『ヘタリア大帝国』




                TURN100  マッドサイエンティスト

 シベリア陥落の報告を聞いたカテーリンは早速激怒した、そして頬を林檎の様にさせながらミーリャに対して言った。
「まず負けた人達は全員三日間御飯抜き!」
「全員なのね」
「そう、負けてシベリアを失ったことを反省するの」
 その食餌抜きによってだというのだ。
「それからよ」
「とりあえず戦線はラーゲリまで下がることになるね」
「あそこで絶対に守るから」
 断固としてだというのだ。
「絶対にね」
「そうだね、今度こそ何とかしないとね」
「シベリアからウラジオストクも取られたの?」
「今報告が来たよ」
 そのウラジオストク陥落のだというのだ。
「東方は結構な部分が枢軸軍の占領下になったよ」
「すぐに取り返すから」
 カテーリンは今度はむっとした顔を見せる。
「シベリアもウラジオストクも」
「絶対に取り返さないとね」
「ウラジオストクにもっと艦隊置くべきだったかな」
 カテーリンは困った顔にもなった。
「やっぱり」
「東方はチェルノブに拠点置いてるけれどね」
「あそこもいい修理工場あるから」
 それを置いていたのだ。
「拠点にすべきだったかな」
「まあ今はそういうこと言わないで」
 過ぎたことを言っても仕方ない、そういうことだった。
「これからのこと考えよう」
「わかってるわ、じゃあチェルノブを拠点にしてね」
 そのうえでだと、カテーリンは気を取り直してミーシャに言う。
「ラーゲリで新しい防衛ラインを敷こう」
「司令官は誰なの?」
「引き続いてジューコフ元帥よ」
 彼だというのだ。
「副司令官にコンドラチェンコ提督で」
「それに祖国さん達だよね」
「もう出来れば他の国家さんも誰か行って欲しいけれど」
「では私が」
 すぐにだ、ベラルーシが出て来た。
「あちらに参ります」
「お願い出来る?」
「お兄様の為なら」
 ベラルーシはきっとした顔でカテーリンに答えた。
「そうさせてもらいます」
「じゃあお願いするね」
「わかりました」
「あと君達も行って」
 カテーリンはバルト三国には強制した。
「すぐにね」
「あっ、やっぱりそうなるんですね」
 ラトビアはカテーリンの厳しい顔と言葉に泣きそうな顔で返した。
「予想してましたけど」
「じゃあすぐにね」
「はい・・・・・・」
「後はゲーペ長官も復帰されるから」
 カテーリンはさらに言う、幼いがその頭脳はよく動いている。
「総力戦になるから」
「そうなるよね、ただね」
「ただ?」
「ゾルゲ大佐が言ってるけれど」
「大佐が?」
 カテーリンはゾルゲの名を聞いてはっとした顔になって言った。
「こっちに呼べる?」
「既に」
 そのゾルゲが出て来た、そして敬礼をしてからカテーリンに言うのだ。
「同志カテーリン、ここはです」
「大佐が枢軸に潜入してくれるの?」
「私だけではありません」
「っていうと?」
「ロリコフ博士のご協力も受けてです」
「あいつの?」
 その名前を聞いた瞬間だった、カテーリンの表情が一変した。
 そのうえで難しい顔でこうゾルゲに言った。
「同志ロリコフ博士の協力で、どうするの?」
「博士の人造人間を使いましょう」
 そうしてだというのだ。
「まず前線にウナギ=バウラーを送り」
「あの娘に」
「そして工作部隊にもです」
「人造人間を使うの」
「そうすべきです」
 こうカテーリンに提案するのだ。
「これでどうでしょうか」
「他の人いないの?」
 カテーリンはゾルゲの提案を聞いたうえでまずはこう返した。
「あの博士以外の誰か」
「博士はソビエト最高の天才です」
「そのことはわかっています」
 カテーリンとて、だというのだ。このことは彼女も言う。
「ですがそれでも」
「あの人はですか」
「嫌いです」
 こうはっきり言い切る。
「それも上に大が四つつく位に」
「左様ですか、しかしです」
「今回はというのですね」
「同志博士のお力が必要です」
「わかりました」
 カテーリンは渋々ながらも頷いた、そしてだった。
 カテーリンはあらためてこうゾルゲに言った。
「それでは博士を呼びましょう」
「それでは」
 すぐにピンクの波がかった長い髪の毛の痩せた男が呼ばれた、眼鏡の奥の目は妙に変態じみている。白衣は似合っているが何処か怪しい。
 その博士がカテーリンを見て言うのだ。
「いやあ、幼女はいいですねえ」
「何でいいのよ」
「いやあ、まだ幼い身体に幼い顔立ち」
 いきなり変態じみた言葉である。
「そして可愛らしい声、幼女こそが最高です」
「若し私とミーリャちゃんに触ったら一週間御飯抜きだからね」
 カテーリンはむっとした顔になり彼に返した。
「いいわね」
「わかっております、幼女見て愛でるもの」 
