朝、目が覚めてすぐに窓をあける。外の空気を目いっぱい吸い込んでから煙管に火をつける。

肺に煙が充満する。いや朝一番に吸う煙草は格別だ。いいね。

 

 

 

 

 突然、爆音が鳴り響き、ついで地震のように部屋がいや、建物が揺れる。

窓の外を眺めると召喚の塔の最上部から黒煙を吐いていた。

もう、始まったか。やれやれ、せっかく気分が良かったのに、

 

 

 

 

 

 

 

第二十五話 破滅の片鱗

 

 

 

 

 

 

 

 俺は取りあえず、召喚の塔を目指すことにした。ダリアやダウニーにこれ以上にらまれるのは嫌だ。

 部屋を出ると大河と鉢合わせた。まぁ、当然だな。

 

「蛍火!!」

「分かっています。急ぎましょう」

 

 大河を急かし、召喚の塔へ駆ける。途中で未亜、リリィ、カエデ、ベリオとも合流し、召喚の塔へ踏み入る。

 入ってすぐに目の前に広がったのは救世主候補召喚のために使われる魔方陣の描かれた床が、いや、床だけでなくこの部屋そのものが中から爆破されていた。

 無事な場所が無いほどの損傷。その様子に大河たちは一瞬呆然となる。

 大河の目が扉の横に立つリコに向く。

 

「リコ、これは一体。どうしたんだ?」

 

 リコが分からないといった風に首を横に振る。その返事に大河は若干の落胆を示す。しかし、すぐに学園長たちのほうへ視線を向けた。

 学園長たちはせわしく動き回っている。調査だな。

 

「学園長、やはりここからマナの残留波動は感じられません」

「爆発は召喚陣だけを正確に吹き飛ばしてますし」

 

 その言葉の意味を救世主候補たちは理解できていない。リコは分かっているが。

これが人為的になされたものだということを分かっていない。考えが頭の隅にあっても否定しているだろう。

 まぁ、確実に目の前にいる奴がやったなんて思い浮かばないだろうが。

 

「どうして、そんな事を?」

 

 未亜が、誰にというわけでもないのだろうが、そう呟いた。

 

「救世主を呼べなくするため」

 

 静かにリコが答える。それに対し、未亜が何か聞き返そうとするが大河が制する。

 

「でも、救世主を呼べなくする事に何の意味が……」

 

 意味はあるさ。戦力の増強は敵としては抑えたい。救世主候補の力は一騎当千。

しかも存在しているだけで他の兵を鼓舞する。俺が敵の将なら真っ先に叩き潰す。

 

「分かりません。でも……」

 

 そんな未亜の言葉にポツリと答えたリコへと視線が集まる。しかし、リコはそれを意に介せずいつもと同じように淡々と続ける。

こんな状況でも感情を抑えるか。リコ……そんなに怖いのか。

 

「あるいは、救世主を返せなくするため」

「どうして分かるの? リコ」

 

 リコの言葉をじっと聞いていた中でベリオが真っ先に口を開く。さすがだね、委員長。

まぁベリオにとってみれば疑問だろう。救世主を返せないことにどんなメリットが存在するのか。

 

「確かにそうね。召喚陣を壊す目的といったら救世主を呼べなくするか、返せなくするかのどちらかでしょうね」

「えっ!? 召喚陣が無くなったら元の世界には帰れないんですか?」

 

 学園長の言葉に未亜が真っ先に尋ねる。まぁ、魔術を良く知らない未亜にしてみればっ疑問だろう。

それに未亜はまだ心のどこかで危なくなったら帰れば良いという心が僅かなりとも残っていたんだろうな。

 

「当たり前でしょう。それを利用して召喚され、返換されるんだから」

 

 うろたえている未亜に冷ややか最後の言葉をいった。希望は持たせてあげるべきだぜ?

 召喚陣を使って戻れなくなったのだが、俺にしてみればたいした事はない。自力で戻れるし。

俺をこの世界に招いたのは観護だ。召喚陣を解しているとはいえ。観護に聞けば座標はすぐに分かる。

まぁ、今戻る気はさらさらないが。とりあえず俺も取り乱しておこう。

 

「そんな」

 

 呆然といった風に呟き、膝をつく。爆発によって出来た壁や床のかけらが当たって痛い。

 俺が呆然としていることに周りが静まり返る。そこまで意外かな?

