翌日。俺はレンを学園長に任せて王城に来ていた。
以前もここに着たがこの豪華さと壮言さには圧倒される。
二度とこないと思っていたのにな。
この前と同じで俺には護衛というか監視役がいない。
まったく、これじゃ中にあるものが盗み放題だぞ。金には困ってないから別にしないが。
第四十五話 日常への復帰
俺は学園長に教えてもらった部屋に着く。
気配は二つ。おかしいな……、
昨日で事情聴取が終わりなどと聞いていたが、そんなはずは無いと思っていた。
千年振りの破滅。そして被害に会いながらも生きて返ることの出来た存在に対して一日で終わるとは思えない。
すでに言い尽くした。もしくは後でまた聞こうとしているかどちらかか。
部屋の前で逡巡してしまう。どうしやって話しかけてたらいいものか。
フランクに入っていったとしても怪しまれるしな。そういえば自己紹介してないな。まずはそこからか。
コンコンッ
ノックをして中を伺う。反応はほぼ無しか。さてさて、一体どうなっているのやら。
また死んでいないだけになっているのかもしれないな。
返事が何時までたっても来ないので勝手に入ることにした。
中に入ると二人の女性がこちらを一瞬見たがそれだけの反応を示すだけで、また下を向いてしまった。
やれやれ、人の精神ほど難しいものは無いな。
二人は一昨日と違い、ちゃんと服を着ていた。当たり前か。
髪を菖蒲色な髪を腰まで伸ばし、首の後ろで白いリボンで結んでいる。確か一昨日もしていたな。
彼女の名前はエリザ・カルメル。昨年に幼馴染と結婚し、幸せな生活を送っていたと資料に書いてあった。
今の無気力は未来を奪われたためのものか。それにしても二十二で結婚とは早いのか？
もう一人は淡緑色の髪を肩口に乱雑にと言う訳ではないのだがそうとしか言い表せない。
とにかくその髪に所々にリボンが巻かれていた。縛っているのでなくただの飾りだ。
彼女の名はアムリタ・フォルスティ。愛称はリタ。年齢はエリザよりも若く十八歳。
恋人、夫はいなかったようだが誰かに思いを寄せていた可能性者ある。それは別問題だが。
彼女が奪われたのは過去。今までいつも共にいた親や友を亡くしたためか。
やれやれ、これはまた大変だ。どうやって普通に過ごせるようになるまで面倒を見ようか。
まずは自己紹介からか。
「二日ぶりですね。それとも初めましてのほうがいいでしょうか？ 私は新城蛍火。あなたたちの身元引受人です」
俺の言葉に、特に新城蛍火という言葉に二人は反応した。
最近じゃ、革命者ってだけでなく俺の名前まで広がっているからな。迷惑な話だ。
「貴方が救世主クラス最強の革命者？」
「えぇ、まぁ一応そうです。」
苦笑をもらしてしまう。彼女たちはいや、恐らく全ての人が勘違いしている。
俺は救世主クラス最強ではなく最狂、もしくは最凶だ。自分でもその事はよく理解している。
彼女たちに眼に生気が戻ってくる。それは正の感情ではなく負の感情によるため。
アムリタが激情にかられて俺の方によってくる。
まぁ、これで生きる気力が戻ってくるなら安いか。
「なんでもっと速く来てくれなかったの！！ そうすれば、そうすれば、お父さんとお母さんは……」
言葉の勢いが失われていく。
彼女の両親が死んだところを思い出してしまったか。
やれやれ、そこで認められればまだ楽だろうに。そこで俺を憎めれば楽だろうに。
彼女も分かっているのだ。これは唯の八つ当たりでしかないと。
「リタ。無理して言わなくていいわ。蛍火さん。アムリタの言うことも私が言うことも八つ当たりでしかないです。
けれど何故、遅かったのですか？ 後一日速ければ……助かった人がたくさんいたとのに」
その中には彼女の夫も入っているのだろう。
きついというよりは縋るような眼で言われてもこちらとしては困る。
たしかに俺は前日からそこにいたが手を出すことが禁止されていた。
まぁ、それは言い訳にしかならないが。宮仕えの辛いところだ。
しかし、例え助ける事が出来たとしても物語の進行上必要なので始めから助けるつもりも無かった。
俺は何も言わない。俺には何も弁解する事は出来ないし、する必要もない。俺はただ、彼女達の恨み言を聞くだけ。
十分ほど続いただろうか。その間罵声を浴びせられ続けた。別に堪える事は無い。
幾度も罵声、悲鳴、恨み、命乞い、あらゆる負の感情を浴びてきたのだ。
ただの八つ当たりなどには堪えない。元々、そういう心を持たないというのもあるが。