 臓腑が腐りそうな言葉であった。
「私ロリコフはそのことを常に心掛けております」
「それで同志ロリコフ博士」
 ゾルゲはカテーリンの前で彼に言った。
「宜しいでしょうか」
「おおゾルゲ大佐お久しぶりです」
「実は枢軸への内部工作を考えていまして」
「その作戦に私の頭脳をというのですな」
「はい、そうです」
 まさにその通りだというのだ。
「それでなのですが」
「では人造人間を出しましょう」
「一人は前線に回して下さい」
 ゾルゲは博士にこのことも話した。
「そしてもう一人をです」
「工作にですね」
「後は我々秘密警察以外にも」
「戦闘員が必要ですな」
「そちらも回して頂けますか」
「喜んで」
 ロリコフはにこやかに笑ってゾルゲに答えた。
「そうさせてもらいます」
「戦争は前線で戦うだけではありません」
 ゾルゲの持論だ、そしてソビエトの戦い方でもある。
「後方を攪乱させる為にも」
「そうですね、それではです」
「後方を攪乱して」
 そしてだというのだ。
「特に今の枢軸の盟主である日本に仕掛けたいのです」
「そう、あの国は一番何とかしないと駄目よ」
 カテーリンは日本と聞いてすぐにこう言った。
「帝はロマノフ皇帝と同じよ、放っておいたら危ないから」
「その通りです、同志カテーリン」
「ましてあの国が今の枢軸の中心だから」
「あの国に仕掛けなくてjは意味がありません」
「では同志ゾルゲに策はありますね」
「私は策があってこそ申し上げるのです」
 それがゾルゲだ、言葉はそれに基づくものがあって出すのだ。
 だからこそだというのだ、今も。
「それで博士にはクローンもです」
「おお、面白い作戦みたいですね」
「枢軸を一気に全て共有主義国に変えてみせましょう」
「えっ、そんなこと出来るの?」
 ミーリャはゾルゲの今の言葉に思わず身を乗り出して問い返した。
「太平洋が全部なの」
「はい、そうです」
「あそこにいる何百億の人達皆が共有主義になるなんて」
「それなら是非成功させるのです」 
 カテーリンもゾルゲの今の言葉にすぐに返した。
「同志ゾルゲ、何としても」
「わかっています、この作戦は必ず成功させます」
「作戦の全権を与えます」
 彼にその作戦の全てを委任するというのだ。
「では」
「はい、それでは」
「詳しいお話をしてくれますか?」 
 ロリコフはカテーリンに敬礼をし終えたゾルゲに彼から声をかけた。
「面白い作戦なら大歓迎ですから」
「それでは」
 ゾルゲも彼に応え話す、ソビエトは枢軸軍の侵攻に対して彼等が得意とする政治的な要素も含めた攪乱で対することにしたのだ。
 枢軸軍はシベリアからウラジオストクを制圧しラーゲリに向かった、その頃には修理をする艦隊も全てそれを終えていた。
 そのラーゲリに進むとここでもだった。
「やあ、ソビエト軍は相変わらず多いな」
「何処からこれだけの数を出すあるか」
 アメリカと中国が相変わらずの大艦隊を見て言う。
「うちより多いんじゃないか?」
「うちよりも多いある」
「ここまでの大軍を常に出せるのは国家システムが違うからだな」
「共有主義あるからな」
「共有主義は国家が全てを管理しますから」
 リディアが二人に説明する。
「軍も書記長の指示で極限まで集められるんですよ」
「それでか」
「あそこまで集められるあるか」
「そうなんです、もっとも船を動かせる人だけしか集められませんが」
 無闇に徴兵は出来ないというのだ、ソビエトも。
「何も知らない人を船に入れても動かないですから」
「それはそうなんだな」
「ソビエトでもあるか」
「はい、ソビエトでもそこはちゃんと考えています」
 さもないと国家自体が動かないからだ。
「それでなんです」
「流石にそこはちゃんとしているんだな」
「ソビエトでもあるか」
「そうです、それでなんですが」
 さらに話すリディアだった、今度の話はというと。
「ソビエトはヘリも使いますので」
「あれか」
 ドイツはヘリと聞いてすぐに応えた。
「あれを実用化したか」
「ドクツから譲渡された技術でして」
「あれを使ってか」
「枢軸軍は今はジェット機に乗っていますが」
「それで空母を運用しているがな」
「ソビエトではヘリです」
 空母にヘリを載せてそれでだというのだ。
「ヘリ空母を運用しています」
「そしてそのヘリ空母がか」
「はい、来ます」
「そういえば変わった空母があるな」
 プロイセンは目の前に展開しているソビエト軍を見て言った。
「枢軸のとは全然違うな」
「巡洋艦が右側にある空母みたいだな」
 右側は確かに巡洋艦である、甲板全てが飛行甲板で右側に艦橋だけがある枢軸軍の空母とはまた違う形だ。
「あの飛行甲板からか」
「ヘリが出ますので」
 無論着艦もあるというのだ。
「そのヘリもです」
