エピローグ 祐麒 〜不器用な優しさ〜

 

開始のピストルの号砲が響いた。

 

一目散に駆け出していく生徒を、壇上から由紀は見送った。

 

一体この中の何人が自分のカードを探しに行くのだろうか。

 

武道館へ向かったのは間違いなく赤星目当てであろう。

 

逆に向かわなかったのは恭也目当てであると思われた。

 

しかし、カードを探しに行かずに、壇上の恭也や赤星に声をかける生徒も少数ながらいた。

 

それを見て由紀は、当初の場所に隠さなくて良かった、と思った。

 

 

 

早朝由紀は、カードを隠すべく学園内を歩いていた。

 

宝捜しと言うのは、基本的にここは安全、ということは無い。

 

なぜなら、その安全と思われる場所こそが探す側にとっては、そっくり探す理由になるからだ。

 

ここは盲点をつくしか他は無い。

 

だから、いっそのこと壇上に隠してしまうという暴挙を考えてみた。

 

カードを探すと言うことは、絶対にここにとどまらないと言うことにもなる。

 

しかし、逆にあっさり見つかってしまうという恐怖から、視線を追われたら最後だ。

 

どうあってもカードを見つけられるわけには行かない。

 

だって、もしロザリオを受け取ってもらえるなら・・・・・・

 

 

 

そのとき、由紀にあるひらめきが沸いた。

 

だが、これはかなりタイミングが難しい。成功すれば完璧なのだが、

 

誰かに見られたりしたら即座に終了である。

 

でも、他にいい隠し場所なんて考えつかなかった。

 

だが、決行の時は・・・・・・今ではない。

 

由紀は、トレードマークのポニーテールを揺らして校舎へ引き返した。

 

 

 

 

 

放課後、祐麒は生徒会室にいた。

 

机に体ごと伏して、無気力状態の祐麒に一同は戸惑っていた。

 

「ね、ねえユキチ・・・・・・何かあったの?」

 

「アリスよ、聞いてはいけない。きっと大好きなお姉さんにチョコレートをもらえなかったんだろ」

 

アリスと小林が、祐麒を見ながら彼がああなっている原因を想像している。

 

いつもなら、この言葉に祐麒の右ストレート(対小林のみ)が飛ぶはずなのだが、一向に反応は無い。

 

「ユキチがおかしいんだな」

 

「春が近いからなんだな」

 

昌光・朋光の双子も、祐麒の様子を見てさらに酷いことを言っていた。

 

そのとき、生徒会室のドアが開いて光の君が登場した。

 

「どうしたユキチ、元気無いじゃないか。そんな君に僕からプレゼントだよ」

 

柏木は、頼んでもいないのにカバンから取り出した袋を開けて、チョコレートを祐麒の口に放り込んだ。

 

祐麒は、そのチョコレートを租借して飲み込んで・・・・・・ため息を吐いた。

 

「お、おい・・・・・・嘘だろ、ユキチが先輩のチョコを食った・・・・・・」

 

高田が驚いて小林の肩を揺さぶる。

 

「あ、ああ。俺も見た・・・・・・。しかも、一切抵抗しなかった・・・・・・」

 

重症だ、と小林は肩をすくめた。

 

「ユキチ・・・・・・ふむ、みんな悪いが、ちょっとユキチを借りていく」

 

柏木は、そう言って祐麒を抱えて部屋を退室していった。

 

「ユキチ、まずいんだな」

 

「きっと先輩に○られるんだな」

 

昌光・朋光は勤めて冷静な顔を崩さずにそんなことを言った。

 

「いや、それってすっげぇヤバイっすよ!?」

 

高田も慌て始めた。友の一大事である。

 

「小林君、ねえ、どうしよう・・・・・・」

 

アリスは既に半泣きの状態で小林を見た。

 

しかし、祐麒の一番の親友である小林は、既に行動を起こしていた。

 

「もしもし、共同タクシーさんですか?花寺学園前にタクシーを一台お願いします」

 

 

 

 

 

気が付いたら、トウガラシに乗っていた。

 

「やあユキチ。目が覚めたかい?」

 

「へっ!?なんで俺はアンタの車に乗ってるんだ?」

 

