや日本に山下、それに東郷も見て言う。
「貴方達の場合は」
「いえ、それは」
「私はそうは思いません。特に山下元帥ですね」
「私か」
「見事な武人です。エイリスにここまでの方はおられません」
 そこまでだというのだ。山下の武士道は。
「武士道もまた理想ですね」
「そうだな。確かに理想だ」
「しかしその理想があるからこそ」
 それ故にだというのだ。
「人は高みを目指すことができます」
「そしてそれはですか」
「国家も同じでしょう」
 国家同士のつながりもだというのだ。
「だからこそです。一度です」
「帝を会われますか」
「その理想が建前の可能性もあります」
 国家元首がどう考えているかでそれも変わるというのだ。
「ですから」
「それではですか」
「一度お会いしたいです」
 ネルソンはまた言った。
「そしてお話を聞きたいです」
「では」
 こうした話をしてだった。ネルソンは東郷達と共に帝のいる御所、完全に和風のそこに入った。しかしだった。
 いきなり眼鏡をかけたメイドに会ってだ。こう言われたのだった。
「貴方がネルソン提督ですね」
「そうですが」
 そのメイドが放つオーラに何とか負けまいとしての返事だった。
「貴女は一体」
「私は帝の侍従長のハルでございます」
「ハルさんですか」
「以後お見知りおきをただ」
「ただとは」
「くれぐれも帝に失礼のないようにお願いします」
 こう言ってきたのだ。ネルソンに対して威圧感を放ちながら。
「宜しくお願いします」
「わかりました。それでは」
「エイリスの騎士提督とのことなので失礼はないと思いますが」
 ハルは言いながら東郷をちらりと見た。そして言う言葉は。
「海軍長官の様なことは何があろうともです」
「決してですか」
「はい、そうです」
 ハルは東郷を睨みながら言う。
「くれぐれも粗相のない様に」
「承知しております。それでは」
 こうした応対が行なわれた。しかしだった。
 ネルソンは忠告をしてから去るハルの後姿を見送ってからこう日本達に小声で問うた。完全に和風だがそこだけ欧風の彼女を見て。
「あの方はまさか」
「ハルさんですね」
「恐ろしい方なのでは」
「はい、確かに」
 日本は否定しなかった。
「帝への絶対の忠誠心を持った方です」
「絶対ですか」
「微塵も揺らがないまでに」
 それがハルの忠義だというのだ。
「そうした方なので」
「だからこそですか」
「帝の御前での不埒な行いは誰であろうとも」
 まさに誰であろうともだというのだ。
「容赦されない方です」
「やはりそうですか」
「とにかく凄い方です」
「日本にはああした方もおられるのですね」
「そうですね。いざという時に非常に頼りになる方です」
 こうも評する日本だった。
「あの方がおられればこそです」
「宮中は保たれているのですね」
 その秩序がだった。
「成程、日本には人が多いですね」
「ははは、買い被りじゃないのか?」
 東郷が笑いながら応える。
「それは」
「いえ、そうではありません」
「人は多いか」
「はい、かなり」
 ネルソンの見立てではそうだった。
「ではこの国の帝も」
「待っていた」
 ここで柴神が出て来た。
「では行こう」
「はい、それでは」
 山下が陸軍の敬礼で応える。ネルソンは山下のその敬礼を見ても言う。
「日本では陸軍と海軍で敬礼も違いますね」
「そうだ。海軍は肘を折るがな」
「陸軍では違いますね」
「陸軍は基本的に艦内にはいない」
 柴神はその事情をネルソンに話す。
「外で戦うからな」
「だからですね」
「肘を折らない敬礼になる」
 それが陸軍の敬礼なのだ。
「山下長官はそれをしたのだ」
「そういうことですか」
「そうだ。そしてだ」
 柴神はさらに話す。
「貴殿の敬礼だが」
「エイリス軍の敬礼ですか」
「それは海軍のものだな」
「エイリス軍では軍は分けられていません」
 分けられているのは日本だけである。
「ですから敬礼は一つです」
「そうだったな」
「むしろ陸軍と海軍に分けられている方が」
 ネルソン自身もこのことについて言及する。
「稀かと」
「我が国だけだな」
「他の太平洋諸国の軍もですね」
