朝、日が昇るよりも先に起きる。朝起きるのは辛いがそれでも朝の空気は好きだ。

俺は屋根裏部屋をから出て今あてがわれている部屋に入る。

そこにはいつものようにベッドの上で眠っているレンがいる。俺特性の身代わり人形を抱きしめながら。

 何度もエリザとアムリタのいる部屋で寝たほうがいいと言っているのだが一向に聞かない。

さすがの俺も諦めてしまった。

 

 もうここは屋根裏ではない。

あの時学園長が言ったように普通の救世主候補の部屋を貰っている。

俺とレンの部屋になるのだが……、基本的に俺はこの部屋にいない。寝る場所もここでもない。

レンが眠りに就くまでここで過ごし、後は違うところにいる。

 

 窓を開け煙管に火をつける。紫煙がマジカルアワーに彩られた空に漂う。

朝と夜の交わったこの時間はやはり格別だ。

 

煙管から上がる紫煙を結構な時間眺める。さて、そろそろ行かんとみなが待ってしまうな。

 

 

 

 

第四十八話 蛍火の一日 朝

 

 

 

 

 寮のロビーまで降りる。大河と未亜を除いた全員がそろっている。

大方未亜が大河を起こしに行っているのだろう。

 

「皆さんは、相変わらず早いですね」

「あんたが遅いのよ」

 

 呆れてはいるが怒ってはいない。このやり取りも最早日常化しているからな。

 

「兄君、師匠は?」

「ここにいないという事はまだでしょう。この生活も長いというのに」

 

 もう随分と早起きしてトレーニングしているのに未だ大河が一人でここに来たことがない。

 

「マスターですから」

 

 リコは弁護しているのかしていないのか良くわからない。

まぁ、リコからしたら痘痕も笑窪といったところかな。

 

「ふぁあ。おう、待たせたな」

 

 まだ少し寝ぼけ眼の大河が未亜をつれて降りてきた。

尊大で自らが迷惑をかけていることをこれっぽっちも気に留めていない。

その横では未亜が苦笑しながら眼で謝ってきていた。苦労するな。

 さて、今日もはじめるか。

 

 

 

 

 

「なぁ、蛍火。リコにはトレーニングについて何もいってないよな? 何でだ?」

 

 長距離を走り終えた大河が息を整えてすぐに聞いてきた。もしかしてずっと疑問に思っていたのだろうか?

 

「何も言わないのではなくていう必要がないというところです。

リコ・リスさんは自分が何をしたらいいのか、何が出来て何が出来ないかよく理解しているようですから私が口を挟まないだけです」

「そうなのか?」

 

 大河が自分の汗をかいがいしく拭いてくれているリコを見上げていった。

 

「はい、自分で出来ることは大体把握してますし、それに私の戦い方はかなり変則的ですから教えることはかなり難しいかと」

 

 召喚獣を操り、自らも前で戦う。普通の召喚師の戦い方ではない。

俺並に変則的な戦い方をしているリコには教えることが出来ない。

 

「まぁ、リコだもんな」

 

 大河がリコに関心を向けているうちに未亜、リリィ、ベリオが戻ってきた。未亜とリリィが競い合うように走り、

その少し後ろにベリオがヒィヒィ言いながら追いかけている。いつもと変わらないか。

 

時間はと、ふむ。やはり早くなっているな。

特に未亜は最初の頃に比べると雲泥の差だ。よくがんばっている。

 

「ほらっ、走り終わったからといってすぐに止まらない。筋肉が痙攣を起こしますよ」

 

 走り終わったことで荒い息を正そうとしているが、止まってしまっては逆に体に悪い。

何度か言っているが(特にベリオ)やはり慣れないようだ。

 十数秒とすると未亜の息が整ってきた。

さすがにずっと続けると慣れてくるか。もちろんそれは走るのに、トレーニングに慣れたのではない。苦しむことに慣れるのだ。

その中でどう苦しみを軽減するか。それがトレーニングにおいての慣れる。

 

「ふっふっふっふぅ。はぁ、やっぱり堪えますね」

 

 未亜が清々しい笑顔で笑っているが、いや、さすがに俺もあれはやりすぎだと思ってるから。

だってなぁ、学園を一周して来いとは言っているが初めからトップスピードに近い速度で走ってそれを一周続けるのだからな。

未亜には早すぎる。

 

 まぁ、トレーニングにおいて何事も向上心は必要だが、それでも限度を超えたものは体を壊す。

最初は二周だったが、未亜がこのスタイルにしてからは一周に減らしている。その分密度が恐ろしく高くなっているが。

 一周を全力で走るようになったのは俺が救世主クラスに入ってからだ。

まったく追いつきたいからといっても無茶はしてくれるなよ。

もちろん、対抗心を燃やして未亜についていくリリィにも言いたいことだ。

 

「はい、三人とも次はダッシュ十本です。始め!!」

 

 俺の言葉とともに三人は百メートルぐらいをダッシュする。それが終わってもまだあるからな。

大河が少し三人を羨ましそうに見ていた。どした?