「僕が何を言っても反応しないから、心配でドライブに連れ出したのさ」

 

「ちょっと待ってくれ!」

 

「悪いが待てないな。時間が無いんだ」

 

「時間が無い・・・・・・?」

 

「実はこの前さっちゃんの家に忘れ物をした人がいてね・・・・・・。それをユキチに届けてもらいたいのさ」

 

「何で俺なんだよ。アンタが行けばいいだろ?」

 

「僕が行ったら、佐藤聖に会った途端大変なことになる。それに、バレンタインの日に僕が行ったら、もみくちゃにされて大変さ」

 

「ずいぶんと自信満々に言いますね」

 

「拗ねない拗ねない。僕にはユキチだけさ」

 

「気持ち悪いこと言わないでくれ」

 

「ふふっ・・・・・・さあ着いたぞ。それじゃこれをよろしく」

 

柏木は小さな紙袋を祐麒に渡すと、祐麒を置いて行ってしまった。

 

祐麒はため息を一つ付いて、校門を見た。

 

「そうは言っても・・・・・・入るのはちょっとはばかられるよな・・・・・・」

 

さて、どうしたものかと思っていると、校門のところに何か置いてあるのに気が付いた。

 

「ん・・・・・・?」

 

思わず手にとって見たとき・・・・・・

 

 

『ちょっと、あなた・・・・・・そこで何をしているの?』

 

 

不意に後ろからかけられた声に祐麒はビクッと、文字通り飛び上がって振り返った。

 

「あら、祐麒さんじゃない。ごきげんよう、どうしたの?」

 

声の主は、紅薔薇さまこと水野蓉子だった。

 

 

 

蓉子は、祐麒の説明を聞いて首をかしげていた。

 

「それで忘れ物、っていうのは・・・・・・?」

 

聞きながら、蓉子は忘れ物だったら祥子が届けるはずではないか、と思っていた。

 

「あ、これです。もし館に行かれるのでしたら、これもお願いできませんか?」

 

そう言って、祐麒は先ほど拾ったものと一緒に差し出した。

 

蓉子はそれを見て、柏木が祐麒をここに送った意図を理解した。

 

紙袋の中身を見ると・・・・・・案の定。

 

「祐麒さん、あなた中は確認したの?」

 

「いえ。女性の持ち物ですし、さすがにそれは・・・・・・」

 

祐麒は顔を赤くしてそう答えた。

 

「そっか・・・・・・それじゃ祐麒さん、行きましょうか」

 

「え?行きましょう・・・・・・ってどこへです?」

 

「あなたは忘れ物を届けにきたのよね?」

 

「そうですけれど・・・・・・」

 

「安心して頂戴。私と一緒なら入れるわ。それに祐麒さんは生徒会長なのだから」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!俺も行くんですか!?」

 

「そうよ。ちゃんとあなたが持っていかないと駄目よ」

 

そう言って、蓉子は祐麒を連れて門をくぐった。

 

 

 

開始30分・・・・・・

 

カードは未だに誰にも発見されてはいなかった。

 

壇上の三人は、話し掛けてくる人々に受け答えをしていた。

 

しかし、由紀は正直気が気ではなかった。

 

予想通り、下校しようとする生徒は皆無に等しい。

 

校内の生徒のほぼ全員が、学校内にとどまっているのではないか、と思うくらい。

 

だが、その中で聞き漏らせない言葉が聞こえたのだ。

 

「ねえ聖・・・・・・蓉子ってそろそろ帰ってくるころ?」

 

「そうね・・・・・・受験終わってここに来るって言ってたからもうそろそろなんだけど・・・・・・」

 

「今年は受験組が多いわね。何もしなくても、リリアンにいけるのに」

 

「そういう江利子だってそうじゃないの。まあ、うちのクラスでも4人今日は受験でいないけどね」

 

 

(しまった!)

