「はぁぁぁぁぁぁぁっっ!」

 敵を震え上がらせるほどの裂帛の声。
 そして振るわれるは嵐撃とも言うべき青龍刀の一撃。
 斬られ、吹き飛ばされる敵兵たち。
 そして、その一撃に怯える敵兵たち。
 その頼もしさに鼓舞される味方の兵たち。
 そんな中で、愛紗はなおも青龍刀を振るい続けた。





「うりゃりゃりゃりゃりゃーっ!」

 戦場にはそぐわないやんちゃなかけ声。
 しかしその声の主は、大人の兵たちをいとも容易く薙ぎ倒していった。
 必殺の武器──蛇矛を操り、並み居る精兵を撃破するその後ろ姿が味方を鼓舞し続ける。
 ──張飛将軍はあの小さな身体でここまで頑張っているんだ。なら俺たちだって……っ。
 そして奮戦する高町軍の兵士たち。
 そんな彼らの心など気づかないまま、鈴々はさらに蛇矛で敵を駆逐していった。







「……っ、はっ!」

 白の疾風が、静かに戦場を駆けめぐる。
 両の手に握られた小太刀が閃くと、敵兵達は抗う事も出来ないままに、次々と絶命していった。
 敵兵は、彼の影を踏む事すら出来ず、斬られた事にすら気づかないまま倒れ伏す。
 決して大柄ではない身体。
 愛紗や鈴々のような超人的な力があるわけでもない。
 だが、彼はその場にいる誰よりも強く、敵兵を倒していく。
 その姿こそが、味方を鼓舞するのだ──俺たちもやれると。
 味方の士気を戦う姿で上げていきながら、恭也の小太刀はまた一人、敵を斬り捨てるのだった。

















『恋姫†無双異聞 〜高町恭也伝〜』
 第二十章

















 朱里は前線で奮闘する恭也たちを見据えながらも、戦場全ての動きを察知すべく目と耳から受ける情報に意識を集中させていた。
 目に見えるモノから、斥候から絶えず届く情報まで。それらを元に状況を判断し、タイミングを計っている。

「ここまでは順調……御主人様も、愛紗さんも、鈴々ちゃんも。みんな頑張って戦線を維持してくれてるし、ちゃんと少しずつ下がってきてくれてる」

 今のところ、朱里の策はしっかりと機能していた。
 間違いなく順調だった。
 しかし……

「でも……順調すぎるのが、ちょっと気にかかるかも」

 朱里はそこに不安を感じている。
 朱里の予測では、ここまで拍子抜けするくらい順調にいくとは思っていなかったからだ。
 何故なら──敵軍の将は“あの”呂布なのだから。
 音に聞こえし最強の武人。その強さは、同じ軍の華雄や張遼すらも凌ぐ凄腕の将。朱里の“楽観的予測”ですら愛紗や鈴々と互角という評価。そして最悪の場合は……言うまでもない。
 そして、それほどの将ならば前線で得物を振るっていてもなんらおかしくはないのだが、朱里が見ている限りでは、その姿はいまだに前線で確認されていない。旗印に「呂」の一文字がある以上、この戦場に立っている事は間違いないのに。

「伏兵とか……? ううん、そんなはずはない。虎牢関側にだって水関の戦闘情報は入ってるはずなんだし。でも、そうすると……」

 そこにあるはずのモノがない……それは朱里の不安を煽るが、ここで変に意識しすぎて策を崩せば、かえって兵たちの不安を煽るだけだ。
 結局朱里は不安を抱えたまま、戦況を見定めることしかできないのであった。



















 ──実際問題、朱里の不安は杞憂に過ぎない。
 彼女の最大の不安──呂布は、軍の後方で戦況を眺めていた。脇に張遼を従えて。
 共に一騎当千の呼び声高い猛将二人がどうして最前線に姿を見せずにいるのか。それには理由があった。

