恭也's Monologue

俺は高町恭也。
現在、海鳴大学に在学中である。
古流剣術『永全不動八門一派・御神真刀流小太刀二刀術』……
略して『御神流』を修めてる剣士でもあるが、れっきとした学生だということには変わりない。
……ここ最近、俺の周りには超常現象の類が頻発しているで、あんまり自信はないがな。
そんなことで、今回の出会いが新たなる非日常への入り口だと言うことにはなんとなく認識したわけだ。
まぁ、どんなことが起きようとも俺の家族や友人・知人に害をなすような事があれば戦うのみ。
『大切なものを護る』
それが、俺の『御神流』の存在意義だから。

魔法少女リリカルなのは
−White Angel & Black Swordmaster−

Act:02「並行世界-パラレルワールド-へようこそ、なの」

恭也's View

桜が咲き乱れてる春のとある日。
その日は大学の講義が無かったこともあり、日頃なかなか構ってやれない末妹-なのは-と共に、
藤見町にある霊園-とーさんが眠る場所-にお墓参りに来ていた。
神咲-神咲那美-さんは学校があり、なのはを求めて遊びに来ていた子狐の久遠も一緒に来ている。
久遠はただの子狐ではなく、一種の妖怪である。
一時期暴走を起こしたが、いまや純粋無垢な子狐として立派な高町家の住人である。
そして、なのはにとってかけがえの無い親友でもある。
その、なのははというと、とーさんの墓参り以外にも友人の墓参りも目的だったようだ。
なのはの亡くした友人、アリサ・ローウェル……
正確には、既に亡くなっていたが未練を断ち切れなく自縛霊として存在していたそうだ。
そして、アリサの未練-親友を作りたい-を叶えたのが、なのはだった。
悲しい出来事ではあったが、出会いと別れを経験したなのはは少し成長している。
それは、兄として喜ばしいことだ。
そんなこともあり、俺はとーさんの墓前で現状報告を行なっていた。

「とーさん、家族は皆元気だぞ。
 翠屋、完全に軌道に乗って毎日商売繁盛だ」

俺は、呟きながらも墓前に翠屋特製シュークリーム……
とーさんが今のかーさんと付き合うきっかけとなった思い出の品を添える。

「とーさんが虜になったシュークリームは、相変わらず飛ぶように売れる人気作品だ」

俺の言葉に反応したのか、そよ風が吹いた。
まるで、とーさんが頷いたかのように。

「俺もとりあえず元気だ。
 膝を壊して自暴自棄になった事もあったが、今はもう大丈夫。
 腕の良い医者がそろそろ完治するって明言してくれたこともあり、再び高みを目指そうと思う」

俺は昔、とーさんを失った時から家族を護る事を誓い、かなり無茶……
いや、無謀な鍛錬を行なっていた。
その結果、飛び出してきた車に反応できずに引かれて重傷を負った。
特に一番酷かったのが右膝。
退院してからも右膝の調子が良くなく、さらに医者には回復は無理と断言され、俺は完全に絶望していた。
その時、偶然出会った神咲さんの治癒術-本人曰くおまじない-の効果があり、歩けるまでには回復したのだが……
当の本人たちは、昨年再会するまで記憶の片隅に追いやって、完全に忘れていたが……
それからというもの、俺は妹-正確には従妹-の美由希の鍛錬に力を注いでいた。

「美由希はもう直ぐ御神の剣士として完成する。
 物覚えは悪いが、一度覚えたら忘れることは無いしな。
 後、美沙斗さんにも出会った。」

半年前、テロリストによるティオレ・クリステラのチャリティーコンサート襲撃事件。
俺と美由希は、家族ぐるみで付き合いのあるティオレさんから直々の頼みでもありボディーガードを受けていた。
その時、襲撃してきたテロリストの中に俺にとって叔母、美由希にとって本当の意味での母親である美沙斗さんが居た。
当時の美沙斗さんはというと、御神一族が襲撃された事件によって喪った最愛の夫御神静馬叔父さんの仇を取る為だけに行動していた。
そして、美沙斗さんは襲撃者の情報を得る為にそのテロリストに組していた。
互いに譲れない思いを抱き意地と意地の張り合いは、なんとか紙一重で俺に軍配があがった。
その時、一瞬、御神流奥義の極み-閃-の極地を垣間見れたような気がした。
その後、俺はというと右膝が悪化して入院し手術を行なう羽目になった。
今はその時のリハビリもあり、ほぼ運動するには問題ないくらいに回復していた。
担当の医者・フィリス-フィリス・矢沢-先生に言わせれば、毎日の鍛錬をやらなければ既に全快しているとのこと。
かといって、鍛錬を行なわないと動きが鈍くなるわけだし、悩ましい問題である。
ところで美沙斗さんに関してはというと、俺の説得に応じてくれて表から組織を追うと香港警防隊-通称法の番人-に入隊し、一線で活躍中である。

「いろいろな事がこの一年に起きたが、とーさんが心配するようなことはないぞ」

そうしている内に、アリサの墓参りを終えたなのはと久遠が俺の側にやってきた。

「おにーちゃん、おとーさんとのお話はおわった?」

「くぅ〜ん」

「あぁ、今しがた終わった所だ」

なのはの質問に肯定する。
なのははというと、とーさんの墓前に線香を上げてお祈りしてる。
また、一風が吹いた。

「おとーさん、喜んでくれたのかな」

「あぁ、間違いない」

「うん、そうだよね」

先程の一風になのはは何か思ったのか俺に聞いてきたので、俺は頷いた。
今年の春はどのような出会いが訪れるのか……
俺はその思いを胸の中で感じていた。
しばらくすると、墓前の前でお祈りしていたなのはが立ち上がり、不意に俺の左手を握った。

「おにーちゃん、ちょっと丘の方へ行きたいんだけど、一緒に来てくれる?」

「あぁ、構わんぞ。
 今日一日はなのはに付き合うって約束だしな」

「うん!」

俺は、なのはと一緒に丘の上まで上がった。
その場所は、海鳴市を展望できる見晴らしのいい場所であり、とーさんのお気に入りの場所であった。
もっとも、とーさんだけじゃなく、俺やなのはにとってもお気に入りの場所でもある。
本日も天気がよく、その場所から地平線や水平線もよく見れる。
俺となのはは無言でそこからの景色を楽しんでいた。
一瞬、俺は周りの空気が変わる事に反応し、不意に久遠が変身して小娘モードに移行した。
驚いたなのはは周囲をを見渡す。
運がよいことに、俺たち以外の人はそこには居なかった。

「くーちゃん、広い場所での変身はだめだよ」

「なのは、ごめん」

なのはのお咎めに素直に謝る久遠。
まぁ、確かに一般人が見たら大騒ぎになるだろうな。
小娘モードだけの姿なら、コスプレしている子供で通じるんだが。
だが、久遠が変身するということは、ただ事では無い事が起きようとしていると判断しているってことだ。
久遠はというと俺を引っ張り空に指を指す。

