浦賀海道を挟んで千葉県と隣接する海沿いの街……神奈川県四十万市。
人口20万人ほどの小さな都市だが、首都圏に近いことや、市自体が様々な産業を後押ししているため、それなりに豊かな街でもある。
特に十数年前に起きた『東西スーパー戦争』の影響を受けて、急速に成長した流通産業の進出が激しい。都市部には並大抵のデパートにも負けない高級スーパーがいくつも建ち並び、この街においてはデパートとスーパーの立場が逆転しているほどだ。
対称的に都市部から離れたところは静かで、産業といっても海に面しているという地形的なアドバンテージを利用した水産業、工業が主体で、住宅街にいたってはほとんどなにも行われていない。相模藩、武蔵藩時代の伝統産業が少しだけ残っているぐらいだ。
加えてそういった伝統産業を営むのは高齢者ばかりで、住宅街はいたって閑静で、都会の人間から見れば物足りないぐらいに静かだった。
……ただ一箇所を除いて。
第二話「2つの顔を持つ男」
――2001年1月2日、午前12時52分
住民には『学生通り』と呼ばれるそこは、すぐ隣りに住宅街が隣接しているにも関わらず、それなりの賑わいを見せていた。
四十万市でも数少ない私立高校への通り道は、下校中の学生をターゲットにした、いくつもの店が犇めき合った、ちょっとした商店街のようなものになっている。
当初は食べ盛りの学生のみをターゲットにしていたため、もっぱら飲食店が建ち並んでいたが、時代の移り変わりとともに学生達の意識は変化し、また客層もだんだんと増えていったため、今では完全に商店街として機能しているのだ。
元旦が過ぎ去ったとはいえ、正月もまだ始まったばかりの昼飯時。
冬休みと正月休が重なっているせいか、本来のメインターゲットである学生はひとりもおらず、開いている店も少ない。
珍しく静かな商店街は、一部局地的な賑わいを見せていた。
『学生通り』に古くからある中華料理店、『青龍館』である。
全国チェーンの店には負けるものの、広い店内は人で溢れ、客足が途絶えることはない。
『青龍館』店長……青島吾郎が厨房で嬉しい悲鳴を上げながら調理の手を進めていた。
「よし、7番テーブルのお客様の味噌老麺2つと点心飯1つ!」
「はいッ!」
レジ打ちをしていた和人は手早く作業を終え、釣銭を渡す。
即座に出来あがった料理を運び、空いたテーブルを布巾で拭う。
その急がしさはまさに戦場であった。
和人は、今更ながら休日出勤で『青龍館』に来たことを後悔する。
職場でもプライベートでも世話になっている店長の頼みだからと、引き受けてしまった正月の休日出勤だが、これほどまでに大変だとは思わなかった。
――こんなことならば引き受けるんじゃなかったと、悔やんでももう遅い。
しかし、何かを言うにしても減俸が恐いので、和人はただ黙々と手を動かし続けた。
彼がこの『青龍館』でアルバイトを始めてもう3年以上が経つ。
当初はやることもなく、小金が欲しかったからと軽い気持ちで始めたアルバイトだったが、気が付けばかれこれ3年以上も勤め、彼自身『青龍館』という店に愛着を抱いてしまっている。
一時は、本気で調理師の免許を取って永久就職しようかと思ったぐらいだ。もっとも、それは色々な諸事情があって踏み止まったが。
「3番テーブルのお客様に生ビール1本と、手羽先1つと枝豆1つ!」
「それだけか?」
「はい。一応、追加オーダーに備えておきます」
「頼む」
「はい」
『青龍館』での正装である、とぐろを巻いて飛翔する青龍の刺繍が施された黒いエプロンを着けて店内を駆け回る和人。まさに孤軍奮闘である。
――と、そんな時、
「和人さん、わたし、手伝います」
「瑞希ちゃん!……よし、レジの方を頼んだ」
セミロングの長い髪を後ろの高い位置で結わえ、ポニーテールに流した少女が裏口の方からやってくる。