「どうして………どうして、何も言い返さないの！！ 」
アムリタがついに俺の無反応差に耐え切れずに声を荒げた。普通なら遅いぐらいか。
「受けるべきものを受けていただけです。貴方たちが再び自分の足で歩けるようになるまで私が背負うと私は言いました。
貴方達の心がそれで軽くなるというのなら甘んじて受けます」
俺は約束した。なら俺はそのために行動をしなければならない。
そのために罰を受けなければならない。
「なんで、なんで貴方がそこまでしてくれるの？ うえっ、ひっく」
アムリタは俺の言葉が理解できずに癇癪を上げ泣いてしまった。
もう何がなんだか分からないのだろう。
俺の態度のせいかもしれないな。
堪えているように演技すればよかっただろうか？
それにしても泣けるという事は人であるということ。
なら彼女たちは精神はいい方向に向かっているということになるな。
「リタ。もう、やめましょう。結局唯の八つ当たりなんだから。蛍火さんすみませんでした」
エリザは俺に頭を下げてくる。
いや、頭を下げられても困るんだけどね。
本当にこういうときの人の心理は分からん。
エリザは頭を上げるとアムリタを慰め始めた。
二人とも資料通りの性格か。
エリザはお姉さんで自制心がある。そのためこういう場合、慰めに回る。
だが、それでは彼女のフラストレーションは溜まるだけだ。俺が取り除かないと駄目か。
アムリタは彼女より下の子が余りいなかったためお姉さんの役割をする事が少なかった。だから、こういう場合感情のままに動ける。
今思ったんだがこれってもしかしてフラグ立ってない？
アムリタも泣き止んだのでこれからのことを話すとしよう。
「さて、今からこれからのことを考えたいと思います。まずはあなた方にはこの王都で職を探して欲しい。」
エリザが頷く。何処で生きていくにしても働かないことには食べることも出来ない。
まぁ、彼女達の場合は一定期間働かなくても食と住は保障されるのだがそれは言わなくてもいいだろう。
今は少しでも忘れたいだろうからな。
「王都と限定したのは私は色々と忙しいのでいつもあなた方と一緒いられません。
ですからせめてすぐにいけるところにいて欲しいという私の願いです。了承してもらえるでしょうか？」
王都にいればそれだけ人と触れ合う。彼女たちが生き残りだと知れば人々は冷たい反応を示すだろう。
だが、それは辺境でも同じだ。いや、むしろそっちのほうが酷い。
そちらは完全に村単位で独特の世界が出来ている。下手をすれば殺すことまでされかねない。
どちらも辛いだろうな。
「分かりました」
エリザとアムリタは頷いたが、あまり気乗りしていない。
エリザはその聡さから人の冷たさを不安に、アムリタは見知らぬ土地、頼るもののいない現状に不安を感じている。
だが、彼女たちに引き返せる場所など存在しない。もう、無いのだ。だから無理やりにでも進むしかない。
「商店街というよりも恐らく何処ででも私の知り合いだといえばある程度は便宜を図ってもらえると思います。
遠慮なく私の名前を使ってください」
俺の言葉に頷く二人。
しかし、俺自身有名になりすぎたからな。当初の予定とは大違いだ。
のんびり裏から操って余生を楽しむ気でいたのに。はぁ、
「それと、どうしても働く場所が決められなかったのなら、ここに行くといいです。そこでなら無条件で雇ってもらえますから」
と俺は住所を書いたメモを渡す。
たぶん、人が怖くてここに来ることになるのだろうが、
後は住む所か。一番近いところにいてもらうのが妥当か。もちろん、メモに頼ったならだが、
「後、住むところですが一応用意はしておきます。
気に入らなければまた後日引越しすればいいですから、あっ、その場合はちゃんと住所を教えてくださいね」
すべきことは終わった。まだ、何か言いたそうだがここはすぐに行動してもらわなければ。
さて、喫茶店を開くとしますか。レンも待ちくたびれてむくれている頃だ。
俺は店に戻り、すぐにウェイター服を着た。どんなのにするか悩みぬいて結局これにした。
当然これにもいたるところに改造が施してあり脱げば武器がごろごろと出てくる。
何時如何なる時でも戦えるように、それが師匠に一番初めに習ったことだからな。
俺が着替えて出てくるとやはりむくれているレンが眼に入る。
やれやれ、構ってもらえないからといってスネすぎだろ。
