第一章:孫呉のでの日常

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 というわけで、一刀は国営の運び屋で働くことになったわけだが、とにかく危ない。

 

何故かといえば、それはひとえに、ココで働くメンバーのせいだろう。

 

一「はぁ…。」

 

 そして彼もココで働くメンバーになってしまた。

 

??「そんなしけた面すんなよ。カズ。そんなじゃ、幸せが逃げてくぜ」

 

 一刀の目の前に長身の約190cmぐらいのかなり色黒で、超ムキムキの男性が現われた。

 

 先に記した通り、ココが危ない原因の一人、名前は櫓愁(ろしゅう)だ。

 

 んでこの人が現在ココをまとめるリーダだ。ちなみに、一刀をカズと呼んでいる。

 

一「ココで働きだした時点で幸せなんてはるか遠くにおさらばしてるよ。」

 

??「そんなことないよ。ココにも幸せはあるはずさ。」

 

 続いて、170cmくらいの、今度は色白の男性がいた。こっちの方の男性はひょろひょろで弱そうだ。

 

 名前は棟説(とうぜい)。この人は頭脳派で情報管理役みたいな感じだ。

 

一「それならいいんだがなぁ」

 

 はぁ、とため息を吐く一刀。

 

 ちなみに、今日は周泰は国の仕事がありいない。

 

 んで、ココの従業員は皆元盗賊だったり、軍の規則をちょ〜〜と破ったりなどしたいわゆるアウトローな連中だ。

 

愁「しかし、今日は暇だなぁ。近年稀に見る暇な日だ。」

 

 実際は暇な日はたくさんあるんだが、大袈裟に言う櫓愁。

 

 ちなみに、ほかの奴らも違う仕事で出払っている。

 

一「なら、出かけていいか?ココに居るよりましだと思うから…。」

 

 『まし』の意味は暇を解消できるという意味と、安全という意味の二つの観点からだ。

 

愁「ど−ぞ、どーぞ。ご勝手に。」

 

 興味なさそうに応える。

 

一「棟説は?」

 

説「今日は遠慮しとくよ。」

 

 肩をひそめながら言った。

 

一「んじゃ、行ってくるね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 建業の城下町に出かけた一刀。

 

 久しぶりに静かな日常を堪能しよう、と特に予定も無くブラブラと歩きだす。

 

 だが、呉の連中とわ関わらないと心に決める。関わるとろくなことにならないからだ。

 

 運び屋の仕事は思ったより(想像だにしてなかってけど)ハードワークだった。てゆうかココに来て2ヶ月、4回仕事をこなし78回死にかけた。いや、たぶんフツーの奴ならかっくじつに死んでたなと感慨にふけりながら歩く。

 

一「平和って大事だよな〜〜。」

 

 普段なら「お前、そんな日常つまんねーだろ!」という突込みが入るのだが生憎、今はぶっ飛んだ非常識ヤローは居ない。

 

一「ん?」

 

 思わず目を疑った。目の前に積み重なった本が迫ってきていた。

 

一「おわっ!?

 

??「キャッ!?

 

 そして、当然のようにぶつかった。

 

一「って〜……。って、あ。」

 

 何かに気付いたようだ。

 

??「あ痛たたた……。て、あぁーーーー!!!!!」

 

 叫ぶ女の子。金髪でストレートの長髪を持つ綺麗な白人だ。

 

一「すんません。ほな、ばいならーーーーーー!!!!」

 

 まさに俊足という言葉が合う速度で走りだす一刀。

 

??「待ちなさーーーーーい!!!第一部隊展開!!!!」

 

 その言葉とともに武装した兵が一刀を取り囲む。

 

 見ると、兵隊は全員白人だ。

 

一「ぐっ!!」

 

 一瞬ひるむ一刀。だが、すぐに構える。

 

一「どけッッ!!!さもないと吹っ飛ばすぞ!!!」

 

 珍しく声を荒げる一刀。

 

??「残念ですが、それはできない相談ですな。我々はお嬢様にお仕えする身。お嬢様の望ならば我々は悪魔にでも何にでもなりましょう。」

 

 隊長らしき白い髭、白い髪の老齢の男性のその言葉を合図に剣を抜く。

 

一「く…。やるしかないのか。」

 

??「やらずとも、既に私がもう追いついています。」

 

