※このお話はPCゲーム「とらいあんぐるハート3」とTVアニメ「魔法少女リリカルなのは」の融合作品です。
しかし基盤となるのは「とらいあんぐるハート3」なので、士郎は死んでますし、恭也はALLエンド&フリーです。
「魔法少女リリカルなのは」はキャラ追加のみを目的としたと捉えてください。
―――放課後。時刻は夜も遅く21:00前。
ここは海鳴市内にある一軒の洋風喫茶店内。
「……よ、よろしくお願いします」
喫茶店の制服に身を包んだ少女は、やや緊張した面持ちで目の前にいる同じ制服姿の人達に挨拶をした。
「うんうん♪フェイトちゃんよろしくねー。
あ〜んもう、エプロン姿も似合ってて可愛い〜〜♪」
そう言って、その中でも一番存在感のある妙齢の女性に抱擁&頬擦りされる貧乏女子学生。
『あ、あはは…』と後ろで苦笑する友人を見ながらこうなるに至った経緯を思い返す。
『 Dreieck Herz -Lyrical- 』 ACT.02
――――話は昼休みに遡る。
場所は私立聖祥大付属中学の中庭。
生徒達がそれぞれ仲良しの友人達と華やかなランチタイムを満喫している中、ひとりの少女の慟哭が響き渡る。
「なぁんですって〜〜〜〜っ!?」
今朝方、教室に来た時にはいつの間にかご機嫌だったフェイトを不思議に思ったため
自分が去ったあと何があったのかをすずか達に聞いていた、犯罪者Aことアリサである。
「くぅぅ、朝イチから恭也さんに会えたはずなのに、まさかそのチャンスを逃すなんてっ……
その上恭也さんに"何でもひとつ命令権"まで行使できるとは……」
ぷるぷると拳を震わせているが、自業自得の結果なので強いことは言えないようだ。
むしろ自分が撒いた種であるからこそ、悔しいのかも知れない。
そういえば結局デート……というか恭也のお詫びに関しては有耶無耶になってしまっていたことを思い出し
ちょっと残念だったかな、とフェイトは思い耽っていた。
「こうなったら勝負よフェイト!
どちらが先に恭也さんを虜にできるか―――」
いつのもように『勝負』をけしかけるアリサ。
そんな彼女をショートカットの少女がやんわりと止める。
「そうは言うてもアリサちゃん?フェイトちゃんは下着姿を見られたんやでー?
勝負にしたって、どちらかと言えばアリサちゃんの不戦勝やないんか?」
関西弁のイントネーションで言うのは、今朝は日直のため「スカートめくり事件」を体験していない八神はやてであった。
「何を言ってるのはやて!これはむしろ好イベントよ!!」
「好……イベント?」
被害者であるフェイトには好イベントの意味がイマイチわからないらしい。
なのはとすずかは何となくわかっているようだ。
「憧れのステキな大人の男性……。
妹のように可愛がってもらえるのも嬉しいけど、やはりひとりの女として扱って欲しいのも事実。
しかし自分達はまだ心身共に未成熟な中学一年生」
祈るような仕草で天に向かって語る犯罪者A。その姿は聖母マリアに見えなくも無い。
一方、その言葉が少し胸に痛いフェイト。
今朝の一件でそんなことはないと思うが、やはり不安は拭いきれない。
そんな心配を他所に『まぁ世の中には特殊な趣味の人もいるけれどね』と前置きしてアリサは続ける。
「普通なら、二十歳を超えた男性が私達みたいな少女になびく事はないけれど………」
「「「「 けれど? 」」」」
4人がハモる。
「いつの間にやら予想以上に成長していた少女の下着姿を見て、
"妹のような存在"から"気になる女性"へとステップアップさせる好イベントを用いればその概念は十分覆せる!
恋はインパクトって誰かも言ってたし!」
「「「「(誰だよ)」」」」
4人が心の中で突っ込む。
「そんな必須イベントを逃した所か、あまつさえ敵に塩を送るハメになるとはぁぁぁ〜〜〜……」
と、喋ってる内に段々と沈んでいくアリサ。
いつも通り暴走気味だが、納得できる部分も多々あると頷く面々。
やはりそういう強烈なイベントが恋には不可欠であるのだろう。
今だフリーの五人組に経験談を語ることは出来ないが。
「まぁまぁアリサちゃん。また今度恭也さんのお家に遊びに行こう?
なのはちゃんもいいよね?」
と、アリサの頭を撫でながらなのはを見る。
「うん!いつでも来てよ♪」
「そういうことです。
はやてちゃんもフェイトちゃんも一緒に行こうね♪」
「もちろんや♪」
「…うん♪」
そう言って凹んでいるアリサを慰める4人。
しかしすずかの発言は今朝フェイトに塩を送りまくっていた人とは思えない。
どうやら彼女は姉同様、事態を面白くするのが好きなようだ。
本来ならアリサ『のみ』を連れて高町家を訪れる所なのに、フェイトまで誘っているのが証拠と言える。
「……うん。そうだね。
いつまでもクヨクヨしてても仕方ないし。
この遅れを取り戻すために、一気に恭也さんに迫ってみせるわ!」
ある種の使命感に燃えるアリサに、ホッとする一同。
やはり彼女はこうでなくてはならないと全員が実感した。
―――昼食も摂り終わり、しばし談笑していたときにふと、なのはが尋ねる。
「そういえばフェイトちゃん……。結局今朝、アルフさんが言ってたことって何だったの?」
その言葉に『そうよそうよ!』と言い出したアリサを後ろですずかが嗜めている。
「?」
事情の分からないはやてのために、なのはは今朝のやり取りを聞かせる。
――――5分後
「なるほどな〜。フェイトちゃんが暴走したわけはそういうことやったんかー」
「スカートめくり事件」のまでの経緯を聞いた彼女はどこか楽しそうだ。
逆にフェイトは複雑な顔をしている。
「ふんふん。で、フェイトちゃん。何かあったわけやな?
