不破特断ファイル〜信じ続ける勇気を下さい〜 9話#3-StrikerS編-TAKE-ME-HIGHER-
特断ブレッツエリスターとは、
平和を願い、平穏を守り続ける『不破』恭也の願いを叶えようとしたエリスが、過剰とも言うべき行為から設立した........
『法務省特別断罪隊』を示すものである。
補足
「特断一課及び二課」は不破恭也が新たに管理局に設立した組織。
妹とその親友逹の新たな旅立ちは幾多の次元世界を駆ける仕事。
そんな彼女逹の姿を見届けるために、管理局内部に設立した特断ブレッツエリスター。
正式名「管理局監査部隊兼特殊犯罪警防−特別断罪隊ブレッツエリスター」である。
……素早く動けば、怖さなんて吹き飛ぶっ!
……素早く動けば、迷っている暇なんてないっ!
……素早く動けば―――
―――――――――――でも、動けない状況だったら……どうすればいい?
そこには、一人の頭脳が保存液の中に入っていた。その周辺はコンピュータが埋め尽くされている。
頭脳のそばに一人の女性が裸で横たわっていた。まるで人形のように生気は感じられない。女性の周りは解剖室のような殺伐とした
雰囲気が漂う。
「恭也、聞こえるか?、私の声が聞こえるか」
頭脳のそばにいた女性が声をかける。頭脳に直接自分の声を送っているようだ。
【……ああ、聞こえるよエリス】
少し、間をおいて出てきた返事に安心するエリス。だが、脳しかないのだから返事は画面の文字に置き換えられていて、温か味が感じら
れない。
「状況を整理しよう。君はロバートさんの護衛中に爆弾テロに遭ってしまった」
【そうだ、ロバートさんは!?】
「無事だ」
【よかった】
「全然よくない!!」
今まで抑え込んでいた何かが、エリスの瞳から大粒の涙を流させた。だが、数秒経ち涙が途切れると、戦闘者の顔になったエリスは
今の状況を完結に伝える。
「君の脳だけは無事だが、肉体の90%以上は手の……下しようもないほどダメージを負っている………無いんだよ、恭也の体!!」
【そうか……しかたないさ……エリスと話せただけで幸せだよ】
「君を救うためには肉体を機械のボディに置き換えて、サイボーグ化するしかない」
【……生きられるのか?】
「……サイボーグとして生きるか尊厳ある死を選ぶかは、選択するのは君の意志だ」
【……応えは決まっている。俺は、生きる!!】
【STARTINGUP】
視界に機動文字が表示されると、恭也は夢から目が覚めた。
「精密検査は終了だ。」
「まさか、ノエルは?」
「大丈夫だ。まだ、生きている。両手を前に出して、ゆっくり閉じてくれ」
「夢を見ていた。生存か死か、俺は周りを悲しませない為に生きることを選んだ。」
「……それが、ノエルを犠牲にすることとは知らずに」
「あの時の選択は正しかったのか。ノエルは一般からすればロボットだ。ロボット一人いなくなったって」
「ふぅ、恭也らしいね。ノエルを一体とは言わないところとか、でも、あの時は忍さんもノエルのこのことを同意していたんでしょ」
「………ああ」
「それで、検査の結果だが、あまり良くない。各箇所にダメージが蓄積されている。入手した戦闘機人のデータを参考に改良を加えた
ので、魔法の行使の負担は軽減されるが、これまで通り戦闘ではバトルジャケットを実装するか、マッシブテクターを着化すること」
「了解」
「俺はどれくらい眠っていた?」
「3ウィーク程」
「っ!? 仕事は? 今日は確か聖堂協会に行くんじゃ」
「すでに手はある」
恭也は震えた。エリスの嗤っている顔に悲鳴を上げる寸前だったのを追記する。
<聖堂協会>
書類に目を通す金髪の女性、それだけでも絵になる。だが、機動六課の立ち上げに助力した三人の一人という、権力者である側面を
もつ女性でもあり、八神はやてにとっては良いお姉さんである。
そんな彼女は、普段のように書類に目を通しているように見えるが、視線は書類よりもドアの方に向いていた。
まるで、恋人を待つ男性のようだとは本人には失礼かもしれないが。
「シャッハ、何かあった?」
「騎士カリム、特断ブレッツエリスター 代表取締役 不破恭也様が参られました」
「了解、通して。後アイス宇治茶を用意して」
「かしこまりました。騎士カリム」
ドアを叩く音が聞こえる。
「どうぞ」
「久し振りだな、カリム」
「ええ、確か管理局に特断ブレッツエリスターの監査組織を設立することになってから忙しかったものね。」
「それで、今日はどの様な御用件でしょうか? 【特断部隊長殿】」
「……その前にアイス宇治茶を頂こう」
タイミング良く、シャッハがドアを開けてアイス宇治茶を持ってきた。
「失礼します。お茶を持ってきました。」
カリムはシャッハがいいタイミングで入ってきてくれたことにほっと息を吐いた。
恭也との会話は良い親友となった今でも油断はできなかった。どんな会話であろうと、そこから情報が入手できてしまう。
「今日はミストフェイズは同伴ではないのですか?」
「ああ。彼女は今、設備調達に尽力してもらっているからな。ついでに、久し振りにブレッツジェットで来た」
カリムはほっとした。これで情報網は機能しない。ミストフェイズは戦闘者でもあるが、少ない情報からかなりの確率で正確な情報
を手に入れてしまう、解析をメインとするオペレータであったクロノの妻エイミィのように表舞台には今まで上がって来なかったが、
その力は侮れない。
「どうして、機動六課の設立がこんなに早く進んだ。」
「それは、私以外の二人の助力もあったからです」
