このSSでは、ALL END―恭也がすべてのルートを通り、誰とも結ばれていない―いわゆるご都合主義ENDとなっております。

時はとらハ3本編時より1年進み、恭也は大学1年生となっております。

設定が嫌であり、この文章の時点で拒絶反応、アレルギー、発作、その他諸々、身体や精神に異常をきたすようでしたら、ブラウザの戻る、からお戻りください。

長らくお待たせいたしました。以下が本編になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5月。

世間ではゴールデンウィークという名の大型連休を終え、桃色に染まった花弁を散らし、雅であったその様は、今では緑の葉でその身を飾り、見る者全てに明日への活力を与えてくれる。

―――はずなのだが。

そう、今は5月。

植物は活力に満ち溢れ、空も透き通るほどの蒼、風も暖かくなり、自然は生きとし生けるもの全てに活力、安らぎ、癒し、様々な良い要素を与えてくれる。

これほどの好条件が揃っている、いや、揃ってしまっている。

そう、過剰なほどに。

 

ゴールデンウィークも終わってしまった今日、ここまでの好条件が揃っている現在、唯一不足してしまっていることがある。

そう、自由な時間が、自然に身を委ねておける時間が少ないのだ。

大型の連休を終えてしまった今、いつまでも布団にしがみついておくこともできず、しかし、今の状態は肉体から精神に及ぶ全ての部位に対して怠惰への誘惑を謳う。

人、それを五月病という。

元気いっぱいの高町家にもその病に冒されてしまったものがいる。

 

高町桃子?―否、彼女は一家の稼ぎ頭。

彼女は愛する家族のために、いつも元気にお菓子作りに勤しんでいる。

彼女も休みたい一人であろう、しかし、彼女は愛すべき家族の笑顔のために、その誘惑に負けない。

 

高町恭也?―否、彼は剣士。

見た目は青年、中身は老人と言われようと、彼が剣士である以上、怠惰な生活は嫌う。

何よりも高町家における唯一の男であり、何だかんだと頼りにされる彼が怠惰になると、高町家全体を揺るがしかねない。

 

高町美由希?―否、彼女も剣士。

見た目は美少女、中身は普通。

気候は趣味である本を読む事にも最適ではあるが、彼女のもうひとつの趣味である園芸のほうに身が入っている。

何よりも、彼女が怠惰に過ごすと、兄であり従兄であり師範代でもある恭也に酷い仕打ちを受けること請け合いである。

 

城島晶?―否、彼女は主婦。

主婦を名乗る年齢でも、関係でもないのだが、彼女は高町家の食を支える一人。

何より、彼と呼びたくなるほど元気な彼女に限って、こんな天気のいい日に寝て過ごすなどありえない。

 

鳳蓮飛?―否、彼女も主婦。

城島晶嬢と同じく、食を支える一人であり、家事全般もひとえにこなす彼女。

のんびり屋だが、自分の仕事に責任感を持ち、やるべきことをこなすまで、彼女は自身、仕事を投げ出すことはありえない。

 

では、誰が?

そう、この場で名前の挙がらなかった者。

高町家最年少、小さな実力者の名を冠する少女―高町なのは、その人である。

 

 

 

 

「憂鬱な五月?」

        Presented by 如月

 

 

 

 

 

 

 

「ししょー、そろそろなのちゃん起こしてきてくれますか?」

 

朝。

続々とテーブルに並べられていく食事を見ると、今日の当番は晶のようだ。

恭也は読んでいた新聞を畳み、晶のほうに視線で了承と感謝を伝える。

伝えられた晶のほうも、若干照れながらも気にしないでください、と笑みを浮かべる。

 

 

2階にあるなのはの部屋にくると、恭也はひとつ息を吐き、その扉を叩く。

 

「なのは、起きているか?」

 