 水関が連合軍に落とされた数日後。
 虎牢関に、水関からいち早く脱出した華雄の副官二人が逃げてきたのだ。仲間を捨てて逃げてきた副官達に兵や将たちの非難が集中したが、彼らには言い分があったのである。それが、水関での華雄の暴走だった。
 水関防衛の際、彼らは再三華雄に外へ出て戦うな、と諫言してきたという。副官としての役目を果たそうとしたのだと。しかし華雄はそれを聞き入れず、水関の外へ出て敵兵に突っ込んでいき、陥落間際の時は、三人居た副官の一人を聞く耳持たんとばかりに斬り捨てたのだと。
 だから自分たちは決して悪くはないんだと、副官二人は主張したのだ。
 その、自分の保身に走る言い訳を聞いていた張遼は不快な表情を隠そうとはしなかったモノの、彼らの話は水関を見張らせていた斥候からの報告と合致するため、咎めるわけにもいかず、とりあえず二人を休ませる事にした。
 そして副官二人の話は虎牢関を守る兵士たちに伝わっていく。
 武人の誇りにかまけ、将としての本分を忘れた華雄のせいで水関は落ちた──と。
 これが厄介な枷となる。
 もし野戦となるようなこととなれば、この軍には必勝パターンがあった。それはもちろん、最強の将呂布を前面に押し出し、敵を圧倒する事である。しかし、今の軍内に流れる噂がそれを許さない空気を出しているのだ。
 将としてはともかく、華雄は間違いなく董卓軍でもトップクラスの武人だった。それが討ち取られたという現実がある以上、呂布や張遼だってわからない……そんな空気も流れている。そんな中で武人としての誇りと言わんばかりに前線で戦おうモノなら、兵たちの士気は下がってしまうのだ。また将としての本分を忘れて、指揮官が危険な前線で戦うのか、と。

 そんな空気を敏感に察知していた張遼としては、野戦にならない事を祈るばかりだった。
 しかし、その祈りは通じない。
 虎牢関に意気揚々とやってきた連合軍は、あろうことか連合内でもっとも弱い勢力である高町軍を先鋒に据えたのだ。
 その情報を耳にした時、張遼は伝令兵の前で舌打ちをしたという。
 よりにもよって、相手は華雄を討ち取った武将が居るという高町軍。しかも敵は兵数も少なく、こちらが打って出れば撃破出来る可能性も高そうな……そんな相手なのだ。
 虎牢関内の兵士たちは、当然野戦で迎え撃つモノだと思っているし、やつらが水関での一番手柄だということも知っている分、弔い合戦だと息巻くモノまで出る始末。
 しかし水関の経緯ゆえに呂布も張遼も前に出るわけにはいかない。
 それでも、敵兵の数──約一万に対し、自分たちは二万五千は出せる。これなら数でなんとか押し切れるかもしれない、と張遼は考えた。
 もちろん、戦いを長引かせれば敵の増援が来る可能性があるので、望むは短期決戦なのだが。

(しゃーないな。こればっかりは運を天に任せるしかあらへん)

 半ばやけに近い形で決断した副官張遼は、形式上の大将である呂布を連れて、高町軍との決戦に臨んだのであった。















 そして──戦況は、張遼の考えていた中でもっとも悪い展開となっていた。

「報告! 敵の前線は崩れてませんが、我が軍が徐々に敵軍を圧しております! 敵前線が崩れるのも時間の問題かと!」
「さよか……んじゃ、引き続き戦況を見に戻りや」
「はっ!」

 自軍の優位を伝えた伝令兵に対し、冷めた口調で受け答えした張遼は、その兵を下がらせる。
 そんな一部始終を見ていた大将の呂布は、ぽつりと呟いた。

「……霞?」
「んん? どないしたん?」
「……ヘン」
「……まだ言うか。あんなぁ呂布ちん。ウチのどこが──」
「……勝ってるって言ってるのに」
「む……?」
「……霞、負けてる顔してる」
「…………」

 呂布の鋭い指摘に、張遼は言葉を詰まらせる。
 呂布からすれば、先ほどの伝令兵の報告は嬉しい報告のはずなのに、霞──張遼が不機嫌そうな顔をしてるのが、彼女にとっては不思議なのだ。
 そんな呂布の真っ直ぐな問いに、張遼は苦笑して肩をすくめる。

「そんな顔をしとったか……それはあかんな。士気に影響するわ」
「……勝ってるのに、負けてる?」
「まあ……少なくとも、ええ状況ではないわな」
「じゃあ……」

 呂布は自らの得物──方天画戟を手にして前を見据えた。

「……恋がいく」
「そ、それはあかんて!」
「……む」

 呂布としては張遼が困ってるから、前に行こうとする。そんな呂布の気持ちがわかり、彼女なりの気遣いが嬉しい張遼ではあるが、だからといって今呂布を最前線に出すのはかえって兵の士気を落とす事になってしまうのがわかっているだけに、止めざるを得なかったのだ。

