『真に守るべきモノ』





第十章「嵐」


海鳴大学病院。
そう明記された入り口から敷地に入り、中庭から正面入り口を眺めていた。

「大きいわね」

リリィが建物を見上げてそう呟くのが聞こえた。確かに、大きい部類に入る病院だろう。
私もここまで大きいとは予想していなかったから・・・・。
現在の時間は正午を少し回った辺り・・・・・・・・。
お昼休みの関係もあるのだろう、少し賑わいを感じる。

「さて、突っ立ってても仕方ないし、取り合えず恭也って人のお見舞いに行きましょうか?」

私は後ろに居る二人に向かってそう口を開いた。
そしてそのまま入り口に向かおうとしたのだが・・・・・・。

「にゃ〜」

「え?」

鳴き声と足にフサフサした感触が現れる。
見ると子猫が私の足に擦り寄ってきていたのだ。
時間帯を考えるとお昼ご飯をねだっているようだ・・・・。
私は腰を屈めて猫を撫でる。

「・・・・・どうしたの?ご飯が欲しいの?」

差し出した手に擦り寄ってくる。
完全に甘えている状態である。

「あ〜、こんな所に居た〜」

少々間延びした声。
目を向けると銀髪の白衣を着た少女が私の手元に居る猫を見ていた。
手にはエサを添えた器。
どうやらこの猫の飼い主・・・・・・・・と思ったのだが、手元に居る猫は一向に見向きもしない。

「ほら、ご飯持ってきたわよ」

が、猫は完全に無視。
気にせず私の手に擦り寄る。
銀髪の少女はがっくりと肩を落として呟く声が聞こえる。

「・・・・・・・・はぁ、どうして私はこうも動物に好かれないのかしら・・・・。
 リスティは好かれてるのに・・・・・・。不公平だわ・・・・」

ボソボソと愚痴以外何者でもないものが聞こえた。
どうやら彼女にとって動物に好かれない事は悩みの種の様だ。
改めて少女を見る。
サラッとした長い銀髪に白衣。
胸には名札が・・・・。
名札を付けていると言う事はここで働いているのだろう。
ついでだし、恭也って人の部屋も聞く事にしようと思った。

「あら?初めての方ですね。
 初めまして、私ここで医師をフィリス=矢沢と言います」

そう言いながら猫の前にエサを置く。
やはりここで働いているようだ。
が、外見を見る限り相当若いはず。
にも拘らず医師をしていると言う事は彼女は相当優秀なのだろう。

「初めまして、私は遠坂凛」

「間桐桜です」

「リリィ=シアフィールド」

簡単な挨拶が交わされる。
不思議な雰囲気の少女だと感じた。
何か、澄んだ・・・・・・澄み切った空気とでも言うか、それが彼女の第一印象だった。
そうこう考えて居ると彼女から口を開いた。

「今日は、どうしたんですか?
 誰かのお見舞いでしょうか?」

にこりと優しい笑顔を向け、私達に尋ねてくる。

「高町恭也って人のお見舞いに来たの。
 部屋って何処なのかしら?」

リリィがその問いに答えるとほぼ同時にリスティ顔に影が走った。
先程あった優しい笑顔が一気に石化する感じだった。

「・・・・・・そう、恭也君の・・・・。
 今丁度なのはちゃんも来ているし、部屋に案内するわ」

「なのは、来てるんだ」

リリィがそう呟くのが聞こえた。
桜とリリィは意識を失っていた私と違ってなのはって子に面識がある。
そう言う意味ではいいタイミングだったのかもしれない。

「ええ。でも、恭也君の前での笑顔がとても悲しく見えて・・・・・・」

そう言って歩く彼女の背中もとても悲しそうで・・・・・・それでいて悔しさを感じる背中を見せていた。


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「はい、お兄ちゃん。あ〜んして」

妹のなのはが切ったりんごを片手に俺に差し出す。
なのはは、俺が目を覚ます一週間ほど前に帰ってきていたらしい。
どうやら美由希が向こうに連絡を入れたらしく、こっちに帰って来た時のなのはは相当くしゃくしゃになっていたそうだ。
この事は見舞いに来てくれる忍から聞いたのだが・・・・・。

「・・・・・なのは。兄はそれぐらい自分で食べられるぞ?」

「だめです!お兄ちゃんは怪我人なんですから、黙ってなのはの言う事を聞いてもらいます」

満面の笑みで全力否定。
なのはは帰ってきてから物凄く世話を焼きたがるのである。
更には絶対に引き下がらなくなった。
ありがた迷惑と思ってはいけないのだが、流石にこうべったりされると中々・・・・。
それにフェイトの前と言う事もあり、気恥ずかしさが先にたってしまう。
そんな光景を見てからかう様な少女で無い事は重々承知しているのだが・・・・・。
今もこの光景を見て微笑んでくれている。
心優しい子だと分かっていても、やはり恥ずかしいわけで・・・・。

 コンコン

病室にノックが響く。
この時間帯だとフィリス先生だろうと俺は当たりをつけた。

「恭也君、失礼しますね」

声はやはりフィリス先生だった。
ドアが開き、白衣を着たフィリス先生の顔が現れる。
だが、来客は他にも居た。
フィリス先生の後ろから女性が三人。
どれも初めて見る顔だった。

