『IZUMO 〜ラグナロク〜』
第一節・異界へと呼ぶ声
和臣:「んっ・・・・・・ん?」
眼を開けるとそこには見知らぬ世界が広がっていた・・・・・・
和臣:「ここは・・・・・・見たところ泉のようだが・・・・・・」
――――バシャッ――――
和臣:「んっ・・・なんだ?あっちの方から聞こえてきたようだが・・・・・・」
とりあえず音のした方に行ってみることにした
和臣:「・・・・・・人?」
そこには、薄着で水浴び?をしている少女がいたのである
和臣:「あれが禊ぎと言うものか・・・・・・」
水垢離かもしれないが・・・・・・
???「救世主様、どうか私達をお助けください・・・・・・」
その少女はどこか祈っているようにも見える
和臣:(んっ、似たような話を父さんから聞いた事があるような・・・・・・)
気配を感じ取られたのか不意にこちらを向いた少女と眼が合ってしまった・・・・・・
???:「あなたは・・・もしかして救世主様ですか?」
和臣:「えっ・・・・・・?」
――――ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ――――
目覚ましの音によって、そこで俺は眼が覚めた・・・・・・・・・
和臣:「夢か・・・・・・」
和臣:(何やら不思議な夢だったな、こうも鮮明に内容が思い出せる夢は珍しいな)
たった今起きた青年(?)の名は、塔馬和臣17歳,学園では副委員長をやっている。
頭脳明晰、運動神経良しの真面目すぎるのがちょっと玉に瑕な優等生(?)である。
和臣:「5時42分か・・・さて、母さんと朝食の準備でもするか・・・・・・」
そう言って和臣は自分の部屋を出た
和臣にとって母と共に朝食を作る事はもはや日課となっている、実に親孝行な青年
である。
和臣は母である七海の部屋の前に来ていた。そして少し小さめにノックをした
――――コン、コン――――
和臣:「母さん、いるか?」
しーーーん
和臣:(ふむ、居ないようだな、先に台所に行ったのか?)
早速、和臣は台所に降りて行った
場所は打って変わって塔馬家台所・・・そこには和臣達の母、七海がいた
七海:「う〜ん、今日は和臣遅いわね・・・・・・」
その顔は少し心配そうである
――――タッ、タッ、タッ――――
そこへ和臣がやって来た・・・・・・
和臣:「母さん、すまない少し遅れた」
七海:「良いのよ、手伝ってくれるだけで私は嬉いんだから」
そう言って、2人は朝食の準備を始めた
――――30分後――――
塔馬家と八岐家は食卓を囲んでいた・・・・・・
献立は、白飯,味噌汁,卵焼き,海苔,たくあん,と実に和風である
しかも、ちゃんと海苔も炙ってあったりする
皆:「「「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」」」
そうやって塔馬家と八岐家の朝食が始まった
千夏:「やっぱり、母さんと和臣の作るご飯は美味しいわね〜」
正臣:「まったくだ〜」
六介:「やっぱり日本人は和食じゃな〜」
この三人は上から、塔馬千夏(和臣の姉)、塔馬正臣(和臣の弟)、
塔馬六介(和臣の曽祖父)である
ヒカル:「俺はどっちかと言うと洋食の方が良いんだがな〜」
七海:「まぁまぁ、明日は洋食にしますから」
この二人は、塔馬ヒカル(和臣達の父親)、塔馬七海(和臣達の母親)
である
琴乃:「たまには私達も作りましょうか?」
悟:「それは良いね〜母さん」
猛:「二人の料理も最近、食べて無いな〜」
楓:「うん、最近は七海叔母さんと和臣さんが作ってたからね〜」
この四人は、叔父の八岐猛、叔母の八岐琴乃、従兄弟の八岐悟、
同じく従兄妹の八岐楓である
七海:「なら、今日の夕食は皆で作りましょうか?」
和臣:「俺は、良いと思うよ」
悟:「俺も、それで良いですよ」
琴乃:「たまにはそう言うのも良いですね〜」
七海:「なら、決まりと言う事で良いですか?」
和臣:「分かったよ」
悟:「分かりました」
琴乃:「はい」
こうして今日の夕食は、一人一品ずつ四人で作る事になった