返事がない。

恭也は首を振り、もう一度呼びかけるが、返ってくるのは静寂ばかりである。

仕方がない、と口の中で呟き、恭也はなのはの部屋のドアを開けた。

 

「なのは、もう朝なんだが…」

 

「うにゃぁ…む〜……すー、すー…」

 

 部屋を開けると、まず女の子らしい部屋が映し出された。

 なのはに気を使い、日ごろこの部屋にはいることのない恭也にとっては、どこか懐かしい気持ちになるのだが、今はこの部屋の主でもある我が家の眠り姫を起こす使命を果たすべく、彼女に近づく。

 寝顔は身内びいき抜きにしても愛くるしく、寝顔にも関わらず困った顔から嬉しそうな顔、と、百面相をしている。

 その顔をみる恭也の顔にも笑みが浮かぶ。

 しかし、恭也はその顔を引き締め、再度起こすべく気合を入れなおす。

 

「なのは、そろそろ起きないと遅刻するぞ」

 

「むー…もうちょっとだけ〜…」

 

「もうちょっとって言っても、もうみんな待っているのだが…」

 

「うー、わかりました…。いまおきましゅ…」

 

 不満げな顔でそうつぶやくと、なのはは起き上がり、ベッドから下りる。

 しかし、下りた後もその視線の先はベッドであり、今も未練がましそうにそちらを見つめている。

 先に行ってるから、早くくるんだぞ、と一声かけ、恭也は部屋を出て行った。

 部屋から出る前の恭也はどこか不安そうな顔をしていたが。

 

「おかえり、恭也。どうだった?なのは」

 

階段を下りると、店から一度戻ってきていた桃子に話しかけられる。

 若干顔が笑っているところから見ると、恭也の表情から結果はわかっているようだが。

 

「ああ…手ごわかった。しかし、なのはの朝が弱いところは治らないものか…」

 

「まぁ、時期が時期だけに、五月病にでもなっちゃったんじゃない?

あの年頃でかかるものでもないと思うけど、なのはは誰に似たのか、のんびり屋さんだしね」

 

「五月病?」

 

「…あんた、病気にかからないからって、五月病も知らないなんて言わないわよね?

さすがに息子といえど、正気を疑うわよ?」

 

「ひどい言われ様だな…五月病くらいは知っている。

ただ、俺の周りにはそんな病にかかる者などいなかったからな。

少し信じられなかっただけだ」

 

「そうねぇ、うちの家族はみんな元気いっぱいだし、あんたの友達もそういうのと縁がなさそうな人ばかりだしね。

 でも、なのはは私の娘だからね、繊細なのよ、きっと」

 

「…繊細だからかかる、とは聞いたことがないのだが…。

 それと、かーさんの娘というのは関係ないと思うぞ」

 

「あーもー!あんた可愛くない!」

 

「はいはい。ほら、みんな待っているだろうから、リビングへ行こう」

 

年甲斐もなく(見た目では似合っているが)、頬を膨らませ可愛く睨みつけてくる桃子をなだめつつ、恭也は桃子とともにリビングへと進んだ。

 リビングにつくと、テーブルには料理が並び終わっており、現在高町家にいる、なのはを除いた、全員が揃っていた。

 恭也は首を回して全員の顔を見る。

 

「きょ、恭ちゃん、どうかしたの?」

 

「し、師匠、俺の顔になんかついてますか?」

 

「おさるの顔なんか見とらんわ!お師匠、ウチになんか御用ですかー?」

 

美由希、晶、レンはそれぞれに恭也に、意味もわからず顔を見られていただけに、若干頬を染めながら返答する。

頬を染めているのは違和感を覚えるが、なるほど、桃子の言うようにこいつらに限って五月病はありえまい、と考える。

 こんなときでも余計な一言をつけるレンには、正直感心してしまう恭也だったが、こんなことに感心してしまうのもどうなのだろうか、と少し己を情けなく思う。

 