「分けられている国はない」
 やはりそうだった。
「我が国だけだ」
「それが日本の特色になっていますね」
「陸軍は海軍とは違う」
 山下の方からこの言葉が出た。
「惑星に降下し己の身体で戦う、まさに武士なのだ」
「陸戦隊ですね」
「陸軍なくして決めることはできない」
 戦局をだというのだ。
「海軍には逆立ちしてもできないことができるのだ」
「おやおや、利古里ちゃんのいつもの言葉だな」
「その名で呼ぶな」
 山下は東郷の軽い調子の返しにきっとした目で返した。
「山下と呼ぶのだ」
「そう呼ぶと素っ気無いからな」
「素っ気無くともいいのだ。私は武人なのだ」
 心に刀を構えての言葉だった。
「貴様の様にちゃらちゃらとした輩と一緒にするな」
「これは手厳しい」
「手厳しいのではない。当然のことだ」
「ううむ。どうやら」
 ネルソンは二人のやり取りを聞いてからそっと日本に囁いた。
「お二人は。いえ、日本の陸軍と海軍は」
「あまり仲がいいとは言えません」
 日本はやや困った顔でネルソンに答えた。
「頭の痛いところです」
「軍服も違えば食事も違う」
 柴神もそのことについて話す。
「国家の両輪だがな」
「それでもですか」
「関係はよくはない」
 柴神も認識していることだ。それもよく。
「どうにかしたいとは思っている」
「左様ですか」
「エイリス軍にはこうしたことはあるだろうか」
「陸軍と海軍の対立はないですが」
 一つの軍だからそれはある筈はなかった。
「しかしそれでもです」
「対立はあるか」
「対立がない国家なぞないでしょう」
 ネルソンはよくわかっていた。国家、いや組織というものはその内部においても必ず対立があるものだということを。
 それでだ。ネルソンも言うのだった。
「武官と文官の対立でしょうか」
「文武のか」
「私も貴族ですが」
 エイリス貴族の中でもかなり上位に位置している。
「武官、騎士です」
「騎士ならばか」
「そうです。女王陛下と祖国殿に絶対の忠誠を持っています」
「それがエイリス軍人だな」
「エイリスの武はエイリスの誇りでもあります」
 ネルソンはこの自負も見せた。絶対の誇りがそこにあった。
「しかし。戦わない者達はです」
「あの腐敗した貴族達か」
「文官の全てがそうではないですが」
 流石に文官の貴族達全てがそうではないというのだ。だが、だった。
「しかしそれでもです」
「エイリスの文官は腐敗しているか」
「己の利を貪り搾取をしているだけです」
「植民地でのことだな」
「そうしてきています。その彼等との対立があります」
「民を搾取jするなぞ言語道断だ」
 山下の最も忌み嫌うことの一つだった。彼女の信条は弱きを助け強きを挫くだからだ。そして義を見せせざるは勇なきなのだ。
「断じて許さん」
「だからといって成敗されようというのは」
 日本がその山下に注意する。
「平良さんや福原さんもですが」
「やり過ぎだというのだな」
「不正は調べその都度糾弾しています」
 それでエイリス貴族の植民地での利権は全て潰してもいっている。
「ですからそうしたことはです」
「慎まねばならないというのだな」
「そうです。さもないと不要な怪我をしてしまいます」
 かつての平良がそうなった様にだというのだ。
「ですから絶対にです」
「わかっている。だから今はだ」
「長官が成敗される必要はありません」
 厳格で正義感の強い山下への言葉だ。
「くれぐれもお願いします」
「これからもだな」
「はい、その様に」  
 日本は山下にこう注意もした。そうした話をしながらだった。 
 一行は帝の御前に出た。勿論伊藤に宇垣も一緒である。
 日本妹もいる。日本帝国の主だった面々が集まりその上で帝の御前にいた。
 暫くして帝が来た。そしてこう一同に言ってきた。
「皆さん、では今日の会議ですね」
「はい、その議題ですが」
 首相であり議長役でもある伊藤が応える。
「ここにエイリス軍の提督を案内させて頂きました」
「そちらの方ですね」
「お初にお目にかかります」
 ネルソンは慣れないながらも丁寧な正座から頭を下げてそのうえで帝に挨拶をした。その動きは実に礼儀正しい。
