設定:リリカル後の恭也が大学4年の時の話と思ってください。

   オールエンドです。

   多少キャラに違和感があるかもしれませんがご了承ください。

 

 

 

 

 

『絆と縁』

 

 

 

 

 

さざなみ寮の人達と知り合ってからもはや恒例となった高町家&さざなみ寮と知人達との花見が今年も開催されていた。

今までは恭也と美由希が山篭りの特訓中にしていた花見もさざなみ寮の人達と一緒にするようになってからは恭也達の特訓後にするようになったのはひとえにさざなみ寮のセクハラ王、仁村真雪とその弟子?小悪魔リスティの存在が大きいだろう。口では

 

「みんなでやったほうが盛り上がるだろう」

 

と言っていたが単に恭也達をからかって酒の肴にしたいだけなのだというのは恭也も美由希も参加者全員知っているのだが、この2人には逆らえず逆らっても無駄ということも理解していた。

今回の参加者は高町家、さざなみ寮の住人の新・旧、フィアッセ、アイリーン、美沙斗、フィリス、セルフィ、赤星、忍、ノエル、さくら、真一郎、小鳥、唯子、瞳、いづみ、弓華、ななか、楓、葉弓と豪華な顔ぶれだ。

 

(なぜこんなに大勢居るんだろうか・・・)

 

恭也は周りを見て軽いため息を吐いた。彼とて大勢でにぎやかに楽しむのは嫌いではないが、花見のために集まっているのではなくむしろ宴会をするために集まったような顔ぶれに疲れていた。

最初こそ花を見ながら飲み食いしていたのであるが、今では・・・・・・・・・・・・

 

「おら〜もっと飲め飲め〜〜」

 

「なんだよ〜僕からのお酒が飲めないのか〜〜」

 

「ま、真雪らぁん、リスティらぁん、さ、さしゅがにこれ以上はむ、むりでしゅよ〜」

 

「う、うぅぅぅ〜〜〜〜、も、もうお嫁にいけませ〜〜ん」

 

「くぅ〜〜、くぅ〜〜」

 

花見などそっちのけで酒をあおってあっちこっちに絡んでいる真雪にリスティ・・・・・・・・・とその犠牲者数名。

 

「♪〜〜♪〜〜〜♪〜〜〜〜♪」

 

桃子、フィアッセ、アイリーン、ゆうひはカラオケ三昧。

 

「さ、さくら〜も、もう無理、ギブアップだよ〜〜」

 

「あら、先輩どうしたんですか?たったこれだけで酔うなんて。ワインなんて水ですよ。み・ず」

 

「耕介さん、どうです?美味しいですか?」

 

「あ、愛さん、あ、ありがとう。とと、とても、お美味しいですよ」

 

「よかった〜。まだたくさんありますからどんどん食べてくださいね〜」

 

真一郎はさくらのワインの相手をして轟沈してしまい、耕介は愛の手料理を食べて顔面蒼白になっているが愛本人は気づいていない。

 

「そうか、もう唯子もすっかり先生が板についてきたね」

 

「ニャハハハ、そんなことはないにゃ」

 

「でもすごいよね、すごく大変な仕事だもんね。生徒達からの信頼されてるって聞いてるよ」

 

「いや、大変な仕事だったら知佳ちゃんのほうが国際救助隊なんて大変な仕事をしてるじゃなかと」

 

「何言ってるのよ薫、退魔の仕事をしている薫も立派よ」

 

「そういう千堂さんも護身道の社会人の部に出てから負け知らずで仕事もきちんとこなしてるんだから十分凄いと思いますけど」

 

「いづみさんもご実家の家業を継いだとか言ってませんでしたっけ?」

 

「はぅ〜〜。私達の周りの人達って凄い人ばかりだね〜」

 

小鳥、唯子、知佳、薫、瞳、いずみ、ななか、みなみ達は久しぶりに会えて話が弾んで真一郎達のことは気にもとめていない。

 

「恭也君たら、言った時にしか診察に来てくれなくもう〜〜大変なのよ〜〜」

 

「わかる、わかる。そういう人が一番辛いよね〜、あたしもこないだ助けた子がさ〜〜」

 

「私達の方が美沙斗達より幾分楽かもしれないですけど、でもきついですよ」

 

「そうだね。確かに、弓華達の隊もきついだろうね」

 

「このままやといつになっても彼氏が出来なくてそのうち家から見合い話を持ちかけられそうで怖いわ」

 