 悩む一刀だが冷静な突っ込みが入る。

 

一「ゲッ!ルーシェ!」

 

 西洋の女の子、ルーシェは一刀の真横に居た。

 

ル「ゲッ!とはまたご挨拶ですね。何故人の顔を見て逃げ出すのですか。失礼ではないですか。」

 

 キッ!と一刀を睨みつける。

 

一「いやぁ、別に逃げたわけじゃなくてだな…。」

 

 どもる一刀。

 

ル「逃げたわけでわなくて、何ですか??」

 

 追求するルーシェ。

 

一「そ、そうだ!突然走り込みをしたくなったんだ。なぁ、ジェイス?」

 

 と隊長らしき老人、ジェイスに同意を求める。

 

ジェ「私(わたくし)に同意を求められましても。」

 

 困った表情のジェイス。

 

ル「爺やに逃げるでない!!」

 

 一刀を怒鳴りつけるルーシェ。

 

ル「まぁ、よい。ところで今暇であろ?」

 

一「な、何を根拠に…。」

 

ル「ほぉ〜。では何か用があるのですか?」

 

一「見くびるな!何も無いに決まってるだろ!!」

 

 空気が凍りついた。

 

ル「コホンッ。でわ、私の剣の訓練に付き合え!」

 

 咳払いを一つし、提案をする。

 

一「それは断る!!!」

 

 ドンッ!という擬音をバックに堂々と言い放つ。

 

ル「な、なぜだ!?

 

一「今日は平和に過ごすって決めたんだ!!俺は一回決めたことを覆さない鉄の意志の持ち主だ。」

 

ル「・・・・・・・・・はぁ。カズト、貴方は時々意味がわからないです。」

 

 疲れた表情をするルーシェ。

 

一「じゃー、バイバーイ!!」

 

ル「あっ…。もう……。」

 

 頬を膨らませ恨めしそうに一刀の方を見る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ルーシェたちは北欧のある国から(詳しい事情はおしえてくれなっかた)30年かけて中国まで来たのだ。

 

 ちなみにルーシェはその旅の途中で生まれ、両親と9歳離れた兄は既に亡くなった。また、供の者たちも当初800人いたが、今では57人だ。

 

 ルーシェたちは3回目の仕事で行った町で色々あり建業に連れれ帰り、雪蓮が「面白そうだからいいよ〜〜♪」といい保護している。

 

そのときに成り行きで闘い、剣の腕を見込まれルーシェの剣(ジェイスに以前から鍛えられておりそこそこ強い)と勉強(主に語学)の師になったが、仕事やら何やらで最近相手をしてなかった。

 

 だが、一刀も仕事で疲れていた。まるで、休日に家でゴロゴロして子供の相手を拒否する親父の心境だ。

 

一「故に我逃亡せり。」

 

 いきなり独り言を呟き、町の人に怪しい奴に見られるが、スグに「あぁ、天の御使い様(仮)かぁ…。」と納得する町の人々。

 

 納得されるのは相当不名誉なんだが本人は当然気付いていない。

 

一「ん?アレはっ!?

 

 ササッ、と路地裏に隠れる一刀。

 

 そして、そこから顔をわずかに出し視線を戻す。

 

 そこには孫呉の忠犬甘寧がいた。

 

 ちなみに、隠れた理由はとにかく厄介そうな事には関わらないように考えていた結果身体が勝手に動いたからだ。

 

一「(何しているんだ?)」

 

 甘寧はどうやら出店を見ているようだ。

 

一「(何の店だろう?)」

 

 少し身を乗り出し覗こうとする。

 

 すると、甘寧が急に周りを見渡し始めた。

 

一「(き、気付かれたか?)」

 

 再び身を隠す一刀。

 

 しかし、スグにまた店に集中し始める。

 

一「ふぅ…。(しかし、さっきから何を見てるのかメチャクチャ気になる。だけど、見ようとすると気付かれそうだしなぁ。)」

 

 甘寧と関わって厄介ごとになったことなど携帯を壊された以外無いのだが、妙に警戒をする一刀。

 

素直に話しかけようかと考えるが何となくそれは辞めた方がいい気配がした。

 

 なんというかこう、「今の私触れると、殺すぞ…。」といった感じのオゥラを放っておられる。その証拠に人の良さそうな店主が全く話しかけない。

 

