何時か重なり合う明日(未来)へ  IFシリーズ

 

 

    王様と王妃様、異世界を渡る

 

ー魔法少女リリカルなのはシリーズ編ー

 

 

 

 

 

第1話

 

 

 

 

           in to the parallel world  by lyrical  前編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本国海鳴市藤見町   高町家

 

 

 

深夜の高町家。

 

外は雷雨。

 

縁側に立つのはこの家の主、高町士郎。

 

彼はじっと外を見ていた。

 

「・・・・・・あなた」

 

障子戸を開けて彼に声をかけたのは妻の桃子。

 

「そこに居てて寒くない?」

 

「大丈夫だよ桃子」

 

「珍しい事もあるのね。あなたがそこに立って外を眺めているなんて」

 

士郎の横に並んで腕を取り、抱きこむ。

 

「まあ、ちょっと胸騒ぎがしてな・・・・・・」

 

「あら?何か心配事?」

 

「そうじゃないんだが・・・・・・」

 

そこに雷光が奔り、轟音が鳴り響いて桃子は身を竦める。

 

ヒューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「・・・・・・かなり近いな」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

士郎は桃子の腰に手を回し抱き寄せる。

「・・・・・・あなた・・・・・・何か聞こえないかしら?」

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「・・・・・・ああ、なんだろう?」

ドゴッ

宵闇より濃い影が上から降ってきたかと思えば地面に・・・・・・高町家の長女、美由希が丹精を込めて世話をしている花壇の中に激突した。

 

「・・・・・・えっと」

 

桃子は突然の出来事に唖然としている。そこで動いたのは歴戦の剣士、若いころはボディーガードとして「ラスト・サムライ」の二つ名で裏世界に知られた士郎が桃子の盾になるように立ち、慎重に庭に降りて花壇に近づく。

 

「父さん!母さん!なにがあった!?」

 

高町家の長男、恭也が二振りの小太刀を携え駆けつける。

 

「恭也!そこにいてなにかあったらかーさんを守ってやれ!」

 

士郎はそう言い放つと花壇に歩み寄り、側で「それ」を伺う。

 

士郎は「それ」をくわしく観察する。どうやら若い男と女で抱き合うように花壇に半ば埋まっている。二人とも完全に気絶していて、着ている服は地味ながらも高そうだがボロボロで血と花壇の土でドロドロに汚れている。

 

さらに近づいて片膝をつき男の体を探る。どうやら危ないものは持っていないようで命に係るような怪我らしい怪我もない。(ただし全身に打撲傷と顔に擦り傷はあるが)ただ服の血はなんだろうかと疑問に思う。

 

「どうやら大丈夫のようだ。ともかく二人を中に入れよう、手伝ってくれ」

 

士郎はこっちを心配そうに見ている桃子と恭也に話してから気絶したままの二人を見下ろし、これから今まで以上に我が家がにぎやかになるなと確信していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

漆黒の闇から浮き上がる、光に向かって・・・・・・。

 

光に包まれる・・・・・・

 

 

 

ヤヨイ・・・・・・いや、皐月は目蓋を開ける。視線の先には木板の天井。視線を動かす。壁と襖、畳。そしてその横で布団に横たわる男性。その横顔はとてもよく知っていたがなにかがおかしかった。

 

「えっと・・・何か忘れてないかしら・・・・・・たしか、ニューヨークの国連本部の国連総会に出席していてそこで爆発に巻き込まれて・・・・・・陛下・・・・・・裕一さんと二人・・・・・・死んだはずなのに・・・・・・」

 

治癒法術師として二人とも確実不回避の致命傷と判断して死を受け入れたはずなのになぜか生きている。

 

それに・・・・・・

 

ほにゅ。ほにゅ。ほにゅ。

 

なぜか、子供を二人生んだおかげでたわわに豊かになったはずの乳房が縮んでいる。

 

「・・・・・・まさか・・・・・・もしかして・・・・・・こっちも?」

 

ごそごそごそ

 

「・・・・・・んっ・・・くぅ・・・・・・痛っ・・・・・・」

 

困惑

 

「・・・・・・あははは・・・・・・どういうことかしら?・・・・・・」

 

呆ける皐月。

 

「・・・・・・あー、百面相している最中で悪いんだが・・・・・・皐月だよな?」

 

横で寝ていたはずの男・・・・・・裕一が声をかける。

 

「・・・・・・自分の妻の顔をお忘れになったのでしょうか・・・裕一さん?」

 

恥ずかしさのあまり全身を赤くした後、瞬時に冷却、顔を引きつらせ冷たく低い声で尋ねる皐月。

 

「・・・・・・あのな、自分の妻が結婚当初の初々しくかつ若々しい姿になったいたら誰でも驚くと思いますがそこの所どう思います?つーか鏡で自分の姿見ろやっ」

 

「その言葉そっくりそのままお返ししますわ。それにわたしは違和感がありましたけどすぐに裕一さんだと判りましたわ!」

 

沈黙。

 

「・・・・・・不毛だな。うん、やめよう」

 

「ええ」

 

二人とも心の中で折り合いをつけて納得する。

 

「・・・・・・死んだら、俺たちの場合何十年か後に生まれ変わるはずなんだけどな」

 

裕一が腕を組みながらしみじみと呟く。

 

「そうですね。・・・・・・解らない事ばかりですけど、それよりも持っている技能関連はすべて使えます?」

 

「ああ・・・・・・・・・・・・うん、個人技能を含めてWDS(異空間倉庫:warehouse of the different space)システム等の使用可能。ふむ、折を見てチェックするか・・・」

 

「あと、現在位置と状況を確認しないといけませんね」

 

「あと、家主殿に御礼をしなければ・・・・・・、世話していただいて、怪我の手当てまでしてもらったからな」

 

裕一は寝巻きの裾を捲くって腕に巻かれた包帯を見せる。

 

「だいじょうぶですの?」

 

「全治四日ってところだな。『力』は使わなくてもいいぞ」

 

「解りました」

 

しばらく二人寄り添うようにして互いの温もりを感じあっていると衾戸側から足音と話し声が聞こえる。

 

「・・・・・・レイジングハート、あの人たち起きてるかな?」

 

「・・・・・・It seems to be got up with two people somehow or other(どうやらお二人とも起きられているようです)」

「そうなんだ」

 

戸を軽く叩く後で開かれ少女の顔が入ってくる。

 

「・・・・・・起きてたんですね。お二人とも大丈夫ですか?」

 

少女は二人を見て気遣う。

 

「「・・・・・・」」

 

裕一と皐月は少女の顔を見て固まる。

 

「・・・・・・?どうかしたんですか?」

 

「・・・・・・ああ、いや、親しい者の若い頃にとてもよく似ていたので驚いていたんだ」

 

「・・・・・・瓜二つですね」

 

少女が尋ねると二人ともうわ言の様に返す。

 

「とりあえず君の名前と今日の日付、西暦から教えてくれるかな?」

 

裕一が少女に尋ねる。

 

「えっと、高町なのはです。で、今日は2,000年の11月3日です」

 

「・・・・・・やっぱり・・・・・・」

 

皐月は項垂れ、裕一は逡巡しながらなのはにこう言った。

 

「なのはちゃん、どうやらこの世界は俺たちの知っている世界ではないようだ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                    一話後編に続く・・・・・・





どうやら無事だったみたいだったけれど……。
美姫 「若返ってるみたいね」
一体、何が起こっているのか。
美姫 「これからどうなっていくのかしらね」
それはまた次回で。
美姫 「待ってますね」



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