和臣:「さて、そろそろ学園に行くか」
悟:「もうそんな時間か」
正臣:「兄貴、今日の朝練はどっちに出るんだ?」
この正臣のどっちの朝練に出るのかと言う質問の意味は和臣と正臣が
剣道部と弓道部を掛け持ちしているからである
和臣が弓道部の方に出る時に正臣は剣道部の方に出る事にしていた
和臣:「何を言ってるんだ、今日は剣道部も弓道部も部活は無い筈だぞ?」
正臣:「あっ、そうだったな〜」
七海:「そう言えば、今日テストが戻ってくるらしいわね」
和臣:「そう言えばそうだったね」
そこで二名ほど同時に悲鳴をあげた
正臣、楓:「そうだったーーーーーーーーーっ」
二人とも出来はあまり芳しくなかったようである
和臣:「二人とも叫んでないで早く行くぞ」
二人:「はい〜〜〜」
和臣:「それじゃあ言って来ます」
七海:「行ってらっしゃい」
和臣達は家を出た・・・・・・
――――15分後――――
正臣:「ふ〜着いた〜」
悟:「学園が近いのは良いけど途中の山道がな〜」
和臣:「まぁ、そう言うな俺達より遠い所から来ている人達
も居るんだから」
天霧:「そうだよ。だったら私達はどうすれば良いんだい?」
冥牙:「まったくだお前達がきついなら俺達はもっときついんだぞ〜」
そこにクラスメイトの天霧と冥牙が登校して来た
和臣:「そんな事より天霧、冥牙、今日は火響はどうした?」
天霧:「あはは、いつものあれだよ」
正臣:「あれ?」
正臣は良く分からないといった顔をしている、そこへ冥牙が
冥牙:「遅刻だよ、遅刻」
正臣:「そんなに多く遅刻してるのか?」
天霧:「多くなんて物じゃないよ〜ここに入学してから毎日だもん」
正臣:「まっ、毎日っ!」
天霧:「そっ、毎日」
正臣は絶句した、なんでそんなに遅刻してるのに退学にならないのかと・・・・・・
冥牙:「あいつは成績は良いからな・・・っと、そろそろ行かないとやばいな」
天霧:「そうだね、行こうか〜」
和臣:「そうだな」
そして和臣達は自分の教室へ向かった
――――ガラガラッ――――
和臣、天霧、冥牙は教室のドアを開けた
京平:「よう、和臣〜おっ天霧と冥牙も一緒か」
和臣:「おはよう、京平」
雄祐:「和臣、俺も居るぞ・・・」
和臣:「雄祐も、おはよう」
この二人は、親友の田中京平と鈴木雄祐である
和臣:「京平、今日は雄祐から罠にかけられなかったか?」
京平:「いや〜、もちろんかけられたさ〜それはもうバッチリと〜」
京平は毎朝、雄祐からトラップをしかけられているのである・・・・・・
だが何故か京平は機嫌が良いようだ
和臣:(なっ、なんだこの気味の悪い笑みは・・・それに何か焦げ臭いような・・・・・・)
臭いのした場所を見てみると燃え滓の様なものが黒煙を上げていた・・・・・・
冥牙:「まさかとは思うが、これはテスト結果か?」
京平:「そのと〜り、いや〜今日のトラップが火炎系だったんで持ってたテスト結果が
燃えちまってね〜、いや〜困った、困った〜」
そんな全然困ってなさそうな声で言っても説得力がない・・・・・・
和臣:「そう言うことか・・・おっと、俺達のも帰って来たみたいだな・・・ふむ、
クラスで8位か・・・まぁまぁだな・・・・・・」
ちなみに、和臣達のクラスは52人である・・・どこが『まぁまぁ』なのだろうか・・・・・・
悟:「俺は、9位だな・・・もっと勉強する必要がありそうだな・・・・・・」
悟もこれ以上、勉強してどうするつもりなのだろうか・・・・・・
冥牙:「俺は、2位か・・・天霧、お前はどうだった?」
天霧:「ん〜、私も2位みたいだね〜」
――――ガラ、ガラ――――
そこへ、火響が登校してきた・・・・・・
火響:「・・・少し来るの早すぎた・・・何時もこの時間まだ寝てる・・・」
たしかにどこかまだ眠そうである・・・しかし、今は始業の5分前である、つまり
学園に来ていて当然の時間帯なのである・・・・・・
天霧:「火響、おはよう〜」
火響:「・・・天霧・・・おはよう・・・」
冥牙:「火響、おはよう本当に今日は随分と早かったな」