寧「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 何かを手に持った。

 

一「む………。(あれは……簪[かんざし]?あぁ、なるほど。だから、話しかけるなオゥラが出てるのか……。)」

 

 甘寧があのオゥラを放っていた訳は、呉の将軍である彼女が、というか彼女のキャラ的に簪とかの小物系統の物を見ているということを知られたくないというか、触れて欲しくないのだろう。

 

一「(へぇ…。案外かわいいところがあるんだなぁ…。)」

 

 甘寧の見方が少し変わった一刀。

 

 結局、甘寧何も買わずに帰っていった。

 

一「せっかくだから何か買えばよかったのに…。」

 

 ちょっと残念そう。

 

どうやら、甘寧の弱み(?)を握れるチャンスだと思っていたようだ。

 

一「せかっくだし、何かプレゼントでも買ってからっかてやろー。」

 

 携帯のことを未だに根に持っているらしい。

 

一「甘寧といえばこれかな?」

 

 一刀は何かを購入したようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 続いて一刀は昼時になったので繁華街に来ていた。

 

一「おっちゃん、点心一つ!」

 

 食い物を片手に歩く一刀。

 

??「ん?あれは…オーイ!天の御使いーー!!」

 

 嫌がらせとしか思えないほどの大声で呼ぶ髭もじゃのオヤジ。

 

一「あの〜、町中で大声で、しかもそうゆう風に呼ぶの止めて下さい。凌操さん。」

 

 とっても迷惑といった表情の一刀。

 

凌操   正史では武勇に優れ、策、権の二君仕える。黄祖討伐の際に甘寧に討たれる。

 

凌操「まぁまぁ、細かいこと気にしなさんなぁ。」

 

一「細かくない!!」

 

 呉の重鎮に全く遠慮の無い一刀。

 

凌操「んで、今飯か?」

 

 豪快に無視する凌操。

 

一「はぁ…。そうですよ。」

 

 既にあきらめているようだ。

 

 今日一日呉の人々に関わらないという当初の決意は何処かに消え去ってしまったようだ。

 

凌操「時間あるのか?」

 

一「今日は櫓愁いわく『近年稀に見る暇な日』らしいから暇という事になっている。」

 

凌操「んじゃ、一緒に飯食おうや。娘も一緒に。」

 

一「えっ?凌統も?」

 

凌統   正史では甘寧に父を殺され事あるごとに甘寧を殺そうと目論むがその度に呂蒙などが止めに入ったため大事にいたらなかった。演義では甘寧との友情話が描かれている。また、合肥の戦いでは孤立した孫権を救い出した。

 

ちょっと『やだなぁ〜〜』といった表情を見せる一刀。

 

凌操「何だ?不満か?」

 

 『家の娘に文句あるのか?』と言いたげに睨んでくる。

 

一「いや。不満じゃないけど、今日はあんまり人に関わらないって決めてたから。」

 

 睨まれてちょっとひるむ一刀。さすが、腐っても孫呉の勇将。

 

凌操「んじゃ、そんな顔すんなよ!婿殿!!」

 

 ガッハハハッハーーー!と豪快に笑う。またまた迷惑なおっさん。

 

一「あのぉ、前々から思っていたんですが、俺はいつから婿殿になったんですか?」

 

 また違った意味であきらめの表情を浮かべる。

 

凌操「俺が決めた瞬間からだ。」

 

 さも当然といった態度で応える。

 

??「勝手に決めるなーーー!!!」

 

 棍棒で殴られる凌操。

 

凌操「ぐあぁーーー!!」

 

 そして、吹き飛んだ。

 

??「と、父様ー!?

 

 泣きボクロが特徴の茶色がかったロングのストレートで呉の軍師たちには及ばないが相当な胸を持つ女の子が叫び、駆け寄る。

 

凌操「む、娘よ。む、婿殿と幸せにな………。(ガク)」

 

統「と、父様!!!!う、ぅううぅぅ…………。わ、わかまりました。父様の遺言は守ってみせます!!」

 

 泣きながら、強い決意を表明する凌統。だが、遺言に従うということは一刀と結婚するということになるのだが…。

 

一「いや、殴られる瞬間、自ら後ろに飛んで被害を軽減させてるから全然大丈夫だろ!?