「あら、楓ちゃんところも?私のところもよ。早く良い人連れてきなさいってうるさくって」

 

フィリス、セルフィ、弓華、美沙斗、楓、葉弓は仕事と彼氏が出来ない等の愚痴の言い合いや日ごろの鬱憤を晴らしていた。

 

「二人とも、今日ぐらい仲良く出来ないんですか!!」

 

「な、なのちゃん、こ、これはね」

 

「あ、足が〜〜い、痛い〜」

 

晶とレンは互いの料理をみなに勧めようとして敵対し、殴りあう寸前でなのはに止められ隅で正座と説教をされていた。

久遠はそんななのはの腕の中で甘酒を飲みすぎて寝ている。

 

「まぁ、そんなことがありましたか」

 

「ノエル様も大変ですね」

 

「いえ、もう慣れてしまいましたから」

 

十六夜と御架月は最初に真雪から刀身に酒をもらってからノエルと自分達の仕える人たちのことについて話していた。(妙に気が合うらしい)

恭也は一人みんなの輪から外れてシートの隅にウーロン茶と少量の食べ物を持ってみんなの現状を見ていた。

 

(しかし、皆さんよく休みが取れたものだな。普段なら会えないような遠い場所に居る人達も大勢いるのに、余程みんなで花見・・・もとより宴会がしたかったんだろうな)

 

恭也は今日集まった人達を眺めながらそう思ったが、殆どの人達が恭也と一緒に居たいから集まったとは露にも思っていなかった。

流石はみんなから世界遺産級の朴念仁だわ、あれは死ななきゃ直らないと言われただけのことはある。

と、恭也のとこへ先ほどまで忍の相手をしていた赤星がやってきた。

 

「よう、高町。こんな隅で何してんだ?」

 

「・・・何といわれても、そもそも花見のために来てるんだから花を見ているんだが」

 

「いや、確かにそうだが今みんなのこと見てただろう?それで何してるのかなって思ったんだよ」

 

「別に大した事ではないんだがな、よくこれだけの人が集まったと思ってな」

 

と、恭也は先ほど思っていたことを簡潔に話す。

赤星も言われて、一度周囲を見渡してからなるほど、と頷いた。

 

「人数もさることながら秒殺の女王や国際救助隊の隊員や世界で活躍する歌姫が3人も居るんだもんな。」

 

「それだけじゃないんだがな」

 

赤星が言った後に恭也がつぶやくように言ったので赤星には聞こえていなかったようである。

赤星には知らせていないが他にも夜の一族や自動人形、退魔士が4人、妖弧、忍者の当主、HGSが5人、元暗殺者、霊剣2本、

そして裏の世界で知らないものは居ないとされていた御神の剣士の生き残り3人等等上げたらきりが無い位である。

さらに、そんな人達と知っていながら全く態度を変えずに普通の人達と同じに接してくれるみんな。

もっともすべてを知っているのは極少数ではあるが、それでもみんなある程度他の人の秘密を知り、分け隔てなく付き合っている。

恭也はそんなことを考えながら自分自身もそんな『すごい』人達の中の一員であることに自嘲気味な笑みを浮かべた。

 

「ん?どうした高町、珍しく笑って。」

 

恭也のあまり見ることの出来ない表情の変化に気づいた赤星が問うが、その声が聞こえた周囲に居た人はその恭也の顔を見てしばし見惚れていた。

 

「いや、別に・・・・・・それより何かあって来たんじゃないのか?」

 

「ああ、そうそう。お前にひとつ聞きたいことがあって来たんだった。」

 

「聞きたいこと?」

 

思っても見なかった言葉に首を傾げる恭也。恭也としてはまた剣の相手をしてくれと頼みに来たのかと思ったからだ。

 

「ああ。就職でお前はSPやボディガードの仕事に就くって話していたろ?それってやっぱり親父さんの方の家業を継ぐってことなのか?」

 

「・・・・・・そうだな。俺も歴代の御神の剣士がそうしたように、人の事を平気で踏みにじるような輩と全力で戦っていくつもりだ。

 それに、俺には他に何のとりえもないしな」

 

「・・・それじゃ、もしお前が御神の剣士じゃなかったらいったいにどんな職業に就いたんだ?」

 

「俺が御神の剣士じゃなかったら?そんなこと考えたこともなかったぞ。第一なぜそんな事を聞いてくるんだ?」

 