火響:「・・・冥牙も・・・おはよう・・・皆なにしてる?」
登校して来たばかりで状況がよく分からないらしい・・・・・・
和臣:「テストの結果を見ていたんだ」
火響:「そうか・・・俺は・・・1位だ・・・」
天霧:「そうか〜なら並んだね〜」
冥牙:「そうだな、俺と天霧が2位、火響が1位だからな」
この三人の順位はもはや論外である・・・・・・
そこへ雄祐と京平が話に加わった・・・・・・
雄祐:「俺は、15位だ・・・」
京平:「へっ、どうせ俺は18位だったよっ、このガリ勉どもめ〜」
京平はこの順位の何処が不満なのだろうか・・・・・・・・・
そこへ、クラスメート達が・・・・・・
クラスメート1:「おいっ田中ぁ貴様〜それは俺達に対する嫌味か?」
クラスメート2:「まったくだっ、18位のくせして何が『このガリ勉どもめ〜』
だこのヴォケが!俺なんか37位だぞっ」
クラスメート3:「勉強できないやつの事を考えてから発言しろよこの野郎〜っ」
田中は一斉にクラスメート達を敵にまわしてしまった・・・・・・
田中:「うるせ〜!この敗北者どもめっ、勉強もろくにしてないくせに
勝手にひがんでんじゃね〜よっ!」
この一言がクラスメートたちに火を点けた・・・
クラスメート1:「おい、田中ちょっと来い・・・・・・」
田中:「なんだよ」
クラスメート2,3:「いいから来いっ!」
田中:「分かったよ・・・」
田中とクラスメート達は廊下へ出て行った・・・・・・数秒後、
―バキッ、グシャッ、ドスッ、バキッ―
何やら不穏な音が聞こえてきた・・・・・・・・・
そして、ドアが開いて勝者が戻ってきた・・・・・・
田中:「まったく、なんて野蛮なんだっ、いきなり襲いかかって来るなんて・・・・・・」
その時、ドアからまた誰か入ってきた・・・・・・満身創痍の様だ
クラスメート1:「どっ、どっちが・・・野蛮・・・だっ・・・」
クラスメート2:「散々ボコりやがって何がいきなり襲いかかって来るだっ!」
クラスメート3:「死ぬかと思ったぞ、この野郎ーっ!」
三者三様に文句を言っている・・・・・・
田中:「はぁ、何言ってんの?殴りかかってきた貴様らが悪いんだろ?俺は正当防衛を行った
までだ・・・大体、相手の実力も知らずに勝負を挑むからだ、この阿呆が」
クラスメート1:「うるさいっ!」
田中とクラスメート達が言い争っていると、そこに担任の教師か入ってきた
担任:「お前ら、何騒いでるんだ〜静かにしろっ、さぁ出席をとるぞ〜」
そして授業がはじまった・・・・・・
あっという間に時間が経ち、時は昼休み、場所は屋上
和臣達は後輩の三里も交えて屋上で昼食を摂ろうとしていた・・・・・・
和臣:「さて、皆揃ったようだし昼食にするか」
正臣:「待ってましたっ」
千夏:「和臣、今日のお昼はなに?」
和臣:「今日は・・・・・・・・・」
和臣は、持って来ていた弁当のメニューを説明した
おにぎり、てんむす、卵焼き、煮物、焼き魚、鶏の唐揚げetc・・・弁当としては実に
豪華である
三里:「今日も和臣先輩達のお弁当は凄いですね〜先輩、毎日お弁当作るの大変
じゃありませんか?」
和臣:「まぁ、大変ではあるね」
三里:「あっ、あの良かったら私が先輩のお弁当作りましょうか?」
和臣:「三里ちゃんが?」
三里:「はっ、はい」
和臣:「う〜ん、気持ちは嬉しいけど、そこまでして貰う訳にはいかないよ」
そこまで言うと、少々落ち込んだ様だ・・・
和臣:「どっ、どうしたの?」
三里:「そっ、そんな事、気にしないで下さいっ、私は先輩のためなら何でもして
あげたいです・・・だって私、先輩の事・・・」
和臣には最後の方は小さくてあまりよく聞き取れなかった様だ・・・・・・
和臣:「えっ?」
三里:「いっ、いえ何でもありません・・・でも先輩、本当にそんな事気にしない
でください」
和臣:「じゃぁ、三里ちゃん俺の分だけ、お願いしても良いかな?」
三里:「はっ、はい分かりました、任せて下さい先輩」
和臣:(適わないな・・・それにしてもさっきのは聞き違いか?)
