「………」

 

  暗く、広い洞窟の中、眠っていた。

 

  彼女――張梁こと神麗(しぇんれい)は眠っていた。それは獣の冬眠の様に身体の全機能をできるだけ低くしながらの一種の仮死状態に近かった。

 

  それは于吉が他の“管理者”からの発見をなるべく遅れさせるために取った手段だ。そのために、神麗は完全な龍化の状態から半龍化の状態に移行していた。

 

「ご老体方が…私を召集してきました…」

 

  その暗い洞窟の中、眼鏡を掛けた些か長い髪の男性――于吉はいつもと違い神妙な面持ちで言う。

 

「何…?気付かれたのか?」

 

  于吉のいつもとは違った表情と声色につられて平均的な身長ながら身に纏う覇気がそれを感じさせない男性――左慈は今までのしかめっ面を更に深め、訊ねる。

 

「はて…どうでしょうかねぇ…?歳のせいか、ご老体方の動きは鈍重ですから、こんなに早く発覚するとは思えないのですが…。その証拠に、召集されたのは私だけですし…」

 

「お前だけ…?どういう事だ?」

 

  不自然な召集。

 

  左慈は首を傾ける。そんな左慈に于吉は神妙な表情からいつも通りの表情に戻して答える。

 

「まぁ、気にする必要はないでしょう…。私が留守の間、くれぐれもよろしく御願いします」

 

  そうして、于吉は姿を消した。

 

  これ等の不自然な出来事。

 

 このような事が何故起こったか、出来事そのモノだけではなく、その理由までもが今回の闘いの勝敗に繋がっている事が今、この時点で解っているのは三人だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第十九話:2つの才能

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  于吉が文字通り消えた、その日の夜。

 

  三人の人影が神麗の眠る洞窟の入り口の前に居た。

 

「確認するわ…」

 

  神妙な面持ちで張宝こと瑠麗(りゅうれい)は呟く。

 

「基本的には貴方の作戦に準じて行動。でも、もしダメだったなら…」

 

「…あぁ、お前の好きなようにしてくれて構わない…」

 

  もっとも、俺には作戦の立案までしか権利はない。

 

  最終的に結論を出すのは瑠麗と――

 

「…姉さんも…それでいいわね……」

 

  ――張角こと秀麗(しゅうれい)だけだ。

 

「………(こくん)」

 

  言葉はなく、浮かない表情で小さく、でも確かに秀麗は縦に頷く。それは当然、同意の意味だ。

 

「じゃあ、行くよ…」

 

  そうして、三人は歩調を合わせ、一例になりながら洞窟の中へと進んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

  一人の男がその洞窟のある、小さな山の上空で文字通り浮かんでいる男がいた。

 

  その山には信じられない事だが、何の下準備もなく一刀達が洞窟に入った瞬間、不入の魔術が掛けられた。

 

  だが、それは山を見下している男――于吉には当然の事と思われた。

 

「ホォ〜…相変わらず化け物だなぁ」

 

  于吉の隣にはいつの間にか茶色い髪を顎の辺りまで伸ばした青年が于吉同様に山の上に浮かんでいた。

 

「何か御用ですか…?」

 

  于吉は驚いた風もなく、ただ高みの見物を邪魔する無粋な輩を心底疎ましそうに視界の端に捉える。

 

「いやいや、俺の作った“欠陥品”を再利用してくれてるらしいからな。ちょっと見に来てみりゃ、あの野郎までお出ましたぁな…」

 

「未だに逃げられたお弟子さん達のことがご心配なのでしょう…」

 

「へっ…心配、ねぇ…。人間の真似事のつもりかぁ…」

 

  その言葉に于吉は答えない。

 

  そんな于吉に男は不満そうな表情を浮かべるが、スグに于吉同様に、下にある山を見下ろす。

 

 

 

 

 

 

 

 

  どのくらい歩いただろうか。

 

  安定した足場がこの洞窟が天然のモノではなく、人工のモノであると物語っていた。

 

「………」

 

  果たして、それは誰が行ったのか。それは全く判らない。

 

 だが、もしかしたらそれに関わっていたのかもしれない人物――左慈が一刀達の前に立ちはだかった。

 

「何の用だ…」

 

  左慈が低い声で判りきったことを訊ねる。

 

「………」

 

  生憎、一刀達には答える義務も、義理も無かった。

 

 故に左慈の戯れ言は何の意味もなさなかった。

 

「…瑠麗……予定通り、こいつの相手は俺達がする…。お前は…先に行き、于吉を…」

 

「…えぇ…」

 

  于吉が居ないことを知らない一刀の言葉に瑠麗は静かに同意する。

 

  計画通りに事を運ぼうとする一刀。しかし、それを許すハズの人物がこの場には一人居た。

 

「誰が、行って良いと言った…!」

 