「レン、午前中は用事があったのです。一緒にいられないことは悪いと思っていますが私にも都合があるのです。
今朝もきちんと言ったでしょう。そうむくれないで下さい」
俺はそういって顔を合わせようとしたが、その瞬間レンはプイッと顔を逸らしてしまった。
はぁ、どうすればいいというのだ。頭ごなしに怒るわけにもいかんし、
甘いものでつるしかないのか。教育的によろしくないんだがな。
案の定、特製の季節のフルーツを使ったシフォンケーキで釣れてしまった。
なぁ、レンの母親よ。あんたは一体どんな育て方をしたんだ？
店の中で何かと雑事をしながら魔術を行使する。
エリザとアムリタの二人を監視というか見守るために町の上空に配置する。
ふむ、よく見える。
別にあの二人が気になるのではない。折角立ち直ったのだからここでくじけてもらいたくない。
ただ、それだけだ。ほんとだよ？
二人は商店街を彷徨っている。何処に声をかけたらいいのか分からないというのもあるだろうが、それ以上に怖いのだろう。
噂とは一日たてば思いもよらない範囲にまで広まっている。俺もそれで何度酷い目に会ったことか。
自分たちの誹謗、中傷が流れているかもしれないから怖い。
人ごみの中にいる事でさえ怖い。
といってもそんな心配は要らないのだが。
彼女たちのことに関しては緘口令が敷かれている。それを破ったものはかなりの罰が下されるからな。
昨日今日では流れるものではない。
彼女たちは大きな声、もしくは音が聞こえるたびに身体を震わせている。
あの時の記憶が蘇るのだろう。だが、それは当たり前の事だ。だれしも嫌な記憶は簡単には消えない。
しかし、その様子がいけなかったようだ。
明らかに不良としか思えない輩が彼女たちに目をつけてしまった。まぁ、絶好のカモだわな。
はぁ、二人とも美人なのだからもう少し気をつけてくれ。それとも辺境出身だからそういう意識が無いのか？
これは少々危ないな。
これを気に襲われでもしたら恐慌状態に陥り、また一昨日のようになってしまう可能性がある。
止めないといけないか。
という訳でさっさと馬鹿な輩を排除して彼女達を見守っていた。
彼女達が馬鹿共に狙われるのが後二度ほど起こったが、それは些細な問題だ。
深刻なのは、結局彼女たちは何処にも入ることは無かった。
予測していた通りか。こうも考えていた通りになるとは逆に面白くないぞ。
そして、見守るのをやめ、今はレンとトランプをしている。
二人しかいないのに何故かババ抜き。
レンは面白いくらい表情を変えるのでどれがジョーカーかすぐに分かる。
ゆえに今の戦績は俺が一勝しただけで後は全敗。
最初に普通にやって勝ったら随分と涙ぐんだ眼で見られた。それ以来わざと負けている。
むっ、そろそろ彼女達が来るか。
監視魔法を見るまでもなく彼女達の気配ですぐに分かる。すでに彼女達の気配は覚えているからな。
「エリザさん。ごめんね。私がわがまま言ったから結局、決まらなくて」
「いいのよ、リタ。私だって気乗りしなかったから。でもさすがにここで暮らすのに職がないんじゃどうにも出来ないわ」
エリザが気落ちしてため息を吐く。それにつられアムリタも暗い顔をする。
ちなみにこれは店の窓から見えている。
「結局、蛍火さんのメモのところに来ちゃった。変な店じゃないよね？」
アムリタが不安そうに呟く。
失礼な。さすがにそんな事はしないぞ。
「さすがにそれは無いと思うけど」
エリザが歯切れが悪そうにアムリタに返す。
しかしその時点で不安には思っているとことが分かるぞ。
「行くしかないね」
「そうね」
二人が威を決して店のドアを開ける。
カランカランとドアのベルが鳴る。
「いらっしゃい」
俺はなるべく温和そうな笑顔で彼女たちを迎える。
俺の顔を見るなり彼女たちはぽかんとしてしまった。女の子が口をあけたままにするものじゃないよ？
「けっ、蛍火さん。なんでここに」
先に回復したエリザが呟いた。さすがアムリタより……いやこれは禁句か。
「何故も何もここは私が経営している店ですから」
そう、彼女達のメモに書いた店は俺が経営している(といっても営利目的はほぼ無いが)喫茶Out of Orderである。
ここに来た場合は喫茶店の手伝い以外にレンの世話を頼もうと思っていた。
「アムリタお姉ちゃん！！エリザお姉ちゃん！！」
レンが二人に気付き二人の真ん中目掛けて全速力で駆け寄る。
母親以外に気を許していた二人に会うことが出来たのだ。さぞかし嬉しいことだろう。