 

「うぅ、ここに来る前に買ったCBR1100XXが。ローンまで組んで買ったのに。もう、乗れないなんて」

 

 あぁ、これはマジだ。憧れのリッター越えのバイク。大型免許を漸くとってやっと買ったのに。

しかも黒だけを探してたから時間がさらにかかった。気に入ってるんだぜ?

 

「あんたねぇ。帰れないからってそんな事で落ち込むんじゃないわよ」

 

 呆れた様子で俺を怒ってくる。おい、今そんな事って言ったな? あれはマジ大切なんだぞ。整備屋にも触らせないくらい大事なんだぞ。

この前あれに触ろうとしてた馬鹿を半殺しにしたぐらい大切なんだぞ。あぁ? 武術も習ってないのになんで半殺しに出来るかって?

アニマ○浜口じゃなねぇけど、んなもん気合だ。気合。

 

「そんな事!! 今そんな事って言いましたよね!! あれは大事なんですよ。本当に大事で命の次に大事なものなんですよ!!」

 

 俺の剣幕にリリィが引く。というかみんな引いてる。はっ、少しやりすぎた。

 

「すみません。取り乱して」

 

 少し、後ろに下がる。これで少しはダリアとダウニーの疑いが晴れるといいな?

 

「……そんな事はさせません……。これは私の責任です。皆さんは無事に帰れるように召喚陣は私が責任を持って直します」

 

 リコの瞳には強い意志が宿っていた。その様子に全員が呆然とする。さすがだ、リコ。

俺の発言を見事なかったかのように話を元に戻している。生きた年数は伊達じゃないな。

 

「大変かもしれないけど、よろしく頼むな」

 

 大河らしい気遣いだ。でも、そこで頭を撫でる必要はないぞ? ほら、ベリオとカエデから瘴気が出てきた。

 

「はい」

 

 大河に小さく、しかし力強く頷きリコは召喚陣のあった場所へと歩いていく。

 大河へと向きを変える。

 

「学園長。これがどういうことか説明してもらうぜ」

 

 学園長を威嚇するように学園長に問い詰める。

 

「何がですか?」

「これは明らかに事故じゃねぇ。まず、爆発って時点で何かあるって思うのが当然だろ。

爆弾かどうかは知らねぇがそんなものをここを狙ってやったんだろ。なら、これは誰がやったんだ?」

「鋭いですね」

 

 学園長が驚いている。いや、俺も驚いているよ。ここまで大河が論理的な考えを出来るなんて。

未亜よ。お前の半分血の繋がった兄をそんな目で見てやるな。大河が気付いたら嘆くぞ?

 

「当真。もう少し良く考えてください」

「あっ?」

 

 その言葉にみんな少し考える。素直に俺の話し聞きすぎ、

 

「救世主に反対、もしくは反抗する勢力。人だけとは限りません。人以外にも怪しいのはいます」

 

 まぁ、これをしたのは目の前にいる奴だが。それに救世主というものに反対しているのは意外に多くいる。特に政治家に、

 

「まさか、破滅?」

 

 俺の言葉で分かったのかベリオが一応の正解を出す。その言葉にベリオ以外の救世主が納得する。

 

「この学園に破滅が潜んでる可能性があるってことかよ!?」

「その可能性も否定できません」

 

 大河の信じられないといった叫びに学園長はあくまで冷静に頷く。というよりは破滅の主幹は目の前ですよ?

 

「しかし、破滅に取り付かれて者は理性もなくただ、己と周囲の破滅のみが目的となるのです。

だから、とてもじゃないけれど我々の目を欺いて高度な破壊工作をするほどの知性は持ち得ていないはずです」

「……そう、そうよね。この学園にまさか、そんな…、そんなのあるはずが無いじゃない、このバカ!!」

 

 バカ発言。ここをさらに修復不能にするつもりか? まぁ、リリィにそんなことが頭に浮かんでいるはずも無いが、

 ん? 大河がやけに静かだな。どうした?