  左慈が言葉にこそしないがふざけるな、と怒気を孕んだ声をはっする。

 

「俺が…言ったンだ…」

 

  一刀は一歩歩み出る。

 

「悪い、秀麗…。こいつを持っててくれ…」

 

 一刀は無造作に雪蓮から受け取った宝剣――天狼を渡す。

 

 秀麗は一瞬戸惑った様な表情を浮かべる。

 

 それもそのハズ。秀麗はてっきり一刀はこの剣を使い闘うものと思っていたのだから。

 

 だが、秀麗はこれも作戦の一つと思い、その剣を受け取った。

 

「アンタなら、丸腰の俺を瞬殺して瑠麗のあとを追うくらい、訳ないだろう…」

 

「………」

 

  更に一歩歩み出る一刀を左慈が無言のまま睨み付ける。

 

「判りやすい挑発だ…。だが…」

 

  瑠麗が左慈の横を通り過ぎる。

 

  左慈は最早、瑠麗を全く気にした風もなく一刀に視線を集中する。

 

「…だが…今はその挑発に乗ってやろう!!」

 

  左慈は文字通り、目にも止まらぬ右足上段蹴りを繰り出す。

 

  これで終わり。

 

  何度も殺すチャンスがありながらもお預けを食らっていたが、これで全部終わりだ。

 

  左慈の蹴りに一刀は反応する間もなく、頭に左慈の蹴りが一刀の頭を砕く。

 

「――!!」

 

  しかし、そうはならなかった。

 

  左慈が右足上段蹴りを繰り出した瞬間に一刀が文字通り消えたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

  一刀と左慈の力量の差について話そう。

 

  一刀を強いと表現するなら、左慈を表す言葉は最強しかない。

 

  一刀のフットワークを身軽と表現するなら、左慈のフットワークは俊足。

 

  一刀の防御を堅いと表現するなら、左慈の防御は最高の盾。

 

  一刀の拳を重い一撃と表現するなら、左慈の拳は鉄をも砕く一撃。

 

  一刀の蹴りを速いと表現するなら、左慈の蹴りは神速。

 

  一刀の“武術家としての才能”をそこそこと表現するなら、左慈の“武術家としての才能”は表す言葉すらない。

 

  二人の力量の差は歴然だった。

 

  よって、一刀には左慈が放つ本気の攻撃を一回すら避けれる道理は一つもなかった。

 

  ないならば作れ。作るためには考えろ。

 

  それが、一刀の闘う相手が確定している時の心構えだ。

 

  つまり、『傾向と対策』。

 

  これが、一刀が今まで自分より自力に勝る相手から“生き延びれた”理由だ。

 

  そう。“生き延びた”のだ。

 

  つまり、必ずしも勝つとは限らない。

 

  もう一度、二人の力量の差について話そう。

 

  左慈の“闘う才能”をそこそこと表現するなら、一刀の“闘う才能”は『表現する言葉すらない』という言葉すら生温いくらいの開きがある。

 

  一刀は一度――あの時は本気を見せていなかったが――左慈と闘った。それが一刀の“負けない”要因の一つだった。

 

  ブシュンッ!

 

  虚しく空を切る左慈の蹴り。

 

  いきなり消えた――いや、訂正しよう。いきなり、“左慈の視界から”消えた一刀にコンマ一秒もないが、左慈は驚きの表情を浮かべる。

 

  しかし、その疑問もスグに解消される。

 

  一刀の拳が視界に入らない程の低い位置から飛んできたのだ。

 

「!!」

 

  ブンッ!

 

  一刀の拳も左慈の前髪を僅かにかするだけで虚しく空を切る。

 

  一刀の一撃を避けて左慈は理解した。

 

  一刀は左慈が始動するほんの僅かに前に、しゃがみこんだのだと。

 

  蹴りには――というか、攻撃にはいくつか分類が可能だ。それが高さ――上、中、下である。

 

   そして、一刀は上、中のいずれかの攻撃が来ると判断し、左慈の蹴りの弾道を予測ではなく予感して避けたのだ。

 

 予感と表現したが実のところ賭けに近いモノである。3分の2と多少分の良い賭けであるが、もしハズレていたなら、それこそ取り返しの付かない事になっていた。しかも、その後に繰り出す一撃は左慈の力量を以てすれば避けるのは容易い。ハイリスク・ローリターンである。

 

  だが、それは一刀が左慈と初対戦の時の話。

 

  先にも述べたが、一刀には左慈との戦闘経験がある。

 

  その時に攻撃の100%が蹴りであること。

 

  その内、上段――ハイキックが70%、中段――ミドルキックが30%、下段――ローキックが0%、という過去の『傾向』があるのだ。

 

  コレは恐らく、左慈が一撃で勝負を決めたいという、割と短気であるという『傾向』にも結びついた。故に瑠麗を先に行かせる時に左慈に対し業とらしい挑発をしたのだ。

 