 

「当真、当真さんたちを見つめてどうしました?」

「あっ、いや」

 

 大河が曖昧な態度で言葉を濁す。どうしたというのだ?あの大河が言葉を濁すなんて。

ふむ、深刻な悩みと見えるな。もしかして、見てたのは未亜か?

 

「当真さんを見て欲情でもしました?」

「あぁ。なんか最近、あいつ妙に色っぽくなったって言うか……って何でそっちのほうに行くんだよ!!」

 

 ふむ、いいノリツッコミだ。俺の言葉にリコが反応して顔を赤らめながら。

 

「マスター。あの、私が………」

 

 リコのその耳まで赤くした姿は正直に可愛いと思えた。

あっ、大河の心がぐらぐらと揺れてる。シリアスで通すか、エロに走るか。

 

「しっ、師匠。その………、拙者も、いいでござるよ?」

 

 リコに負けじとカエデも参戦。その赤さはここに着た当初俺がからかったときと同じぐらい赤い。

 二人に美少女にしてもいいと言われて大河はかなり揺れている。さすがに俺の目の前ではやって欲しくはないな。

 

「当真。するなら部屋でして下さいね?」

「ってちげぇ。おい、蛍火!! 俺が未亜を見てたらなんでそんな風になるんだ!?」

 

リコとカエデの誘惑(といよりは煩悩? いや、本能)を何とか振り切り問い詰めてきた。驚きだ。

 

「聞きたいですか?」

 

 にっこりと笑って答えてやる。答えはすぐに出るだろう。

さすがに俺の笑いに何か感じたのかそれ以上は聞いてこなかった。

 

「まぁ、今はいい。なぁ、蛍火。前みたいに俺の前走ってくれないか?」

 

 心底疲れたみたいで言いたい事をストレートに言ってきた。ふむ、カエデでは不満か?

 

「師匠!? 拙者何か至らぬところがあったでござるか!? すっすぐに訂正するでござるから」

 

 カエデの慌てた様子に大河も今言ったことがどういう意味をするのか漸く分かったようで慌ててフォローする。

 

「いっ、いや、カエデ。そういう意味じゃないんだぞ?」

 

 何とかフォローしようとしているが大河の言葉が足りないのかカエデは未だに落ち着かない。

 

「つまりカエデさんは用済みということですね」

 

 ……リコが、…………リコが平然とカエデに用済みと呟いた。

 

「うわ〜〜〜〜〜ん!!」

 

 カエデはリコの言葉に耐え切れず走り出す。見事な泣きっぷりだ。

 

「おい!!カエデ!!」

 

 そしてそれを追う大河。壮絶な愛の逃走劇が開かれた。

そしてそれを起こした原因の人物を伺うとかなり顔をしかめていた。

 

「………チッ

 

 聞こえない、聞こえない。

何か舌打ちが聞こえた気がしたが俺は何も聞いていない。

あぁ、出会った頃の純真なリコはいったい何処に言ってしまったのだろう。

 

 そんな朝の一幕劇。

ちなみに大河がカエデを連れ戻ったときまたもやベリオから痛烈な一言によってカエデが逃走。

またしても大河が追う羽目になった。

 

 

 

 

 

 

 俺は女性陣と共に先に寮に戻る。大河はもう少し残りトレーニングを続けている。

言う必要はないと思うが女性陣が先に戻るのは身だしなみを整えるためだ。

俺は別に身だしなみは気にしないほうなのだが、レンを起こさないといけない。

 

部屋に戻る前にキッチンによる。そこにはエリザとアムリタが仲睦まじく料理をしている光景が見える。

こうしているところを見ると姉妹にしか見えない。まぁ、髪の色が違うのだが。

 

 そういえば、カエデとアムリタ、イリーナは髪を染めているのか? 髪にある色素の関係上、緑と青は有り得ないはずなのに。

まぁ、気にしたら駄目か。

 

「お二人ともおはようございます」

 

 挨拶をすると俺に気付いたのか、二人してエプロンで手を拭きながらこちらに向かってくる。

そういうしぐさが本当にそっくりだ。

 