 

 

すっかり頭から抜け落ちていた。

 

あの場所は、中にいる限りは絶対に発見されない場所なのだが、外からくれば別だ。

 

校内にいる人間が誰一人帰らないのに、受験を終えた人がすんなり帰宅するとは思えない。

 

絶対に学校に寄るはずじゃないか、由紀は今更ながらに気がついた。

 

突然落ち着きが無くなった由紀に、恭也と赤星が心配そうに顔を向けた。

 

 

そのとき・・・・・・

 

 

『カードが1枚見つかりました・・・・・・緑色です!』

 

 

三奈子のアナウンスに、由紀の思考は一気に停止してしまった。

 

 

 

 

一時間が経過して、由紀はショックのあまり未だに意識がはっきりとしなかった。

 

自分のカードを見つけた、というアナウンスからもう何も頭に入ってこない。

 

ただ、自分がこのロザリオを渡して、その相手を妹としなければいけないことだけはわかった。

 

(祐麒くんに・・・・・・渡したかったな)

 

自分の首に掛かったロザリオを見て、誰にも聞こえないような声でつぶやいた。

 

会場はどよめきに包まれていた。

 

(やだ・・・・・・こんなこと考えたら、祐麒くんの声が聞こえてきた・・・・・・)

 

幻聴が聞こえてきたか、と自分に対して自嘲していると

 

「ちょっと待って、姉ちゃん、マジ勘弁!」

 

「だ〜め!ほら・・・・・・、男なんだから覚悟しなさい!」

 

「そうよ〜。祐麒くん、据え膳食わぬはって言うでしょ?」

 

「聖、使い方が明らかに間違ってるわよ。言いたいことには賛成だけど」

 

「蓉子、ありがとう。今までで1、2を争う面白い展開だわ!」

 

 

 

もう駄目・・・・・・幻聴の次は幻覚・・・・・・祐麒くんが目の前にいるような気がする。

 

私がロザリオを渡したかったのは・・・・・・

 

受け取ってもらいたかったのは・・・・・・

 

本当は祐麒くんなのに・・・・・・」

 

 

 

「えっ!?」

 

目の前の幻覚が、声をあげた。

 

本来、そこにいるはずの無い人だった。

 

だって彼は花寺で・・・・・・リリアンにいるはずがない。

 

「お、落ち着いてください!なんで俺なんかがいいんですか!」

 

 

 

祐麒くんの、その愛くるしい顔が良かった。

 

でも、それだけではない。あたしは、祐麒くんの目に縛られた。

 

柏木くんや・・・・・・高町くん、そしてあたしが悲しい目をした瞬間・・・・・・

 

祐麒くんはその悲しみを汲み取ってしまう。

 

そして、すごく不器用だけど、一生懸命励ましてくれる。

 

その感受性の強さにあたしは惹かれた。

 

 

赤星くんと仲良くなっていく令ちゃんや由乃ちゃんを見ているとき、すごく辛かった。

 

でも祐麒くんは、その一瞬だけ見せた寂しさを感じてくれた。

 

そのときの言葉は今でも忘れない・・・・・・。

 

『ゆ、由紀さんは・・・・・・その、気合入っている顔のがかっこいいです』

 

ものすごく酷い慰めだと思った。

 

高町くんよりも口下手じゃないかと思うくらい。

 

・・・・・・でも、その言葉が私に力をくれたんだよ。

 

君は・・・・・・気がついてないと思うけど

 

 

 

「うん。あたしは、祐麒くんが好きだから・・・・・・他の人に見つけられないようにあそこに隠したんだよ」

 

祐麒くんは、その言葉を聞いて真っ赤になって固まった。

 

うんうん、予想通りだ。純情なのね、君は。

 

その隙に、あたしは首からロザリオを外して祐麒くんの首にかけた。

 

それから、祐麒くんのほっぺにチュッとキスをすると会場は最高潮に盛り上がった。

 

「ゆ、ゆ、由紀さん、どどどど」

 

壇上の祐麒くんは、これでもかというくらい真っ赤になって道路工事を始めた。

 

下にいる祐巳ちゃんは口をあんぐり開けて唖然として・・・・・・

 

薔薇さま方は顔を赤く染めて見ている蓉子と大爆笑している聖&江利子。

 

「どうして?って聞きたいの?祐麒くんが好きだからに決まってるじゃない」

 

そう答えて、壇上から会場のみんなに手を振って、祐麒くんの手を引いて退場した。

 