「あ、リリィさんに桜さん」

なのはが三人の内二人の名前だろう・・・・・・を上げた。
フェイトの表情を見ても恐らく彼女も知って居るのだろう。
しかし、二人の友人・・・・・にしては年上過ぎる気がしなくも無いが・・・・・。

「いつこっちに?」

「今さっきです。
 外で矢沢先生に会って、こちらに案内してもらいました」

「フィリスで良いですよ。
 矢沢だと、父と重なってしまいますから・・・・・」

紫の髪の女性・・・・・桜と言う人の言葉にフィリス先生が顔を向けて答えた。

「初めまして、なのは、それにフェイト。
 あの時はありがとう」

ツインテールの女性が一歩踏み出しなのはとフェイトに礼を述べた。

「あ、いえ、私達は当然の事をしただけですし・・・・」

なのはが慌てた感じで答える。
そんななのはを見つめながら女性は微笑ましい目でなのはを見つめながら答える。

「そのお陰で私達は助かった。だからありがとう」

「そんな・・・」

なのはもフェイトも少し顔を赤くして照れている。
女性も微笑んでいたが、その顔が少し真剣な顔に切り替わる。

「だから、次は私が貴女を助ける番よ」

そう言いながら顔が俺の方を向く。
目には強い意志を感じた。
この女性、相当の覚悟を持っている。
そう感じずにはいられなかった。

「初めまして、私は遠坂 凛」

「初めまして、高町 恭也と言います。
 えっと・・・・遠坂さん、で宜しいですか?」

「ええ、私は恭也って呼んで良いかしら?」

「はい、構いません」

「ありがと。んじゃ、早速本題に入るわね」

口元に浮かべられていた小さな笑みは消え、真剣な・・・・緊張する雰囲気に変わる。

「まず、確認なんだけど、恭也。
 貴方の担当の医者ってフィリス先生で間違いない?」

「ええ、そうです」

自分が答えるより先にフィリス先生が答えてくれる。
答えを聞くとまた一歩遠坂さんが近づいてくる。

「じゃ、先生。
 彼の体を診させてもらいますね」

「え?」

今度は答えを聞く前に更に俺との距離が縮まる。
そして徐に服を掴む。

「服、脱がすわね」

「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」

沈黙。
さっと音が消え、この部屋だけの時間が停止した錯覚を覚える。
次に聞こえたのは五人の女性陣の叫びだった。

「「「「「えええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇ!?!?!?」」」」」

ものの見事に全員の声がキッチリと合う。
勿論、全員顔が赤い。
いや、確かにいきなり服脱がすでは確かに刺激的と言うか不意打ちと言うか・・・・・。

「ね、ねねねねね姉さん!?!?いきなり何を!?」

「凛!!あんた、こんな、こ、公然の前で・・・・」

「りりりり、凛さん!?」

「・・・・・・・・・・・・・」

「ダ、ダメですよ??!!そんな事病院で・・・・・」

確かに男としては嬉しい限りなのだか、流石にと言うか、ここではと言うか・・・・って違う!!
五人の考えがどうやら自分にも伝染しているようだ。
で、当の本人はと言うと・・・・・・これでもかと言う位、呆れ顔である。
そしてその光景を見て、溜息一つ。

「・・・・・・・・・・貴女達の顔見たら何を考えてるのか大体分かるけど、違うから。
 純粋に彼の体を診るのよ。
 さっきから意識的にかどうかは知らないけど、両足と左手、動かしてないから」

「「「「!?!?!?」」」」

今度の驚きは自分とフィリス先生、なのはにフェイトのである。
今日、初めて会った彼女。
その彼女が俺の体の事を知っている事は考えにくい。
なら答えは一つ。今この場で察したのだ。
俺の体が言う事をきかないのを・・・・。
出来るだけ普通にしていたつもりだったんだが・・・・それだけ彼女の観察力は鋭いという事か。

「さ、ちょっと見せてもらうわよ」

答えを聞く前に俺は服を脱がされていく。
特に抵抗はしなかった。
どうも、抵抗しても無駄だと感じた。
どちらにしろ問答無用で脱がされる。
手際のいい彼女の作業。
フィリス先生もなのはも・・・ここに居る誰もが息を呑むのがわかった。
俺の左腕と両の脚は赤黒く変色していたからだ。

「・・・・・これは・・」

遠坂さんが重い口を開く。
自分でもあまり見ないこの光景を彼女は見てどう感じたのだろう?
そこから再び部屋に沈黙が訪れる。
その沈黙を開放したのはフィリス先生だった。