「おはよう。いや、別にたいしたことではないから気にしないでほしい。

 それと、レンもむやみに晶を挑発しようとするな。そろそろなのはが下りてくるぞ」

 

朝から、青と緑が織り成す拳の競演が行われようとしていたところ、その一言と、階段を下りてくる足音を察知し、ふたりはさっと姿勢を正し、席に着く。

ふたりがちょうど席に座り、恭也がどこか疲れたため息を吐いたとき、なのはがリビングへとやってきた。

顔も洗い、服も髪もちゃんとできているのだが、どこか覇気がない。

五月病とはこんなにも深刻なものだろうか、と高町家一健康な恭也は考える。

普段から家族を気にかける恭也にとっては、なのはの元気がないのは心配で仕方がない。

なのはと美由希の立場が逆であった場合は美由希の鍛錬時の命が心配で仕方がなくなるが。

 

「それじゃ、みんな揃ったし、いただきましょうか」

 

「「「「いただきます」」」」

 

「…いただきます」

 

なのはのテンションだけが低いまま、高町家の朝食が始まる。

 

食事中も、何人かがなのはを気にかけるが、なのははどこか気だるそうにごはんを口に運んでいる。

食事も終え、桃子が翠屋へ行き、美由希たちも学校へと向かう準備を始める。

恭也は、今日は講義がなく、盆栽をいじるか、翠屋へ手伝いに行くくらいしかやるべきことがなかった。

 何をすべきか、と茶を啜りながら思案に耽っていると、美由希、晶、レンの中高生組が準備もできたようで、なのはを待っていた。

 その様子を見て、恭也は湯飲みを置き、

 

「今日は俺がなのはを送ろう。

 お前たちは先に行っていいぞ」

 

久しぶりに起こしに行き、朝食時は覇気がないなのはの顔が脳裏から離れない恭也は、なのはをバスまで送ろうと思い、美由希たちを先に行くように促した。

 そう提案した恭也に対して、美由希はにやぁ、と意地悪な顔で笑い、

 

「さすが、恭ちゃん!なのはが心配なんだよね〜?

 あー、シスコンもここまできちゃうと大変かもね!

 なのはが彼氏連れてきたりしちゃうと暴れそうだもん!

 まったく、そのなのはへの心配を私に対しても向けてほし…へぎゅ!」

 

やや暴走気味に目の前にいる恭也に悪態をついていた美由希は、その悪態の途中で恭也の制裁で蹲った。

 

「なのはが心配なのは否定しない。

 しかし、俺はシスコンではないし、なのはが自分で決めた彼氏なら、俺が言うことはない。

 …お前はどうしていつも俺に対して余計なことを言うんだ…いちいちつっこむのも疲れるんだぞ」

 

 恭也は呆れた目線で美由希を睨む。

 美由希も涙目で恭也を睨む。

 ふたりのやりとりに取り残された形となった晶とレンは引きつった笑みをうかべている。

 

「じゃ、じゃあ師匠、俺たち先に行きますね!」

 

「そうさせてもらいます〜。み、美由希ちゃんもはよおいでな〜!」

 

 ふたりの発する空気に耐え切れず、逃げ出すように(実際逃げているのだが)出て行くふたりだった。

 美由希の涙目に耐えられなくなった恭也は、今日で何度目になったか、と思いながらため息をひとつつき、先ほど美由希に制裁を加えた頭を撫でてやる。

 

「はぁ…、やりすぎだったと反省している。

 しかし、お前も言いすぎであることを自覚しろ」

 

「え?え?」

 

対する美由希はめったなことがない限り撫でられたりしないし、何より兄とは冗談のやり取りのつもりであったので、困惑と喜びがごちゃ混ぜで混乱中。

 

「ど、どうしたの恭ちゃん!?