店長吾郎の一人娘……青島瑞希だ。艶やかな黒髪をポニーテールにしたのは、作業するのに邪魔にならないようにという配慮のためだろう。本当は髪が汚れるのも嫌だったのだが、中華料理店の娘である以上、それはどうしても仕方のないことである。
和人は瑞希に控えのエプロンを渡すと、ジョッキになみなみと注がれたビールと、手羽先と枝豆をトレイに載せて3番テーブルへと向う。
瑞希が参戦してくれたおかげで精神的にも、実質的にも多少は楽になった。
しかし、まだまだこれからが本番である。和人達の戦いは結局あと2時間の間続いた。
――2001年1月2日、午後3時2分
ランチタイムが過ぎて客足が落ち着いてきた頃、ようやく休憩を取った和人は遅めの昼食を摂っていた。
無論、いつでも動けるように客の出入りには常に注意している。
「お疲れ様です、和人さん」
ポニーテールを解き、エプロンを外した瑞希がトレイを持ってやってくる。どうやら、和人の注文を持ってきてくれたらしい。
――と、そこで和人はおかしなことに気付いた。
「あれ?俺、ラーメン1つしか頼んでないけど」
トレイの上にはラーメンの丼が2つと、和人の頼んだ手羽先とスープが載せられている。しかもラーメンの1つはもう片方と比べて明かに量が少ない。
「えっと、わたしの分です。あまりお腹空いてないけど、食べないと体に悪いから……わたしもご一緒していいですか?」
「べつに構わないよ」
その言葉に、美しく整った顔がぱっと輝き、瑞希は嬉々として和人の隣りに座った。
「――そういえば、お母さんの調子はどう?」
「あ、はい。もう大分いいみたいです。この分なら、1ヶ月中には退院できるって」
「そう…よかった」
瑞希の母親――つまり、吾郎の妻――は、去年の暮れあたりから病院に入院していた。
和人は詳しい病名は聞いていなかったが、命に関わるような重病でないことだけは確からしい。
瑞希の母親は実直な吾郎とは対称的に穏やかな気品のある女性で、何かと気が利き、本来ならバイトで格下である和人にすら世話を焼く人だった。
バイトを採用する以前の『青龍館』では、主に彼女が給仕や経理を仕切っていたらしく、現在でもアルバイト達に混じって最前線で料理の上げ下げをしている。
「もう若くないんだから無理しないでって言ってるんですけど」
「そこがおばさんのいいところさ」
「でも、そのせいで和人さんはこうやって休日でも出勤してくれてますし……あのぉ、正直な話迷惑じゃありません?」
「いや、全く気にしてないよ。おばさんには俺も世話になってるし、他ならぬ店長の頼みだしね。休日出勤ぐらい、なんてことない」
事実、体力的にはそれほど問題はなかった。ただ、大勢の人間を相手にする分、精神力というか、気力というか、とにかくそういったものが著しく削がれるのだ。
「だから瑞希ちゃんが気にすることはないよ。……大体、瑞希ちゃんが気にしてどうなることでもないしね」
意地の悪い笑みを浮かべて、和人が言う。
それが和人なりの励ましであることを、瑞希は一目で看破した。
「あ、ひどいですよー」
「そうかな?」
「そうです!」
ぷっと頬を膨らませ、瑞希が上目遣いに講義する。
沈んでいた表情かいくらか和らいだので、和人は端正な顔に笑みを浮かべた。
「そうそう、その顔。やっぱり瑞希ちゃんはその方がいいよ」
見栄も下心もない正直な感想。
それをさらりと言えるところが、叶和人の長所でもあり、また短所でもある。
それなりに二枚目な和人が言うと凶器に近いものがあるが、この4年近くですでに瑞希には慣れたものだった。もっとも、和人がバイトを始めた頃はこの笑顔に何度もノックアウトされたものだが。
「えっと……わたしって今、口説かれてます?」
「そう聞こえる?」
「はい」
「はははっ、安心して。一応、口説いてる気はないから」
「そうですか」
少しだけ肩を落として、瑞希は曖昧な笑みを浮かべた。
和人が箸を置く。
「ごちそうさま」
「え!もう!?」
見ると、すでに和人の皿からは手羽先とスープとラーメンが消えていた。