「エイリス軍大将、騎士提督ヴィクトリー=ネルソンです」
「あっ、凄いイケメンですね」
「えっ!?」
 ネルソンは帝の今の明るい言葉に思わず声を出した。
「今何と」
「ですから。素晴らしい美男子だと」
「あの、今ここは」
「ああ、帝ちゃんはいつもこうなんだよ」
 東郷は帝の御前でもいつもの調子だった。明るく砕けた調子で驚きを隠せないネルソンに言ったのである。
「飾らないんだよ」
「飾らないというよりは」
「帝らしくないっていうんだな」
「マリー様の様です」
 エイリス王室のムードメーカーである彼女に通じるものがあるというのだ。
「これは」
「あの王女さんのことは有名だな」
「飾らず利発的な方です」
 ネルソンは何気にマリーを褒める。
「セーラ様とはまた違った素晴らしさを持っておられます」
「その王女さんと似てるか」
「私の見たところ」
 そうだというのだ。
「そうですか。この方がですか」
「我が国の国家元首であられる帝という訳だ」
「そうなのですね。それでは」
「今回私の前に来てくれた理由ですが」
 帝はあらためてネルソンに言う。微笑みと共に。
「あのことでしょうか」
「はい、貴国は太平洋経済圏を築かれましたね」
「その通りです」
 帝は微笑みと共にネルソンに答えた。
「その議長国を務めさせてもらっています」
「議長ですか」
「戦争中は我が国ですが」
 非常時、戦争中なのでそこは変えられなかった。指導者が頻繁に変わる様ではまともな指導ができないからである。
「戦争が終わればです」
「議長国は変わるのですね」
「一年ごとに変わります」
 そうなるというのだ。
「各国の持ち回りになります」
「ではやはり貴国は」
「太平洋を征服、統治するつもりはありません」
 帝はネルソンにこうも答えた。
「太平洋は皆のものですから」
「だから植民地もですか」
「ありません。韓国さんと台湾さんにも独立してもらいました」
「主権国家同士の経済圏ですか」
「関税同盟や軍事同盟でもありますが」
「言うなれば共同体でしょうか」
「いえ、太平洋各国はそれぞれ文化や経済規模、システムでかなりの違いがありますので」
 それでだというのだ。
「緩やかな国家連合になるでしょうか」
「それが太平洋経済圏ですか」
「そうです」
「それではまともに機能するかどうか疑問です」
 ネルソンはここでもエイリスの植民地主義から話した。
「指導国も一年ごとに交代するのは」
「疑問ですか」
「どうしても大国主導になるでしょうが」
 日米中、それにインドであることは言うまでもない。
「そうした平等主義は理想論です」
「そうですね、しかしです」
「あえてその理想をですか」
「実現したいと思っています。そして実際に」
「実際にですか」
「各国にインフラ投資や経済援助を行なっています」
 そうしているというのだ。
「新しく内相に就任した五藤ミナキさんにお願いしています」
「今彼女は出張でここにはいないがな」
 伊藤がこの事情を話す。
「頑張ってくれている」
「そして民間レベルでの相互交流も深めています」
 また話す帝だった。
「そのうえで少しずつですが」
「相互理解も深めていますか」
「そうしています」
「そういえば」
 ここでネルソンは思い出した。彼が今いる太平洋経済圏の状況がどういったものになっているかを。
「日本人もインド人も四国人もマレー人も」
「全ての国の人達がですね」
「交流し楽しく過ごしていますね」
「私達はゆっくりとそうした関係を築こうと考えています」
「植民地とは違い」
「植民地ではエイリス人と現地の人達で違いますね」
「明確な階級がありました」
 ネルソンはやや暗い顔になって答えた。
「エイリス人でも貴族と平民があり」
「そしてさらにですね」
「そうです。植民地民にも階級があったりしました」
 エイリス統治の特徴だ。階級を設けて分割統治をするのだ。そのうえで現地民の間の対立を煽って漁夫の利を得ることもしてきた。
 ネルソンはこのことを否定的に見てきた。だからこう言うのだった。
「残念ですが」
「しかし太平洋ではです」
「インド洋も含めてですね」