「ヘリとはどういったものですか?」 
 シィルがヘリそのものについて問う。
「通常の艦載機とは違うとのことですが」
「速度は艦載機よりも遥かに劣ります」
 リディアはまず速度から話す。
「ですが宙で停止したり前後左右に垂直に動くことが出来ます」
「おい、それ凄くないか?」
 ランスのヘリのその能力を聞いて言った。
「そんなのが敵にあるのか」
「はい、そうです」
「まずいな、それは」
「ですがその操縦はかなり難しいです」
 リディアはここでこう話した。
「前後左右に垂直に動くことも、速度を速めてそうすることも」
「動かすのは艦載機より難しいんだな」
「相当に、少なくとも相当な熟練者でないと使えません」
「それならどうということはありませんね」
 小澤はここまで聞いてこうリディアに述べた。
「艦載機でミサイルで攻撃すれば」
「あっ、わかりました?」
「はい、ヘリは艦載機には弱いですね」
「対艦攻撃はかなりのものですが」
 だがそれでもだというのだ。
「艦載機との戦いはどうにもなりません」
「ではまずはヘリを狙いましょう」
 小澤はその作戦をすぐに決めた。
「そして艦隊を丸裸にしてからです」
「敵の艦隊への攻撃ですね」
「ヘリはミサイルで撃墜しまして」
 小澤はその戦術を具体的に話していく。
「それからビームや爆弾で艦艇を攻撃しましょう」
「何か話がとんとん拍子で進むな」
 フランスは小澤とリディアのやり取りを聞いて言った。
「いいことだな」
「そうですね、敵が新兵器で来ましても」
 フランス妹がその兄に応える。
「いい流れでいきますね」
「人材が多いんだな、やっぱり」
 フランスは作戦が進むことをこう分析した。
「だからだな」
「そうですね、では私達も」
「御前は機動部隊だからな」
「はい、まずはヘリを攻撃します」
「頼むな、それじゃあな」
「お任せ下さい」
 こうしてまずは機動部隊から艦載機が放たれることになった、対するソビエト軍ではジューコフがゲーペに問うていた。
「それで同志ゲーペ」
「はい、ヘリ空母ですね」
「ヘリ部隊の本格的な運用になりますが」
「お任せ下さい、訓練は積んでいます」
 それは既にだというのだ。
「充分に動けます」
「運用もですか」
「大丈夫です、対艦攻撃はお任せ下さい」
「ではまずはヘリを放ちますう」
「お願いします、同志ジューコフ元帥」
「それでは、ただ」
「ただとは」
「ヘリは艦載機に弱いかと」
 流石はジューコフだった、既にこのことを見抜いていた。
 そしてこのこともだ、彼はもう見抜いていた。
「そして操縦は艦載機より難しいですね」
「それは確かに」
「普通に動かせても実戦にはどうかです」
「ではヘリは」
「少し考えるべきとも思いますが」
 これがジューコフの考えだった。
「私としましては」
「ですがヘリ部隊の投入もです」
「同志カテーリン書記長のお考えですね」
「だからです」
 絶対者であるカテーリンの厳命だ、それ故にというのだ。
「使わねばなりません」
「そうですか、それでは」
「それで今回もですね」
 ここで出て来たのはベラルーシだ、ジューコフの乗艦である巨大戦艦のモニターにゲーペの横に出て来た。
「総攻撃ですね」
「そう厳命されています」
 ジューコフは直立不動の姿勢でベラルーシに答えた。
「同志カテーリン書記長に」
「わかりました、それでは」
「はい、それでベラルーシ殿もですね」
「勿論私も戦わせて頂きます」
 それが為に前線に来たというのだ、カテーリンに言われてのことではあるが。
「そうさせて頂きます」
「そうされますか」
「ベラルーシ殿は私と共に行動してもらうことになっています」
 見ればベラルーシの左腕には腕章がある、秘密警察の腕章だ。
「そうなっていますので」
「全てはお兄様の為に」
 ベラルーシの顔に凄みが宿った。
「働かせて頂きます」
「お願いします、それでは」
 ジューコフも応える、ベラルーシは秘密警察に属しているのでそれでゲーペと共にいるのだった。
 ジューコフはあらためて前線を見る、その彼に今度はコンドラチェンコが言って来た。
「じゃあやりますか」
「うむ、まずはヘリを出してだ」
 カテーリンの厳命通りにである。
「それからだ」
「パイプオルガンですね」
「今回もそれでいくか、だがな」
「どうもあの攻撃を見切られていますね」
「散陣で対抗してくるからな」
「あれで来られると攻撃をかわされるんですよね」
 コンドラチェンコも困った顔で言う。
「全く、敵も馬鹿じゃないですね」
「そうだな、だから彼等にシベリアを奪われた」
「少し戦術を考える必要がありますかね」
 ここでこうも言うコンドラチェンコだった。
「これからのことを」
「そうかも知れない、だが今はだ」
「はい、パイプオルガンですね」