「おはようございます、蛍火さん」

「おはようございます! 蛍火さん」

 

 相変わらず二人に挨拶の仕方は変わらない。エリザはお淑やかに、アムリタは元気に笑いながら。

出会った頃と違って二人は本当によく笑う。

たまに暗い表情をするが、それでも何とか笑うことが出来る生活を送っている。

 

「いつも朝食を作ってもらってすみませんね。私も出来れば用意を手伝いたいのですが日課をサボるわけにもいきませんし」

 

 俺はこの言葉を毎日というほどでもないが結構な頻度で口に出している。

朝から十人分の食事を二人に作ってもらっている。俺が頼んだのではなく自主的になのだが、それでもきついだろう。

 

「かまいませんよ。慣れていますから。それに私たちは家族なんですから気にしちゃ駄目ですよ?」

 

 エリザがお姉さんみたいに俺をたしなめる。実年齢は俺のほうが上なんだがな。

 それにしてもエリザは俺がこう謝るごとに家族だからといってなんでもないように言って来る。

特に家族ですからというところに何か期待をこめていっているような気がする。

 

「そうだよ。蛍火さん僕たちはなんていったって家族なんだから」

 

 アムリタもやはり家族という部分に何か特別なものを込めている。

 二人のそばには相変わらずレンはいない。

いつも二人に起こしてもらうように頼んでいるのだが俺が行くまで絶対に起きない。まったく………

 

「やっぱり……レンは起きていないんですね」

「ごめんなさい。起こそうとしているんですけど私たちじゃ起きなくて」

 

 エリザは申し訳なさそうに言うが悪いのはレンだ。まぁ、朝七時に起きるのは子供には辛いかもしれない。

 

「起こしてきますね」

 

 俺は苦笑しながら階段を上った。ふぅ、苦笑が本当に顔に張り付いているな。

 

 

 

 

 

 

 俺の部屋に戻って備え付けのシャワーを軽くを浴びる。年頃の娘の前で汗臭い姿を晒すのはさすがにいけないだろう。

 五分もしない内に出て身支度を整える。

 未だに寝ている眠り姫の顔を覗く。身代わり人形を抱きしめながらすやすやと眠っている姿は素直に可愛いと思える。

さて、起こすとしよう。

 

「レン。朝ですよ。朝食を食べましょう」

 

 レンの肩を軽くゆする。

 

「うぅん」

 

 反応あり。ふむ、もう少しで起きるか。

 

「ほら、早く起きないと朝食がなくなりますよ。」

 

 もう少しゆするとレンはのそのそと起き上がった。相変わらず寝ぼけ眼である。

頭をふらふらとさせているが俺を見ると少し寝ぼけた眼が開く。そして、花が咲くようににっこりと笑い、

 

「おはようございます」

 

 レンが丁寧にお辞儀をして挨拶してきた。

こんな事をするのは朝ぐらいだ。何時もこれぐらい素直だといいのだが。

 

「はい、おはようございます。では、早くシャワーを浴びてきてください」

 

 俺の言葉に従うようにレンはふらふらとシャワー室のほうに向かう。

 

 レンがシャワーを浴びているうちに俺はレンの髪を整える準備をする。

最初にして以来ずっとしている。自分で覚えたらどうだと言うのだが今のままで言いといつも返される。

俺としてはレンの長い髪を触るのは結構好きだからそれでもいいのだが。

 シャワーを浴びたレンをイスに座らせ、取りあえず髪を乾かす。もちろん魔術を使って。無駄遣いとか言うなよ。

 

「今日はどんな髪型にしますか?」

「ん。エリザお姉ちゃんみたいな髪がいい」

 

 ふむ、首筋で一本にくくるのがいいのか。まぁ、手間がなくていい。レンの要望どおり髪を結う。

 さらさらと流れる白銀の髪は陽光を反射して輝いている。最も近くにいるのにどこかこの光景を夢のように思えてしまう。

 まったく、本当に、俺はおかしい。

 

 

 

 

 朝食はパンにオニオンスープ、ベーコン、コーンサラダと質素なものだ。といっても俺が一人暮らししていたときよりも数段いい。

 そういえば今朝。大河は何で前みたいにしたいって言ったのだろうか?