「それはありません」
「そして各国もですか」
「はい、平等です」
 議長国の持ち回りに代表される様にだというのだ。
「そうなります」
「そうですか。平等ですか」
「どの人も国もです」
「わかりました」
 自分が見てきたものと帝が話すことは同じだtった。それがわかったのだ。
 それからだ。ネルソンは帝の前から一旦退いた。その上で暫し考え。
 東郷の前に出た。それでこう言ったのである。
「及ばずながら」
「参加してくれるか」
「はい、そうさせて頂いて宜しいでしょうか」
「ああ、こちらこそ頼む」
 東郷は微笑んでそのネルソンに応えた。
「客員提督になるか」
「日本軍でしょうか。それともインド軍でしょうか」
「どちらでも選んでくれ。とにかくだ」
「これからはですね」
「そうだ。君も太平洋軍の提督だ」
「そうなりますね」
「ではこれから宜しくな」
 東郷は微笑みと共に手を出した。それと共にだった。
 ネルソンも手を出して握手をし合った。こうして太平洋にまた素晴らしい人材が加わったのである。
 ネルソンも加えた太平洋軍は今度はセーシェル、マダガスカルへ兵を進めようとした。だがその直前にだった。
 アラビアに集結する彼等に突如として襲撃が来た。それはというと。
「これは」
「知っているのか?」
「はい、北欧連合軍の艦です」
 エルミーはモニターに映るその艦隊を見て東郷に話す。
「今はドクツ領になっていますが」
「あの国々か」
「そういえば各国で謎の海賊が出没していましたが」
「この連中じゃないのか?」
 東郷はこう推測した。
「北欧というとバイキングだからな」
「確かに。しかも北欧連合からアルビルダ王女がアイスランドさんと共に姿をくらましています」
「じゃあ間違いないな」
「あの戦艦もです」
 敵艦隊の中心にいるその戦艦もだった。
「アルビルダ王女の乗艦です」
「証拠は揃ったな」
「はい、間違いないかと」
 エルミーは確かな声で東郷に話した。
「アルビルダ王女とアイスランドさんの艦隊ですね」
「バイキング艦隊か」
「どうされますか?」
 エルミーはあらためて東郷に問うた。
「ここは」
「海賊を放っておく訳にはいかない」
 東郷は軍の海賊に対する当然の考えを述べた。
「だからだセーシェルへの出撃前にだ」
「まずは彼等をですね」
「何とかしておこう。それではだ」
「はい、それでは」
 秋山が応える。そうしてだった。 
 すぐにそのバイキング艦隊について調べられる、まずはその艦艇と規模だった。
「どれも北欧の旧式艦艇です」
「旧式か」
「世代的には第二世代ですね」
 精々そうしたところだというのだ。
「王女の戦艦とアイスランドさんの戦艦は違いますが」
「それでも殆どは旧式艦か」
「そうです。規模は四個艦隊です」
 秋山は今度はその艦隊規模も話した。
「数としてもです」
「大した数ではないな」
 今の太平洋軍から見ればだ。本当に大した数ではなかった。
「それではな」
「はい、敵を囲みそのうえで」
「一斉攻撃を仕掛けよう。第二世代の艦艇ならな」
「速度も大したものではないです」
 世代が一つ違うと性能が段違いなのだ。あらゆる性能がだ。
「ですから」
「包囲にかかる」
「はい、それでは」
「第一艦隊から第十艦隊は正面だ」
 東郷が率いる艦隊もその中に入っている。第一艦隊だ。
「第十一艦隊から第二十艦隊は右」
「了解です」
「第二十一艦隊から第三十艦隊は左だ」
 それぞれ左右にも艦隊を送る。
「残りは上下からだ」
「そうして囲んで、ですね」
「攻撃に入ろう。ではな」
 こうして太平洋軍はバイキング達が動くより先に囲みにかかった。そうしてそのうえでだった。
 左右、そして上下からバイキング艦隊を囲みにかかった。アルビルダはそれを見てモニターからアイスランドに問うた。
「これはまずいな」
「かなりまずい」
 その通りだと言うアイスランドだった。
「囲まれている」
「後は後ろだけだぞ」
「そう。これは」
「どうすればいい?」
「逃げるのが一番。けれど」
 その後ろもだった。見れば。
「敵が来ようとしている」
「ううむ、余計にまずいな」
「ここは一つしかない」
