前書き
この作品はデュエルセイバー(ジャスティス・デスティニー)と、とらいあんぐるハート3のクロスオーバーです。
とらハにもオリジナル要素が入る予定ですが、デュエルセイバーに関しては、オリジナルが大多数を占めます。
オリジナル系が嫌いな方は読まないほうが良いでしょう。
少女は、古びたアパートの一室で、一冊の白い表紙の本を見つけた。
「あれ?なんだろ、この本」
青年は、古びたアパートの一室で、一冊の赤い表紙の本を見つけた。
「ん?なんだ、これ?」
二人は、同時に思った。
(なんだか、懐かしい……)
本を手にした二人の脳裏に、声が響く。
『破滅の時は来た。さぁ、行こう。我と共に……』
二人の視界の明暗が反転し、落下とも浮遊とも付かぬ感覚。
『救世主よ。誘わん、アヴァターへ』
そして、意識は闇に堕ちる。
デュアルセイバー
トライアングル
Ep
01 『召喚』
「で、月村。これはなんだ」
大学に入って二年目の春、朝早くから月村邸に呼び出された。
そして、見せられた物は、アーチ状のよく解らない装置だった。
「これはね、『ゲート』って呼ばれる機械よ」
ここからの月村の説明は専門用語を交えたもので、知識の無い俺にはさっぱりだったが、とりあえず解った事がある。
それは、
@
夜の一族に太古から伝わる物
A
使用方法どころか、起動方法すら解らなかった
B
最近、この機械に関する古文書が見つかった
の三つ。
それらを総合すると……
「つまり、その古文書に使い方らしきモノが書いてあって、遺失工学者のおまえに調査依頼が来た…と?」
「うん。とりあえず起動方法と機能。あと、安全性は確かめたから」
安全性ってなんだ?と、問いたい気持ちをグッと堪える。
どうせ身をもって確認する事になるだろうし……
「で、どんな使い方をするんだ?」
「それは後で話すから、まずは古文書の説明させてね。古文書……って言っても石版なんだけど、それによると、『ゲート』は一族が作ったものじゃ無いらしいの」
「つまり、ノエルやイレインとは技術体系が違うのか?」
「それは同じ。遺失工学は、『根の国に渡った』もしくは『根の国から渡って来た』ヒトが伝えたらしいの。だから基礎理論は同じ。で、自動人形は一族の技術者が作ったけど、『ゲート』はそのヒト達の遺産」
月村は話しながら、奇妙な図形の並んだ操作盤らしきものを触りだした。
「待て。根の国だと?日本神話における死者の国じゃないか。それに『渡った』と『渡って来た』では意味が違いすぎるだろう?」
「この古代文字は接続詞の使い方が特殊で、同じ単語と接続詞でも前後の文脈で意味が180度変わっちゃうんだもん。それと、根の国って言うのが何を指すのかも不明。多分だけど、異世界とかじゃないかな?」
「……頭が痛くなってきた」
根の国が死者の国とするならば、『渡った』は滅びたと言う暗喩になるが、それでは『渡って来た』場合の意味が不明だ。
やはり、『渡った』と読むべきなのか?
しばらく様子を見ていると、周囲には『ヴゥゥウウゥゥゥゥゥゥン……』という、低い音が響き始める。
「でね、この『ゲート』は、そのヒト達が長距離移動に使ってたみたい。ま、空間転移装置……、ぶっちゃけ『どこ○もドア』よ」
「はぁ……、ますます頭が痛くなってきた。で、俺はその『ゲート』とやらを通ればいいのか?」
「うん。さっすが高町君。話が早いね…………と、よし。起動!」
「目的地は高町家の庭……座標入力……システム・オール・グリーン………(多分)……準備OK」
「待て月村、今、何か不穏当な事を言わなかったか?」
「気のせい気のせい。さー、入って!……あ、着いたら電話してね〜」
………嫌な予感、開始。
「……本っ当〜に、安全なんだろうな?」
「大丈夫だって!安次郎で実験済み」
人体実験済みか……。
なら、安心……で、良いのだろうか?
まぁ、安次郎氏なら良いか。
晶とは違う意味で、晶並に不死身そうだし。
晶といえば、出掛けに会ったときの様子が変だったな…。
暫く様子を見て、続く様なら話を聞いてみるとして……。
まぁ、今はいいか。
とりあえずの安全は確保出来そうなので、アーチの前に立って準備を待つ。
「転移座標固定。歪曲場発生確認。ワームホール展開。……、よっし、繋がった!」
唸るような低い音が『キィィィィィィィン……』という高い音に変化し、アーチ状の機械が七色に明滅を始める。
そして、アーチの中に濃密な闇が満ちる。
『見つけた』
「行ってらっしゃーい♪」と、気楽に手を振る月村に背を向け、『ゲート』とやらに、向かう。
『白の理を知る心』
近づくにつれ、アーチの明滅が激しくなる。
『赤の理を識る魂』
駆動音は、可聴音域の限界まで高くなり、耳鳴りが始まる。
『扉は開いた』
明滅は激しくなり、世界は見た事の無い色彩を描く。
『おいで、アヴァターへ…』
激しい耳鳴りは、次第に誰かの囁きのように聞こえてくる。
『行こう、アヴァターへ…』
最後の一歩を踏み出した時、耳鳴りは確かな声になる。
『我等と共に!』
その声を最後に、意識が途絶えた。
あとがき
はじめまして、ジャガイモ男爵と申します。
前書きにも書きましたが、当SSは「DUEL SAVIOR(JUSTICE・DESTINY)」と「とらいあんぐるハート3」のクロスになります。
しかも「DUEL SAVIOR(JUSTICE・DESTINY)」は殆どオリジナル。
無謀な挑戦ですが、宜しくお願いします。
因みにタイトルは「デュアルセイバー」です。
「デュエル」では無いのには、ちゃんと理由があります。
それと、この作品は設定先行で書いております。
つまり、設定を考え、その設定を生かせる話を考える、という事です。
私は設定を考えるのが大好きなのです。
それを生かせる話が書けるかどうかは別問題ですが……
設定を考えるのは得意なのですが、それを文章にしようとすると呆れるほどに時間が掛かるのです。
(実際、設定だけ作って、話を書いていない物が5つほどあります。…誰か、書いて……)
更新速度は恐ろしく遅くなると思いますが、仕事に支障が出ない程度に頑張りたいと思います。
DUELととらハとのクロス〜。
美姫 「投稿ありがとうございます」
ありがとうございます!
これからどんな話が展開されるのかな。期待で胸がドキドキです。
美姫 「ちょっと変わった方法で恭也は世界を渡るみたいね」
その際に聞こえたらしき声も意味深。
いや、本当に続きが楽しみです。
美姫 「次回も楽しみにしてますね」
待っています。