反対に瑞希の皿はまだ少し残っている。
「やっぱり男の子ですね。凄いです」
「もう男の子って歳でもないけどね。だけど、午後もあるんだし体力つけないと」
コップの水を飲み干して、瑞希が持ってきたトレイに皿と丼を載せる。
「もう休憩は終わりですか?」
「いや、まだ少し休んどく。まだ夜もあるしね」
「……ごめんなさい。卒業前で和人さんも忙しいのに」
「だからいいって、べつに。どうせ俺は就職組だし、もう内定は決まってるから」
和人も瑞希も、学生通りの上にある私立高校に通っている。
3年生である和人は1月8日の始業式を迎えてあと3ヶ月にも満たない時を過ごせば、卒業だ。
この時期、まだまだ忙しい受験組と違い、就職組である和人は10月に面接を受けて内定を貰い、すでに卒業後の進路が確定している。
小さな――といっても四十万市ではもっとも大きい出版社に勤める予定である。
ゆえに他の同級生よりはいくらか余裕があったし、そうでなければ、いくら恩義があって正月休みとはいえ、和人とてこんなことはしていなかっただろう。
「じゃ、ちょっと出かけさせてもらうよ」
「どこか行くんですか?」
「ああ、ちょっとコンビニに。今日、“早坂紀本”の新刊の発売日なんだよ」
「あ、そう言えばそうでしたね」
早坂紀本というのは、和人や瑞希が贔屓している小説家の名前だ。『早坂紀本』と聞くと男性のうようだが、れっきとした女性の作家である。
業界に入ってまだ6年と経験は浅いが、年少にも理解しやすい文章は定評がよく、得意とするホラー小説の分野においては期待の新星とまで言われている。
和人も瑞希も読書は好きだし、早坂紀本はデビュー当時からのファンなので新作に寄せる期待は大きい。
途端、瑞希が眉根を寄せて考え込む。時分もコンビニに行くか行くまいか迷っているようである。
瑞希の迷う理由が和人にはよく分かった。
ラッシュの昼時が過ぎたとは言え、客はまだまだ来るだろう。
事実上、現在の従業員はコック兼店長の吾郎と、給仕をする和人と瑞希しかいない。こんな状況で、さすがに2人とも店を空けるわけにはいかない。
近くのコンビニまでは歩いて2分ほどの距離だが、その間に客が入ってこないとも限らないし、その間レジが無人になってしまうのも問題である。
和人はしばし考えて、口を開いた。
「……よかったら買って来ようか?」
「ええッ!?そ、そんな、悪いですよ」
大袈裟に手を振って否定するも、内心は嬉しそうである。
「いいから、いいから。走れば1分で済む用事だしさ。ここは俺に任せてくれよ」
「じゃ、じゃあお願いします」
わずかにはにかみながら瑞希は財布から小銭を取り出した。
「ついでに買ってくるものは?」
「あ、特にありません」
「そう…じゃあ、行ってくる。すぐ戻ってくるから」
瑞希から小銭を受け取って、和人は裏口の方へと向う。裏口から行ったほうが、コンビニまでは近いのだ。
和人の背中が完全に見えなくなって、瑞希は、先ほど和人に小銭を渡したほうの指を見つめる。
小銭を手渡しするときに触れた和人の温もりを思い出しつつ、わずかに微笑んだ。
――2001年1月2日、午後10時43分
現在の労働基準法では高校生のアルバイトは原則として10時までとなっている。
無論、世の中の高校生全員がそれを守っているわけがないのだが、閉店時間そのものが午後10時である青龍館には関係ない。
本日最後の客を見送って、和人は店内の掃除を始めた。
それも15分ほどで終わって、和人は少しだけ綺麗になった店内の椅子に座ると、1日の疲れを表すようにゆっくりと息をついた。
苦笑しながら瑞希が話しかける。
「今日もお疲れ様でした」
「ああ、瑞希ちゃんもお疲れ」
そう言う和人に、あまり疲れている様子は見られない。
汗は流しているものの、疲労感はまったくない。
常日頃から瑞希は思っていたが、和人の体力は底無しなのだろうか?