  そして、『傾向』が判っているなら、『対策』を立てることも可能。

 

  その『対策』が、始動するよりほんの僅かに速く極端な回避行動をとるというモノだった。

 

  左慈の『傾向』――つまりは戦術を完璧に理解した一刀だからこそなせる、神業に近い芸当だった。

 

  だが、それも一回ポッキリの技。タネさえ解れば左慈にも『対策』が可能。

 

  故にあの奇襲は二度とは使えない。

 

「………」

 

  一刀と左慈は改めて正面から向かい合う。

 

  左慈の蹴りが当たらないように、かなりの距離を離す。

 

 

  しかし、左慈にしてみれば、その程度の距離、ワンステップで簡単に縮められた。

 

「シッ!!」

 

  シュンッ!!

 

「――!!」

 

  放たれた上段蹴りに直ぐ様ガードを作り備える。

 

 ドガッ!

 

「ぐっ――!」

 

  ガードは確かにした。渾身の力を込めたという表現は変かもしれないが、ともかく完璧なガードだ。

 

  しかし、ガードの上からでも左慈の一撃は一刀にダメージを与えるには充分だった。

 

「ハアァッ!!」

 

 シュンッ!

 

  衝撃に耐えきれず、傾く一刀に追い討ちと言わんばかりに蹴りを放つ。

 

  一刀はそれも何とか防ぐが、やはりダメージがある。

 

  本気の蹴りを二回も連続で防がれたことに苛立ち始めた左慈は最早、間髪入れずの連続攻撃を繰り出す。

 

「…う………く…!」

 

  時間にして20分。それは、現代に行われるスポーツ格闘技とは違い、刹那で勝負が着くハズの殺し合いにあって異様すぎる長さだ。

 

  その間ずっと左慈は一瞬の間もなく蹴りを出し続けていた。

 

  バケモノじみた体力がなせる、バケモノじみた技。しかし、そのラッシュを一刀は防ぎきった。

 

「…ふぅ……っ!」

 

  連続攻撃を続けた左慈は肩で息を整えつつ、最早、若干どころか完璧に苛立っていた。

 

  端から見れば、一刀が左慈に言い様に蹴られ続けていると見れる光景も、ここまで長時間になれば異様である。

 

「ぜぇ、ぜぇ……ふぅ…ぜぇ、ぜぇ……」

 

 こちらも肩で息をしながら何とか呼吸を整えようとするも、左慈とは違い一刀の心臓は全く言うことを聞いてはくれず、破裂せんばかりの速さと激しさで脈を打つ。

 

  更に、ガードしているとはいえ、一刀には相当のダメージが与えられ続けていたがそれでも一刀は光のある目で立ち続けていた。

 

  左慈は一撃一撃に渾身の力を込めた蹴りを繰り出してくる。しかし、そのために蹴りは自然と大振りになる。

 

  更に、蹴りは基本的に線で捉える技でその線は途中で曲がる事など極僅かな可能性しかない。つまり、始動を見るだけで予測が可能なのだ。

 

  だが、相手は左慈である。予測がついたところで避けれる可能性は限り無くゼロに近い。故に一刀はダメージは承知の上でガードをするしかなかった。

 

  だが、そのダメージも一刀の魔術刻印がスグに修復する。途中でその修復が追い付かなくなったがそれも許容範囲内。

 

  しかし、それももう厳しくなってきた。

 

  一刀には左慈に勝った後にも役目がある。その役目のためにはこれ以上の魔力の消費は避けたい。

 

  故に一刀は、もう一つの『対策』へと移行した。

 

「な…!!」

 

  一刀が守り一辺倒だと解り、左慈は乱れた呼吸を整えるために一旦距離をおく。

 

  僅か数秒のインターバルを挟み、左慈が攻撃を再開しようと再始動した瞬間、左慈は驚きと戸惑いを孕んだ声を上げる。

 

  それもそのハズ。

 

  一刀の体勢をおよそ戦闘中に見る事など先ず有り得ないのだから。

 

「ぜぇ、ぜぇ……ひゅうぅ…」

 

 左慈が驚愕の表情を浮かべる原因になった構えをしながら、一刀はどうにか息を整える。

 

「さぁ…計画通りに行こうか…」

 

  自信たっぷりに一刀は呟いた。

 

  その構えはまるで犬猫のような体勢――つまりは四つんばいだったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

  辛いでしょう?

