――2001年1月7日、午前6時52分

 

 

 

駐車場に、流れるようなデザインの乗用車が、他の車と少し離れた所で停まっていた。

1980年型のジャガーXJ。

決して新しいとは言えないが、新車同然にぴかぴかに磨き上げられたシルバーメタリックのボディが、穏やかな朝の光を反射している。

運転席から、りゅうとした茶色のスーツを着こなした男が、降り立った。

歳の頃は30代も半ば。一見すると平凡なサラリーマンだが、その瞳には強い意志の輝きを秘めており、並みの者では対峙しただけで失禁しかねない“何か”を感じさせる。

男に遅れて、後部座席から2人の男女が降り立つ。

先に降りた男とは対称的に、2人は若かった。男は20に届くか届かないかで、女の方にいたっては15歳前後の子供である。

2人は兄妹なのか、その容姿はとてもよく似ていた。

青年は額に巻いた紅色のバンダナの下に甘いマスクをもち、日本人としてはかなりの大柄で、190cmはあろうかという長身である。

少女の方は、青年とよく似た容貌をもっている。特に、抜けるような白い肌と、対称的に濡れたような黒髪、そして目尻の辺りなどはそっくりだ。さすがに青年ほどではないが、170cmはある長身の持ち主である。

2人はなんの変哲もない学生服で身を包んでいたが、モデルのような体形と顔のため、地味めの彩色にも関わらずとても目立った。

駐車場に車を止めた何人かが、思わず彼らの方を振り向く。

それほどまでに、青年と少女は美しかった。

ふっと、青年が視線に気が付いて振り返る。そこには3人の男女がいた。突然に振り向かれ、ぎこちない愛想笑いを浮かべている。

青年はにこっと微笑み返して歩き始めた。

背を向けた背後で、3人のうちの男はそのあまりの美しさに茫然とし、女は頬を赤らめて硬直していた。

男が先導する形で、青年と少女が並んで歩く。

「平和なものだな」

青年が2人にしか聞こえない程度の声で言う。

男は、振り返ることなく静かに頷いた。その態度は、とても年下の若者に接する態度とは思えない。

「――ですが、この平和を脅かそうとする者達は、確実にこの街に潜んでいます」

「だからこその俺達だ。……まったく、今は人間同士で遣り合っている場合じゃないというのに……米国といい、ロシアといい、何を考えているんだか……」

「まったくです」

青年の悲痛な面持ちを、男は背中越しに見つめていた。

青年の隣りで歩く少女が、ぎゅっと制服の裾を掴む。

上目遣いに見上げられたその瞳は、青年になにか言いた気である。

「…………」

「ん?……大丈夫だよ」

くしゃくしゃとショートヘアーの頭を撫でて、青年は優しく笑った。

不意に、青年と少女が立ち止まる。

足音が消えたことに気付き男が何事かと振り向いた。

青年の視線が駐車場のある一点に注がれている。

そこを見て、男がふっと警戒を解き、微笑を浮かべた。

駐車場のコンクリートの亀裂から、白い椿の花が咲いていた。

「花か……こんな小さな花すらも、懸命に生きているというのに……」

青年の言いたいことを理解して、男の表情が悲痛に歪んだ。

「『メサイア・プロジェクト』、『アーカム計画』……どちらも、断固として阻止せねばなりません」

「ああ。そのためにも、まずは先に『メサイア・プロジェクト』を潰さなきゃならない」

「ええ」

青年の呟きに、男がゆっくりと頷く。

「そのためにも、我々は、なにがあっても叶和人を守らなければなりません」

 

 

 

第四章「穏やかな朝?」

 

 

 

――2001年1月7日、午前8時19分

 

 

 

