不破特断ファイル〜信じ続ける勇気を下さい〜

番外編3


この番外編は、スバルとティアナの本局での特別講習3日間のお話。番外編1の続編です。











「講義内容は、すべて戦闘訓練です。」



「えっ」



「ルールとかは?」



「座学はやらないんですか?」



「3日しかないのに意味ない」



「意味がない?どうしてですか?」



「期間が短いし、実戦で使えなければ意味がない」



「では、まずは自分のステータスを言ってくれ」



「えっと....うぅ」



「じゃ、ティアナから」



 二人の魔導師としての実力を把握した氷はプランを立てる目安を考える。



「調整しやすいティアナの方からだな」



「えっと、魔法資質計測データと」



 一様、聞いた二人のステータスと管理局データベースと一致するか照合をかける。どうやら問題はないようだ。



「あれ、ない?」



 ついでに、二人が疑問に思っていたので自分のステータスを確認すると、存在しなかった。退職したときに削除されて再就職が最近
だからデータの更新が間に合わなかったのか、それとも他の要因か存在しない。



「えっと、ダミーデータ流しとこ。ったく、知られると困るからって、ダミーのデータくらい公開しとけよ」



「ふぅ〜完了」



「二人は準備できるまで、俺の魔法資質計測データでも見てて」



「あの、私達が見ていいものなんですか?」



「いいの。ダミーのデータだから。そうそう、あんまり言いたくないけど、管理局は信用しないほうがいい」



「「えっ」」



 ダミーデータを管理局に流せるとか、管理局を信用するなとか、結構あっさりとんでもないことを言っている氷に何を言えば良いの
か、動揺している二人。



「闇っていうのは、組織が大きければ大きいほど、どんな組織でも根深いからね」










<魔法資質計測データ>

 計測No. 0000000181
 分類ID D90Z-898-SW


[パーソナル]

 氏名 節黎 氷(husitami hyou)
 年齢 22歳
 出身世界 第97管理外世界・地球 日本 埼玉県大宮市
 出身世界文化レベル B



 所属:時空管理局 本局執務官(以前は、本局武装隊→災害担当部隊→総務課)
 階級:一等空尉(以前は、一等陸尉)
 役職:本局執務官(以前は、属託魔導師→本局武装隊員→災害担当 074部隊隊長→執務官補佐→本局執務官→総務一課課長)
 魔法術式:古代ベルカ式、ミッドチルダ式、近代ベルカ式(以前は、古代ベルカ式)


所持資格:戦技教導官/戦技教官/戦技試験官/小隊指揮官/レスキューマスター/II種キャリア/第1種整備士
     /メカニックマイスター/ディバイスマスター/保育士/執務官/第1種通信士/第2種情報処理技術者



備考
・管理局所属・L級2番艦"エスティア"にて民間協力者登録されていた、リク・ミワとは血縁関係。
・現地で発達したスポーツ、バスケットボールを体得。身体能力は高い。
・情報処理技術者、保育士資格は出身地資格なので、現地で使用する場合は審査が必要。

[計測結果]

 魔力生成有無 有

[魔法資質・基礎能力]

 リンカーコアクラス S+
 魔力生成能力 S+
 並列思考能力 BB
 身体制御能力 BBB
 空間把握能力 C
 指揮官資質 D
 教導官資質 D


[魔法戦特性]

 空戦特性 C
 陸戦特性 B
 補助特性 BB

 近接戦闘技能 B
 遠距離戦闘技能 BBB
 高速詠唱技能 S-
 遠隔制御技能 AA
 魔法理論修得度 SSS

総合 AA+









「(ねえティア)」

「(なによ)」

「(戦技教導官とか執務官って、指揮官資質、教導官資質低くてもなれるの?)」

「(うっさい、実際取れた人が目の前にいるでしょ)」

「(ふぅ〜ん)」







「自分の能力をコピーした魔導師との戦闘を想定した訓練をやります」



「技能面以外は君たちの能力に合わせるし、身体能力や体重差違は変えられないが、もともと二人と差違は大きく開かないから許容範
囲だろう」



「節黎さんは体重ってどれくらいあるんですか?」



「50キロ」









「(その身長でその体重、お父さんはたしか78とか言ってたからかなり痩せすぎ)」

「(私も四捨五入すると、考えるのやめよう)」









「いろいろな役職の経験、資格を取得してるから、将来について……ティアナは執務官資格について、スバルは多分高町さんと同じ教
導と指揮系については助言とかできるけど、メールで送ってくれ。言葉にしてまとめるの苦手なんで、書面で送るから」



「「はい、ありがとうございます」」



「あっ、それよりもダイエット法のほうがいいか?」











「じゃ、スバルは見学しといてくれ」



「模擬戦のルールを説明する。制限時間は1分、魔法は非殺傷設定純粋魔力ダメージのみ。この模擬戦で俺は、いくつかの魔法を使用
する。この3日間はその魔法の修得を目指して訓練してくれ」