アルフさんがウチらに相談しろって言うくらいやし」
アルフの性格を掴んでいるはやてはそう語りかける。
まぁ家に個性的な同居人が4人も居れば性格を掴むのはさして難しいことではないだろう。
「うん。………実はね」
はやての気さくな雰囲気に毒されたのだろうか。
今朝は話すのを躊躇っていた昨日の出来事をフェイトはポツポツと語り始めた――――。
「………と、言うわけなの」
「「「「……………………」」」」
フェイトの話を聞いた4人は依然沈黙を保ったままだ。
それもそのはず。
普通に暮らしている(魔法少女を普通というかは置いといて)少女の悩むような内容ではないからだ。
「なるほど。それで今日のフェイトの昼食はどこかしら質素だったのね」
暴走しながらもフェイトを注意深く見ていたアリサがそう語る。
「それにしても」
「お金――――か」
この中では一番お金の重要さを理解しているなのはは呟くように言った。
「確実なのは……やっぱりアルバイトかな?」
人差し指を口元にあてながらすずかがそう言うものの
「そやけど、いきなりフェイトちゃんひとりで行って大丈夫かなぁ?
たかがアルバイトにウチらがついて行くわけにもあかんし」
どちらかと言えば人見知りするフェイトの性格を知るはやては先程のすずかの案に否定的だ。
「でも、アルバイト以外にお金を稼ぐ方法なんてないだろうし…」
と、難色を示すのはアリサ。
「………そもそも中学生ってアルバイト禁止なんじゃないの?」
5人の中では一番の常識人であるなのはがそう言うが、他の4人はそういう感覚を持ち合わせていないようだ。
「「「「えっ?そう(なの)(やの)?」」」」
4人の勢いに怯みながらなのはは答える。
「え、えーと、確か。
絶対ダメってことはないけど、経済的理由とかで余程重大な事が無い限りアルバイトは禁止のはずだよ?
ウチは私立だからその辺緩いかも知れないけど、公立の学校は高校生でも出来ない所多いみたいだし」
フェイト達が通っているこの聖祥大付属は由緒正しきお嬢様学校である。
生徒の中には資産家の娘も数多いため、『アルバイト』というものとは基本的に無縁な学園生活だ。
「……理由。
経済的理由なのは間違いないみたいだけど」
アリサの言葉にはやても続ける。
「そうや。このままやと暮らしてけへんやったらこれ以上ない理由やろ」
「そうか。そうだよね……」
表情が明るくなるフェイト。しかし――――
「あ、でもアルバイトには保護者の承諾がいるんだけど…」
なのはの言葉に再び影を落とす。
そもそもその「保護者」が不在なためこのような状況になってるわけで。
かと言って、親の居場所を聞かれた際には「異次元です」などと答えることもできない。
5人とも「うーん」と思案している中、ひとりの少女が名案が浮かびました、と言わんばかりに
「いい事思いつきました♪」
ポン、と手を叩きながら言うので4人は一斉に少女――すずかに注目する。
「さすがアルフさんです」
なぜここで彼女の名前が?と疑問を浮かべる一同にすずかは続ける。
「今朝、アルフさんはフェイトちゃんに相談するように言ってましたけど相談相手がなのはちゃん『限定』だったよね。
恐らく昨日も『私達』ではなく『なのはちゃん』に相談するように言われなかった?」
「………あ、そういえば……」
フェイトの答えに満足そうに頷くすずか。
「アルフさんも私たち一介の中学生にどうこう出来る問題でないことは承知してるはず。
そこで敢えて『なのはちゃん』に相談するように仕向けたということは……」
「あ、なるほど☆」
なのはが一早く反応する。
しかし他の3人はすずかの言わんとしていることがわからない。
「えーと……?」
「つ・ま・り、フェイトちゃんのアルバイト先は『喫茶翠屋』さんに決定〜、というわけです♪」
「「「…………」」」
ようやく事態を飲み込めた3人。
はやては『アルフさん、やるなぁ』と感心しているが
「「ええぇぇ〜〜〜!?」」
残りの2人は驚くだけだった……
そういったやりとりがあったため、放課後現在、5人はなのはの母が経営する『喫茶翠屋』へと向かっていた。
トボトボと歩いているフェイト。周りの4人を見るとため息しか出てこない。
なのははフェイトが翠屋で働くことになるのが嬉しくてご機嫌モード、
はやては資金問題が解決することを喜び、すずかは『恭也と同じ職場』になるフェイトを楽しそうに見ている。
アリサに至ってはすずか同様『恭也と同じ職場』になるフェイトに対して思うところがあるが、その内容はすずかとは全く正反対。
4人が4人の思いを秘めたまま、一同は翠屋へ進路を取っているが、当の本人であるフェイトは昼休みからひとつの疑問が晴れないようだ。