「恭也、あれ」

「うん?」

俺は久遠の指した方に顔を向けると空が一瞬割れて、人が落ちてきた。

「おにーちゃん、空から人が降ってくるよ!?」

「ああ、わかってる」

なのはは完全に驚愕している。
かくいう俺も驚いてはいるが、ちょうど俺たちの方に落ちてくるので助けようと行動する。
流石に目の前で激突されるのは勘弁してほしいからな。
そして、落ちてきた人は俺の腕に収まる。
最初、なんらかの力が働いていたのか軽く感じたのが、俺の腕に収まったのを確認したのか本来の重さにもどったようだ。
その人は、女性というより女の子といったほうがしっくり来る顔立ちであった。
見た目は外傷が酷いが軽く脈拍を測ってもほぼ正常であり、気を失っているだけのようだ。
そう判断した俺は、女の子を木陰に運び寝かせて休ませる。
それにしても、どこかで見たような気がするのだが、気のせいだろうか?
なのはも心配そうにして女の子の側で座った。

「おにーちゃん……
 この人、大丈夫なの?」

「あぁ、心配するな。
 外傷は多いが特に致命傷になる怪我はないし呼吸もしている。
 ただ気を失っているだけだ」

「そっか。
 よかった〜」

なのはは俺の言葉に納得して女の子を眺めてた。
久遠はというとなのはの側に居り、なのはと女の子を見比べている。
やけにそわそわしている久遠が気になったので、それとなく聞いてみる。

「どうした、久遠。
 きょろきょろと、なのはと見比べているが?」

俺の問いに反応した久遠は、何回か見比べてから答えだした。

「あのね恭也。
 なのはとその人が似てるの」

久遠の答えに、俺も確認するように二人を見比べた。
そして、先程引っかかっていた事に対して、やっと答えに導いた。

「ふむ、言われてみれば確かに顔は似ているな。
 なのはもこの方と同じぐらいに成長したら、同じようになるかもしれんな」

「えへへ、そうかな」

なのはは、俺の一言に照れた表情を浮かべてる。
だが、久遠はもっと言いたそうな表情を浮かべてる。

「久遠、まだ何かあるのか?」

「うん、恭也。
 あのね、恭也の言うとおりなのはとその人の顔が似ているのもあるんだけど……
 それ以上に魂が似ているの」

「魂が?」

「うん。
 まったく同じってわけじゃないけど」

そういや、神咲さんも言ってたような気がするな。
親兄弟でも外見は兎も角、魂の形まで似るって事はまず無い。
成長の過程で魂の形も作られていくと……
じゃぁ、この女の子はいったい何者なんだろう。
そんな事を漠然と考えてた俺は、なのはの一言に納得してはいないが頷く。

「もしかして、未来の私だったりして?」

「空が割れて現れてるから、否定はできんな」

それにしても、女の子の服装はと言うと似合ってはいるが、どこぞの漫画やアニメに出てくるような格好だ。
まぁ、なのはも居候や俺の友人の影響からか妙にゲーム好きではあるが。

「この方には失礼だと断言できるが、お前はヲタク街道を突き進むのか?」

「あぅ、おにーちゃん。
 それは流石に酷いよぅ。
 それに、このお姉さんがヲタクだと決め付けるのもよくないよ」

「そうだな。
 それは悪かった」

どうやら、なのはは必死になって否定する。
確かに、なのはの言うこともごもっともなので誤っておく。
そうして、他愛の無い会話を続けてたのだが、しばらくして問題の女の子は気がついた。
その女の子は俺を見て、何故か知人と俺の顔がそっくりだったそうで驚いてる。
俺はというと、気にするなといいながら俺自身が女の子に気になってた。
なのはも気になるのか、女の子の名前を聞こうとしてる。
俺は、なのはに礼節を示し成り行きを見守ってた。
そして、その女の子はなのはの名乗りに目を見開き絶叫してパニックを起こしてた。

「あの、落ち着いてください」

俺は、女の子を落ち着かせる為に相手の両肩を握った。
ある程度落ち着いた所で、俺は握った両手を離す。

「えっと、済みません。
 見苦しいところを見せてしまって……」

「別に構いませんが、俺の妹も驚いているので理由だけは教えて頂きたいのですが?」

「えっと、妹さんがあまりにも昔の私に似てたもので……
 さらに、名前も一緒だったものですから……
 あっ、私も高町なのはって言います。」

「ほっ、ほんとですか!?」

久遠が感じていた事もありある程度は予測できたのだが、改めて名乗られると驚く。
俺の妹のなのはの方も、年頃のなのはさんの告白に驚いていた。
久遠は、なのはの驚きにびっくりして耳を押さえて悶絶してる。
見かねた俺は、妹に注意した。

「なのは、驚くのは分かるがあまり大声をだすな。
 久遠がそこでのびてるぞ」

「えぇ〜、く〜ちゃん、大丈夫!?」

「なのは。
 久遠、びっくりしただけ」

久遠も大丈夫なようだ。
俺自身名乗ってなかった事もあり、なのはさんに名乗りだす。
まぁ、再び驚くのは目に浮かぶが……

「え〜と、高町さん」

「はい?
 あっ、え〜となのはでいいですよ」

「あっ、そうですか。
 では改めて、なのはさん。
 俺はこっちのなのはの兄で、高町恭也と申します」

「あぁ、やっぱりそうですか……
 なのはちゃんの事もあったので予想は出来ましたが……
 私の兄も恭也って言うんですよ」

ふむ、さっきので完全に吹っ切れたのか普通に対応してくるなのはさん。
それにしても、彼女の兄も恭也って言う。
これは、偶然にしちゃ出来すぎだと誰が見ても思う。

「なのはさん、流石にここまでそっくりだと偶然の一言で終わらせるわけにはいかないと思いますが?
 それに、貴方はいきなり空に現れて落ちてきましたが……?」

俺の問いに、なのはさんはしばらく考え込んで、やがて意を決したように話し出しました。

「まずは私の家族構成からでよろしいでしょうか」

「うん、それでいいです。
 私も興味ありますから」

「そうですね。
 お互い似ているって状況を把握したいでしょうし」

それから、なのはさんは自身の家族構成を話し出した。
実際に聞いていたが、俺たちの家族構成と明らかに違っていた。
俺たちの家族は、かーさんこと桃子、居候で長女役のフィアッセに、長兄である俺、名目上長女で従妹で次女役の美由希。
後、居候の三女役である晶と四女役であるレン、最後に末妹のなのはである。
だが、なのはさんが答えた家族構成はというと、父・士郎、母・桃子、兄・恭也・長女・美由希、末妹なのはという構成だ。

「へ〜、なのはさんのおとーさんは生きているんだ」

なのはの感心した一言に、きょとんとするなのはさん。
俺はというと、なのはの表情が気になった。
生まれる前にとーさんを失っているなのはだから羨ましがってるのかと思ってたのだが、どうやら違うようだ。

「えっと、なのはちゃんのお父さんは?」

「済みません、妹が生まれる前に事故で喪っているんです。
 それで、写真でしか顔を知らないものでして」

「あっ、ごめんなさい。
 私、気に障るような発言をしてしまって」

「ううん、気にしないでください。
 それに、私にはおにーちゃんがいますから」

そうやって嬉しそうに言ってくれる俺の妹に、俺も嬉しく感じる。
方やなのはさんは、なのはを羨ましそうに見ていた。
まぁ、妙な詮索はしない方がいいと思うからあえて聞くことはしない。

