はやて's Monologue

あたしがフェイトちゃんと現場に向かって既に2時間以上は経っています。
相変わらず状況は混沌とした状態で一向に改善はしていません。
なのはちゃんと協力者である恭也さんと合流出来たのは良いのですが、フェイトちゃんとクロノ君はダメージが大きいので離脱。
人材的にはプラスマイナスゼロの状態です。
もっとも、なのはちゃんと恭也さんは既にヴォルクルスを倒した事があるそうなので、フェイトちゃんたちに比べて若干有利に戦えそうな気配はしています。
そして、操られたあたしの子たち……
シグナムとヴィータも恭也さんとサポート人格であるシロちゃんとクロちゃんのおかげで何とかなりそうです。
ですが、この時初めて知りました。
恭也さんのデバイスがミッドで信仰されている四精霊王の一つである風の精霊王(サイフィス)を宿していた事に……
この戦い、明らかにあたしたちに流が来ていました。

魔法少女リリカルなのは
−White Angel & Black Swordmaster−

Act:08「激闘!東京湾上空、なの」



恭也' View

俺となのはは先に戦闘していたなのはの仲間たちと合流した。
そして、クロノと言うリーダーらしき人物となのはの友人であるフェイトはかなりのダメージを負っていたのでなのはとはやてが離脱させた。
俺はと言うと離脱の援護の為、はやての守護騎士の一人であるシグナムらしき人物と囲んでいた幽霊もどきを相手にしていた。
幽霊もどきの方がさほど問題はないのだが、シグナムらしき人物は明らかに歴戦の猛者でありかなり苦戦している。
倒す事に注力すればまだマシに戦えるのだろうが、救うと決めた以上それなりの戦い方をしなければならない。
そんなことをしながら、俺はなのはとはやて、シロとクロと念話で打ち合わせをしていた。
それぞれの行動を確認した時、俺がクロノを庇うときに拘束魔法を掛けた魔女が拘束を解き動き出した。
だが、サイフィスの意外な一言でこの場の空気は変わった。

「いい加減、猿芝居はやめたらどうだ?
 ルオゾール・ゾラン・ロイエルよ」

そう、魔女に対してサイフィスは言い放った。
そして、サイフィスの言葉に反応するように、魔女は不適な笑みを浮かべ答える。
否、魔女には似ても似つかない男の老人のような声が響きわたった。

「まさか、貴方が目覚めていたとは思いませんでしたよ。
 風の精霊王サイフィスよ」

ルオゾール……
シロとクロが言っていたオリジナル・ヴォルクスル主人格の一人。
それがこの場にいるという事は、既に復活しているということか?
だが、サイフィスは俺に構わずルオゾールと会話している。

「ふん、貴様らが復活する度、我は目覚める。
 それが、初代の主であるランドールとの契約だ」

「ええ、あのお方には散々辛らつを舐めさせて頂きましたよ。
 そして、貴方が選んだマスターたちにもね」

ルオゾールの言葉には明らかに憎悪が潜んでいた。
その様子だと、何度か復活はしているみたいだがサイフィスが選んだマスターによってことごとく滅ぼされかけたようだ。

「完全に破壊しきれなかったのを後悔している」

「そうそう破壊されてはたまりませんよ。
 我らが神、ヴォルクルスの意思を完遂するまではね」

サイフィスの言葉にあざ笑うように答えるルオゾール。
サイフィスとルオゾールとの間には相当な因縁があるようだった。

「他の精霊王を宿した物は既に存在していません。
 貴方が宿る物を破壊すれば、もはや我らを邪魔するものは存在しません。
 ですから、ここで貴方が宿る物を破壊して後顧の憂いを断たせて頂きます!」

「出来るものなら、してみるがいい。
 我が選ぶ主は、他の精霊王が選ぶ宿主よりも優秀だぞ」

「……確かにそうですね。
 ですが、そのおかげで貴方自身が覚醒する機会が他の者たちに比べて少なかったわけですから」

サイフィスとルオゾールは淡々と話をしている。
その間に宿る空気は緊迫しているが。
俺はその会話を黙って聞いていながら、念話でなのはとはやて、シロとクロと話していた。

《サイフィスが選ぶ宿主の選定基準って他の精霊王と違うの?》

《ほとんどは似たような条件にゃんだけど、サイフィスの場合その能力判定が他の精霊王に比べて高いにょは事実にゃんだにゃ》

《元々、サイフィスと最初に契約したランドールにょ能力が他にょ精霊王と契約した人物に比べて高かったからにゃんだにゃ》

《つまり、最初に選んだマスターが絶対基準になっちゃってるのね?》

《そういうことにゃんだにゃ》

《ということは、俺は初代マスターであるランドールと似たような基準だったわけか?》

《細かい差異はあるけど、まぁそういうことにゃ》

他の精霊王が宿主を見つけて覚醒していたのに対して、サイフィスが覚醒できなかったのは基準を満たす人物がいなかったかららしい。

《シロちゃん、クロちゃん、質問なんやけど……》

《にゃにかにゃ、はやて?》

《50年前に、オリジナルのヴォルクルスが覚醒してた時はどうしてたんや?》

50年前にヴォルクルスが覚醒していたのは初耳だった。
もっとも、サイフィスが相対していなかったから話す必要が無かっただけかもしれんが。
だが、なのはは初耳だったようだ。

《えっ、50年前にオリジナルが出現してたの?》

《なのはちゃんは聞いてへんから分からないのは無理ないか。
 ミッドで有名な名も無き炎の英雄の話……》

《あぁ、あの話……
 って、あの化け物ってオリジナルヴォルクルスの事だったの!?》

《そうらしいんや》

どうやら、ミッドチルダって言う世界では有名な話らしい。
そして、炎の精霊王が関わっているようだった。
シロとクロの説明だと、炎、水、地、そして風の精霊王を宿したデバイスが存在していた。
だが、現在は炎、水、地のデバイスは破壊され、サイフィス以外の精霊王が具現化する事は出来なくなったそうだ。

《50年前とゆうとにゃ……
 あぁ、サフィーネが覚醒した時にょか》

《同時にグランバにょデバイスが破壊されてしまった時の話やにゃ。
 確かグランバに選ばれたマスターは、精霊憑依に身体が持たなくて二度と戦うことができにゃかったはずにゃ》

