『IZUMO 〜ラグナロク〜』
この作品は、番外のため本編とは何の関係もありません(笑
第三節の朝・・・
天霧「ん〜、冥牙?」
冥牙「ん、どうした?」
天霧「火響はまだ寝てるのかい?」
学園に登校中の二人は火響の住まい前で
話し合う
冥牙「だろうな、アイツの睡眠時間は異常だ」
天霧「う〜ん、一回位は始業前に行かせるべきだと思うんだけどねぇ?」
冥牙「だが、アイツを起こすのは骨が折れるぞ?」
天霧「フフッ、実は、その為にこぉんな物が・・・」
ゴソゴソと天霧が鞄の中から何かを取り出す。
白っぽいプラスチックな物体のそれは・・・
冥牙「・・・スーパーのパック?」
天霧「む、こういうときは中身が重要になるでしょうが
・・・これだよ、こ・れ」
冥牙「・・・本気でやるのか?」
天霧「当然」
天使の様な微笑で天霧は火響の家に侵入する。
冥牙「あ、オイ。待てよ」
火響宅、キッチン
天霧「ふふんふ〜ん♪」
冥牙「・・・で、何をやってる?」
くるりとキッチンに立っていた天霧が振り返る。
天霧「キッチンでする事なんて、料理か掃除か・・・
・・ん〜、裸エプロンプレイぐらいかな?」
冥牙「最後はいらないだろうが・・・」
天霧「クスッ、赤くなるなんてかわいい〜
…OK,冥牙、何処からとも無く大剣を出すんじゃないよ」
いつの間にやら、冥牙は大剣を天霧の首に当てている
そんな状況でも笑って居られるのは、天霧だからとしか言いようが無いだろう
天霧「さて、出来たよ〜と」
気づくと天霧は既に剣の射程外だ・・・人間業ではない
冥牙「たれはいらないのか?」
天霧「ん〜?火響のことですし、たれ位・・・あった」
キッチンの棚の中から取り出されたのは、大きめな壺。
天霧が持ち上げない事から、相当重いのだろうか
天霧「フフフ・・・これで良し」
火響の部屋の前
パタパタ・・・
冥牙「・・・本当に来るのか?」
天霧「ん〜・・足音が聞こえたよ」
バタンッ!
火響「いい・・・におい」
冥牙「本当に来るとはな・・・」
天霧「言ったでしょう?
さぁ、火響・・・こっちです」
スタスタと外へと歩いていく天霧に釣られるように
フラフラとしながら火響がついて行く・・・
・・・凄いシュールな光景だ
火響「・・・まて・・天霧」
天霧「嫌です、学校まで行きますよ?」
出雲学園・教室前
天霧「さて・・・ここら辺でいいですね?」
冥牙「・・・」
窓から校門付近を眺める二人
半分寝ている火響がフラフラと校門を歩いている
女生徒「あ、天霧先輩に冥牙先輩。お、おはようございます・・・」
前から歩いてきたのは、ショートカットの可愛らしい生徒。
少々面識があるらしく、天霧達も顔を綻ばせている。
冥牙「あぁ、おはよう。西岡」
天霧「やぁ、香澄ちゃん」
どうやら彼女は西岡 香澄というらしい
香澄「あの・・・ところで
・・・その、かっ・・・火響・・先輩は・・」
そこで、香澄は俯いてしまう
火響の『きょ』の部分は既に耳を済ませないと聞こえないような小声だ。
ニコリと天霧は笑顔を見せる。
天霧「あぁ、火響なら今来ている所だよ
・・・そう言えば、火響に告白したらしいね?」
香澄「へぅっ!なな、なんで?!」
スッ、と天霧は香澄の前に片膝をつく
天霧「神は純に恋する者の味方です・・・
貴女の恋が成就するよう、願ってますよ」
最後に顔を見上げ笑顔を見せる・・・