「それでいく」
 こう隻眼の顔で言った。
「ではな」
「はい、それじゃあ」
 コンドラチェンコも応えるしかなかった、そして。
 ソビエト軍はまずはヘリを放った、小澤はそれを見てすぐに東郷に言った。
「それではです」
「今から艦載機を出撃させるか」
「攻撃目標はまずはヘリです」
「そしてだな」
「次に艦艇です」
 優先順位はそうなっていた。
「そうしますので」
「わかった、それではな」
「はい、では」
 すぐにその艦載機達が発艦する、そして。
 彼等はまずそのヘリ部隊にミサイルを放つ、その時だった。
「いいか、まずはだ」
「はい、ミサイルは全てですね」
「敵のあの変わった艦載機に向けるんですね」
「ヘリというらしいがな」
 艦載機部隊の隊長が部下達に言う。
「どうやらな」
「ヘリ、ですか」
「あれはそう呼ぶんですか」
「ドクツで開発されていたらしいな」
 隊長も既にこの話を聞いて知っている。
「それがソビエトに伝わってだ」
「こうしてですか」
「俺達の前に出て来たんですね」
「そういうことだ」 
 まさにそうだというのだ。
「宙で止まったり垂直に上下左右にも動ける」
「それはかなり凄いですね」
「それはまた」
「そうだ、しかしだ」
 性能は凄い、だがそれでもだというのだ。
「その操縦は相当難しいらしいからな」
「じゃあ今はですか」
「とりあえずは」
「ああ、練度はそれ程ではない筈だ」
 事実上はじめての大規模な運用だ、それではだった。
「到底だ」
「それではですね」
「今は」
「そうだ、今はだ」
 こう言ってそしてだった、そのうえで。
 彼等は今はミサイルを放った、そのミサイル達がまだ編隊としての運用は充分ではないヘリ達に向かうのだった。
 そのミサイルはヘリ達にかわしきれるものではなかった、それで。
 ヘリ達は次々に撃沈されていく、彼等は瞬く間にその戦力を失った。
 小澤はその戦局をモニターで見ていた、そしてこう言った。
「では後はです」
「はい、敵艦隊ですね」
「彼等をですね」
「攻撃して下さい」
 まさにそうしろというのだ。
「戦力がなくなった空母よりもです」
「敵の戦艦ですね」
「彼等への攻撃をお願いします」
「了解です」
 パイロット達は小澤の言葉に応える、かくして。
 まずはヘリ達を出して戦力ではなくなった空母達は放置され戦艦達が攻撃された、ビームや爆弾を使って。
「くっ、ビームといえどもな」
「威力が違うな」
「何だ枢軸軍の艦載機の攻撃は」
「妙に強いぞ」
 ビームでもかなりのダメージを受けていた、それでだった。
 ソビエト軍の艦艇は次々と撃沈されていく、だがジューコフはそのことも折り込み済みであり動じていない。
 彼は冷静にこう言ったのである。
「いいか、今はな」
「はい、これからですね」
「パイプオルガンですね」
「それから突撃を仕掛ける」 
 シベリア戦と同じ戦術だった、ここまでは。
「しかしだ」
「しかし?」
「しかしといいますと」
「攻撃目標は集中させる」
 これまでの広範囲攻撃ではないというのだ。
「今はな」
「?といいますと」
「どうされるのですか?」
「敵の指揮艦を集中的に叩く」
 そうするというのだ。
「今回はそうする」
「では敵の旗艦大和を狙うのですか」
「そうされるのですね」
「そうだ」
 まさにその通りだというのだ。
「ここはな」
「まずは頭をですね」
「敵の頭を叩くのですね」
「どうやらこれまで東郷司令の指揮にも負けている」
 東郷の水際立った戦術指揮、それをどうするかというのだ。
「だからここはだ」
「大和をですか」
「あの艦を叩くのですね」
「そうする、後は数で押す」
 指揮艦を潰したそれからのことももう決めていた。
「ではな」
「そうだね、それがいいね」
 ロシアがジューコフのその決定に頷いた。
「ここはね」
「そうです、今はです」
「敵の司令官の指揮がとにかく凄いから」
「それでも負けていますので」
「だったらまず敵の司令官を叩く」
「そうしましょう」
「わかったよ、じゃあ大和に集中攻撃を浴びせよう」
 ここは是非にというのだ。
「それじゃあね」
「それでは」
 こう話してそうしてだった。
 ソビエト軍はパイプオルガンを大和に集中させた、すぐに凄まじい量のビームとミサイルが大和に殺到した。
「な、何だこのビームの量は!」
「全て大和に集中させてきたか!」
「まずい、このままでは」
「大和といえど!」
「司令、ここは」
 秋山も東郷に言う。
「最早」
「ああ、総員退艦だな」
 東郷も覚悟していた、まさにそういった状況だった。
「仕方ないな」
「後でウラジオストクまで下がって」
「そのうえで修理だな」
 満州にも修理工場があるがそこにも設けたのだ、ウラジオストクはソビエトとの戦いにおける重要な拠点の一つになろうとしているのだ。
