なのは's Monologue
再び現れた量産型ヴォルクルスを倒した私たちですが、黒幕と思われるルオゾールが出現。
それで、ルオゾールによって重傷を負わされたクロノ君とフェイトちゃんは現在医務室で治療中です。
フェイトちゃんも医務室についたとたん意識を失ったそうで、二人は未だに意識は戻っていません。
また、私たちも疲労が激しかったのでレクリエーションルームで休息していました。
恭也君に関しての説明はみんなそろってから話した方が良いので、まだ話していません。
はやてちゃんは、かなり不貞腐れていますけどね。
その時、御神提督がいらっしゃって、恭也君に模擬戦の申し込みをしていました。
恭也君は御神提督の姿を見て非常に驚いていたようですが、あっさり承諾。
そして、二人は訓練室で対峙しています。
魔法少女リリカルなのは
−White Angel & Black Swordmaster−
Act:09「思いがけない再会と新たなる出会い、なの」
恭也' View
俺は今、次元航行艦・クラウディアに存在する訓練室にいた。
なのはの上司と思われる御神提督が俺との対戦を望み、俺が了承したから。
俺は、御神提督の姿を見て驚いた。
そう、御神家襲撃事件の時に亡くなった御神家当主・御神静馬叔父さんにそっくりだったから。
まぁ、なのはの事もあるから並行世界の同人物の可能性の方が高いと思うが……。
それもあって俺は、確認する意味もあり受けたわけだ。
俺が知っている静馬叔父さんなら、太刀筋を見ただけで判別できるから……
いくら幼い時の思い出とは言え、未だにその太刀筋は鮮明に俺の記憶に刻まれている。
そう思いながら俺はバリアジャケットをまとった。
御神提督も同じようにバリアジャケットをまとう。
いくら模擬戦とはいえ、少しでも防御力は上げた方が良い。
もっとも、御神流同士の戦いにおいて、バリアジャケットが有効かどうかは分からないが……
不意に、その場の空気が変わる。
お互いに戦闘態勢に入る。
「永全不動八門一派・御神真刀流小太刀二刀術・師範代、高町恭也……」
「航空武装隊総司令兼航空戦技教導隊総隊長・御神静馬……」
お互いに名乗り、構える。
名乗り終わると同時に、強襲する為に……
「いざ、参る!!」
「推して参る!!」
互いにありえないスピードで突進し、刀と刀がぶつかり合う。
そして、何回かつばぜり合いを行い、同時に間合いを取る。
刹那、御神提督は飛針を投射。
俺は、その飛針を相殺させるために自分の飛針を投射。
互いの飛針がぶつかり、力なく地面に落ちる。
だが、その隙をお互い見逃さなかった。
「その若さでここまでやるとは……」
「そちらこそ……
久しぶりに、本気を出せる相手ですよ、貴方は」
再びぶつかりある刀と刀。
俺は内心喜んでいた。
俺が本気を出せる相手と言えば、美沙斗さん、神咲薫さんぐらいだ。
美由希はまだ発展途上であり、苦戦はするが本気を出すほどの相手ではない。
なのはに関しては、近接戦闘及び読みあいはまだまだ甘い。
シグナムに関してはまともに戦った事は無いが、たぶん本気を出せる相手だと思う。
そんな事を考えながら、俺は奥義を放った。
「御神流奥義乃壱・虎切!」
だが、俺が出した奥義・虎切は御神提督の出した奥義によって相殺された。
「御神流奥義乃弐……
虎乱……」
「!!」
この太刀筋……
まだ確証は持てないが、あの時の太刀筋に間違いない……
俺は、僅かに錯乱したが表には出さず、御神提督の隙を突いて間合いを取り直す。
御神提督も俺を追うことはせず、息を整えていた。
俺もまた息を整え、神速を使用する。
目の前の風景がモノクロに変わる。
その一点に強い光が見える。
俺は迷わずその光にめがけて突進した。
同時に、その光が俺にありえないスピードで迫ってくる。
いや、十分に考えられる行為……
相手が、御神流の奥義を使用した時点で神速があるのは分かっている。
モノクロ領域から開放されたとき、三度刀と刀がぶつかる。
「うぉぉぉぉお!!」
「ぬっ!!」
互いに言葉にならない事を言って気合を入れる。
今回も、互いに技を潰しあうだけで相手に効果的なダメージを与える事は出来なかった。
いや、若干俺の方が不利であった。
体格差もあるが、それ以上に技のキレが御神提督の方が明らかに上回っている。
だが俺は、三度隙を突いて離脱した。
「はぁ、はぁ……
まさか、この攻撃も入らないとは……」
「いや、君こそ……
相当な修羅場を潜って来ていると見た」
お互いに健闘を称えあう。
この時、俺はこの人に純粋に勝ちたいとおもった。
例え、俺の知っている御神静馬ではなくとも……
そして、俺と静馬提督は神速領域の中で激突した。
その衝撃で訓練室の壁に所々大きな穴が出来ている。
飛針が飛びあい、鋼糸が交差し、刀がぶつかり合う。
何度も激突を繰り返し、御神提督の太刀筋は静馬叔父さんの太刀筋に酷似していると俺は感じた。
未だに確証は取れないが、後何回か太刀筋を見たら判断が付く。
「では、ここまで対等に戦った君に対して全力で応えよう」
御神提督は宣言と同時に、今までに無い殺気をかもし出した。
俺はその殺気にひるむ事無く対峙する。
昔の記憶に眠る懐かしさを感じながら……
「ならば、俺も……
全力でいかせて頂きます」
今まで様子見だった俺も全力で対応する。
俺も宣言と同時に、俺は抜刀態勢に入った。
俺がもっとも得意とする、4連抜刀術・御神流奥義乃陸・薙旋を使用するために……
そして、再び神速を使用しモノクロの世界に入る。
その中で一際白く輝く一点。
そこをめがけて、俺は突進した。
同時に、その光もまた俺に向かってくる。
「御神流奥義乃陸・薙旋!!」
「御神流奥義乃参・射貫!!」
互いの技と技がぶつかり潰しあう。
だが、御神提督の使用した御神流奥義乃参・射貫で俺は確信した。
間違いなく俺が知っている静間叔父さんだ。
だが、あの時亡くなったはずなのに……
俺は新たな疑問を抱いたが、今は戦闘に集中した。
結局、互いに決め技が決まらなく潰しあったため、隙を突いて間合いを取り直した。
その時、御神提督もまた、何かを感じたのか話し始めた。
「……強くなったな、恭也。
同じ頃の、士郎を思い出すよ」
「!!」
俺は驚いた。
そして、同時に嬉しくなった。
例えどんな理由があっても生きていた事……
美沙斗さんや美由希が知ったら、どれほど喜ぶだろう。
もっとも、疑念や困惑が無いとは言い切れないのだが……
「俺も驚きましたよ……
生きておられたんですね、静馬叔父さん……」
俺の言葉に、御神提督……
いや、静馬叔父さんは苦笑した。
「何故、私が生きているかは後で説明する。
だが、今は……」
「ええ、今は……
今だけは、剣士として楽しませて頂きます」