《そう、その話や。
 そん時どうしてたんや》

《う〜とにゃ、サイフィスは目覚めていたにょは事実にゃんだが……》

《サイフィスが選定する基準に満たすマスターはいなかったんだにゃ》

《つまり、宿主が存在していなかったから手も足も出せなかったわけだね?》

《そうにゃんだにゃ》

《申し訳にゃいにゃ》

《そんな、別に謝らへんでも……
 こっちも事情がわからなかったわけやから》

シロとクロの言葉を聞いたはやては慌てたように弁解している。
だが、昔の事を考えてもしかたがない。

《それで、50年前に出現したオリジナルは完全に破壊されているんだな?》

《それは間違いにゃいにゃ》

《コアになっている人物もろとも完全に破壊したからにゃ……
 もっとも、運悪くグランバが宿っていたデバイスも直撃受けて破壊されてしまったんだにゃ》

《なら、ルオゾールと識別したヴォルクルスは俺が完全に破壊する》

《そうだにゃ、ここいらで奴とにょ因縁に決着をつけるにゃ》

今まで倒しきれなった、オリジナルヴォルクルスの一機・ルオゾール。
その因縁はこの俺が断ち切ってみせる。

《けど、今にょあいつは仮の姿にゃ》

《おそらく死体を遠隔操作で操っているにゃ》

《えっ、じゃあ?》

あそこに存在している魔女……
プレシアとかいった人物は元々死人でルオゾールに操られているわけだ。
だが、その割にはなのはたちの事に対して詳しかったが……

《どこかで回収したんだにゃ。
 どうやら、あにょ人物は普通にょ人に比べて遥かに高い魔力を内包しているからにゃ》

《そして、あにょ人物にょ生前の記憶を引っ張り出し、フェイトとかいったかにゃ?
 あにょ娘を罵倒しまくってたんだにゃ》

《ついでに、操られている守護騎士にょ記憶も引っ張り出しているはずにゃんだにゃ》

そういうことか。
つまりは、生前の記憶を引っ張り出して都合よく使用していた訳だ。
そういえば言っていたな。
ルオゾールは人の感情を踏みにじるのが上手いと……

《どおりで、フェイトちゃんを罵倒していたわけやな?》

《人の感情を土足で踏みつけるにょは、ルオゾールにょ十八番にゃんだにゃ》

《守護騎士たちを洗脳して戦わせるようにしたにょも、奴にゃ仕業にゃ》

《……許せない!》

なのはは怒りに震えている。
まぁ、誰だって感情を踏みにじられたら怒る。
そうはいっても、操られているプレシアを倒しても解決するわけじゃない。

《シロ、クロ!
 奴の本体は?》

《残念にゃがら、まだ見つからにゃいにゃ》

《ずっと探してはいるんだけどにゃ。
 ルオゾールは他の奴らと違って、裏でこそこそするから見つけるまで時間がかかるにゃ》

どうやら、シロとクロは今まで探していたようだが未だ見つけることが出来なかった。
ならば、今は出来ることをするしかない。

《そうか……
 なら、今はやるべきことをするだけだな》

《そうだね》

《なのはちゃん、恭也さん。
 あれはあたしが抑えるから、それぞれ割り振られた仕事に専念してなぁ》

《了解した》

《わかった》

なのはとはやては怒りをしまいこみながらも、自らのやる事に見誤る事はしなかった。
俺たちの念話が終了した時、サイフィスがルオゾールに対して宣言した。

「今回で貴様との因縁に決着をつける!」

ルオゾールはサイフィスの言葉に不適な笑みを浮かべるだけだった。
サイフィスの宣言と同時に俺となのはははやての指揮の下、それぞれ担当する相手に向かった。
相変わらず幽霊もどきが鬱陶しい。
俺はなのはに教わった魔法を使用した。

「エア・スラッシュ!」

俺の言葉と共に無数の風の刃が具現化する。
なのはのアクセルシュータと同レベルな俺の風の刃は瞬く間に幽霊もどきを切り裂いた。

《覚えるにょに苦労した割には、もう使いこなしているにゃ》

《にゃのはも呆れるわけだにゃ》

《……うるさいぞ、馬鹿猫》

シロとクロのボヤキを黙らせる俺。
確かに、なのはが呆れるほど俺の魔法構築能力は絶望的だった。
どうも幼い頃の経験によるものらしいのだが……
この時ほど、俺はまともな父親が欲しいと思ったことは無かった。
それでも、なのはと妹の方のなはの協力の下、なんとか戦闘レベルに対応できる魔法を構築する事は出来た。
そんな事を考えていたが、シグナムが俺の隙を突いて攻撃を仕掛けてくる。

「はぁぁぁぁぁあ!!」

「!!
 アストラルヴァイン!」

俺の愛刀に魔力を上乗せてシグナムの攻撃を押さえる。
だが洋刀の一撃は重い。
それも暴走しているからなおさらだった。
僅かながら俺はシグナムに押された。

「ちぃ!」

俺は左手に持った刀でシグナムの剣を押さえつつ、右手の刀でシグナムを切りつけた。
バリアジャケットを展開しているので物理ダメージはそれ程受けてないはずだが、その時の衝撃で後方に吹き飛ぶシグナム。
その間に、周りの雑魚を俺は一掃する。

「イリュージョン・バインド!」

俺の言葉と共に具現化した幻想の糸は幽霊もどきたちを雁字搦めに巻きついた。
ある程度巻きついたのを確認した俺は、止めの言葉を呟いた。

「ブレイク、アウト」

俺の言葉と共に幽霊もどきに巻きついた幻想の糸は、食い込むように巻きつきを強め、そして引きちぎった。
なのはが言うには、元々バインド系の魔法は殺傷能力はないそうだ。
俺のバインドに殺傷能力があるのは、どうも鋼糸を使っているイメージを重ねた為の結果らしい。
まぁ、これはこれとして役立っているので問題はない。
エア・スラッシュとイリュージョン・バインドであらかたの幽霊もどきを倒した俺は、シグナムとの戦いに注力する。

《恭也、もう少しでデータ解析が完了するにゃ》

《それが終われば形勢逆転できるから、もう少し我慢するにゃ》

《了解した。
 頼むぞ、シロ、クロ》

シロとクロによるシグナムたちのデータ解析はまだ時間がかかる。
それは、なのはとはやて、そしてはやてを護る守護騎士たちにも負担をかける事となる。

《なのは、はやて。
 もう少しだけ我慢してくれ》

《了解や。
 恭也さん、無理はせ〜へんでな》

《うん、わかった。
 恭也君も無理はしないでね》

なのはとはやてが俺を気遣ってくれる。
なのはとはやての方が強敵と相対しているのにも関わらずに……
だから俺は二人の期待に応えるため、チャンスを窺いながらシグナムと相対した。



はやて's View

恭也さんがシグナムと戦いだしたのと同時に、あたしはというとプレシアと呼ばれた人物……
正確には、プレシアと呼ばれた人物の肉体を乗っ取ったルオゾールを相手にしていました。
なのはちゃんは、先程までシャマルが拘束していた飛行型のヴォルクルスを相手に奮闘中です。
なのはちゃんが単独で相手する事になり少し心配してたのですが、あたしたちが始めて戦闘した時のなのはちゃんの動きと明らかに違っています。
そして、なのはちゃんの方が明らかに有利な展開になっていました。

《マイスターはやて、なのはさんの動きが前のときと全然違います》

《そうやね。
 特に近接戦闘の回避術が向上しているなぁ。
 それに、あたしたち三人で相手にしてた時よりも効率よくダメージを与えておるしなぁ》

あたしがなのはちゃんの動きに感心していると当の本人が答えました。

《まぁ、前とは違ってアレのデータはあるし、近接戦闘に関しては専門家に教えてもらったからね》

《そうなんか?
 まぁええわ、詳しい話は後で聞かせてもらうからなぁ。
 特に恭也さんとの関係とか……》

《はやてちゃん!
 そんな冗談言っている暇あるの?》

《あんまないなぁ。
 でも、少しは解れたやろ?》

《もう……》

まぁ、確かに冗談言っている暇はありません。
でも、少しでも心に余裕があるほうが何事も上手くいくのは事実です。
なので、なのはちゃんには人柱になってもらったわけで……
実際に興味があるのも事実ですけどね。
案の定、なのはちゃんは完全に不貞腐れました。
そんななのはちゃんにあたしは苦笑して、それから目標に相対しました。

《マイスターはやて、きます!》

《了解や、リィン》

ルオゾールは既に展開していたのかフェイトちゃんやクロノ君を襲った雷を今度はあたしに向けて放ってきました。
あたしはというと、それに対抗して防御魔法を展開しやり過ごしました。