「・・・・・・・恭也君の体はこのまま放置していけば、無事な箇所にまで影響を及ぼしていくと思われます」

淡々と、それでいて悲痛な感情が伝わってくる。

「本来なら明日、伝えるはずだったんですが、恭也君。
 手術を行う事になりました」

「手術って・・・・。お兄ちゃんの怪我、治るんですか!?」

なのはの瞳に期待の色が宿る。
が、フィリス先生の顔には申し訳無さが滲み出ていた。

「・・・・・無理ね。これは一生治らないわ」

そう告げたのは遠坂さんだった。

「火傷・・・・・って規模じゃないか。
 これ、一体何にやられたの?体温・・・・・いえ、熱を持っていかれた?」

俺の服を正しながらそう言った。
その言葉で再びなのはの顔は沈む。
遠坂さんは更に言葉を続ける。

「その手術は切断なんじゃない?これ以上悪化させない為の・・・・」

「そんな!?」

今度はフェイトが声を上げる。
ある程度予想していたとは言え、やはり切断となると気分が良いものではない。ましてやそれは自分の体。
そしてそれはある意味『死』。
俺は剣士としての『死』が、もうそこまで迫ってきている。
やはりやりきれない。
このまま・・・・・志半ばで、そして、もう誰も護る事も出来ずに生きていかないといけないのか・・・・。
俺はそう考えながら視線を外へと向ける。
今は青く晴れた空。
ついこの前まで近かったそれが、とても遠いものに思えた。
が、その黄昏も次の言葉で一気に消え去った。

「・・・・・・・・貴方の体、『直す』方法があるって言ったらどうする?」

その部屋に居る誰もが、遠坂さんのその言葉に耳を疑った。


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 ズドォォォォォン!

目の前に半端じゃないでかさの剣が振り下ろされて、地面をえぐり突き刺さっている。
俺はそれをバックステップで後方へ飛んで回避して今さっきまで立っていた地面の成り果てを見つめていた。
剣を握っている手へと視線を移しながら、相手を見据える。
そこには金の鎧を身を纏った、大柄な人型が存在していた。

「・・・・・・なんつう馬鹿力だ」

毒づいてからトレイターをナックルへ変化させる。
トレイターは既に時の経過がフロックスから受けたダメージを回復させていた為、全く異常は見られない。
一歩踏み込んで加速。ナックルを装備した右腕を前へと突き出し、相手の顔面に叩き込む。
ガチャンと音を立て頭が吹き飛び、体だけ残されたそれは爆発した。
既に通り過ぎていた俺の後方でそれが起きていた。
が、自分の前には同じような姿形をした存在がゴロゴロ居た。
魔導機兵。
こいつらが現れた時、通信ごしにエイミィがそう叫んでいたのを聞いていた。

「はあああぁあぁぁぁぁ!!」

「紫電一閃!」

向こうではセイバーとシグナムがこいつらを蹴散らしている。

「皆さん!離れて下さい!!」

リコのその声を聞いて全員が今居る場所を移動する。
味方が居なくなった場所に大きな影が現れる。その頭上には大きな塊。

「・・・・・・影よ、大地を覆いつくせ」

リコの周囲に魔力が収束して、輝きを放つ。
両手を広げ、上から振り下ろす。

「テトラグラビトン!!」

隕石が炎に包まれ、地面に突き刺さり爆発を起こす。
その衝撃で幾体もの機兵が消し飛んでいく。
撃ち漏らした機兵は爆風の影からリコへと襲い掛かる。
が、それを人型へと変身したザフィーラの手で阻まれる。

「うおおおおおぉぉぉぉ!!」

リコへ襲い掛かってきた機兵は小型。
動きのすばやい、翼を背負った機兵だった為かザフィーラは片っ端から吹っ飛ばしていく。
その先々で爆発が起きる。
最後の一体が吹き飛んだのを確認してリコが口を開く。

「あ、ありがとうございます」

「いや」

ぶっきらぼうに答えるザフィーラ。
その様子に少し笑みをこぼして、リコは再び詠唱を開始、魔法を機兵に向ける。

「でやあああああぁぁぁぁーーーーー!!」

双頭の短剣を両手に衛宮も片っ端から敵を倒している。
さっと見た限りこっちの劣勢は無い。
問題があるとすれば、機兵の数とあの高みで見下ろす五人。

(やっぱ叩くなら頭か)

自分より高い位置に居る五人を見上げながらそう結論付ける。
このまま数を相手にしていもこちらの消耗が大きい。
全て倒せても、次に控える五人を倒す力が残ってなければ意味が無い。
なら倒すのは今。
が、今度は向こうを攻めるタイミングが問題となる。
コレだけの数を相手にしているんだ。
中々流れの切れ目がやって来ない。
かと言ってこのままジリジリと押されるわけにもいかなかった。

(多少強引にでも、こいつらの流れを切る!)