確かに、あの襲撃事件で生き残ったのも気になる。
それに、今は時空管理局のトップにいるのも気になる。
だけど……
今だけは、剣士の性として楽しむことを俺は選んだ。
そして俺は、俺自身が使える御神流の最強技、御神流奥義乃極・閃を使う態勢に入る。
それと同時に、静馬叔父さんも俺の攻撃に備える為に構えた。
その瞬間、静けさだけが支配した。
表立っては動かないが、既に頭はフル回転して静馬叔父さんの隙を窺う。
僅かに静馬叔父さんが動いた時、俺は神速を発動した。
正確には、神速二段掛けを発動させた。
モノクロ領域の風景が急速に終わる。
それと同時に俺は抜刀した。
「御神流、奥義乃極・閃!!」
だが、俺の閃は静馬叔父さんの奥義で返された。
静馬叔父さんが、伊達に御神家当主に選ばれたわけではない。
それだけの実力があるからこそ、静馬叔父さんは当主に選ばれた。
そして、とーさんが唯一認めた人物でもある。
「御神流、正統奥義……
鳴神!!」
御神流・表を極めた静馬叔父さんの一撃は、俺を確実に捉えた。
その一撃の威力に、俺は表情をゆがめる。
なんとか地面に着地し、立っていられたが、もはや行動を起こすだけの体力は俺には無かった。
そんな俺に、苦笑しながら静馬叔父さんは話し出す。
「まさか……
その年で、閃を使いこなせるとは思わなかったよ、恭也」
「はぁ、はぁ……
それでも、決められなかった時点で俺の負けです。
静馬叔父さん」
「いや恭也、その年で私に鳴神まで使わせるようになっている時点で、既に士郎を抜いているよ」
静馬叔父さんの評価に俺は少し嬉しくなった。
目標としていたとーさんと並べる所までいけたんだと実感している。
だが、静馬叔父さんの次の一言で俺はとーさんの評価を下げることになった。
「まぁ、あいつの場合は卑怯だからな。
恭也と違って、勝つことに対して手段を選ばん」
「……そ〜いえば、とーさんと武者修行に行っていた時もえげつなかった気がします」
とーさんとの修行の旅は、はっきり言って地獄だった。
というより、あれは絶対に親のすることじゃない。
でも、そのおかげで今の俺がいるのも事実だった。
「ところで士郎は元気か?」
「……一人の少女を護る為に命を散らしました」
「そうだったのか……
……済まない、恭也」
静馬叔父さんが知らないのは分かっている。
その事で責めることはできない。
それに、美沙斗さんの件は静馬さんに教えるべきかはっきり言って迷ってる。
だけど、遅かれ早かれ知ることになるだろうから話すべきだと思う。
「いえ、別に気にしないでください。
静馬叔父さんの事も聞きたいですから。
それに、美沙斗さんや美由希に関しても、後ほどお話します」
「ああ、頼む」
そして、俺と静馬叔父さんは訓練室を出た。
「それにしても、新造艦に傷つけてしまったな。
修理するのが大変だ」
静馬叔父さんはあっけらかんと言っている。
訓練室は俺と静馬叔父さんが神速を使い放題したので、衝撃でボロボロになっている。
まぁ、俺には関係ない話だ。
何かあったら、静間叔父さんに強制されたって誤魔化せば問題ない。
もっとも、その必要はなかったようだ。
静馬叔父さんは自分の部下に修理の手続きを行なうように指示している。
そして、画面に出てきた静馬叔父さんの部下は苦笑しているだけだった。
どうも、静馬叔父さんが訓練室を破壊しているのは日常茶飯事のようだ。
それだけ激しい訓練を行なっているのを物語っているわけなのだが……
そして俺は静馬叔父さんと共に提督室へ入っていった。
なのは's View
クラウディアに戻った私は、今までの事を御神提督に報告しました。
恭也君の事に関しては、クロノ君とフェイトちゃんが復帰してから詳しく話す事になってさわりの部分だけ報告します。
御神提督とは直接話すのは初めてだったんですが、どこと無く恭也君に似ていたのであんまり違和感無く話せました。
それに、はやてちゃんの言うとおり物分りの良い方です。
ただ、恭也君の戦闘技術に関して興味を持ったのか、自ら模擬戦を恭也君に申し込んでいました。
それで、クロノ君とフェイトちゃんを除く私たちはモニター室で二人の模擬戦を観戦しています。
「おい、二人とも……
バリアジャケット以外、魔法使ってないぞ!?」
「魔法を使わないであんな動きをするとは……」
「でも、魔力反応はバリアジャケット以外見当たらないですぅ」
ヴィータちゃん、シャマルさん、リィンは二人の戦いを見て驚いています。
私は既になれていたので苦笑しているだけですけど……
シグナムさんは二人の戦闘を真剣に見ています。
同じ剣士の性なのでしょうね、口元が笑っています。
「クロノ君が言っていた事、事実なのかもなぁ」
「どうしたの、はやてちゃん?」
唐突に口にだしたはやてちゃんが気になった私はたずねました。
「いやね、クロノ君が言っていたんやけど……
御神提督って、陸戦Sクラスの武装隊員相手に魔法無しで勝ったことあるんやって……
聞いたときは、まさかと思ったんだんやけどね」
そういって苦笑するはやてちゃん。
私は、最初の模擬戦で屋内戦闘とはいえ恭也君に負けているので、あんまり違和感はないです。
それに、レイジングハートの判定だと恭也君は魔法無しでAAAクラス以上なのは確実ですから。
私はそんな風に考えながら二人の戦闘を見ていました。
その時、二人とも神速を使用したようです。
「魔法を使わずに、人の動きだけでアレだけのスピードを出せるのか?」
シグナムさんが呆然と呟いていました。
まぁ、私も始めて見たときは驚いたのですが……
実は、神速は恭也君だけではなく、美由希さんも使用可能でした。
そして、私の近接戦闘技術の訓練で何回か相手をしてもらったこともあり、その動きにはすでに慣れてしまいましたけど。
「なのはちゃんは、あんまり驚かないんやな?」
「う〜ん、初めて見たときは流石に驚いたよ。
まぁ、何回か見ているうちに慣れちゃっただけで」
はやてちゃんの質問に、私は苦笑して答えます。
でも、御神提督まで神速を使えるとは思っていませんでした。
それに、御神提督の使う技は、恭也君の使う技と酷似しています。
唐突に話題を変えてきたはやてちゃんに、私は合わせます。
「なのはちゃん、この世界の事って聞いた?」
「うん、御神提督からね。
まぁ、私自身がこの世界の私と会ってるんである程度は認識してたけどね」
「じゃぁ、この世界が御神提督の出身の可能性って事も?」
「うん。
もともとその噂は有名だったけどね」
そう、御神提督の出身世界は不明でした。
そして当時はかなり噂になったようです。
その時、二人の戦闘を見ていたシロちゃんとクロちゃんが話しました。
「それにしても、二人とも嬉しそうだにゃ」
「確かににゃ」
「う〜ん、恭也君は強敵と戦えるのが嬉しいのかも?