「え〜と、なのはさん。
 って、なのはさんって言いにくいからなのおね〜ちゃんと言ってもいいですか?」

「えっ、別に構わないけど?」

「じゃっ、なのおね〜ちゃん。
 なのおね〜ちゃんの友人関係を知りたいな」

「友人関係ね。
 そうだね、親友と呼べるのは、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンちゃん、八神はやてちゃん、アリサ・バニングスちゃん、月村すずかちゃんだね」

「アリサ・バニングスさんですか?
 ローウェルじゃなくて」

「うん、アリサ・バニングス……
 そういえば、母方の姓がローウェルとか言っていたような気がするかな?
 それが、どうかしたの」

なのはさんの回答に、なのはの方はというと心あらずの状態。
確かに、アリサとの別れを体験したなのはにとってはショックだったようだ。

「……そっか、なのおね〜ちゃんの方のアリサちゃんは生きているんだ」

「えっ、それってどういう意味?」

なのはさんも、なのはの呟きに驚いて逆にたずねる。
見かねた俺は、なのはさんに真実を伝えた。

「実は、なのはの友人であるアリサ・ローウェルは既に亡くなっているんです」

「えっ!?」

さらに驚くなのはさん。
そこに久遠が付け加えた。

「なのはが出会ったアリサは、既に肉体を失っていたの」

「へっ!?」

まぁ、驚くのも無理は無いな。
友人が、実は幽霊でした言われたら驚くよな。

「まぁ、なんて言えばいいのかな。
 アリサは既に亡くなっていたんですが、アリサ自身、未練を残して現世に留まっていた訳です。
 専門家に言わせれば、いわゆる自縛霊の類だということでして」

「それで、なのはがアリサの願いを叶えたの」

「その願いって言うのは?」

「うん。
 なのはにアリサの墓前で花を添えてほしいってことだったの」

「それで、願いが叶ったアリサはそのまま成仏していった訳です。
 だから、なのはさんが気にする必要はありませんよ」

「そうだったんですか」

こっちにとっては、気にする以前の問題だからな。
それに、どうやらなのはも立ち直ったようだ。

「あっ、なのおね〜ちゃん、ごめんなさい」

「ううん、なのはちゃん。
 私の方こそ、何も知らなくてごめん」

「ううん、いいの。
 ところで他の友人の中に、月村すずかさんって言いましたよね」

「うん、それがどうしたの?」

「え〜と、なんて言えば良いのか……」

再び、なのはが返答に詰まる。
月村すずかに関しては俺も気になったので、なのはさんにたずねてみた。

「え〜と、月村すずかって方は月村忍の関係者ですか」

なのはさんはというと、きょとんとした表情で答えてきた。

「ええ、月村忍さんの妹になるんですが……」

俺たちの知っている月村に妹は存在しない。
月村の家族は、メイドのノエルだけだ。
だが、なのはさんの知っている月村忍には妹がいるらしい。

「実は、俺たちの知っている月村忍には妹は存在していないんですよ」

「えっ!?」

なのはさんは言葉を失う。
そんななのはさんを眺めながら、俺は考えをまとめてた。
ここまで違うと、先程なのはが自分で言っていた『未来から来た自分』では無いのは確かだ。
しかし、久遠の言葉にも引っかかる部分はあるし、家族構成の根底部分はほぼ同じ状態。
あれこれと考えていたら、なのはも思い当たる節があったらしく答えを導き出した。

「う〜ん、なのおね〜ちゃんって」

「うん、私も思い当たった」

なのはさんも答えを導き出したのか、なのはに同意する。

「パラレルワールドの自分!」

「パラレルワールドの自分!」

そして、同時に言い出した。
俺は、二人の導きだした答えに対し混乱していた。
そんな俺を見かねたなのはは完全にあきれて溜息をついていた。

「おにーちゃん、盆栽や釣りだけじゃなく他にも少しは雑学を身につけようよ。
 そんな事だから、おかーさんやおねーちゃんに爺くさいって言われるんだよ」

「むぅ、善処する」

後でかーさんと美由希には制裁を考えておこう。
だが流石に、なのはにまで言われるとは思わなかったので少しショックだ。
なのはの言うとおり、少しは雑学を身につけるべきだなと考える。
しかし、現状は変わらんので俺は恥を忍んでなのはに聞いてみた。

「パラレルワールドって言うのは?」

「分かりやすく言えば、もしもの世界だよ」

「もしもの世界?」

「うん」

そして、なのはは説明モードに入った。
ここ最近、ゲームだけじゃなく本も結構読んでたりするなのはの知識量は半端じゃなく凄いと俺は思う。
美由希も、なのはにいい影響を与えてるようだなと感心する。

「そうだねぇ、例えば……
 もしも私たちのとーさんが生きてる世界とか……」

「ふむ」

「おにーちゃんが交通事故に遭わなかった世界とか……
 そういった、もしもの世界が存在しているのを並行世界って言うの」

「なるほど、なんとなく分かった。
 妹よ、説明ありがとう」

「いえいえ」

なるほど、もしもの世界か。
そして、そこに存在しているなのはさんは、幾つも存在する並行世界のどれかの出身であり、偶然俺たちの世界にやってきた訳だ。
それなら確かに合点はいく。
だが、なのはさんが俺たちの世界に来た理由がまだわからない。

「つまり、なのはさんは幾つも存在する並行世界の一つから俺たちの世界にやってきたということですね」

「早い話がそういう事になります。
 私自身、まだ驚いてはいるのですが」

まだ完全に飲み込めていないなのはさんは苦笑して俺に答えてくれた。
不意に、なのはさんの首にかけていた赤い宝玉のペンダントが輝きだした。

《申し訳ございません、マスター。
 再起動に手間取っておりました》

「あっ、レイジングハート起きたんだ。
 起きたところ悪いんだけど、バリアジャケットを解除してくれない?」

《了解しました、バリアジャケットを解除します》

その宝玉がしゃべった事に驚いたが、さらになのはさんが光りだし、その光が収束した時にはなのはさんの服装が変わっていた。
その光景を見た俺は、ただただ驚くばかりである。
逆に、なのははというと好奇心旺盛なのか興味津々でなのはさんに質問攻めを行なっていた。
そんななのはに対してなのはさんはというと、多少苦笑しながらも嬉しそうに応対していた。
側から見れば、仲のいい姉妹にしか見えない。
そんな光景を俺は黙って見守りながら聞き耳を立てていた。
なのはさんはが言うには、あまたに存在している次元世界を管理するという時空管理局……
いわゆる警察機構と自衛隊を兼ねそろえた組織に所属する魔導師……
早い話が魔法使いだという。
実践するなのはさんに、なのはは賞賛していた。
俺はというと、ここ一年の経験からか魔法に関してもあっても不思議じゃないと思っている。
単に、HGS患者が使う力と似ているからってのもあるが。
なのはもなのはで久遠の力を見ているので、あっさり納得してる。
そんな俺たちに、なのはさんは驚いていた。

「あまり驚かないんですね。
 普通は驚くと思うんですが?」

「いや、まぁ。
 ここ最近、非日常な出来事があまりにも頻発してるものですから。
 それに、俺やなのはの知り合いにも魔法じゃないですが、似たような力を持つ物もいますしね」