「どうかした?」
「あ、い、いえ……なんでもありません」
考えていることが顔に出てしまったのだろうか。苦笑しながら聞く和人はすべてを理解している上で訊ねているようだ。
――と、
“プルルルル……プルルルル……”
飾り気のない着信音が鳴って、和人がポケットの中に忍ばせた携帯電話を取り出す。
こんな時間に電話する相手など和人の知るかぎりでは1人しかいないのだが、和人はディスプレイを見て相手の名前を確かめる。
ディスプレイには、『片倉舞』と表示されていた。
「どなたからです?」
人のプライベートに難癖つける気はないが、一応、聞いてみる。
和人は苦笑しながら、
「俺達のお姫様」
「ああ、片倉さんですか」
片倉舞は、和人が暮らしているマンションの隣りの部屋の住人だ。
歳は瑞希の1つ下で、和人や瑞希と同じ私立高校に通っている。
和人は携帯電話の通話ボタンを押すと、受話器を耳に当てた。
「はい、叶です……ああ、舞ちゃん……うん…うん……ああ、分かった」
ピッと終了ボタンを押して、会話を打ち切る。
「片倉さん、なんて?」
「ああ……」
瑞希の問いに、和人はやや言葉を濁して、
「早坂紀本の新刊、帰りに買ってきてくれって」
和人の答えに、思わず瑞希もぷっと吹き出す。
「さっき行ったときに3冊買っとけばよかった」
和人は少しだけ大袈裟に肩を落としてみせた。
コンビニに行ったとき、本棚には3冊本があったが、そのうちの2冊を和人が取った直後に、最後の1冊は別の客に買われてしまっている。
「……駅前の本屋、まだやってるかな?」
「閉店は11時だったと思いますから、急げば間に合うと思いますよ」
「そうだね……じゃ、そろそろ帰らせてもらうよ」
「はい、それじゃぁ……明日もまた来るんですよね」
「ああ、5日までは毎日が戦場」
黒のロングコートを羽織って、くすりと微笑を浮かべると、和人は走り出した。
店の外まで出てその背中を見送った瑞希は、やがて彼の姿が見えなくなると、そっと戸を閉めた。
本屋へと急ぐ和人の足が、途中で止まる。やや挙動不審気味に辺りを見回すと、また走るのを再会する。
しかし、奇妙なことに和人は駅の方へとは向わず、むしろ逆に人気のない路地裏へと歩を進めていた。
住宅街と隣接する学生通りは、一歩道を外れればいくらでも死角がある。
「皮肉なものだな」
和人が低く呟く。
よりよい暮らしを育むために発達していった建築技術によって造られた街は、建築を依頼した会社がまちまちであったがために構造的な欠陥を生み、犯罪のはびこる死角を作り出している。そこに、当初の『よりよい暮らし』は存在しない。
和人がぴたりと足を止める。
そこは、住宅街に無数に存在する路地裏の中でも、いちばん人気のない、逆に言えば、犯罪が起こっても人目につかない場所だった。
ロングコートを脱ぎ捨てて、和人が踵を返す。
目の前には、3人の男が立っていた。欧米人だった。
「……舞ちゃんに、言い訳を考えないとな」
やや自嘲気味に笑って、刹那、和人の表情が一変する。
青龍館で見せたような柔和な笑顔はたちまちに消え、その瞳は獲物を狙う狩人のソレへと変わる。
男達が、バチンと懐からフォールディングナイフを取り出し、ブレードを展開させる。
和人は全身から殺気を放ちつつ、ゆったりと立っていた。ナイフを持った相手に対して、身構えようともせずただ上空の月を見上げる。
「叶和人だな」
訛りのない日本語だった。和人は、あくまで姿勢を崩さない。