そう、六課の設立の前段階である申請すら、かなりの早さで進んだ。
「嘘だな」
「っ!」
「リミッター付きとはいえ、保有魔導師のランクはSSからA+までの8人。これは、管理局の組織運営上、異常と言っていい。」
「……やはり言えないのだな、これから始まろうとしている何か、それが、君のせいになってしまったとしても」
「……ええ」
重い雰囲気の中、その通信は届いた。
『ブレスタージェットガ セントウモードニ イコウシマシタ』
『シケンカイジョウニ カンリキョクセントウクンレンヨウガジェットガ ボウソウ。テンソウサレテキタガジェットニスターズ1、
ライトニング1ガ アシドメサレ シケンジュコウシャタチヲ キュウシュツニ ムカエマセン』
『タッタイマ ブレッツコードガ チャッカシマシタ』
『わかった。救援に向かう。』
「ブレスタージェェェェェェェーット」
「えっ」
「待宵?」
ミサイルが上空のガジェットを撃破する。上空に飛んでいたのは、ガジェットだけではなかった。
戦闘機ではあるが、大きさは2メートル以下と人間の身長と大差はないほど小さな飛行機であった。
【マスター!!】
待宵周辺のガジェットを一掃するとその戦闘機は英語やドイツ語ではなく、日本語で話した。
【助かった。今回は戦闘サポートを行うから、結構条件厳しいよ】
【OK】
【まずは空を制圧する】
【ブレッツランチャーフルバースト】
ブレスタージェットがミサイルを全弾ガジェットに発射する。もちろん、装填数は限りがあるのに対し、ガジェットはかなりの数に及
ぶ。そのすべてにロックオンすることはできない為、誘爆ですべてのガジェットを倒す。
【空戦タイプ、残り5】
【直線上に誘い込んでレーザーで破壊する】
【了解】
戦闘中に遠くからサイレンが鳴り響く。だが、一秒にしてその音が大きくなると、真っ黒で白いサイレン灯を光らせる車がこちらに
向かって来て、車のドアが開く。
「ふたりとも、はぁやぁくのってくださぁい?」
気の抜ける声と共に女性が現れた。
「ミストフェイズさん、今回の情報操作は任せます。」
「じゃ、がんばってねぇー」
ブレッツコードの中で、スバルはミストフェイズに抗議していた。
「どうして、待宵を、殺されちゃいます!!」
あれだけのガジェットだ。魔法が使えない相手に、待宵一人で戦うのは死ねと言っているようなもの。
「この車はさんにん乗りですよ?」
「えっ」
スバルは全然気づかなかった。そういえば普通の車より窮屈だなぁとは思ってたかもしれないが。
「でも、無理やり乗ればいいじゃないですか!!」
「あっ、そうですね。でも大丈夫ですよ」
「特殊犯罪対策法 第四条 特断ブレッツエリスターは、あらゆる生命体の平和を破壊する者を、自らの判断で抹殺することができる」
「第七条 特断ブレッツエリスターは、いかなる犯罪にも敗れてはならない。」
「実装」
通常、バリアジャケットを着るときには起動パスワードは必要ないのだが、待宵のディバイスフォームすべてに起動パスワードが必
要に迫られている。これは、いくらディバイスとはいえ、乗っ取られたらたまったものではないからだ。
あの航空火災の時に乗っていた魔導師が、ハイジャック犯に反抗しようとディバイスを起動したときに機能をフリーズされた瞬間を
見てしまった記憶が未だに焼き付いているため、本当にディバイス自体を信頼してはいない。
こんな経緯があり、ブレスタージェットにAIを搭載するかしないか迷った待宵だったが………
【バトルジャケットセットアップ】
「バトルジャケット実装完了」
【シンパレート 30%】
インテリジェントディバイスが通常機能を問題なく運用できるシンパレートギリギリで使用している。
「ブレスターキャノン」
「ファイア」
ガジェットを叩くその光景は待宵が恭也に助けてもらった時と同じ、一筋の閃光とかした。
・その時の二人
「きゃっ」
ブレスタージェットのランチャーミサイルの衝撃で、フェイトが飛ばされる。
「?」
かなり遠くまで吹き飛ぶと思っていたフェイトだが、なぜか、30メートル程しか現在位置から飛ばされなかった。
「大丈夫? フェイトちゃん」
「あっ、ありがとう。なのは♪」
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はやて 「機動六課もようやく立ち上がって、一息ついた頃に事は起きる」
なのは 「新人たちとの練習もようやく軌道に乗り出したけど、ストラーダ、アンカーガン……」
フェイト「スバル達のディバイスが練習中に壊れてしまう」
はやて 「そんな時に、レリックを護送中の列車がガジェットが襲撃される」
なのは 「信頼するディバイスが故障中の新人たちを出動はさせられない」
フェイト「だけど、今現場に向かえるのは、わたしとなのはの隊長だけ」
はやて 「どうしても陸戦魔導師が必要不可欠なこのミッション」
なのは 「そんなとき特断ニ課から応援が来た」
全員 「「「 次回、早すぎるファーストアラートに TAKE OFF」」」
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※注意 ネタバレの話数設定はあくまで予定の設定です。StrikerSの物語に合わせて書いているので変わるかもしれません。
恭也が何やらとんでもないことに。
美姫 「いやいや、全く予想もできない展開よね」
一体どうなるんだろうか。
美姫 「それじゃあ、まったね〜」
ではでは。