「そうなんですか」

「うん、それにね。
 え〜と……」

なのはさんは俺の答えに苦笑してた。
なのははというと、なのはさんを納得させたいのか、周りに人が居ない事を確認して久遠に頼んでいた。

「く〜ちゃん、お願い」

「なのは、わかった」

久遠はなのはの頼みに応じて子狐モードに変身する。
その光景を見たなのはさんはというと、目が点になっていた。

「えっ、ええ!?
 その子、え〜と久遠ちゃんって使い魔なの?」

「えっ、使い魔ってなんですか?」

「う〜と、使い魔って言うのは久遠ちゃんみたいに動物とね魔導師が契約するの。
 契約内容にもよるんだけど、主である魔導師が存在しないと生きて行けないものなんだけど……
 その久遠ちゃんは、魔導師の魔力は感じないし……」

なのはの質問に、混乱しながらも説明をしているなのはさん。
なのはさんが言うには、使い魔として契約した動物は擬人化形態に変身が可能。
つまり、先程変身するのを見せた久遠が使い魔に該当するらしいんだそうだ。
そうしているうちに、久遠は再び小娘モードに変身した。

「なのおね〜ちゃん?
 く〜ちゃん……
 幾つに見える?」

「えっ、いきなり言われても……
 う〜ん、8歳か9歳ぐらい?」

「く〜ちゃん、答えは」

悪戯っ子モード全開ななのはに、戸惑いながらも答えるなのはさん。
まぁ、外見年齢だけなら合っているが……
答えを聞いたなのははと言うと、久遠に答えをせがむ。
久遠は久遠でなのは同様悪戯っ子モード全開の表情を表して答えた。

「う〜ん、300歳ぐらい」

「えっ!?
 ええ〜!!」

なのはさん絶叫。
まぁ、普通は驚くよな。
それにしても、こういったリアクションもよく似ている。
ここまでそっくりだと、別世界のなのはってのも違和感ないな。
だが流石に、放っておくわけにもいかないので、なのはさんが落ち着いたのを見計らって俺はフォローをいれた。

「大丈夫ですか?」

「あぅ、ごめんなさい。
 なんか、驚いてばっかで……」

「いえいえ、お互い様ですから」

「そう言ってもらえるとこちらも助かります。
 ところで久遠ちゃんは一体……?」

なのはさんは久遠の正体が気になるようだ。
なのははというと、久遠と一緒にしてやったりの表情を浮かべてる。
それで俺は、なのはさんに久遠の正体を話した。

「なのはさん、妖怪ってわかりますか?」

「え〜と、お話とかに出てくるやつですか?」

「はい。
 それで久遠はというと、その妖怪の一種なんです。
 まぁ、こういう存在が目の前にいるのである程度の非現実的な出来事は受け入れれる訳でして」

「あはははは、そういうことですか」

なのはさんはというと、もはや笑うしかないって表情で苦笑している。
それでも納得はしていただいたようだ。
なのはと久遠はというと、何故か胸をはっていた。
そんなこんなで、もっとも肝心なこと……
なのはさんが俺たちの世界に来た理由はと言うと……

「もともとは時空テロリストが発掘したと思われる古代遺産・通称ロストロギアって言いますが……
 そのロストロギアって言うのが、古代に製作された機動兵器だったんです」

「テロリストは、その機動兵器を自分たちの手で使用するつもりだったんですね」

「ええ……」

拾ってきた兵器を自分たちの手で使用するというのはよくある話だ。
なのはさんの説明はまだ続きがあるようなので、そのまま聞き続ける。

「それでテロリストは機動兵器の起動を試みたのですが、暴走を起こしまして辺りは全壊。
 機動兵器自体はというと、そのまま破壊活動を続けていて、私たちに緊急招集がかかり現場に派遣されました。
 現場に着いた私たちは、機動兵器……
 名前はヴォルクルスと言うんですが、その機動兵器と戦闘して80%ぐらいまで破壊をしたのですが……」

なのはさんは沈痛な表情を表していた。
俺は、そんななのはさんを見ながら悪い予感を感じてた。

「ヴォルクルスは、緊急離脱プログラムかどうかは分からないんですが、そのプログラムが発動して次元転移魔法が発動したんです。
 そして私は、ヴォルクルスが使用した次元転移魔法に巻き込まれて……」

「気がついたらこの世界に来ていたと言う訳ですね」

「はい」

「ということは、破壊し損なった……
 その、ヴォルクルスっていうのは?」

「ええ。
 予想ですが、この世界に転移している可能性が高いです」

やっかいな話になってきたなと、俺は実感した。
俺はというと、話を聞いた以上放って置くわけにはいかず協力することにした。
放っておいたら、俺にとって大切な人も巻き込まれる可能性が高いわけだし……
それに、俺はなのはさんの事も放って置くわけにはいかないと思った。
もっとも、この時の俺が、なのはさんに対して特別な感情を抱いているとは思ってもいなかったが。



なのは's View

現在私はというと、並行世界の私・なのはちゃんとお兄ちゃん・恭也君と化け狐の久遠ちゃんと共に海鳴駅前のデパートに来ています。
恭也君が言うには、もともと恭也君の父親となのはちゃんのお友達の墓参りが済み次第来るつもりだったようですが。
何故私が恭也君たちに付き合ったと言うのは、まぁ……
時空管理局の制服が目立ってしまう訳でして、流石に好奇な目で他人から見られるのも嫌ですから。
本当はというと、恭也君たちを巻き込むつもりはなかったんですが……

「私のおにーちゃんは、一度決めたらテコでも動かないから」

となのはちゃんの一言……
まぁ、こういうところは私のお兄ちゃんにそっくりだなぁと思うわけです。
後は、私自身が置かれた状況によるものです。
一通り説明して状況を確認したところ、時空管理局との連絡は繋がらなくて……
一番重要な物資、早い話お金が無い現状では路頭に迷うのが確定事項でした。
フェイトちゃんとはやてちゃんの前で大見得を切った結果が、こういうオチなわけでして……
穴があれば入りたい心境です。
まぁ、この世界に飛ばされて最初に出会ったのが恭也君、なのはちゃんと久遠ちゃんだったのは不幸中の幸いです。
それで私は、管理局に向けて救援要請信号を出しつつも恭也君の提案に従うのでした。
そのため私は、この世界に居る間は偽名を使うことにしました。
恭也君となのはちゃん、久遠ちゃんは私がこの世界に来た理由は知っているので問題ないのですが、今後関わる人に関しましても説明して受け入れてくれるかどうか分かりません。

「まぁ、俺の家族は久遠の存在もしっていますし、HGS患者の長女役もいますから。
 それに、霊媒師の友人もいますし、少しばかり人よりも能力がある知人もいますからね……
 別に真実を話しても問題ないでしょう」