「(………どうして、既に採用が決定している雰囲気なんだろう……?)」
採用が決まってもないのに、昼休み以降アリサから突き刺さるような視線を浴びているフェイトは困惑するしかなかった。
確かに翠屋の店長である高町桃子とはなのはを通じて親交がある。
普通の頼みごとであれば桃子の性格も手伝って即OKしてくれるといっても良いだろう。
しかし仕事となれば話は別だ。
仮にも桃子は一店舗の経営者。
どんな経営者でも仕事の出来ないアルバイトにお金を払う道理はない。
その上、自分は口下手だし愛想だって良い方ではないので、どう考えても接客業には向かない筈だ。
自分の性格は4人の方が自分以上に知ってるはずなのに、どうしてか誰も突っ込もうとはしない。
顔見知りだから多少ぎこちなくてもOKという事も考えられるが、逆にそれだと、いざというとき解雇しにくいという側面もある。
「(……そもそも中学生のバイトがダメだと言ってたなのは自身が薦めてるのもおかしいし…)」
フェイトの不安は翠屋に着くまで延々とループを繰り返していた。
そうして20分後。
到着した翠屋は戦場と化していた。
「松っちゃん!4番、7番さんのブルーベリータルトとシュークリームは!?」
「まだです!4番さんはあと5分!7番さんは10分!」
「出来る限り急いで!あ、美由希!11番さんのモンブランとガトーショコラあがったわよ!」
「う、うん!」
「すいませ〜ん。注文いいですかぁ〜?」
「あ、はい!ただいま!」
「あの〜…」
「み、美由希!レジお願い!」
「りょ、了解!」
「ああ〜ん!なんで厨房スタッフが少ない時に、こんなに忙しいの〜〜!?」
「「「「「……………」」」」」
喫茶店とは思えない店内の喧騒ぶりに5人は入口で固まったままだ。
「えっと……出直した方がよさそうじゃない?」
アリサの言葉に頷く面々。
「でもなのはちゃん……手伝わなくていいのかな?」
すずかが尋ねるがなのはは早く逃げようといった様子で皆を急かす。
「わ、私もアレはちょっと勘弁して欲しいかなぁ〜…なんて思ったりするわけで……」
なのはの手は既にドアノブを掴んでおり逃走体勢だ。
「うーん。まぁなのはちゃんがいいっていうならかまわへんけど…」
「だ、大丈夫だよ、きっと! さ、どこかで時間潰して行こう?」
なのははにげだした。
「あ。な、なのはーーーーーーーー!!!」
しかしまわりこまれてしまった。
みどりやてんちょうのこうげき。
みどりやてんちょうはくろいぬのをなげつけた。
「なのは!厨房お願い!超特急で!!」
なのははエプロンをみにつけさせられてしまった。
「頼んだわよ!」
みどりやてんちょうはさっていった。
2ポイントのけいけんちをかくとく。
0ゴールドをてにいれた。
「「「「……………」」」」
「……え、えーっと。そんなわけだから……皆はどこかで時間潰して来てよ」
捕獲されたなのはは脱力した様子で4人に言う。
「うーん、でも落ち着くまで結構かかりそうだし……
それに私とすずか、今日は稽古の日なんだ」
「あ、そうなの?」
「うん。ゴメンね、フェイトちゃん」
「……ううん。気にしないで」
「ウチも皆の晩御飯作らなあかんし、今日はこれで帰るわ」
「……そうだね。この様子じゃアルバイトの話は出来そうにもないし……私も今日は帰るよ」
「そっか……ゴメンね。また今度空いてるときに来てよ。シュークリームくらいならおごるから」
なのはの言葉に目を輝かせるアリサ。
「えっ?ホント?やりぃ〜☆」
「もう、アリサちゃんったら……」
そう言うすずかも嬉しそうだ。
「そやな。今度はシグナム達も連れてくるわ」
「うん!ヴィータちゃんにもお花見以降会ってないしね。
大好物のチーズケーキを用意しとくからって伝えといて♪」
「了解や♪」
「それじゃあ、今日は帰るわ。
じゃあね、なのは。また明日」
「バイバイ、なのはちゃん」
「また明日な〜」
「……バイバイ」
そう言うとアリサ、すずか、はやて、フェイトの4人はそれぞれ帰路へと着いたので
「――――さて、私もお仕事頑張ろっ!」
なのはは戦場へと飛び込んで行った。
「それじゃあはやて、フェイト。
私達はあっちに迎えが来るから」
「そか。じゃあここでお別れやな。
また明日学校で」
「うん。それじゃあね〜二人とも」
「……うん」
アリサ、すずかを見送るはやてとフェイト。
「さて……っと。
で、フェイトちゃんはこれからどないするん?」
「………そうだね。ちょっと散歩してから帰るよ」
「ん。…そう言えば今日の晩御飯はあるんか?」
「あ…」