思うと同時に垂直に飛び上がり、トレイターを変化。

「うおおおぉりゃああああ!」

爆弾を抱え、地面に居る機兵達を見据え一気に降下。
爆弾が散らばりコロコロ転がって増え、一定時間経過する。
直後、多段な爆発により機兵の姿がバラバラと化す。
煙の中心から五人の居る建物を目掛け、全力で走り出した。


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「ん〜、やっぱり強いよね〜。さっすがぁ」

私は眼下に広がる戦いを見ながら、素直な感想を漏らす。
異界の魔導師に英霊・・・・だったっけ?
それにこの子達とは違うヴォルケンリッターとその主。

「凄いね〜。ふふ、『こっちの』フェイトはどれだけ強いのかな?
 ちょっと期待しちゃう」

そんな事を考えると眼下に広がる戦いにフェイトが加わった幻想を抱いてしまう。
あの子は私。だから、会う事だけでも楽しみである。

「で、アリシア。
 あたしらはいつまで高見の見物してんだ?そろそろ貰ったあいつらが全滅するけど・・・・」

私の横に居るヴィータが顔を覗かせながら聞いてくる。
心配・・・・・と言うより、退屈と言った感じの表情だ。
確かに、今この子達は私の周りから動いていない。
好戦的なヴィータにとっては少々退屈なのか・・・。
ヴィータの顔を見ながら私は笑顔で答える。

「大丈夫。あの子達が減ったら間違い無く次の標的は私達になる。
 だから、いいよ。暴れちゃって・・・・・」

その答えを言い終わると同時に・・・・・・。

「やああああああぁぁぁぁぁぁぁ!」

と言う叫びが聞こえた。
声の方を見ると前から赤い可愛らしい感じの騎士服を纏ったヴィータがデバイスを構えて迫ってきていた。
不意打ちを狙ってきたのか、はたまたさっき私が言った様に手が空いたから標的を私へと変えたのか・・・。
私は特に動こうともせず、その場にじっとする。
そこへ隣に居た『私の』ヴィータが魔方陣を展開。
防御の姿勢をとる。

 ギャアアァァァァン

金属の擦れ合う甲高い音に似た音が響きわたる。

「チィィ!」

赤いヴィータが舌打ちしながら力押しにデバイスを突きつけてくる。

「ちくしょう。偽者が!!
 とっととやられちまえってんだ!!」

そう叫んで、一歩後退した赤いヴィータ。
デバイスにカートリッジをロードして再び私へ向かってくる。
私のヴィータはそれを今度はデバイスで受け止める。
似た形をしているが、どちらかと言うと赤いヴィータのアイゼンはシンプル。
私のヴィータのは厳つい・・・・・って言うのかな?・・・・・雰囲気をかもし出している。

「ね、ヴィータ。今さっき『偽者』って言ったよね?」

私は赤いヴィータに聞いた。
すると釣り上がっていた目が更に釣り上がる。

「偽者は偽者だろ!!??
 テスタロッサとあたしらの姿を真似してやがるくせに!!」

その言葉に私は静かに首を横へ振る。

「違うよ。私達は本物。
 だって、この子はあなたの複製じゃないもの」

「な、なんだと??」

どう言う事だと言いたそうな顔をする。うん、ちょっと遠回しだったかな?

「つまりね」

私はその時まで眠らせていた気を一気に開放した。
そう、その場に居る全ての者を殺してしまいそうなぐらいの殺気を・・・・。

「この子はあなた何かじゃ相手にならないって事」

私の声を皮切りに、私のヴィータがデバイスを一瞬力を緩め引くと赤いヴィータが態勢を崩す。

「うわ!?」

前のめりになった所へヴィータのアイゼンがカートリッジ音を立てて顔面へと叩き込む。

 ゴン!

「がふっ!!」

鈍い音と相手の悲鳴、そして赤い血が宙へと広がる。
後方へ飛ばされる相手をヴィータは追いつき更に追い討ちをかけていく。
豪槌の嵐が吹き荒れ、確実に敵にダメージとして積み重なる。

「ヴィータ!!」

剣の騎士が鉄槌の騎士を助けようと加勢に来るが、それを黙って見ている私達じゃ・・・・・ううん、剣刃の騎士が見て居るわけが無い。
剣を分割、剣の道筋へと立ち塞がる。

「邪魔だーーーーー!!」

「・・・・・・・」

似た姿をした者同士戦いがここでも行われていく。
それを尻目に再びヴィータの戦いへと目を向けると、その瞬間に光景が変わった。
横からの高速の突き。
私のヴィータがスライドして飛ばされ、壁に激突し砂埃を上げる。
一瞬、目を見開いて驚くが相手は凄い形相でこちらを睨みつけてきていた。
右腕に付いていた鉄鋼が少し光を発しながらその姿を剣へと変えていく。
当真大河。根の世界、アヴァターにおける救世主。

「た・・・・大河・・・・」

ボロボロの状態で救世主の背後から名前を呼ぶ声。鉄槌の姿が見えた。
私は横へと飛ばされた豪槌のヴィータへと視線を投げる。
砂埃の中で動く影。それだけで安否の確認は出来た。
すぐに視線を目の前の怒りに燃える救世主に向ける。

「・・・・随分、怖い顔するんだね?お兄ちゃん?」

「フェイトと同じ姿をしてお兄ちゃん呼ばわりされるのは、悪い気はしないけどしっくりはこねぇな」

その問いに私はくくっと小さく笑ってしまう。確かに同じ姿の別の人間に言われると違和感を覚えるかな?
そんな事を考えつつ、目の前の男を観察する。
人づてで聞いただけの存在が今目の前に居る。私はゆっくりと手にかけているデバイスをスライドさせる。