とは、恭也君は言ってくれました。
なのはちゃんも久遠ちゃんもうなずいています。

「だが、存在云々は兎も角、他のみんなはこっちのなのはと識別するのには苦労するでしょう」

そういって恭也君は苦笑していました。
私たちはしばらく思案して、恭也君が『御神菜乃葉』という名前を提案してくれました。
御神という苗字は私のお父さんたちが使ってる剣術の流派の名前だったので特に違和感もない。
菜乃葉って名前はというと、なのはちゃんが生まれたときにお父さんが名づけようとリストにしていた中にあった名前だそうです。
何故ひらがなになったというと、恭也君が言うには漢字だと硬い感じがするとお母さんがいいだしてひらがなにしたそうです。
……私のお父さんとお母さんも同じようにやり取りをやった可能性は否定できないんですが。
まぁ、下手に関係ない名前を名乗るよりしっくりきていい感じです。
そして私は恭也君の親戚と言う扱いになってたりします。
出会った当初は恭也君の事を「恭也さん」と呼んでいたのですが……
親戚として演じるとなんか他人行儀みたいってなのはちゃんに言われたので意識的に君づけで呼ぶようにしました。

「こういう時は、おにーちゃんの嘘つきが役に立つよね」

「むぅ、妹よ……
 俺はそんなについているか」

「うん!」

なのはちゃんとのやり取りでへこんでいる恭也君がとても可笑しくて私は笑っていました。
私は、表向き家族関係は良好だったのですが……
本当のところ、私はどこか疎外感を感じていまして、目の前のなのはちゃんと恭也君の仲が非常に羨ましいと思うのでした。
そんな思いを抱きつつも、ご家族に対する説明は恭也君に一任しました。
そういった事情もあり、私はというとなのはちゃんと一緒に服を選んでます。
しばらくして、いくつか服を選び終えた私となのはちゃんは恭也君を連れてお会計。
そして、私はそのまま選んだ服を一つ選びそのまま着て、管理局の制服を紙袋にしまいました。

「えへへ、この服。
 なのはが選んだんだよ」

そういってなのはちゃんは恭也君に伝えています。

「そうか、どれどれ」

と恭也君が私を見定めています。
恭也君に見つめられ少し照れる私。
恭也君も顔を赤らめながら、顔をそむけて言ってきました。

「菜乃葉さん、え〜と。
 あの、その……
 よく似合ってますよ。
 まぁ、なのはが選んだ服なのでお気に示すかどうかはわかりませんが……」

「あっ、ありがとうございます。
 なのはちゃんと私の趣味は似通っているので問題ないです」

「そうですか、それはよかった」

……なんだろう、この気持ち。
お兄ちゃんやクロノ君、ユーノ君たちと買い物に行ったことはあるけど、こんな気持ちになった事はない。
漠然と考えてた私を心配したのかなのはちゃんが声をかけてきました。

「菜乃おね〜ちゃん、どうしたの?」

「ううん、なっ、なんでもないから」

あぅ、完全にどもってるよぅ。
明らかに動揺している私になのはちゃんは不思議そうに見つめ、さらにとんでもないことを言い出しました。

「おにーちゃんも、菜乃おね〜ちゃんもあんまり他人行儀に話をすると嘘がばれるよ。
 まぁ、ここは私たちしか居ないから問題ないけど、早めに直したほうがいいよね。
 特に、おか〜さんにばれたらきっと悪巧みするに決まってるからね」

「うぐっ、善処する」

「あぅっ、善処します」

私と恭也君は同時に答えたのでした。
恭也君も私も顔が赤くなっています。
そんな私たちに不思議そうに見つめていましたが、時計を見て恭也君に催促しています。

「おにーちゃん、もう昼だよ」

「そうだな、久遠には我慢してもらって何処かに行くか。
 後で、好物を与えることにしてな」

「そうだね。
 く〜ちゃん、我慢してくれる」

「く〜ん」

なのはちゃんのお願いに応えたのか、久遠ちゃんはと言うとなのはちゃんの背負っているカバンの中で固まっています。
なのはちゃん曰く、ぬいぐるみモードだそうです。
フェイトちゃんの使い魔であるアルフさんだと、ぬいぐるみモードは絶対に無理だな、と私は不覚ながら思ってしまいました。

「え〜と、菜乃葉さ……
 いや、菜乃葉。
 何か食べたいものはあり……
 あるのか」

恭也君がどもりながらも聞いてきます。
そんな恭也君の姿を苦笑しながら私は答えました。

「恭也君にまかせま……
 まかせるよ」

え〜と、私もまだどもっています。
クロノ君やユーノ君だと普通に話せるんだけどなぁ。
お兄ちゃんだと思っても、やっぱり別人だと認識してしまうし……
何故か恭也君だと意識しちゃうみたいです。
そんな私たちに、なのはちゃんは苦笑しています。

「なのは、お前は何が食べたい?」

「う〜ん、和食や中華、洋食は料理の鉄人たちが家にいるから……
 日頃食えないのがいいかな」

「……そうなると、行く場所はほぼ確定されるな」

「うん!」

「菜乃葉も……
 それでいいか?」

「うん」

恭也君も、まだ違和感があるみたい。
そんな自分たちは苦笑しながら、恭也君やなのはちゃんが言う評判がいいファーストフード店に向かうことになりました。
向かっている途中、恭也君は何か思いついたのか私たちに聞いてきました。

「そ〜いや、菜乃葉になのは。
 側から見れば、仲のいい姉妹にしか見えないな」

まぁ、同じ自分だし、側から見れば姉妹にしか見えないのはわかるんですが。
そういえば、なのはちゃんも私に対して気を許してくれてるみたいです。
私も、3人には気を許しているんだけど。

「えへへ、実は……
 私ね、菜乃おね〜ちゃんみたいなおね〜ちゃんが欲しかったんだ」

なのはちゃんの言葉に私は少し照れました。
私も、なのはちゃんみたいなできた妹なら欲しいかなと思う。
恭也君は、疑問を抱くようになのはちゃんにたずねていました。

「美由希やフィアッセ、晶、レンは駄目なのか?」

「おね〜ちゃんは料理駄目だしおっちょこちょいだし……
 フィアッセさんは優しいけどおにーちゃんと同類でいたずらしてくるし……」

「むぅ」

なのはちゃんの返答に詰まらせる恭也君。
そんな恭也君にお構いなく話を続けるなのはちゃん。

「晶ちゃんやレンちゃんはしょっちゅう喧嘩するし……
 というか毎日止める身にもなってよおにーちゃん」

「まぁ、あの二人は喧嘩するほど仲が良いっていう典型例だからな」

恭也くんは、遠い目をしながらなのはちゃんに答えるのでした。
なのはちゃんは壮大にため息をついています。

「そういう意味で、私は"まとも"なおね〜ちゃんが欲しかったの」

そう答えて嬉しそうに微笑むなのはちゃんを見て、私も微笑むのでした。
『まとも』って部分をやけに強調しているのが少し気になるけど。
そうしている内に、目的のファーストフード店についたので、私となのはちゃんは席を確保し恭也君は注文しに行くのでした。
しばらく食事に集中してあらかた食べ終わった時、不意になのはちゃんは私にたずねてきました。

「そういえば、菜乃おね〜ちゃんのおに〜ちゃんってどうしてるの?」

「えっ、私のお兄ちゃん?」

「うん!
 恋人とかいるのかなって思って」

こっちの私、なのはちゃんは恋愛に聡いようです。
そ〜いえば、ずいぶん前に子供ができたって言っていたなぁ。
忙しくて会いにいってないけど。
なので私はありのままを答えました。

