『ヘタリア大帝国』




             TURN144  戦争の後

 第二次大戦が終わり人類社会は新たな歩みをはじめた、その歩みはというと。
 まず欧州は欧州共同体が出来た、その中心には誰もが予想した通りドクツが位置した。
 総統に復帰したレーティアはこれまで以上の天才ぶりを発揮しドクツを欧州随一の国にさせた、その繁栄はかつてのローマ帝国に匹敵する程だった。
 宣伝相のグレシア=ゲッペルスを片腕とし軍にはマンシュタインとロンメルの両元帥、ベートーベンにトリエステという隙のない人材が揃っていた。
 そして文官達も揃いそしてだった。
 レーティアは副総統兼己の後継者にエルミー=デーニッツを指名した。エルミーは政治においてもその生真面目さから来る的確な政治を行いレーティアをよく支えた。ドイツ、プロイセンと二人の妹達も健在でドクツはまさに欧州の中心となった。
 その周りにはオーストリア、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニア、ギリシア、ラトビア、ポーランド、リトアニア、ベルギー、オランダ達がいた。彼等も欧州共同体の中で生きていくのだった。特にポーランドはリトアニアとより一層親密な仲になっていった。
 北欧連合も欧州共同体に入った。その王の座は先王が退位したこともあり大戦の英雄の一人アルビルダが即位した。アルビルダは相変わらず何かあれば大暴れする騒がしい性格だったがその彼女をフィンランド、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、それにアイスランドといった国家達が支えそこにエストニアも加わり北欧連合王国も欧州の中で生きるのだった。
 オフランスは国王はそのままだったがシャルロットが首相になり国政を実際に受け持つことになった。シャルロットはそれまでの一国平和主義から欧州共同体に入った政策に方針を転換させフランス兄妹の補佐を受けつつオフランスを欧州共同体の中の大国の一つとして舵を取っていった。
 イタリンはムッチリーニが統領に復帰しユーリがその補佐として首相兼国防相になった、ぴえとろは完全に引退した。
 イタリアとロマーノ、そして妹達も彼女と共にいた。イタリンもまた欧州の中で大国の一つとなっていくのだった。
 伊勢志摩は国王夫妻の喧嘩は相変わらずだが流石に軍同士ではなくスポーツでのそれとなっていった。スペインもそのことにほっとしながら欧州共同体の中においてドクツ、オフランス、イタリン、エイリスと共に五大国の一角にまでなった。
 かつて世界帝国だったエイリスは植民地を全て失ったが貴族の権限を完全に抑えられる様になった、そして。
 セーラの周りに三人の騎士提督と母であるエリザ、妹のマリーにイギリスと妹達がいた。エイリスは欧州の一国として歩きだしていた。
 ソープ帝国は独自の路線を歩みアラブアフリカをまとめていった、アラビアも領有しゴローン兄妹も迎えエジプトもだった。
 パルプナとカメルーン、マウマウとベホンマ達ブラックアフリカの面々もソープ王国と協力関係に入っていった、そして。
 ソープ帝国の主ランディはトルコと共にアラブ世界の盟主となっていった。
 ソビエトは太平洋と欧州の間の第三勢力として生きていくことになっていた、カテーリンは首相であるミーリャ、内相ゲーペ、国防相ジューコフの補佐を受けてソビエトを以前より遥かに穏健な社会民主主義的国家としてソビエトを再編成していった。
 ソビエト軍にはコンドラチェンコ、リディア、そしてスノーがいて軍を支えた。国家はロシアとその妹、ウクライナ、ベラルーシがいてカテーリンを支えソビエトは真の意味で全員の幸せを目指す国になろうと決意した。ゾルゲは内相ゲーペの下で情報本部長に就任しウナギ、リョウコを部下に辣腕を振るうことになった。ロリコフは科学相としてソビエトの科学の発展に貢献した。
 太平洋共同体は雑多であるが巨大な勢力となった。
 アステカはケツアルハニーが皇帝として各国とエロゲ等を主体とした貿易を勧めていった。のぞみも彼を支えハニワ族は相変わらず元気だった。