 

  愛すべき者をその手で葬り去るなど、貴女は想像すらしたことなかったでしょう…。

 

  …それは当然です…。誰も貴女を責める権利など…ありません…。

 

  寧ろ、褒め称えるべきです。

 

  何故なら、貴女の尊敬する義姉ですら、世界を巻き込んでまで自分の愛すべき者を生かそうと努力したのだ…。勿論、貴女の義姉を責める権利もありません。

 

  人が一生を賭ける理由として、充分に値するのですから…。そして、彼女――秀麗はそれに見合った行為を行った。自分の信念を曲げ、心を傷付け、魂を砕き、それでも足りないと解っても尚、決して負けなかった。

 

  己に。

 

 様々なモノを無くしても、自らの本当に大事なモノは何一つ…無くさなかった。だから、秀麗は涙を流す事ができた。

 

 負けはしなかったが、勝てなかったから……。

 

 だから、貴女にもできるハズよ…。己に負けないことは…。

 

 そして、もう少し、貴女の義妹を留めて下さい。

 

 そうすれば、救える…。全ての者を、“幸福”へと誘うことができる……。

 

 本当の意味で、世界を守ることができる。

 

 私が大好きな“世界”を……。

 

 あのヒトが……愛して止まなかった…“世界”を………。

 

 大丈夫…。貴女にならできます。

 

 何故なら、貴女は…強い義姉の義妹で、私の弟子なのですから…。

 

「………」

 

  果たして、白いワンピースを着た慈愛と不可侵な神聖さを感じさせる黒い長髪の少女は、劉表に孫呉侵攻の指示を与えていた少女であった。

 

  そうして、少女は寝ている半龍化している神麗をどういう秘術か、于吉のかけた強力な催眠の魔術を手をかざしただけで解き、目覚めさせた。

 

  少女は自身の顔にかかる前髪を七三に分けている、唯一荘厳さを感じさせる装飾品――髪留めを触る。

 

  そして、瑠麗の気配が近寄ってきたのを感じると、まるで蜃気楼の様に朧気になっていき姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

  一刀が四つんばいになった理由は、これもまた『傾向と対策』という一刀の持つ鉄則から導き出された答だ。

 

  先ず、ローキックの割合が0%だったこと。コレは別に左慈はローキックが不得手であるということを表している訳ではない。そもそも、見たこともない技を不得手と決め付けること事態間違っている。

 

  短期戦において、技を出す割合というのは、使う本人がどれだけその技に依存、もしくは自信を持っているのかという意味を表す。そして、それは“慣れ”という現象に影響を及ぼす。

 

  更に、その“慣れ”が技を出す時の癖、筋肉の張り具合等に影響を及ぼす。

 

  つまり、先程の攻防の最中、一刀はハイキック、ミドルキックにはそういったモノが見受けられなく、ローキックにはそれが見えたので、よりローキックを出す前兆が見易い様な構えを行ったのだ。

 

「――――ハァッ!!」

 

 ヒュンッ!

 

 左慈はその意図を理解できぬまま、なるべく小さな振りのローキックを出す。

 

  ドガッ!

 

「――――なっ……!?」

 

  驚きは左慈のモノだった。

 

  それもそうだろう。左慈は敢えて自ら攻撃に当たりに来るバカを見たことがなかった。

 

  より始動のタイミングが見易くしたとはいえ、それはあくまでも苛立ちから大振りを繰り返していた時の左慈の話。今の左慈は若干の落ち着きを取り戻し、細かく連続攻撃を繰り返すことで徐々に一刀のガードを崩していくという戦術に変えた。

 

  その選択肢は正しかった。一刀が四つんばいの構えを取る前ならば。

 

  一刀にはよく見えたのだ。蹴りにはどんなに小さくしても、少なからず軸足の踏み込み、そして、蹴る方の足のテイクバックという動作が必要となる。

 

  小さくコツコツ当てる様な攻撃なら、ガードを組めばノーダメージでやり過ごせる。敢えて避ける必要はない。いや、避けてはならない。

 

  避ければ、そこから更なる連続攻撃が繰り返される。ならば、自ら力が乗りきる前にその蹴りに突撃をするぐらいの行為を行い、連続攻撃を中断させねばならない。

 

  そして、一刀はそれをやった。左慈も一刀の取った行動の意味を知っていた。

 

  しかし、それはそう易々と信じられる行動ではなかった。

 

  虎穴に入らずんば虎児を得ず、とはよく聞く。

 

 いくら危険とはいえ、やらねばできるモノもできない。

 

  それは、できる事を前提とした話。

 

  左慈が驚いたのは一刀にその技術があった事と、それを実行した一刀の決断力と勇気にだった。

 

  技術+勇敢。

 

 一刀は実に優秀なファイターであった。

 

「―――――くっ…………!」

 

  何度か左慈は小振りな連続攻撃を仕掛けようとするも、全て一刀の堅い守りに阻まれて三撃以上放てない。

 

  そうしている内に折角取り戻した若干の冷静さも吹き飛んでしまったのか、左慈は再び大振りの一撃を放つ。

 

  ブオンッ!