恭也にとって物心ついた時から剣を握り、父の指導の下御神の剣士になり平和を脅かす存在からみんなを守ることが当たり前だと思っていた恭也には想像の範疇を超えたものであり、同時に今まで自分自身すら考えたこともない事を親友の口から聞いて多少の驚きを感じるが表情には出さない様にしながらそんな事を聞いてくる親友に尋ねた。

 

「いや、特に深い意味は無いんだけど、さっき自分には他に何もとりえが無いって言ったから剣術をやってなかったら他にやりたいものがあったように聞こえたから聞いてみたんだ。」

 

「そういう事か、・・・・別にそんなつもりで言った訳じゃないんだがな。だが、俺が剣を取っていなかったらか・・・・・・・」

 

赤星のしてきた質問に対して律儀にきちんとした答えを出そうとする恭也だったが元々御神の剣士以外のことを考えてなく、想像力が乏しい恭也

にとっては難しい問題だったらしく、しばらく考えても答えは出てこなかった。

見かねた赤星が助け舟を出す。

 

「何もそんなに真剣に悩まなくてもいいんだぞ。漠然とこんな事していたろぐらいでいいんだからさ」

 

ああ、と生返事をする恭也だったがふと周りから視線を感じて顔を上げた。

すると今までの赤星とのやり取りが気になったのか騒いでいたみんながこちらを見ていた。

 

「どうしたんですかみなさん、こちらを凝視して」

 

「いえ、私も恭也さんが剣をしていなかったらどうなっていたか興味がわいたもの物ですからよろしければ聞かせてもらいたいと思いまして」

 

みんなを代表するかのように葉弓が言うとみんなそろって首を縦に振った。

 

「別に構いませんがたいして面白くないですよ?」

 

恭也は皆にそういって伝えるがみんなそれでもいいから聞かせて欲しいと言われてポツリとつぶやく。

 

「俺が御神の剣士ではなかったら翠屋の就職して・・・・・・・・いや、普通にサラリーマンあたりになっていたと思う。」

 

恭也は翠屋に就職というのを言い直してから自分がなっていたであろう職業を言うが、みんなはどこかがっかりとした表情で恭也を見つめた。

そして高町家の住人達はなぜ恭也が翠屋と答えなかったのか不思議に思っていた。

当の恭也はそれから少し考えていたが考えがまとまったらしくみんなに聞こえるように

 

「おそらく、俺が御神の剣士になっていなかったらここに居る殆どの人達とはめぐり合っていなかっただろうな」

 

と言った。

この恭也の発言にみんな唖然とした顔つきに人なってしまい全員開いた口が閉まらない状況になっていた。

 

「きょ、恭ちゃん、流石にそれは無いんじゃないかな?」

 

先程真雪とリスティに沈められた美由希が復活しながら恭也が言ったことに対して否定してきた。

恭也はそんな美由希を憮然とした表情で見ていたが、ため息混じりに説明した。

 

「美由希、お前はこの中で一番俺と一緒に居た時間が多いくせにそんなことも分からないのか?」

 

「そ、そんなことって・・・・じゃ、いったいこの中で恭ちゃんが御神をしていなかったら会わなかった人って誰になるの?」

 

「まず、赤星、忍、ノエルさん。この3人は確実に会っていないな」

 

「え!!」

 

忍が驚きの声を上げた。

真っ先に自分達の名前があがったことより恭也と会わなかったというほうに驚いての悲鳴である。

 

「ちょ、ちょと恭也ななんでよ。何で恭也が剣術をしてなかったら私と逢っていなかったのよ!!」

 

「そうです恭也様。きちんと納得のいく説明をお願いします」

 

忍の食って掛かろうとする態度とは対象的にノエルも静かだが怒りの篭った目で恭也を見る。

 

「ああ、赤星には話したが忍たちには話していなっかたな。俺は小さい頃、修行で全国を歩き回ったことがあってな、そのせいで1学年遅れているんだよ。だから本当なら、忍たちよりも1学年上なんだ。学年が違っていては俺なんかが忍たちと会う接点が無い」

 

恭也が説明すると赤星がああ、その事かと納得した顔になったが、忍たちは初めて知らされた事実に黙ってしまった。

それを了承の意ととったのか、恭也はさらに説明を続ける。

 

「忍達に逢っていないとなるとなると、当然さくらさんとも逢っていないわけだし、鍛錬で使っている八束神社で出会った神咲さんや、久遠にも逢っていないだろうし、そうなると自然と薫さん達にも逢っていないだろう」

