ファイル2「アトリエの首なし遺体」

 

SIDE智大―

 

俺、溝井 智大は海鳴市に来て初めての事件現場へと向かっていた。

警察の車の中に名探偵の御手洗 修一郎に今回の事件について聞きそびれたことを聞いた。

「修一郎。どんな事件なんだ?」

隣で夢中になぜか写真を眺めている修一郎に話しかけたのだが

「・・・」と無言で話をする気配すらない。

「溝井さん、」と車を運転している金城警部が助け舟を出してくれた。

「今回の事件なんですが、犯人はどうやら美的センスに優れているみたいなのです。」

「美的センス・・?」

「ええ、しかも歪んでいるセンスでね。」

「ということは殺人事件ですか?」

「そうなりますね。」

「ああ。歪んでるな。曲線に。」どうやら写真を見終えたらしい修一郎が口を挟んできた。

そういう修一郎のセリフも歪んでいると思うのだが・・・

「現場の写真を見てたんだ。」

「そういや現場ってどこなんだ?」

「アトリエだ。そして被害者は岡崎 火恋。三十歳。」

なんとも凄みのある名前である。だが聞き覚えがあった俺。

「職業は?」記憶をたどっての質問を投げかけると、

「なんか有名な彫刻家だそうだ。」と返ってくる。

修一郎は知らなさそうだったが、思い出してきた。

岡崎 火恋。有名な彫刻家兼デザイナーだった。

確か、恭也の親父さんが彼女の彫刻を気に入っていた。

さらに気になったことを聞いていた俺だったが修一郎が飽きて板っぽいので最後に最も気になったことを聞いた。

「で、どんな状態なんだよ。」

「現場を見れば分かるさ。」 

というと修一郎はもう一度写真を見始める。

・・・流しやがった!

「着きましたよ」金城警部のきりっとした声が響く。 

バタン!!修一郎が思いっきり扉を開けて外へと向かっていった。

おいおいおい・・・堂々と入って行ってるし。

俺はアトリエの前に集まっている野次馬に俺が部外者だと気づかれないようにスルスルと現場に入っていった。

アトリエに入っていってまず見かけたのは修一郎と知り合った時に一緒に知り合った風見 晃司警部補であった。

「いやいや、お久しぶり。智大君。」

「風見さん、お久しぶりです。」

「あの事件以来だね。」

「そうですね。」

俺は会話をやめ、周りを見渡す。

周りには彫刻が至る所に置いてあり、どの目も生気が無いのだがこれだけ並ぶとやたら怖い。

次に目に付いたのは大量の血痕。

ここで殺されたことがはっきりと分かる。

そして、死体があったことを示すテープに目が行った。

「うん?・・・。」

俺の目はある違和感をしっかりと凝視した。

死体の首と体が離れてテーピングされているのである。

しかも、やたらにテープの間の部分の血痕の量が多く切り離されていることが分かった。

「溝井さん。」

「金城さん。コレはひどいですね。」

「ええ、確かにそれだけだったらいいんですけどね。」

「??」 それだけだったらいい・・・?他に何があるのか?

いつの間にか寄ってきた修一郎が口を開く。

「智大。車の中で言ったこと覚えているかい?」

「犯人は美的センスがある・・・。」

「そしてここはアトリエだ。彫刻がたくさんある。」

「首が無い・・・。つまり?」

「彫刻の頭がガイシャの首の部分と入れ替わっていたのさ。」

「なんだと!!」

創造するだけでおぞましい光景だ。

犯人はなんというセンスを持っているのか?考えただけで鳥肌が立つ。

「ここで分かる謎は二つ。」

俺がショックから立ち直ろうとする前に修一郎が言い始める。

「何故、犯人は首を切り取ったのか?」

うなずく俺。

「何故、首を入れ替えたのか?」

「そう・・・だな。そこから解明していかなきゃな。そういえばホシは上がっているんですか?」金城警部に聞くと、

「ええ、挙がってはいるんですが」

「誰なんです?」

「ガイシャの夫の岡崎 六也です。」

「動機もばっちりなんですね。」

「ええ、愛人がいたらしいのですよ。」

「じゃあ、わざわざ俺を呼ばなくても解決じゃ」

「そうじゃないんだ。智大。」修一郎が付け加えるように言った。

「ガイシャには絶対的なアリバイがあるんだよ。それを崩すんだ。」

 

やはりの展開だった。さて、アリバイは崩すことが出来るのか?また次回のお楽しみに。

 


あと書き

 

由真「手に汗握る展開。」

まあな 

由真「というよりも久々ね。」

うい

由真「アンタ、何で次回まで続かせんのよ」

時間が無いから。

由真「あんだけ時間あったのに」

うい

由真「お仕置きね?」

・・・止めて・・・

由真「うふふふふ許さない。」

 

ゲシッ!!

 

由真「また次回〜」

・・・・ひでぇ 





首なし殺人事件。
美姫 「うーん、容疑者が分かっているのよね」
だが、アリバイがある。
美姫 「つまり、わざわざ首が入れ替わっている辺りに何か秘密が?」
どんな糸口を見つけ、どう解決へと導くのか。
美姫 「次回も待っていますね」



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