 

 やはり、凌操。腐りただれてるが孫呉の勇将。

 

当「そうだよ!!手加減もしたし。」

 

一「腕の振りが明らかに本気だったような気が――いや、なんでもないッス。」

 

 韓当の睨みに負けた。

 

 『こうなるから、関わりたくなかったんだよぉ』と泣きたい気分の一刀。

 

統「一刀さん!!結婚して下さい!!!!!!」

 

当「いや!?生きてるから!!おっちゃん生きてるから!!一刀の説明聞いてなかったの!!??

 

 突っ込む韓当。

 

統「一刀さん。父様のいない私にはもうあなたしかいないんです。」

 

当「って、聞けーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」

 

 嫉妬からブチぎれる韓当。

 

一「うん。二人で幸せになろう。」

 

当「お前もかーーーーーーーー!!!!!!」

 

 爆弾発言をする一刀。

 

統「でわ、私のことは光稟(こうりん)と及び下さい。」

 

一「あぁ。いいとも!」

 

 手を取り合い、見つめ合う二人。

 

当「ちょ、ちょっと待てーーーーーーーー!!!!!オンどれら何結婚しようとしとんじゃーーーー!!!」

 

 力の限り叫ぶ韓当。

 

一+光「冗談だよ(ですよ)。」

 

 しれッ、と応える二人。

 

当「は?」

 

 ポカーンとした表情になる韓当。

 

光「冗談って言ってるんですけど。わかりますか?」

 

凌操「なんじゃ。冗談じゃったのか。」

 

フツーに二人の横に立つ凌操。

 

一「当然ですよ。そう簡単に結婚なんてするわけないでしょう。」

 

 あんたマジで信じてたんですかと言った表情だ。

 

光「そうです。父様の遺言なんて絶対聞きません。何があろうとも!」

 

凌操「なーんじゃ、つまらん。」

 

 と、言いつつもわかってたよと言った感じの凌操。

 

一「んじゃ、飯食いに行こーーー!」

 

 Let’s Go!!と手を伸ばし出発する一同。

 

 一刀の当初の決意はもはや忘れているようだ。

 

当「わ、私っていったい…………………。(ガックリ)」

 

 後に残ったのはガックリうなだれる韓当と崩れた民家の壁だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうやら悪い方向に意気が合う一刀と光稟。

 

 そんな二人が一緒に居て厄介事が起きないハズない。

 

一「何食うの?」

 

光「おいしものなら何でもいいですよ。」

 

一「それって主婦がキレる台詞の一つなんだよ。」

 

光「あなたは主婦ではないですよね。」

 

一「今心が主婦と同調してる気分なんだ!」

 

光「あっ、そう。」

 

 どーでもいい会話をする二人。

 

凌操「で、何を食うんじゃ?」

 

 本来の話題に戻す親父。

 

一「おいしいものつもりで選んだ物に文句を言われるのは癪だから光稟が選べよ。」

 

 なげやり気味に応える一刀。

 

凌操「止めとけ。この娘が選ぶ物は人が苦しむ物に決まっとるんじゃから。」

 

 なんとなく光稟の性格が見え始めてきた。

 

光「まぁ。心外ですわ。私は常に万人の幸せを願っています。」

 

 祈っているようなポーズをとる。

 

凌操「よく言うわい。でも、どうしようかのぉ?飯。」

 

 本気で悩む凌操。

 

一「それなら気は乗らないけど、城の食堂借りようか?」

 

光「??なぜですか?」

 

 心底わからないといった表情の光稟。

 

一「作るんだよ。俺が。」

 

光「あなたが…ですか??」

 

 胡散臭いといった反応だ。

 

凌操「大丈夫じゃろのなぁ?」

 

 無遠慮に尋ねる。

 

一「ふっふふふ。遂に俺の秘めた才能を披露する時がきたな。」

 

 不気味に笑う一刀。

 

光「いいから行くならさっさと行きましょう。」

 

 促す光稟。

 

一「りょうかーい。あっ、行くついでに藤恋(とうれん)を拾おうか。」

 

 藤恋とは韓当の真名のことだ。

 

 どうやら藤恋はついでらしい。なんとなく韓当の立ち位置がわかってきた。

 

「ってなー!!」

 

 すると、数名の男が絡んできた。

 

光「あら、申し訳ありません。貴方方の存在があまりに薄すぎてわからなっかもので…。ところで、服が汚れてしまいましたね。どうしてくれるんですか?」

 