「…無いんやな」
呆れたようにため息を吐くはやて。
「(……どうしよう。でもはやてのことだから黙ってたら夕飯に誘ってきそう―――けど、さすがにそれはダメ。
アルバイトの件だけでもみんなに迷惑かけてるんだから、せめてそれ以外は自分で何とかしないと)」
思考時間0.12秒。
「……ううん。昨日は晩御飯に作ったのを今日までに分けて食べるようにしてたから……何とかなるよ」
「そうか。ならとりあえず今日は安心やな。
せやけど、もしひもじくなったら言うんやで?人間、身体が資本やからな」
「あはは……うん。ありがとう、はやて」
「ほな、ウチはそろそろ帰るわ。また明日な〜」
「…うん。また明日」
お互い手を振り合って見送る。
やがてはやての姿が視界から見えなくなるとフェイトは商店街の方へと歩き出した。
「……はやてにはああ言ったけど………今日の夕御飯、どうしようかな…」
(キュ〜〜〜〜〜)
考え出すと可愛らしい音が鳴ったので慌ててお腹を押さえる。
「(………とりあえずここに居てもしょうがないし……一旦帰ってアルフに相談しよう)」
往来でお腹が鳴ったのが恥ずかしかったのか、気持ち顔を赤くし、足早に自宅へ向かう。
(キュ〜〜〜〜〜)
「(また鳴っちゃった……。そんなにお腹空いてるのかな……?)」
お腹をさすってみるが、さすがにお腹のご機嫌までは良く分からない。
(キュ〜〜〜〜〜)
「(あ、また………って、これは私じゃない?)」
そう思い、周りを見渡すが視界には人一人見当たらない。
(キュ〜〜〜〜〜『ぐすっ』)
再び音がするが今度は泣き声らしきものも一緒に聞こえた。
視点を少し下げると、そこには小さな女の子が今にも泣きそうな顔で立っている。
「ぐすっ。うっ、ふぇ……?」
女の子もフェイトに気付いたのか顔を上げる。
「(……迷子………かな?)」
女の子の側には誰も見当たらない。加えて歳は恐らく4歳程度。
この夕刻に女の子ひとり、お腹も鳴り、泣きそうな顔となれば9割方迷子で間違いないだろう。
そう判断したフェイトはしゃがんで女の子の頭を優しく撫でる。
「……どうしたの?
良かったらお姉ちゃんに話してくれないかな?」
「うっ、ひっく。……おかあさんがいなくなっちゃったの」
女の子もフェイトの雰囲気に安心したのか、少し泣き止んで話し出す。
「そっか……。今日はお母さんとお出かけしてたのかな?」
「…うん。きょうは、おかあさんとおかいものにいって……」
「うん」
「それから……かえってるとちゅうでねこさんをみつけたから」
「うん」
「おいかけたけどすぐにどっかいっちゃって……それでおかあさんのところにもどろうとおもったら………」
どうやら猫を追いかけたまでは良かったが、夢中で追いかけていたため、
見失った時にはどこか知らない場所に入り込んでしまっていたという事だろう。
「お母さんがいなくなっちゃったんだね?」
「(コクン)」
頷く女の子。
「…それじゃあお母さんを早く見つけないとね。
お姉ちゃんと一緒に探そっか?」
「えっ!?ホントに!?」
「うん」
「ありがとう!おねえちゃん!」
ぱあっ、と明るくなる女の子。
「それじゃあ行こうか。…お名前は何ていうのかな?」
「みき!」
「みきちゃんか。…可愛い名前だね」
「うん!おねえちゃんは!?」
「お姉ちゃん?お姉ちゃんはフェイト、っていうの」
「ふぇいと?おねえちゃんがいじんさんなの?
かみのけもきんいろだし」
「ふふっ。そんなところだよ」
「うわーすごーい。みき、はじめてみた!」
異国の人を初めて目の当たりして興奮する少女の手を取り、フェイトは再び商店街へと繰り出した――――。
「(―――さて、お母さんについての情報はほぼ皆無といっていい状況。
となると、警察が一番確実ってことになるけど………)」
「………?? ふぇいとおねえちゃん、どうしたの?」
「……ううん。なんでもないよ」
にっこりと笑顔を返すと少女も笑顔になる。
「えへへ」
少女――みきはすっかりフェイトに懐いてしまったようだ。
みきはフェイトを『ふぇいとおねえちゃん』と呼んで慕っている。
フェイトも『みきちゃん』と呼び、あれから母親を探しながらしばらく話していたが、
この少女がいかに心優しい少女かを窺い知る事も出来た。
「(―――この状態で警察に預けるのは、あまりいい方法じゃなさそうかな……。
かと言って、何か手がかりがあるわけでもないし………思ったよりマズイ状況……)」
ひとり思案していると手を繋いだ左手から音が鳴った。
(キュ〜〜〜〜〜)
みきである。
「(そういえばこの子はお腹が空いていたんだ…)」
「みきちゃん」
ビクッ!
