「待ってくれ」
それは、恭也からでもなく、文醜からでもなく、あまつさえ公孫賛からのモノでもなかった。
その声の主──公孫賛軍の副官の男は、フラフラになりながらも恭也の前に立ちはだかり、
「この状況で、文醜を倒してしまうのは……かえってまずい」
恭也にだけ聞こえるような小さな声で彼を制するのだった。
『恋姫†無双異聞 〜高町恭也伝〜』
第三十六章
「……なに?」
恭也は構えこそ解かず、目の前に出てきた男の話に耳を傾ける。
「ここで文醜が倒れれば、玉座の間の外に待機している敵兵が雪崩れ込んでくるだろう。それらの相手を貴公一人でするのは厳しいのではないか? まして公孫賛様はダメージで動けない。御主人様を守りながら、多対一で戦うのは厳しいはずだ」
男の声は、決して文醜や外の袁紹軍兵士達に聞こえない程度の小声だった。
「だが、この状況ではそれ以外の方法はない。無茶は覚悟だ」
「それ以外の方法はない、と言ったな? しかし、こちらにはもっといい方法があると言ったら、どうする?」
「……なんだって?」
恭也は『射抜』の構えを取ったまま、文醜にプレッシャーを掛けつつ、男の言う“方法”を聞く。
そして聞き終えた時、恭也はその方法を理解はした。確かに男の言う通り、敵兵の中を突っ切るよりかは遙かに安全だろう──だが、その方法を行う上で、どうしても必要なものがある。
それは、
「……自らの命を張るというのか、あなたは?」
この場にいる中で、一人犠牲にならなければならないということ。
そして、その“犠牲”を男は買って出るというのだ。
「すでに俺は死に損ないだ。そして、何があっても公孫賛様を無事に脱出させるのなら、あの方に付き添うのは貴公でないと無理だろう。違うか?」
「しかし……」
恭也は逡巡する。
恭也としては、最後まで公孫賛に付き従っていたらしいこの男も一緒に脱出させる気だったからだ。
だが、男はそれを望んでいなかった。
「迷いを捨てろ。貴公は公孫賛様の命を守ることだけを考えてくれ……頼む」
男の望みはただ一つ。
公孫賛を無事脱出させることのみ。そして──
「……いいのか? 得体の知れない俺に、あなたの主を預けるなど」
「得体が知れない? 悪い冗談だ。気づいてないとでも思ってたのか、高町殿」
「──っ」
「我が主のために、ここまで出張った貴方だからこそ、公孫賛様の御身を任せるのだ」
男は振り返り、一度だけ恭也の目を見据えて言う。
「頼む……我らの御主人様をいつか、この地に。そして……遼西の民に安寧を」
──遼西の民の未来を恭也に託す。
これは男の、文字通り“命を賭した”願い。
恭也は頷くことしか出来なかった。
この男の覚悟は本物だ。
それはきっと、公孫賛でさえ覆すことは出来ない。
だから、
「後は……任せた」
「ありがとう……高町恭也殿」
恭也は即座に行動に移った。
構えを解いて、即座に玉座に駆け寄る。そして、そこに力無く座っていた公孫賛の身体を再び抱き上げる。
「え……?」
「黙っててくれ」
突然の恭也の行為になすがままの公孫賛。
その恭也の突然の行動には文醜も、そして玉座の間の入り口で中の様子を窺っていた袁紹軍の兵士たちも驚き、咄嗟に動くことが出来なかった。
そして、公孫賛を抱き上げた恭也はすぐに玉座の後ろにある壁に蹴りを入れる。すると、
ぎぃぃぃぃ……
「なにっ!? 抜け道!?」
ただの壁と思われた箇所がいきなり扉のように開いたのだ。
そう──これこそが副官の男が用意していたという、城の主である公孫賛すら知らなかった、公孫賛のための脱出経路。
その存在に驚いたのは、恭也の腕の中にいる彼女だった。
「……なんで、こんなモノが……」
「黙ってろ、と言ったはずだ。行くぞ!」
「ちょっ!?」
腕の中で狼狽する公孫賛に再度口を閉じるようにと言い含め、恭也は躊躇なくその隠し通路へと入っていった。
この場に残る副官の男へ視線は最後まで向けず。
ただひたすらにこの場を脱出することだけに集中して──その隠し通路の扉を閉じた。
「さて……では、と」
副官の男は、隠し扉が閉じたのを見て、次の行動に移る。
それは、荘厳で大きく重厚な玉座をボロボロの身体で押し出してずらし、隠し扉のあった壁に押しつけたのだ。
これで、この玉座をどかさない限り、誰も恭也たちを追いかけることが出来なくなる。
そして、副官の男は再び文醜たち袁紹軍と向かい合った。
「……なんのつもりだ、てめえ?」
男の意図がわからないとばかりに、剣呑な声で文醜は問いかける。男を見据える文醜の瞳には、先ほどの怯えの色も、まして戦いを楽しむといった輝きもなかった。そこにはあるのは昏い怒りの色のみ。