会場の喧騒は、しばらく止むことは無かった・・・・・・。

 

 

 

「でも祐麒くん。なんでここに来てたの?」

 

イベントを終えて、館に祐麒くんを迎えてお茶会をしていた。

 

「柏木先輩が、忘れ物を届けてくれって言って俺をここに連れてきたんです。そうしたときに、校門で緑色のカードを見つけて・・・・・・」

 

「で、私が中へ通してここに案内したのよ。あと一歩遅かったら、私がカードを手に入れてたのに」

 

残念だったわ、と蓉子は言った。

 

「それで、館へ行ったら・・・・・・成り行き上こうなってしまったんです・・・・・・」

 

祐麒は、がっくりと机にふした。

 

「あらあら、祐麒さんは由紀とスールになるのが嫌だったのかしら?」

 

江利子が面白そうに祐麒を突っついた。

 

「い、いえ。そんなことはないです。ただ、スールというのは確かにちょっと・・・・・・」

 

「ああ、そうよね。祐麒さんは恋人の方が良かったでしょうしね」

 

蓉子の言葉に、由紀は飲んでいた紅茶を噴出しそうになってしまった。

 

「あら、由紀・・・・・・もしかして、まんざらでもないの?」

 

しまった、すっぽんに食いつかれてしまった・・・・・・。

 

由紀は後悔するが既に遅かった。

 

 

ちなみに、この手の会話にイの一に飛び込んで来そうな聖は・・・・・・

 

カードを同時に発見した志摩子と恭也の所有権を争っていた。

 

だが、どうやら『共有』ということで話が付いたようである。

 

あれ・・・・・・?聖の翼が黒いのはいつものことだけど、志摩子ちゃんまで黒く・・・・・・?

 

い、いや。それはきっとあたしの気のせいだろう。うん、考えちゃだめ。本能がそう言ってる。

 

 

「そ、それでさ、柏木くんの言っていた忘れ物ってなんだったの?」

 

とりあえず、色んな意味で話をそらしたかった由紀は、祐麒が来た原因に話を向けた。

 

蓉子は、ふふっと笑って

 

「由紀、開けてみる?」

 

と、蓉子から差し出された紙袋を手にとって中を見た。

 

「え・・・・・・?何これ、なんかの券・・・・・・?」

 

出てきたのは、商品券や図書券を入れるような入れ物だった。

 

首を傾げながら、中をあけてみると・・・・・・

 

 

『鶴来屋温泉旅館宿泊券』

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

「これは一体誰の忘れ物なの・・・・・・?」

 

「忘れ物・・・・・・といえば忘れ物ね。まったく、アイツに世話焼かれるなんてヤキが回ったものだわ」

 

聖はわざと不機嫌そうに頭を掻いていた。

 

「そうね。しかも12人分だなんて・・・・・・まるでこうなることが分かってたみたいだわ」

 

ため息をついて蓉子がそう言った。

 

薔薇さま方は理解したようなのだが、他のメンバーは完全に置いていかれている。

 

「なあ、一体どういう意味なんだ?」

 

赤星が恭也と一緒に、みんなの気持ちを代弁して聞いた。

 

「いずれ分かることだから、気にしないでいいわよ」

 

江利子はハテナ顔のみんなに、さも可笑しそうにそう答えた。

 

 

 

『忘れ物』と称された宿泊券を利用する日を決めて、解散した。

 

由紀は祐麒と一緒に歩いていた。

 

「ねえ、祐麒くん。ホントにあたしでよかったの?」

 

由紀より少しだけ小さい祐麒は、由紀を見上げて

 

「はい・・・・・・誰かと付き合うことなんて考えたこと無かったですけど、由紀さんとなら・・・・・・」

 

祐麒が、そこまで言ったところで固まった。

 

目の前には・・・・・・花寺の制服を着た生徒が5人。

 

「ユキチに春がきたんだな」

 

「いいことなんだな」

 

双子の巨人

 

「ユキチ、よかったわね〜」

 

女の子・・・・・・?