「正直な事を言えば、ウチかて前線には出たいんやで? 高町軍にはごっつい武将が二人居るって聞いとるし。けどなぁ……軍の事を考えたら出られへんねん」
「……………………」

 呂布は張遼の言いたい事が理解出来ずに、眉をひそめて無言のまま。
 兵の士気の事など呂布に言っても通じない事はわかりきってるためか張遼は説明などせず、ともかくあかん、の一点張り。呂布も、張遼がそう言うのならきっと正しい、くらいに思っているのか、それ以上は何も言わずに方天画戟を下ろすのだった。
 そんな時である。

「曹操だ! 魏の軍隊が右手から出てきたぞーっ!」
「呉だ! 孫権軍が左方からいきなり現れたーっ!」

 そしてその声と同時に、

 じゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん……

 遙か前方から聞こえて来た銅鑼の音。
 その音から一拍おいて、前線からの報告。

「高町軍が突如転進! 全速力で戦線を離脱していきます!」
「ちぃっ!」

 張遼は悔しさを隠そうともせずに舌打ちをした。





















 ──銅鑼の音が前線の三人に届いた。

「本陣からの合図なのだ! みんな、今すぐ転進! 後退するよーっ!」

 左翼の鈴々が。

「よし! 全軍全速での後退だが、敵への対応を怠るな! これより後退戦闘に移る!」

 右翼の愛紗が。

「速やかに下がれ! のんびりしてると公孫賛軍の矢を受ける羽目になるぞ!」

 そして中央の恭也が、奮戦していた兵たちに号令を下し、即座に後退を始めた。
 寡兵なれど鍛え上げられた高町軍の精兵達は将の言葉を良く守り、素早く後退していく。当然それぞれの殿には鈴々、愛紗、恭也が立ち、敵の追撃を振り切っていく。
 そしてそこへ──前もって打ち合わせていた公孫賛軍からの矢の雨が、敵の前線へと際限なく降り注いだ。
















「高町軍が下がっとるのやったら、背中を突いたらええやんか。前線は何をしとんねん!」
「高町軍の後方から大量の矢が放たれて、追撃が出来ません! どうやら公孫賛軍からの攻撃のようです!」
「なんちゅうこっちゃ……完璧にハメられたか」

 張遼は報告を聞き終えた後に手で顔を覆い、天を仰いだ。
 ここに来てようやく敵の策の全貌が見えてきた。
 まず高町軍が前に出る事で虎牢関の中の主力を引きずり出し、そして高町軍は引っ張り出した呂布軍を相手に戦線を維持しつつも後退し、呂布軍を虎牢関から徐々に引き離していく。そして頃合いを見計らって曹操軍と孫権軍に横撃をかけさせ、呂布軍を引き付けていた高町軍は、後方からの公孫賛軍の援護射撃という保険を駆使して、前線から離脱。呂布軍への攻撃を魏、呉の両軍に押しつけた、というわけなのだ。

「ま、この策を考えたんは多分高町軍の関係者やろな。うっすらと魏呉両軍に対する悪意も感じられるけど。まあ、それくらいはあるやろな。連合かて一枚岩やなさそやし」

 張遼は、この策を考えた人間の頭の良さに感心しつつ、これからの事を考える。
 左右から迫る魏と呉の大軍。まんまと高町軍には逃げられ、しかも虎牢関まで戻るには距離が出来てしまってる。ここで慌てて退却しても、左右からの大軍に飲み込まれる可能性の方が高い。
 となれば、取る手は一つ。

「……こうなったらもう、それぞれの軍とぶつかり合うしか道はなさそうやな」
「……(コクッ)」

 張遼は不敵な笑みを浮かべながら、迫る大軍を見据えた。その言葉に呂布も頷く。
 そもそも張遼だって今回は前線で槍を思う存分振るいたかったというのが正直なところなのだ。だが、軍内の雰囲気が変になっていたため、らしくもない後方待機を余儀なくされたのである。
 とはいえ今は将が前に出る出ないということを気にしている場合ではなかった。そしてそんな状況になってくれた事を張遼は不謹慎にも喜んでいたのである。