「・・・・・・・・・さぁ、戦おっか。話に聞いていた救世主の力を見せてもらいたいし・・・・」

《Haken Form》

ガシャンと言う機械音とヴォンと言う音を立てて、縦と横二対の橙色の鎌が出現する。
それを見た救世主が顔を少し引き攣らせたのを私は見逃さなかった。

「あ、この子の紹介がまだだったね?
 この子はバルディッシュ・アナザー。フェイトの持っているバルディッシュの兄弟ね。
 最も、あの子が持ってる子より私のバルディッシュの方が賢いんだけど・・・・」

そう言いながら私は前にかざしたバルディッシュを撫でる。

「・・・・・・俺は・・・」

小さな呟き。私は感じが違う彼の声に少し眉をしかめながら視線を向けた。

「・・・俺は君とフェイトがどう言う関係なのかとか正直あんまり興味が無いし、見当もつかない。
 けど、分かった事がある」

瞳に眩しい位の光を感じる。
何もかも見透かした様な、澄んだ綺麗な、見られている私にはとてつもなく居心地の悪い瞳。

「・・・・・・何でそんなに比べたがる?
 君は・・・・・・君の居場所を探しているんじゃないのか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

私は押し黙ってしまった。
居場所?比べたがる?当たり前じゃない。
私の居場所は母さんの隣で、この子達も私もあの子達よりずっとずっと優れて居るんだから・・・・。
劣っているのを劣っているって言って何が悪いの?
見ないで。貴方の瞳で見られると凄く居心地が悪い。

「・・・・・・・・・・・私も分かった事があるよ、お兄ちゃん」

「何をだ?」

スッと目を閉じて再び睨みつける。
殺気を上乗せして・・・・。

「私、お兄ちゃんの事嫌いみたい」

「そいつは奇遇だな、俺もだ」

カチャと救世主が持つ剣が音を立てた瞬間、私達の距離は一気に縮まって火花を散らしていた。


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目の前で敵が爆発を起こす。
その爆発の煙の中から再び別の機兵が姿を現し、手に持つ大剣を振り下ろしてきた。

「ふっ!!」

受け流して僅かに軌道を逸らし、片足で地面を蹴り相手を横薙ぎする。
手に手答えを感じ、後ろを振り向かずに更に前へと駆ける。
背後で爆発する音が聞こえるがそれに気をかける事無く・・・・。
走る先に再び機兵の姿が・・・。
私は止まる事無く目に映る敵を全て倒していく。

(数が多い。だが・・・・)

数が多いだけでは意味が為さない。
それが『限りある』数では余計に・・・・。
しかし、この戦闘を繰り返し続けて後に控えて居るのはシグナム達の姿をした者。

(姿だけでは無く実力も同等だとしたら・・・)

敵を倒しながら考える。
仮にこの私が考える仮説が当たっているとしたら、これは決して無駄ではない。
ならここで相手を減らしてから相手をするよりも、頭を叩くべき。
が、考えを持ちこれらを操る者の姿を確認しようとしたが・・・

 ドガーン!

一際大きい爆発音。
音がした方向は、その頭が居た建物の屋上。
砂埃が立ち込める中、僅かに聞こえる金属音。
誰かがあそこで戦っている。

「セイバー!!」

背後から声。聞き慣れた、自分のマスターの声。

「シロウ。大丈夫なのですか?」

肩で少し息をして居るシロウを心配する。
が、こう言う時の彼は完全にパターン化された言葉を返してくる。

「ああ、大丈夫だ。セイバーこそ問題無いか?」

やはり変わらない。己よりもまず他人を心配する。
実に単純な・・・それでいて言われた私には嬉しい答えでもあった。

「ええ。ですが、このまま数で押されてはどうしようもありません。
 即刻、あの場所に向かいたいのですが・・・・」

今尚、爆発や金属音が鳴り響いてくる地に顔を向ける。
顔は向けずにシロウに声だけかける。

「シロウ、私はあの場に居る敵を倒す事が最優先で必要と考えます」

「俺も同じだ。けど、皆が集って向かってもこいつらが黙って見ているわけが無い」

見ると、機兵が私達の周りをぐるっと囲んでいた。
が、ただ囲まれているだけ。
この程度で怯む私ではない。見えぬ剣を再び握り締め、敵を注視する。

「そんなら、あたしが足止めを引き受けます」

頭上から声。顔を上げるとはやてが笑顔で受け止めてくれる。

「広域型のあたしなら、まとめていけます。そやから、皆はあそこに!」

「けど・・・」

シロウの心配は最もである。
これだけの数を彼女一人に任せるなんて・・・。
しかし彼女の目に曇りは無い。真っ直ぐな瞳で私に向き直る。

「大丈夫です。あたしも魔導師なんですから」

(皆もいい?)