 

  空振り。

 

  当然の結果だった。

 

  しかし、一刀避け方、そして、その後の行動は当然とは言えなかった。それが、一刀の左慈に対するもう一つの『対策』だった。

 

  一刀は上半身を起こし、片膝を着いた様な状態になるようにわざわざ大袈裟な避け方を行い、その後、起き上がる力を利用し、身体全体を使ったアッパーを繰り出したのだ。

 

  通常なら大振りなため、簡単に避けれるハズのそのアッパーはこれまた大振りの蹴りを繰り出したために大きな隙が発生した左慈には避けれなかった。

 

  ドスッ!

 

「――――ガッ……!!」

 

  果たして、初めてのクリーンヒットは一刀であった。

 

  一刀のアッパーは中途半端な位置からであったため、左慈の顔面ではなく腹部に命中した。

 

 しかし、左慈にいくら隙ができたとしても、左慈程の身体能力を持つ者ならば咄嗟の回避が可能だと思われる。なのに、一刀の一撃は左慈に命中した。

 

 それが、一刀の『対策』の賜物だった。

 

 それは左慈の身長だった。

 

 左慈の身長は成人男性の平均とほぼ変わらない。寧ろ、僅かながら低いくらいかもしれない。

 

 つまり、自分より低い身長の者との肉弾戦の経験は極端に少ないハズ。慣れない下方からの攻撃に左慈は反応しきれなかったのだ。

 

「――――ぬあっ!」

 

 ビュン!

 

  しかし、ホントに同じ生物かと疑いたくなる程に硬い腹筋に阻まれ、そのクリーンヒットの一撃によるダメージは少なかったようだ。

 

  左慈は反射的に蹴りではなく、今回初めて突きを繰り出す。

 

  あまりに歪な、波を描く突き。しかし、速さ、重さを競うのであれば左慈の突きは一刀のそれを遥かに凌駕していた。

 

  コレは計算外。

 

  一刀が考慮していたのは意識的攻撃。無意識的攻撃は全くの範囲外だ。

 

  故に、一刀がこの突きを避けれる要因は何一つ無い……ハズだった。

 

  ブンッ!

 

  左慈の突きは空切る。

 

  コレは一刀にとっては嬉しい誤算だった。

 

  見えたのだ。そして、身体が思った通りに反応したのだ。

 

  コレは戦闘をする前の一刀では有り得なかった出来事だ。

 

  本郷一刀には計算外の左慈の一撃を避ける力量は無い。

 

  それは確かに正しい評価“だった”。しかし、一刀は成長したのだ。

 

  信じられない事だが、一刀は自分の力量を遥かに凌ぐ敵との対戦の最中、急激な速さで成長したのだ。

 

  故に先程の突きにも反応する以上の行動――回避ができたのだ。

 

(勝てる…!)

 

  自らの進化とも言える成長に驚きつつも、勝利を確信する。

 

  しかし、一刀はそこから慢心することなく、これまで通りコツコツと左慈を追い込む。

 

  小振りの蹴りは自ら当たりに行き、大振りの攻撃を行うならば回避をし、反撃を行ない、左慈の不得手な突き等は苦もなく避ける。

 

  しかし、その戦法も20分ちょっとが精一杯だった。

 

 ブンッ

 

 一刀の拳が空を切る。

 

  大振りの攻撃を避けた後の下方からの反撃に左慈が慣れてきたのだ。

 

  そして、左慈も戦闘の中で信じられない早さで成長していた。突きは最早、歪な波を描かず、並の才能の者ならば5年かけて辿り着くかどうかと思われるモノへと変わっていた。

 

「――ガッ…!」

 

  当たってしまった…。

 

  今まで、何としてもクリーンヒットだけは避けてきたのに…。

 

  ボディに強烈な一撃を受けた一刀は足が止まる。

 

  それを見逃す左慈ではなかった。

 

「ハァッ!」

 

 ビュン!

 

  気合いの一声と共に左慈の右足上段蹴りが一刀の側頭部目掛けて繰り出される。

 

 その蹴りが一刀には見えていた。なので、一刀は動かない身体を動かし、顔の横に腕でガードを上げていく。

 

  ドガッ!

 

「――――ッ………!!」

 

  しかし、間に合わなかった。

 

  左慈の蹴りは狙い通りに一刀の左側頭部に見事命中した。

 

  飛ぶ。

 

  比喩ではない。ボディを叩かれたために踏ん張りが効かなくなった一刀は当然の様に宙を飛ぶ。

 

  ドガッ!

 

  まるで、ボールの様にバウンドする一刀。

 

 ドガガガッ!

 

 ワンバウンドしても尚、勢いは収まる気配はなく転がり続ける。

 

  ドスッ!