「まさかとは思うけどさ……あんたの御主人様とあの変なのを逃がすために時間を稼ぐとか言うんじゃないよな? そんなボロボロでさ」
文醜の言う通り、男は満身創痍だった。
身体の至る所に傷があり、かなり多くの血を失っているのが見て取れる。その壮絶なまでの姿は、立っているのが不思議なほどだった。そんな男が、自分の前に立ちはだかること自体が不愉快だと言わんばかりに、文醜は苛立っている。
しかし、玉座の前──塞がれた隠し扉の前に立つ、男の姿は底知れない迫力があった。
「確かに今の俺は死に損ないだがな……貴様程度の足止めなら問題なかろう?」
「……あア?」
男は文醜に対して見下すような視線を向け、鼻で笑う。
「しかし……随分と強く出るようになったではないか。あの御仁がいなくなった途端に」
「っ!? な、なにを……っ」
「あの御仁に怯えていた時とは別人のようだな」
嘲りと皮肉に満ちた男の挑発は、図星がゆえに苛立っていた文醜の逆鱗に直撃していた。
「……死にたいのか、てめえは?」
直情型の文醜らしくない、抑揚のない声。
激怒を通り越したのか、早くも文醜からは殺気が溢れていた。
そんな文醜の様子に、男は心の中でほくそ笑む。
「随分な怒りようだな。図星をつかれた人間というのは得てしてそんなモノだ」
「…………」
「ふん……無理をせず引っ込んでればどうだ? 怯えてる少女ではこの死に損ないすら倒せないだろうからな。命が惜しいのなら、後ろに控える兵士に任せればいいんじゃないか?」
それは挑発としては三流だった。少しでも冷静であれば、これが挑発であると相手も気づくはずなのだが。
今の文醜には、それで充分だった。
文醜は玉座の間の入り口に留まっていた兵士たちに、
「……いいかお前ら。あたいがいいと言うまでここに入ってくるなよ。こいつは……絶対にあたいがぶっ殺してやる!」
玉座の間への立ち入りを禁じた。口を開くだけで沸き上がる怒気をまき散らしながら。
袁家二枚看板の一人である文醜の怒りのオーラを前に、兵士たちは震え上がり、コクコクと頷くばかり。
味方の兵士たちを半ば脅すような形で制してから、文醜は男へと向き直った。
「覚悟しろよ……この文醜様をコケにしたことを後悔させてやるっ!」
文醜は元々プライドに固執する人間ではない。だが、そんな彼女にだって譲れないモノはあった。それこそが、自らの武と命知らずの無鉄砲さである。
袁紹軍においてはそれこそ二枚看板と称されるほどの突出した武を誇り、そして何者にも背を向けないという“蛮勇っぷり”こそが、他の誰もが真似を出来ない文醜の無二の矜持なのだ。
そして、彼女の数少ないプライドを男が踏みにじったとなれば、怒りを露わにしない方がおかしい。
しかし、この展開こそが──
「……後悔? それは無理だな。今の俺には後悔など一片もなく、俺をこのあと後悔させる方法はただ一つ……俺をこの場で瞬殺することのみ。それがお主に出来るかな?」
「なめるな! この……っ、死に損ないがぁぁぁぁぁぁっ!」
「そっちこそ……侮るなよ? 命を賭した人間の最後の力を! 俺を殺せるモノなら殺して見ろ! 我が名は──っ!」
──男が願い、そして成し遂げた状況でもあった。
「…………」
部隊長の案内で城門まで戻ってきた顔良は、目の前の光景に絶句していた。
もはや日も暮れて、周囲には篝火が焚かれている城内。
そして、城門前で悠然と佇む覆面姿の少女を見て背筋が凍りつく。
その場を支配しているのは、今までに感じたことのない威圧感。
顔良はその少女の周囲に横たわる、今や物言わぬ存在と成り果てた勇士たちを心から尊敬した。
(……あれにかかっていけ、なんて命令……私には下せない。私が上官にそんな命令受けたら、まだその上官を裏切るという選択をした方がマシだって考えるくらい……あれはタチが悪すぎる)
そんな自分に比べたら、命令に殉じて死んでいった兵士たちはさぞかし勇敢だったのだろう。
そう思えるほどに、あの……戟を持って立ちはだかる少女は、この場では飛び抜けた存在だった。
「…………」
その少女の、覆面に覆われていない瞳が周囲を見渡す。
その目には「誰もかかってこないのか?」という視線だけでの挑発も含まれているような気がした。だが、顔良も含め誰もがその挑発に腹を立てる事も出来ない。袁紹軍の誰もが同じ思いだからだ。
死にたくはない……そして何より、あの少女に勝負を挑むこと自体が死を招くということが本能で理解出来ていたから。
しかし、だからといってこのままの膠着状態でいるわけにはいかなかった。