根っからの剣士だからね、恭也君は。
でも、御神提督に関してはわからないね」
戦っている二人を見ながら、私は苦笑していました。
恭也君のあんな表情を見るのは初めてです。
恭也君は感情をあんまり表情には出しませんので……
「それにしても……
二人は互角だな」
「そうねぇ」
ヴィータちゃんとシャマルさんは関心したように言います。
確かに、普通の人が見てると互角だと思います。
だけど、私は恭也君の動きを知っているから気づいてしまいました。
「互角じゃないよ。
恭也君の方が僅かに不利……」
「流石、教導官をやっているだけあるな。
二人の間にある僅かな差に気づいたか?」
どうも、シグナムさんも気づいていたようです。
まぁ、シグナムさんも根っからの剣士ですからね。
僅かな隙も見逃さないのでしょう。
「どうも、シグナムさん。
確かに僅かな差ですけど……」
「実力者どうしがぶつかった場合……
その僅かな差が、致命的な差になる……
だな?」
「ええ、その通りです」
「ほえ〜、二人とも凄いや〜。
あたしなんか、二人の差なんて分からへんで」
はやてちゃんは苦笑しています。
わたしも、それなりの修羅場を潜ってきますから相手の力量はある程度はかれます。
それは、シグナムさんも一緒です。
「……時間があれば、戦ってみたいな」
「誰とです?」
「そんなものは決まってる……
どちらもだ」
不適に微笑むシグナムさん。
シグナムさんの剣士の性に火がついてしまったようです。
そんなシグナムさんに私は苦笑します。
まぁ、恭也君ならあっさり引き受けると思いますけどね。
恭也君もまた、強敵と戦う事には躊躇いがありませんから。
そんなことを思ったのですが、不意にヴィータちゃんが呆れたように呟きました。
「相変わらずのバトルジャンキーだな、ウチの将は」
「ヴィータ、何か言ったか?」
「いいや、別に……
シグナムの悪い癖が出たって言っただけだ」
「そうか……
なら、ここで決着でもつけるか?」
なんか、シグナムさんとヴィータちゃんの間で一触即発の空気が流れています。
まぁ、いつもの事なのでほっといていますけど……
「二人とも、喧嘩はあかんで〜」
結局、はやてちゃんの一言でその場は収束。
これも何時もの事でした。
この場にいないフェイトちゃんも二人の戦いを見たら、率先して申し込むと思いますけどね。
不意に、はやてちゃんが真剣な表情で話してきました。
「なのはちゃん……」
「はやてちゃん、何?」
「これも、クロノ君から聞いたんやけどな。
リンディさんとクロノ君が御神提督を見つけた時、御神提督は大火傷してたんやと」
「大火傷?」
御神提督の発見者はリンディさんとクロノ君だと言うのは有名な話です。
そして、リンディさんの推薦で時空管理局に入局した御神提督は、今では管理局の要的存在になっています。
ですが、その時の詳しい話は聞いた事無く謎に包まれていました。
だから私は、はやてちゃんの話に興味を抱きました。
「御神提督がミッドに現れた時の話なんやけど……
御神提督は親戚の結婚式の時に爆弾テロに巻き込まれたそうなんや」
「!!」
はやてちゃんの言葉に私は驚愕しました。
そんな私を見て、疑問に思ったはやてちゃんは聞いてきます。
「どしたん、そんなに驚いて?」
「御神提督がミッドに出現したのって13年前の話だよね?」
「そうやけど?」
「実は……
この世界でも13年前、恭也君の親戚が結婚式を行なおうと集まっていたときに、爆弾テロが起きてるの……」
「なっ、なんやて……?
でっ、でも、それなら……
御神提督はこの世界の出身で、恭也さんは御神提督の甥っ子になるんやな?」
「その可能性は高いと思う……」
それならば納得がいきます。
御神提督が恭也君の事を気にしていたのも、雰囲気が似ていたのも辻褄があいます。
でも、何故……
御神提督はミッドに出現したのでしょうか?
「にゃあ、その話にゃんだけど……
質問してもいいかにゃ?」
「どうしたの、シロちゃん?」
「ちょっと気になる事があるにゃ」
「べつにええよ。
あたしが分かる事ならな〜」
唐突に話しに入ってきたシロちゃん。
その口ぶりから何かを確認しようとしているのは確実です。
はやてちゃんは、シロちゃんの話にのります。
「ありがとにゃ、はやて。
早速にゃんだが、御神提督とかいったにゃ?
その人が現れたとき、次元震は起きていなかったかにゃ?」
「う〜ん、クロノ君の話だと次元震はあったみたいやね。
そして、少し経ってからこの世界の反応が消えたって言ってたけどなぁ〜」
「消えたって、どういうことにゃ?」
「う〜ん、管理局の観測データから消失したらしいんや。
そして、なのはちゃんがこの世界に飛ばされた時と同時に再びデータが現れたんや」
御神提督は爆弾テロ事件発生時に発生した次元震に飲み込まれた影響で、ミッドに現れたそうです。
でも何故、次元震が発生したのか、私は疑問に思いました。
ですが、意外な事実がシロちゃんとクロちゃんの話で判明します。
「間違いにゃい、ルオゾールの仕業だにゃ」
「自己修復するのに、自らの位置を知られない為に結界を張ったにゃ。
あの時、僅かに反応しめしたにょに見落としてしまったにゃ」
「じゃぁ……
次元震が発生したのは、ルオゾールが張った結界のせいなの?」
「そうにゃんだ。
奴の使用した結界は次元隔離にゃんだ」
「だから、探索が困難ににゃるにゃ」
つまり御神提督が次元震に飲み込まれたのは、ルオゾールが張った結界のせいでした。
でも、今はその結界が消失しているはず。
そうでなければ、みんながここにこれるはずが無いですから。
「結界を解除したにょは、おそらくほぼ修復が完了しているからだにゃ」
「量産型ヴォルクルスをこの世界に転送させたにょも、データ収集が目的にゃんだにゃ」
「!!
じゃぁ、まさか……」
「近いうちに行動を起こすにょは、確実にゃんだにゃ」
「ルオゾールが撤退するときに言った捨て台詞はあながち嘘じゃないんだにゃ」
シロちゃんとクロちゃんの告白を聞きながら、私は考えていました。
御神提督がルオゾールの結界によってミッドに飛ばされ、私はルオゾールによって転送しようとした量産型ヴォルクルスの影響でこの世界に来ました。
そして、恭也君はオリジナルヴォルクルスを破壊する為に、サイフィスに選ばれ魔導師として覚醒しました。
御神提督と私、恭也君は、ルオゾールとの因縁が出来つつあります。
でも、ルオゾールとの決着は近々つきそうです。
「まぁ、今更どうこう言っても始まらんやねぇ。
今後の事は後で考えるとして、そろそろ二人の決着がつきそうやで」
「そうだね……」
再びモニターに目を移した私たちでしたが、そこから聞こえた二人の声で感傷に浸りました。
やはり、御神提督はこの世界の出身で恭也君の叔父さんでした。
恭也君も嬉しそうな表情を浮かべています。
そして、二人の模擬戦は終了し御神提督が勝ちました。
恭也君は、悔しいのかなと思ったのですが、恭也君の表情は意外に嬉しそうです。
「それにしても、派手に壊したな」
「う〜ん、あたしとフェイトちゃんで訓練してた時よりも酷いんとちゃうか?