 

  どこまでも転がり続けるかに思われた一刀だが、壁にぶつかり漸く止まる。

 

  服はぼろぼろになり、身体中擦り傷だらけ。更に、蹴られた左側頭部から血を流す。

 

「――――か、あ…ぁ……あ………」

 

  そんな状態ながら一刀は何とか意識を繋ぎ止めていた。

 

  全身打撲どころか全身骨折の重症を負い、温存しておきたかった魔力をほとんど魔術刻印による修復に持っていかれた。

 

  しかし、今の一刀ではそんな事を考えている余裕はなかった。大まかな修復により僅かにスグに動くようになった身体を起き上がらそうと必死に足掻く。

 

  最早、虫の息。そんな状態の一刀を見て左慈は勝利を確信した。

 

「…………ふっ…!…手間を…かけさせやがって……!」

 

  憎しみの籠った言葉とは裏腹に漸く一刀を仕留められるという事に嬉しそうな表情を浮かべる。

 

  表情をそのままに左慈は一刀に歩み寄る。

 

  しかし、左慈の表情が変わる。

 

  一刀がまた四つんばいの体勢をとったのだ。

 

  左慈はそれを無駄な抵抗と思い、ただ疎ましげなモノを見る様な表情になる。

 

  左慈がその様な表情になるのも当然だ。最早、先程までとっていた戦法は類い稀なる才能を持つ左慈にはもう通じないことは自明の理だった。

 

「………」

 

  それでも、そんな状況でも一刀は強い意志を感じさせる目を止めない。相手を注意深く観察するのを止めない。

 

「……ちっ…!」

 

  その目を、その姿勢を左慈は忌々し気な表情で舌打ちをする。

 

  そして、一言、今の左慈の気持ちを表す言葉を呟いた。

 

「……死ね………!」

 

  ブォンッ!!

 

  言葉通り、一刀の存命を許さないと、まるで暴風の様な風を巻き起こす蹴りを出す。

 

「―――――ッ………!!」

 

  コレが最後のチャンス…!何としても回避しなくちゃ!

 

  動け…!動け、動け動け動け動け動け動け…!

 

「――――――………ぅ………はぁっ………!!」

 

  一刀はほとんど無い魔力と体力、そして気力で何とかして身体を動かした。

 

  ブンッ!!

 

  空を切る左慈の蹴り。

 

  だが、それは当然の結果だ。

 

  ぼろぼろにダメージを負ったとはいえ、一刀は左慈の攻撃を見切っていたのに、あろうことか左慈は思いっきり振りかぶったのだ。そうなれば、一刀にも避けれる可能性が出てくる。

 

 つまり、一刀の思っている通り、左慈の慢心が生んだ、最後のチャンスだった。

 

「―――な――に……!!」

 

  驚きの声を上げる左慈。

 

  しかし、左慈の驚きはまだ続く。

 

  一刀の回避行動は今までのオーバーなモノではなく、実に無駄のない、最小限の動きだった。

 

 それは、一刀が作った対左慈戦の計画の最終段階の行動のためだ。

 

  一刀は回避し、続いて反撃する。

 

  だが、今までと違い、一刀の上半身は未だ起きていない。つまり、この状態で攻撃できる箇所は脚部だけ。

 

  一刀は左慈が蹴りとして放った足が戻り、地面に着く前に軸足となっている左足を右手で払った。

 

「――――………ッ!!」

 

  流石の左慈も軸足一本では一刀の払いに耐えきる事ができず、支えを失った左慈は地面に落下する。

 

  だが、一刀の反撃はそれでは終わらない。

 

  一刀は身体を右回りに回転させ、その勢いを利用した強烈な左足踵(かかと)蹴りを左慈の顎に叩き込んだ。

 

  バキッ!

 

「――――がっ………!!」

「――――ぐ、ぁ……」

 

  攻撃を受けた左慈。攻撃を出した一刀。両者は同時に苦痛の声を上げる。

  クソッ!なんつー硬い顎してやがる!?踵の骨が砕けた。

 

  だが、それだけ強力な一撃を当てたんだ。左慈の顎も砕けたハズだ。

 

  コレで、当初の計画通りいった。

 

  ズザザァー!

 

  今度は一刀の渾身の踵蹴りを食らった左慈が地面を転がる。

 

  ただ、左慈の蹴りと一刀の蹴りではレベルが違うため、当然の様に壁に当たる前に止まる。

 

「―――――く……ぁ…ぁ……」

 

  左慈は未だに何が起こったのか理解できなかった。

 

(――――何だ……?何が……)

 

  何故……俺が地面に、転がっている…?

 

  ダメージ…?

 

 攻撃……されたのか…?当たった……のか…?

 

「――――くっ……!…ぅう……!」

 

  何が何だか解らないまま、左慈はふらつきながらも身体を何とか起こそうとする。

 

  そんな中、左慈は異変に気付く。

 

  ヒュオォォ……!