千夏:「和臣〜今のはどうゆう事かな〜」
和臣:「そっ、それは・・・」
和臣は千夏達に一日中、三里との関係を問い詰められる事になった・・・・・・
そしてまた、あっという間に時間が経ち、放課後・・・・・・
和臣:「まったく、大変な目にあったな」
正臣:「兄貴もたいへんだね〜」
和臣:「大体、お前も暢気に見てないで助けろよな〜」
それに対して正臣は全く悪気の無さそうな声で
正臣:「いやぁ〜、ゴメン、ゴメンでも実際どうなんよ?」
和臣:「何がだよ・・・・・・」
正臣:「分かってるくせに・・・三里ちゃんの事だよ」
和臣はしばらく口ごもる・・・・・・・・・
正臣:「今日の件でさすがの兄貴も分かったと思うけど、三里ちゃん兄貴の事が
気になってるよ・・・多分、好きなんじゃないかな・・・・・・」
和臣:「・・・・・・・・・」
正臣:「今すぐにとは言わないけど、早いうちに答えてあげた方が良いよ・・・・・・」
和臣:「あぁ、分かった・・・・・・」
正臣:「じゃあ、早く帰ろうか〜今日の夕食は四人でつくるんでしょ、急がないと」
和臣:「そうだな、急ぐか」
そうして和臣と正臣は帰路についた
和臣、正臣:「ただいま〜」
悟:「あっ、おかえり〜和臣もう皆始めてるよ〜」
和臣:「わかった、今行く」
そして夕食・・・・・・
ヒカル:「お〜、これはまた豪華だな〜」
正臣:「すげ〜」
千夏:「メニューの説明して貰って良い?」
七海:「良いわよ〜」
和臣:「なら俺から・・・・・・」
和臣は料理の説明をし始めた
和臣:「俺が作ったのは、昨日仕込んでおいたアサリを使ったアサリの味噌汁、
アサリの酒蒸し、アサリのバター炒めとアサリご飯だ、昨日からちゃんと下処理
をしたから砂は残ってないはずだよ」
千夏:「本当、ちゃんと砂、抜けてるわ〜」
七海:「次は私ね、私は、・・・・・・」
そうして夕食の時間は賑やかに過ぎて行った・・・・・・
夕食後、和臣は中庭で一人鍛錬をしていた・・・・・・・・・
和臣:「189,190,191,192,193・・・」
和臣は毎晩、200回の素振りをしているのである
和臣:「196,197,198,199,200っ、ふ〜」
そこにヒカルがやって来た・・・・・・
ヒカル:「精が出るな、和臣」
和臣:「親父・・・・・・」
ヒカル:「どうした?何時もと違って覇気が無いぞ?」
和臣:「ちょっと、ね・・・・・・」
ヒカル:「三里ちゃんの事か?」
和臣は図星だったので少し焦った
和臣:「何で、父さんが知ってるんだ?」
ヒカル:「正臣に聞いてな・・・どうなんだお前も自分の気持ちは多分、
分かっているんだろ?」
和臣:「あぁ、はっきりと気づいたのは、さっきだけどね・・・・・・」
ヒカル:「早いうちに伝えてやんな、あの子は相当自分を押さえ込んでるからな」
和臣:「分かった父さん、明日にでも決着をつけるよ」
ヒカル:「おう、それでこそ俺の自慢のむすこだっ!」
和臣:「父さん・・・」
ヒカル:「何だ?」
和臣:「ありがとう」
ヒカル:「気にするな・・・・・・それにしても綺麗な月だな」
和臣;「あぁ、そうだな」
そうして和臣の決心と共に静かに夜は更けていった・・・・・・・・・・・・
〜あとがき〜
ど〜も〜、冥牙で〜す。
はい、あとがきとなった訳ですが・・・今日は皆さんにゲストを紹介しようと思います。
私のこの作品のボツキャラ、聖夜と以前考えていたラムネのSSでの武道に目覚めちゃった
健次さんで〜〜〜す。
聖夜:「どうも、今ご紹介に預かりました〜聖夜と申しま〜す」
健次:「同じく、健次と申します」
じゃあ、自己紹介も済んだ事だし、この節について話し合おうじゃないか〜
聖夜:「あのさぁ〜、ぶっちゃけ言っても良い?」
なんだ?
聖夜:「これ展開速くね〜?」
和臣と三里の事か?
聖夜:「そうだよっ!さすがにこれは無いっしょ?」
ふっ、ふっ、ふっ、なんの考えも無しに俺がこんな展開にするとでも?
聖夜:「ああ、お前の事だからな」
何て失礼な奴なんだ!それに、この展開にはちゃんと理由があるんだっ!
聖夜:「どんな?」
それは次の第二節で分かると思う
聖夜:「どれ位、時間がかかるんだ?」
1週間ぐらい?
聖夜:「なら、楽しみにしておこう・・・」
おう
健次:「それよりさ〜」
なんだ?
健次:「三里さんってさぁ〜、渚と性格違い過ぎないか?」
その件か・・・気にするな
健次:「気にするなと言われても・・・本当に雲泥の差じゃん?」
フェイクお嬢様じゃなくて、大人しくて、素直な倉島家の人が居ても良いじゃん
健次:「まぁな、次の話は和臣と三里さんがメインと言う事で良いの?」
ああ、そう言う事だ
聖夜:「そろそろ、お開きにしようか?」
健次:「そうだな」
それでは皆さん、第二節・三里と和臣でまたお会いしましょう
さよ〜なら〜
冥牙さん、投稿ありがとうございます。
美姫 「オリジナルキャラによるIZUMO」
一体、どんな展開になるのか今から楽しみです。
美姫 「どんなお話が待っているのかしら〜」
次回も待っています。
美姫 「それじゃ〜ね〜」