顔良としては、玉座の間に一人残した文醜の事が心配なのである。文醜と対峙していた“影”は間違いなく文醜よりも強かった。それを考えれば、こちらの厄介事を少しでも早く片づけて、再び文醜と合流しなければいけない。
だが……視線の先にいる少女をどうにかする事は、玉座の間の“影”を倒すことよりも難しいのではなかろうか。
顔良は直感的にそう感じていた。
それでも、顔良の中に逃げ出すという選択肢はない。
顔良はその元来の生真面目さと責任感に押し出されるようにして、覆面の少女を遠巻きに包囲している兵たちの中から抜け出るように、少女の前へと進み出た。
その勇姿に、袁紹軍の兵士たちから待ってましたと言わんばかりの大歓声が上がる。
(ふえ〜んっ。どうしてこんな圧勝ムードの中で、ここまで命懸けなコトをしなきゃいけないのよぉ……)
だが、そんな兵士たちの大歓声に応える余裕もない顔良は、せいぜい涼しい顔をして前に進み出ることしか出来ない。心の中で泣き言を喚きながら。
「…………」
一方の覆面の少女は、突然群れの中からこちらへと近づいてくる少女の姿に気づくと、その姿を殺気も闘気もない、一切の感情が感じられない目で凝視し始めた。
「う……っ」
しかしその視線が前に進もうとする顔良の脚の進みを鈍らせる。
ただでさえ、一歩ずつ少女との距離を縮めるたびに、顔良はその身にかかるプレッシャーが倍加していくのを感じていたのに、少女の無遠慮な視線がさらにそれを増加させていくのだ。
前に進めば進むほど降りかかる絶望感。
顔良だって袁家二枚看板の一人として、武に誇りは持っていた。
それでも彼女は認めざるを得ない。
間違いなく……目の前の覆面の少女には勝てないであろうことは。
(……それでも、前に出ないといけないなんて……割に合わないよぉ)
心では泣き言連発の顔良だが、その表情は凛々しくも雄々しい。
そしてついに、相手の戟の間合いのわずか外で足を止め、自らの武器である大槌を構えた。
「あ、あなたは何者なんですかっ? どうして私たちと敵対するんですかっ?」
戦う前に、それだけは聞いておきたかった顔良は、声の震えを必死に抑えながら、覆面の少女に言葉を投げかける。しかし、
「…………」
少女は黙して語らず。
そして相変わらず感情を持たない瞳で顔良を見据えるのみだった。
「……私ごときに答える義理はない、ということですか?」
「…………」
その沈黙を勝手に解釈する顔良に、少女はやはり沈黙のまま。
ただただ右手に戟を持ったまま、構えに見えない棒立ちでその場に佇むばかりだ。
その少女の姿と態度が、顔良はどうしても気になる。
先ほど玉座の間に乱入した“影”には明確な戦闘の意志があった。公孫賛を助けたいという戦う理由が。しかし、この少女にはその意志が感じられない。
確かにこの場に乱入して、袁紹軍の兵士たちを多く倒してはいる。だが、そこに行動理念が感じられないのだ。こうして相まみえてみることで初めて顔良は、その事実に気づく。
もし、彼女に戦う意志がないのなら、なんとか戦いを回避出来るかもしれないと。
だが──
「……答えなんてどうでもいい」
「──っ!?」
ここで初めて少女が口を開いた──とは言っても、覆面越しなので声も少しくぐもっているし、実際に口を開いているのは見えないのだが。
「……戦うの? 戦わないの?」
「…………」
少女のふてぶてしいまでの物言い。
突如言葉を発したこととにも驚いたし、思った以上に好戦的とも取れる彼女の言葉にも驚いた。
ゆえに顔良は言葉を詰まらせ、呆気にとられていたのである。
少女は顔良の問いかけをどうでもいいという一言で一蹴し、逆に問いかけてきた。
それは、この戦場においては実にシンプルなモノ。
顔良の方に、自分と戦うつもりがあるのかどうか。
それは、あたかも戦いの回避を考えていた顔良の心の中を見透かすような。
少なくとも顔良にはそう思えて……それが武人として恥ずべきモノに思えた。
だからこそ、顔良は先ほどまであった考えを捨てる。
「戦いますよ……当たり前じゃないですか。こっちはすでに味方をやられてますからね。この軍の副官であり、袁家二枚看板の一人として……あなたを許せませんから!」
そして、顔良は自らの“戦う意志”を少女に語った。
それを聞いた少女は、
「……そう」
短く一言。
そして、右手に持っていた戟を無造作に構えてみせた。
たったそれだけ──なのに。
「っっっ!?」
少女から放たれていた威圧感がさらに強くなり、顔良はまるで自分の周囲だけ重力が増したかのような錯覚を受けた。