 なんだか今日はやさしい…?」

 

「…どうして欲しいんだ、お前は…」

 

 正直なのはの五月病とやらが気になって仕方がないため、冗談の応酬など、できないのだ。

 朝起こしたときはいつもの事だと思った。

 母―桃子の五月病発言でもそんなに深刻ではないと思った。

 しかし、朝食時の覇気のなさが気になって仕方がないのだ。

 たしかにそれだけのことで心配するなど、シスコンと思われても仕方がないかもしれない。

 だが、なのはの元気がないというのは、恭也にとっては不安にさせる。

 それはシスコンだからではなく、父を知らないなのはへの配慮のひとつなのかもしれない。

 兄として、父の代わりとしても、なのはを心配している。

 そんな恭也の心中は、やはり恭也のみ知るところではあるが。

 

「もういいから、お前も先に行け」

 

「う、うん、じゃあ、いってきます」

 

 どこかまだ戸惑っていた美由希が玄関から出て行くと、ちょうどいいタイミングでなのはが歩いてきた。

 なのはは目をこすりながら、今にもたれそうだ。

 玄関に立っていた恭也を見つけると、いつもの倍以上ぼーっとした表情を浮かべ、すぐに驚きの表情を浮かべた。

 

「あれ?おにーちゃん?どうしたの?」

 

驚きと不思議そうな表情で目の前で立っている恭也に問いかける。

 

「いや、たまには一緒に行こうと思っただけだが…もしかして嫌だったか?」

 

「え!?ううん!そんなことない!嬉しいよ!行こう、おにーちゃん!」

 

 朝の覇気のなさはどこへ行ったのか、なのはは元気な様子を見せ、嬉しそうに恭也の手を引っ張る。

 その様子に、苦笑しながら恭也はなのはの手をしっかり握り、バス停まで進む。

 

 

「でも、おにーちゃん、どうしてなのはと一緒に行こうと思ったの?」

 

 道すがら、突然の兄の提案は嬉しいものだったとはいえ、疑問は消えなかった。

 恭也も面と向かってなのはが心配だったため、とはいえないため、どこか困ったように視線がさまよい、照れた様子で言葉を濁すのみだった。

 そんな恭也の様子を見て、何か悟ったのか、なのはは、

 

「そうなんだ」

 

と、笑顔で答え、久しぶりの恭也との時間を楽しく過ごし、バス停までスキップするかのように進み、バスに乗った。

バスに乗る際のなのはは笑顔で、五月病、と心配していた恭也も、つられて笑顔で送り出した。

 

「おにーちゃん!お迎えもきてね!」

 

 と、意外にもおねだりまでされてしまった。

 その言葉に対し、苦笑でうなずくと同時、バスのドアは閉まった。

バスが発車し、ひとり残された恭也は安心した顔で、

 

「杞憂だったようだな。

 やれやれ、本当に心配のしすぎなのかもしれんな…」

 

 と、ひとりつぶやくのだった。

 

 

 その後、恭也は自宅へ戻り、盆栽たちの手入れをし、母の店―翠屋を手伝い、なのはとの約束どおりなのはを出迎え、夕食前に型の反復、夕食後は読みかけの本を読破し、深夜の鍛錬を終え、一日を終えた。

 

 一方、今回恭也の心配の種であったなのはは、眠る前に今日のことを思い出して、嬉しそうに笑った。

 今日はたくさん兄―恭也がかまってくれた。

 普段から気にかけてくれているのはもちろん知っていたが、やはりそばにいてくれると嬉しいものだ。

 そんな自分の感情を隠さず、自室で一人、にやけた頬を撫でる。

 兄が今日、あんな風に送り迎えをしたのは、自分に元気がなかったためだろう、と想像がつく。

 たしかに、今日は気候もよく、学校に行かず、ずっとベッドで寝ていたいと思ったのも事実だ。

 しかしまさか、自分のそんな態度がこんな幸福につながるとは思わなかった。

 怠惰な生活はなのは自身も望むところではない。

 家族全員元気いっぱいなことも、なのはの自慢のひとつなのだから。

 しかし…もし、また怠惰な生活を送ったとしたら、どうなるのだろうか…?