 

「当真。聞いていいですか?」

「何だ?」

 

 パンをかじりながら大河が答えた。まったくあれほど口に物を入れたまま話すなといっているのに。

 

「何故、今朝あんなことを言ったのですか?」

 

 朝の一件。カエデが二度も泣かされたことだ。カエデが俺の言葉にビクリッと反応した。

もう表情は半泣きである。

 

「いやな。結構前から思ってたんだが弟子の背中を追いかける師匠って情けなくないか?」

 

 大河が改まって言う。早く言わないとまたカエデを追うはめになるからな。

 想像してみる。…………俺と師匠の場合は殺し合いだな。逆の場合はしごきだ。

別にどっちでもいいだろ。というよりもお前たちは形式上なだけで実際鍛えてるわけじゃないしな。

 

「気にする必要ないんじゃないですか? 召喚器のない状態では当真はまだヒイラギさんに追いつけてないんですから」

「そうなんだけどな。気分的な問題なんだよ」

 

 ふむ、精神的なほうか。困ったな。さすがに何人も同時には見れない。

 

「さすの私でも幾つも同時には見れないですよ。個々人でトレーニングの仕方は人それぞれですし」

「確かにそうよね。そういえば今日から自己トレーニング法っていう講義が始まるわよね」

 

 食べ終わったのかリリィが加わってきた。今は手持ち無沙汰にしている。

 

「あ? そんなのあったっけか?」

 

 まったく知りませんと大河の顔にかかれている。もう少し掲示板とか見ろよ。

 

「お兄ちゃん。先週授業で言ってたでしょ?面白いから受けたほうがいいって」

 

「へ? そんな事言ってたっけ?」

 

 大河は懸命に思い出そうとしているが恐らく無理だ。だって、寝てただろうし。

 

「思い出せねぇ」

 

 うんうんとさらに唸っている。無駄だろうに、

 

「マスターはそのとき気持ちよさそうに寝ていましたよ」

 

 リコが唸っている大河に向け優しく言う。カエデに暴言を吐いたときとは大違いだ。

 

「おぉ、なるほど!」

 

 そこで思いっきり納得するなよ。

ここでベリオが何か言うと思っていたのだが何も言ってこない。もはや諦めたか。

 

「まぁ、その授業でも寝てるだろうな」

 

 気楽に言っているがその講義の講師が目の前の人物だとしたらこいつはどんな顔をするだろうか?

 

「まぁ、授業はがんばってください」

 

 俺から言えることはそれだけだ。大河に勉強を期待するだけ無駄だ。

戦闘などの技術関係はトップクラスだというのにな。

 

「あれっ、そういえば蛍火さんって授業受けないんですか? いつも「えぇ、授業免除ですよ。」そうなんですか」

 

 アムリタが店のことを話そうとしたのはやばかった。

ここの奴らには教えてないからな。きっと教えたらたかられるからな。特に大河に。

 それともし、あそこにイムとかロベリアが来たら結構危ない。リコに合わせるわけにはいかないしな。

 

「そろそろ行ったほうがいい時間ですよ」

 

 俺は備え付けの壁掛け時計を指差す。授業が始まるまで後二十分しかない。

用意をしておかないといけない時間だ。

 救世主クラスが慌てて用意している中、俺も用意をする。時間は限りあるからな。

そういえば一応二人に確認を取っておかないといけないな。

 

「そうそう、今日は私、用事があるのでお店を開けるのは午後からに成ります。一応、開店の準備だけしておいてください。

それとそれまでの間までレンのことお願いしますね」

「そういえば、そうでしたね。気をつけて行って来て下さい」

 

 まるで亭主を見送る妻のような言葉は止めて欲しいな。

 

 

 

 レン、エリザ、アムリタに見送られ俺は学園長室を目指す。朝のこの時間だけは毎回来せられている。

さすがに店を開いてからは午後は呼ばれない。

 今日の紅茶はストレートで。あっちの世界で言うとキーマンかな?

 もはや、紅茶の褒め言葉はない。もう、この味を出すのが当然になっているからな。

もし失敗しようものならかなり動揺される。一体どういう扱いなのだろう。

 

「今日からですね」

 

 唐突に言われたことに思い当たる節があるのは唯一つ。今日から俺は講師としての生活も始まる。

少しずつ用意をしていたので今日慌てて用意するようなものはない。

 

「そうですね。ここに来たときには想像もしていなかったですよ」

 

 本当にここに来たときはここまで仕事が重なるとは思わなかった。

まぁ、喫茶店はいつかは始めていたかもしれないが、白の主と講師のことだけは考えてもいなかった。

 

「私もです。ですが、貴方の能力を考えれば妥当です」

 

 俺の能力ねぇ。壊すこと殺すことに特化した俺の能力が?