 国家はブラジルを軸にしチリ、アルゼンチン、ペルー、メキシコ、キューバがいて国家を支えていた。アステカも発展していくのだった。
 インドはインドはインド洋にありながら太平洋国家の一員として生きてそのうえでだった。
 首相のクリオネ、副首相兼財務相のサフランに国防相のアグニがインドを導いていった、太平洋の大国として揺るぎない地位を手に入れていくのだった。
 セーシェルも太平洋の中に入っていった、ビルメもまた彼女と共に太平洋の中にいて幸せに生きる道を選んだ。
 オセアニアは四国総督はオーストラリアの国家元首になった、そしてオーストラリアとニュージーランド、トンガの三国は太平洋の中に入ったのだった。
 東南アジア諸国は太平洋共同体の中で東南アジア連合を結成した。
 タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピンがその中にあった、ララーとラスシャサ、フェムはその中で重要な人物として政治でも軍事でも活躍した。
 カナダは目立たなかった、だが。
 彼も妹と共に頑張りそしてだった。
 デカラヴィタとブラックホークも彼等と共に出来ることをした、クマ二郎も一応いてカナダは目立たないにしても太平洋の一員として生きていった。
 中帝国は議会を開き退位したシュウ皇帝の次の皇帝の下にリンファとランファがそれぞれ首相、副首相として位置した。
 リンファは内政、ランファは外交を基本として担当し中帝国を太平洋四大国の一国として繁栄に導いていった。
 香港とマカオ、彼の妹達も中帝国にいてその発展に貢献した。
 中国は妹と共に国の軸にいて働いていった、中帝国はまさに真の意味で繁栄何度目かの黄金時代に入った。尚ハニートラップは情報局長官となり辣腕を振るった。
 ガメリカはダグラスが大統領となりハンナ、クー、キャロル、ドロシーの四長官が彼を支えていった。ルースは回復し楽隠居に入った。
 軍は太平洋艦隊司令長官になったドワイトの下にキャヌホーク、キャシー、クリス、イザベラの名将達を率いてガメリカ軍をこれまで以上の軍にした。
 アメリカは妹と共にダグラスを支え自分達の国を世界屈指の国のまま繁栄させた、太平洋四大国としても揺るぎない地位を手に入れた。
 日本帝国は帝の下に首相である伊藤がいるこれまで通りの体制であった。要人達もその顔触れは変わらなかった。 
 海軍は東郷、陸軍は山下がそのままいた、そして。
 外相は宇垣、内相は五藤、科学技術庁は平賀のままだ。宮内省はハルがいてこれまで通り目を光らせている。尚宇垣と平賀は結婚した。
 東郷は連合艦隊司令長官も兼ね秋山は大将、参謀総長として留任した。田中も元帥、副司令長官兼潜水艦隊司令長官のままである。彼は今も東郷にとって代わってやると力説する日々である。
 陸軍と海軍はそのまま統合されなかった、山本は引退し新妻であり看護士に戻った古賀と所帯を持ち悠々自適の生活に入った。
 小澤、南雲、コーギー、アストロ猫、手長猿、パンダ、〆羅は提督として留任した。福原は台湾軍、平良は韓国軍の軍事顧問としてやはりそのままだった。
 台湾も韓国も独立し兄妹で国家を形成していった、両国は他の太平洋諸国と共に目覚しい経済発展を遂げていった。
 太平洋各国の発展はまさに日の出の勢いだったが日本は特にそうだった、日本と彼の妹は自国の経済発展に目を微笑まさせた。
 その日本がビーチでくつろいでいる東郷に声をかけた。
「長官、そろそろです」
「ああ、そうか」
「では今からですね」
「行くか」
 東郷は寝椅子から起き上がった、そのうえで言う。
「結婚式にな」
「外相と科学技術庁長官、そしてですね」
「山本さんと古賀ちゃんのな」
 二組の結婚式にだというのだ。
「出るか」
「そうしましょう。ですが」
「宇垣さんも爺さんも古風だからな」
「式は和式です」
 ビーチに近い場所での式ではあるが。
「このハワイは元々日系人も多いですから」
「和式の結婚式も出来るからな」
「はい、ですから」
 それでだと話す日本だった。