 

 

 

 

 

 

翌朝。

今朝も朝食の並ぶテーブルのそばで、新聞を読んでいた恭也に声がかけられる。

 

「おししょー、申し訳ないんですが、なのちゃん起こしてきてもらえませんかー?」

 

今日の朝食はレンのようだ。

恭也は新聞から目線をレンにあわせ、首をかしげてみる。

レンも申し訳なさそうに言っているところから見ると、どうやら今手が空いているのは恭也だけのようだ。

 その申し訳なさそうな顔にたいして、感謝を含み、笑顔で、いってくる、と答えた後、恭也は二階に続く階段を上る。

 

2階にあるなのはの部屋にくると、恭也はひとつ息を吐き、その扉を叩く。

どこか昨日と同じことを繰り返しているため、苦笑してしまう。

 

「なのは、起きているか?」

 

返事がない。

恭也は首を振り、もう一度呼びかけるが、返ってくるのは静寂ばかりである。

静寂?

どこか、恭也は静寂だけでなく何かを感じるが、それが何なのかはわからない。

仕方がない、と口の中で呟き、恭也はなのはの部屋のドアを開けた。

 

「なのは、もう朝なんだが…」

 

「むー…もう少しだけ眠らせてください…すー、すー」

 

 部屋を開けると、先ほど感じた違和感などどこにもない。

 昨日と同じことをしているため、デジャヴュを感じたのだろう、と、自分に対して苦笑する。

 

「ほら、遅刻するぞ?みんな待っているのだから、起きてくれないか?」

 

再度なのはを起こすべく声をかける。

雰囲気から察するに、なのはは目が覚めたようだ。

 

「んー…おにーちゃん、なんだかだるいの…」

 

と、目が覚めたなのはは布団で目元まで隠し、若干潤んだ瞳で恭也を見つめる。

 なのはの潤んだ瞳に、風邪か何かかと思い、なのはの額に恭也自身の額をあわせ、熱を計る。

 ……平熱。

 大丈夫と思っていた五月病のままなのでは、と思うが、もしも風邪だとすれば大事である。

 そう考えた恭也は、なのはを心配げに見つめ、問う。

 

「どうする?今日は休むか?」

 

 体調の悪い日に無理をさせることはないだろう、そう考えての発言だった。

 しかし、なのはは、

 

「ううん、大丈夫、行きたい。

 でも、おにーちゃん、下までおんぶ…だめ?」

 

 なのはが自分で頑張ると言った。

 強い子になった、と恭也は少し泣きそうになる。

 そんななのはの頑張りのために、自分が手を貸さない理由はない。

 

「わかった。ただし、下までだぞ?」

 

「うん!ありがとう、おにーちゃん!」

 

 恭也は部屋を出て、なのはの着替えを待つ。

 階段を下りるくらい手伝うのは間違いじゃない、甘やかしてない…よな?と、思案しながら、待つこと数分。

 なのはが少し気だるげにドアを開けて出てくる。

 そんななのはにしゃがみこんで背を向ける。

 

「いいぞ、なのは」

 

「うん、ごめんね、おにーちゃん」

 

 背になのはをのせ、階段をゆっくり下りる。

 

「一応、今日も一緒に行こうか」

 

「でも…おにーちゃんに迷惑…」

 

「そんなことはない。

俺もなのはと行きたいと思っていたし、何より、なのははもっとわがまま言ってもいいんだからな?」

 

「…え?」

 

「さみしい想いをさせてしまっているからな。

 …だから、なのはのお願いは聞いてやりたい。

 それは俺だけじゃなく、かーさんも、美由希も、みんな思っていることだ。

 だから、遠慮なんかするな」

 

「…うん、ありがとう、おにーちゃん。

 大好きだよ!」

 

「そうか…俺も、大好きだぞ、なのは」

 

 

 

二人の影はひとつ

 

 

兄は妹を心から想い

 

 

 妹は兄の心を理解し、兄への想いを募らせる

 

 

こんな五月のうららかな陽気にあてられて

 

 

二人の兄弟は暖かく微笑みあう

 

 

こんな憂鬱な五月病も

 

 

実は小さな嘘だとしても

 

 

許してくれるよね おにーちゃん?