しかも、あたしたちは魔法使ってやけど、あの二人は魔法使わんでやからな」
「まったくもって、二人ともデタラメですぅ。
簡単な戦闘結果ですけど、御神提督はSS、不破恭也さんはSを示してます……
バリアジャケット以外、魔法使用しないで……
ですよ」
「世の中、広いわね」
ヴィータちゃん、はやてちゃん、リィン、シャマルさんは御神提督と恭也君の戦闘結果に呆れています。
まぁ、初めて見る人は驚くのは無理ないんですけどね。
私は、恭也君の動きを知っていますし、美由希さんもAAAクラスなら対等に戦えるんじゃないかなと思っています。
そんなことを思いながらモニターの電源を落としていたら、御神提督から呼び出しの連絡を受けました。
それで、私はシロちゃんとクロちゃんと一緒に、はやてちゃんたちと別れて提督室に向かいました。
恭也's View
俺は今、御神提督……
いや、静馬叔父さんと共に提督室にいて、一息ついている。
先程、静馬叔父さんと模擬戦をしていたが、久々に充実した鍛錬だった。
それに、静馬叔父さんが生きていた事で新たな目標が出来た。
不意に提督室の扉が鳴る。
それと同時になのはの声が聞こえた。
「御神提督。
高町なのは、入ります」
「ああ、なのは君。
空いてる席にすわって」
静馬叔父さんに呼ばれていたなのはは、空いてる席……
つまり、俺の隣に座った。
ついでに一緒に来たシロとクロは俺の膝に座る。
静馬叔父さんはなのはの分のコーヒーを出して、自分の席に座る。
「ありがとうございます。
御神提督」
「ああ、今は叔父さんで構わないよ。
恭也しかいないしね」
「えっ、あっ、はい……
じゃぁ、遠慮なく……」
静馬叔父さんの言葉に僅かに戸惑いを見せたなのはだったが、結局静馬叔父さんの提案を受け入れた。
俺としてはどちらかというと堅苦しいのは苦手なので、静馬叔父さんの提案は賛成だった。
静馬叔父さんの話だと、結婚式の襲撃事件で静馬叔父さんは死を覚悟していたそうだ。
だが、偶然時空震という次元の地震らしきものが発生し、静間叔父さんはそれに飲み込まれ気がついたらミッドチルダと言う世界にいたらしい。
そこで、先程気絶し戦線を離脱したクロノって方とその母親であるリンディって方に助けられたそうだ。
そして、帰る方法が見つからなかった静馬叔父さんはそのまま時空管理局に入局して、今は幹部として中核にいるという、
さらに、その次元震はなのはとシロとクロの話だと、先程敵対したルオゾールの仕業なのは確実だという。
なんらかの因縁で結びついていると俺は思った。
不意に念話でなのはが話してくる。
《恭也君、よかったね》
《ああ、そうだな。
最初合った時は別人だと思ったんだがな》
《あっ、それわかる。
私の存在があったからだね》
《そういうことだ》
死んだと思っていた静馬叔父さんがこうして生きていて、再び合えた。
美沙斗さんの時は、美沙斗さんが負の感情に取り付かれていた為死闘を演じる事になったのだが……
静馬叔父さんは、忠実に御神の理念を守っていた。
そんな事を俺は頭の中で考えていたら、静馬叔父さんはコーヒーを一口飲んで、それから話し出した。
「そういえば恭也。
一臣と琴絵の結婚式に来てなかったようだが?」
「……恥ずかしながら、とーさんが途中で路銀を使い果たしたせいで路頭に迷ってました」
「まったく、あいつは。
……相変わらず苦労していたんだな、恭也」
「いえ、おかげで命拾いはしましたから……
身内に顔向けは出来ませんけど」
俺はそういってコーヒーを一口飲む。
なのはは苦笑している。
まぁ、結婚式の件はなのはも知っている事なので問題ない。
「もっとも、その後のとーさんは責任を感じたのか……
今まで受けていた仕事よりもハードな仕事を選んでいました」
「それも、あいつらしいな」
「とーさんが一人だったら、死を求めていたのは事実でしょうね。
ですが、当時は俺のほかに美由希の面倒を見ることになりましてね……」
「美沙斗はどうしてたんだ?」
静馬さんにとっては美沙斗さんと美由希の事は重要事項。
だから俺は包み隠さず話す事にした。
「静馬叔父さんがあの襲撃事件で亡くなった事に美沙斗さんは耐え切れなくなり、首謀者を討つ為に旅に出ました」
「そうか……
美沙斗らしいと言えばらしいが……
辛い思いをさせたようだな」
静馬叔父さんも思い当たるのか、あっさり納得した。
その表情は哀愁が漂っている。
でも、美沙斗さんは情報を得る為にテロリストと同類になってしまった。
「それで、首謀者に復讐するため情報を集めていた美沙斗さんですが……」
「テロリストと同じ状態になってしまったか?」
「!!
どうして、分かったんですか?」
「俺と美沙斗は幼馴染で付き合い長いんだぞ。
あいつの行動パターンぐらい把握している」
「そういえば……
そうでしたね」
美沙斗さんの行動に関して、静馬叔父さんはあっさり見破り苦笑している。
俺は驚いたのだが、静馬叔父さんの一言で納得し苦笑する。
俺となのはもこんな関係になれるのだろうか?
ふと、そんな考えが頭によぎった。
なんだかんだ言いつつ、俺の中ではなのはの存在が大きくなりつつあるのを自覚した。
まぁ、でも……
今は、静馬叔父さんに美沙斗さんの事を話す方が重要だ。
「話を戻します。
それで、俺の友人と言うより幼馴染なんですけど、その幼馴染の親が半年前にチャリティーコンサートを開いたんですよ。
その時、テロリストの襲撃がありまして、その中に美沙斗さんがいました」
「それで、恭也は幼馴染とその母親を護るために美沙斗と戦ったわけだな?」
「ええ……
その時ですね、俺が閃の極地にたどり着いたのは」
「ということは、恭也は美沙斗に勝ったんだな?」
「ええ。
もっとも、美沙斗さんは心に揺らぎがあったから勝てたわけですけどね。
その後は、改心して香港警防隊に入隊し、表からテロリストを潰しています」
「そうか……
恭也にも辛い思いさせてしまったな」
「いえ、構いませんよ」
美沙斗さんの事を話し終えた俺はホッとした。
静馬叔父さんは俺の話を事実として受け入れてくれた。
さてと、今度は美由希の話だ。
美沙斗さんと違ってあまり話すことはないんだが……
「美由希は、まっすぐに育ってますよ。
多少不器用な所はありますが……」
「そうか。
美由希にも寂しい思いをさせてしまってるからな……」
静馬叔父さんは感傷に浸っている。
静馬叔父さんが美由希と別れたのは、美由希が4歳の時だ。
それ以後はとーさんとかーさんによって育てられた。
まぁ、かーさんの影響でくだらないことを言うようになっているのも事実なのだが……
《毎回制裁と言いながらイジメてる人が言う台詞かな?》
《全て原因は、あいつの所業だ》
《まぁ、8割がたは恭也君の言うとおりだけど……
残りの2割はどう見てもストレス発散しているようにしか見えないよ?》
《ぬう》
まさかなのはから突っ込まれるとは思わなかった。
もう少し美由希への制裁を我慢すべきかと俺は考え始めた。
《まぁ、でも……
私も美由希さんの被害を受ける事もあるから、よっぽど一方的な理由じゃない限り止めるつもりは無いけどね》
《……出来るだけ善処する》
なのはも美由希の被害を受けるので俺の行為を止めるつもりはあまりないようだ。
でも流石に、妹のなのはの方からも言われてるから善処する事にする。
「それで、恭也。
士郎の事を詳しく聞きたいんだが……
いいか?」
「ええ、そうですね……
あの結婚式襲撃事件からは、俺と美由希を連れてしばらくはホテル暮らしだったわけです。
それで、最終的に居つくことになって、家を購入したのが海鳴市でした」
「ふむ……
あいつが永住地を選ぶとは、余程その場所が気に入ったんだな?」
「ええ、そうですね。
とーさんも言ってました。
丘の上から海が見渡せるこの場所が、俺が眠るばしょだと」
そして、約束どおりの場所でとーさんは眠っている。
「しばらくして、俺の幼馴染の父親のボディーガードの依頼をとーさんは受けました。
もともと、その方ととーさんは友人でもあったので仕事事態は問題なかったんですけど……」
「何かあったのか?」
「……事もあろうか、おやつとして運ばれたシュークリームを食べて、作ったシェフと出会って一目惚れ。
そのまま結婚することになりました」
「ぶっわっあっはっはっは!
