この話は基本的にクロスオーバーとなっていますがオリジナル要素の強い作品となっております。もし原作の設定を変える等、許されない方は読まない事をお勧めします。それでも読んでいただけるならどうぞ先へお進み下さい。 御月
『悠久の剣〜魂と共にあるもの〜』
私は再び主と巡り会えた
私の主は姿を変えても変わらない
一言で言ってしまえば不器用なのだろう
でも…私はその優しい魂に魅せられた
だから私は全てを捧げた
主の牙として
護る盾として
空を翔る翼として
私は貴方の力であり続ける
マスター…悠久の時の中あなたと再び出会えた事、嬉しく思います
私は今、とても幸せなのですから
第一幕 〜 ジョーカー 〜
恭也がラスティにより、アースラに召喚され魔法使いとしての道を歩みだしてから6年の時間が流れる。そして今は、高町では無く不破の名前を使っている。
後にPT事件と呼ばれる、ジュエルシードを巡る事件の中で、いくつかの出会いと思いがけない再開をすることに成る…そして、ゆっくりと刻の歯車は回りだす。
平行世界某所
そこに二人の人影がある。
一人は両手に小太刀を持ち、漆黒の法衣を纏う青年。
もう一人は、もうボロボロで何かを渡すまいとしているように見える、杖を持った魔法使い。
「…正直に言うと、何度も勧告はしているので今更かもしれないが…まだ諦めないのか?」
青年が問いかける。
「っく…。これの為に全てを捨ててきた! 私の夢の為に…今更諦められるものかっ!!」
魔法使いの叫びとともに、足元に魔方陣が浮かぶ。しかし青年は慌てる様子は無くゆっくりとその姿を眺めている。
「ねぇ…お兄ちゃん?」
何処からか、女の子の声が聞こえる。
「何だ?」
「もう良いんじゃない? いい加減終わりにしようよ〜」
「そうだな…説得も無理そうだし、いい加減諦めるか…早く帰りたいしな」
何処からか聞こえてくる声にも、青年は親しげに返していた。少なくとも目の前で魔法を放とうとしている者がいるにしては余りにも緊張感が足りていない。恭也の「盆栽の世話の途中で呼び出されたんだ…早く帰りたいところだ」の言葉に魔道師はキレた
「ふざけるなぁぁぁぁ!!」
「ん? スティンガーレイか…見たところ威力はそこそこ有りそうだが…特性の速度を落としてどうするんだいったい? それに、ロストロギアを用いてその程度じゃ…な!!」
そう言い放って、光の弾丸に向けて走っていく。降り注ぐ光の弾丸を避け、または手にした小太刀によって切り裂きながら進む。
「ふっ」
背中に目でもあるのか、背後から狙ったものにも対応する。
「なっ…」
その姿を見ていた魔法使いは絶句する、スティンガーレイを斬り落とす時点で信じがたいのだが、一発も命中もせず、しかも姿がいくつにも見える。青年の動きが早すぎるせいで残像が見える。いつ自分に近寄ったのだろうか、至近距離から青年の声が聞こえる。
「これで終わりだ」
背後に青年が小太刀に寄る斬撃を放ってくる。
「っく…」
とっさにラウンドシールドを展開する、これで間合いをと思った瞬間に信じがたい光景を目の当たりにする。
シールドが真っ二つに切り裂かれたのだ。
この世界にはバリアブレイク等シールドを破壊するものもあるが、そういった場合相手る止まる。しかしこの相手は違う。
シールドを紙の如く切り裂いてきた。
「この化け物めっ!!」
逃げるまもなく、その言葉だけを残し手足に高速の斬撃を受けその場に倒れ付す。
「っが…」
水月を踏みつけられ、喉元に刀を突きつけられる。
「終わったな。回収は決定だとして…選べ
一つ、このまま大人しく拘束される
二つ、もう少し打撃を受けてから拘束される
三つ、昏倒するまでねばってから拘束される」
「さぁ、選べ」
圧倒的な実力差を見せ付けられ、もう抗戦する気力も無かったのだろう、魔法使いは一つ目の選択選を選んだ。
青年は近くにいた局員に声をかけ、魔法使いを運ばせる。
「お疲れ様です、『不破提督』」
「あぁ、後は頼むよ」
「了解しました。では失礼します」
最後に敬礼をして局員は去っていく。その姿を見送っていた青年の持っていた隣に漆黒の髪を伸ばしたあどけない少女が隣に立っていた。
「お疲れ様、恭也お兄ちゃん」
そういって腕に絡み付いてくる。
「ラスティもお疲れ」
そういって恭也は、少女の頭を撫でる。
「たまの休みに召集させられたんだ…多少はゆっくりしていっても問題はないだろう」
「うんっ♪」
嬉しそうに顔を笑みを浮かべるラスティ。
(盆栽よすまん。手入れは戻ってからになりそうだ)
時空管理局アースラ艦内
モニターの前に二人の女性と一人の少年がいる。
一人は、アースラ艦長である、リンディ・ハラオウン。
一人は、アースラの通信主任である、エイミィ・エンリエッタ。
最後に、リンディの隣に立つ、クロノ・ハラオウン。
「僕もなのはもそちらに協力させてもらいます」
レイジングハートを通して、フェレットの姿をしたユーノ・スクライアから連絡が入ってくる。
「協力ねぇ…」
渋るようにクロノが呟く。
「僕はともかく、なのはの魔力はそちらにとっても有効な戦力だと思います。ジュエルシードの回収…、あの子との戦闘、どちらにしてもそちらとしては有効に使えるはずです」