(主が決められた事に従います)

(あたしもいいぜ)

(主はやて、お気をつけて)

(・・・私は、はやてちゃんとリィンをサポートします)

(シャマル?・・・・・うん、お願い)

「・・・はやて?」

突然黙ってしまったはやての名を呼ぶ。
にこっと笑顔を向けるはやて。

「今、騎士達にも伝えた。シャマルがサポートしてくれるから、みなさんは先に行って」

・・・・・・どうやらこの笑顔には勝てそうにも無い。
ならいつまでも迷っていては逆に失礼と言うものか・・・。

「わかりました、はやて。お気をつけて」

「はい!」

元気のある、気持ちのいい返事が返ってきた。
それだけで任せる事の出来る、心強い返事。

「シロウ、行きましょう!この陣を中央突破します」

「行くってセイバー!?」

「この場ははやてとシャマルに任せます。それに、今の状況、このままではダメだと貴方も思われたのでしょう?」

「それはそうだけど・・・」

迷いのある瞳。シロウは優しい。
はやてが心配なのは分かる。
だが・・・

「シロウ。彼女は確かに私たちからすれば幼い存在だ。
 しかし、年齢と経験が必ずしも比例するわけではないのですよ?」

迷いのあるシロウの顔が驚きへと変わる。

「それは貴方も同じです、シロウ。
 聖杯戦争を経験した貴方は貴方の学友と経験が同等と言うわけではない」

そう、少なくとも生死の境界に関してはシロウは慣れている。
そう言う世界に身を投じているのだから・・・・。
少しの思考。が、シロウの目にはもう迷いは感じなかった。

「わかった。行くぞ、セイバー!」

声と共に目の前の陣が崩れ、煙の中を紛れ一気に走る。
隣には陣を破壊したリコ・リスとザフィーラが合流。
四人で一気に中枢へと走る。
決して振り返る事も無く、背後で炸裂する閃光を背中で受けながら・・・。
だが、これが私の失態だった。
彼女を信じなかったわけではない。可能性を考えなかったわけでもない。
後に目の当たりにする光景を・・・。
『予想』出来なかった私の・・・・・・失態を・・・。


<**********************************************************************>


先に走っていくまだ知り合ったばかりの仲間とあたしの守護騎士達・・・。
皆の為、殿(しんがり)はしっかりせんと・・・。
向かう仲間を追おうとする機兵。
邪魔をさせるわけにはいかへん。
右腕を前に構え、黒い光球が現れる。

「デアボリック・・・・・エミッション!!」

あたしの声と同時に黒い光球は更に膨れ上がり、機兵の背後から飲み込む。
球の中から爆発と閃光が溢れる。
やがて光球は縮小し消失。
残ったのは機兵の欠片のみ。
さっきまで追いかける姿勢を見せてたけど、視線が一気にあたしに押し寄せる。

「うん、それでええよ。皆の後ろから不意打ちなんてさせへん。
 ここからはあたしが相手や。行くで、リィン!」

「はいです!」

リィンの威勢の良い返事を聞き、あたしは頼もしく感じた。
ゆっくりと目を閉じ、足元に魔方陣を展開。
意識が溶け合う感覚。外見では髪の色が茶から変色。淡い白へと変わって行っているだろう。
そして目を見開く。瞳はエメラルドへと変わっている。
融合(ユニゾン)。
リィンと融合を果たしたうちは早々負けへん。
落ち着き改めて相手を見る。
と同時に機兵は大剣を振り下ろしてきた。
回避と同時に上空へと舞う。
見下ろす限り数は2、30ってところ。
一掃出来ない数では無い。

(一撃一殺!)

腕を体と水平に振る。
ウォンと音を立てて、赤い刃が現れる。

「穿て!ブラッディダガー!!」

赤い刃が敵を襲う。機兵がそれぞれ爆発を起こす。
爆発の最中、僅かに小さな念話が届く。

(・・・・・・・や・・・・・・・て・・・・ちゃ・・・・・)

(え?)

本当に小さなか細い声。
声の主はさっき自分のサポートを申し出てくれた騎士・・・。

(シャマル?)

「はい、どうしました?はやてちゃん?」

声に振り返ると背後にシャマルの姿があった。
あれ?でもさっきの念話は・・・。
なんとも疑問に感じ、シャマルに問う。

「シャマル?さっき念話で呼んだ?」

「はい?いえ、サポートにすぐ来たんですけど・・・」

気のせい?本当に小さな声が聞こえた気がしたんだけど・・・。

「それより、はやてちゃん。まだ敵は残ってます」

「あ、うん。そやね」

シャマルに促され、機兵を見据え構える。
疑問が残る。何か違う。何が・・・?何がおかしいん?
目の前の機兵に赤い刃を放ちながらも、思考を休める事無く張り巡らせる。
けど、思考を展開しても答えが出る前に機兵達は無力化してしまった。
敵の殲滅を確認し、地上へと降り立つ。

「・・・・・・・・・・・・・・」

残骸から煙を上がっている。
ぐるっと周りを見渡す。その先々に欠片が散らばっている。
目の前に広がる光景を見ながら休む事無く違和感に対する答えを探す。

(だけど、答えはどこにあるんや?)

思考の展開をやめないが、答えに行き着かない。
既に無力化している機兵に再び動く気配は無い。
伏兵も無い。なら後考えられるのは・・・。

「さすがはやてちゃん。あっと言う間でしたね」

今横で立っている湖の騎士。
ゆっくりと向き直る。
けど・・・・・・・・・・

 ズン!