 アイスランドは淡々としてアルビルダに話す。
「降伏しよう」
「降伏するのか?」
「数が違い過ぎるし艦艇の性能も違う」
 アイスランドは状況を冷静に見て話す。
「戦っても全滅するだけだから」
「そうか。降伏するのか」
「王女さんはそれでいい?」
 アイスランドはアルビルダに問うた。
「降伏で」
「ううむ、私は暴れないのだ」 
 見事なまでに本音で返すアルビルダだった。
「そうしたいのだが」
「けれど今は暴れるどころじゃない」
「捕虜になるのか」
「そうなる」
「敵の。日本の捕虜になるのか」
「敵の司令官は東郷毅さん」
 アイスランドは彼等から見て敵にあたる太平洋軍のことも淡々と話していく。
「凄い女好き」
「何っ、スケコマシなのか」
「そうらしいよ」
「では私の様な美少女は」
 自分で言うアルビルダだった。
「かなり危ないな」
「多分。というか絶対に」
「若し私がここで降伏すれば」
 アルビルダは妄想に入った。そのうえでの言葉だった。
「そうか。私が犠牲になってか」
「僕達が助かるとか?」
「アイスランド船長も部下達も皆殺されようとしている」
「今のところそこまでいってないけれど」
「すぐにそうなる。しかし私がこの身体を捧げれば」
「多分そういうことはしない人だと思うけれど」
「仕方がない。ここは私が犠牲になろう」
 全て勝手に話を決めた。こうしてだった。
 アルビルダは言う。モニターに出て来ていた東郷と日本に対して。
「卑劣な者達よ、私は心には屈しないぞ!」
「ああ、最初から聞いていたがな」
「お話したかったのですが」
 東郷はいささか、日本はかなり呆れながらそのアルビルダに応える。
「とりあえず降伏してくれるんだな」
「そうして頂けますか」
「私は汚される!しかし心は堕ちはしない!」
 アルビルダはその両手にそれぞれ斧と盾を掲げて宣言する。
「必ずや卑劣な東郷、そして日本に復讐を遂げるだろう!」
「・・・・・・では降伏ということで」
 日本は呆れ返りながらも冷静に返した。
「宜しいですね」
「そういうことで」
 アイスランドがアルビルダに代わって応対する。
「王女さんと国民の皆の安全は保障してね」
「それは約束します」
 日本はアイスランドには冷静に返した。
「ではその様に」
「それじゃあ」
 こうしてバイキング達も降伏した。彼等の処遇もここで問題となった。
 まずアイスランドだが彼はこんな感じだった。
「とりあえず王女さんと国民の皆はいいんだね」
「特に害するつもりもない」
 東郷が彼に答える。
「君達の好きにすればいい」
「そうなんだ」
「何処に移住したいなら場所は提供するが」
「皆本音は祖国に帰りたい」
「そうか。しかしそれは」
「うん。日本はドクツの同盟国だから」
「ドクツに戻るという形になるがいいか?」
 東郷は少し真面目な調子でアイスランドに尋ねた。
「そうなるが」
「ドクツには戻りたくないから」
 それは嫌だというのだ。
「遠慮したい」
「やはりそうなるか」
「うん、それだったら太平洋軍だったよね」
「ああ、そうだ」
「それに入りたい」
 こう東郷達に対して言う。
「これからどうなるかわからないにしても」
「そうか。そらならな」
「そういうことで」
 これでアイスランドはあっさりと太平洋軍に加わることになりかけた。しかしここでだった。
 アルビルダだった。またこの女王が言うのだった。
「待つのだ、船長を捕虜にするのか!」
「いや、そうではないが」
 東郷はまずはこう答えた。
「誤解しているのなら」
「合わせて」
 しかしここでアイスランドが東郷に囁く。
「王女さんに」
「合わせる、か」
「そう。合わせて」
 アイスランドはまた囁いた。
「王女さんは結構こういうところがあるから」
「こういうところか」
「そう。こういうところ」
 この辺りは行間を読む、だった。
「そういうことで」
「わかった。では俺の役は何だ」
「悪役」
 まさにそれだった。
「人質を取り美貌の王女を脅迫する卑劣な悪役」
「ちょっと陳腐な役柄じゃないか?」
「その辺りはお約束だから」
「演じればいいんだな」