「我々と来てもらおうか……」
和人がゆっくりと首を横に振る。
和人の変人を確認するや否や、真ん中の男の右側にいた、レスラーのような体つきをした欧米人が、地面を蹴って躍り上がった。
重量級の肉体が、軽々と2メートル以上も舞いあがる。
ナイフが一閃し、和人の頭部に振り下ろされる。
「ぐあッ」
悲鳴が上がる。
和人のものではない。
襲いかかった欧米人のものだった。
路上に仰向けに倒れ、頭から血を流している。
和人は振り下ろした外人の手首をがっしりと掴むと、強烈な山嵐を放ったのだ。後ろ襟を掴んで頭から叩きつけるように投げた山嵐には、絶対に受け身が効かない。
残された2人の欧米人が、茫然と倒された仲間を眺めた。2人にとって、倒された仲間は腕力では最も頼りになる男であっただけに、腕力でも、体格でも劣る和人に倒されたというショックは大きい。
2人の欧米人は、迷わず懐へと手を伸ばした。動作のひとつひとつに、隙がない。
男達が懐に拳銃を忍ばせているのは明かであった。倒れた欧米人の顎を踏み台にして、前へと跳ぶ。
向って左側の男の顔面に、和人のダブルフックがめり込む。ほぼ同時に、右側の男に牽制の蹴りを放つ。
和人は、素早く手を引っ込めると、男の手からサイレンサー付きの拳銃を奪い取った。
もう1人の男が、同じくサイレンサー付きの拳銃を抜き、構える。
和人は男の体を蹴り飛ばすと、トリガーを引いた。
“バシッ!バシッ!”と、2発の銃声が鳴る。
「ぎゃぁッ」
欧米人が、手を押さえてうずくまった。サイレンサー付きの拳銃が地面に落ちる。
和人は、弾丸の掠った肩を押さえながら相手の拳銃のグリップを撃ち抜いた。
弾丸はまだ残っている。
「た、助けてくれッ」
欧米人が懇願した。目尻に涙を浮かべている。
「Murder will out.」
和人が英語で『悪事は必ず露見する』と言った。トリガーが引き絞られる。
“バシッ!”という静かな銃声が鳴って、欧米人の額に小さな穴が穿たれた。
“カチッ”と音が鳴って、銃のスライドがロックされる。弾切れだ。
和人は拳銃を捨てると、先刻の男が持っていたナイフを拾う。
「ぐあッ」
「うおおおっ」
激痛のあまり、2人の男が絶叫する。
和人は無情にも、フォールディングナイフの先端を男達の延髄へと突き立てたのだ。
人類共通の急所を貫かれたことで、ガクリと2人の男が沈黙する。
和人はポケットからハンカチを取り出すと、手についた血を拭った。
それから返り血のついた上着を脱ぎ捨て、側にあったポリバケツにぶち込む。
和人の体が、寒さでぶるっと震えた。たまらずロングコートを羽織る。
その表情には、先ほどのような険しいものは微塵も感じさせられない。
青龍館で瑞希に見せていた柔和な笑みを浮かべて、和人は帰路へと就いた。
話末武器解説
――Chris Reeve Shadow V――
専用シースとシャドウV
タイプ |
サバイバルナイフ |
カテゴリー |
オールパーパス(シース) |
全長 |
206mm |
刃長 |
102mm |
鋼材 |
A2スペシャルスチール(KG GUNコート) |
ハンドル材 |
A2スペシャルスチール(KG GUNコート) |
製造 |
米国、クリスリーブ社 |
瑞希「あの〜作者さん、何でわたしがこんなことしなきゃいけないんでしょうか?……ああッ!なんか急にやる気が出てきました!だ、だから銃を構えるのは止めてください!