「そしてそこからだな」
「今度はチェルノブですね」
 例えやられてもそれで諦めるつもりはなかった、だが大和からの退艦は覚悟していた。
 東郷は他の艦、具体的には小澤の乗艦である赤城に移るまでの指揮はその彼女か田中、若しくはダグラスに任せようと考えていた、だがここで。
 宇垣が出た、彼は自らの乗艦である金剛を大和の前に出したのだ。
 そのうえで無数のビームとミサイルを受けて轟沈した、これには秋山も驚いて思わず声をあげて叫んだ。
「外相ーーーーーーーーーーっ!!」
「案ずるな、生きておる!」
 金剛から出る脱出用の小型艇からの言葉だ。
「総員無事だ!」
「何と、ご無事でしたか」
「うむ、わしは生きておる」
 金剛は轟沈したがそれでもだというのだ。
「だから安心せよ」
「だといいのですが」
「しかしまたやられてしまったわ」
 ここで言うことが変わった、そしてその宇垣がモニターに出ると。
 首だけだった、その機械の首だけで言うのだ。
「全く、またわしだけだった」
「あの、お身体は」
「退艦の時に吹き飛んでしまったわ」
 それで首だけだというのだ。
「乗員の他の者は全員五体満足だがな」
「外相だけですか」
「全く、困ったことだ」
「あの、サイボーグでないとあんた死んでるわよ」
 ランファもその宇垣を見て目が点になっている。
「首だけって」
「これは幾ら何でも有り得ない的な?」
 香港も唖然となっている。
「俺も驚いた的な」
「俺首だけで生きてる人はじめて見たわ」
「俺もや」
 スペインもブラジルも唖然となっている。
「サイボーグってある意味便利やな」
「あれで生きてるんさかいな」
「全く、困ったものだ」
 口ではこう言う宇垣だった。顔もそんな感じだ。
 しかし彼は生きている、それでこう言うのだった。
「だが生きてさえいれば奉職出来るまた起き上がるぞ」
「心の底から尊敬しますよ」
 東郷も真顔でこう言うばかりだった。
「真希にも話しておきます」
「うむ、真希ちゃんや子供達の手本になれば冥利に尽きる」
 宇垣にしても満足だというのだ。
「ではまたサイボーグ手術を受けようぞ」
「お陰で助かりました、有り難うございます」
「礼はいらぬ、ではな」
 こうして宇垣は首だけになりながらも戦線を離脱した、かくして東郷を集中的に狙ったパイプオルガンは失敗に終わったのだった。
 そしてそれからだった、今度は。
 枢軸軍の反撃だった、シベリア戦と同じくビームと鉄鋼だでダメージを与え。
 もう一度艦載機を放つ、最早ヘリもないソビエト軍は彼等に集中的に攻撃されるだけだった。
 その攻撃が終わったところでだ、ゲーペがジューコフに言って来た。
「同志、もうです」
「はい、仕方ありませんな」
「撤退すべきかと」
 こうジューコフに言ったのである。
「これ以上ここで戦ってもです」
「その通りですな、ではここは」
「同志カテーリン書記長には私からお話しておきますので」
 厳しい懲罰は避けられるというのだ。
「ご安心下さい」
「かたじけない、それでは」
「はい、撤退しましょう」
 こうしてソビエト軍は撤退を決定した、そのうえでだった。
 ロシアが後詰に出た、だがゲーペはその彼にも言う。
「祖国殿が行かれることはありません」
「ううん、まあここはね」
「後詰になられるのですか」
「僕もちょっとは仕事をしないとね」
 こういつもの素朴な口調で話す。
「だからここは任せてよ」
「わかりました、それでは」
「それじゃあ、皆逃げて」
 ロシアは己の国民達にも言う。
「僕が敵を防ぐからね」
「お兄様、それではです」
「ここはお任せします」
 ロシア妹とベラルーシが兄を気遣う顔でモニターに出て告げた。
「チェリノブで待っています」
「そこで」
「あったかいボルシチ頼むね」
 ロシアは彼等にもにこりと笑って告げた、そうして。
 追撃で総攻撃を仕掛けようとする枢軸軍の前に立ちはだかった、そのうえで彼等の総攻撃を受けた。だが。
 全く動じていない、これにはキャロルも驚いて声をあげた。
「全然聞いてない!?嘘でしょ」
「全弾命中した筈だ」
 これはブラックホークも言う。
「それで何故平気だ」
「スノーさんだけじゃないよ、冬将軍は」
 ロシアは唖然としている彼等ににこりと笑って言うのだった。
「僕だってそうなんだよ」
「まさか、ロシアさんまで冬将軍だったとは」
 フランス妹もこれには驚いている。
「恐ろしいことです」
「じゃあ私達の攻撃が半分しか効かないのね」
 ここでこう言ったのはセーシェルだった。
「つまりは」
「防寒はしている筈よ」
 キャロルがこのことを言う。
「第八世代の艦艇は全部最初から防寒、防塵が出来ているのよ」
「それでどうしてなのかしら」