この上なくあいつらしい選択だな」
静馬叔父さんはとーさんの行動に対して、つぼにはまったのか大笑いしている。
なのはは、とーさんの行動に呆れるように苦笑している。
《なんか、凄い出会い方だね。
恭也君のお父さんと桃子さんって……》
《まぁ、自慢できる出会い方ではないのは事実だ》
俺となのはが念話で話していると、笑いが止まった静馬叔父さんは自虐するように言い出した。
「だが、そのお方のおかげで美由希はまっすぐに成長したんだな」
「ええ、それは事実です」
当時の俺は冷めた目で見ていたのだが……
かーさんの存在が無ければ、俺も美由希もどんな風に成長したかは分からない。
今は多少問題はあるが、それでも信頼でき、母親と呼べる人物はかーさんだけだ。
「それで、とーさんはかーさんとの間に出来た子供の顔を見る事無く、生涯を閉じたわけです」
「先程、なのは君が報告してくれたが、士郎とその奥さんの間に出来た子供が「なのは」か?」
「ええ、そうです」
「そうか」
静馬叔父さんは呟き、コーヒーを飲む。
俺も美沙斗さんと美由希の事を話し終えてホッとしているので、コーヒーを飲んだ。
なのはもつられてコーヒーを飲んでいる。
僅かに支配する静寂の時。
だが、静寂の時を破壊したのは静馬叔父さんだった。
「ところで恭也よ。
なのは君と妙に仲が良いように見えるが?」
「なっ、いきなり何なんですか?」
静馬叔父さんの一言で俺は慌てた。
なのはの身体は赤く染まってる。
静馬叔父さんは、そんな俺たちを構う事無く話し続ける。
「いや、先程の戦闘といい、なのは君の報告といい……
非常に信頼されてるぞ、恭也」
「……まぁ、ほっとけないと思ったのは事実です」
確かにほっとけなかったのは事実だった。
だが、出会ったあの時は並行世界の妹としか認識していなかったんだが……
なのはが抱えていた闇を知ったとき、俺にとってなのはは護るべき人物だと認識した。
そんな事を頭の中で思い浮かべていたら、静馬叔父さんは微笑みながら話を続ける。
「その様子だと、まんざらでもないようだな、恭也?」
「……すっかり忘れていましたよ。
静馬叔父さんが、とーさんとウマが合う人だと言うことを」
俺は、そんな静馬叔父さんに呆れていった。
静馬叔父さんは、普段真面目で物静かな人物だと思われているが、実際はとーさんとウマが合うほどの人である。
まぁ、とーさんと違って一般常識は身につけているのでとーさんみたいに問題になる事はないが……
なのはは俺の呟きに空笑いしている。
どうも静馬叔父さんの本性を知って困惑しているようだ。
妙な空気が場を支配する。
だが、不意に静馬叔父さんの表情が真面目になった。
「その話は置いといて……
恭也よ、これからどうするつもりだ?」
「本当の所は専門家が来た時点でお任せするのが一番なのでしょうが……」
俺はそう言いながら、待機状態になっているサイフィスを触る。
「こいつに選ばれた以上は最後まで付き合いますよ。
それに、俺には護るものがありますから」
「そうか……
君らしい答えだな」
俺の答えを聞いた静馬叔父さんは苦笑している。
なのはも俺の答えを聞いて苦笑した。
静馬叔父さんはなのはにも聞いてきた。
「なのは君。
彼と一緒に行動していた君の意見は?」
「そうですね……
彼が、他の人みたいに魔法に出会っただけであるなら、足手まといになるだけなので協力は仰ぎません」
「では、彼の場合は?」
「彼に関して言えば……
確かに魔法に関してはいくら潜在能力が高くても、覚醒したばかりでド素人も良い所です。
ですが、戦闘経験と技術に関して言えば私たちが所属する教導隊の隊員よりも優れていると思われます。
そして、彼が使用しているデバイスは古代遺産(ロストロギア)と思われ、ミッドで信仰されている風の精霊王・サイフィスを宿しています」
「つまり、オリジナルヴォルクルスを倒すのには彼の協力が不可欠だと君は判断したのだな?」
「はい」
なのははあくまで主観的ではなく客観的に俺を評価していた。
そこらへんは流石にプロである。
なのはの意見聞いた静馬叔父さんはしばらく考え込んで話し出した。
「恭也の意思と、なのは君の意見はわかった。
恭也が我々に協力することは、私のほうから皆に伝えよう」
静馬叔父さんは提督として、俺の協力を許可した。
まぁ、静馬叔父さんの事だから最初から協力させるつもりだったんだろが……
一応、現場のトップでもあるわけだからそれなりの理由は必要なのだろう。
だからこそ、静馬叔父さんはなのはの意見を聞いたわけだ。
そしてなのはも、静馬叔父さんの意図に気づいたから、俺を客観的に評価した上で協力できるように言ったのだろうと思う。
そんな事を考えながら、俺は残り少ないコーヒーを飲んだ。
静馬叔父さんは提督顔から、再び身内の顔に戻り俺に聞いてきた。
「ところで恭也?」
「なんです、静馬叔父さん?」
「時空管理局で働くつもりはないか?」
静馬叔父さんの提案にしばし考える。
実際、俺には時空管理局についてはなのはから聞いた知識しかない。
まぁ、でも……
静馬叔父さんも所属しているって事は、それなりに信用してもいい組織なのかも知れない。
それに、なのはも誇りを持って仕事をしているみたいだ。
「将来の就職先の一つとして考えておきます。
家族に対しての説明もある事ですから……」
「そうか。
まぁ、焦らず考えてくれ」
俺の言葉に、静馬叔父さんは微笑している。
実際、俺はボディーガードになるか、美沙斗さんと同じように香港警防隊に入隊するか、はたまた翠屋で働くかを考えていた。
その選択肢に時空管理局が追加されるだけだ。
それに、御神の理念においても時空管理局は俺の選択肢に当てはまっている。
《う〜ん、私も恭也君が入局してくれてると嬉しいかなと思ったり》
《そうか……
家族もいる事だから直ぐには答えをだせんが、前向きに検討してみる》
《うん!》
なのははやけに嬉しそうだ。
まぁ、実は俺もなのはと一緒にいることに対しては違和感がなくなってきている。
だが、現状は大きな問題を抱えてるのも事実だ。
それに、静馬叔父さんにも確認したい事もある。
「ところで、静馬叔父さん?」
「どうした、恭也?」
「美沙斗さんと美由希に合うつもりはあるのですか?」
俺の質問に、静馬叔父さんはしばらく目をつぶる。
僅かな沈黙がその場を支配し、そして静馬叔父さんが口を開いた。
「今直ぐには会えない。
こちらも仕事で来ている訳だからな。
だが、今回の事件が解決しだい会うつもりだ」
「わかりました」
俺は、静馬叔父さんの意思を確認し、安心した。
今は会うことは出来ないが、静馬叔父さんは会うと確約してくれた。
だから俺は、この事件の黒幕を倒すことを再び誓う。
風の精霊王・サイフィスに選ばれた主として。
再び心地よい沈黙が支配したとき、なのはの友人、フェイトって言う娘が目を覚ましたと報告が入った。
なのは's View
フェイトちゃんの意識が戻ったと連絡を受けた私は、急いで医務室に向かいました。
医務室についたら、守護騎士たちもすでに来ていたのですが、困惑した表情でたたずんでいます。
「どうしたの、みんな?」
「なのはか……
テスタロッサの意識が戻ったと聞いたので来てみたのだが……」
「あいつ、完全に自我が崩壊しかかっている……」
「!!」
シグナムさんとヴィータちゃんの言葉に、私は絶句し急いで医務室の中に入っていきました。
医務室の中でははやてちゃんは呆然として、フェイトちゃんを見ていました。
フェイトちゃんはベッドの中で起きていますが、目には生気が感じられません。
「はやてちゃん?」
「なのはちゃん、来たんか……
あたしじゃフェイトちゃんを立ち直らせるのは無理みたいやから、なのはちゃんに任せるな」
「うん」
はやてちゃんは、ショックを受けたように医務室から出て行きます。
はやてちゃんがフェイトちゃんから何を言われたのか分からないのですが……
気を取り直して、フェイトちゃんのベッドの側にある椅子に私は座ります。
「フェイトちゃん……」
「なのは?」
フェイトちゃんの声も力がありません。
そして、フェイトちゃんは何やら思いつめてると、私は感じました。
フェイトちゃんは力なく話し始めます。
「ねぇ、なのは……」
「何、フェイトちゃん」
「……私は生きる価値はあるの?