重く鈍い音が響いた。

「っ!!!!」

痛みは無い。出血も無い。
何かしらのダメージを負った訳ではない。
しかし、体が言う事を聞かず、見下ろす胸には騎士の右腕が突き刺さっている。
自分の体に突き刺さる腕を掴み、元凶へと目を向ける。
そこに居たのは自分の騎士では無く、漆黒を身に纏った同じ姿の存在。

「あら?思った以上に驚かないんですね?」

妖しい笑み。
それは自分の知るシャマルには余りにも似つかわしくない顔がそこにある。
全力でそれを睨みつける。

「・・う・・・うちの・・・子は、・・・・ど・・・・どない・・・した・・ん・・・っや?」

思った様に声が出ない。
が、それでも自分の言葉を相手にぶつける。

「ふふ、その辺りで転がってるんじゃないですかね?」

「っ!?!?」

その言葉で一気に怒りに似た衝動が自身を駆け抜ける。
左手に魔力を収束させ、零距離での魔法を唱え相手に向け一気に放つ。
しかし、左手から魔法が放たれる事は無かった。
突き出した手から魔力が霧散している。

「・・・・・・・残念。もう少し早ければ間に合ったんですけどね」

目の前のシャマルが言う。
再び魔力を収束させる事も出来ず、脱力感に見舞われる。

「もぅ・・、立・・・てい・・・のも辛い・・・・・・ゃない・・・しら?」

相手の声も少しずつ確実に遠のいていく。
必死に襲い来る脱力感を振り払いながら、相手を見据える。

「このま・・・魔力・・・頂・・・ます・・・、・・・・・・てちゃん」

目の前のシャマルが何か言っている。
理解し、対処しようと試みるが既に体は言う事を聞かなくなっていた。
そしてそのまま、深い闇へと視界が落ちていった。


<**********************************************************************>


 ズドゥーン!

爆発の煙から人が飛び出す。
自分もそれを追う形で相対する。
対峙する少女の左腕に魔力の収束、密度が膨らんでいく。
バチバチと音を立て、収束が加速している。
手に持つトレイターを握り直し、構えを横向きにし剣をやや下に下げる。

「エレクトリック・・・」

左腕に纏うリングがタービンが加速する音を上げる。
それをこちらに突き出す。

「スマッシャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

叫びと同時に電光の波が押し寄せる。
トレイターをランスへと変化、垂直に飛び上がり、斜め前方に進む。

 ガキン!

甲高い金属音。目の前に黒い鎌が現れた。
ランスが無ければ間違い無く頭から真っ二つにされていた。
ランスから剣へと戻し、横薙ぎ。
むろん決まるとは思っていない。
が、ここでただ止まる事は勿論、やられる事も全力で拒んだ。
空中で自由の利かない俺に対し、アリシアは二刃の死鎌を振るいヒットアンドアウェイで襲い来る。
一瞬の接触での一瞬の攻防。
機動力で確実に劣る俺は、相手に背を向けず、僅かな移動でのチャンスを選んでいる。
それでも決定的なチャンスを作る事は出来ない。
彼女の攻防、そして補助は完璧に近い。
決定打を撃てる状況を見つけても、その時には既に自分の死角をなんらかの形でカバーしていた。

(これだとジリ貧。下手すりゃ一発貰う事になる)

もう何度目か分からない攻撃を捌き、離れていく相手を見据える。

《Electric Lancer》

黒い鎌の矛がこちらに向く。
それに伴い六つの刃が出現、全てこちらを向いている。

「エレクトリックランサー、いけ!」

 ゴウン!

風を切る重々しい音を立て、刃が迫る。
剣を斧に。
ズシリと重みが増す。
両手で柄を握り締め、刃を睨みつける。
当たる。
けど、それは自分の体にでは無い。

 バァン!

爆発音に近い音を立て幾つかの刃を横薙ぎで破壊、二つ程弾く。
重い斧を横薙ぎした為に体がその重量により泳いだ。
が、その反動を逆に利用し体が回転した先、相手の視界の死角でトレイターを斧からナックルへと変身させる。
そして、二週目に入って相手を見据え・・・右腕を突き出す。
強烈なロケットダッシュ。
腕が悲鳴を上げ、体が少し軋む。
それでもナックルの攻撃は対峙する少女へと向かう。
恐らく意表を付く事には成功したのだろう。
一瞬見えた表情には驚きが見て取れた。

《Lancer Form》

切り替わる音と声。
考える間も無く、次に響いたのは鈍く接触する音だった。

 ズヴァシュン!