(カンペを見ながら)で、ではこの私、不肖青島瑞希が説明させていただきます。
こ、このナイフは和人さんも愛用している、米国クリスリーブ社で作られたシースナイフ……シャドウVという名前のサバイバルナイフです。
シースナイフというのはブレードとハンドルタングが一体構造になっているナイフのことで、アウトドアスポーツや、サバイバルなどで使われるベーシックタイプのナイフです。丈夫な構造が特徴で、ハンティング、フィッシング、ファイティングやユーティリティなど、用途ごとのブレードスタイルと大小様々なサイズがあります。携帯するときに専用のシース(鞘)に納めるため、日本ではシースナイフと呼ばれていますが、欧米ではフィックスブレード(固定ブレード)ナイフと総称するのが一般的らしいです。……正直、わたしにはサッパリ分かりません。
シャドウVは1984年からカスタムナイフの製造を開始し、本格的なサバイバルナイフ、しかも他に類を見ないほど頑丈なモデルの生産をしていることで有名なアメリカのナイフメーカー……クリスリーブ社の商品です。
従来のサバイバルナイフに採用されていた金属パイプを使用したホローハンドル(なんなんでしょう、コレ?)は中身が空っぽになっていて、中にサバイバルツールを入れられる利点がありましたが、反面、タングを細くせざるを得ないという欠点もありました。
そこでクリスリーブは、鍛造カーボンスチールの太い金属棒から、ブレード部分を削り出すという非常に手間隙がかかるインテグラル製法を採用しました。そのおかげで刃はフルタング以上の堅固さを持ち、かつ収納スペースも広げることに成功しました。唯一、強度で信頼できるハンドルと言っても過言ではないでしょう。これはクリスリーブ社の他のナイフにも見られる特徴です。また、クリスリーブ社製ナイフの特徴である反射防止用の黒い塗装も施されています。
余談ですが、ニトロプラスさん発売の『ファントム・オブ・インフェルノ』に登場したプロジェクトUもクリスリーブ社の製品とのことです。
……さ、作者さん、いいかげん銃を降ろしてください!」
タハ乱暴「(銃を降ろしながら)間違えたら銃殺刑な」
瑞希「うぅぅぅぅ……」
和人「なに、俺の後輩を脅しているんだ」
タハ乱暴「HAHAHAHA!和人君、なんでシャドウVだけじゃなく最新モデルのシャドウWまで構えてるんだい?んん?」
和人「銃を降ろしたのは失敗だったな」
タハ乱暴「クソッ(地を蹴って逃げ出す)」
和人「逃がすか!」
瑞希「ああ〜!和人さん、ほどほどにしておいてください!!」
タハ乱暴「ほどほどならいいんかぁっ!?」
和人「了解。(俺にとっての)ほどほどにしておいてやる」
タハ乱暴「いやああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……………………」
タハ乱暴「捕捉。四十万市の所在についてですが、『浦賀海道を挟んで千葉県と隣接……』との説明からも分かるように、神奈川県四十万市は、現実の神奈川県三浦半島にあたります。誤解されないためにも言っておきますが、あくまで所在地が重なっただけで、実在の三浦市とはなんの接点(文化とか、産業とか)もありません。あしからず。……痛い(泣)」
和人「自業自得だ」
いやー、今回は前回と違って日常的なお話だったね。
美姫 「そうね。和人は普段は極々普通の兄ちゃんだったのね」
しかも、高校生…。
美姫 「さてさて、和人の前にちょくちょく現われる人たちは一体…」
そんな事を気にしつつ、次回を待ってます。
美姫 「じゃ〜ね〜」