「今から行きましょう」
「そうしようか」
「ギガマクロさんも来られます」
 彼は今も酋長だがハワイはアメリカ領のままなのでミクロネシアやソロモンの主だけになっている。
「他の皆さんも」
「じゃあ式の後だな」
「このビーチでお祝いですね」
 日本は微笑んで東郷に言った。
「宇垣さんも山本さんも出られて」
「水着になってだな」
「そうなります、では」
「よし、行くか」
 東郷も日本に応えてそのそれぞれの結婚式に出た、そしてだった。
 その結婚式の後各国の要人達に国家達が水着でビーチで遊ぶ、東郷はスカーレット、真希と共にいつつ日本に言った。
「世界はこれからも色々あるな」
「太平洋と欧州、ソビエトの三つの勢力の中で」
「太平洋の中も色々とある」
 特に日米中三国が綱引きをするのだ。
「大きな戦争はもう起きないだろうが」
「武力を用いた戦争はですね」
「経済戦争が主体になる」
 これからの戦争はそうした戦争になっていくというのだ。
「人類の社会はこれからも大変だ、けれどな」
「今はですね」
「こうして皆、一緒に戦った面々がたまにでも集まって楽しくやる」
 そのことはというのだ。
「いいことだからな」
「そうですね、世界の皆が」
 各国も要人達も皆楽しく遊んでいる、ビーチでセーラ達と共にティータイムを楽しむイギリスをフランスが茶化しロシアとアメリカ、中国はどうも微妙な雰囲気の中で西瓜割りをしている。イタリアはドイツに怒られていてロマーノがそのドイツに反発を見せている。
 ダグラスはサーフィンを楽しみリンファとランファは肌を焼いている。レーティアはグレシア、エルミーと共に木陰にいる。
 ムッチリーニはパスタを食べていてシャルロットもその横でワインを楽しんでいる。カテーリンとミーシャは田中の首から下を砂に埋めて遊んでいる、真希も一緒だ。
 山本は酒を飲もうとして古賀に止められ小澤と南雲は海の中だ。宇垣は平賀、山下と共に帝と砂浜で茶を飲んでいる。他の要人や国家達もそれぞれ楽しんでいる。
 その中でだ、東郷はスカーレットを見て言うのだった。
「平和だな」
「ええ、そうね」
 黒と青のビキニのスカーレットは見事なスタイルを見せつつ微笑んで応える。
「これ以上はないまでに」
「この平和が続いて欲しいな」
「そうね、このままね」
「人間の社会の揉めごとは続くにしても」
「たまにはこうしてね」
「集まって仲良く楽しくするのもな」
「いいものよね」
 スカーレットもこう言う、そしてだった。
 柴神もだ、こう言うのだった。
「戦争は終わってずっとましな世界になった、大きな戦争はまず怒らな飼うなった」
「まずはそのことで、ですね」
「よしとしよう」
 柴神は日本に述べた。
「そしてこれから少しずつだ」
「よりよい世界にしていきますか」
「人は何度も過ちを犯しながらも少しずつ進んでいくものだ」
 柴神はこの上なく優しい目で今ビーチにいる全員を見て言った。
「だからだ」
「私達も共にですね」
「歩いていこう」
「これからもな」
「わかりました」
 日本も優しい微笑みで柴神に応えた、そうしてだった。
 今は平和を楽しむのだった、少しずつ先に歩いていくことを見ながら。
 その柴神と日本にだ、東郷は微笑んでこう言った。
「どうですか、今からカレーでも」
「うむ、ではな」
「頂きます」
 ビーチでのカレーも楽しむ、平和になってから食べるカレーはこの世で最も美味いものだった。


TURN144   完


ヘタリア大帝国   完


                         2013・10・11



遂に完結。
美姫 「お疲れさまでした」
今回はかなりの長編だったけれど、無事にハッピーエンドを迎えられて良かった良かった。
美姫 「そうよね。のんびりとした日常がこれからも」
うんうん。楽しく読ませてもらいました。
美姫 「これで最後なのね」
だな。本当に投稿ありがとうございました。
美姫 「改めてお疲れ様です」



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