この話は基本的にクロスオーバーとなっていますがオリジナル要素の強い作品となっております。もし原作の設定を変える等、許されない方は読まない事をお勧めします。それでも読んでいただけるならどうぞ先へお進み下さい。 御月
『悠久の剣 〜魂と共に有るもの〜』
私には何が出来るのか
力が及ばなかった
それであの子が傷つく
そんな姿は見たくない
だから…
第2幕 〜お節介と些細な出会い〜
「…ふむ、長距離転送だけでは思ったより時間が掛かるな」
何度か長距離転送を繰り返し一日の内にはアースラに着けるだろう平行世界で恭也は眼下に広がる森を見下ろしながらそんな一言を呟いた。
「仕方ないよ〜。艦は先に帰ってもらってたし…あの子は、今使えないしね」
恭也のそんな愚痴にラスティは若干不機嫌な様子で答える。どうやらまだ機嫌は元に戻った訳ではない様だ。
「愚痴を言っても仕方ないか…あと数度の転送でいけるだ……ん?」
今居る並行世界は魔法が存在しない穏やかな植物の楽園…突然の魔力反応に恭也は眉を顰める。
「探査…捕捉…結構大きめの反応二つ、近いよどうする? なんだろう両方とも何か妙に反応が弱いけど」
ラスティは恭也が次に何を言ってくるのか心得てるので既に探査を始めて場所まで掴んでる。
「答えが必要か?」
「だよね」
返事を待たずに先に行った恭也に、ラスティは苦笑いを浮かべ後を追う。
(反応が弱いは失言だったかなぁ、あんな事言ったらお兄ちゃん行くに決まってるのに)
そんな事を考えながら。
「はぁっ…はぁっ…どうやら、逃げ切った…みたいだね…っつ」
背中に気を失った金髪の少女を乗せたオレンジと赤毛の大きな狼が、背負った少女を庇うように倒れる。
(くそ…無理しすぎた…かな、ダミーを撒いての連続の多重転移なんて…でも気を失うわけには)
そんな事を考えたとき、前方の林から二つの気配を感じ、体に鞭を打ち少女を護るように起き上がる。さっきの相手だろうが一瞬で襲いかかれるように。そして林の奥から真っ黒い服を着た男と、つれそうように少女が歩いてくる。その姿を見て身構えるがやはり力が入らないようだ。
「む…」
(狼? 後ろの…ふむ使い魔か)
(まぁ、あんな狼実際居ないしね。どーするの? 怪我してるみたいだけど…その前に狼さんの殺気が凄いんだけど)
(話してみるしかないだろう)
恭也は念話で簡単に方針を纏め、狼に向かって手を挙げ敵意が無い事を示す。
「まぁ…なんだ、俺たちは敵じゃない取り敢えず落ち着け」
「あんたら何者だい?」
狼が恭也に問いかける。
「何を言っても怪しく聞こえるかもしれんが。ふむ…強いて言うなら唯のお節介だ。妙に弱った魔力反応を感じてな」
「そ、後ろの娘大丈夫? 気を失ってるみたいだけど」
狼はじっと二人の目を見る。少しでも目を逸らすようなら飛び掛ってやるといわんばかりに。数秒か又は数分か二人と一匹の睨み合いが続く。
(こいつらなら…大丈夫…)
狼には根拠は無いのだがそう判断し、必死に繋ぎとめていた意識を手放し、そのまま倒れてしまう。
「どうあっても主を護るか…いい使い魔だな」
「そうだね」
「さて、治療に当たるとするか」
「りょーかい」
二人は先ほどまでの様子と目の前で倒れている狼を見て、しみじみと話していたが直に切りかえ治療に当たる。恭也は狼を、ラスティは少女を。
(ふむ…急激な魔法使用が原因か? なら)
翳した手から自らの魔力を送る。ゆっくりとゆっくりと対象の体を包み込むように展開してゆく。疲弊した体と魔力をゆっくりと賦活させてゆく。次第に落ち着いてくる。こちらのほうは特に怪我などは無かったので様子を見て恭也はラスティの方を伺う
「ふむ…こっちは特に問題ない。そっちはどうだ?」
「う〜ん、怪我を完全に治すのは時間が少し足りないけど…お兄ちゃんこの傷って」