アリシアのクローンとして生を受けた私に、生きる価値はあるの!?」
「!!」
フェイトちゃんの力無き絶叫に私は絶句。
そして、私はフェイトちゃんにかける言葉が見つかりません。
先程の戦いで、フェイトちゃんがここまで追い詰められていたとは思いませんでした。
「フェイトちゃん……」
「私を護ってくれたクロノはまだ意識は戻ってない……」
フェイトちゃんの言うとおり、クロノ君はまだ意識は戻っていません。
そして、フェイトちゃんはクロノ君の今の状態に罪悪感を感じています。
「護る価値の無い私を護って、大怪我したんだよ……
そのくせ、私はのうのうと生きているんだよ……」
「フェイトちゃん!
そんな事言うなら、私だって怒るよ!!」
クロノ君がフェイトちゃんを護ろうとしたのは、義理だとは言え妹だと認識しているから。
その行為を否定したフェイトちゃんには、流石の私も怒りを隠せません。
だけど、フェイトちゃんの独白はまだ続きます。
私の服を両手で掴んで、フェイトちゃんは涙を流して絶叫しました。
「なのはに何がわかるの!
生まれ方が違う、なのはに!!」
「!!」
フェイトちゃんのその言葉に私は何も言い返せません。
そして、その衝撃で私は認識してしまいました。
フェイトちゃんの心に巣くっている闇は、私では振り払う事は出来ないと……
フェイトちゃんは、力なく私をつかんでいた腕をおろし言葉を続けます。
「ゴメン、なのは……
今、余裕無いんだ……」
「うんん、気にしないで……
ゆっくり身体を癒してね」
「うん……」
力なく答えるフェイトちゃんを確認した私は、席を外し医務室から出ました。
そして、私ははやてちゃんと守護騎士、御神提督と恭也君をブリーフィングルームに集めて、フェイトちゃんの事を話すことにしました。
「集まってもらったのは、他でもなくフェイトちゃんの事なんですけど……
御神ていと……
いえ、静馬叔父さんは「P・T」事件の事はどこまで知っていますか?」
御神提督と言うつもりだったのですが、静馬叔父さんはその言葉に反応し無言なオーラが伝わってきます。
それで、有無言わさず静馬叔父さんと言うはめになりました。
静馬叔父さんと呼ばれた事に満足して微笑してます。
恭也君は、静馬叔父さんの態度に苦笑していました。
「リンディさんが担当した事件の事は、彼女から直接聞いているからほとんど知っているとおもって構わないよ。
フェイト君の事についても相談受けた事もあるから。
ただ、はやて君やその守護騎士、恭也もいる事だから詳しく話した方が良いと思うな」
「了解です」
静馬叔父さんの言うことはもっともなので私は最初から話しはじめました。
私と魔法の出会い。
そして、フェイトちゃんの戦闘。
プレシアの存在。
フェイトちゃんの出世の秘密。
全てを話し終えたとき、はやてちゃんや守護騎士たちは絶句していました。
静馬叔父さんは全てしっているので特に反応はありませんが、恭也君は多少驚いたものの特に表情には出していません。
「フェイトちゃんの出世にそんな秘密があったんか……
だから、あいつはフェイトちゃんの事を「人形」って罵倒してたんやね……」
「フェイトちゃんは、ずっとその事を気にしていたからね。
ここ最近は表には出していなかったけど……」
フェイトちゃんにまとわりつくクローン問題。
局内でも、フェイトちゃんの活躍に嫉妬する人たちは陰口を叩いてフェイトちゃんを罵倒していました。
それでも、今までは耐えてきていたフェイトちゃんですが、今回ルオゾールの仕業で自我を失いかけています。
ふと、シグナムさんが思い出したように呟きました。
「だが、それで納得した。
あの時、我々を止めようとしたのは、テスタロッサ自身と重ね合わせたからだな?」
「そうです」
闇の書事件で私とフェイトちゃんが守護騎士たちの行動を止めようとした事。
私は、ただたんに話し合いたいだけでしたが、フェイトちゃんは昔の自分と重ね合わせていました。
だからこそ、私以上に守護騎士たちの行動をやめさせようとしてたわけです。
「だが、あたしたちでフェイトを救うことはできね〜な」
「そうね……
年を取らない私たちと違って、フェイトちゃんは成長するから……」
「かといって、主や高町教導官……
いや、普通に生まれてきた者たちでは、彼女の心を癒す事はできない」
「そ〜やな……
悔しいけど、ザフィーラの言うとおりや」
ザフィーラの言うとおり、もはや私たちではフェイトちゃんを癒す事は出来ない所までフェイトちゃんは追い詰められています。
例え、クロノ君が目覚めても好転はしないでしょう。
しばらく沈痛な雰囲気がその場を支配してから、恭也君が口を開きました。
「ようするに、今の話をまとめると……
フェイトって呼ばれている娘は、自分の存在意義を見失っているわけだな?」
「うん、そうだけど……」
恭也君は私たちと違って淡々と話しています。
確かに、恭也君はフェイトちゃんと直接話したわけでもないですから、私たちと違って心配する必要は無いのかもしれません。
そんな彼を見て、恭也君ってそんなに薄情なのかなと思ってしまう私でした。
ですが、恭也君はお構い無しに静馬叔父さんと話します。
「静馬叔父さん」
「何かあるのか、恭也?」
「静馬叔父さんは、人工HGS計画の事を知っていますか?」
「ああ、私がミッドに飛ばされる前に概要だけ聞いたことあるな……
それが?」
恭也君の話に出てきた「人工HGS計画」に私は反応しました。
HGS・高機能性遺伝子障害病……
恭也君と初めて会った時に、恭也君から聞かされた病気。
気になって空いてりる時間に調べてみたのですが、驚くべきものでした。
……ある意味、魔法よりも優れている能力。
恭也君が私と初めて会った時に魔法について抵抗が無かったのも、肯けるだけの能力でした。
もちろん、誰もが持っている能力ではなく、また副作用もある訳で万能とは言いがたい能力でしたけど。
「ええ、その計画はとある組織によって実行されました。
戦闘目的の為に人工授精を行い作られたオリジナル……
そして、そのオリジナルを基にクローン技術を用いて何人か量産されました」
「!!」
「なんだと!?」
私と静馬叔父さんは驚愕しています。
逆に、はやてちゃんや守護騎士たちは何の話か分からずキョトンとしていました。
話についていけないはやてちゃんが、守護騎士たちを代表して質問してきます。
「え〜と、そのな……
恭也さんが話した、そのHGSってなんや?」
「ああ、それは私から話そう。
HGSと言うのは、正式名称・高機能性遺伝子障害病と言って、遺伝子に障害がある患者なんだ。
ただ……」
「ただ、何です?」
「そのHGS患者は、私たちが使う魔法と似たような能力を発揮するんだ。
もちろん、その能力を使ったときの代償は、それぞれ個人によって違うが発生する……」
「!!