 

「ユキチ、やったじゃねーか」

 

おお、ムキムキマッチョ

 

「よしよし、これで祐巳さんへの障壁が一つ減った・・・・・・ぐばぁ!」

 

あ、メガネの少年が飛んでいった・・・・・・

 

「最後のお前の発言だけは突っ込ませてもらった・・・・・・」

 

祐麒の見事な右ストレートが、小林に直撃していた。

 

「ねぇねぇユキチ、その綺麗な人を紹介してよ〜」

 

有栖川金太郎こと、アリスが祐麒にとてもかわいらしい顔でお願いした。

 

「えっと、彼女はリリアンに交換留学で来ている藤代由紀さんだ」

 

「祐麒くんのお友達かな?私は祐麒くんの姉の由紀です、よろしくね」

 

「あ、姉!?」

 

どういうことだ、と5人は騒然とするが、首に掛かったロザリオに気がつき

 

「ユキチ、もしかして由紀さんのスールになったの?」

 

アリスがそう聞いて

 

「そうか、ユキチはリリアンにへんにゅ・・・・・・うぼぁ!」

 

小林の言葉は言い終わる前にかき消された。祐麒のハイキックによって・・・・・・。

 

「成り行き上、こうなってしまったんだ・・・・・・」

 

「ユキチ、目から血が出てるんだな」

 

「これを血の涙というんだな」

 

冷静な分析をする双子の巨人。

 

「祐麒くん・・・・・・あたしのこと嫌い・・・・・・?」

 

由紀は、悲しそうな目をして祐麒を見た。

 

「えっ!?い、いえ、違います!成り行き上ああなったのは納得行かないですが、俺は由紀さんのこと好きです!」

 

そこまで言って祐麒はしまった!と思った。

 

なぜなら由紀の顔がにま〜っと、したり顔になっていたからだ。

 

はめられたと分かって憮然とした顔を見せる祐麒を、由紀は自分の胸元に引き寄せると

 

「と、言うわけで祐麒くんはあたしのなので・・・・・・柏木くんにはそう伝えてね?」

 

そのとき、アリス以外の4人に戦慄が走った。

 

祐麒、という最高の柏木避けが無くなってしまったと言うことは、次のターゲットは・・・・・・

 

なぜかみんな、小林の方に目を向けると・・・・・・

 

「い、嫌だ。俺はノーマルなんだ!それに俺には祐巳さんが・・・・・・」

 

「小林・・・・・・柏木先輩をよろしく頼む」

 

祐麒は、小林にはっきりそう伝えて由紀の手を引いて去っていく。

 

その後、小林が祐巳に近づけたのか、柏木に食べられたかは定かではない。

 

 

 

ポニーの髪がゆれる。

 

無理に可愛くなろうとはもう考えない。

 

だって、こうして自分を見てくれる人に出会えたのだから。

 

 

 

「ねえ、祐麒くん。たのしみだね」

 

「温泉ですか?そうですね、楽しみです」

 

目を細めてそう言う祐麒。

 

わかってないなぁ。でも、それがいいんだけどね。

 

 

 

楽しみだなぁ・・・・・・これから、ずっと。

 

 

 

「これからよろしくね、祐麒くん」

 

 

 

 

End

 

 

 

 

 


あとがき

 

藤代編でございます。

作中、あまり登場機会が多くなかったですが、祐麒シナリオを書きました。

祐麒くんは、鈍感ではあるけれど、感受性はとても強いのではないかと思います。

人の痛みに敏感、と言うのでしょうか。そこが彼のいいところでもあり、

柏木さんが惹かれる要因でもあるのではないか、と思いました。

 

では、また別の未来でお会いしましょう。

ごきげんよう・・・・・・




藤代と祐麒のエンディング〜。
美姫 「完全に主導権は藤代ね」
確かに…。
美姫 「まあ、それでも幸せそうだから、良いんじゃない」
うんうん。所で、非常に気になる事が一つ。
美姫 「あ、それ、私も…」
果たして、小林はどうなってしまったのか。
美姫 「うんうん。果たして、どうなったのかしらね」
まあ、それはそれとして、藤代編ありがとうございます。
美姫 「ございます〜」
いやー、面白かった。
美姫 「本当に。さて、次はどんな未来が見れるのかしらね」
それじゃあ、今回はこの辺で。
美姫 「じゃ〜ね〜」



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