「アリシア!!」

吹っ飛ばされていく少女がそれより更に小柄な少女に受け止められる。
俺は空で浮遊する術を持たない。
故に地面を見据え、そして落下する。
地面に着地して痛みを覚える。
脇腹を見ると出血があった。
致命傷ではないが、それでもかなりの深手である事は見て取れた。
対峙していたアリシアを見る。
向こうもこちらを上空から見下ろしていた。
違い事があるとすれば、口から多少血を流して横に豪槌のヴィータを控えて居る事。
バルディッシュが刃を二対、立てている事だ。
咄嗟に回避したのだが、それでも完璧ではなかったか・・・。
外側にある刃に抉られたのだろう。
左手で右脇腹の出血を押さえる。

「大河、無事か?」

横にシグナムが降りてくる。
手で返事をして再び目線をアリシアへ。
向こうにもシグナム、ザフィーラと増えている。

「主、お怪我は?」

「ん、大丈夫」

簡単に答えるとこちらと目が合う。
シグナムの問いに答えた優しい顔とは対照的な眉の吊上がった目だ。
後方から足音。
目だけを向けるとセイバー達も合流してきた。
最初に対峙した時とほぼ同じ構図が出来上がる。
上空から見下ろす者、上空へと見上げる者。
その場に居る全員が戦いを再開できる状態で構えている。
再び火蓋が落ちると思われた時、それに水を指す者、相手側のシャマルが小さな音と共に現れた。

「アリシアちゃん。予定通り目的は達成できましたよ」

「ホント?ありがと、シャマル」

「いいえ、これでまた一歩、近づきましたね」

遠くてはっきりとは拾えない。
だが、聞こえた限りではこちらにとっては決して喜ばしい事では無い事は確かである。

「・・・何のことだ!?」

強引に相手の話に介入する。
遠目だが、アリシアの口元が微かに笑みを浮かべたのが見えた。

「別に言ってもいいんだけど、どうせすぐにわかることだよ。
 それじゃ、私達はここで失礼するわ」

「な、待て!!!!」

シグナムの驚きと静止は叶う事無く、魔方陣の展開後、ヴォルケンリッターとフェイトの姿形をした似て非なる者達はその姿を目の前から消した。
何も出来ず、たださっきまで居た場所を見て居る事しか出来なかった。

「ちくしょう、一体なんなんだ!?あいつらの目的って・・・!!??」

ヴィータが苦々しい顔で吐き捨てる。
全員が同じ気持ちで敵の居た場所を見つめている。
が、いつまで睨みつけていても仕方が無い。
取り合えず、引き上げる事を提案する為にぐるっと仲間を見回す。
と・・・・。

「・・・・はやて、まだこないのか?」

特に誰にとも無く呟いた言葉。
一瞬の静寂後、空気が弾ける。

「はやて!?リィン!!!!」

「シャマル、返事をしろ!!」

ヴィータにシグナムがすぐ様念話で呼びかけるが一向に返事が無いようだ。
それを見た者の次の行動は、はやてと別れた場所に走り出す事だった。



第十一章に続く






〜*あとがき 十章編*〜

ジングルベール♪ジングルベール♪鈴が〜♪

AYU:鳴る!

グシャッ!

っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!??!!?!

AYU:はぁ、遅すぎ。結局ま〜た二ヶ月近くも間隔が空けたし…。

っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!

AYU:ホント理解力無いのかしら?全く…。

っ〜〜〜〜〜〜〜!!!

AYU:ちょっと!陥没した顔で近づかないでくれる?

やった本人の発言じゃねぇ!!

AYU:あ、戻った。

戻ったじゃねぇよ!?酷くないか?なぁ酷くないか!?

AYU:…………?

そんな可愛い顔で疑問浮かべるなよ!?

AYU:可愛いのは知ってるわよ?

じ、自分で言いやがった…。

AYU:あら?当然じゃない。美貌は女の武器なんだから。

…………く、口では絶対勝てないな。

AYU:え?口『でも』私には勝てないわよ?

…………怪力女(ボソ

AYU:アーティカルバイス!

ボウ!

ぎゃあ!?熱っ!熱っ!!炎とかちょ!!??燃える燃える!!!??

AYU:ほら、ちょうど魔法時間だったから…。

何!?魔法時間って何!?俺も使えるの!?

AYU:あんたに出来るわけないでしょ?

|||orz

AYU:さぁいい加減漫才は終えるわよ。んで、今回の話は?

あい(ホント弱いな、俺)。アリシアが戦う章だね。
大河vsアリシアだったわけだけど、うまく書けてた?

AYU:いや、聞かないでよ?それは読んでくれた方々に聞きなさいよ。

え?ちょ、AYUは読んでくれてないの?

AYU:………。

おい!?

AYU:五月蝿い黙れ。ちょっと忙しかったのよ。仕方ないじゃない

いや、だったら俺の文句言えんやん!?

AYU:あんたは遅すぎ!!あとで読んであげるから、あんたはとっとと続きを書け!!!!

理不尽だ!?

AYU:あんたの都合なんて知らん!

くぅ、良し!見返す意味も込めて続きを書くか!

AYU:その心意気『だけ』は期待しておくわ。成果は期待しないから。

……お、覚えてろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!

AYU:あ、逃げた。それでは皆様。また次回〜☆



結構大規模な戦いが。
美姫 「互角にも見えるけれど、押されている感じね」
だよな。しかも、敵の目的は大河たちを倒す事じゃなかったみたいだし。
しかも、その目的は達したようだし。
美姫 「ひょっとしなくても、今のところは負け込んでるわね」
さてさて、これからどうなっていくのだろうか。
美姫 「とっても楽しみです」
次回も楽しみにしてます。
美姫 「待っていますね〜」
ではでは。



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