少女が戦うつもりになっただけで、これほどのプレッシャーである。
「……いつでも来ていい」
少女は相変わらず短い一言。
どこからでもかかってこいと、言っているのだが。
「…………」
そんなことを言われても、顔良としては困るばかりだ。
かかっていこうにも、身体はプレッシャーで重く、戦う心を折られないようにするので精一杯なのである。
「…………」
「…………」
とはいえ、このままでは埒が明かない。
玉座の間の事を考えれば、ここでこれ以上睨み合ってる時間もないのだ。
(……うぅ……本当なら逃げたいのにぃ)
心の中の嘆き。
それを実現出来ないのが顔良だった。
そんな彼女の弱気を表面に発露させない、自身の強い責任感を恨めしく思いながら。
顔良は弱気の心に無理矢理発破を掛けて、少女へと突貫しようとしたまさにその時だった。
「わうっ! わうっ!」
「……へ?」
殺伐とした戦場に一匹の犬が駆け込んできたのである。
その、予想外な展開に、完全に出足を止められた顔良はぽかんとしてしまった。
犬は、その場の空気も読めてないのか、無邪気に覆面の少女へと駆け寄り、その足下にすり寄る。寄らば全て殺す……と言わんばかりの雰囲気を纏っていた少女のことだから、その可愛らしい犬をも戟で真っ二つにするのでは、と一瞬だけ危惧した顔良だったが、それは杞憂に終わった。
少女はしゃがんで犬の頭を撫でると、
「わんっ! わうわう〜……」
「……そう。ありがとセキト。先に行ってて」
「わうっ!」
犬に一言礼を言ってもう一度頭を撫でる。
(……会話してる? 犬と!?)
ツッコミどころ満載の光景に、顔良は呆気にとられて動くことが出来なかった。
少女は犬を城の外へと送り出し、それを見送ったところですっくと立ち上がり、顔良と向き合う。
そして……その場にいる全ての人間が唖然とする一言を放った。
「……帰る」
「………………は?」
「……もう、ここには用がない。だから、帰る」
「…………」
シンプル極まりない退却宣言である。
その、あまりに当たり前のように言いのけた少女に、誰もが驚き声が出せなかった。
あの犬の登場から、予想外のことが続きすぎて誰も何も言えない中で、少女はいたってマイペースを貫き、顔良に背を向けすたすたと城門の外へと歩き始めたのである。
それを見た顔良が真っ先に硬直から脱し、
「ちょっ……ちょっと待ちなさいっ! 何を勝手な──っ」
慌てて少女に声を掛けた。
いきなり袁紹軍相手に一人で乗り込み、百人以上の兵士を殺し、そして自分勝手に去っていくなんて……それこそ袁紹軍全体をバカにしきった行為を見過ごすことなど袁紹軍の将として出来るはずもない。しかし、
「……追ってくるなら勝手にすればいい」
少女は、顔良の声に立ち止まり、一度だけ振り返った。
そして──そこで初めて、覆面の上から覗かせた瞳に殺気を込め、顔良たち袁紹軍を睥睨して言い放つ。
「……追ってくるなら、殺すだけ」
先ほどまでと同様に張らない声。
しかしその少女の、質量すら感じる殺気を込めた視線と共に放たれた言葉は、どんな武人の恫喝よりも強い恐怖をその場にいた全員に与えていた。
そして再び少女は顔良たちに背を向け、悠然と歩きで去っていく。
顔良も……そして兵士たちも、動くことすらままならず、彼女の背中をただただ見送ることしか出来なかった。
そして、
「が、顔良将軍っ! いいのですか、あのまま行かせて!?」
少女の姿が完全に視界から消えてから、更に数十秒経ってから、ようやく彼女をここまで連れてきた部隊長の男が口を開く。
しかし、それに対する顔良の答えはドライなモノだった。
「じゃあ……あなたがあの少女を倒しに行ってくれますか?」
「あ……う……」
その、あまりに意地の悪い返しに、言葉を失う部隊長。
そんな男の顔を見て、顔良は苦笑を見せた。
「触らぬ神にたたりなし、とは言いますが……あれには関わらない方がいいでしょう? いくらなんでも、意味もなく兵士たちに“死んでこい”とは、言えませんからね」
「それは……」
顔良の穏やかとも言える口調で諭されては、部隊長の男も何も言えない。
彼もまた、同じ場で向かい合ったからこそ分かるのだ。誰がかかっていこうが、あの相手では結末は同じだと。あの少女一人を本気で討ち取ろうとすれば、それこそ万単位の兵士の命が必要となると。
敵の素性も、目的も知れない相手にそれほどの兵士を費やすことなど、それこそ馬鹿馬鹿しいのである。
「納得してくれたのであればいいんです。あなたはこの場に残り、兵士たちを休憩を与えるように。私は文ちゃん……じゃなかった、文醜将軍の様子を見てきますから」