「ほぉ、貴方は先程の二人に比べて骨がありそうですね」

「褒めてくれるのは嬉しいんですが、生憎あなたみたいな人と上手くやっていくつもりはないんですの」

「それは残念ですねぇ……
 闇の書の主に選ばれたお方なのに……」

ルオゾールの一言にあたしは一瞬怒りを覚えました。
闇の書……
初代リィンがどんな思いで覚醒していたのか……
そしてどんな思いで消滅していったのか……
こいつは、ルオゾールはそんなリィンの思いすら踏みにじりました。

「そういえば、私のプレゼントは気に入って頂けたでしょうか?」

「……ええ、とっても。
 貴方を八つ裂きにしても足りないぐらいには……」

「それは、それは……」

ルオゾールは小ばかにしたように話してきます。
シグナムとヴィータがあんな風になったのもこいつの仕業でした。
はっきり言えば、今この場で八つ裂きにしたいぐらいです。
でも、こいつはあくまで代理であり本体は別の所にあります。
だからあたしは、怒りを胸に沈めあくまで冷静につとめました。

「……ふむ、感情を制御していますか。
 先程の二人と違い、本当に出来たお方だ」

「これでも、あの子たちを従える立場なので……」

ルオゾールの感心した言葉に私は皮肉をこめて返してやりました。
ルオゾールはというと相変わらず人を馬鹿にしたような笑みを浮かべています。
もっとも、ルオゾールと会話している間にもリィンが詠唱していました。
そして、術式が完成したのを確認したあたしはルオゾールに向けて放ちました。

「タイダルウェイブ」

あたしの言葉と共にどこからともなく具現化した大津波はルオゾールを中心に魔法生物を飲み込みました。
タイダルウェイブ……
管理局に入局してしばらく経ってから覚えた魔法です。
大津波に飲み込まれた魔法生物はなすすべもなく消滅していきましたが、流石にルオゾールを倒すまでにはいたりませんでした。

「なかなかやってくれますねぇ。
 この身体じゃなければ新しい身体を探さなければなりませんでしたよ」

「そのまま倒れてくれればよかったんですけどねぇ」

ルオゾールは相変わらず人を馬鹿にしたように話してきます。
あたしは、その行為に対して皮肉で答えてやります。
まぁ、ここら辺の事は管理局でも日常茶飯事だったので、ある意味抵抗力が身についているおかげでもあるのですが。
ちょうどその時、なのはちゃんの方でも異変が発生。
ルオゾールはなのはちゃんの方を見て驚いています。

「まさか、あの小娘がサイフィスと共に先の量産型を破壊したのか!?」

「ふ〜ん、流石の貴方でも驚くことはあるんですねぇ」

そう、なのはちゃんはヴォルクルスに存在する青い宝玉……
恭也さんとなのはちゃんの話だと魔力増幅装置(ブースター)だと言う事です。
それをなのはちゃんは一つ破壊しました。
あたしたち三人でも破壊できなかった……
というより、破壊するチャンスが無かっただけですけど……
それが、今回なのはちゃん一人で破壊してしまったわけです。
恭也さんが言ったこととなのはちゃんの自信は真実だったって事です。
内心あたしも驚いてはいますが、表情にはだしません。
ルオゾールはというと、再び不適な笑みを浮かべています。

「これは本当に驚きましたな。
 量産型とはいえ、一人で対応出来る人物はそうそういないですからねぇ」

「へぇ〜、それはそれは……。
 逆に言えば、一人で相手に出来る人物は過去にいたわけですね?」

「確かに、いましたねぇ」

そういって思い出す素振りをするルオゾール。
明らかに挑発です。
あたしは、その挑発に乗らず次の詠唱を始めようとしました。
不意になのはちゃんから連絡がありました。

《はやてちゃん、そっちに量産型の砲撃が行くから避けて!》

《!!
 わかった、なのはちゃん。
 連絡ありがとなぁ》

なのはちゃんの言葉と同時にリィンも砲撃をキャッチしました。
あたしはルオゾールに目くらましの魔法を浴びせて急いでその場を離脱。
離脱が完了したのと同時に、あたしがいた所を量産型の砲撃が通過しました。
味方である魔法生物をも巻き込んで……

「流石に量産型では的確な行動は無理ですか……
 もう少し改造する余地はありますねぇ」

ルオゾールはこともなげにそう呟いています。
あれが的確な行動を起こすようになったら、今以上に脅威になります。

「まぁ、それは兎も角……
 今は貴方たちを消滅させ、後顧の憂いを晴らすとしますかね。
 まずは貴方からですよ」

ルオゾールは総宣言してあたしに攻撃を開始しました。
相変わらず無数の雷があたしを捕らえます。
あたしもその雷を防御して反撃の機会を窺っていました。

《それにしても、あの男性の方……
 シグナム相手によくもちますねぇ》

《恭也さんの事?
 リィン、よ〜くみてみぃ。
 恭也さん、手加減してるで》

《え!?》

恭也さんの戦っている姿をみたリィンは感心しています。
ですが、あたしが見る限り恭也さんは本気を出していません。
それどころか、シグナムに対して致命傷を与えずに応戦しています。
つまり、それだけの技量が恭也さんにはあると言うことです。

《じゃっ、じゃあ、あの人は!?》

《そうや、あえて時間稼ぎを行なっているんや。
 シグナムとヴィータを救う為の準備をする為にな》

実際、恭也さんはシグナムと応戦するのと魔法生物と応戦するのでは戦い方が明らかに違っています。
魔法生物に対しては容赦ない攻撃を浴びせているのに、シグナムに対しては防御に徹しているだけです。
それは、先程から恭也さんがあたしの子たちを救う為の準備をしているということ。
恭也さんの行為は、あたしを安らぎを与えてくれました。
だから、あたしはまだ戦えます。

《それにしても、あんな細い拘束魔法で殺傷能力有りって!?》

《う〜ん、魔法は見た目だけじゃ判断できんよ、リィン》

リィンは恭也さんの拘束魔法を見て驚いています。
まぁ、拘束魔法の太さは極細で、それでいて殺傷能力有りですから非常に稀な魔法なのは事実ですが。
それを見事に使いこないしている恭也さんは只者ではありません。
なのはちゃんが信頼するわけです。
そんなことをリィンと会話していたら、恭也さん本人から連絡来ました。
もう少しだけ我慢して欲しいとの事です。

《リィン、もうひと頑張りするよ》

《了解です、マイスターはやて》

あたしは恭也さんを信じ再びルオゾールと相対します。
そして、この膠着した状況が転換するのはもう少し後の事でした。



なのは's View

はやてちゃんと恭也君に量産型ヴォルクルスの対応を任された私は、相手をする為に移動していました。
戦闘開始からずっと拘束魔法を展開していたシャマルさんは完全に疲労しきっており、かなり危ない状況です。

《シャマルさん、お疲れ様です》

《なのはちゃん!?
 よかった、無事だったんだね》

《ええ、そうです。
 心配かけてしまって済みません》

シャマルさんは疲れた表情を見せることなく笑顔で私を迎えてくれました。
そんなシャマルさんに回復を促す為にも、私はシャマルさんに一時離脱を勧めます。

《後は、私がなんとかします。
 シャマルさんは、その間に疲労の回復を!》

《一人で大丈夫なの?》

《ええ。
 倒すわけじゃなく時間稼ぎなら、私一人でもどうにかなりますから》

《……無理だけはしないでね。
 なのはちゃん、時々身体能力以上の無茶な行動を起こすから……》

《……肝に銘じておきます》

倒すわけじゃなく、時間稼ぎなら私一人で可能。
これは根拠の無い自信ではなく、今までの経験から来る絶対的な自信。
まぁ、でも……
シャマルさんにもあんまり心配かけたくないのでできるだけ無茶な行動は自重する事にします。