まっ、まさか……
この世界が管理世界に指定されたのは……」
「HGS患者が存在する、それは理由の一つになっている。
もっとも、他にもいろいろあって管理指定を受けている事になっているが……」
静馬叔父さんの言葉に、恭也君と私以外絶句しています。
この世界が管理指定を受けていた事は、静馬叔父さんから初めて聞かされました。
ですが、恭也君や美由希さん……
高町家の面々を知っている私は、あっさり納得してしまいます。
でも、恭也君がその話をするということは何か考えがあるということ……
私は黙って聞いていました。
「もっとも、その計画は8年前に当時の香港警防隊によって潰されていますが……」
「その計画によって作り出された存在は、今もこの世界で生きているって事か?」
「ええ、その通りです」
フェイトちゃんと似たような理由でクローンとして作り出された人物が、今も存在している。
そして、恭也君の話を聞いて希望が持てました。
「そして、その計画によって作り出された人は、俺の知り合いです。
その人にフェイトって娘を任せてみたらどでしょうか?」
「……恭也がそういう風に言うとは、かなり信頼できる人物のようだな」
「ええ、信頼できる人物ですよ。
……まぁ、俺はあの人に散々迷惑をかけてるんで頭が上がらないですけど」
私は、恭也君の事を一時でも薄情って思ったのを恥じます。
恭也君はすでにフェイトちゃんを救う方法を確立していました。
だからこそ、淡々と話すことが出来たんだと思います。
……まぁ、お兄ちゃんと違って恭也君は感情を表に出す事が少ないんで誤解されやすいのも事実ですけどね。
でも、恭也君の言葉に、私は妙に引っかかります。
「恭也君……
その方って?」
「なのは、お前はもう会ってるぞ」
私が知っている人物で恭也君が頭に上がらない人は、二人存在しています。
その一人はこの世界の私であるなのはちゃん。
もう一人は、この世界の高町家の……
「まさか、フィリス先生?」
私の言葉に、恭也君は力強く肯定しました。
「ああ、その通りだ」
あの時、私がフィリス先生に会って不思議に感じたのは、間違いなかったようです。
そして、フィリス先生は信念を持って仕事をしていました。
「まぁ、完全にとはいかなくても、似たような存在がいれば幾分癒されるだろう」
「確かに、恭也さんの言うとおりやな」
「そうだね、似たような人がいればそれだけ心が癒されるから」
私も、恭也君と出会わなかったら心に抱えてた闇を完全に振り払う事は出来なかったと思います。
だからこそ、恭也君を信頼し、彼の提案に私は頼ることにしました。
「他に方法は無い。
フェイト君の事は恭也に任せる。
なのは君とはやて君は、フェイト君を連れて恭也と共に行動してくれ」
「了解です」
「はい」
静馬叔父さんも恭也君を信頼して全てを任せました。
その信頼に、無言で肯く恭也君。
この二人の絆に、私は羨ましく思います。
私も恭也君とこれだけの信頼関係を築けるのかなと思います。
それは兎も角、私は静馬叔父さんの指示に従い、恭也君とはやてちゃんと一緒にフェイトちゃんを連れて高町家へ向かいました。
フェイト's View
私は今、この世界の高町家にいます。
未だに答えを出せないまま……
クロノの意識は未だ戻っていません。
こんな私を護った為に、あんな大怪我をさせてしまった。
そして、私はのうのうと生きています。
エリオやキャロを助けた行為すら、あの人に否定されてしまった。
私は人じゃない、アリシアのコピーだと……
なのはやはやては私の事を心配してくれます。
だけど、今の私にはその行為すら重たかった。
「恭也君、どうだった?」
「あぁ、もうすぐ家に来る。
ちょうど、出張診療が終わった所で病院に戻る所だったそうだ」
「それは、運がええな」
なのはとはやてが恭也さんと話をしています。
その姿を、私はぼんやり眺めているだけです。
「まぁ、家に人が居なかったのは幸いだな」
「そうだねぇ」
「家に人がおったらまずいんですか?」
なのはとはやては実に楽しそうだ。
「ああ、説明するのがメンドイからな。
それに、ただでさえなのはが来たときは大騒ぎだったからな」
「はやてちゃんとフェイトちゃんの事を知ったら、大騒ぎは確実だからね。
この状態のフェイトちゃんじゃなければまだマシだけど……」
「……確かに、それは問題やな。
あたしも大騒ぎは好きやけど、流石に時と場所は選ぶで」
三人の談笑をぼんやり眺めながら、私は出されたお茶を飲んでいました。
私は三人とは生まれ方が違う。
だからこそ、その悩みだけはいくら親友とは言えなのはやはやてには相談できなかった。
「……どうやら、フィリス先生がついたようだ」
「相変わらず凄いね、恭也君」
「ほんまや、インターフォンが鳴ってる」
恭也さんは二人を置いて玄関に向かったようでした。
どうもお客さんらしい。
そして、恭也さんは女性を連れて戻ってきました。
「菜乃葉ちゃん、お久しぶり。
身体の方はどうかな?」
「フィリス先生、お久しぶりです。
身体の方は特に問題ないですけど、時間があればマッサージをお願いしても良いですか?」
「もちろんよ。
どこの誰かさんと違って良い心がけね」
「むぅ……」
どうやら、なのははその方と知り合いのようです。
そういえば、この世界ではなのはは「菜乃葉」と名乗っているって言ったっけ。
でも、私にはどうでもいいこと。
「それで、こちらは初めましてだね。
フィリス・矢沢です」
「八神はやてといいます。
菜乃葉ちゃんの友人で、こちらに居ると聞いたもんですから遊びに来ています。
それで……」
「その娘ね、恭也君が言っていた子は?」
だけど、そのお客さんは私の事で来たようです。
私の前に立ってその方、フィリスさんは私に話し出しました。
「初めまして、フェイトちゃん。
フィリス・矢沢です」
「……フェイト、フェイト・テスタロッサです」
私は、フィリスさんの自己紹介につられて返しました。
ハラオウンの姓を除いて……
今の私にハラオウン姓を名乗る資格は無いと思ったから。
そんな。私にフィリスさんは苦笑しているだけです。
「これは、重傷のようね。
恭也君、二人きりになれる場所ってある?」
「それなら、あそこの道場ならどうでしょうか?
あそこなら、邪魔は入らないと思いますが」
「じゃあ、遠慮なく使わせてもらうね。
さぁ、フェイトちゃんも一緒に来る!」
「えっ?」
私は、フィリスさんに引っ張られ道場に連れて行かれました。
何故、なのはやはやてはこんな私に気を使うのだろうか?
