『魔法詩篇とらいあるぐるハートA's』
詩篇 〜INSIDE OF A WILDERNESS〜
第七話 復活、魔法剣士達なの!? 後編
会話設定
「」=人間の会話
【】=場所、他
『』=回想
≪≫=ディバイス英語、もしくはドイツ語
<>=ディバイス日本語
()=人間思っていること
――――――――――理
そうなるべき物事の道理であり、筋道。
その道理を壊す存在でありながら、道理には逆らえない。
理の剣士とは一体何なのか……
本人ですら分からないのではないだろうか。
―――永全不動八門一派御神不破真刀流小太刀二刀術―――
桜花時幻流は、その流派「永全不動八門」の枠に修まることはなかったが……
桜花時幻流の流儀名は―――――――――――
流儀名 永久桜時閉門幻派 血理想惑刀流術
永全不動八門の選ばれし当主には、絶対に習得することはできない、永全不動八門の中でしか語り継がれない、御伽噺の中の物
語だった。
―――父さんが死んだ。
今でもそんな実感はわかない。でも、父さんと別れる最後の言葉はよく覚えている。
「恭也、桃子と美由希を頼む」
父さんが仕事に出かけるときにいつも言う言葉……
「わかってる。はやくもどってきて」
「ああ」
そんな一言を、夢で毎日のように見る。僕は、死んだとわかっているにもかかわらず、父さんの帰りを待っている。
―――今は、増えた家族を守りながら
父さんが亡くなる前に、母さんはなのはを産んだ。
そして、なのはを抱えて外に出てきた母さんを待っていたのは……
たくさんの人と父さんが亡くなったという事実だけ……
たくさんの人を前に、ただ呆然となのはを抱えて立っている母さんに何もできないことが悔しかった。だから、母さんの目の前にいる
人たちのマイクやカメラ、機械という機械を全部破壊した。
―――ただ、空しさが残った。
なのはが三歳になったとき、カメラのフラッシュを怖がるなのはを見た。まだ、赤ちゃんだったなのはにも影響があったのが悲しか
った。
―――また、俺は守れなかった。
「俺」は、ただひたすら修行をした。
いつからだろうか、「僕」が頭の中でも一人称を「俺」にしたのは……
ただひたすら鍛錬の毎日、倒れて起きたらまた……
―――ただひたすら繰り返す
そのたび、あの、父さんの背中は遠くなる。
あの大きな背中は、鍛錬するたびに遠くなり、とうとう見えなくなった。
でも、俺は鍛錬をやめる気にはならなかった。
―――そのときだった。
一陣の風とともに、体は細く、背の低い剣士が現れたのは……
恭也は意識は覚醒したが、体を動かせない。いや、体があることさえ忘れている中で、自分が見ている光景が夢であることを察して
いた。何故なら、彼がこの夢を見るということは……
―――また、桜花時幻流 輪華を使った訳でもないのに……
―――いつかの過去に戻ってきたからだ。
いつもの訓練場所で、我武者羅に奥義を神速も使って特訓しているとき、モノクロの世界が一瞬にして漆黒の何もない世界になった。
そのとき、恭也はいつも見ていた父の姿を永遠に見ることができなくなったと悟った。
ふと、周りに人の気配に気づいた。恭也は目が見えなくても、どこにいるのかはある程度分かる。敵ならば、排除するまで。
目が見えなくなった影響から、焦ったのだろう……
相手が近づいてきた瞬間、恭也は斬りかかっていた。
『危ないな』
そんな、男にしては高い声が聞こえた瞬間、相手の姿だけが、恭也に見えた。
『あなたは?』
『今日から、君の父親の代わりに追いかける背中だよ』
その声は、恭也にはまるで母親のような優しい声だった。
恭也は母親というものを知らない。桃子は母親だが、本当の母親ではないし、護る存在として位置付けられてしまっていた。
なので、きっと母親というものはこういう人なのだろうと、その、優しい声を聞いて恭也は思ったのだ。
『でも、俺は目がもう見えない……剣士としては終わりだ』
恭也は歯を食いしばり、拳に力を入れる。