「はっ! 了解しました!」
顔良は納得してくれた部隊長に指示を伝えると、再び城内へと駆け出した。
相棒の無事を祈りながら。
「それにしても……」
顔良は玉座の間へと走りながら、ひとりごちる。
「これでも、それなりに“強さ”には自信があったつもりだったんだけど……」
玉座の間に現れた黒い“影”の男。
城門で対峙した赤髪の覆面少女。
「……世の中は広いって思うには……あまりにあまりだよね。は〜ぁ」
多少の苦戦はあったモノの、それでも結果的には圧勝だったはずの今回の遠征。
しかし顔良はそこで、こんなにも苦い経験をする羽目になるとは、それこそ思ってもみなかったのだ。
「袁家二枚看板……かぁ。そんな言葉が虚しくなっちゃうよね……」
肩を落としつつ、顔良はそれでも玉座の間へと急ぐのだった。
「…………」
顔良は玉座の間へと駆けつけ、その光景を目にして言葉を失った。
自分がいない間に何があったのかはわからない。
だが、確実にその部屋の中に変化はあった。
玉座の間の周辺にいたはずの兵士たちの不在。
倒れた玉座。
その玉座の向こうの壁にある隠し扉。
その横倒しになった玉座に、不機嫌そうに腰を下ろしている文醜。
そして──その文醜の前で朽ち果てていた、一人の男。
「……文ちゃん?」
閑散とした玉座の間で、顔良の彼女を呼ぶ声が、随分と大きく響いた。
その声に、うつむいていた文醜が顔を上げる。
「よ、斗詩か……」
いつもの彼女らしくない、覇気のない声。
そして文醜はやはり力無い苦笑を浮かべて、
「悪ぃ……公孫賛を逃がしちまったよ」
簡潔すぎる言葉。そしてゆっくりと、何があったのかを語りはじめた。
玉座の裏に隠し扉があったこと。
そこから例の“影”が公孫賛を連れて脱出し、残った副官の男が足止めとして残ったこと。
そして、その副官を文醜が倒して、部屋の外に控えていた兵士たちに、隠し扉から公孫賛たちを追わせていること。
「……ホントなら、足止めに残った死に損ないなんて瞬殺すれば、奴らを逃がさずに済んだのかもしれないんだけどさ……」
兵士たちに追撃を命令した文醜ではあったが、それが間に合わないことは、文醜自身が一番理解していた。
「あの死に損ないを仕留めるのに、五分もかかっちまった……くそっ!」
悔しそうに、物言わぬ死体と成り果てた男を睨みつける。
いくら動けない公孫賛を抱えているとはいえ、そこまで時間を稼がれれば、放った追っ手も無駄だろう事は文醜にだってわかっていたのだ。
「情けねえ……何が袁家二枚看板だ。死に損ない一人倒すのに、このざまじゃ……」
顔良は、自分の武の程度を痛感させられた。
そしてそれは文醜も同じだったのである。
あの“影”相手に手も足も出ず、それどころか満身創痍の男を相手にも粘られたことで、彼女は自らの武の自信を失いつつあった。
「まったく……文ちゃんの──猪々子の悪い癖だよ」
「え……?」
そんな文醜に対して、顔良はあえて彼女を真名で呼び、苦言を呈する。
「人の話をちゃんと聞いてないから、そんな不覚を取るんだよ」
「斗詩の……話?」
顔良の言う“話”に思い当たる事が出来ず、首を傾げる文醜。
「もう……この玉座の間に駆けつける時に、私言ったよね? 死を覚悟した人間って厄介だって」
「あ……」
そこでようやく文醜は、彼女の“話”を思い出した。
確かに言われている……楽勝ムードで気を抜いていた文醜を諫めるように、顔良はそういう話をしていた。もっとも文醜はそれを聞き流していたが。
顔良は、浮かべていた苦笑を引っ込め、朽ち果てた男の死体を見据えて言う。
「このひとはきっと……死を覚悟して、そして残った命の全てを賭けて文ちゃんに挑んだんだよ。だから、さすがの文ちゃんでも苦戦したんじゃないかな」
顔良は確かにその場にはいなかった。
それでも、この男がどれほどの覚悟でこの場に残ったのか……それは理解出来る。
先ほど槌を向けて彼の動きを封じていた時に、顔良はある程度の実力は見切っていた。この副官の男は、仮に五体満足の状態であっても、文醜ならば一分とかからず始末することが出来たはずである。
しかし、あの時すでに満身創痍だった男は実際に文醜を相手に五分も保たせたのだ。
「ちぇ……結局は斗詩の言う通りってことか」
顔良の言葉で納得がいったのか、幾分スッキリした顔で文醜は横倒しになっていた玉座から立ち上がる。
元々文醜は、一つのことにいつまでもクヨクヨする粘着質な性格はしていないのだ。
相棒のそんなサッパリした性格も、顔良は気に入っている。