 

「リリィ、有り得ない可能性なんて無いんだぜ?」

 

 大河は静かにそう告げた。それは俺がこの世界で最初に大河に説教したときに使った言葉。

覚えていたのか。

 

「破滅に知性を持った奴がいてもおかしくない。もしかしたらそいつが学園の誰かを脅してここを爆破したのかもしれない。

学園の誰かに成りすましている破滅がいるかもしれない。可能性はあるんだ。っていっても受け売りだけどな」

 

 最後はふざけていたがそれでも大河が自分なりに目の前の出来事を考えていたのが分かる。

本当に原作とは見違えるほどに成長している。

 

「そんな事、そんな事分かってるわよ。でもこの学園にそんなのがいないって思いたいじゃない!!」

 

 こっちにも驚きか。安堵を手に入れるためでなく信じたいか。原作の現時点では絶対に出てこない言葉だ。

本当に少し助言するだけでこいつらは恐ろしいほどに成長していくな。

このまま、口論させてもそれはそれでこいつらの成長に繋がるが時間がない。

そろそろリコが禁書庫の中に入っていてもいい時間だ。追わせないと。

 

「はい、そこまで。この場合はどちらも正しい。疑わなければ危険を予知することは出来ない。

しかし、信じなければ誰からも信じてもらえない。

当真の言い分もシアフィールドさんの言い分も正しいのです。この事に関しては答えは無いですから。

それよりも今はこれからどうするかでしょう? ねぇ、学園長」

「その通りです。まずは召喚陣が破壊された今、新しい救世主は望めません。

ですから、現有戦力の中から救世主にふさわしい人物の選ばなければならないということです。

王宮もこれ以上の時間の浪費は見過ごしてくれないでしょう。

これからの救世主クラスの訓練がこれまで以上に厳しくなる事を理解しておいてください」

 

 学園長の言葉を聞き、気を引き締める救世主候補たち。

いっその事イリーナに大河のメニュー増やしてもらうか?

 

「私たちは善後策を検討するために緊急職員会議を開きます。貴方たちは、すぐに自室で待機しておきなさい。

さて、ダリア先生。全職員に緊急集合を。それと全校生徒に各自、自宅と寮にて自習。

校内に不審物がいないかの捜査が終わるまでの外出禁止を通達して」

「はぁい」

「ダウニー先生は現場の被害状況の報告書の作成。及び校内にいる火薬知識を持つ人物のリストアップを。

同時に同人物の一両日中の足取り調査をお願いします」

「はっ」

 

 粗方の支持を終えると、学園長はダリアとダウニーを共につれ召喚の塔から去っていった。

 

「こいつは本当に破滅が来る日が近いのかもな」

 

 大河の言葉に沈黙が降りる中、少し息苦しそうにふと呟く声が聞こえた。

 

「破滅……」

 

 その声につられて全員がリリィのほうへ振り向く。

そこには普段の気丈な態度などまったく感じさせないほど不安を滲ませ、不気味なぐらいに顔を真っ青にしていた。

 あまりにもひどいリリィの姿に未亜が声をかける。それと同時に足の力が抜けるようにその場へと倒れていった。

 

「リリィ!」

 

 ベリオが思わず叫ぶ中、いち早く反応してベリオが声をかけるのとほぼ同時に大河が動く。何とか地面に倒れる前にリリィを支えた。

 

「未亜、校医の先生に連絡!」

「あ、うん」

 

 大河の言葉に未亜は弾かれたように走り出す。その未亜の背中を見ながら大河は慎重にリリィの身体を抱き上げる。

ここで変なところに触らないなんて大河らしくないと思うが、大河は優しすぎるからな。

こういう場面でしていいかどうかぐらいはわかっているだろう。

 ふと床を見ると、そこには鮮やかな白い絵の具で描かれた文字があった。

 

『み つ け た よ』

 

 この事件にはふさわしくない文字。普段なら落書きで済ませるがこの状況ではそう済まされないだろう。

 しかし、見つかったんだよな。漸く始まる。漸く……、

 

「ベリオ。俺はリリィを医務室まで連れてくわ」

「あっ、待って大河君」

 

 召喚の塔を出て行こうとする大河をベリオが止める。ん? こんなのあったっけ?