朝。

冬の朝特有の穏やかな日差しが差し込み、冷たい風が吹き込む……

その日、四十万市は冬とは思えないほど晴天に恵まれていた。雲量1分にも満たない、快晴である。

最低気温6度、最高気温13度、湿度20%以下。

数字を見ても、真冬にしては比較的暖かい。

ただ、冷たい冷気を孕んだ強風だけが、それに抗うかのように街へと吹き込む。

そしてその狂風を包み込むかのように、陽光が穏やかに降り注ぐ。

緑の服を失った木々が風で揺れ、公園を散歩する老人を陽光が照らす。

小鳥が寒さで身を震わせ、雛達が懸命に小さな羽根をばたつかせ、体を温める。

人は寒々とした影を避け、日の当たる道を踏み急ぐ。

のどかな朝だった……

穏やかな朝だった……

静かな朝だった……

「あわわわわっ!遅刻だぁッ!!」

……そして、一部騒がしい朝だった。

住宅地の入り組んだ道を迷うことなく、全力疾走で駆け抜ける2つの影。

学生服の上からいつものロングコートを羽織った和人と、同じく学生服を着た舞である。

「うぅぅ……なんで新学期早々に遅刻しなきゃなんないの?」

「無駄口叩かない!ほら、黙って足を動かす」

歩幅の差か、それとも基礎体力の差なのか、舞よりも少し先を走る和人にはいくらかの余裕があるようで、人懐っこい微笑を浮かべて、舞を励ましている。

2人は何故走っているのか?

「遅刻しそうなんだよ〜!」

何故、こうまで懸命に走っているのだろうか?

「だから遅刻しそうなんだってば〜ッ!

……煩い。

話は1時間ほど前に遡る。

 

 

 

――2001年1月8日、午前7時15分

 

 

 

片倉舞は朝が苦手だった。

べつに低血圧というわけではないのだが、どうしても朝、思うように起きることが出来なかった。

特に今日は前日の疲れもあり、舞の父親がさんざん起こそうとしてもすやすやと寝息を立てるばかり……

「――で、俺にお鉢が回ってきたわけですか」

毛布に包まり安らかに眠る舞を見て苦笑しながら、制服姿の和人は呟いた。

舞の父……片倉草善(そうぜん)は申し訳なさそうに頷いた。

「頼むよ和人君、俺はもう出勤しないといけないし、飯を食う暇もない」

トラックによる運送業を営んでいる草善は、全国チェーンの運送会社に勤めており、朝が早い。6時には起きて、7時半までには出勤しなくてはならない。遅刻すれば減俸は確実である。

そんな草善のために、和人はよく朝食を作りにくるのだが、たまに……否、よくこんな頼み事をされるもあった。

「まぁ、いいんですけどね」

「ありがとう。いつも悪いな」

「いえ、おじさんにはよくしてもらってますし……舞ちゃんにも世話になってますから」

「今度、美味い酒のある店に連れてってやるよ」

「それは……楽しみです」

わずかにはにかみながら、和人は草善を見送った。

「……さて」

振り返って、和人は舞を見る。

「うにゅ……」

「幸せそうに……」

苦笑を浮かべて、和人はとりあえず舞を揺さぶってみた。

「舞ちゃん…ほら舞ちゃん、起きて……」

「ふみゅ……」

だが、この程度の攻撃に屈するような舞ではない。

というか、この程度で屈服しているのならば草善が起こしている段階ですでに彼女は目覚めているはずだ。

「……まぁ、この程度で起きるとは思ってないけどね」

そう呟くと、和人は勝手知ったる他人の家とばかりに、本棚から1冊の本……かなりの分厚さを誇る、広辞苑を手に取る。

そしてそのまま広辞苑を舞の腹へと持っていき……

「ここなら躱せないでしょう」

ぱっと手を離し、広辞苑は万有の法則に従って落下を……

“ヒョイッ”