何か言われると思ったみきは、フェイトの呼びかけに身体を強張らせた。
「……お腹が空いたの?」
「(………コクン)」
泣きそうな顔をしながら頷くみき。
「おひるから……なにもたべてなくて……」
これは予想外であった。
まさか迷子になってからそれほどの時間が経っていようとは。
一刻も早くみきに食料を与えてやらなければ、と思うフェイトだが
(キュ〜〜〜〜〜)
「……………」
「……………」
今度は自分のお腹が鳴ってしまった。
思わず顔を赤くするフェイト。
みきはそんなフェイトをきょとんとした顔で見ている。
「「……………」」
「「……………」」
「「…………ぷ」」
「「あははっ!」」
二人揃って噴出した。
「ふぇいとおねえちゃんもおなかすいたの?」
「ふふっ。そうだね。お姉ちゃんもさっきから困ってたんだ」
「じゃあみきといっしょだね♪」
「……うん。一緒♪」
先程までより、より近くなった二人。
しかしみきと仲良くなれたのは良い事だが、それで腹が膨れるわけではないのも事実。
そう思ったフェイトはポケットの中にある財布の中身を確認する。
「(――――手持ちは……220円。少しは買えるけど、これだとお菓子程度が限界――)」
「…みきちゃん。何が食べたい?」
「え?えーと、うーんと…」
「遠慮しなくていいよ。
………と言っても、お姉ちゃんもあまりお金ないから、ひとつくらいしか買ってあげれないけど……」
フェイトとしてはお姫様の要求が220円以内であることを祈るばかりだ。
「うーんと、うーんと……」
しかしお姫様はなかなか決めきれずにいるため、こちらからネタを振ってみる。
「チョコレートとかはどう?」
「ちょこれーと?うーん、みき、ちょこよりはけーきのほうがすき!」
ケーキ。
さすがに220円では翠屋のショートケーキも買えない。
しかし空腹時の凌ぎとして『甘いモノ』の選択は間違ってないはずだ。
ならば他に買えるものを―――
「(……そういえば翠屋といえば)」
翠屋を代表する洋菓子を思い出す。
「シュークリームはどうかな?」
「しゅーくりーむ!?」
少女の目が輝いた。
どうやらビンゴのようだ。
「まえにおかあさんといった、みどりやさんのしゅーくりーむがおいしかった!」
少女は店舗名を指定するほどのグルメだったが、元々翠屋に行くつもりだったフェイトからしてみれば願ったり叶ったりである。
「…うん。それじゃあ翠屋さんに行こうか」
「うん!」
再び手を取って歩きだす二人。
その様子は仲の良い姉妹に見えなくもない。
再び翠屋。
先程訪れたときから既に1時間が経過している。
店の様子はさすがに多少落ち着いただろうと思い、ドアを開けるが―――
「松っちゃん!4番、7番さんのブルーベリータルトとシュークリームは!?」
「まだです!4番さんはあと5分!7番さんは10分!」
「出来る限り急いで!あ、美由希!11番さんのモンブランとガトーショコラあがったわよ!」
「う、うん!」
「すいませ〜ん。注文いいですかぁ〜?」
「あ、はい!ただいま!」
「あの〜…」
「み、美由希!レジお願い!」
「りょ、了解!」
「ああ〜ん!なんでフロアスタッフが少ない時に、こんなに忙しいの〜〜!?」
バタン
問答無用でドアを閉めた。
何せ先程のデジャヴか?と思うくらいの光景が広がっていたからだ。
この店の中は凍結魔法でも使われていたのだろうか。
そんな様子を不思議に思ったみきはフェイトに尋ねる。
「?? ふぇいとおねえちゃん、どうしたの?」
「(―――っと、いけない。今はこの子が優先――)」
三度、ドアをくぐる。
「いらっしゃ―――あ、フェイト?ゴメン今忙しいからあとで!」
店員の一人、三つ編み眼鏡の女性が今度はフェイトに気付いた。
この女性はなのはの姉であり、恭也の義妹である高町美由希。
恭也と同じく、ある古流剣術を修めているが、普段は読書・園芸が趣味という大人しい女性。
普通の人よりもどこか抜けているため、どこでもコケれるという特技を持っている。
また凶悪なまでの料理・機械オンチで、事ある毎に周りの人たちは被害を受けてきた。
「……あ、いえ、そうではなくて―――」
ようやく気付いてもらえたので、客として来た、と言おうとしたが
「お姉ちゃん!10番さんのシュークリームあがったよー!」
「そこに置いといて!」
高町家姉妹はそれ所ではないようだ。
いつもなら周りに気を配るなのはも、今はフェイトの姿に気付かない。
「(……困ったな。これじゃあシュークリームが買えない。かと言って……)」
目線を左下へと移す。
そこには人差し指を口に咥え、店内に存在する色取り取りの洋菓子に釘付けになっているお姫様がいた。
「(みきちゃんもそんなに待てないだろうし……。―――どうしよう)」
そこでひとつの強攻策を思いついた。
店員がいない(客として認識されてない)ため、入口で突っ立ったままのフェイトは
みきに「ちょっとお外で待っててくれる?」と外で待たせ、ひとり『カウンターの中』へ入っていく。
「(………ホントはいけないことだけど……桃子さん、ごめんなさい)」
そう言ってフェイトはシュークリーム代180円を『シュークリーム代、置いておきます。フェイト』と書いたメモ用紙と一緒にレジ横に置き、
こっそりとショーケースの中からシュークリームをひとつ取り出した。
隠れるような動きなのは、そんなつもりではないが泥棒まがいのことをしているためだろうか。
みきを外で待たせているのも無意識とはいえ、後ろめたさがあった故のことだろう。
「………よし」
目的の物は手に入れた。あとは外へと出るだけだ。
―――と、作戦は99%成功した所に、予想外の人物が現れる。
「…………フェイトさん?」
「え……?」
そこには恭也が呆然とした顔で立っていた。