「「レンちゃん！！」」
アムリタとエリザはちょうど二人で包み込むようにレンを抱いた。
「レンちゃん。よかった。無事だったんだ」
「本当に無事でよかったわ」
三人は泣きながら抱き合っていた。知り合いにまた会えたことを喜び合う。
うむ、絵画にしてもいい位の構図だ。
三人が泣き止むまで俺は珈琲でも入れているとしよう。間に入るのはあまりにも無粋だ。
数分後、三人は泣き止んだ。
もう少し続くと思っていたのだが、
ふいに俺がエリザの視線にぶつかってしまった。エリザは紅潮して抱き合うのを終わらせた。
泣いている姿を見るのは俺としては初めてではないのだが。あの時のことはほとんど覚えていないからだな。
「あの、何でレンちゃんがここにいるんですか？ 助けられたのは私だけのはずじゃ。それにどうして教えてくれなかったんですか？」
エリザが少し怒りながら聞いてきた。まぁ当然か。
「レンはあなた達が学園に向かった後、私が保護したのです。ですから知らないのも無理はありません。
教えなかったのは、その方が喜びが大きいと思いましてね」
再開は劇的にしたほうが見ているほうは面白い。それだけだ。
酷いとか言うなよ。
「前者はともかく後者は納得できない理由ですね」
エリザが睨んできた。ふむ、それだけの元気が出てきたか。
まぁ、納得できないのは当然だ。俺が楽しむためだからな。
俺は肩をすくめることで返事をした。取りあえず、俺は仕事の内容を話すか。
「さて、ここに来たという事はここで働くという意思があると見ていいですか？」
これは一応聞いておかないといけない。これでも経営者だからな。
「はい」
「当然」
二人が張り切って返事をした。レンの存在が彼女たちにいい方向に動かしたか。
ふふっ、どこで人の心は動くか分からんな。
「では仕事内容ですが、普通に喫茶店で働くと思ってもらえばかまいません。
特別なことはこの近隣にある喫茶店から外注が来た時に注文の品を持っていけばいいそれだけです。
といっても主にするのは外注ですけどね」
「えっと、それって喫茶店らしくないような」
アムリタが少し困っている。エリザも困惑気味だ。
まぁ、喫茶店としては有り得ない形態だしな。
「趣味でやっているような店ですから。それでいいんです。給料に関してはまた後で話しましょう。
それと住むところも決まっていないでしょうから、今日からは一時的に救世主クラスの寮に住んでもらいます。
私の扶養家族として申請したので一人一部屋は無理でした。お二人で住んで頂くことになります。すみませんね」
「そんな、そこまでしてもらってるんだから十分だよ！」
アムリタが慌ててた様子で否定してきた。ふむ、この子もそれなりにいい子のようだ。
「ありがとうございます。では」
俺は簡易の式紙を作り宅配を専門としている学科の数人と執事科の数人に連絡を入れる。
これで寮に戻ったときには二人の部屋がもう住めるようになっているだろう。
「今日のところは何もする事がありませんので、珈琲でも飲んでいただければそれだけでいいです」
そう、思いっきり自己満足で建てた店だからな。
店員が増えすぎても困るが彼女たちだけなら問題ない。
それにレンを見ていてもらえるからな。これはたぶん頼まなくても自主的にやるだろう。
俺は先ほど作っていた珈琲を三人に出す。もちろん昨日と同じカフェラテだ。
「えと、じゃあ」
アムリタがおずおずと珈琲に手を出した。
あっ、しまった。猫舌かどうか聞くの忘れてた。
レンのものはきちんと冷ましてあるが、二人のは熱い。
二人が猫舌でありませんように。
「あっ、美味しい」
「本当ね。こんなに美味しいの今まで呑んだことが無いわ」
ふむ、猫舌ではなかったようだ。よかった。相変わらず珈琲を褒められるとそれだけは嬉しい。
のんびりと四人で珈琲を飲んでいた(俺はもちろんブラック)。
しかし、エリザは何か遠慮しているように見える。
ふむ、聞いたほうがいいな。いや、話しかけてくるまで待つといしよう。
「あの、蛍火さん」
俺が、待ってから数分もしないうちにエリザが話しかけてきた。
「はい？ なんでしょう」
「あの、どうして………ここまで私たちに親切にしてくれるのですか？」
それはある種、聞かないほうがいい質問。
ものによっては聞いてはいけない質問。
「商店街を紹介してくださったり、ここで働かせてもらったり、色々と親切にしてくださるのは本当に嬉しいです。