「ん〜、なかなか考えてますねぇ。それなら…まぁ良いでしょう」
リンディはユーノの言葉に肯定の意見を示す。
「っ母さん…いや、艦長!!」
そんなクロノの言葉にリンディは微笑みながら続ける。
「手伝ってもらいましょう。こちらとしても切り札は温存しておきたいの、ね? クロノ執務官?」
「…はい」
いまいち納得できていないだろう。表情が鈍いまま答える。そしてエイミィが自分の方をみて微笑んでいるのをみて、ちょっと照れたように顔を背ける。
「条件は二つよ、両名とも身柄を一時、時空管理局の預かりとすること。それから…指示を必ず守ること、よくって?」
「解りました」
リンディの言葉にユーノは答える。ユーノとアースラの通信は終わる。
高町家
(なのは、決まったよ)
(ありがとう、ユーノ君)
ユーノはなのはに決まったことを念話で伝える。なのははユーノが足元に来たのを見て、抱き上げる。母である桃子とたわいもない話をしながらも心の内ではどうやってあの子と対話するかで気持ちはいっぱいだった。
再びアースラ艦内
「艦長、いくら手の内は温存したいといっても僕は本音としては賛成できませんよ」
「まぁまぁそう怒らないの」
クロノの言葉に、リンディは落ち着くようにクロノに言う。
「でもクロノ君はアースラの切り札だしね〜、手持ちのカードは温存しておきたい艦長の気持ちを解ってあげないと。どう考えても今回の背後にはやっかいなのがいそうじゃない」
エイミィがシートを回転させてクロノに笑いかける。
「それは…解るんだけど…」
リンディはその様子を見ながら言う。
「でもね、場合によっては『本当に』最後のカードも切るつもりだから…なおさら控えてて欲しいのよ、この事件に関しては」
本当に、強調された言葉にクロノとエイミィは気がついたように、一人の青年と少女を思い浮かべる。
「高町なのはちゃん…よりによって、この時間軸での身内ですからね」
エイミィは、どうしたものかといった表情を浮かべる。
「だから、出来る限りの手は打っておきたいの」
「僕がアースラ『切り札』なら…あの人は、管理局最強の『ジョーカー』だからね」
クロノは苦笑いをしながら、強さの桁が違うよ。なんて言う。出来うる限りの手をうっておきたいからととリンディはエイミィに指示を出す。
「エイミィ、恭也君との回線を開いてくれるかしら?」
「はい、解りましたぁ」
そう答え、キーを操作してゆく。
平行世界某所
仕事を終わらせ、ラスティと紅茶を飲んでいた恭也にアースラから緊急通信が入ってくる。
「やれやれ…どうやらゆっくりとはしていられないみたいだな」
苦笑いを浮かべる。
「ぶー」
比べてラスティはテーブルに顔を載せ不機嫌そうに頬を膨らせながら唸っている。
「さて今回は何処に引っ張られるのか…、大きな問題にならなければいいが…」
恭也はそう呟いてから、通信を受ける。
「あー、恭也さん、やっと繋がったぁ…ってなんかゆっくりしてますねぇ」
エイミィが羨ましそうに言う。
「仕事が終わったところなんだ、少しはゆっくりしていたって良いだろう」
恭也は何事も無かったように答える。
「で、緊急通信まで使ってるって事は何かあったのか?」
「あーそれに関しては、艦長に変わりますね」
「頼む」
すぐにリンディから言葉が返ってくる。
「恭也君、もう仕事は終わっているって言ったけど?」
「えぇ、今さっきって所ですけどね」
「なら、細かいことは戻ってきてから説明するけど、直にアースラに戻ってくれないかしら?」
真剣なリンディの顔を見て答える。
「解りました」
そう答えて、アースラの位置を聞く。多少顔をしかめる恭也だったが
「少し、遠いんで時間が掛かりますが、至急帰還します」
そういって通信をきった。
「ふー…これで戦力を望めそうですね」
「それも、最大級の対人戦力だ」
クロノは当たり前だといった感じで、エイミィに言う。
「さて、ここからが正念場よ。彼はあくまで保険…でも本音はなのはちゃんの姿を見せてあげたいのよ。本当の妹じゃなくてもね」
最後にこういってリンディは室内を後にする。
「ふぅ…」
通信を終えた恭也はため息をつく。その様子を見ていたラスティは疲れたように言う。
「相変わらず…人使い荒いね…管理局」
「そういうな、アースラが何かトラブってるのなら俺が助けに行くのは当たり前だろう?」
「そうなんだけどねぇ…」
不服そうにラスティが言う。
「せっかくの休日がとれそうだったのに〜…」
「これが終わったら、少し休みを取るからそんなにいじけないでくれ」
恭也は立ち上がり、ラスティの頭を撫でる。
「さぁ、戻るぞ」
「うん」
二人の足元に頂点に円を持つ正三角形を持つ、漆黒の魔法陣が広がり、すぐに姿を消していった。
大きな問題でなければといった、恭也の願いは叶う事は無く、いくつかの出会いと、そしてもう二度と出会うことの無いと思っていた出会いをすることになる。
なのはも無事(?)に事件に巻き込まれているようだな。
美姫 「恭也にとっては再会となるのね」
果たして、どうなるのか!?
美姫 「非常に気になるところよね」
うんうん。次回も楽しみだー!
美姫 「次回も待っていますね」
ではでは。