「よっしゃ! こうなったらもう高町軍の事は忘れて、左右から迫る魏と呉の軍勢を迎え討ったる! 呂布ちんは孫権軍相手に暴れたり。ウチは曹操軍を相手にしたるわ。もう我慢する必要はないから、最前線でいっぱい暴れてきぃや。呂布ちん」
「……(コクッ)」

 張遼の言葉に呂布は躊躇すること無く頷いた。そして孫権軍が迫る左方へと向かう呂布に、張遼が最後に一声かける。

「呂布ちん、暴れるのもええけどな。余裕が出来たら無事な兵士連れて虎牢関に戻ったり。兵士を守るのも将の役目やさかいな」
「……………………(コクッ)」

 今度はさっきよりも多少間が空いての頷き。
 あまり気が進まないけど、言う通りにする……といったところか。
 そんな呂布の正直な反応に苦笑しつつ、張遼もまた曹操軍の前へと出ていった。

「さて……いっちょ暴れたるかっ!」

 手にした得物を振り回し、張遼は曹操軍を迎え撃つ。




















 ほぼ同じ頃の曹操軍では。

「華琳さま! 高町軍が予想以上に早く戦線を離脱! よって敵軍は態勢を整えて我らと向かい合っています! これでは横撃の意味が……っ!」

 夏侯惇の焦りの声と、

「……ここに来て意趣返しとは、やってくれるじゃない高町恭也……っ。春蘭? 先鋒はともかくとしても他の部隊の態勢を立て直しなさい。こうなってはもう兵は退けない。ならば、少しでも混乱を抑えるようにして」

 曹操の、悔しさをしっかりと抑えた冷静な声が響き。













 同じく孫権軍では。

「これはまた……高町軍にもなかなかの策士が居るようですな」

 言葉こそ驚いた様子だが、口調そのものは泰然自若と言った周瑜。
 そんな周瑜の敵軍への評価を黙殺していた孫権は、

「……興覇」
「はっ!」
「鋒矢の陣を取れ。このままの勢いで横撃を掛けろ」
「御意!」

 動揺することなく、前線を指揮する甘寧に指示を出していた。
 その様子を見守っていた周瑜は、やはり孫権の命が下ってから問いかける。

「この状況でも、このままこちらから仕掛けるので?」
「ここで勢いを殺してしまえば、さらに敵の態勢が整うばかり。ならばこのまま横撃したあと、余勢を駆って城門を落とす方が得策だ」
「……なるほど」
「何か意見があるか?」

 孫権の口調はどこか挑むような声色だ。
 しかし周瑜は相変わらずの不敵な笑みを浮かべたまま、首を横に振る。

「いえ。現状ではその方策が有効でしょう」
「ならば実行せよ」
「御意……」





















 なんとか無事に戦線を離脱した俺たちは、朱里の待つ自軍本陣へと戻ってきた。

「御主人様! 曹操軍と孫権軍が敵軍と衝突しました! 作戦は大成功です!」
「高町も関羽も張飛も無事で何より。やったな!」

 そこには朱里の他にもう一人──俺たちの後退をサポートしてくれた公孫賛の姿もある。
 俺はまず公孫賛に駆け寄り、がっちりと握手を交わした。

「さすが公孫賛だ。あの両軍を動かしてくれたし、それに後退時の援護射撃にも助けられた」
「よせよ。説得自体はそんなに難しくはなかったし、援護射撃のタイミングだって諸葛亮からの指示なんだ」
「それでも助かったよ。ありがとう」
「うう……だ、だからそんなに爽やかに笑いかけるなーっ」

 相変わらずの照れ屋だな。
 まあ、ここで恩人をそんなに困らせることもあるまい。
 俺は続いて朱里に声を掛けた。

「朱里も、お疲れさん。合図の時機は抜群だったぞ」

 相変わらずの素晴らしいタイミングで合図を送った朱里の功績は大きい。俺は朱里の頭を少し雑ではあったが力強く撫でた。

「あ……えへへ♪」

 嬉しそうに笑う朱里。
 そして今度は振り返り、俺と共に前線から帰ってきた二人へ。

「愛紗も鈴々も、二人とも……よくやってくれた。二人の頑張りがなければこの策は成り立たなかった。二人ともさすがだな」
「お兄ちゃん! 鈴々も! 鈴々も!」
「…………」