《それじゃ、お言葉に甘えて一時離脱するね。
 くれぐれも無茶な行動は謹んでね》

《……やるな、とは言わないんですね?》

《やるなと言ってもやるんでしょ、なのはちゃんは?
 それなら言うだけ無駄ってものだからね》

《あぅ、バレバレ……》

シャマルさんにも私の行動パターンを読まれてしまっています。
私って、そんなに行動パターンが読まれやすいのかなと思うわけで……
そんな私を見たシャマルさんは、苦笑して安全地帯に離脱しました。
でも、私の事を心配してくれるシャマルさんには感謝です。
そして、気を取り直した私は量産型ヴォルクルスと対峙しました。

「レイジングハート、エクセリオンモード起動!」

《了解しました、マスター》

私は、躊躇無くエクセリオンモードを起動させます。
あの時、合体した量産型ヴォルクルスを相手にした時以外は使用していないので特に問題が起こるような事はない。
だけど、今回エクセリオンモードを起動させたときは今までの起動と違和感を感じました。
そう、魔力の流が今までと違って緩やかになっています。

「……これが、サイフィスの言っていた魔力変換システムの効率化の恩恵なんだね?」

《イエス、マスター。
 他のモードでも恩恵はありますが、エクセリオンモードと違って認識出来るレベルまではいっていないようです》

「……そうなんだ」

サイフィスがレイジングハートに施してくれた細工は全モード対応だったようです。
ですが、他のモードはそれ程魔力を消費するような事はないのであまり実感がなかったのですが……
エクセリオンモードの場合、その細工の効果はてきめんでした。
おかげで持久戦もそれなりに可能になっています。

「いくよ、レイジングハート!」

《了解です、マスター》

私は量産型ヴォルクルスに立ち向かいました。
量産型ヴォルクルスは私に立ち塞がるように攻撃してきます。
ですが、恭也君によって鍛え上げられた私は、前と違って大きな動きをせずとも回避が可能になっています。
そう、初めて相対した時やこちらに転送されて戦闘した時の動きと違うと自分でも感じています。
だから、その隙を突いて私はアクセルシューターを放ちました。

「アクセルシューター!!」

私が解き放った最大数の魔弾は量産型ヴォルクルスだけではなく、魔法生物もターゲットになっています。
流石に量産型ヴォルクルスには少々のダメージしか与えられませんが、魔法生物の方はアクセルシューターの魔弾を食らって消滅していきます。

《マスター、先に雑魚をあらかた倒しておいた方が得策かと?》

「うん、そうだね」

レイジングハートの提案に私は再び詠唱体勢に入ります。
確かに魔法生物単体の攻撃力はたいしたことはありません。
ただ、その数は馬鹿には出来ないですし、その数で攻撃されたら流石に全て避けられるわけでもありません。
だから、そうなる前に先手をうちます。

「ディバインバスター!!」

私が解き放ったディバインバスターは量産型ヴォルクルスではなく、魔法生物を狙っています。
そして、私はなぎ払うようにディバインバスターの軌道を変更させました。
そう、私は扇状になるようになぎ払い、魔法生物を一掃しました。
その一撃で、シャマルさんを囲もうとしていた魔法生物の大半が一掃でき、残った魔法生物も脅威にすらなっていません。
もっとも、新たに召喚されたら脅威になるのは事実ですけどね。
だけど、現状は新たに召喚される気配はなさそうです。
なので、私は量産型ヴォルクルスに注力しました。

「さてと……
 セオリーどおり、魔力増幅装置(ブースター)を出来るだけ破壊しといた方がいいよね」

《それが、現状最善の策でしょう》

「そうだね。
 恭也君の準備も2、3個ぐらい破壊しておけば出来るだろうしね」

私は、現在出来ることを考え魔力増幅装置(ブースター)を破壊することにし、狙撃ポイントに移動しました。
量産型ヴォルクルスの攻撃は相変わらずしつこいのですが、最小限の動きで私は回避しています。
そのおかげで、今までとは違い動きながらも狙いをずらさないで済むようになりました。
だから、私は躊躇無くエクセリオンバスターを使用するため、詠唱体勢に入ります。

「レイジングハート!
 エクセリオンバスター、スタンバイ!!」

《イエス、マスター》

私の言葉と共に、レイジングハートの先端に魔力が凝縮されます。
あの時とは違い、綺麗な桜色の魔力を帯びています。
さらに、今回はカードリッジの残量を気にする必要は殆どありません。
ですので、カードリッジを2発使用しました。
その影響もあり、レイジングハートの先端は爆発的に凝縮されます。
そして、凝縮した魔力は臨界点を迎えます。

「エクセリオンバスター、シュート!!」

レイジングハートの先端に集まった魔力は、目標に向かって閃光を描きながら一直線に突き進みます。
その閃光を遮るように妨害する量産型ヴォルクルスの触手やバリア。
だけど、合体した量産型ヴォルクルス相手に通じたこの一撃は、その妨害で防ぎきれる程軟な魔法じゃありません。
そして、エクセリオンバスターの一撃は、妨害する触手やバリアを難なく突破して目標である魔力増幅装置(ブースター)を直撃し、破壊しました。

「よし、まず一つ破壊っと……
 レイジングハート、次いくよ!」

《了解です、マスター》

そして二つ目を破壊する為に私は新たな射撃ポイントに向かいました。
怒り狂ったように、量産型ヴォルクルスは砲撃の乱れ撃ちを行なっています。
その砲撃の一部がはやてちゃんの方に向かってしまったので、私ははやてちゃんに連絡しました。
はやてちゃんも気づいたらしくて、早々によけたので被害は受けていません。
不意に、レイジングハートから問いかけてきました。

《今回は大丈夫そうですね、マスター》

「うん、どうしたの。
 レイジングハート?」

《いえ、今までのマスターですと上手くいった場合は油断して大ポカをやらかしていますからね》

「……まぁ、近接戦闘訓練のおりに恭也君から散々言われたからね。
 その件に関しては反論できないよ」

レイジングハートの突っ込みに私は苦笑して答えます。
昔の私なら、大声を上げて否定している所なんでしょうが、恭也君との近接戦闘訓練のおりに散々指摘されたので私には反論の余地はありません。
そのおかげで冷静に戦況を見ることが少しだけ上達しています。
それに、有利に事が進んでいるとは言え相手は量産型ヴォルクルスですから油断するわけにはいきません。
そうこうしている内に先程と反対の方向に位置についた私は、再び魔力増幅装置(ブースター)に狙いを定めました。
そして、エクセリオンバスターの詠唱に入ります。
再び、レイジングハートの先端に魔力が集まり凝縮されていきます。
その間にも、ヴォルクルスの攻撃はやみませんが、紙一重で回避しつつ詠唱を続けていました。
僅かな時が過ぎ、凝縮された魔力は臨界点を迎えます。