でも私たちには返せるものがありません。これからも貴方に返せるものは少ないです。
なのに何故こうまで親切にしてくださるのですか？」
ふむ、そこが不安だったのか。たしかに身体が欲しいからといってしまわれるかもしれないからな。
もっともそれは俺にとっては有り得ないが。
さて、贖罪と答えるのはあまりこの場合はよろしくないな。
変に気負わせるだろうからな。もちろん、牽制のためや人気取りのためとはいえないしな。
何て答えようか。
ふざけるに限りますか。
「そうですね。……あなた達が美人だったからですかね。美人が悲しんでいたり困っているのなら親切にしてあげたいと思いますから」
ん？ これって受け取り方を変えれば体を要求していることになる。
間違えた。
そう思って、彼女たちを見たら、何故か赤くなっていた。
怒っている頬の紅潮ではなく恥ずかしがっている紅潮の仕方だな。
違う意味で失敗した！？
俺がショックを受けているとふいに裾が引っ張られた。
これをするのはレンしかない。
下を向くとレンがむくれていた。それはもう、今迄で一番。
えっと、どうすればいいんだろうか？
俺が失敗するまでは機嫌は良かった。つまりは失敗した発言が原因になる。その中でも何が原因だ？
レンはむくれながら俺をじっと見つめる。ふむ、何かを要求しているのか。
何だ？
もしかして、美人といったことに怒っていて彼女たちを特別にしたのがいけないのか？
「レンが一番可愛いですよ？」
俺はそういってレンの頭を撫でる。
するとレンは先ほどまでとは裏腹に気持ちよさそうな表情で擦り寄ってきた。
ふむ、小さくても女ということか。
レンの頭を撫でている間、エリザとアムリタの視線がきつかったのを追記しておく。
後書き
またまた追加されたオリキャラ。
すみません、すみません、すみません。
あのキャラ達は歴史が変わったことの証人であると同時に、戦いに向かう蛍火を待つという役割を持っているので。
人によってはいらないだろとおっしゃられるかもしれませんが、そこはご容赦ください。
ふぃ〜、漸く復活できた。
観護(漸くって。蛍火君の攻撃を受けて復活できるほうが可笑しいわよ？)
いや、それを言ったら浩さんが一番だろう。死伎を受けて十数行と立たずに復活したんだよ？
観護(浩さんは美姫さんの相方だからでしょ？)
言えてる。
さて、今回は第四十一話で助けた二人のエリザとリタの二人を保護する話だね。
観護(蛍火君、またしてもフラグ立てたわね)
蛍火はそういうキャラだから。
観護(これ以上キャラ増やして大丈夫なのかしらね？)
限りなく難しい。出来ればキャラの書き分けを浩さんにご教授願いたいぐらいに。
観護(馬鹿！！)
のわっ、危な！ 観護！？ どうして動けるんだ！？
観護(きっと美姫さんが改造してくれたのよ)
ありえるな。ふんっ！！←白刃取り
観護(なっ、受け止めた！？)
ふふっ、レンの攻撃は甘んじていただけさ。本当なら避ける事ぐらいは造作もないんだよ。離紅・空流は無理だけど。
観護(くっ)←必死に押し切ろうとしている
くっ←必死に押し返そうとしている
観護(取り合えず次回予告！！)
まだまだ続く、日常編。蛍火によって救世主寮に招かれたエリザとリタ！！
観護(この二人が小さな、けれど少し大きな波紋を齎す！！)
では、次話も宜しくお願いします！！
観護(いい加減に死になさい！！)
死ねるか！！
何故、俺が普通人じゃないという事になっているんだ！
美姫 「えっ！？」
いや、何故驚く。
美姫 「いや、だってね」
それに、お前観護に何かしたのか？
美姫 「ふふ〜ん♪」
いやいや、その反応は怪しすぎるから！
美姫 「やっぱり、ボタン一つで魔法が出るようにするべきだったかしら」
やめい！
美姫 「と、冗談はこれぐらいにして」
今回は酷い目にあった少女たちの保護だな。
美姫 「でも、蛍火は益々こっそりと動きづらくなったんじゃ」
うーん、どうしても必要ならこれぐらいの人目ぐらい躱せるだろう。
まあ、その後で一緒にいなかったと言ってレンに拗ねられるだろうけど。
美姫 「その辺りは甘いもので誤魔化すのかしらね」
それは当然だろう。
今回は大きく戦局が動く事もなかったし、ある意味のんびりとした一日とも言えるかな。
美姫 「今後、どう物語が進むのか楽しみよね」
ああ。次回も楽しみにしてますね。
美姫 「待ってますね〜」