不破特断ファイル〜信じ続ける勇気を下さい〜 番外編4
特断ブレッツエリスターとは、
平和を願い、平穏を守り続ける『不破』恭也の願いを叶えようとしたエリスが、過剰とも言うべき行為から設立した........
『法務省特別断罪隊』を示すものである。
「ティア〜、いきなり私、この子の母親になっちゃったよ」
「っさい。その子が起きちゃうでしょ」
腕の中で瞳を閉じて寝ているのは、初日の最後の模擬戦でスバルを止めた少年だ。
少年は、スバルを抱き締め、安心しきった顔をしている。
少年を見ながら、スバルはあのときの模擬戦を振り替える。年が3歳しか違わない、自らを母親と慕う少年を。
氷に止めの一撃を放とうとした時に、人を殺すことに恐怖し、ISを止めた。
「父さん!」
空を飛ぶ少年の翼の片翼が跡形もなく消失した。
翼から大量の血が、スバルに降り注ぐ。
「はやて!」
「っつ!」
その場で正気に戻った私が、恐怖で潰されそうになった。
「スバルは、高町教導官の血筋まで似る必要はないんだよ」
優しく、頭を撫でてくれた氷。その瞳は、私を見ているけど、私を通して他の誰かにも向いている。瞳は輝いていながら、同時に死
んでいるような感じがした。
なのはさんの血筋って何だろう。
「父さんっ!」
横から、翼を生やした少年が現れた。翼から大量の血が流れたのに、怪我をした様子もなく、翼もなかった。
「ダイ、スケか。治療頼む」
「はい」
ダイスケ君の魔力の色は赤と黒の二色で、見てるだけで何故か悲しくなった。
白い羽を一枚取り、魔法を構築、発動のトリガーボイスを言う。
「祝福の雨、メモリーズレイン!!」
《零れ落ちた幸せを》
『ティアナ、頑張ってるね』
「待宵、怪我は大丈夫なの?」
『日常生活には問題がない程度には』
《拾い集めて抱きしめる》
「そう、良かった。で、どうしてここへ」
『回復後の精密検査と子守り』
「子守り?」
《砂のように掴めない》
『あの子、familyネーム違うけど氷の実子なの』
「節黎さんって23でしょ」
『そう。氷さんが12歳の時に産まれたの』
《だから僕は叫び続ける》
「それに、あの翼と魔方陣。ミッド式じゃないわね」
『そう、あの子しか使わないミッド式を古代ベルカ式を元にエミュレートした、ミッドヒロイ式の魔導師』
「ダイスケ、特断課だと、忙しくなってもう面倒見きれない」
「えっ」
「だから、スバル母さんのいる機動六課のフォワード部隊スターズのバックスに登録しておいた」
「わたしって、この子産んだ覚えないですよ」
「えっ」
『クイントとの子供だから実際はスバルとギンガの弟なんだが、こいつは母親の温もり以外は覚えてないから』
『じゃ、私じゃなくてギン姉の方が良いですよ』
『ギンガを怖がっててだめだ』
『母さんには、ギン姉の方が似てるのに……』
『…………普通に念話使ってるけど、氷、全治1ヶ月だから』
「父さん、医者に見てもらった方がいいよ」
「そうだけどな。まだ、動けるほど回復してない」
『仕方ない、今日は特別サービスだ。選曲はあれよ。ダイスケ』
【ボードベント】
魔法で水色のクリアな鍵盤が現れる。その鍵盤を弾く指先に見とれていた。
『「飛び散る血潮に、この思いは塵となる」』
「ひ〜きさかれた、ツバサは〜ばたかせ〜♪」
「たい〜せつなものま〜もりつづ〜けよ〜う♪」
「う〜んめいさえ(見放された)うらぎるみらぁい♪」
「いくつもの IF に♪」
「すくいをもとめてぇ〜♪」
「うわ〜、凄い」
「………」
先ほどより、症状が回復に向かっている氷を余所に、歌に引き付けられている二人。
『ブレスタージェットで運ぶ。力仕事はスバルに任せる』
スバルと氷を見たティアナは「はぁ、逆転夫婦とその子供ね。違和感ないわ」とのこと。
新しい親子?
美姫 「かもね。今回は連続投稿だから……」
他のお話もすぐに。