 逆に威圧的に絡んでくる光稟

 

「な、なんだとー!!この尼―!!!!」

 

 思わぬ反応に一瞬たじろぐがスグにブチギレる。

 

一「やめとけ。今なら間に合うから逃げろ。」

 

 真剣な表情でアドバイスする一刀。

 

「あぁん?なめてんのか、てめー!!!」

 

 さらに一刀に絡んでくる男たち。

 

凌操「ほっときなさい。バカは死ななきゃ治らんのじゃ。」

 

 と、一刀の肩にあきらめなさいと手を置く。

 

「てめーら!さっきからなめんてんじゃね―――ぶべらっ!」

 

 叫んでいた一人の男が吹き飛ばされた。

 

光「うるさいです。少し寝てなさい。」

 

 当然のような顔をしながらそう言った。

 

 一刀は『あぁ〜〜。だから言ったのに』と言った、凌操は『面白くなって来やがった』と言った表情だ。

 

「て、てめー!!やり―――ごべらッ!!」

 

光「だからうるさいです。」

 

 再び叫ぶ男をもう一人殴った。

 

光「もう、言葉を交わすのも面倒ですね。殺しましょうか…。」

 

 ニッコリと邪悪に微笑む光稟。

 

 もう、逃げたいといった表情の男たち。

 

光「じゃ、死んで下さい。」

 

 その言葉と共に残り6人の男は逃げ出した。

 

 そして、光稟が全力で追い男たちの前に立ちはだかる。

 

光「そんな鈍足で逃げ切れると本気で思ったんですか?」

 

 とことん軽蔑している表情だ。

 

「ど、どうか!命だけは!!命だけは!!!!」

 

 一人の男が土下座するとそれに続いて、それぞれ「命だけはー!」、「お願いしますー!」と言いながら、一斉に土下座をし始める。

 

光「はぁ…。あなた方は本当に能無しですね。命乞いする時は相手を愉しませなくちゃいけないんです。」

 

 残念そうな顔をしながら、一歩前に出る。

 

光「あなた方は誰一人それを充たしていません。」

 

 再び邪悪に微笑む。そして、また一歩前に出る。今度の一歩は跳躍のような一歩だった。

 

光「シッ!!」

 

 光稟の拳が唸り(うなり)を上げる。だが…、

 

 パシッッ!!!

 

光「―――――っ!」

 

一「ふぅ。もうそのくらいにしといてやれよ。」

 

 その拳は一刀によって止められた。

 

「ひ、ひ〜〜!!逃げろーーー!!!」

 

 逃げ出す男たち。

 

光「………。どういうつもりですか?悪には制裁が必要です。」

 

一「だから、もう充分だろ。あいつらも充分反省しったて。つーか、お前の方が悪に見えるから!!」

 

 野次馬たちが一斉に頷く。

 

光「いいえ。私が正義です。力こそが正義ですから。」

 

一「いや!その理論、明らかに暴君の意見だから!」

 

 またも頷く野次馬。

 

光「そうですか。やはり、私たちは同属にして互いに相容れない存在なのですね。」

 

一「ど、同属かなー?」

 

 妙に『同属』という部分に引っ掛かる。

 

凌操「もう、どうでもいいからさ、さっさと飯食いに行こうぜ……。」

 

 もうどうでもよさげなかんじで言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 凌操の取り繕いでなんとか飯を食いに城に行くことになった。

 

籐「も〜〜。また問題起こしたの?処理するの私たちなんだから。」

 

 まぁ、実際処理するのは甘寧がほとんどである。しかも、運び屋のアウトローな野郎どもが起こした問題もである。

 

一「今回は俺が原因じゃないぞ。」

 

光「私でもないです。向こうが悪いんです。」

 

 互いに自らの擁護しかしかしない。

 

籐「はぁ……。もういいよ…。んで、今どこに行こうとしてるの?」

 

一「城だよ。」

 

 簡潔に応えるが用件は省く。

 

籐「??」

 

 首をかしげる藤恋。

 

凌操「婿殿が飯を作ってくれるんだとよ。」

 

 用件を省いた一刀の代わりに凌操が応える。

 

籐「エッ??作れちゃうのですか?」

 

 あまりの意外さにわずかに言葉遣いがおかしくなった。

 