エプロンをつけようとしている体勢から見るに、どうやら裏方からフロアへと仕事を切り替えている所のようだ。
「きょ、きょ、きょ、きょ、きょ、恭也、さ……ん」
これはかなりマズイ状況である。
今のフェイトは真実はどうあれ、端から見れば120%『コソ泥』の行動だ。
それを店の店員、加えて自分が想いを寄せている男性に見つかったとなれば、
恋する乙女が想い描くラブラブな展開が、これから先の将来に起こるかもしれない可能性は絶望的になってくる。
「あの……つかぬ事をお伺いしますが……………一体、何を…?」
フェイトの手にあるシュークリームを見ながら恭也はたずねる。
「(ああ……どうしよう。
よりによって恭也さんに見つかるなんて……泥棒してる女の子なんて絶対に嫌われる……!)」
フェイトは今にも泣きそうな顔になる。
一応、お金は置いてるので完全な泥棒というかはわからないが、お世辞にもいい状況とは言えないだろう。
「…………」
恭也は無言だ。
と言っても、フェイトが泥棒をしているなどとは微塵も思っていない。
言葉を発しない、正確には発せないフェイトが泣きそうな顔をしているからである。
しかしフェイトは間違いなく自分が疑われてると思っているため、身の潔白を証明するためにも理由を話そうとしたが―――
「(―――ううん、ダメ。自分のために泥棒まがいの事をしたなんてみきちゃんが知ったら、きっとまた泣いてしまう…)」
―――店の外で自分の帰りを待っているお姫様のことを思い浮かべて思い止まった。
「………」
「………」
朝のようにお互い無言になる二人。
しかし時間の無いフェイトは思い切って恭也に懇願する。
「あ、あのっ………見逃してください」
「は?」
目の前の少女が何を言っているのかわからない翠屋唯一の男性店員。
「こんな事をお願いするのは間違ってると思います。……それでもっ」
ここで初めて恭也は彼女が何を考えているかを理解した。
つまり彼女は翠屋シュークリームを無断で持ち出す……つまりは泥棒まがいの行動を見逃してくれと言っているのだ。
普通ならそんなことは到底許される事ではない。
「お願いします!」
目に涙を浮かべたまま恭也に頭を下げるフェイト。
その手はぎゅっ、とスカートを握り締めている。
「理由はあとでお話しますっ!だから……っ!」
「………」
いつも冷静沈着な彼女とは思えないほど切羽詰っている様子。
そんな恭也はフェイトに促す。
「顔を上げて下さい」
びくっと身体を強張らせながらもフェイトは顔を上げ、目の前の恭也に眼を向ける。
そうして恭也は彼女の顔を、いや、正確にはその瞳を見つめ返した。
「(……これほどまでに真摯な態度。間違ってもやましいことではないだろう……それに――)」
「…………」
「(――それにこの瞳。誰かを助けたいと願うこの眼―――――――ならば)」
フェイトの表情から、今が一刻を争う状況だと判断した恭也は快く承諾した。
「ええ、構いませんよ」
「えっ?」
一方のフェイトは、あまりにも無茶苦茶な頼みごとをしてる自分をわかっていたためか、
恭也の返答に目を丸くしてしまう。
「ですから構いませんよ。何か理由があるのでしょう?
そちらは俺のおごりということにしておきますから」
そう言って、先程フェイトがレジ横に置いたシュークリーム代を取って、フェイトの手に握らせる。
フェイトは恭也に手を握られたことに照れながらも言葉を続けた。
「で、でもっ、こんなこと…」
「…俺もあなたがどういう人かは理解してるつもりです。
いつものあなたならこんなことは絶対にしない。
それでもしなければならないということは余程の理由があるのでしょう。それに――」
恭也のその言葉に思わず涙を流すフェイト。
もちろん恭也が見逃してくれたこともあるが、何より、普段の自分を見てくれており、
それでいて自分の今の行動には理由があるのだろう、ということまで理解してくれてることが嬉しかったからだ。
「それに女性が困っている。助けるのは男として当然です」
そう言いながら、顔を赤くしてそっぽを向く。
どうやら照れているようだ。
「恭也さん……」
実際は違うが、まるで『彼女の危機は彼氏である俺が救う』ように感じた恭也の物言いに、
フェイトは胸が高鳴る感覚を覚える。
「ありがとう……ございます」
眼を閉じ、両手を胸の前に合わせてうっとりと呟く様に言うフェイト。
その姿は中学生とは思えないほど大人の魅力的を醸し出している。
そんなフェイトにますます顔を赤くしつつも、恭也は続けた。
「早く行ってあげて下さい。
……大事な人が待っているのでしょう?」
詳細はわからないが、大よその事情を推測した恭也はそう促す。
恭也の顔はいつもの『営業スマイル』ではない本当の笑顔が浮かんでおり
客席にいる女性陣たちの視線は彼に釘付けだ。
「は、はいっ!ありがとうございますっ!」
そして、その顔に見惚れながらも嬉しそうに返すフェイトの顔もまた魅力的で
客席にいる男性陣たちの視線を集めてしまっていた。
「―――さて」
フェイトが駆け出して行ったあと、店内へと目を戻した恭也は、カウンターの前に引き攣った顔をして立っている義妹兼弟子の元へと歩み寄る。
「言い訳があるなら聞いてやらんこともない」
「あ、あやややや!え、えーーと!と、とりあえずその目の前にある手を下ろして欲しいかなぁ〜なんて……」
「……ふむ。
客を客とも思わず、いつの間にかこの店の方針をセルフサービスへと改革してしまい、
客に窃盗まがいのことをさせてしまう程の経営手腕を持つ愛弟子の言いたいことはそれだけか?」
「いいいいいやいやいや!ち、違うんだって!!ちょ、ちょっと忙しくて気付かなかっただけというか、
フェイトが食べるときはいつもなのは達と一緒だから、今日はなのはに用事があって来ただけと勘違いしたというか!」
「………ほぅ。つまり貴様はこう言いたいわけだな?