……そんな擬音が似合ってしまうような光景だった。

なんと舞は、落下する広辞苑を見事躱したのである。

しかも寝ながら、人体の中でもっとも動かない腹が狙いだったにも関わらず、である。

「……やるな」

一体いかなる魔法を用いたのか。

ベッドの大きさ、壁との距離、広辞苑の落下速度……あらゆる要素が、今しがた起きた現象は不可能だと示している。

しかし、和人はそれにも大して驚かず、爆弾の投下を続行した。どうやら、この物理法則を無視した行為はすでに日常化しているらしい。

漢和辞典、国語辞典、英和辞典、古語辞典と、重量級の爆弾が次々と投下されていく。

しかし舞はそれらすべてを回避し、あまつさえ和人をあざ笑うかのように妖しい笑みを浮かべていた。何度も繰り返して恐縮ではあるが、眠りながら、である。

「……て、手強い」

さしもの和人も、額にうっすらと汗を浮かべていた。

おそらく、体力よりも精神力をかなり消費したのであろう。

「作戦変更だね」

戦いにおいて、素早い発想の転換は重要である。

和人はそれまでの爆弾投下作戦を打ち切り、次なる段階へと進む。

「打撃系が駄目ならば直接攻撃に出るとしますかね」

取り出したるはメガホン。蒼い龍をモチーフにしたと思われるキャラクターのシールがプリントされており、『中○ドラ○ンズ』と書かれている。

和人はすぅっと大きく息を吸い込んで、

「起きんかいワレェッ!!!」

どこかドスの効いた声で吼えた。

「起きろ言うとるんじゃいゴラァッ!!!」

「いいかげん起きんしゃいダァホッ!!!」

「起きろ言うとんのが分からんのかいッゴルァッ!!!」

和人が吼える!吼える!!吼える!!!

「すぅすぅ……」

「むにゃむにゃ……」

「うにゅ〜〜〜……」

舞が眠る!眠る!!眠る!!!

戦いは苛烈を極めたが、長くは続かなかった。

和人が酸欠で、先に音を上げたのだ。

「フー……フー……フー……フー……」

どこから持ち出してきたのか、登山用の酸素マスクとボンベで酸素を補給する和人。

顔色は悪く、こころなしか頬が痩せこけている。

「ふみゅぅ……」

「うぐぅ……ボクのこと忘れてください」

色々な方面からクレームのつきそうなネタをやりつつ、和人は天を仰いだ。

とりあえず、喋れるくらいにまで復活したらしい。

「ぐぐぐ……仕方ない。これだけは使いたくなかったけれど」

なにやら悲痛な面持ちで、和人は耳元へと口を寄せて、一言……

「…………めそ」

“ガバッ”

――と、そんな擬音が似合いそうなぐらいに元気よく飛び起きる舞。

額に脂汗を浮かべながら顔面蒼白できょろきょろと辺りを見回す。

いつもの朝。

いつもの部屋。

いつも……ではないが、見慣れた和人の顔。

何の変化もないと知ると、舞はほっと一息ついて額の汗を拭った。

「気のせいか……さっき誰かが『めそ』…あ…いや…ゲフッ…ゲフン!」

「何言ってるんだい舞ちゃん。今、この部屋には俺と舞ちゃん以外誰もいない……誰もそんな『めそ』……ああ!ゲフッ!!ゲフフン!!」

爽やかな笑顔を浮かべ、キラリと真珠のように白い歯を輝かせる。

……過程はともかく、とりあえず舞は起きた。

時刻は7時30分。

学校までは歩いて20分ほどで辿り着く。

この時点ではまだ、遅刻するほどの時間ではなかった。

そう、この時点では……

「すやすや……」

「あああ、舞ちゃん、起きてぇ!」

このやり取りが30回以上続けば、普通は遅刻寸前に家を出ることになるわけで……

結局、舞は7時半に起きたにも関わらず、和人達は8時20分という、結構絶望的な時間に家を出ることとなった。

 

 

 