「エクセリオンバスター、シュート!!」

私の言葉と共に、開放された魔力は新たな目標をめがけて突き進みます。
邪魔するものを飲み込むように……
そして、その一撃は魔力増幅装置(ブースター)を貫き破壊しました。
さらに、その威力による影響で量産型ヴォルクルスの体制が崩れ、もう一つの魔力増幅装置(ブースター)を狙うのには絶好にいいポジションになりました。
私は、その隙を逃すことなく三度エクセリオンバスターの詠唱体勢に入ります。
量産型ヴォルクルスは自分の状況が分からないのか、本能のまま攻撃を行なっています。
ですが、もはやその攻撃は脅威ではなくなっていました。
そんな量産型ヴォルクルスの行動に構うことなく、私は三度臨界点に突入した魔力を開放します。
その一撃もまた、魔力増幅装置(ブースター)を直撃し、破壊しました。
だけど、やっぱり疲労は溜まってきています。

「はぁ、はぁ……
 いくら前より魔力の消耗は抑えられているとは言え、一人で相手にするには少ししんどいね。」

《同感です、マスター。
 ですが、前の戦いに比べたら、マスターの疲労はまだマシだと思います》

「そうだね……
 前の戦いは、半分気力で持たせていたようなものだからね」

私は一旦離脱し息を整えます。
前の戦い……
合体した量産型ヴォルクルスを相手にした時は、今回以上の激戦だったのは事実です。
なので、ここで弱音を吐くわけにはいきません。
そう息巻いた私だったのですが……

《なのは、はやて、待たせたな!
 こちらの準備は完了した!!》

《恭也君!?
 わかったよ》

《恭也さん、了解です》

私の目測どおり恭也君の準備は完了したようです。
なので、私はここで待機し成り行きを見守ることにしました。



恭也's View

俺は、シロとクロがデータを解析している間、シグナムとの激闘を続けていた。
理性を失った相手に対して、致命傷を与えることが出来ない俺の方が明らかに不利なのは事実だった。
だが俺は、理性を取り戻したシグナムと正々堂々勝負したいと思っていた。
だからこそ、今は負けるわけには行かない。

「はあぁぁぁぁぁあ」

シグナムの剣が鞭状に変わる。
シグナムにとって中距離戦モードの形態のようだ。

「ちぃ、イリュージョンバインド!」

俺はとっさに直射型のイリュージョンバインドを使用し、シグナムの剣の動きを鈍らせる。
それと同時に俺は後方に離脱し、イリュージョンバインドを爆発させた。
その衝撃でシグナムは吹き飛ぶ。
もっとも、シグナムほどの強敵がその一撃で倒れる事は無い。
それでも時間稼ぎは出来た。

《恭也!
 ちょうど今、解析が完了したにゃ》

《今が、チャンスにゃんだにゃ》

《了解した》

俺はなのはとはやてに連絡する。
なのはとはやては、それぞれの場所から一旦離脱した。
そして、俺は切り札……
精霊憑依を限定で起動させた。

「サイフィス、50%限定融合……
 承認!」

《了解した、主よ!》

俺の言葉と共に、俺はサイフィスと融合する。
サポート人格であるクロとシロも融合のサポートの為、実体化を解除する。
融合が完了した時、俺の姿は変わっていた。

《恭也さんのデバイスってユニゾンデバイスなん!?》

《はやてちゃん、詳しい話は後!》

俺のこの姿を初めて見るはやては驚いていた。
なのはは先の戦いの事もあり、あまり驚いてはいなかったが。

《でも、恭也君……
 先の戦いの時と姿が多少変わってるよ?
 特に、背中に羽が生えてるけど……》

《ああ、問題ない。
 前の時は30%で起動していたからだ。
 今回は50%で起動している》

《ちょっ、恭也さんのデバイスはユニゾンを可変できるんかいな!?》

《はやてちゃん、驚くのは分かるけど……
 ところで大丈夫なの、恭也君?》

《……大丈夫だ、心配するな》

俺はこのチャンスを逃すわけには行かない。
だからこそ、あえて50%で起動させたわけだから。

《恭也、敵味方にょ識別は完了済みにゃんだにゃ》

《先程解析したデータも、ターゲット登録したにゃ》

《了解した!
 サイフィス、魔力収束開始!!》

《了解だ、主!
 魔力収束開始……
 20、40、60、80……》

サイフィスのカウントと共に俺の周りは青白い魔力が集まってきている。
それも、俺を中心に膨大な魔力が吹き荒れるように渦を作りだしながら。
そして、俺はサイフィスのカウントが終了すると共に収束された魔力を開放させる。

《魔力収束マキシマム。
 敵味方識別確認、完了。
 目標補足、完了》

「行け!
 サイ・フラッシュ!!」

俺の言葉と共に、集まった魔力は全周囲に向けて勢いよく進みだした。
まるで、大津波のごとくうねりならが敵を求めて進む。

《ちょっ、ちょっと恭也君!?
 私たちも巻き込むつもり!?》

《えっ、こっ、こっちにも来ます!?》

なのはとシャマルとか言う人物から非難の声が上がるが、俺はあえて無視した。
というより、説明する暇が無かったのも原因なのだが、はやてを護る狼が回答したからだ。

《むっ、巻き込まれと思ったのだがこちらには一切ダメージが無い》

《えっ?
 あっ、本当にダメージがない》

《えっ、ホントだ。
 敵は一方的に消滅していくのに……?》

《敵味方識別型広範囲殲滅魔法!?
 古文書に記載されていたから、知ってはいたんやけど……
 使い手がおるとは思わんかったで》

そう、俺の使用した……
というより、サイフィスの固有魔法である「サイ・フラッシュ」は敵味方識別型広範囲殲滅魔法である。
つまり、俺が味方だと判断した者に関しては一切ダメージはいかない。
だが、その分魔力をかなり消費するのが問題なのだが……

「うっ、ぐっ……
 初めて使用したが……
 結構、魔力を消費するな」

《今回は、データ書き換え分にょ魔力も使用しているからにゃ》

《まだ大丈夫だけど、魔力を消耗し続けると恭也にょ負担も甚大ににゃるにゃ》

「だが……
 どうやら成功のようだ」

少しどころかかなり辛い状況な俺だったが、肝心の二人の救出には成功したようだった。
サイ・フラッシュを食らったシグナムとヴィータは混乱しているようだが、自我を取り戻している。
俺はその様子を見て安堵した。

「……ここは?
 それに、主はやて……?」

「いたたたたた……
 あれ、なのはにはやてがなんでいるんだ?」

「シグナム、ヴィータ!」

「ヴィータちゃん!」

はやてとなのはは二人のところへ向かう。
シャマルといった女性やザフィーラといった狼もはやてを追うように向かっていった。
シグナムとヴィータは今までの事は記憶に無いのか、かなり困惑していたようだ。
そんな事はお構い無しにはやては二人に抱きつく。

「ほんまに……
 ほんまに、二人とも心配したんやで」

「主はやて……
 申し訳ありません」

「はやて……
 ごめん」

「ええよ、ええよ。
 二人とも、無事に帰ってきてくれたんやから」

はやては既に泣き出していた。
そんなはやてたちをなのはは近くで見守っている。
だが、その和やかな空気もルオゾールの一言で崩壊した。

「まさか、ここまでやってくれるとは……
 さらに、私が操っていた者までも開放するとは思いませんでしたよ。
 流石、サイフィスが選ぶマスターだけの事はありますね」

「ふん、褒めた所でなんにもならんぞ……」

「ええ……
 ですが、先程の一撃でこちらはかなりの損傷を与えられました。
 それに、量産型もかなり損傷しておるようですし……」

そう、先程俺が使用したサイ・フラッシュは幽霊もどきを完全に殲滅し量産型ヴォルクルスにもかなりのダメージを与えていた。
そして、ルオゾールが使用している死体にも致命傷を与えていた。