『相手を記憶と外見だけで判断した結果、失態を犯してしまう』という、御神流剣士にあるまじき行為を働いてしまったと」
「………………あぅ」
「どうやら言い訳はもうないようだな。
ならばお待ちかねのお仕置きタイム――――といきたい所だが…」
「えっ?」
もしかして助かった!?などと美由希が思ったのもつかの間、師の暴行は弟子だけには留まらなかった。
「多少落ち着いたとは言えまだ営業中だ。
それに制裁を加えるべき相手はもう2人ほどいるので、営業後を楽しみにしておけ」
がっくりとうな垂れる美由希と、厨房の奥から『ギクリ!』と声を揃えて状況を覗いていた2人の女性。
「―――聞こえているようだな、高町母娘。
今日は腕の調子がすこぶる良いんだ。あとで疲れた身体をマッサージしてやろう」
「ちょ、ちょっと恭也!?わ、私達だけ!?ま、まままま松っちゃんは!?」
息子の報復が恐ろしい母親はなんとか被害を分散させようとしている。
「そ、そうだよお兄ちゃん!こ、ここで私達だけにマ、マッサージをしてくれるなんて、そんなふふふふ不公平はいけないよ!?」
母の電波が伝わったのか、受信した娘も何とか負荷の軽減を試みるが
「……何を言っている。
そもそも真っ先に彼女を気がけたのは他ならぬ松尾さんだ。
その松尾さんがなぜ『わざわざ』外で食材整理を行っていた俺を呼んだのかを聞きたいのか?」
「「「……………」」」
恭也の一言に沈黙するしかなかった。
そうして恭也は再びフロアの仕事へと戻る。
残りの3人もふらふらと糸に操られるかのように戻っていった。
ちなみに恭也の言ってることは正しいがひとつだけ違う点がある。
それは、松尾さんが恭也に言ったことは
「恭也君、フェイトちゃんが来てるよ?」
この一言だけだ。
それを聞いた恭也は――見た目こそ普通だが――急いで裏方の仕事を済ませ、
フロアへ戻ったところたまたまフェイトが困惑してる現場に出くわした、ということである。
そんなことを知らない高町母娘3人は、営業後のマッサージを想像し青褪めるしかなかったが、
厨房の陰から全ての事情を知る松尾さんは『恭也君、上手いこと言ったね……(ニヤソ』と呟いている。
「みきちゃん。お待たせ」
「あ、ふぇいとおねえちゃん♪」
翠屋からシュークリーム×1を手に入れたフェイトは、外に待たせていたみきに向かってしゃがみ込む。
ちなみに先程まで涙目だったが、乙女の技でその辺の後始末は抜かりない。
「…遅くなってゴメンね」
「ううん!」
とフェイトに頭を撫でられつつも、みきの目線は揺らぐことなくシュークリームへと注がれている。
そんなみきを見て
「ふふ。慌てなくていいからゆっくり食べてね」
そう言ってシュークリームを渡した途端、かぶりつくみき。
「…おいしい?」
「うん!とってもおいしい!」
昼から何も食べていないこともあってその顔はとても幸せそうだ。
つられてフェイトも嬉しそうに微笑む。
「(――これでひとまずは大丈夫。あとはみきちゃんの母親を見つけないと……)」
しかしここでまたもや失態を犯すフェイト。
「はぐ……はぐ……」
「………」
みきが美味しそうに食べているシュークリームを見て
「(あ、ダメ―――)」
と思った瞬間、
(キュ〜〜〜〜〜)
再びフェイトのお腹が鳴る。
夢中でシュークリームを頬張っていたみきも思わず食事を中断してしまった。
「………」
「………」
本日何度目か分からないが、顔を真っ赤にして恐る恐るみきを見るフェイト。
目が合ったみきは悲しそうな顔をしていた。
「………っ!みきちゃん……どうしたの?」
「………さい」
「……えっ?」
「ふぇいとおねえちゃん、ごめんなさい」
突然謝り出す少女。
「……どうしたの、みきちゃん?」
「……ふぇいとおねえちゃんもおなかすいてるのに……みきだけたべちゃって……」
心優しい少女は、自分だけが食事をしていることに罪悪感を感じているようだ。
少女にそんな顔をさせるつもりでシュークリームをもらってきたわけではないフェイトは慌てて弁解する。
「あ、いいんだよ、みきちゃん。
お姉ちゃんは今ダイエット中だから……あんまりお菓子は食べないようにしてるんだ」
咄嗟についた嘘だが、同じ女の子であるみきには幾分納得できたようだ。
もう少し歳を召していれば、このダイエットが嘘であることも見抜けただろうが。
「…ほんと?」
「うん。
それにそのシュークリームはみきちゃんのためにもってきたから……
みきちゃんが食べてくれた方がお姉ちゃんも嬉しいんだ」
「……うん」
そう言って再びかぶりつくみき。