 

「え、わ、私達もですか?」

 

「恭ちゃん、流石にそれは無いよう。那美さんとなら私と接点があるでしょ?そうすれば、恭ちゃんと逢う事だってあるでしょ?」

 

「だが、神咲さんはお前より一年先輩だ。人付き合いの苦手なお前がどうして学年が違う人と交流が持てる?分かったら少し静かにしていろ馬鹿

弟子が!」

 

ガン!と美由希の脳天に軽く(恭也にとって)拳骨が落とされて涙目になって頭を押さえる美由希だった。

ゴホンと咳払いして場を正してから恭也が続ける。

 

「神咲さんに逢っていなければ当然さざなみの皆さんと逢うことは無かったし、真一郎さん達のことも紹介されなかったから逢わないでしょう。

 それだけで、ここにいる人達のほとんどの人と出会っていなくなる訳だし、晶も出会ったとしても性格を直すことは出来なかっただろうな」

 

恭也に言われ、さざなみ寮生と真一郎達は互いに顔を見合わせているし、晶にいたっては恥ずかしい自分の過去のことを持ち出されて、顔を伏せて

 

「うう〜、し、師匠いくらなんでもこんなに大勢の前で言わなくても・・・・」

 

と地面にのの字を書いて沈んでいた。

しかし、一人だけ違う人がいた。その人は・・・・・

 

「恭也君、その考えは甘いで、翠屋さんのシュークリームにチョコレートを加えたものよりも甘甘やで!」

 

天使のソプラノこと、ゆうひだった。

一人勝ち誇ったような笑みを浮かべて恭也の言い分を全面否定しようとしていた

 

「うちが恭也君の考えが間違ってるって教えたるわ!なぜなら、うちが翠屋さんの常連さんだからや!!だからうち経由で恭也君はさざなみのみんなや真一郎君たちここにいるみんなとも逢っているはずや!」

 

「確かに、椎名さんの言うとおりだよ恭也君。椎名さんを通じて恭也君はさざなみ寮生のことを知っていてもおかしくなかよ」

 

「そうね。さざなみとの接点があればここにいる殆どの人達とは知り合えてるものね」

 

このゆうひの一言がきっかけ薫や瞳達みんなが口々にそうだよねか、うんうんと頷いていた。

しかし恭也は・・・

 

「確かに、椎名さんが言われることはもっともですが、俺が剣をしていないという事はおそらく父さんも剣をしていないでしょう。

 でなければ物心つく前から剣を握る三歳児なんているはずありませんからね。そうなると、かーさんとも逢っていない事になるからやはりさざなみ寮の人達とも逢っていませんし、フィアッセやアイリーンさん達にも逢わなかったでしょう」

 

「うう、そ、そない言われたら言い返せへんやんか」

 

「そんな!!恭也!私や桃子とも逢っていないていったらそれこそここにいる人達全員と逢っていなくなるじゃない!!」

 

フィアッセが今にも食って掛からんばかりの勢いで恭也に詰め寄った。

余程自分が恭也と逢えなくなってしまう想像をしたくなかったようである。

目には涙まで溜まっている。

流石の恭也もこれには参ってしまったが事実だからしょうがないだろうと諭すようにつげる。

それでも引き下がらないフィアッセだったが、後ろからの怒声が聞こえて其方の方を振り返った。

 

「こら恭也!!さっきから辛気臭い事ばかり言いやがって!てめぇはこの場を白けさせたいのか!それともそんなにここにいる奴等に逢うのが

 嫌だったのかよ!!はっきりしやがれ!!!」

 

真雪は恭也の傍まで来ると自分の飲んでいたコップを空け、新しく酒を注ぐために手近にあったボトルに手を伸ばし注ごうとしている。

ほろ酔い状態の真雪だが今まで見たどの真雪よりも真剣に恭也に対して怒りをぶつけていた。

みんな真雪のこれほどの怒りを目にすることは滅多に無く、さざなみの寮生たちや知佳ですら驚いていた。

だが、真雪がこれほど本気で怒るときは大抵誰かの想いを踏みにじるか、知佳に関係していることであることを承知していたみんなは前者の方だと

思い当たり真雪の行動を黙ってみていた。

恭也もあまりの真剣な真雪の眼つきに表情を変えるがはっきりとした意志の強い優しい口調で説明した。

 