「ロシアの冬ってそこまで凄いの?」
「その冬将軍の能力は」
「あっ、僕冬将軍に加えて防空とバリアもあるから」
 それもあるというのだ。
「これ位じゃね」
「それでか」
「ここまでダメージを与えてもなの」
「後この人桁外れの体力と生命力と回復力があるんだよね」
 ここで言ったのはフィリピンである。
「そうそう簡単にはね」
「じゃあ、今度はチェリノブで会おうね」
 ロシアはにこりと笑いつつ己の艦隊を撤退に移らせた。
「またね」
「あの、お兄様」
 その撤退するロシアにベラルーシがこっそりと通信を入れて来た。
「撤退の際ですが」
「誰か逃げ遅れたのかな」
「ラーゲリの施設はそのままにしてしまいました」
「じゃあ老人ホームとかも?」
「はい、そのままです」
 放置したまま撤退してしまったというのだ。
「そこにいる人民奉仕者達もです」
「そうなんだ、仕方ないね」
「あの男もです」
 ここでこうも言うベラルーシだった。
「そのままです」
「ちょっとまずいかな」
「すいません、私のミスでした」
「ベラルーシのせいじゃないよ、それは」
 ロシアはそれは彼女のせいにはしなかった。
 そのうえでだ、こう妹に言ったのである。
「皆そこまで考えが及ばなかったからね」
「では」
「僕ももう撤退するからね」
 ロシアはベラルーシにあらためて言った。
「じゃあチェリノブでね」
「はい、そこでまた」
 こう話してそうしてであった。
 ロシアも撤退シラーゲリでの戦いも終わった、枢軸軍はラーゲリも制圧したがそこで見たものはというと。
 ダグラスはラーゲリの中を見回して難しい顔でアメリカに問うた。
「祖国さんはここについてどう思う?」
「ラーゲリだな」
「ああ、ここな」
 ラーゲリの中は暖房もあり給食も居住施設もそれなりに充実していた、皆決まりに従って決まった時間に起きて食事を摂り身体を動かし風呂にも入る、だがそこは。
「誰もが四十になれば定年してか」
「ここに入ってだな」
「余生を過ごすのかよ」
「確かに人間は四十になったら身体能力が落ちるけれどね」
 二人と一緒にいるアメリカ妹も難しい顔でそのラーゲリを見回しながら言う。
「けれどこれはね」
「どうなんだろうな、紋切り過ぎだろ」
 ダグラスもサングラスの奥で難しい目になっている。
「人間幾つまで働けるかその人それぞれだしな」
「働きたい人間を無理に引退させるのはよくないぞ」
 アメリカも今回は複雑な顔である。
「これは少しな」
「政策としては頷けないな」
「僕もそう思う」
 こう話す彼等だった、山下もそのラーゲリを見回しつつ難しい顔で台湾に問うた。
「台湾殿はここについてどう思われますか?」
「こうした場所はどうも」
「やはりそうですか」
「働きたくとも仕方なく入っている人も多いですね」
「あまりこうした政策はよくありませんね」
「はい、そう思います」
 台湾もこうした考えだった。
「どうにも」
「これが共有主義の一面ですか」
「四十はそれ程歳でしょうか」
「いえ、私はそうは思いません」
 山下も同じだった、やはり難しい顔で言うのだ。
「四十はまだこれからです」
「平均寿命を考えましても」
 どの国でも九十を超えている、それではだ。
「それはとてもです」
「そうですよね、ソビエトのこの政策は聞いていましたが」
「余生のことは気にしなくていいとはいってもです」
 それでもだというのだ。
「これは幾ら何でも」
「四十で終わりだと思ってしまいますよね」
「それでは人生が面白くありません」
「しかも老人ホームにこれだけの数の人を入れますと」
 この問題もあった、この政策の問題点は考えれば考える程あった。
「予算も莫大なものになります」
「そうなりますよね」
「施設とその運営、そして人員と」
 山下も陸軍長官として考えていく、そして言うことは。
「莫大なものになりますから」
「この政策はあまりにも非合理的です」
 これも秋山だけの見方ではない。
「あまりにもです」
「こんなことを政策を敷いては」
 どうかとだ、彼等は話すのだった。
 そしてその話をしてそのうえでなのだ。
 山下は台湾にこう結論付けた。
「この政策も共有主義自体もかなりの問題点がありますね」
「完璧な主義であり政策と思われていますが」
「この世には完璧なものはありません」
 山下の持論にもなっていた、彼女は仕事については完璧主義者だがそれと共に完璧なものなぞこの世にはないこともわかっているのだ。
 それでだ、このラーゲリについても難しい顔で言ったのである。
 ラーゲリのことを話してもそしてであった。
 ラーゲリのことは太平洋諸国に伝わった、彼等はその政策を知り呆れそのうえで全否定した、これがカテーリンをさらに怒らせたのは言うまでもない。 