「準備はいいか?」



「はい」



 共に銃撃戦タイプの二人、距離がかなり離れた位置から開始する。



 目測で100メートルある。



「では、スタート」



「(攻撃してこない? こっちの出方を待っている)」



「シュート」



「えっ」



 氷は、銃撃を紙一重で避ける。



「まずは、走りながらのフェイクシルエット(弾速早っ!避けるのギリギリだった)」



 ブランクが長かったせいか、自分が思っていたよりも反応が遅いことにストレスが溜まっていく氷。



「凄い」



「相手の目の前で呆然とするな」



「クロスファイア、シュート」
「シュート」



距離を少し詰められ六発の発射音が響く。



「?」



 一発は、相殺。残りは明後日の方向に向かう。自動追尾もなしに執務官とあろうものが外すだろうかと氷の銃撃に不思議に思うティ
アナだった。



「バリアブルシフト」



 銃弾が発生した魔力障壁により方向が変わってティアナに迫った。



「痛っ」



 残りの五発中、左肩、腹部、左腕、残り二発は外れて地面へ当たる。



「最後」



 二人の距離は、最初の十分の一程に縮まった。



「ミラージュ・シルエット」



「シュート」



「すり抜けた?」



 追尾を付加した銃弾は戻ってくることはなかった。

 次の銃弾を発射するために氷に銃口を向けたティアナだったが、動きは先程より速くないのに、銃口が氷に定まらなかった。



「はぁ、はぁ、はー、1分、あちっ」



 ティアナに銃口を向けた氷であったが、ディバイスの発熱がバリアジャケット許容外だったため、熱さに耐えきれなかった氷が両手
からディバイスを離した。



 武装局員に支給されるバリアジャケットは使い勝手が悪かった。



 模擬戦をリプレイした後にたまたま思い浮かんだのか氷はこんなことを言った。



「そうだ、ティアナ、俺の使った魔法をスバルに説明してみろ」



「はい」



「まず、私がいつも使っているフェイクシルエットは、条件として魔力を多く使用する。制御が複雑で、使用する場合、術者はその間
静止状態、制御に意識を持ってかれるから、敵を撹乱させるのには有効にだけど、術者の位置が知られてしまうと基本的にアウト。一
般的に幻術魔法は使えないと言われているのは、使用魔力と効力が比例しない非効率なものだからよ。それを踏まえて、聞いて欲しい
んだけどね。節黎執務官は、その複雑な魔法制御を走りながらやってのけたってわけ」



「それが素の君が?ティアナ」



「はい...(恥)」



「すまんが、素のままで話してくれ。君たちが見た通り、指揮、教導資質が低いのは、誰かに指示を出したり、上の立場ってのに精神
的に強い負荷が掛かってしまう。短期任務でも、実はこの講習ですらやっと許可してもらった仕事なんだよ」



「今から、階級とか立場関係なしに呼んでくれ」



「はい、氷さん」



「はい、え〜、節黎、し、さん」



「話を折ってすまなかった」



「それじゃ次は、クロスファイアの応用技ね。」



「本来、銃撃魔法の弾って、自動追尾を付加すれば相手に必ず命中するけど、バリアに阻まれたり、破壊される確率も大きい。多分、
それを無くすのが目的だと思う」



「一発か二発は相手に当てるように仕向けて、それ以外は外したと見せかける。魔法障壁を張り、魔弾の軌道を変えて、敵に命中させ
る。ただ、実際分かったけど、威力はかなり低下するわね」



「ねっ、ティア最後のあれって何?」



「私にも分かんないわ」



「まあ、最後のはティアナが精密射撃をしてくるから使って見せただけで、ティアナは使うこともないし、使えないだろう」



「ミラージュ・シルエット、簡単に言うと、フェイク・シルエット、オプティク・ハイド、ソニック・ムーブを一秒間に数回繰り返し、
常時空間の気温操作、魔力素の操作の魔法を使用する多重魔法制御型の幻術魔法だ。難易度だけならS〜SSSランクの魔法」



「何でそんなに難易度に開きがあるんですか?」



「残像、陽炎を残すだけ、蜃気楼を発生させたり、レーザー系質量兵器の軌道ずらす、さっきの魔法銃撃をずらすかもしくは付加した
魔法を無効化等の条件があるし。これ、ディバイスなしではほぼ不可能。ディバイスの性能がかなり高く、術者の魔力と制御能力も高
くないとできない。できたとしても使用時間は数秒間と短いからね」



「まあ、フェイト執務官なら残像くらいソニック・ムーブでできるだろうね」



「ティアナと相手にした時は近戦銃撃型っていう変則的なタイプで模擬戦をしてみたからな。どうだった?」



「勉強になりました」



「じゃ、30分の休憩の後スバルとの模擬戦をやるから」



「今日はタウリンが多めに入っているやつを飲むか」


 休憩時間に転送魔法で栄養ドリンクを手に2本飲み干す氷。














「準備はいい?」



「はい」



「じゃ、スバル、一つ決めてくれ?」



「何ですか?」



「SAとISどちらで「俺と戦う」」



「!?」













「...」













「...」













「...」













「決められないと言うなら俺が決めてやる」



「ひっ」



「ティア!!」



「動くな」



「!!」



「この距離なら、こっちが先だ」



「お前が動いてから二秒は何もしない。この短時間で、俺とティアナを離せてもティアナは死ぬ。純粋魔力ダメージで俺を倒すような
大技は二秒で放てるわけがない」



「IS振動破砕を最速で俺に放たなければならない」



『ティアナ、バインドは幻術に変えた。スバルが向かってきたら離れろ』



「う〜ん、ティアナは可愛いから、殺した後使い魔にして、そうだ―――」



「う、ああああああああああー」



「ティアを、離せぇぇぇぇぇー」




※氷の身体データ
 身長:172cm
 体重: 50kg

 皮膚が通常の女性の皮膚よりも薄いので、熱が伝わりやすい。






番外1の続き。
美姫 「ここでも栄養ドリンクが」
あははは。突っ込むスバル。
美姫 「どうなるのかしらね」
それはまた次回。



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