まさか、それこそ有り得ない。しかしやるからには完璧にやるしかない。それが俺だしな。

 

「いつものように紅茶を入れ貰っている私が言うのもおかしな話ですが準備はしなくて言いのですか?」

「もう随分前に済ませています。準備できるものは直前ではなくそれ以前に用意する。情報然り、物事も然りです」

 

 俺の言葉に学園長は何故かため息を付いた。何故に?

 

「どうしました?」

「いえ、貴方のその考え方がダリア先生にもあれば私も苦労せずに済むと思いましてね」

 

 あはは、そうだよな。ダリアは明らかに直前に行動するタイプだもんな。

ついでにいえばくだらないことに関しては下準備をすると言う厄介なタチだもんな。大河も同類だ。もちろんクレアも。

 

「でもダウニー先生のような方もいることですから」

 

 あいつは事前に全てを終わらせているタイプだからな。そのお陰で俺は破滅に関しては何もせずに済むし。ありがたい。

 

「そうですね」

 

 学園長は重いため息を何度も吐く。まぁ、悩みが多いもんなこの人。ここはフォローしておいてやるか。

 

「でも、この学園の教師の方は優しい方が多いですね。

色々と授業の仕方を教えてくださいましたし。ダリア先生には本当に世話になりましたよ?」

 

 これは事実。一番世話になったのは言うに及ばず、ダウニー。本当に色々と教えてくれた。

その次がダリア。まぁ、ダリアは真心と言うよりは下心があったが。

 

「ダリア先生が? 珍しいこともあるものです」

 

 それに関しては同感。俺はそこら辺の事情を理解してるから別に不思議とは思わない。でもやっぱり珍しいとは思えてしまう。

 

「ですね。あっ、そういえばグラキアスさんが言っていた騎士団の方も本当に来るのですか?」

 

 俺みたいな若造の授業なんぞ自信も実力もある者が受けに来るとは思えない。

王国の騎士に選ばれる。

その時点で俺が介入する必要がないほどの自らを理解できている。そうでもなければ選ばれるはずがない。

 

「えぇ、現時点で十人は来ているようです。授業前になったらもう少し増えているでしょうね」

 

 マジですか。なんで俺なんかの授業を受けようと思うのかね。あぁ、俺と言う珍獣をみるためか。なら納得。

 

「失敗しないとは思っていますがくれぐれも粗相のないようにしてください」

 

 失敗しないって、俺は完璧超人ですか? まぁ、ゆるく頑張りますか。

 

 

 

 


後書き

 今回もまた日常。

 本来なら前哨戦とばかりに戦闘が入っていても可笑しくないのですが、レベル上げの為の戦いを入れた所で面白いのか?

 私はそう思い、そこら辺の描写を入れないことにしました。

 本当は蛍火の暗躍で学園、騎士団、救世主候補達はそれなりの数の敵と戦って経験値上げをしています。

 すみません、すみません、でもそれやっちゃうと確実に百五十話を越えてしまいますので

 

 

 

観護(のほほんね)

 まぁ、ここら辺は比較的、平和な蛍火の一日だから。

 本当はこんな日はそんなにないんだけどね(苦笑

観護(大河たち、順調に強くなってるわね)

 うん、蛍火の指導の下基礎体力とかは飛躍的に上がってる。

 でも、ここだけの話、かなり原作とは時間軸が狂ってるけどね

観護(そうなの?)

 うん、気付いている人はたぶん少ないと思うけどカエデの時点で時間軸が狂ってる。

 本当はカエデは大河たちが来た日から一週間ぐらいでカエデが召喚されてるんだけどね。

観護(マジ?)

 うん、ついでに言えばアルブでの一件の後すぐにナナシが仲間になるんだけどね

観護(蛍火君、気付いてないの?)

 蛍火だって全てを覚えきれてるはずないよ、蛍火だってまさかゲームの世界に来るなんて思わなかっただろうし。

観護(あー、そうね)

 まぁ、そこら辺は置いておいて次回予告

観護(いよいよ教師生活が始まった蛍火君。どんな珍授業をしてくれるのか?)

 案外普通だよ? では、次話でお会いいたしましょう。





いよいよ教師としての生活も始まる蛍火。
美姫 「一体、幾つの顔を持つのかしら」
その内、自分でも何をやっているのか分からなくなったりしないのかな。
美姫 「それはないんじゃない?」
かな。しかし、近頃は表に出てきた所為もあって暗躍が減ったような。
美姫 「この先の展開が楽しみね」
ああ。その前に、次回の教師ぶりが楽しみだ。
美姫 「次回も待ってます」



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