「さらに、この身体ももはや利用できる状態じゃないですからねぇ。
 まぁ、当初の目的は達成された事ですし、ひとまず撤退させて頂きましょうかね」

ルオゾールの宣言に俺は無言で答える。
あくまでここにいるルオゾールは幻影であり、実体ではない。
なので、実体じゃないものを滅ぼした所で意味はない。

「ついでに、冥土の土産に教えておきましょう。
 もうすぐ私の本体は完全に復活します。
 その時が全ての世界の滅亡の始まりなります。
 はぁ〜、はっはっはっはっは」

やけに自信に満ちた捨て台詞をはいてルオゾールは消滅した。
プレシアと言った女性は操られた糸が切れたかのように真っ逆さまに海へ落ちていった。
俺は、その行為を見届ける事しか出来なかった。
だが、未だに量産型は健在だった。

《なのは、はやて……
 感動の再会は後回しにしてくれ。
 厄介な物が、まだ残っている!》

《恭也さん……
 そうやね、今はやるべき事をしなあかんね》

《恭也君こそ、大丈夫なの?》

なのはは精霊憑依の危険性を知っているので、心配して俺に聞いてくる。
確かに、サイ・フラッシュでかなりの魔力を持っていかれているが、まだ戦える。

《心配するなと言いたいが、かなり魔力を持ってかれているのは事実だ。
 だが、まだ量産型ヴォルクルスぐらいは相手に出来る》

《わかった……
 恭也君、無理な真似だけはしないでね?》

《……無茶はするなとは言わないんだな?》

《だって……
 私と同類だもん、恭也君は》

《そういや、そうだったな》

なのはの一言に俺は苦笑するしかなかった。
なのはの言うとおり、なのはと俺は共通項目が多かった。
なので、だいたいの行動パターンはお互いに読めるわけだ。
そうやっていても、量産型ヴォルクルスの脅威はいまだあるわけだ。

《で、はやて。
 現場リーダの意見を聞きたいのだが?》

《なのはちゃん、あれの損傷度合いってどうなってるん?》

《う〜と、右側一つと左側二つの魔力増幅装置(ブースター)は破壊済み。
 残る魔力増幅装置(ブースター)を破壊すれば、スターライトブレイカーで核を破壊できるよ》

なのはが量産型ヴォルクルスを引き付けていた時に、既に魔力増幅装置(ブースター)を破壊していたようだ。
先の戦闘の教訓が生きているようで何よりだ。
それに、現在の俺の体力の消耗と魔力残量だと核を破壊できるかは、微妙なラインなのも事実。
だから、今回はなのはに止めを任せることにする。

《なら、俺は左側の魔力増幅装置(ブースター)を破壊しよう。
 はやては右側の魔力増幅装置(ブースター)の破壊を頼む》

《それは構いませんが、一人で大丈夫なんですか?》

《何、こいつと二人で戦った時は、それぞれ片側を担当していた。
 今の状態なら問題ない》

《分かりました。
 シグナムとヴィータは復帰早々わるいんやけどあたしと一緒に一仕事な》

《了解です、主》

《はやて、わかった》

《なのはちゃんは、待機してスターライトブレイカーの準備。
 シャマルとザフィーラはなのはちゃんの護衛を頼むわ》

《わかった、はやてちゃん》

《わかりました》

《了解した》

それぞれの担当は決まった。
後は自分の仕事を完遂するのみ。

《じゃあ、みんな。
 最後の一仕事、いくで!!》

はやての号令の下、一斉に行動した。
俺は量産型ヴォルクルスの左側に陣取る。
目標は二つの魔力増幅装置(ブースター)。
俺は、サイフィス固有の魔法・アカシックバスターの詠唱体勢に入った。
俺の足元には大きな魔法陣が展開。
そして眼前には六芒星を中心に描いた魔法陣が展開される。
既に詠唱は完成し、俺は霊鳥を具現化させた。

「アカシック、バスター!!」

具現化した霊鳥は目標めがけて一直線に飛翔する。
だが、俺は前に使用した時と違い具現化した霊鳥を追いかけ、そして自らの身体に霊鳥を構成している魔力をまとった。
アカシックバスター・突撃形態……
霊鳥を構成している魔力が防壁となり、サイフィスと融合している俺の飛行魔法の最高速による突撃は前の戦いに使用したアカシックバスターに比べて威力は遥かに高い。
その分、魔力・体力の消耗も激しくなるのを感じているが、今後の為にも一度使用していたほうが良いと俺は判断した。

《恭也、無茶するにも程があるにゃ!》

《ただでさえ、サイ・フラッシュでかなり魔力を持っていかれてるにょに……》

《だが、ここで使っておかないと後々の戦いに響く》

《それはそうにゃんだが……》

《まっ、恭也にゃ無茶は今に始まったことじゃにゃいにゃ》

シロとクロの小言を無視し一つ目の魔力増幅装置(ブースター)を抉るように破壊。
そのまま、次の魔力増幅装置(ブースター)に向かう。
ヴォルクルスの攻撃は相変わらず激しいが、今の俺の状態ではダメージさえ通らない。
だが、予想以上に俺の魔力・体力は消費していた。
しかし、ここで倒れるわけにはいかない。
それに、目標は後一つ。
俺は、最後の魔力増幅装置(ブースター)を破壊した。
そして、その衝撃と共に離脱。

《サイフィス、融合解除》

《了解した。
 融合状態解除》

俺はサイフィスとの融合を解除し、後の成り行きを見守った。
あいつの……
なのはのスターライトブレイカーの威力は知っているから問題ない。
だから、後のことは任せることにした。



はやて's View

恭也さんのおかげでシグナムとヴィータがルオゾールの洗脳から開放されました。
その時の一撃……
恭也さんが使用した魔法、サイ・フラッシュの効果で魔法生物は全滅。
ルオゾールが操っていた身体も朽ち果て、さらに量産型ヴォルクルスにも多大のダメージを与えています。
そして、ルオゾールは捨て台詞を吐いて去っていったのですが、いまだ量産型ヴォルクルスは健在です。
そういうわけで、あたしはシグナムとヴィータと共に量産型ヴォルクルスの右側に存在する魔力増幅装置(ブースター)の破壊を行なう事になりました。

《はやてちゃん、ヴォルクルスの情報をリィンに送っておいたから参考にして》

《なのはちゃん、ありがとなぁ。
 リィン?》

《マイスターはやて。
 なのはさんから頂いたデータのおかげで、、量産型ヴォルクルスのバリア解析は終了済みです》

《よし。
 シグナム、ヴィータ!
 あたしがあれのバリアを消すさかい、その隙を突いて魔力増幅装置(ブースター)を破壊してな》

《了解です、主!》

《わかった、はやて!》

シグナムとヴィータに指示をだした私はシュベルトクロイツを構え詠唱体勢に入ります。
私の足の下には巨大なベルカ式の魔法陣が展開され、上空にはミッド式の魔法陣が展開されていきます。
それと同時に魔力も集まってきて上空で凝縮していきます。
私は、臨界点を見極め、凝縮された魔力を一気に開放します。

「シャイニング・レイ!!」

あたしが解き放った魔力は、三つに別れそれぞれの目標を目指して突き進みます。
三つの閃光がそれぞれの目標に到達したときバリアに阻まれました。
その隙を突いたシグナムとヴィータはそれぞれの魔力増幅装置(ブースター)の目の前にいます。