「そうしてもらえたら何より。あと」
 アイスランドは日本も見て言う。
「日本さんも」
「私もですか」
「僕達を人質に取る悪役、しかも」
 日本はそれだけではなかった。今回の役では。
「東郷さんを操る悪の首領」
「そうした役になったことははじめてですが」
「それでもお願い」 
 アイスランドは淡々と日本に言う。
「悪役を演じて」
「できるかどうかわかりませんが」
「適当に台詞を言うだけでいいから」
 アイスランドは演技力については言わなかった。
「棒読みでも動かなくても」
「喋ればいいだけですね」
「悪焼くとして適当な言葉を」
「わかりました。それでは」
「やらせてもらうな」
 日本と東郷はアイスランドの言葉に頷いた。そうしてだった。
 二人でアルビルダに対してこう言った。尚その際アイスランドは完全に放置している。人質に取ることすらしない。
「アイスランドさんと国民の皆さんの命が惜しければ」
「さて、何を言おうか」
 日本は無表情で棒読みだが東郷はそれ以上だった。
 何を言うかという時点でこれだった。微妙な顔だった。
「ここは」
「こちらの要求を聞いてもらおう」
 アイスランドがまたそっと囁く。
「こんな感じで」
「その台詞か」
「そう言えばいいから」
「わかった。ではこちらの要求を聞いてもらおう」
 東郷は日本以上の棒読みでアルビルダに言った。
「いいか」
「おのれ、人質を取るのか」
「はい」
 日本は淡々とアルビルダに述べる。
「若し貴女が我々の要求を聞かなければ」
「船長達を殺すのか」
「そうなるかも知れません」
 日本は言う。
「ですからここは」
「私に何をしろというのだ」
「さて」
 日本もこのことについては首を傾げる。
「何でしょうか」
「太平洋軍に協力しろ」
 アイスランドは日本にも囁く。
「その身体を捧げろ」
「そう言えばいいのですね」
「そういうことでお願い」
「わかりました。では」
 日本はアイスランドに応えてから一呼吸置いて述べた。
「太平洋軍に協力して下さい」
「私に奴隷になれというのか、御前達の」
「そうなるかと」
 日本はついでに言いそびれていた台詞も言った。
「そうそう、もう一つあります」
「今度は何だ」
「その身体を捧げて下さい」
 全く感情を込めないで言った。
「そういうことでお願いします」
「人質を取り私を悪の尖兵とするか」
「まあそう思ってくれ」
 実に演技が下手な東郷だった。というよりかはやる気が全くない。
「アイスランドさん達と一緒にな」
「仕方がない。だが私は決して屈しない」
「屈しないか」
「そうだ。身体は奴隷になろうともだ」
「心はか」
「心は堕ちていない!私は必ず悪の手からアイスランド船長と国民を救う!」
 アルビルダは自分の中の設定を言っていく。
「そして勝つ!最後はな!」
「ではそういうことで」
 日本は演技が終わったと見てこう言った。
「宜しくお願いします」
「まさに悲劇の王女だ、囚われのヒロインではないか」
「御飯にしますがどうされますか?」
「日本のか」
「はい、そうですが」
「奴隷を洗脳する為の餌か」
「ああ、まだ演技は続いていたのですね」
 日本はアルビルダの話を聞いて述べた。
「そうですね。そう思って下さい」
「悪辣な日本、まさに世界を征服しようとしている」
 アルビルダはまた己の設定を口にする。
「私はその尖兵になってしまった!これを悲劇として何という!」
「それで何を召し上がられますか?」
「日本は生の魚を食べるな」
「はい、お刺身ですね」
「何の刺身がある」
 何だかんだでそれを聞くアルビルダだった。
「詳しく教えてくれ」
「今は鮪のいいものが入っていますが」
「鮭はあるか?」
「はい、鮭もあります」
「ではそれを貰おう。奴隷になっても私は生きなければならない」
「御飯にお味噌汁、おひたしもありますので」
 少なくとも奴隷とは見ていない日本だった。
「どうぞ食堂に」
「私は人生最大の苦境に陥った!しかし私は最後には必ず勝つのだ!」
 アルビルダは勝手に悲劇のヒロインになった。日本も東郷も棒読みで応える。何はともあれ彼女も太平洋軍に入った。