「私のお兄ちゃんは、恋人と言うか妻がいるよ」

「えっ、結婚しているんですか!?」

「うん。
 ついでに子供も出来てるって」

なのはちゃんは驚いています。
恭也君は相変わらず無愛想で食事をしています。

「私のおにーちゃんは、鈍感、無愛想、朴念仁の三拍子がそろってるって言われるのに……

「……妹よ」

なのはちゃんの呟きに、低い声で反応する恭也君。
明らからに怒っているようです。

「おっ、おにーちゃん!?」

「その言葉、誰から聞いた?」

恭也君からどす黒い負のオーラが見えたような気がしました。
なのはちゃんは完全におびえています。

「えっ、え〜と、おね〜ちゃんから」

「そうか……
 あいつには後で制裁を与えねばならんな、それもフルコースで」

不気味に笑う恭也君に、私は少し引き気味。
なのはちゃんは、空気を換えようと話を振ってきました。

「それで、菜乃おね〜ちゃんのおに〜ちゃんの相手は?」

「さっき言っていた月村すずかちゃんのお姉さん、忍さんだよ」

「ぶっ!!」

私の言葉に、ジュースを飲んでた恭也君がいきなり噴出しました。
なのはちゃんも、恭也君を見て乾いた笑いを浮かべています。
少し落ち着いてから恭也君は話し出しました。

「……そちらの世界だと、そうなんだな。
 もっとも、こちらの世界では絶対におきないと保障できるが」

「えっ、どういうこと?」

私のお兄ちゃんと忍さんは、側から見てもお似合いのカップルだったんですが……
どうやら、こちらの恭也君はそこまでいっていないようです。
というより、少しばかり嫌そうな素振りを見せています。

「友人としては、まぁ親友というより悪友に近いが良好な関係だな。
 何かと世話になる時も、まぁ稀にはあるが……
 だが、さすがにあいつを妻に娶る気は絶対に無いぞ」

「あははははは。
 そちらの忍さんはどういう性格しているのか分かりませんが、こちらの知っている忍さんはねぇ……」

恭也君の言葉に乾いた笑いを浮かべて相槌を打つなのはちゃん。
私としては、すごく気になるんですが……

「え〜とですね、分かりやすくいいますと……
 トラブルメーカーなんですよ」

「……あいつが実験とか開発とかをする度に回りに迷惑をかけるからな」

「一番の被害者だもんねぇ、おに〜ちゃんは」

「まったく、勘弁して欲しいものだ」

今まで巻き込まれた光景を思い出したのか、目を逸らして答える恭也君に苦笑して返すなのはちゃん。
その光景を見て私も乾いた笑いしか出せません。

「それに、さくらさんも言ってたもんね。
 このままだったら嫁の貰い手は現れないって」

「あっ、あはははは……」

こちらの世界の忍さんは、かなり危ない性格をしているようです。
俗に言う、マッドサイエンティスト?
なんかシャーリーとはウマが合いそうな気もしますが……

「まぁ、私としましては趣味も合うんでおもしろい年上の友達になるんですが……」

「高町家一家総意であいつよりお前のほうが精神年齢高いって認めてるからな」

そういって再びジュースを飲む恭也君でした。
うわぁ、何気に酷いことを言っているよな気がするんですが。
やっぱり私がいた世界とは全然違うんだなと思うわけで……
それに、私も恭也君の事が気になっていましたので、お返しに質問してみます。

「恭也君って付き合っている人とかいるの?」

「俺と付き合うような物好きがいると思うか?」

「はぁ〜、相変わらずだおに〜ちゃんは……」

私の問いに、無表情で答えを返す恭也君。
なのはちゃんはと言うと、恭也君を哀れみた目で見つめながら壮大なため息をついていました。
そういえば、私もフェイトちゃんやはやてちゃんにそんな目で見つめられた事があったなぁ。
当の私は何故だか分からなかったんですが。

「なのはよ、なんでそんな目でみるんだ?」

「ううん、なんでもない」

そう答えて、なのはちゃんもジュースを飲みだしたのでした。

「そういうわけで、俺は付き合っている人はいない」

「そうなんですか?
 結構もてそうだと思ったんだけど……」

恭也君の答えに、何故かほっとしている私。
ホント、どうしちゃったのかなぁと思うわけでして……
それからも3人との会話は続いて、一区切りついた所で高町家に帰ることになりました。
なんだかんだ言って、偶然だけど束の間の休息を私は楽しんでいました。



恭也's View

突然の出来事ではあったが、別世界のなのはである御神菜乃葉と出会った俺たちは午前中の用事も終わり現在家に帰っている。
一応家の中では御神菜乃葉って名乗っているが、家に着く前に菜乃葉から真相をしっている者だけ……
早い話、俺と妹と久遠だけの状態では「なのは」と呼んで欲しいと頼んできたので、今はそう呼ぶようにする。
本当は今日一日妹の方のなのはと付き合うつもりだったんだが、彼女がやってきた理由とその解決に協力する形なった俺は、なのはと道場で模擬戦を行なう事にした。
妹はというと、家にいた晶とレンと共に今日購入したゲームをやっている。
そして、なのははというと、なにやら魔法を使って事前準備をしていた。

「これで準備はよし……」

「今、何をしたんだ?」

「え〜と、周りに見えないようにと道場が壊れないように結界を張ったの」

「そんな便利な物があるんだな」

「えへへ。
 まぁ、私の場合だとこれぐらいの広さの結界しかはれないけど、凄い人なら町一つは結界を張れるから」

とことん便利な力だなと思う。
力が欲しいかと言われれば、欲しいとは思う。
だが、不相応な力まで欲しいかと言われれば、必要ないと俺は断言できる。
理由無き力はただの暴力でしかない。
俺が欲しいのは、護るべき者を護れるだけの力だけだから。
そして俺は、今まで御神流を学び心無き者に振るってきたし、これからもそうするだろう。
そう思いながらも、なのはを見ていると出会った時の服装……
なのはが言うにはバリアジャケットを展開していた。

「それでは、ルールを確認するね」

「あぁ、互いの戦闘力を知る為だから、致命傷を与える大技は無し。
 その条件でどちらかが一本取れば終了……
 ってところだな」

「それでオーケーだよ」

互いにルールを確認し終え、戦闘モードに移行する。
不意に、なのはのまとっている気配が変化した。
そう、今まで戦闘してきたことのある格闘家みたいな気配に……
観察している俺に構わず、なのはは杖・レイジングハートを構えた。
俺はそれに応えて、模造刀を抜刀形態で構える。

「時空管理局・航空戦技教導隊所属、高町なのは二等空尉……」

「永全不動八門一派・御神真刀流小太刀二刀術・師範代、高町恭也……」

互いに名乗りを上げ……

「いきます!」

「いざ、参る!!」

そして、戦闘は開始した。

「アクセルシューター!」

なのはの叫びに、魔法の弾丸が幾つも精製され俺に向かって襲ってくる。
俺は、その弾丸を紙一重でかわしつつ飛針をなのはに向けて投射した。
なのはに向かって投射した飛針は、なのはの目の前で魔方陣が展開され、展開されたそれにぶつかり地面へと落下する。

「……防御魔法か?」

「シールドと言いって、物理系の防御魔法だよ」

「説明どうも……
 それにしても厄介なものだな」

戦闘しながらも説明を入れてくれるなのはには少し感謝。
俺はぼやきながらもなのはに肉薄する。
なのははと言うと、先程の魔法の弾丸を再び俺に向けて襲わせる。
牽制だと判断した俺は、飛針で迎撃した。
だが、その隙になのはは離脱し間合いを取っていた。
自分の有利な間合いに展開するなのはに、俺は敬意を払う。