 どうやら鈴々は朱里が羨ましかったらしい。しょうがないな、と苦笑しつつ、俺は鈴々の頭も撫でてやる。すると、

「にゃはははっ♪」

 気持ちよさそうな表情を見せて上機嫌になる鈴々。
 だが、その横では愛紗が何故かふて腐れた顔をしていた。

「愛紗?」
「…………」
「にゃはは。愛紗もナデナデして欲しいなら、そう言えばいいのだ!」
「っっ!? ばっ、何を言ってるか鈴々! 私は別に……別に……」

 鈴々の挑発的な言葉に反論しようとする愛紗だったが、その語尾がどんどん弱くなっていく。
 そういう……事なのか?
 俺はとりあえず、

「愛紗も……くるか?」
「…………」

 愛紗は顔を羞恥で赤くしたまま、それでも俺の言葉に従い、傍へとやってきた。
 そして、俺は空いていた左手で愛紗の黒髪を梳くようにして撫でてみる。
 すると、

「はぁ……♪」

 愛紗は至福の表情を見せるのであった。




「……あれが、敵兵を震え上がらせた関羽と張飛だなんて、きっと今の姿を見たら信じないだろうね」
「ですが、あれこそが私たちの活力の源なのですよ。公孫賛将軍」
「やれやれ……いろんな意味で、とんでもない連中だ」
「ちなみに、公孫賛将軍もどうですか? 御主人様のナデナデは気持ちいいんですよ?」
「魅力的だけどね、やめておくよ。仮にも私は、高町の部下ではなく、太守なんだからな。諸葛亮」















 それぞれのメンバーをねぎらった(?)ところで、俺は朱里に現状を聞き出す。

「現在、魏と呉の両軍が敵主力と激突しています。当然戦況としては数に勝る魏呉両軍が押し気味ですが、敵もなかなか耐えているようです。斥候さんのお話では、どうやら張遼、呂布の二人がここでようやく前線へと出てきているようで」
「なるほど……ということは」

 ここで一つ思いついた事がある。
 先の水関では結局水関への一番乗りは盗られてしまったが、今回が意趣返しというのであれば、

「俺たちも再び転進して攻撃を仕掛けられるな……こっちが再び攻撃を掛けても呂布も張遼も魏と呉に対応してるはずだから俺たちの方にはこないだろうし、士気の高い俺たちの軍なら一気にその勢いで虎牢関を落とせる可能性もあるんじゃないか?」

 こういうことも可能なはずだ。
 そんな俺の意見に、朱里はこくりと大きく頷く。

「その通りです御主人様! ここは公孫賛軍と合同軍を形成して、一気に敵にとどめを刺して、その勢いで虎牢関を落としましょう!」
「いいね……今回私は裏方ばかりだったんでね。そろそろ前線で暴れさせてもらおうか!」

 朱里の意見に、公孫賛も乗り気だ。
 そして、

「私も賛成です! さっきまでは守りに徹する戦いでしたが、今度はこっちから攻め上がりましょう!」
「鈴々もまだまだ暴れ足りないのだーっ!」

 愛紗、鈴々の二人も異存はない。
 となればもう、迷う事は何一つ無かった。

「では、俺たちも反撃に移るぞっ!」

 兵たちに檄を飛ばし、俺たちは再び突撃態勢を取る。

「みんな鈴々につづけーーーーーーーっ!」

 そして鈴々の威勢のいい声につられ、高町・公孫賛連合軍が進軍を開始した。
 向かうは……左右魏呉両軍への対応でこちらに目を向ける余裕もない敵軍の前面!























あとがき

 まぁ、まずは序盤ってことでー。
 未熟SS書きの仁野純弥です。
 ついに火蓋を切った虎牢関決戦。とはいえ、まだ呂布と張遼は戦場での出番はなし。原作の方でも、あの二人が最前線に出なかったのが、ちょっと疑問に思ったので、ここではその理由をつけてみました。ちょっと強引だったかも……(汗
 では最後に、ここまでこのお話を読んでくださってる読者の皆様と、SS公開の場をくださった氷瀬さんに最大級の感謝を。
 では〜。



遂に開かれた戦端。
美姫 「今回は高町軍が前回の意趣返しね」
うんうん。朱理の策も上手く言って居るみたいだな。
美姫 「そして、再び高町軍が攻める!」
どうなるかな〜。どうなるのかな〜。
美姫 「次回がとっても楽しみね〜」
もう待ち遠しいです。早く来い来い次話〜。
美姫 「それじゃあ、首を長くしてお待ちしてます」
待っています。



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