一「そうだよ。でも、今の時代香辛料がないから大したもの作れないけど、味は保障するよ。」

 

籐「こうしんりょう?」

 

一「味付けをするためのインドって国や南蛮の方でとれる調味料だよ。」

 

 軽い説明をする。

 

ル「ありますわよ。」

 

 突然現われそう言うルーシェ。

 

一「ど、どこから…って、ンなことどうでもいいから、あるの?ホントに?」

 

 いきなり現われたルーシェにちょっと驚くが所望したものがあると聞き興奮気味に尋ねる。

 

ル「うむ。インドとやらを通ったとき大量に入手したのです。」

 

 少しふん反り返り偉そうに応える。

 

一「おぉ〜〜!して、それは分けて頂けるのでしょうか。」

 

 何時になく低姿勢で尋ねる。

 

ル「分けてやらんことも無いが、条件がある。」

 

一「何でございましょう?」

 

 低姿勢だ。

 

ル「作ったものを私にわけなさい!」

 

一「あ、そんなんでいいなら御安い御用だよ。まかせてガッテン試してガッテンだよ!」

 

 ちょっとテンションがおかしいようだ。一刀の年代には馴染みのない言葉を発している。

 

ル「が?まぁ、いいです。とにかくそうと決まったら香辛料をとってきます。先に食堂に行って下さい。」

 

 と言うと、小走りで香辛料を取りに行った。

 

一「じゃ、俺たちも行こうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 というわけで食堂についた一刀たち一行。

 

蒙「あっ!先生ーー!」

 

 ブンブンと手を大きく振る。

 

一「ん?安春(あんしゅん)か。お前も飯か?」

 

安「あぁ、じゃなくて、ハイ。」

 

 安春(呂蒙)には勉強を教えているので一刀のことを『先生』と呼んでいる。

 

一「別に講義中じゃないから言葉遣いはいつも通りの喋り方でいいんだよ。」

 

安「え?そうなの?んじゃ、そうするよ。」

 

 かなりあっさりと態度を変える。

 

籐「んで、ご飯まだなの?」

 

安「ん?あー、そうだよ。」

 

籐「んじゃさ、一緒に食べない?一刀が作ってくれるんだってさ。」

 

安「えっ?先生が?大丈夫なのか?」

 

 やはり心配といった表情だ。

 

一「何で皆そんなに意外そうな顔するかなぁ…。これを気に俺のイメージを一変させてやる。」

 

 わずかな野望を抱く。

 

ル「持って来ましたよ、カズト。」

 

 するといいタイミングで現われるルーシェ。

 

一「おっ?んじゃ、いっちょやるかぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

凌操+安「んまーーーーーーーーーーーーい!!!!!!!!!!!」

 

 大声で喜びを表す安春。

 

光「うるさいです。ガキと親父。拷問しますよ。」

 

 実父と同僚に冷徹に言い放つ。

 

凌操+安「ヒドッ!!」

 

 理不尽だと思いつつも、そんなことのためだけで本気で拷問されそうなので黙って味わう。

 

籐「コレ本当に美味しいねー。」

 

 そんなサディストと親父とガキをほおっておいて感想を言う。

 

ル「でもこれ、私の聞いた故郷の料理に似てるようですが…。」

 

一「お前の国の料理かどうかは知らんが、欧州の料理を作ったンだ。」

 

ル「うむ。今度、爺やにも食べさせてやってくれ。」

 

 ルーシェと違い欧州からずーーと供をしてきたジェイスを気遣う。

 

一「あぁ、料理をするのは好きだからいつでも喜んで作ってやるよ。」

 

 そして、快くそれを受諾する一刀。

 

ル「そうか。ありがとう。爺やも喜んでくれると思う。」

 

 心から嬉しそうに微笑むルーシェ。

 

光「おかわり。」

 

籐「早いね…。」

 

 黙々と食べていた光稟がスッと皿を差し出す。どうやら気に入ってくれたようだ。

 

一「ハハッ。うん。どんどん食べていいよ。」

 

 何時になく嬉そうな一刀。

 

 そして、全員で全部平らげた。主に光稟が……であるが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのまま一刀は安春に講義を行い、そして日が落ちた。

 

一「もうすっかり暗くなったなぁ。」

 

 首をコキコキ鳴らしながら家路に着こうと歩きだす。

 