 

「リリィの事は蛍火君に任せましょう。蛍火君が連れて行くほうが喜ぶと思うから。

それに大河君がリリィに何かしないって保障はありませんし」

 

 さりげなく毒を吐く。恐ろしいぜ委員長。

 

「ちょっと待て、何でそんな事言われなきゃなんねぇんだ!?」

「普段の行いを思い出してください。そうすれば思い当たるはずです」

 

 ベリオが毅然と言い放つ。大河は頭の中で普段の行いを必死に思い返しているだろう。

 

「ない!」

 

 きっぱりと言い放った。何の迷いもなく言い切った。

その様子にベリオは頭を抱えた。もう少し軽く考えたほうが良いぜ。

 

「はぁ。取りあえず蛍火君がリリィを連れて行ってください!!」

 

 ベリオの剣幕に大河は従った。俺もしたがうより他ない。これ、大河の役なんだけどなぁ。

 

 

 

 

 

医務室へと連れて行くとすでに校医が待っていた。校医に促されリリィをベッドに寝かせた。

さて、これで終わりだ。さっさと去ろう。

 そう思い、リリィから離れようとした。しかし、裾を何かに掴まれている。俺を掴んでいるものを確認するとそれはリリィの手だった。

 さて、どうしたものか。

 

「あんた、用事はないんだろ? なら、ついてやってくれ」

 

 医者にそういわれては仕方ない。俺はリリィが目が覚めるまで待つことにした。何して時間つぶそうか?

 

 

 

 校医の検診はすぐに終わった。原作どおりと特に問題は無いらしい。まぁ、心因性のものだしな。

 リリィの瞼が動く。そろそろ起きるか。

 

「パパ?」

 

 先生、兄君と呼ばれているが、ついにパパか。父親扱いされる年では一応あるが、十代後半に呼ばれるほどじゃないのに。

いやいや、早く気づかせなければ。

このままではデッドエンドが待っているかもしれない。例えば、この後、リリィが俺を父親と勘違いして抱きついてくる。

そこに、未亜、メリッサもしくはマリーがやってくる。

ガタガタッ、地獄絵図が繰り広げられるぞ。

 ちょっと待て、それ以上に学園長が入ってきたら? それが一番の最悪だ!! 一刻も早く俺だと気付かせよう。

 

「シアフィールドさん!! 私は新城蛍火です!! 決して貴女の父親ではありません。それに貴方はリリィ・シアフィールドですよ!!」

 

 慌てたあまり大声を上げてしまった。しかし、それでリリィが気付いてくれるなら安いものだ。

生きているのを諦めるような事をされたくは無い!!

 

「えっ? 蛍火?」

「えぇ、そうです。蛍火です。先生とか兄君とか革命者とか言われてますがパパと呼ばれる存在ではない蛍火です」

 

 やば、錯乱してる。でもしょうがないだろ。あれ相手に錯乱しないほうがおかしい。

 

「ちょっと何わけのわかんない事言ってるのよ。あんた大丈夫?」

 

 よかった。気付いた。助かった。

 

「いえ、大丈夫です。それより気分はどうですか?」

「は? いったい。」

 

 リリィは俺の言葉で漸く自分がどこにいるのか気付く。そして召喚の塔で自分が気絶したことに気付いた。

 

「そっか。なんか情けないところ見せたわね」

「いえ、誰しも触れられたくないもの、恐ろしいものはあります。それによって取り乱すことも、」

 

 あぁ、俺でも師匠のしごきには確実に取り乱す。第三の仮面までだが、

 

「聞かないの?」

 

 それはどうして自分が取り乱したか聞きたくないのかと。これは恐らく聞いて欲しいのだろう。そうでなければ口にしない。

 

「聞いていいのなら」

 

 リリィはポツポツと話し始める。

 

「私の生まれた世界は破滅に滅ぼされた」

 

 ここで驚く必要もない。俺は知っている。そして今は聞き手だ。ただ静かに時折あいづちを打てば良い。

 

「私以外のみんなが死んじゃった。お父さんも、お母さんも近所の友達もその両親も全部死んじゃった。私だけを残して」

 