フェイトは心の中でちょっぴり悲鳴をあげつつ、そんなみきをしばらく見つめていた―――。
5分後、みきはシュークリームを平らげた。
「…美味しかった?」
「うん!えへへ。おなかいっぱい〜」
「そっか。よかった……」
という会話をしたのも束の間。再びお腹の鳴る音が聞こえる。
(キュ〜〜〜〜〜)
「(え?―――これはひょっとして……みきちゃん?)」
フェイトは繋いだ手の先を見ると、今にも泣き出しそうな顔をしているみきがいた。
「あぅ………。ごめんなさい……しゅーくりーむ、おいしかったけどひとつじゃたりなかった……」
考えてみれば当然である。
いくら4歳児(予想)とはいえ、昼から何も食べていない少女が今更シュークリームひとつで満腹になるはずはなかった。
それでも少女は目の前の自分を心配させないようにと、表面上だけは笑顔だったのである。
「(――こんな小さな子に、逆に気を遣わせるなんて――)」
みきの心情を見抜けなかった自分を呪いたくなるが、今はそのときではない。
「…そっか。ゴメンね。お姉ちゃん気付いてあげられなくて」
「……ううん、ふぇいとおねえちゃんはわるくないもん」
「………」
とは言うものの、このままでは状況は好転しない。
かと言ってお金は先程の180円が戻ってきたため何かは買えるが、今の少女にそれを与えた所で結果は変わらないだろう。
『考えろ、考えろ』と思案している所に店の外側から、『見慣れた青年』が声を掛けてきた。
「あの―――もし宜しければ、自分とお茶して頂けませんか?」
「え?」
フェイト・テスタロッサ・ハラオウン 12歳。
生まれて初めて『ナンパ』をされた瞬間だった。
第2話をお届けしました、幸のない物書き さっちんです。
???「……この引きはどうなのよ?」
仕方ないだろ。元々繋がってた文章を適量と思われるサイズで区切ってるだけなんだから。
???「いや、そこを上手くまとめるのがアンタの仕事でしょ」
ハッハッハ。そんなこと俺に出来るわけないだろう。
???「威張るな!」バキッ!
ゲハアァッ!?
???「ったくもう……ところで前回も思ったんだけど、何かすずかの性格違くない?」
まぁA'sから3年くらい流れてるから、性格も少し変わったと思ってくれ。
俺の中のイメージでは佐伯理恵ちゃんに近いものがある。
???「なるほどね。アンタの趣味がどういうものなのか大体わかったわ」
ふふん。
???「だから威張るな!!」ドゴォッ!
ぷぎゃっ!?
???「で、クロスと称しつつもとらハキャラが全く出てきてないけどちゃんと出るの?」
い、一応出すぞ
???「なんでどもるのよ」
いや、基本的にサブはこのオリキャラに頑張ってもらうんで、とらハキャラはあくまでおまけみたいなものなのだ。
???「ふーん」
ふーん、って何かどうでも良さそう・・・
???「そういえば、これを自サイトで公開しないのは何で?普通は自サイトでやった方が色々と良いことが多いと思うんだけど」
ふっ。良くぞ聞いてくれた。それはズバリ…
???「ズバリ?」
このSSは黒歴史になるだろうからだぁぁぁぁぁぁぁ!!
???「死ねぇっ!!!」
がはぁっ!!?
???「死ねっ!死ねっ!死んで詫びるのだぁ!!」
おぅっ!?
???「アンタそんなモンを人様のサイトに掲載させてもらうなんて、何考えてんのよ!」ゲシッゲシッ
あふっ!?はうっ!?(あ……なんか気持ちよくなってきた
???「ふぅー、ふぅー。で、ホントは何でなの?本気でさっきの理由だったらもう7回は死ぬ事になるわよ」
(終わったのか……残念)うーん、まぁ一言で言うなら……恥ずかしいから?
???「割と普通(?)な理由ね」
一番の理由としては、滅多な事がない限りSSはこれが最初で最後だから。
名前見てわかる人にはわかるだろうけど……それでもアソコの管理人がこんなしょぼいSS書いてるぜー
なんて後ろ指を差される確率も少しは減るかもしれないじゃないか。
???「へぇ〜」
へぇ〜、って何かバカにされてる気分が・・・
???「それじゃ、また次回〜」
って無視!?
※誤字脱字、設定ミス等ありましたらご連絡頂けると幸いです。
うん、とっても良いところで次回だ〜。
美姫 「次回はナンパされたフェイトのお話ね」
どうなるのか、楽しみだよ。
美姫 「空腹に耐える魔法少女は、どう答えるかしら」
パニクって何も言えなかったりして。
美姫 「それもありえそうね。ともあれ、次回になれば分かるわ」」
うんうん。次回も楽しみにしてます。
美姫 「待ってますね〜」