言っておくが、天霧は生半可な芸能人があっさりと霞むほどの美しい顔をしている。
純粋な香澄には衝撃が強すぎるのであろう、顔は赤を通り越して紅だ。
冥牙「西岡、落ち着け。
お前は十分可愛いんだから、火響も悪い返事はしないさ」
目線を合わせ、肩を叩く。
一応言っておくが、冥牙は百人中、最低でも90人以上は魅了するほどの美形である。
既に香澄の頭は一杯一杯だろう。
天霧「あ、そうだ。コレあげるよ、香澄ちゃん」
はい、とずっと手に持っていたらしい、それを手渡す。
香澄「へ・・・い、イカですか?」
そう、烏賊である。しかも縁日の出店のような、
しっかりとたれのついて串に刺さった・・・
冥牙「・・・・・」
天霧「おいしいよ」
香澄「はぁ・・・」
パク、と一口齧れば確かに、たれも濃厚で非常に美味しい
火響「ん〜、天霧・・・」
天霧「お、ようやく来たね・・・」
火響「・・・ん?」
火響は、天霧達には目もくれず香澄を振り向く。
香澄「お、おはようございますっ!」
勢い良く頭を下げる香澄。
そして頭を上げると・・・
火響「・・・やっぱり・・いい匂い」
香澄「!!!!!」
視界一杯に火響の顔・・・やっぱり言っておくが火響は
そこに立っているだけで、周囲が輝いて見えるほどの美形である。
ましてや、香澄にとって火響は憧れであり、恋焦がれる相手である。
すでにパニックに陥っている。
パク・・・
火響「ん・・・・美味い」
香澄「???!!!?!?!??!!」
香澄の持っていたイカ焼きを火響が何の前振りも無く齧る。
しかも、さっきまで食べていたものだから
二人の顔は息遣いを感じる事が出来るほどに近い。
パクパク・・・
香澄が混乱・・・というか、思考が停止している内に
火響がイカ焼きを食べ尽くしてしまう。
ニマリ
天霧「火響、それは香澄ちゃんにあげたんだ。
勝手に食べてしまうのは、どうかな?」
そうなの?と無言で火響は天霧を見る。
喋らないのは単に口にイカが入っているからだ
天霧が頷くと火響は香澄に振り返る。
香澄「いえっ、あのぅ・・・その・・んぅ!?」
香澄の唇を火響の唇が重ねられる。
香澄「ん・・・ンク、んむ・・」
火響「ん・・・・」
天霧「いや〜、何処と無くえっちだねぇ」
冥牙「ば、ばか!止めないと・・・!」
天霧「まって・・・良く見てみなよ」
香澄の頬は紅潮し、瞳はぼんやりと悦に入っている。
想い人とのキスに悦んでいるのは間違いないだろう。
教師「ん?な・・・こら貴様らっ、学校でなにぐをっ!!」
どすっ、ガキッ!
天霧「こういうのは終わってから、声を掛けようね・・・?」
冥牙「・・・すみません、責任は取りますんで」
天霧「まぁ、火響はイカを返してるんだと思うけどね」
冥牙「・・・いいのか、それで」
香澄「ぷぁ・・・ハァハァ」
火響「んぁ・・・美味しかった?(イカが)」
コクコク
天霧「・・・火響、好きかい?(香澄ちゃんが)」
火響「うん・・・(イカが)」
ボッと音を立てて、香澄の顔が更に紅くなる・・・
ちなみにだが、こんな状況なら一般の女性の80%は気絶するだろう。
香澄「あの・・・火響先輩・・・昨日の」
火響「きのう・・・?」
昨日の放課後、校舎裏
香澄「・・・火響先輩。
あの・・・これっ、読んでください!!」
タタタッと香澄は駆けていってしまう
火響「あ・・・手紙?