金髪の少女の腕や足にある『何かの攻撃』を受けた後を見る。
「……俺達は、唯のお節介だ。今気にするところは其処じゃないだろう? ふむ捻挫もか」
恭也はどこからとも無く包帯を取り出し足首と手首を器用に固定してゆく。
「あとは之で仕上げだな」
先ほど狼にしたような効果を持つ簡単な治療結界を一人と一匹に張り様子を見ることにする。
(なんだろう…暖かい、それに体が軽い)
多少の時間の経ったころもたった頃少女が目を覚ます。
「あ、起きた?」
ひょいとラスティが少女の顔を覗きこむ。
「っ!?」
自分の見たことの無い少女を見て瞬時に起き上がり。すぐそばにおいてあったデバイスを拾い起動させようとした瞬間に痛みで顔を顰める。
「無理をするな、まだ痛むのだろう?」
「痛いだろうから、まだ無理しちゃだめだよ〜」
恭也はたしなめるように、ラスティはちょっと怒ったように少女を見てそういう。
「貴方達は…いったい?」
「こいつにも話したが唯のおせっかいだ…ん、そっちも十分みたいだな」
狼がゆっくり目を開け、立ち上がるのを見て恭也はそう言う。
「ありがとう、あんた達には助けられたみたいだね」
「ありがとうございます…」
狼は些かの親しみを込めて、少女は何処か探るような様子で
「なに、気にする事も無い。何度も言うが唯のお節介だ」
「だよね〜」
二人はそれに苦笑いをしながらそう言った。それからほんの少しだけ四人で話を、流石にこれ以上時間をかけるわけには行かないだろうと事で分かれる事になる。
「ありがとうございました、恭也さん、ラスティ」
「ありがとね、恭也、ラスティ」
「なに、余り無理はするものじゃないぞ? フェイトにアルフ」
「二人ともまったね〜」
「次に会うときにはゆっくりと話せるといいのだがな」
恭也とラスティはそんな一言を残してどこかへ転移していった。
「アルフ…何か不思議な人達だったね」
「そうだね」
「でも優しい人達だった」
利害に関係無く、ただ助けてくれた。明らかにこちらが怪しかったのに何も聞かなかった。
最近出会った何度も声を掛けてくる女の子とはまた違う感じだが、自分の目的と被ってないせいだろうか、人の優しさを素直に其れを受け取る事が出来ていた。フェイトは少しだけ気分が穏やかになっていた。
「アルフ…行こう」
「あぁ」
そして二人もほんの短い休息を終え、再びジュエルシードを巡る戦いへと戻ってゆく。
あとがき
ども御月です。まずはここまで目を通していただきありがとう御座います。
ラスティ「ねぇ…この話短くない?」
いや、タイトルにもあるだろう? 些細な出会いだし。物語的にはクロノ初登場の後なんだが…若干時間をずらした。アルフの逃走を使いたかったが為に。個人的にアルフの心情を書いてみたかったてのが一番かな?
ラスティ「あんたは…ならちゃんと書きなさいよ。それにこのあたりのフェイトはこんなんでいいの?」
いや…この後のは書くからそう怒るな。つーか手に持った物騒なもんしまって下さいマジで。フェイトに関しては良い。管理局となのはは敵、武器も無く唯のお節介なら、多少の心情は許されてもいいかと思ってな
ラスティ「ふーん…まぁよしとしますか。にしても魔法が出てきたけど?」
オリジナルといえばオリジナルなんだが怪我を治癒までの性能は無い。ぶっちゃけるとただの気休めみたいなもの。解りやすく言えば、栄養ドリンク魔法版。
ラスティ「もうちょっとまともな例えはないのかあんたは」
まぁ語彙不足は実際否めないのは反省しなければ。次はしっかり先に進みますので
知らず出会う恭也とフェイト。
美姫 「今回はただのお節介としてだから、お互いの素性は知らないままね」
ああ。これがどうなっていくのか。
美姫 「次回も楽しみね」
楽しみな次回は、この後すぐ!