「猪々子……私もね、城門でけっこう思い知ったんだよ。自分があまり強くないんだって」
「なに? もしかして、そっちにいたのも強かったのか?」
「多分……あの“影”の人よりも強いと思う。その場に立っているだけなのに、兵士全員を威圧する存在感なんて、初めて味わったよ……」
「マジかよ……あの“影”野郎といい、そいつといい……何者なんだろうな?」
「わかんないよ……ただ、一つ気づいたことはあるよ」
「なになに?」
「私たちは、まだまだ強くなる必要があるってこと。じゃないと、生き残れないもん」
「……それは違いない。今回、マジで死ぬと思ったもんなー」
苛立ったり落胆する文醜はらしくない、と思った顔良はあえて冗談じみた声で彼女を元気づけた。その甲斐があってか、彼女はいつもの明るい表情を取り戻す。
そんな相棒の単純さに救われながらも、顔良は表情には出さずに今回の一件について考えた。
(猪々子の言う通り……今回は冗談抜きで危なかった。もし、あのひとたちがまた敵になるとしたら……今度は本気でこっちを倒しに来たりしたら……)
顔良の中で、城門に現れた少女と玉座に現れた“影”が仲間であることはある程度予測出来ていた。そしてその目的が公孫賛の救出であることも。恐らく城門の少女は陽動だったということも。
しかし、だからこそ文醜も顔良も生きている。
あの二人が暗殺者で、彼女らを狙っていたりしたら、間違いなく殺されていた。
運が良かった……と言えばそれまでだが。
顔良とて見た目は可憐な少女だが、中身は武人である。戦場で死ぬ覚悟はあった。だからといって進んで死にたいわけではない。むしろ誰よりも生き残りたいと思っていた。だからこそ、ここで安堵しているばかりではダメだと、それだけはしっかりと自らの心に喝を入れて引き締める。
(次に戦争する相手は……一騎当千の武将が複数いるんだから)
遼西を攻略した袁紹軍の、次の標的は勿論──
(それに、あのひとがいるからこそ……気落ちなんてしていられないんだから!)
──幽州西部の啄県である。
遼西の城から脱出してから延々と馬を飛ばし、途中で陽動をしてくれていた恋と合流し、さらに休むことなく馬を一晩中走らせ続け、ようやく俺たちの領内へと辿り着いた頃には、東の空から朝日が昇り始めていた。
すでに俺と恋は覆面を取り、素顔になっている。公孫賛は、すぐに俺のことには気づいたようだったが、一緒に来たのが恋──呂布であることに驚いていた。
「ふぅ……ここまで来れば、さすがに大丈夫だろう」
恋の馬の馬上には恋と、いつの間にか連れてきていたセキトが彼女の懐で大人しくしている。さすがにセキトに馬と並んで長距離を走らせるのはきついという配慮だろう。今回の遼西への道中、セキトは勝手に恋の後をついてきたのである。
まあ……その後、伝令役として役に立ってくれたのだから、助かったのだが。
そして俺の馬には、俺と俺の背にしがみつかせている公孫賛が乗っていた。
公孫賛は、脱出時こそ置いてきた副官の事を放っておけないとばかりに暴れていたが、
「あの男を無駄死にさせる気かっ!」
途中で俺が一喝して黙らせた。
その後は大人しくなってくれたのである。
しかし、乗馬というのはこれでかなり体力を使うモノだ。
俺や恋はまだしも、怪我をしている公孫賛は辛いだろうし、馬も休ませないとマズイだろうと思い、領内に入ってすぐのところにあった林の中で、俺たちは休憩を取ることにする。ちなみに県境には本来警備兵がいるのだが、詠から事前に聞いた──おそらくは朱里からの情報だろう──比較的監視の甘い場所を通って領内へと帰ってきた。
……まあ、これはこれで問題ではあるのだが。
下馬した恋は近くの木に馬を繋ぎ、それぞれ木を背もたれ代わりにして腰掛け、セキトと共に体を休める。俺も倣うようにして下馬した後、続いて公孫賛を馬から下ろし、彼女を座らせてから彼女への応急処置を始めた。
公孫賛は手足にいくつかの斬傷──と言ってもどれも浅い傷だが──があり、他にも右肩の骨に異常もあるのがパッと診てわかる。
「公孫賛、少し痛むかもしれんから、我慢していてくれ」
「ああ……」
幸いこっちはこういった手当は慣れているため、応急処置はスムーズに進んだ。
しかし、
「……高町」
「ん? どこか痛むか?」
不意に公孫賛に話しかけられ、俺は手を止める。
公孫賛は俺の言葉に首を横に振ってから、疲労のせいか声を絞り出すようにして俺に問いかけてきた。
「どうして……私を助けた?」
それはきっと、彼女が最初から思っていた疑問でもあるのだろう。それに、その言葉には「自分は死ぬべきだったのに」という後悔の念すら感じられる。