……んで、現在。

「お兄ちゃん、あと何分!?」

「……このペースをあと7分続けてれば間に合う!」

「む、無理だよ〜そんなの」

「泣き言はしない!喋るぐらいなら足を動かす」

2人分の鞄を両脇に抱えながら、和人は舞を叱咤激励する。

しかし、和人の励ましも虚しく、舞のペースは次第に衰えていく。

無理もないことだった。無酸素運動で40秒間全力疾走して、その上でさらに何分も走っているのだ。常人ならば、すでに音を上げているだろう。

「くそっ」

和人が舌を打った。

いつになく緊迫した表情である。

不意に、和人の足が止まった。

と同時に舞も走るのを止め、息を切らしながら訝しげに和人に訊ねる。

「はぁ…はぁ……どうしたの?」

和人は少し考えたような素振りを見せて、両脇に抱えていた鞄を2つとも右手で掴む。

突然の和人の行動に、キョトンとする舞。しかし、何かに思い当たったのか、一転して顔面蒼白になり、ガタガタと震えていた。

「あ、あのお兄ちゃん?」

「ほら、舞ちゃん」

和人が舞の腰へと恐るべき早さで左手を伸ばし、脇でガッチリと挟む。

これから何が起きるのか……まぁ、察しのよい方々はとうに気付いているであろう。

「あの、あの…お兄ちゃん、今日はあたしスカートだし、中身見えちゃうというか恥ずかしいというか……」

「大丈夫。スカートは翻さないようにするし、表……学生通りは通らないから」

和人はニッコリと微笑んで、表情を引き締める。舞の顔から、“サーッ”と、漫画のごとく血の気が引いていった。

「ハァッ!」

気合とともに、猛スピードで駆け出す和人。

その速さは、尋常のものではない。

雷の如く素早く……

風の如く荒々しく……

流水の如く静かに……

「にゃお〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」

……一部、騒がしく、和人は地を蹴り、飛翔した。

 

 

 

――2001年1月7日、午前8時26分

 

 

 

学生通りを道なりに直進すると、2分ほどで真新しい校舎が見えてくる。

――私立燐道学園高等学校。

明治28年創立。2度の世界大戦を経て共学制となり、多彩な才能を持つ人材を世に送り出しているこの学校は、私立の進学校でありながら、比較的自由な校風や、部活の強豪校であることなどから、人気が高く志望者も多い。

比較的恵まれた立地条件の上に立てられた校舎も4年前に建て替えたばかりのもので、市内の他の高校に比べても、充実した設備を誇っている。

「ふぅ……なんとか間に合った」

「はらほろひれはれ……」

フラフラになりながらも校門を潜る和人と舞。

和人はこの学校の3年生で、舞は1年生なのだ。

ちなみに和人のバイト先の一人娘である青島瑞希もまた、この学校の2年生である。

「うぅぅ……まだ頭がクラクラするよぅ……」

「大丈夫かい?」

「もう!誰のせいだと思ってるんだよ」

やや頬を紅潮させながら抗議する舞に、和人は少しだけ苦笑する。

「まぁ、まぁ……抗議は後で聞くから、とりあえず教室に行ったほうがいいと思うけど」

時間的に余裕はそうない。

和人は一年生の教室棟を指差しながら言った。

燐道学園の校舎は各学年ごとに別れており、西館に1年生、北館に2年生、南館に3年生の教室がそれぞれあり、化学実験室などの特別教室が各棟にバランスよく配置されている。

また、体育館やプールといった施設は教室棟とは別に建てられている。

舞はまだ何か言いた気だったが、和人の言葉にはっとして、慌てて西館へと向う。

「じゃ、じゃあ後でねっ、お兄ちゃん!」

「ああ、それじゃまた後で……」

和人は微笑を浮かべながら手を振った。

やがて舞の姿が見えなくなると、さっきまでの笑みが嘘のように真剣な表情を浮かべる。

凛々しい双眸が鋭く細まり、怪しまれない程度に周囲に視線を這わせ、いかなる気配も見逃すまいと神経を研ぎ澄ます。

(……何者だ?)