「いえ、自分はこの場を白けさせる気もここにいる人達と逢いたくなかった訳でもありません。

逆に、出会えてよかったですよ。『こんな』自分に対しても普通に接してくれる皆さんと出会えて本当によかったです」

 

こんなという部分を強調して話す恭也を察したのか、周りにいる面々の顔つきが変わる。

美沙斗や美由希も恭也の言わんとしている事に思い当たり顔を曇らせる。

 

「普通なら忌み嫌われるはずのこの剣のおかげで今この場に居れて、こうしてたくさんのかけがえのない人達と出会えた俺は幸せ者です。

 俺にとって御神の剣はただ大切な人々を護るための力だけではなく、みなさんとの絆でもあり縁でもあるんです。

 ・・・だから俺はこうして出会えた皆さんの平和を脅かす存在と戦い、皆さんの平和を護りたい。

 そのための御神の剣士なのだから」

 

最後は自分に言い聞かせるかのように話す恭也。

恭也の決意を改めて思い知った人達はしばし黙り込む。

やがてリスティがややあきれがちに話してくる。

 

「恭也、何もそんなに思いつめなくてもいいんだよ。そりゃ恭也達にはみんなを護れる力と心の強さ(精神力)があるけど、ここには僕らもいるんだし、僕らも恭也と同じ想いなのは代わらないんだから手伝いが必要な時にはいつでも加勢するよ」

 

「そうです恭也、私も香港にいていつでも逢えるわけでもないですが情報収集ならいつでも任せてください」

 

「私もだよ恭也、今度は私が恭也たちの力になって借りを返さねばね」

 

「加勢が必要な時はいつでも言ってくれ。うちには最強の忍部隊がいるんだからね」

 

「恭也君、うちら神咲の者たちは普段は霊に対してしかこの力を使ったりはしないが、みんなを護るためにならこの力を人に使うことに躊躇いはない。だからうちたちの事もあてにしてくれていいんよ」

 

「私も薫ちゃんと同じ意見です」

 

「うちかて一緒や」

 

リスティの一言をきっかけにみな恭也に弓華、美沙斗、いづみ、薫、葉弓、楓達が恭也の思いを伝える。

他の面々も一緒に戦う事こそ出来ないが何かあれば力になるという思いは一緒だった。

そんなみんなの思っている事を代弁するかのように桃子が口を開く。

 

「恭也、私達は戦う事が出来ないし、出て行ったところで足手まといにしかならない事ぐらい分かっているけど、あなたが疲れて帰ってきた時に暖かい食事と疲れを癒す事ぐらいならできるわ。だからあなた一人じゃないんだから自信を持ちなさい。

なんたってあの士郎さんの息子なんですからね」

 

桃子のそしてこの場にいるみんなの思いが伝わってきて恭也はなんともいえない感情がこみ上げてくるのだった。

そして恭也は近くのコップを取り

 

(父さん、本当に皆いい人達ばかりだよ。この人達を俺は父さんから引き継いだ八景とともに“御神の絆”で必ず護ってみせるよ)

 

恭也は亡き父に誓うようにコップの中身を飲み干した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あとがき

 

皆さん初めまして

始めてSSを書きましたセイヤといいます。

いや〜SS書くのって凄く大変ですね。(汗

文系が苦手な自分はやらないほうがいいなと痛感いたしました。

でも恭也が御神をしていなかったらどうなっていたのだろうと思いこのたびSSを書きました。

書きたかったのはずばり忌み嫌われてもおかしくない剣のおかげで今この時があってそれを護りたいと強く思う恭也の心境でした。

うまく書けていたらいいのですが・・・・・・。

本当は最後にコメディを入れようかと色々伏線を張ったりしたんですけど出来上がりを見てこのままの方がいい気がしました。

最後にこの様な駄文を最後まで読んでくださった方(いるのかな?)ありがとうございます。

そしてこれをHPに載せてくれました浩さん、どうもありがとうございました。




投稿ありがとうございます。
美姫 「ありがと〜」
恭也が剣を取っていなかったら。
成る程。皆との接点がないんだな。
美姫 「それで考えると、御神の剣は恭也にとって、何かを守るだけではなく、新たな出会いももたらしたって事ね」
うんうん。
美姫 「さて、綺麗に纏めた所で…」
うわ、自分で言ってやがる!
美姫 「何か文句でも?」
い、いえ、何でもないです。
え、えっと、そ、それでは〜。
美姫 「はぁー。それでは」



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