 

  風が不自然に流れを変え、ある一点を目指して収束をしていた。

 

「――ッ……!」

 

  その一点に居る人物――張角こと秀麗を見て左慈は驚愕する。

 

  秀麗は腰まである長い茶色い髪を自らに集まる風により踊らせている。

 

  端から見れば、その光景は秀麗の美貌、艶のある茶色い髪が相まって実に神秘的で惹き付けられる様なモノであった。しかし、敵対している左慈には生命の危機を感じさせる光景でしかなかった。

 

  秀麗が次女――張宝こと瑠麗と共に行かず残った理由。それはこの時のためであった。

 

  秀麗は一刀が闘っていた間、ただひたすらに魔術の詠唱を続けていたのだ。

 

「………」

 

  一刀は砕けた踵を修復する魔力を惜しみ、砕けた状態のまま庇う様な形で立ち上がる。

 

  一刀の役割。

 

 それは確かに左慈を倒すことだ。だが、左慈を倒すにあたっての一刀の役割は時間稼ぎと宝具――ヴァジュラを封じることだ。

 

  宝具の発動条件。ヴァジュラにとってのそれは宝具の真名を叫ぶことだけだ。

 

  とても簡易であるその条件。

 

  しかし、先程の一刀の攻撃は左慈の顎を見事に捉えた。それは左慈の顎を砕くためだ。

 

  顎を砕けば、左慈はヴァジュラの真名を叫ぶことは不可能だ。

 

「収束せよ。収束せよ。

 束ねる意味は我の存在。束ねる存在は我の世界。

 傾く天秤は水平に。水平な天秤は傾く。

 司る全ては我が為す。司る全ては彼が為す。

 担う全ては我が為す。担う全ては彼が為す。

 我はただ司る者なり。我はただ担う者なり。

 我が全ては君(くん)に捧ぐる。

 来たれ!!」

 

  長い詠唱。

 

  その間に秀麗の周りは風の断層が出来上がる。

 

  その断層は周りの空気全てを巻き込み秀麗の魔力により視認できる風となす。

 

  それを左慈は一刀の攻撃により、脳をぐらんぐらんに揺らされたために中々起き上がれずにいたが、何とか立ち上がる。

 

  しかし、一刀の攻撃により足が笑い、秀麗の詠唱を止めることができなかった。

 

「ふっ……」

 

  笑ったのは一刀。

 

  何とかなった…。これで、計画通りだ。

 

「………(ギリッ)」

 

  勝利を確信した一刀の様子を目の端に捉え、悔しそうに歯を喰い縛る。

 

(…?)

 

  歯を、喰い縛る…?

 

  どうやって…?

 

  左慈の顎は、俺が砕いたハズ。歯を喰い縛れるハズがない…。

 

「―――!!」

 

  まさか…!?

 

  一刀の懸念は的中した。

 

「舐めるなぁぁぁーーー!!!」

 

  今までにない、気合いの入った咆哮。

 

  最早、誰の目にも明らか。

 

  左慈の顎は全く砕けてなどいなかった。それどころか、叫んだ時に見えた左慈の歯は一本たりとも欠けていなかった。

 

(どんな強靭な身体してんだ!!)

 

  あまりの身体能力の差――というか、身体の硬さにそれ以上の言葉が思い付かなかった。

 

  最早、反則級の身体。

 

  左慈の戦闘力を高く見積もって尚、足りなかった。

 

「風絶(ふうぜつ)!!」

 

  しかし、秀麗は一刀とは違い、動揺した風もなく魔術を発動する。

 

  秀麗の使える最強の魔術――風絶。

 

  それの発動に伴い、秀麗が周りに纏っていた風の断層は視認できる烈風となって左慈に迫る。

 

  その破壊力は間違いなくA判定。

 

  通常ならばどうやっても防ぐことは不可能な程の魔術。

 

  しかし、左慈は何もない空に手をかざし異形の宝具――ヴァジュラを実体化させる。そして――

 

「――――ヴァジュラァァァ(神の意を騙る誅壊の金剛杵)!!!」

 

  真名を叫ぶ。

 

  それだけでヴァジュラに光が収束し、その光はスグに魔力塊となって放たれる。

 

  ギュオォォオォォ!!!