確かに今回、俺が彼女を助けるというのは暴挙と言えた。実際、愛紗たちには何も告げず出てきたし、俺自身も“太守という立場”を考えれば、今回こうして遼西まで出張ったのは間違ってるとは思う。
それでも、
「窮地に追い詰められた友を助けることは、さほどおかしい行動ではないと思うが」
ただこれだけの理念で動いたというのが、俺の原初の理由。
しかし、そんな答えに公孫賛は納得しない……いや、出来なかった。
「多くの部下が死んでいった……そして遼西の地は袁紹の手に落ちた。なのに、私一人がおめおめと生き長らえて……それで私が喜ぶとでも思ったのか!?」
「…………」
まるで血を吐くような、悲痛なまでの怒り。
公孫賛は最後の最後まで袁紹軍に抵抗し、兵たちと共に戦っていた。そして、多くの仲間達と一緒に死にゆくつもりだったのだろう。だからこそ、最後まで一緒に戦ってくれた副官の男を置き去りにしたことに強い憤りを覚えているのだ──生き延びた自分自身に。
「高町……お前が私を友として心配してくれたのは嬉しいさ。だがな……救うのなら私一人ではなく、遼西そのものを救って欲しかったんだ! しかし、そんな力は今のお前にはない。だから私はお前に援軍すら頼まなかったのだぞ!」
……正直、その言葉は痛かった。
彼女の言う通りである。俺には──いや、俺たちの軍には遼西の危機を救う力は無かった。袁紹軍十万に真っ向から立ち向かい、撃退するほどの戦力は有していない。
そしてそれは、連合軍にて共に戦った公孫賛だってわかっていたのだ。
だからこそ、彼女は俺たちに助けは求めなかったのである。
「……君の言う通りだ公孫賛。俺たちの今の力では、遼西を救うことなど出来ないだろう」
「なら、何故私を死なせてくれなかったんだ!? 私も彼らと共に遼西のために戦い、遼西で散るべきだったのに……っ」
それは太守である彼女らしい言葉だったのかもしれない。
遼西の民だって、彼女の言葉を聞けば感動だってするかもしれない。
だが──
「……黙れ」
公孫賛の悔恨の言葉そのものが気に入らないとばかりに、それまでセキトと共に体を休めていたはずの恋がいつしか俺たちの元へとやってきて、会話に割って入った。
「……死にたがる奴は嫌い」
「呂布……?」
「……死にたがる奴は弱い奴だから」
「なっ!?」
そして公孫賛に向けた言葉は、短いながら侮蔑を込めたモノ。
それまで公孫賛と会話をする気配すら見せなかった恋。その恋が初めて公孫賛に掛けた言葉がそれであった。公孫賛はいきなり話しかけられたことに驚き、それが侮蔑の言葉であることに怒りを覚える。
しかし、
「……生きていられるのに、死にたがるのは逃げてるだけ」
「え……?」
続けて出た恋のシンプルな言葉に、公孫賛は毒気を抜かれていた。
恋の言葉は、いつも短く、そして単純。
だからこそ、その言葉は回りくどくなく、常に核心を突いてくるのだ。
俺はあえて、この場は恋に任せてみることにする。恋のストレートな言葉の方が、公孫賛に響くのではないかと思って。
「……守りたいけど守れなかったって言うなら」
「…………」
「……守れるように強くなって、また帰ればいい」
「それ、は……」
恋の言葉には、不思議な説得力があった。
それは、彼女が自分の心を飾ることなく言葉に変えられるからだと俺は思っている。
プライドとか、しがらみとか。
そんなモノを一切感じさせない、真っ直ぐな思い。
それが言葉に出来るのは、きっと恋だけだ。
そんな恋の言葉の意味を公孫賛も悟ったのだろう。
戸惑いこそあるが、今の彼女に怒りはもう無かった。
「……御主人様は、お前が友達だから助けた」
「そう、だな……」
「……なのに、怒るのは間違ってる」
恋が本当に言いたかったのは、それだけ。
彼女はただ、俺が公孫賛に責められていることが許せなかったんだろう。
だから俺は、もう充分だという意味も込めて、恋の頭を撫でた。
「…………」
「ありがとな、恋」
「……(コクッ)」
俺の意図を理解したのだろう、恋はくすぐったそうに首をすくめて口を閉じ、そのままセキトのいる木陰へと戻っていく。
そして俺は、あらためて公孫賛と向かい合った。
彼女の表情は、先ほどまでの悲痛なまでの怒気をはらんだモノが消えて、どこか神妙な顔になっている。それは間違いなく恋のおかげだった。
「公孫賛」
「…………」
「正直なことを言えば、俺は遼西に来るまで、自分の行動が正しいかどうかの自信など持てなかった。お前にとってもありがた迷惑ではないか、とだって思った。だがな」