 そしてそのラーゲリの星の一つについてだ、東郷はリディアにこう言われたのだ。
「実はそこにです」
「そこに?」
「ロマノフ皇室の人がいるんですよ」
「あの皇室の人は全員国外に逃げたんじゃなかったのか?」
「逃げ遅れてそれで収容所に入れられた人もいるんですよ」
 そうした者もいるというのだ。
「実は」
「成程、それでその人とか」
「会われますか?」
 リディアはこう東郷に問うた。
「そうされますか?」
「そうだな、それならな」
 東郷もリディアの言葉に乗った、そうしてだった。
 彼女が教えてくれたその星の施設の一つに日本と共に行くとだった。
 二人と共に進む韓国がこんなことを言った。
「何か異様な雰囲気がするんだぜ」
「はい、確かに」 
 日本も韓国のその言葉に頷く。
「これはどうも」
「妙なんだぜ、この感じは」
「人がいるのはわかりますが」
「プレッシャーを感じるんだぜ」
 これが韓国の感じていることだった。
「それも異様なまでになんだぜ」
「尋常なプレッシャーではありませんね」
 日本は進みながら首を傾げさせていた。
「どういった人がおられるでしょうか」
「ロマノフ皇室の人か」
 東郷はこのことから考えて言う。
「そうだな、あの家となるとな」
「ロマノフ皇帝は退位して即座に国外に亡命していますね」
「エイリスにな」
 今ではそこで爵位を貰って生きている。
「皇室の大抵の人がそうだったな」
「そうでしたね、ですが」
「ソビエトに残っている人もいるんだな」
「その存在が秘密にされていたのですね」
「そうだな、一体誰だ」
 東郷はそれが誰かも考えて言う。
「わからないな」
「誰かいたんだぜ?あの家で行方不明の人は」
 韓国も誰かわからず首を捻る。
「一人も心当たりがないんだぜ」
「私もです。殆どの方が命からがら亡命された筈ですが
「それで誰なんだぜ?」
 三人共それが誰かわからない、しかしその部屋の前に来て。
 東郷が扉をノックした、すると中から異様な男が出て来た。
 サングラスにカットいた格好のいい髭、そして。
 緑のアフロヘアだ、そこにはカメレオンまでいる。
 その異様な男を見てだ、韓国は思わずこう言いそうになった。
「あんたまさかへ・・・・・・」
「韓国さん、幾ら何でも初対面の方にそれは」
「けれどこの人どう見てもなんだぜ」
 しかも服は体型が出るものだ、ズボンはタイツを思わせるまでだ。
 それではだとだ、まだ言う韓国だった。
「誰なんだぜ、この人は」
「ここまで目立つ方がロマノフ皇室におられたのですか」
「ははは、私のことは知らないみたいだね」
 ここでその男が言って来た、気品と気さくさを兼ね備えた口調である。
「私はクワトロ=亜空というのだが」
「クワトロ=亜空ですか」
 日本がその名前を聞いてこう言った。
「確か皇室の中でも軍事的才能に秀でた」
「そう聞いているんだね」
「はい、ですがその人は確かエイリスに亡命されたのでは」
「いや、それは妹だ」
「妹さんがおられたのですか」
「そうだ、確か今の名前はセイラだったか」
 亜空はこう話していく。
「まあ私もこれは本名ではないのだが」
「何というのですか?本当のお名前は」
「キャスバルというのだよ」
 これが彼の本名だというのだ。
「キャスバル=ズム・・・・・・この名前なのだがね」
「ああ、赤い何とやらなんだぜ」
 韓国はその本名を聞いてこう言った。
「あんたがだったんだぜ」
「そう、それが私なのだよ」
 カメレオンが動き舌を出す頭をそのままに語る。
「シャアという名前もあるがね」
「何故そこまで偽名が多いのかわかりませんが」 
 日本もそこが気になる、だがここで。
 東郷は亜空にこのことを問うたのだった。
「それで貴方はどうしてここに」
「私がここに収容されている理由か」
「はい、それはどうしてでしょうか」
「皇室は例外なくラーゲリで隔離される決まりだった」
 ソビエトの法律ではというのだ。
「しかし私はその軍事的才能を買われてカテーリン書記長に提督になる様に誘われた」
「それでもですか」
「共有主義の堅苦しさが気に入らなくてね」
 クワトロはその濃い顔で笑って言う。
「それで断ってここに入ったのだよ」
「そうだったのですか」
「そう、それでなのだよ」
 こう東郷に話す。
「ここで適当にトレーニングをしたり本を読んだりプラモデルを作ったりして時間を潰していたのだよ」
「ソビエトは貴方を殺そうとはしなかったのですか」
「あの娘はそこまで冷酷ではないらしいね」
 亜空は自分をここに入れたカテーリンのことをあの娘と呼んで話した。
「だから私はここに入れられるだけで済んだのだよ」
「そうだったのですか」
「食事も出ていたしね、それなりに快適だったよ」
「ではこれからは」
「さて、どうしたものか」