校門に入ったその瞬間から、和人は感じていたのだ。

昨日、電車の中で感じたあの視線とは違った、何者かの視線を……

だが、相手はよほどの熟練者なのか。その視線の出所を感じさせない。

何箇所かそれらしい気配のある場所は特定できたものの、あくまで推測でしかない。

和人は、あからさまな推測では動かない男だった。

なにより、その気配の出所は和人にとって、ある意味不可侵の領域なのだ。

(さすがに校長室はな……)

和人は北館の職員室に隣接した、高級そうなレースのカーテンが降ろされた校長室の窓をチラリと一瞥する。

もし、校長室に踏み込んだ場合、その後の展開を考えて、和人はやや自嘲気味に苦笑した。

そして、振り返ることなくそのまま東館へと足を運ぶ。

無論、怪しまれない程度に周囲を警戒しながらの歩行である。

東館の出入り口に入る直前、和人はもう一度だけ、念入りに北館の窓を見た。特に怪しいところはない。ないはずである。

しかし、和人にはどうしても、自身に振りかかる『嫌な予感』を振り払うことが出来なかった。

 

 

 

「――この距離からの視線に気付くとは……流石、『天地双翼』の『地翼』といったところだな」

はたして、それは誰の声であったか……

校長室の窓からそっと外を覗く影は、和人の姿が見えなくなると、やがて、姿を消した。

     

     


章末武器解説

 

――AH−1コブラ――

 

米国陸軍所有のAH−1Fヒュイコブラ

  

AH−1Wのスペック(AH−1Sの詳細を知っておられる方、情報提供お願いします(切実))

全長(ローター含む)

13.59m(17.68m)

全幅

3.23m

全高

4.12m

ローター経

14.63m

自重(全装備)

4634kg(6690kg)

最大飛行速度

352km/h

巡航飛行速度

278km/h

上昇率(海面上のデータ)

244m/min

航続距離

587km(最大燃料)

エンジン

ジェネラルエレクトリック社製・T700−GE−401ターボシャフト×2

出力

1723hp×2

燃料搭載量

約770kg

武装

20mmM179多銃身機関砲×1(弾数750)

短翼パイロンにロケット弾ポッド×2〜4

TOW対戦車ミサイル×8

AIM−9L対空ミサイル×2

GPU−2機関砲パック×2           など

乗員数

2名

開発

米国・ベル社

初飛行

1965年9月7日

  

 

和人「また俺か……」

タハ乱暴「まぁまぁ、それは言わないお約束」

和人「ま、これで特別給与が貰えるのならばやるのだがな」

タハ乱暴「ぐッ!ただでさえ少ない予算を……」

和人「こんな駄文に予算などあったのか?」

タハ乱暴「あ、あるんだよぅ。そ、そういうことにしといてくれ」

和人「……ふむ、まぁ、よかろう。

こいつはAH−1コブラ。世界初の本格的攻撃ヘリとして開発され、開発以降、数回にわたるマイナーチェンジを重ね、開発から40年近く経った現在でも現役で使用されている傑作機だ。

ケネディ政権時代の国防長官であったマクナマラの覚え書きにより地上戦闘の変革を開始した米陸軍の要請で開発された。そもそも、この覚え書きというのは、空中機動による戦闘速度の向上を骨子として、近接火力支援を重視したものだった。しかし、固定翼機による近接支援は空軍の所管だったため、陸軍はヘリコプターによるAAFSS(新型航空火力支援システム)構想が打ち出されることになったんだ。

この構想により提示された仕様を受けて、アメリカ中のヘリコプターメーカーが一斉に名乗りを上げたが、当初、1965年に採用されたのはロッキード・マーチン社のAH−56シャイアンというヘリだった。このシャイアンについては、また機会があれば説明しよう。シャイアンは優れた攻撃ヘリだったが、価格の問題や、回転翼ブレードの問題などに悩まされ、結果的に、この計画はキャンセルされてしまう。

当時、ベトナム戦争は激化するばかりで、戦場では輸送ヘリのUH−1に武装を施したガンシップが活躍していた。しかし、所詮元は輸送ヘリ。その能力不足は否めず、前線からは早急な攻撃ヘリの開発要求が高まっていた。そこでベル社はAH−1をベースに、攻撃ヘリ……モデル209の自社開発を開始した。また、米陸軍もAAFSSまでの暫定機種としてシコルスキーS−61、カマンSH−2、ボーイングCH−47、パイアセッキ・モデル16、そしてベル・モデル209の中から武装攻撃ヘリコプターを選定することにした。2ヶ月という短期間の実用試験を経て、勝ち残ったのはベル・モデル209が採用された。この瞬間、モデル209は米陸軍制式のAH−1と名を与えられたわけだ。