 

 

 

 


あとがき

睦月「・・・」

如月「・・・」

睦月「黒くない?なのは」

如月「…そうかな?」

睦月「だって、なんというか、自室でニヤニヤしたりさ・・・」

如月「…子供の小さなお茶目じゃない。そんなことも見逃せないなんて、器が小さいってばれるよ」

睦月「ぐ・・・相変わらず酷いことを・・・」

如月「…今回のSSは私が書きました。みなさん初めまして、私、如月(きさらぎ)」

睦月「どうも、Triangle Mighty Heartを書かせていただいている、睦月(むつき)です」

如月「…続きは?」

睦月「ぐぅ・・・そのことをいうために今回仕方なく君に書いてもらったんだろ!?つーか、君!初めて書くくせに俺に原稿料とかいって、リアルで俺にたかるのやめてよね!?」

如月「…で、仕方なくって何があったの?」

睦月「いや…序章だして思ったのさ。長編って忘れられないうちに一気に出すほうが読者も喜ぶかな?ってさ」

如月「…で?」

睦月「まとめて溜めてたら、外付けHDDが煙を・・・」

如月「…は?」

睦月「だから、なんか煙だしたの!俺のせいじゃない!」

如月「…これ読んでる人は絶対納得しないよ、それ。大体、それの報告だって遅すぎるし。初投稿からどれくらい経ってると思ってるの?」

睦月「相変わらずクール&ドライだね…。報告が遅れた分も大変申し訳なく思っています。しかし、卒業論文の下書きデータも、研究データも全部とんだんだよ!!」

如月「…留年しちゃえばいいのに」

睦月「鬼か、君は!一緒に卒業したいからこそ、今がんばってるんでしょ!」

如月「…そのせいで、私はいい迷惑。私だって論文も研究も残ってるのに」

睦月「それは申し訳なく思っておりますよ、如月様!Triangle Mighty Heartのほうも、もう一度プロットから組みなおして、再度作っていきますので、読者の方、ならびに浩様!申し訳ありませんが、やっぱり小出しでも少しずつやっていきますので、何卒、ご勘弁ください!!」

如月「…睦月の後始末として、しばらくの間、私がとらハ系の短編小説を少しずつ書いていきたいと思います。こういったことはしたことがないので、稚拙な文章で、駄作、と評価されてしまうものばかりでしょうが、睦月が卒論と研究持ち直すまで、ご容赦ください。美姫さん、睦月のほうはどうしてもらってもいいので、私は許して…」

睦月「俺を売るのもどうかと思うんだけど…。ちなみにこのあとがきは、如月が睦月にインタビューしてそれをかきうつしたものになります。俺が情けないのはきっと如月の誇張表現です」

如月「…かなりリアルに書いてるけどね」

睦月・如月「「・・・」」

 

〜教訓〜

データ保存は最低でもUSBメモリやCD-Rなどにもコピーしましょう。





デ、データのクラッシュはいやぁぁぁっ!
……ガクガクブルル。
美姫 「バックアップは大事よね」
ああ、本当に!
と、それはさておき投稿ありがとうございます。
美姫 「ございます」
いえいえ、なのはは黒くないですよ。
これぐらい、可愛いじゃないですか。兄に甘える妹。
ほのぼのとしてて良いですな〜。
美姫 「本当に。ありふれた日常の一コマって感じで」
本当に良かったです。
美姫 「それじゃあ、今回はこの辺りで」
ではでは。



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