 部屋の外を見回しての言葉だ。
「ここを出ることになるかな」
「どうされますか?」
 日本がその亜空に問うた。
「もう貴方は自由ですが」
「私を解放してくれるんだね」
「その通りです、ではこれからは」
「そうだね、それなりに快適に楽しかったとはいえね」
 それでもだというのだ。
「やはり私は軍人だからね」
「では」
「君達のことを詳しく話してくれるか、そのうえで決めたい」
「わかりました、それでは」
 日本は亜空の言葉を受けてすぐに説明した、そしてだった。
 亜空は全て聞いてからこう彼等に答えた。
「わかった、ではだ」
「私達の軍二参加して頂けますか」
「そうしてもらいたいがいいだろうか」
 亜空の方から問う形だった。
「戦艦の指揮には自信がある」
「それでは」
「早速戦線に加えさせてもらうとしよう」
 こうして亜空が加わることになった、枢軸軍はまた一人優れた人材を加えることになった。
 しかしチェリノブ侵攻はまずは艦隊の修理からだった、それに時間を割いている間に。
 自身の会心の政策の一つであるラーゲリでの老人ホーム政策を枢軸諸国に否定されたカテーリンは顔を真っ赤にさせてゾルゲに叫んだのだった。
「ゾルゲ大佐、今すぐ作戦を発動させるのです!」
「既に準備は整っています」
「日本に潜入してですね」
「既に潜入ルートも確保しています」
「私も共に行きます」
 ここでもベラルーシが出て来た。
「秘密警察の一員として」
「僕もね」
 ロシアも動向を願い出る。
「そうしていいかな」
「お願いします」
 カテーリンは顔の色は戻したがそれでも怒った顔でロシアにも言った。
「では皆さんでお願いします」
「日本の同志達のアジトが大使館の役割を果たしていますので」
 今ソビエトは枢軸諸国と断交しているので大使館はない、しかしそれでもそれに準ずる場所を設けているというのだ。
「そこから出入りします」
「それではそこから工作部隊を次々と送り」
「作戦を実行に移します」
「ではこちらからも人造人間を提供しますね」
 ロリコフもいる。
「お約束通り」
「では今より」
「まあ向こうがチェリノブに来るまでにね」
 それまでにだというのだ。
「まずは日本を乗っ取りましょう」
「それでは」
 ゾルゲも応える、そしてだった。
 彼はその計画を即座に実行に移した、戦いは前線だけで行われるものではなかった。
 カテーリンはその彼を見送った後でこうミーリャに言った。
「やっぱりああした人がいてくれるのもね」
「うん、心強いよね」
「そう思うから」
 こうミーリャに話すのだ。
「大佐がいてくれたら今度の作戦は大丈夫よ」
「そうね、ただ一つ気になることはね」
「気になることって?」
「日本には結構手強い人がいるみたいよ」
 カテーリンにこう話したのである。
「どうやらね」
「誰?あの女好きの海軍長官?」
「この場合はあの人よりも陸軍になるみたいだよ」
「陸軍って。あそこに誰かいたの?」
「山下長官、あの人がいるから」
 日本帝国の両輪の一方だ、彼女がいるというのだ。
「それに明石大佐って人もね」
「明石大佐?そういえば日本帝国に凄い工作員がいるって聞いたことがあるけれど」
「そうした人もいるらしいからね」
「だから大佐も人造人間を連れて行ったのね」
 彼だけで行くのではなく、というのだ。
「それにベラルーシさんも行って」
「そうだと思うよ、大佐もわかってるのよ」
「そうなのね。ただそんな人がいたら」
「まだ誰か必要かな」
「祖国君、いい?」
 カテーリンはすぐに同室していたロシアに顔を向けた。彼はまだ残っていたのだ。
「冬将軍の力も使っていいから」
「あっ、あれ使っていいんだ」
「ラーゲリの戦いでも使ったのよね」
「うん、それで撤退したよ」
「日本でも使って、いざとなったら」
 まさにその時にだというのだ。
「それで作戦を成功させて」
「それじゃあね」
 こう話してだった、ロシアは敬礼をしてゾルゲの後についていった。これまでとは別の戦いがはじまろうとしていた。


TURN100   完


                           2013・4・8



宇垣外相がまたしても。
美姫 「とうとう首だけになっちゃたわね」
深刻なはずなのに、何故か誰もが落ち着いていると言う。
美姫 「何はともあれ、今回は宇垣が文字通り身体を張って活躍ね」
だな。結構、被害は出てしまったけれど、新たな仲間も増えたし。
美姫 「とは言え、何やら怪しい動きもあるみたいだし」
流石に一筋縄ではいかないだろうな。
美姫 「一体どうなるのか、気になる次回は……」
この後すぐ!



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