 

  轟音を上げ、ヴァジュラの魔力塊は秀麗の生み出した魔術――風絶にぶつかる。

 

 そのぶつかり合いは壮絶な光を放ちながら拮抗する。

 

  しかし、ヴァジュラは風絶を吸収しつつ、少しづつ拮抗を破る様に前進していく。

 

  ヴァジュラの攻撃判定はB+。一方の風絶の攻撃判定はA。

 

  普通ならば最上級の攻撃判定Aの風絶が押し切るかのように思われる。しかし、そうではない。

 

  攻撃判定B+の意味はB以上A未満という意味ではなく、Bの二倍という意味である。

 

  つまり、場合によっては攻撃判定B+が攻撃判定Aに勝つことが可能なのだ。

 

  そして、ヴァジュラ(B+)はその例に漏れず、風絶(A)を押し続ける。

 

「――――う……うぅ………!!!」

 

  秀麗も負けまいと、魔術回路に溢れんばかりの魔力を流し込み、何とか押し返そうとする。

 

  だが、どんなに頑張っても覆せない差に風絶はヴァジュラに吸収されていく。

 

「――――ハッ………アァッ………!!!」

 

  それでも秀麗は更に魔力を流し込む。

 

  魔術回路と化したかざしている両手の神経は魔力を流し過ぎて焼き切れ、段々と感覚が薄れ始めてきていた。

 

  それでも、どんなに秀麗が無理をしても、攻撃判定の差は覆せない。

 

  最早、これまで。

 

  秀麗の頭に僅かに諦めの念がよぎった。その時――

 

「ハァァアァアァァーーーーー!!!」

 

  一刀の声が響く。

 

  一刀は残っていた6つの切り札――玉を取り出し、右手で思いっきり握り潰す。

 

  それと同時に玉の中に入っていた一刀の魔力を籠めたピンク色の動脈血が溢れ出る。

 

  しかし、その動脈血はまるで真水の様に透明になり、更には量も明らかに玉に入っていた頃に比べ、遥かに凌ぐ量へと変わっていた。

 

  その水の様な透明な液体に変わった動脈血は重力に逆らい、一刀の右腕にまとわりつく。

 

  一刀は魔力を温存する必要があった。しかし、度重なる攻撃によるダメージ回復のために最早ほとんど魔力を使いきっていた。

 

  だが、その残り少ない魔力で一刀は玉に入っていた膨大な魔力が籠められた動脈血を詠唱破棄し、魔術として形を整える。

 

「ポセイドン(海神の真の意義)!!!!!」

 

  海神の名を冠する魔術の名を口にする。

 

  すると、右腕にまとわりついていた動脈血は三ツ又の槍の形へと変貌する。

 

  そして、一刀は海神の名を冠する鉄槌を下す。

 

  ビュオッン!!!

 

  ポセイドンは秀麗の魔術――風絶に加勢する。

 

  ポセイドンの本来の攻撃判定はA。しかし、詠唱破棄、更には魔力不足により攻撃判定はCにまで下がっていた。

 

だが、それでも風絶(ランクA)とポセイドン(ランクC)の合同攻撃は徐々にヴァジュラ(ランクB+)を押し返していく。

 

「―――な―――にぃ―――………!!!」

 

  押し返されていくヴァジュラに驚きの声を上げる左慈。

 

  その驚きはスグに終わった。

 

  ヴァジュラは2つの魔術を吸収し続け、遂にB+までに達し、消え去ったのだ。

 

  そして、相殺できずに残った2つの魔術の余波が左慈に襲いかかる。

 

「――――――ぐぅ………!!」

 

 余波の直撃に備え左慈は腕を組み、何とか耐えようとするも、余波を食らい堪らず苦しみの声を上げる。

 

  魔術と宝具のぶつかり合いの光が晴れると、そこには余波に吹き飛ばされた左慈は勿論、押し切ったハズの一刀と秀麗までもが倒れていた。

 

 

 

 


あとがき

 

(祝)アニメ恋姫†無双スタート。

 

ども、冬木の猫好きです。

 

え〜、いきなりこの小説と関係なくはないですが、この話は広げると墓穴を掘りそうなので、これ以上広げないということで……。

 

さて、絶対不利な状況から、一刀は秘策を出しまくり遂に左慈との闘いも大詰め。一刀と秀麗の奥義級魔術と宝具のぶつかり合い。

 

未だ状況は有利と言えるかと言われれば、それは違うでしょう。何せ、一刀はダメージだけではなく魔力をほとんど消費してしまっているからです。

 

まぁ、そもそも作中にもある通り、一刀と左慈には普通では覆せない程の差があるので魔力云々以前の様な気もしますが、一刀も普通ではない行動で覆そうとしたので今はどうなっているのかは次回で判明します。ただ、一刀の計画って欠陥だらけのような気がしないでもないが…仕方ないでしょう。今回はイレギュラーが多すぎましたからね。

 

そして、次回には左慈との闘いは終了させる予定です。

 

あと、今回また新キャラが登場しましたが、彼やもう一人の女性も後に超関わってくるので余裕がある人は記憶しておいて下さい。

 

それでは、また次回の更新の時に。





呼び出されたはずの于吉がいたり、新たな人物が出てきたり。
美姫 「そんな上の事など関係なく、一刀たちの戦いも大詰めね」
だな。共に倒れている一刀たち。
果たして勝利は誰の手に。
美姫 「どんな展開になるのか、次回を待ってますね」
ではでは。



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