一「あっ。そうだ。甘寧にプレゼントかったんだ。今日中に渡しておきたいんだよなぁ。でも、探すのダルイしなぁ…。」

 

 そう言いながら周りを見渡す。

 

一「おっ!ナイスタイミング。オーイ!甘寧ーー!!」

 

 正に都合よく一刀の近くを通りかかった甘寧。

 

寧「何だ貴様か…。」

 

 興味無さ気に一刀を一瞥するとそう言った。

 

一「何だとはまた失礼だなぁ…。」

 

寧「生憎、貴様に尽くす礼は持ち合わせておらん。」

 

 と、また失礼に言う甘寧。

 

 そして、一刀に向き直る。

 

寧「で、何の用だ?この後も仕事が残っているから早く言え。」

 

一「こんな時間まで仕事なんて大変だなぁ…。」

 

 本当に大変そうだなぁ、っと言った表情だ。

 

寧「あぁ。何しろ、国に仕える者まで問題を起こしてくれるからな。」

 

 一刀を睨みながら言う。

 

 どうやら、昼間の光稟たちの起こした事件に居合わせた事を知っているようだ。

 

一「え、あ、アハハハハ………。すいません。」

 

 直接の原因は光稟なのだが甘寧に睨まれ素直に謝る。

 

寧「まぁ、よい。それで何のようだ?時間が無いのは本当だからさっさと言え。」

 

一「あぁ、実は昼のお詫びといったらなんだけど、コレ。」

 

 チリン

 

 と言い昼間小物店で買った物を差し出す。

 

寧「??これは?鈴か?」

 

 一刀が差し出したのは直径3cmの鈴だった。

 

一「あぁ。これなら付けてても大丈夫だろ?」

 

 わずかに微笑みながら言う。

 

寧「ど、どういう意味だ。」

 

 珍しく動揺しているようだ。

 

 そして、一刀は更に微笑みを邪悪にしながら喋る。

 

一「いやいや、甘寧将軍は簪とかは抵抗あるだろうけど、鈴くらいなら抵抗無いだろ。」

 

 カッ、と顔をわずかに赤らめ、顔を俯く。

 

寧「い、いつから見ていた。」

 

 恥ずかしげに言う。

 

一「簪を手に取った辺りからかな?」

 

 うしししっしー、と邪悪に微笑む。

 

寧「くっ。こ、このことは誰にも、特に光稟には言わないでくれ。」

 

 珍しく懇願といった感じで頼む。

 

一「あぁ。もちろんだ。その代わり、コレをいつでも付けてね。」

 

 と鈴を甘寧に渡す。

 

寧「・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

 手に持つが鈴を見て黙り込む甘寧。

 

一「ほら〜〜〜。返事はどうした?」

 

 一刀の奥に秘めてるサディストを目覚めさせてしまったようだ。

 

寧「わ、わかった。だが、約束だぞ。誰にも言うな!!」

 

 悔しそうに言う。

 

一「当然だろ。じゃあじゃあ、早く付けてよ。」

 

 そう一刀に促され鈴についているヒモを手首に巻きつけ結んだ。

 

寧「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

 やはり、恥ずかしそうに俯いたままだ。

 

一「うん。じゃあ、それずっと付けといてね。」

 

 顔を覗き込みながら言う。

 

寧「わ、わかった。」

 

 そして、そっぽを向き了承をした。

 

一「ハハハハハ。んじゃ、仕事がんばってねぇ〜〜〜。」

 

 お気楽に笑いながら一刀は帰っていった。

 

 後に残された甘寧は鈴を触っていた。

 

 

 

 

 コレが鈴の甘寧の誕生であった。

 

 

 

 


あとがき

 

はい。こんにちは。冬木の猫好きです。

 

今回は孫呉でのほのぼのとした日常を描きました。

 

次回はバトル―――の予定です。うまく書けるか不安ですが、頑張ります。





ドタバタとした日常。
美姫 「まあ、これもまた平和な証よ」
だな。今回は鈴の甘寧の誕生秘話が。
美姫 「ここから、鈴の甘寧の名が広がるのね」
さてさて、次回は何が待っているのかな。
美姫 「それでは、今回はこの辺で」
ではでは。



▲頂きものの部屋へ

▲SSのトップへ



▲Home          ▲戻る