実際に公孫賛を助け出し、ここまで逃げ延びた今は、自信を持って言える。
「俺はお前を助けたことは、決して間違ってはいなかった。それは間違いないと言える」
「……何故だ?」
「それを望む者が居たからだ」
「──」
俺の脳裏に、足止めを買って出た副官の男の姿が浮かんだ。
そしてそれは、きっと公孫賛も一緒だろう。
「俺はあの男に託されたんだ……公孫賛という遼西の希望をな。だからこそ俺は、いつかきっと再び遼西へとお前を連れて行く。それが……あそこで最後まで戦った彼の──そしてお前の元で奮戦した兵たちの願いだからだ」
遼西の民を安寧へと導けるのは、もちろん袁紹ではないし、ましてや曹操でも孫権でも、俺たちですらない。それが出来るのはただ一人。
「お前を助けたのは俺のワガママだったが、今はもう違う。お前を再び遼西の太守にするのは俺の義務だ。そして、お前に拒否権はない」
「……随分と……乱暴な、理屈だな」
公孫賛の、途切れ途切れの抗議の言葉。
しかし、彼女の顔にはどこか呆れたようで、それでいて清々しい笑みを浮かべていた。
目にいっぱいの涙を溜めて。
「太守の責任なんてのは、そんなもんだろ? 生きてる限り、その責務を果たすんだな」
「……まったく、割に合わない仕事だな」
「かもしれないな。最近は俺もそう思うことが少なくない」
「そんな不良太守に説教を受けるとは……私も地に落ちたな」
軽口の応酬。
だが、そこには不快なモノは何一つ無かった。
それは、どこにでもある友人同士の会話。
「……約束しろ。私をいつか、遼西へと戻すことを」
「言われるまでもない。それはもう、俺の義務だからな。ただ」
「……ただ?」
「手伝ってくれると、助かる。何しろ俺はこういった暴走もたびたび起こす不良太守だからな」
「しょうがない……ヤツだなっ」
次の瞬間。
公孫賛は突然俺の襟首を掴むと、そのまま俺の胸へと顔を押しつけた。そして、
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっっっっっ!!」
堪えきれなくなった涙をこちらに見せないようにしてから、嗚咽する。
共に戦ってきた戦友たちへの別れを惜しみ。
無力な自分を嘆いての涙。
それは慟哭よりも痛々しく、どんな涙よりも重いモノ。
公孫賛はただただ涙を流す。
今の俺に出来ることは少なく、彼女の身体をそっと抱き寄せ、早く全ての涙が流れてくれるようにと願いながら頭を撫でてやることくらいだった。
そして、彼女の涙が果てたのか嗚咽が終わったのを見計らって、俺は問いかける。
「公孫賛……一つだけ教えてくれ」
「ん?」
「彼の……お前の副官を務めていた、あの男の名前を教えてくれないか?」
「……田楷、だ」
「そうか……」
出会ったのは戦場。
視線を交わしたのは数瞬。
交わした言葉は指折り数える程度。
それでも──俺は彼の名を胸に刻む必要があった。
俺は彼──田楷と約束を交わしたから。
俺は、田楷の名の下に誓う。
必ず、公孫賛を遼西へと戻してみせる、と。
あとがき
……こうしてみると、遼西での恭也は案外目立ってない(ぇ
未熟SS書きの仁野純弥です。
公孫賛編完結……と、一応は言っておきます。ですが、今回の主役は恭也よりも恋、もしくは公孫賛の副官さんなのかも。
ちなみにラストに副官さんの名前を出しましたが……「田楷」という武将はホントにいたらしいです。まあ、このあたりで三国志に詳しい読者さんにはいろんなツッコミを入れられてしまうかもですが、ここで苦しい言い訳でも(ぇ
田楷という武将が公孫賛の配下にいたのは確かですが、彼が本当に公孫賛の副官の立場にいたのかどうかはまったく確認していません。公孫賛の配下の中から適当にチョイスしただけなので、このあたりは生暖かい目で見ていただけたら……と。
さて、今回までの原作になかったエピソードから、次回は再び原作の流れへと戻ります。ついに“あのお方”との直接対決となるのですが……思った以上に長引きそうなので、覚悟してもらえると助かります(ぇ
では最後に、ここまでこのお話を読んでくださってる読者の皆様と、SS公開の場をくださった氷瀬さんに最大級の感謝を。
では〜。
公孫賛は助けれたけれど、彼女の副官は。
美姫 「自分の命を使ってまで主人を逃がすなんて、本当に忠義に厚い武人よね」
だな。これで高町軍に新たな仲間も入ってきたな。
美姫 「いよいよ次回は彼女たちとの戦いになるのね」
一体どうなるのか非常に楽しみです。
美姫 「次回も楽しみに待っていますね」
待ってます!