・・・『ずっと前から、火響先輩の事が好きでした。
どんな返事でも結構ですので、明日お返事をください』
・・・ラブレター?」
以上、回想終了。
火響「あぁ・・・その」
香澄「・・・っ」
火響の声にビクンと体を竦ませる。
困って、火響が顔を上げると香澄の向こうに天霧と冥牙がいた。
冥牙「女性の唇を奪っておいて・・・断るなんて、しないよな?」
天霧「・・・主は貴方の行為を全て見ておられます。
女性を傷付けるなどさせれれば・・・」
火響「・・・計ったな・・?」
天霧「・・・申し訳ありませんが、正解です」
火響「貴様等・・・」
冥牙「そんなに西岡の事が嫌いか?」
火響「え・・・そんなことは・・・」
天霧「なら、問題ないでしょう?」
火響「・・・・・」
上の全てはアイコンタクトで行われたのだが、
正確に伝わっているのは、付き合いの長さ所以だろう。
無言(少なくとも香澄には)に不安になったか、香澄が口を開く。
香澄「あの・・・火響先輩?」
火響「・・・いい、ぞ」
バタンッ!
緊張の糸が切れたか、香澄が気絶する。
火響「おっと・・・」
冥牙「大丈夫か?」
天霧「う〜ん、刺激が強かったかな?」
天霧「火響、運んであげなさい」
火響「なんで・・・俺?」
天霧「恋人でしょう?」
火響「むぅ・・・」
渋々とお姫様抱っこで火響が香澄を運んだ。
次の休み時間には、一つの噂が流れる事になる
「火響はキスで恋人を気絶させた」と
天霧「フフフッ、いい感じで噂になりましたね〜」
冥牙「止めてやれよ・・・」
〜あとがき〜
???「くすっ・・・」
???「おいおい・・・」
聖夜「何、書いてんじゃ〜貴様はぁ〜っ!!」
ちょっ、ちょっと待て・・・これを書いたのは俺じゃないっ!!
健次「じゃあ、誰だって言うんだっ!!」
誰って言われても・・・俺が寝ている間にどこぞの二人組みが・・・・・・
???「失礼な方ですね、言う事に欠いて、どこぞの二人組みとは・・・」
???「オマエ・・・こんなに性格悪かったか・・?」
き、貴様はっ!?
健次「あ、貴方は・・・」
聖夜「天那さんに大神じゃないか」
天那「えぇ、初めましてですね。健次さんに聖夜さん」
大神「来ちゃいましたよ〜」
来ちゃいましたって・・・わざわざ人にキャラ名まで変えさせておいて今更・・・ぶつぶつ・・・
天那「神よ・・・悪しき魂魄の更正と静寂を・・・!!」
ひぎゃあああ〜〜〜〜!!ひ、ひど・・・い
大神「や、やめ・・おちつけって!!」
聖夜「破砕・滅弾!」
健次「友坂家流奥義・地獄正拳突き!!」
ぴくぴく・・・
大神「あぁ〜〜!!冥牙さぁん!」
天那「二人ともお強いんですね」
聖夜「そっちこそ」
健次「まだまだですよ」
天那「さて・・・今回、元ネタを私が書いたんですが・・・」
聖夜「このヴォケが、勝手に使ってしまって・・・」
ちが・・・
健次「黙ってろ」
ぐぁっ・・・
大神「オイッ、殺りすぎだっての!」
天那「悪しき者も去った所で・・・」
大神「しかとっ!?」
聖夜「次回も宜しくおねがいしま〜す」
健次「じゃ〜ね〜」
ぐ・・・ぐふ・・・そっ、それよりも・・・今度こそ次回は「第三節・三里と和臣(後編)」
ですので、これからも宜しくお願いしま〜す。
それと、今回は天那と大神さん出演ありがとうございました〜。
それでは次回まで、さよ〜なら〜
いやいや、本編とは関係ないみたいだけれど、面白い。
美姫 「本当よね〜」
あの互いに台詞が微妙にかみ合ってないとかが。
美姫 「まあ、最終的にはハッピーなんだから良いんじゃない」
むぅ、そうなのだろうか。
何となく、学園中にあることないこと、ないことないことが広まりそうな。
美姫 「まあ、得てして噂とはそんなものよ。尾ひれとかが付くものよ」
いや、付け過ぎるような予感が…。