 リリィの目はもはや俺を見ていない。

すでに死んだ家族たちのことを、色褪せてしまった大切だった人を思い出している。

 

「今でもその光景を夢に見る。私を生かしてくれるために犠牲になったみんなのことを」

 

 それはかなり傲慢だ。たまたま生き残っただけだ。

 

「だから二度とあんなことを起こさせたくない。そしてこれからも守り続ける。私を生き延びさせるために死んでいった人たちの手を…」

 

 リリィは話をしているうちに生気を戻していった。自分が戦う理由をもう一度胸に刻んだからだろう。

 

「ちょっとなんか言ったらどうなの?」

 

 ん? 終わりだったのか? それしても俺に何か聞く必要はないだろう。すで決意はあるのだから。

まぁ、リクエストに答えておきますか。

 

「そうですね。シアフィールドさん。貴女はその道をずっと進むつもりですか?」

「当然よ。それが私が戦ってる理由だし生きてる意味だもの」

 

 きっぱりとそれが当たり前だという。なら、大河に言った言葉を言ってみても良いかもしれないな。

 

「なら、諦めないで下さい。その道を進むことを」

「はっ?」

「どんなに辛いことがあっても諦めないで下さい。貴女が諦めない限りその道は貴女を裏切りませんから」

「当たり前ね。諦められるはずないもの」

 

 リリィは笑っていた。なんだかよく分からんが。

それにしても諦められるはずがないか。リリィは諦めなければいかない状況になったらどうするつもりなのだろう?

 

さて、出て行くとするか。まだ、冷蔵庫に食材が残ってたしそれで今日の晩御飯考えないと。

 

「ちょっと待ちなさい。他に何かないの?」

 

 扉まで動いていた俺をリリィが引き止める。本当にどうしたものか。わからん。

 

「みんな心配してました。もちろん私も、ですから早く良くなってください」

「分かってるわよ」

 

 リリィが顔を赤くしながらそう答えてくれた。しかし、人の心だけは軌道修正しにくいな。失敗した。

 

 

 

 


後書き

 原作通りに召喚陣が破壊されましたが、止めようと思えば止められました。

 しかし、蛍火の目的はあくまでも原作に沿った話の進み方。

 そして召喚陣の破壊とはやはり想像以上に意味があるもですから、そのままにさせていただきました。

 ベリオがリリィを大河に任せなかったのは唯の嫉妬です。分かっていただけたでしょうか?

 

 

 

 

 さて、今回は初めて触れる破滅の片鱗ですが……

??&観護「(本当にギャグをはさんでどうする!!)」

 ぶへらっ、

観護(状況を考えなさい、状況を!)

 いや、堅苦しいだけじゃつまらないだろ? それに蛍火はどっちかって言うとああいう場で他人をからかうのが好きだから。

 四話でのダリアとの会話とか、七話での食堂でのダウニーとかの会話とか。他にもかなりあると思うよ。

観護(そういえば、そうだったかも)

??「蛍火が好きでやったのなら仕方ない」

 君たちも結構いい加減だねぇ。

??「でも、今回はリリィお姉ちゃんは良い目に会いすぎ」

観護(そうねぇ。これを気に一気に急接近とか!?)

 いや、それだけはない。蛍火は現時点で誰とも想いを通じ合おうとは思ってないし。十四話でのメリッサとの会話が良い例だよ。

観護(ちぇっ)

??「ほっ」

 さて、次回予告をしようか。

??「ごまかされた気がしないでもないけど、次回予告」

観護(ついに始まる偽りの救世主選定試験。大河たちは全員で最下層まで辿り着けるのか?)

??「その頃、蛍火は一体何をしているのか?」

 では、次の話でお会いいたしましょう。





破滅の片鱗。
美姫 「この辺りはほぼ歴史通りね」
だな。蛍火もこの辺りは特に弄ってないみたいだし。
美姫 「次はいよいよ、禁書庫ね」
一体、何があるのかな。
そして、蛍火はどうするのかな。
美姫 「次回も待って……」
その次回もすぐ! ……ぶべらっ! な、何故?
美姫 「さっさと言わないからよ」
しょ、しょんなぁぁ。



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