私は、悶々と考えていました。
「ねえ、フェイトちゃん?」
「なんでしょうか?」
「未だに自分に自身が持てない?」
「貴方に何が分かるって言うんです……
娘の代わりとして作られた私の事を……」
フィリスさんに八つ当たりしているだけなのは、自覚しています。
だけど、私の事なんて分かるわけがないと思っていました。
フィリスさんの話を聞くまでは……
そんな私を、フィリスさんは苦笑して自分の事を話し始めました。
「私もね、戦闘目的で作成されたクローンなんだ……」
「えっ!?」
フィリス先生の言葉に、私は驚きました。
私と同じクローンである事に……
驚いた私に構う事無く、フィリス先生は話を続けます。
「作られた当時、私の他にも何人も姉妹が存在していたの。
それで、その製作者の意思によって姉妹で殺し合いをさせられた……
優秀な物を選定する為だけにね……」
私は、フィリスさんの話に聞き入っています。
「そして、生き残った私と妹……
シェリーって言うんだけど、二人でオリジナルを破壊する為にオリジナルと戦闘したんだ」
フィリスさんが、私以上に過酷な環境で育った事を聞いて、私は自分が情けないと思いました。
私は、自分の境遇が不幸だと思っていました。
でも、私以上に不幸な出来事を体験している人は存在している。
そして、目の前にいるフィリスさんは私と違ってちゃんと自我を確立しています。
私がそんな風に考え始めた時も、フィリスさんの話はまだ続きます。
「オリジナルとの戦闘途中で、私たちを作った組織は香港警防隊って言う組織によって壊滅させられて私たちは路頭に迷う結果になった。
そして、私とシェリーはそれぞれ別々の家族に引き取られて今に至るわけ」
話し終えたフィリスさんは、私の頭に手を乗せて、顔を近づけてきました。
そして、私の目を見てフィリスさんは話します。
「自分の事に対して自信が持てなかったんだよね」
「はい」
フィリスさんのやさしくとも的を得た言葉に、私は肯くしかありませんでした。
そして、フィリスさんは確認するように私に問いかけます。
「でも、菜乃葉ちゃんやはやてちゃんは貴方の事をどう見ていた?」
「フェイトと言う独立とした存在として……」
「じゃあ、貴方を育ててくれた義理の家族は?」
「菜乃葉とはやてと同じ……」
そう、なのはやはやて、クロノ、リンディさんは私をアリシアのコピーではなく、フェイトと言う存在で接してくれていた。
「それじゃ、あなた自身はずっと基になった娘のコピーだと認識していたの?」
「……違います。
フェイトと言う一人の存在として認められたかった……」
プレシアには届かなかったけど、でも私を認めれくれる人は居たわけで……
私の言葉に肯いたフィリスさんは、私の心に巣くった闇を晴らしてくれました。
「あなた自身が基になった娘のコピーだと認識しない。
そして独立した存在だと自覚すれば、すでに自我は確立されているんだよ」
「あっ……
私、私……」
フィリスさんの言葉の意味に気づいた私は、声になりませんでした。
そして、私はフィリスさんの胸の中で大声を出して泣き出した。
なのはやはやてが同じ言葉を言っても、私は気づく事は無かったかもしれません。
フィリスさんだから……
同じクローンとして作られた存在だからこそ、説得力がある言葉。
フィリスさんは、私を優しく抱きとめてくれます。
そのおかげで、私は自分を取り戻しました。
しばらくして、落ち着いた私は、顔をフィリスさんの胸からずらします。
フィリスさんは微笑んでいました。
「その表情だと、吹っ切れたようだね?」
「ええ、おかげさまで。
なんだか、今思えば……
あんだけ悩んだのが馬鹿みたいに思います」
「じゃあ、二度と自分を見失う事はないね?」
「はい!」
私の返事に満足したフィリスさん。
そして、フィリスさんは話を続けます。
「じゃあ、まず最初にやる事は、菜乃葉ちゃんとはやてちゃんに謝る事。
そして、ご家族にも謝ることだね」
「そうですね、自暴自棄になっていたとはいえ、酷い事を言ってしまったので……」
「大丈夫。
さっき会ったけど、貴方の事心配していたからね」
「はい」
心配かけたなのはとはやてに謝ろう。
それで見捨てられても仕方はない。
それは自分自身が招いた結果だから。
そんな事を考えてた私ですが、ふとフィリスさんの事が気になりました。
「フィリスさん、あの……」
「どうしたの、フェイトちゃん?」
私がフィリスさんに話しかけたら、疑問な表情をフィリスさんは浮かべていました。
私は気にする事無く、フィリス先生に質問します。
「どうして、医者になろうと考えたのですか?」
私の質問に、ややあってからフィリスさんは苦笑して答えてくれました。
「育ての親の影響もあるんだけど……
本当の所は、復讐かな?」
「復讐……
ですか?」
フィリスさんの意外な言葉に、私は目が点の状態になりました。
そんな私に苦笑して、フィリスさんは話を続けます。
「さっきも話したけど、私は戦闘目的……
早い話、人を殺す為に作られた存在なの。
その私が人助けする……
それは、私を作った目的に反する行為だからね」
「なるほど……
ええ、それは確かに復讐になりますね」
フィリスさんの話に納得した私。
でも、フィリスさんと出会って自分を取り戻す事が出来たのは事実です。
そして、二度と自分を見失う事は無いと確信が持てたのも、フィリスさんのおかげです。
私は今、本当の意味で過去の呪縛を解くことが出来ました。
to be continued
後書き
どうも、猫神TOMです。
ようやく9話に突入です。
予定通り、恭也と静馬の再会とフェイトとフィリスの出会いです。
この世界の恭也君は静馬叔父さんに対して尊敬しています。
父親である士郎さんは複雑な感情を抱いていますがね……
後、静馬叔父さんの性格ですが……
物静かで堅物のように見えますが、実は士郎さんとウマが合う性格になっています。
まぁ、決めるところはきっちり決めるお方にしています。
……DVDエディションだけじゃ、性格がつかめなかったものですから(爆)
フェイト嬢に関してですが……
A'sで有耶無耶になっていたクローン問題なのですが、リスティとフィリス、シェリーと出会ったらどうなるかなと思って今回のネタにしています。
HGS能力だけで言うなら、ちかぼーやフィアッセでもそれなりに苦労してきているので対応は可能だと思うのですが、根底にクローン問題を抱えているとなるとやっぱり役不足かなと思うわけで……
そうするとプロジェクトで生み出された三姉妹であるリスティ、フィリス、シェリーになるわけですが、リスティはオリジナルに当たるわけでどちらかと言うとアリシアだから除外。
そうすると残るのはフィリスとシェリーになるわけです。
後はフィリスの職業が医者でありカウンセリングを得意としている事もあり、フィリスにフェイトを任せてみました。
まぁ、文章力の問題であっさり解決した事に納得いかない人もおるでしょうが、勘弁をorz
では
静馬との再会は恭也にとっても良い刺激になるだろうな。
美姫 「でしょうね。私としては、美沙斗や美由希との再会が楽しみだけれど」
確かにそれも楽しみだよな。特に美沙斗の反応が。
そして、今回はフェイトの根底部分。
美姫 「流石にシリアスやね、ここは」
だよな。しかし、ここでフィリスを持ってくるとは。
とても上手いな。
美姫 「本当よね。何とかフェイトも立ち直ったみたいだし」
次回はどうなるのかな?
美姫 「とっても楽しみね」
次のお話も楽しみに待っています。
美姫 「それじゃ〜ね〜」