《紫電一閃!!》

《ラケーテンハンマー!!》

シグナムとヴィータの一撃で、あっさり魔力増幅装置(ブースター)は破壊されました。
残るのは一つだけ。
その時、同時に反対側でも衝撃が発生しました。
おそらく恭也さんが魔力増幅装置(ブースター)を破壊した結果でしょう。
それにしても凄まじいの一言です。
まるで鳥が飛翔し邪魔者を切り裂いて行く。
そんな光景を描いていました。

《あいつ……
 やるな》

《ああ……》

《どしたん、シグナムにヴィータ?》

《はやて?
 いや、あの黒い奴って信用してもいいのかなとおもってな……
 確かに実力はあるけどな……》

ヴィータは初対面って事もあるので恭也さんの事を警戒しているようです。
でも、シグナムは何か感じたみたいでした。

《いや、おそらく信用しても良い人物だ。
 ただ……》

《ただ?》

《なのはの兄……
 恭也とか言ったか?
 その方と似ているのが気になるが……》

《シグナムが評価するって事は、信用しても大丈夫だな》

ヴィータはシグナムの評価にあっさり納得しました。
それにしても、シグナムは鋭いです。
あたしは苦笑して答えました。

《シグナムが言っているのはあながち間違いじゃないんや》

《どういうことです、主はやて?》

《う〜とな、詳しい話は後でするんやけど……
 ここは、第97管理外世界と並行世界なんや》

《!!》

《そして、あの人はここの世界の恭也さん。
 どうも、あたしたちが知っている恭也さんと比べたら、微妙に差異があるみたいやけどね》

《そういうことでしたか……》

あたしたちが知っている恭也さんと違って、この世界の恭也さんは若いです。
それに、感情もあまり表に出さないようです。
まぁ、あたしも興味はあることですし、詳しい話をなのはちゃんから聞きたいのも山々ですけど……
今は、残りの一つを破壊する方が重要です。

《まっ、信用しても良い人物なのは、あたしとなのはちゃんが保障する》

《はやてもそういうのなら、あたしもあいつを信用する》

《了解です、主》

《まっ、それは兎も角や。
 残り一つ、とっとと破壊してしまお》

《はやてはそこで休んで。
 あたしとシグナムで破壊してやる!》

《ここは、私とヴィータに任せて下さい》

《それじゃ、二人に任せるよ。
 気〜つけてな》

《おう!》

《了解です》

残る魔力増幅装置(ブースター)の破壊をシグナムとヴィータに任せた私は、今の場所に待機し戦況を見守っていました。
恭也さんの方はというと、恭也さんが担当分の魔法増幅装置(ブースター)の最後の一つを破壊する直前でした。
恭也さんにまとわりついた魔力は鳥の形を保っています。
その姿は神々しく輝いていました。
なのはちゃんの方も既に準備が整いつつあるようです。
シャマルとザフィーラがヴォルクルスの攻撃からなのはちゃんを護っていることもあり、なのはちゃんはスターライトブレイカー詠唱体勢のまま待機しています。

「シュランゼバイゲン・アングリフ!!」

シグナムの一撃が魔力増幅装置(ブースター)を護るバリアを食いつぶしていきます。
そして、バリアが破れると同時にヴィータが一撃を魔力増幅装置(ブースター)に決めました。

「フランメ・シュラーク!!」

ヴィータの強烈な一撃を食らった魔力増幅装置(ブースター)は完全に破壊されました。
それと同時に下半身が崩れ落ちていきます。
恭也さんの方もほぼ同時に破壊して、既に離脱していました。

《シグナム、ヴィータ、お疲れ様》

《おう。
 あたしたちに任せれば楽勝だぜ》

《後は、なのはが決めれば今回は終わりだな》

魔力増幅装置(ブースター)の効果を失った量産型ヴォルクルスはもはやなのはちゃんにとっては絶好の的。
そして、この状況を逃すことはしません。

《魔力増幅装置の破壊は完了や!
 なのはちゃん、止めはまかせたで!!》

《……こっちも破壊は完了。
 後は頼む……》

《恭也君、はやてちゃん!
 高町なのは、任されました!!》

恭也さんの言葉は先程と違い力が感じられません。
まぁ、あれだけの魔法を使用しているからかなり疲労したと思います。
でも、これでようやく終わります。
もっとも、ルオゾールが残っているので束の間の平和でしかないでしょうけど……
先に離脱した、クロノ君やフェイトちゃんの事も気になります。
そんな思いを浮かべながら、あたしは成り行きを見守りました。



なのは's View

恭也君とはやてちゃんたちが量産型ヴォルクルスの魔力増幅装置(ブースター)を全て破壊してくれました。
私は、既にスターライトブレイカーの詠唱体制に入って魔力を凝縮中。
もう少しで魔力の凝縮は臨界点を迎えます。
先程はやてちゃんと恭也君から連絡がありました。
はやてちゃんは特に心配ないのですが、恭也君の方は明らかに疲労を蓄積しています。
あれだけの大魔法に融合状態での消費……
それだけの無茶をしたのも、恭也君は私を信頼してくれているから。
その信頼に応える為にも、この一撃を外すわけにはいきません。

《マスター、カウントダウンを開始します。
 10、9、8、7、6、5、4、3、2、1……》

「スターライト、ブレイカー!!」

私の言葉と共に凝縮された魔力は、量産型ヴォルクスルの核を目指して突き進みます。
桜色をした分厚い一筋の閃光は、全てを飲み込むように突き進みます。
量産型ヴォルクルスは、お約束どおり多重バリアを展開してきました。
ですが、その多重バリアはスターライトブレイカーを防ぐことなく消滅していきます。
そして、核をも飲み込んだ一筋の閃光は量産型ヴォルクルスの身体を貫きました。

《初めてやりあった時は、あれ程てこずったのになぁ。
 こうもあっさり決着つけれるとは思わなかったで》

《……あの時、私が油断していなければ破壊できたと思うんだけど》

はやてちゃんの感慨に耽った言葉に私は苦笑します。
あの時、私が油断してなければこのような事態にはなっていなかったと思います。
でも、そのおかげで恭也君と出会えたのも事実ですので……
そんな事を考えながら成り行きを見守っていました。
量産型ヴォルクルスは核を消失した影響で保てないのか、見る見る打ちに崩れ落ち光になって消滅していきます。
そして、完全に破壊を確認できた時、周囲は再び静けさを取り戻しました。

《ようやく終わったね。
 まだ、オリジナルが残ってるけど……》

《まぁ、何はともあれお疲れ様や》

《ああ……
 そうだな……》

《きょっ、恭也君!?》

空中に待機していた恭也君が、突然力を失ったように地上へ落ちて行きます。
私は急いで恭也君の所に向かい、なんとか空中で抱きかかえる事ができました。
そして、シロちゃんとクロちゃんが慌てたように言ってきます。

「恭也にょ魔力が危険水域にゃんだ」

「ただでさえ魔力を食うサイ・フラッシュにアカシックバスターまでかましたにゃ。
 こにょままだと、意識不明ににゃるにゃ」

「!!」

やはり、恭也君がサイフィスと融合したときの消耗率は激しいようです。
でも、あの一撃が無ければシグナムさんやヴィータちゃんを助けつつ雑魚を殲滅できなかったのも事実です。