なぜだろうと恭也は思う。この人は、自分のことをすべてわかっていると、そう思える何かがある。そして、自分の偽りない気持ち
を真剣に聞いてくれて、答えを教えてくれる。そんな感じがした。
『ねえ、恭也。君が今まで追いかけてきた士郎は、剣士としての道が絶たれただけで終わるような人に見えてたのかな。それに、私は
そんなふうに見える?』
やっぱり全部知っているのだと恭也は思った。
父、士郎のことを思い出してみる。どうだったのだろうか、なぜか恭也は士郎の顔が思い浮かばなかった。
『分からない』
『だったら、明日また来なさい。私はここに在るのですから』
≪start up≫
「えっ、どうして」
胸に大事に持っていたカード型のストレージディバイスが、突然起動した。
リンディはどうすることもできずにただそのディバイスを見つめ続ける。
そのディバイスの名前は「R2U」正式名「remember to you」
―――それでも君を想い出すから
そんな意味が込められたリンディの夫クライドが設計開発したストレージディバイス。
彼にははっきり行って不釣合いな赤い色のディバイス――――――――
闇の書のページがめくれ上がると同時に白紙になっていく。
「撃って!!!! 破壊の雷を」
白紙になった分の闇の書のページに込められた魔力は、容易く結界を破壊する。
直撃コースにいたなのは達は、防御結界を発動させているが、亀裂は補強した箇所からすぐに亀裂が入る。
「くぅぅぅぅ」
「きゃゃゃゃ」
Sランク級の魔力を収束させて貫通力のみに特化した魔力の塊に、ユーノですら絶望の表情を隠せない。
《EXISTENCE SHIELD》
そんな中、リンディの声が聞こえた。
『クロノ君?』
「みんな大丈夫かい?」
そう言って現われたのは、どことなくクロノに似た人だった。
【フェイト宅】
「あなたっ!」
リンディは真っ先に相手に向かうが、突然ひやっとした感覚に立ち止まる。
「....近づくな」
「僕は恭也君に助けられた。いや、さらなる地獄へ堕とされたかな」
「今は、恭也君の力を不完全だけど受け継いでいるフェイト以外は触れるな」
「僕は、僕という存在は、本来ならエイミィちゃんや僕と関わりの薄い局員のみんなには見えることはないんだ」
「見えてますけど」
「フェイトちゃんが僕と君達で共通した存在と認識しているからだよ」
「例えば、インターネットをしたくても、パソコンと電話回線だけじゃできないだろ?」
「?」
現代っ子のなのはは、あまり気にしないでインターネットを利用しているため、すぐには具体的なイメージが思い浮かばない。
「インターネットが僕で、パソコンが君達。モデムがフェイトちゃんと言えば分かるよね」
「....さん」
そう、誰もが気づかないが、誰もが「「「「クロノの父親」」」」の名前を言っていないのだ。
「さて、そろそろフェイトもその姿を維持できなくなるだろうから退散するよ」
『漆黒の仮面を被り、ミラーワールドで戦う人……』
『彼は一人前のジャーナリストになる夢を持つ、熱血感漂う青年だった。』
『彼の特徴といえば、人より少し要領が悪くて不器用なところ。』
『そんな彼を容赦なく鏡の中から現れたモンスターは襲った。鏡の中に誘い込まれ食べられそうになった彼を助けたのは、仮面を被り
赤い鎧を纏った戦士だった。』
『彼は、自分を助けるために重傷を負った戦士の仮面を被った。』
『その後、彼は言おうなしに争いに巻き込まれることとなった。』
『過酷な争いの中、親友が倒されてしまう。』
『彼は、親友の最期の願いと共に、その熱血感有り余る自分に、正反対の性格だった親友の仮面を被り今も戦い続けている。』
『次回、詩篇 〜INSIDE OF A WILDERNESS〜 第八話 FATE OF DARKNESS「ブレイクアップ」』
愛音さんと恭也の過去がちょっとだけ登場〜。
美姫 「そして、クロノ父親もね」
果たして次回はどうなるのか。
美姫 「次回も待っていますね」
ではでは。