 長門の食堂に国家や提督達が会議を兼ねて食事に集まっている。秋山はその顔触れを見てこう東郷に言った。
「提督が増えたのはいいことですが」
「艦隊が増えるということだしな」
「はい、しかし」
「しかしか」
「個性的ですね」 
 かなりオブラートに包んだ言葉だった。
「実に」
「努力した言葉だな」
 東郷は秋山の言葉のオブラートにそれを見て言う。
「それもかなり」
「いえ、別に」
「しかし有能な提督ばかりだ」
「はい、国家の方々も含めて」
「いいことだ。全員が同じなら戦いの幅も狭まる」
「機械だけだとですね」
「そういうことだ。人は個性があるからいい」
 東郷は微笑んで話す。
「そういうことだ」
「確かに。言われてみれば」
「それでセーシェル、マダガスカルを攻めるがな」
「オフランス軍ですね」
「どうだ、向こうの戦力は」
「大したことはありません」 
 秋山はオフランス軍についてはこう言うだけだった。
「数も装備も士気も」
「平和主義故にか」
「その様です」
「平和主義自体はいいことだがな」
 東郷もこの考えは否定しない。彼にしても戦わずに物事が解決するのならばそれでいいと考えているのだ。
 だがそれでもとだ。彼はこうも言う。
「しかしそれに溺れるのはな」
「よくありませんね」
「そこに隙ができるからな」
「まさにそうですね。それでは」
「全軍で攻め込めばあっさりと終わるか」
「はい。ただ、です」
 秋山はオフランス軍を弱いと見ていた。しかしだった。
「フランスさんと妹さん、そしてセーシェルさんは」
「国家だけあってか」
「中々強いです」
「特にフランスさんだな」
「色々と問題点もありますがやはり強いです」
 伊達に原始の八国ではない。そうした意味でフランスは日本と比べても引けを取らない強さを持っているのだ。
「だからこそです」
「強いですか」
「はい、強いです」
 また言う秋山だった。
「国家の方々だけは。あとは」
「他にまだあるか」
「原住民は。ビジー軍に協力的ではないですから」
「気にしなくていいか」
「今の摂政のシャルロット王女も」
 彼女のことも話す。
「特にこれといってです」
「ないか」
「フランスさんが英才教育を施しておられますので」
 それでだというのだ。
「実力をつけてきておられます」
「ではあの王女さんもか」
「若し出て来たら警戒が必要かと」
「わかった。それではな」
「流石にセーラ女王程ではないでしょうが」
 セーラは指揮官としても優秀だ。自ら戦う女王なのだ。
「それでもです」
「それなりの実力は備えてきているか」
「そのことも気をつけていきましょう」
「ではそのうえでな」
「はい、セーシェルからマダガスカルに入りましょう」
「これで連合の一角が崩れるな」
 既に虫の息だが完全にそうなるというのだ。
「インド洋も完全に掌握することになるな」
「そうなりますね。いよいよ」
「返す刀で太平洋に戻りいよいよだ」
 ガメリカとの戦いは念頭にあった。
「存亡を賭けた戦いもいよいよだな」
「そうですね。第三幕ですね」
「第一幕は上手にいった」
 宣戦布告と同時の奇襲だ。それで一気に機先を制した。
「マレーまですんなりといけた」
「そして第二幕のインド洋での戦いも」
「勢いに乗れていけた。そしてだ」
「太平洋でいよいよ」
「さて、行くか」
 オフランスを倒してからだというのだ。東郷はその先を見ていた。そのうえで今セーシェル、マダガスカルに入ろうとしていた。


TUURN49   完


                             2012・8・20



アルビルダ、結構楽に捕まえれたな。
美姫 「まあ、艦の数や質の違いにもよるけれどね」
だな。寧ろ、捕虜にしてからの説得の方が苦労した感じだな。
美姫 「まあ、それでも新たな戦力が出来たわけだしね」
いよいよオフランスへ、か。
美姫 「まだまだその先もあるけれど、とりあえずはそうね」
さて、次はどうなるのかな。
美姫 「次回も待っています」
ではでは。



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