「本来なら、サイフィスにゃ魔力でどうにかにゃるんだが」

「今回はサイフィス自身も魔力消費が激しいにゃ」

「助ける方法はないの?」

「魔力を分け与えればにゃんとかにゃるんだけどにゃ」

「今回にょ場合、デバイス経由だとサイフィスが吸収して無理なんだにゃ。
 だから、直接経由じゃなきゃ駄目にゃんだ」

「直接経由?」

私自身、フェイトちゃんと魔力供給した事はありますが、その時はデバイス経由で行なっていました。
そして、シロちゃんとクロちゃんから直接経由の説明がありました。

「う〜と、人工呼吸と同じだと思えば良いにゃ」

「女性にとっては恥ずかしいと思うけどにゃ……
 背に腹はかえられにゃいんだにゃ」

「じっ、人工呼吸ぅぅぅ!?」

それって、キス?
ちょっ、ちょっと待ってよ?
私のファーストキスは情緒のかけらも無いこの状況で失われるの?
乙女心としては非常に複雑なんですけど……

《なのはちゃん、恭也さんに何かあったん?》

《はっ、はやてちゃん?
 大丈夫だよ、魔力を使いすぎて気を失っているだけだから》

あぅ、はやてちゃんがこの状況を知ったら絶対に喜んでするに決まってます。
でも、恭也君の唇は渡したくありません。
こんな気持ちになったのも、たぶん恭也君の事を意識しているからだと思います。
そして、恭也君の表情も少しずつ悪化していくのが確認できました。

(恭也君、怨むよ〜)

私は、そう思いながらも覚悟を決めて口付けを行ないます。
私の心拍数が急激に上がっていきます。
そして、私の頬も赤く染まってくのも実感しました。
それと同時に私の身体から魔力が抜けていくのを感じました。
そして数秒がたった後に、恭也君の意識が覚醒しました。

「……なっ、なのは?」

「よかった……
 意識、戻ったんだね?」

恭也君は完全に混乱しています。
私は、表情が赤くなりながらも喜びました。
もっとも、恭也君は何が起こったのかわかっていません。

「量産型ヴォルクルスが消滅した所は覚えているが……」

「そにょ後、魔力切れ起こして気を失ったんだにゃ。
 にゃのはが駆けつけなければ、海へ真っ逆さまだったにゃ」

「ぬっ、そうなのか?」

「ついでに、恭也にょ魔力を補給したにょもにゃのはにゃんだにゃ」

「ほ〜、魔力補給の為にキスですか?
 二人とも見せ付けてくれるなぁ〜」

「にゃ、はっ、はやてちゃん?
 み、見てたの……?」

シロちゃんの説明に恭也君は驚いていました。
そしてクロちゃんの説明が始まったとき、はやてちゃんが割って入ってきました。
いつの間にか近づいていたはやてちゃん。
その表情は笑顔です。
そう、いたずらを思いついた時に浮かべる笑顔ではやてちゃんは存在していました。
私は、既に全身が真っ赤に染まっています。
そして当の本人の一人である恭也君も顔を赤く染めて、完全に焦っています。

「ちょっ、ちょっと待て!
 キスって、どういうことだ!?」

「クロちゃんの説明だとデバイス経由の魔力供給は駄目だったの。
 サイフィスも魔力を消耗しているから……」

「だからにゃ、人工呼吸にょ要領で魔力を供給するしかにゃかったにゃ」

「へっ、じゃぁあれって……」

「背に腹はかえられない状況だったんだよ。
 こっちだって恥ずかしかったんだから……」

だいたい、恭也君は意識を失っているのに見せ付けるもへったくれも無いんですが。
まぁ、はやてちゃんは勘違いしてたみたいですけど……
それでも、ネタにして揺すってくるんだろうなと思うわけです。
不意に恭也君の右手が私の頭をなでます。

「また、心配かけてしまったな……
 済まん」

「う〜ん、今回の件は後でしっかり埋め合わせしてもらうから。
 なんせ、これをネタにしてからかってくる人が目の前にいるし……」

そういって私はジト目ではやてちゃんを見ます。
はやてちゃんは慌てたように否定しますが、説得力はありません。

「なのはちゃん、酷い!
 あたしのこと、そんな目で見てたんか?」

「自業自得だと思いますが、主」

「まぁ、はやてに見られたのが運のつきって奴だな。
 あきらめろ、なのは」

「はやてちゃん、面白いことを見つけたら首を突っ込むタイプですから」

「あぅ、あたしの子たちもそんな目で見てたんかぁ〜」

守護騎士たちの総ツッコミにはやてちゃんは固まってしまいました。
まぁ、今までのはやてちゃんの行動だとつっこまれて当然なんですけどね。
少したって、恭也君は動けるようになったのか、私から離れ空中で制止します。
そして、恭也君は照れたように顔を背けながら答えました。

「あぁ、わかった。
 俺が出来ることなら埋め合わせしよう」

「うん!」

ちょっと恥ずかしかったけど、良い思いをしたのも事実です。
まだ、はやてちゃんは固まっていますが、私は放っておきます。
それに、クロノ君やフェイトちゃんの事が気になりますから。
なので、御神提督の指示の下、一旦クラウディアに帰艦しました。
御神提督は私が所属する航空武装隊のトップである方ですが、私は直接合うのが初めてな方なので内心ドキドキします。
はやてちゃんが言うには、かなり物分りの良い人物だそうですけど……
ですが、私は知りませんでした。
実は、御神提督が恭也君と関わりがある事に……
先程の戦いは嘘のように、海は静けさを取り戻していました。

to be continued




後書き

どうも、猫神TOMです。
とうとう8話まで来ました。
構想上だと残り5話です。

6話、7話は時空管理局側の視点で物語を書いていたので、複数キャラによる視点変更が頻発して申し訳ありません。
8話からは再び恭也、なのは(菜乃葉)視点がメインでクロノ、フェイト、はやてのどれかがサブ視点として構想を練っています。
そして、今回の視点は……
恭也→はやて→なのは→恭也→はやて→なのは
と、ローテーションを組んでいますので、前回よりかは把握しやすいのではと思います。

何はともあれ、ようやくサイバスター必殺兵器第二段、サイ・フラッシュの登場です。
原作でも反則兵器としてブイブイ言わせた禁断のMAP兵器。
その分、ここの設定は魔力を食う事になっています。
まぁ、原作でも無補給で2〜3回撃てたらEN切れ起こす武器なので……

ついでに、アカシックバスター突撃バージョンも出してみました。
今後は、この突撃バージョンに御神流の奥義を重ね合わせたオリジナル必殺技を出すかも……
予定は未定ですけど……

そして、最後の恭也となのはの情緒のかけらも無いキスシーン、もとい人工呼吸シーン……
元ネタは、原作の主人公であるマサキとヒロインの1人であるウェンディとのシーンからです。

実際、恭也があの時あえて無茶した理由は、先に限界を知った方が後々為になると考えたからです。
実際、量産型ヴォルクルス倒すぐらいなら融合解除してても大丈夫だったので(爆)

次回は、静馬叔父さんとの対面とフェイト嬢の問題の解決編です。

では



何はともあれ、一先ずは解決かな。
美姫 「そうね。まだオリジナルは残っているけれどね」
ちょっとしたハプニングはあったけれど、何とかなって良かった、良かった。
美姫 「そして、いよいよ次回は静馬との対面なのね」
いやー、どうなるのかが楽しみだよ。
美姫 「次回もお待ちしてますね」
ではでは。



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