「見事なものだ。
 その年で、戦技教導隊所属ってのは伊達ではないのだな……」

「いえいえ。
 そういう恭也君こそ、ここまでやるとは思っていなかったよ。
 Aクラス以下の魔導師の新人たちは、これでほとんどへばるんだけど……」

そういって苦笑するなのは。
なのはが俺をどのレベルと見ているのかは判断できないが、俺とて実戦を潜り抜けてきた経験はある。
かといって、空を飛ぶ相手をするのは初めてでもあり、ある意味非常にいい経験になっているのも事実だ。
互いに一服した所で、第二ラウンドを開始した。
なのははというと、相変わらずアクセルシューターといったか、その魔法の弾丸で俺を狙ってくる。
いや、先程の弾丸に比べて初速が速い!
俺は冷静に判断して、飛針で幾つかの弾丸を落とし回避行動に徹しながら隙を窺う。
なのはの方も、こちらを窺いながらも魔弾を精製している。
一瞬の隙を突いた俺は、中に浮いていたなのはの足に鋼糸を巻きつけ引き寄せる。

「きゃぁぁぁぁぁあ」

握力80で引っ張った衝撃に悲鳴をあげるなのは。
それでも、魔弾の一つを制御して鋼糸を切るあたりは、なかなかの実戦経験者である。
だが、その隙を突いて近づいた俺は「徹」をなのはに向けて使った。
なのはも俺の動きに気づいてシールドと言ったか、防御魔法を展開し俺の攻撃を防ぐ。
しかし、その衝撃は大きく反動でなのはは吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。

「っつ、いっったぁ……
 まさか、シールドを通り越して衝撃が来るとは思っていなかったよぅ」

そういいながらも立ち上がるなのは。
肉体的ダメージにはあまり至っていないようだ。

「御神流・攻撃の法「徹」……
 本来は、表面ではなく内面に衝撃を与える攻撃なのだが……」

「シールドを張った結果、内面に来る衝撃をそのまま受けたわけだね……」

「あぁ、早い話がそうなる」

「説明どうもです。
 だけど、魔法を使わずにシールドを通り抜けるなんて、聞いたことないよ」

「済まん、俺も初めて見る結果だ」

なのはが完全に驚いている。
まぁ、俺もこの結果は予想していなかったが……
だが、この結果を見て俺は御神流が近距離では通用する事を確信した。
……対魔導師限定ではあるが。
後は、戦術をどう組むかだが……
それに、まだ奥の手はある。
俺がもっとも得意とする奥義乃陸「薙旋」や奥義乃極「閃」は俺にとって大技なので使用できないが、神速はまだ使用していない。
もっとも、「閃」に関してはいまだに完全に扱えれるわけではないが……
そうしている内に、互いに態勢を立て直す。

「新人相手だったらこのくらいの力で済んでいたんだけど……
 恭也君には失礼だったかな?」

「いや、気にするな。
 俺の方も、なのはがここまでやるとは思っていなかった」

互いに、相手に対する過小評価の誤りを認める。
もっとも、大技を使用しないって前提での過小評価ではあったが……
不意に、なのはがまとっている空気に変化が起きた。
そして、なのはの目つきにも……

「では、少しランクをあげさせてもらうよ」

「了解した」

俺もまた、なのはの雰囲気に合わせるように気合をいれる。
そして、三度目の戦闘を開始する。
なのはは先程の魔弾・アクセルシューターを使用してきた。
だが、先程のものよりも数も速さも違っていた。
俺はというと、やはり紙一重でかわしているが、先程と違い何発かは俺の身体をかすっていた。

「レイジングハート、ディバインバスタースタンバイ。
 出力最低でお願いね」

《OK、マイマスター》

俺が魔弾をかわしている間に、砲撃の準備を整えたなのはがキーワードを発言する。

「ディバインバスター!」

杖・レイジングハートから放たれた一撃は、魔弾に囲まれた俺に向かっていた。
俺は、この状況に対し神速を発動させる。
モノクロ領域に入った俺の知覚は、全ての動きを正確に捉える。
そして、包囲網の穴を見つけた俺は一気に駆け抜ける。
その直後、俺のいた地点は小規模な爆発がおき、視界が悪くなった。

「AAランクの魔導師相手ならこれで大概は終わりなんだけど……
 恭也君の事だら、きっと避けてるに決まってるよね」

《いい判断です、マスター》

そう呟きながら俺を探しているなのはを尻目に、俺はと言うとなのはの後ろに回っていた。
なのはは、俺を探しながらも再び魔弾の準備を行なう。
だが、俺はその隙を突き神速を発動。
壁を蹴り、空中に浮かぶなのはに肉薄した。

《マスター、後ろです》

「!!」

慌てて振り向き、俺の姿を確認するなのは。
だが俺は、その隙を外すことなくなのはを斬りつけた。
三度シールドを展開するなのはだが、そのシールドは意味を成さなかった。
御神流・攻撃の法「貫」。
相手にフェイントを反応させて確実に決める一撃。
そう、なのはがシールドを張ると予想していた俺は「貫」を使用し、なのはに認識を誤らせた。

「きゃぁぁぁぁぁあ」

その衝撃で地面に叩きつけられるなのは。
俺は、そのままなのはに追いつき喉元に模造刀の刃を突きつけた。

「……私の負け、……だね」

「……大丈夫か?」

負けを認めたなのはに、俺は突きつけた模造刀を外し手を差し伸べる。
なのはは、俺の手を握り立ち上がった。
荒々しい息をしていたなのはだが、ある程度落ち着いたところでバリアジャケットを解除し先程の服装にもどった。

「まさか、あそこまで戦闘レベル上げて負けるとは思っていなかったよ」

「近接戦闘での負けは、御神流には認められん事だからな……
 済まん」

「ううん、気にしないで」

そういって苦笑するなのは。
実際、俺が勝てたのは場所が閉じた空間だったのと、なのはにとって間合いが不利な状況だったのが要因だ。
広い場所で、空からの砲撃に徹しられたら俺に勝ち目はない。

「まぁ、なんだ。
 もともと俺が有利な状況だったわけだしな。」

「それは確かにそうなんだけど……」

「広い場所で空からの攻撃に徹しられたら、俺は手も足も出せんぞ」

「その場合、周りが焼け野原になるね」

そういって俺たちは笑い出した。
しかし、俺は思った。
対魔導師戦は兎も角、ヴォルクルスと言う機動兵器に関しては、引き付ける以外に何も出来ないだろう。
それでも、引き付けることは出来るわけだらか、なのはに攻撃の隙を与える事は可能だ。
だから、対ヴォルクルス戦において俺がやるべきことはなのはに攻撃を集中させること。
そう決意し、俺はなのはと共に道場を後にした。



なのは's View

恭也君との模擬戦を終えた私は、高町家の縁側で休んでいました。
高町家の皆さんは、今食事の準備中。
もっとも、こちらのお姉ちゃん・美由希さんは料理を手伝おうとしたところ、恭也君に撲殺されリビングで昏睡中。
その行動に唖然としたんですが、なのはちゃん曰く……