AH−1コブラは、正面面積を減らすことで被弾率や被発見率を抑えられるようにと、タンデム操縦席配置を機体に採用した。タンデム操縦席配置とは、前席に銃主、一段高い後席に操縦士を登場させる縦列複座式の構造のことで、このスタイルは以降の攻撃ヘリのスタイルを確立したといっても過言ではない。

ベトナムに投入された米陸軍のAH−1G(米陸軍向けの生産型)は軍部の、そしてメーカーの期待どうりに遺憾なくその能力を発揮。その優秀さに眼をつけ、米海兵隊もAH−1Jを採用している。ちなみに、一般にヒュイコブラと呼ばれるAH−1だが、これは陸軍向けに製造された機体の名称で、海兵隊向けに製造されたものはシーコブラと呼ばれている。米陸軍では後継機として採用されたAH−64アパッチへと、主流が移行しているものの、米海兵隊は後継機の導入計画もなく、現在も能力を向上させたAH−1Tや、AH−1Wなどを使用している。また、その能力の高さから海外への顧客も多く、日本やイスラエル、韓国、帝政イラン、パキスタン、ギリシア、ヨルダン、トルコ、タイなどにも輸出され、現在でも第一線で活躍している。……これでいいか?」

タハ乱暴「上出来、上出来」

和人「……さて、払ってもらうぞ、特別給与」

タハ乱暴「ううっ……ぐ、ぐぬぬぬぬぬぬぬ。仕方ない、払ってやろう(ここで払わなかったら痛い目に遭いそうだしな←なんと情けない親か)で、いくら欲しいんだ」

和人「お前の命♪(ベレッタを構えながら)」

タハ乱暴「………………………は?」

和人「いや、だから金はいらん。代わりにお前の命を……」

タハ乱暴「ちょっと待てィッ!!ど、どういうことだそれは!?」

和人「……貴様、第3章と今回の話で俺にした仕打ちをよもや忘れたとは言うまいな」

タハ乱暴「な、なんのことだ?」

和人「……さんざん俺のキャラを壊しおって」

タハ乱暴「あああ!もしかして第3章のこのコーナーでいきなり怒っていた原因って……」

和人「死ね!死ね!!死ねェッ!!!(ベレッタの連射)」

タハ乱暴「うぎゃぱぁっ!!!」

和人「死ね!死ね!!死ね!!!(良い子には見せられない映像があと10分ぐらい続く)」

タハ乱暴「No〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!(こっちもやっぱり10分ぐらい続く)」

 


『メサイア・プロジェクト』に『アーカム計画』と色々な単語が飛び交う中、
美姫 「和人は表面上は平和な一時を…」
それにしても、舞は凄いね。
美姫 「寝ながらあそこまでの回避能力を見せるなんてね」
うぅ、羨ましい…。
美姫 「アンタは回避って事が出来ないもんね。
    まあ、アンタだったら、そのまま寝てそうだけど」
…お前の言う寝ているは、どうも深い意味で考えてしまうんだが。
美姫 「や〜ね〜、考え過ぎよ」
そうだよな。はっはっはっは。
美姫 「そうよ。うふふふふ。……尤も、私がもし起こすとしたら事典なんて使うわけないけどね。くすくす」
何か言ったか?
美姫 「な〜んにも♪それにしても、今回の武器説明だけど」
うん。今回はヘリだね。
ヘリって、丸いイメージがあったんだけど、軍用ってやっぱりスリムなのかな?
美姫 「うーん。どうなんだろう。やっぱりヘリにもよるんじゃないのかな?」
この章末武器解説も楽しみなんだよね。
美姫 「そうよね。色んな武器の説明が細かくしてあるし」
さて、次回はどんな展開を見せてくれるのかな〜。
美姫 「そして、次回紹介される武器は何かしら」
また次回で〜。





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