「おね〜ちゃんの料理は、証拠が残らない天然の毒物」

だそうで、私は複雑な表情をしてました。
私のお姉ちゃんはそこまで酷くなかったような……
まぁ、料理が出来ないのは事実なのですが。
それで私も手伝おうとしたのですが、今日はお客様なので休んでいてくださいとなのはちゃんに言われまして私は休憩中。

「菜乃おね〜ちゃん、食事の時は質問攻めを覚悟していた方がいいよ。
 とくにおか〜さんが凄いから」

なのはちゃんのありがたい忠告に、私は乾いた笑みを浮かべるしかありませんでしたが。
ということなので、現在レイジングハートと共に状況を整理中。
まずは、先程の模擬戦の結果の整理。

「レイジングハート、恭也君の戦闘能力はどうみる?」

《先程の戦闘結果だけでしたら、陸戦限定でAAAクラスはあるかと……》

AAAクラス……
クロノ君が昔言っていた。
AAAクラスの人材は管理局の中でも一握りしか居ないって。
かくいう私もその内の一人なわけだけど……

「私がレイジングハートと出会った時と同じだね」

《イエス、マスター》

でも、レイジングハートはまだ何か言いたそう。

《ですが、先程の彼に関しては本気を出していない状態での結果な訳ですから……》

「つまり、陸戦限定だとAAAクラス以上は確実な訳だね」

《それも、魔法を使わないでですから》

そう、魔法を使わずにAAAクラスを叩き出している恭也君の戦闘能力は明らかに異常な訳です。
それも、全ての実力を出さずに……
それでも、あのヴォルクルスに通用するかと言われればはっきり言って可能性は低いと思う。

「ねぇ、レイジングハート。
 先程の戦闘結果を見て、恭也君は通用すると思う?」

《はっきり言って、通用はしないでしょうね》

やっぱりなと私は思った。
確かに恭也君の戦闘技術は凄いの一言なんだけど、彼には悪いけどあの機動兵器に刀で通用はしないと思う。

《ですが、マスター……
 彼に関しましてはそれほど心配する必要はありませんよ》

「えっ、どういうこと?」

レイジングハートの一言に驚き、私はレイジングハートに聞き返しました。

《今まで訓練を見てきた新人たちとは違って、彼は己の力を正確に認識しています》

「それは、無謀なことはしないということ?」

《ええ》

レイジングハートからの一言から私は考えます。
確かに、自分の力を認識していない新人との行動に比べれば、力を正確に認識している恭也君と行動するほうが作戦も立てやすいし動きやすい。

《もっとも、無茶な行為はするでしょうな》

「それは、ちょっと嫌かも……」

《……貴方が言える立場ですか?》

「あぅ、そっ、それを言われると激しく辛いのですが……」

《早い話、あなたと同じ性格をしているんですよ彼は……
 出会ってから今までの状況と先程の模擬戦での予測ですが》

レイジングハートに言われて気がついたんだけど、確かに私と恭也君は似ているのかもしれない。
一度決めたらテコでも動かない性格は……
そんな思いを抱いているとレイジングハートはフォローを入れてくれた。

《彼は……
 貴方もですが、勝率の無い無謀な賭けは絶対にしないと言うことです》

「その代わり、どんなに低かろうが勝率のある場合は全力でぶつかる……
 だね」

《そうです。
 ですから、勇気と無謀を履き違えてる新人に比べれば、彼の方が遥かに優秀です》

「うん、そうだね」

やることは決まった。
恭也君は自分の力を認識しているようだから、私の立てる作戦に納得してくれると思う。
私が無謀な作戦を立てなければだけど……。
そういえば、エクセリオンバスター・ACSを使用したのは無謀だったのかなぁ、と思うわけで。

《あの時のマスターの判断は的確でしたよ》

「……そう言ってくれると助かるよ」

レイジングハートのやさしさにほっとする私。

《問題があるとすれば、ACSの直撃後に油断したことでしょうね》

「あぅ」

続いて出てきたレイジングハートの一言に私はへこんでいました。
確かに、あの時油断せずに追撃していれば倒せてたと思う。
その隙を完全に逃したのは明らかに私のミスなわけ。
今更言っても始まらないけど……

《後、これは補足になりますが……》

「まだ、何かあるの?」

レイジングハートの言葉に、私は疑問で返しました。
そして、レイジングハートの言葉に私は絶句。

《彼から、眠っていますが魔力反応が感じられます。
 それも、現在のマスターの容量よりも大きいのが……》

「えっ!!」

つまり、恭也君は魔導師としての資質があると言うこと。
それも、今の私よりもって事は最低でもSランク……

《もっとも、今のままでは力が発揮されませんが。
 何かきっかけでもない限りは……》

「私が、レイジングハートと出会ったみたいなきっかけだね」

《イエス、マスター》

確かに恭也君が魔導師として覚醒したとしたら戦局も変わるだろうし、その結果、もし管理局で働く事になったらずいぶんと良くなると思う。
だけど、傷ついた恭也君を見るのは嫌だなとも思うわけでして……
少し勿体無いかなと思う自分がいて、だけど覚醒して欲しくないと思う自分もいてなんか複雑です。

《後、これは完全に蛇足なのですが……》

「まだ、何かあるの?」

《こちらの世界のなのはさんも、昔の貴方と同じぐらいの魔力が眠っています》

「……そうなんだ」

なのはちゃんとはこんな所も似ているんだなと思う。
だけど、こちらのなのはちゃんには悪いけど、私としては覚醒してほしくない。
まだ出会って短いけど、あの子は私と違ってどんな状況でも力は振るわないと思うから……
そんな事を考えながら月を眺めてました。

to be continued




後書き

どうも、猫神TOMです。
第二話はほのぼの出会い編ということでかなりまったりな展開です。
本当は、なのは改め菜乃葉に対してとらハ版高町家による質問攻めまでを予定にしてたんですが……
どうも、文章が肥大化してしまって食事前で切りました。
まぁ、次回はほぼ戦闘がメインになりますし、前座にはいいかも。

それと、なのはも恭也も本気は出してません。
本気出したら、結界壊すわ建物崩壊するわで手がつけれない状況になるわけで……
ちなみに、なのはの戦闘はなのはStS04の光景がベースです。
もっとも、新人4人にAAクラスで対応してたStSのなのはとは違って、リミッターなしの状態ではありますが。
まぁ、恭也も恭也でOVA前半で見せた隊香港警防隊の訓練シーンの強さだと思ってもらえれば幸いです。

では。




互いの力をある程度確認したって感じかな。
美姫 「みたいね。この後は、二人で協力かしらね。
     それに、この世界に転移したはずのヴォルクルスは今は何処にあるのかしらね」
うーん、どこぞのお嬢様の屋敷の庭に現れて、解体されパワーアップとか?
ねぇねぇ、面白いものを拾って改造したの、と電話で呼び出され…。
なんてな。
美姫 「とんでもなくパワーアップしそうね」
手がつけれないな。
美姫 「冗談はこれぐらいにして、次回が楽しみね」
だな。次回は高町家の人々も登場して、って感じかな。
美姫 「戦闘もあるみたいよ」
次回も楽しみだな〜。
美姫 「次回も待ってますね」



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