『不破特断ファイル〜信じ続ける勇気を下さい〜』
特断ブレッツエリスターとは、
平和を願い、平穏を守り続ける『不破』恭也の願いを叶えようとしたエリスが、過剰とも言うべき行為から設立した........
『法務省特別断罪隊』を示すものである。
……ようやく……先に進める目途がたった。
……私は、あの人が使っていたディバイスを作ることができるまで……技術者としての知識と技術を習得した。
……でも……それでも……私の弱さは克服できない。……だから……
……見極める……二人の親友にどこまで付いていけるか……どこまでアシストができるのか……
<陸戦魔導師Bランク認定試験 試験開始>
「おはようございます」
「三人ともそろってますか?」
「陸戦3786部隊所属 スバル・ナカジマ二等陸士、ティアナ・ランスター二等陸士、そして、ミストフェイズ・アーミティ特別捜査官の
特別推薦として、不破待宵二等陸士」
「受ける試験ランクは、陸戦Bランクで間違いないですね。」
「「『はい』」」
「ほんじつの試験監督を務めます、リーンフォースツヴァイ空曹長です。よろしくですよ」
「「『よろしくおねがいします。』」」
試験会場のスタート地点からはかなり離れていて、ゴール地点に近い場所に一人の人影があった。
【試験範囲内に、危険物、生命反応ともにありません】
「ありがとう、レイジングハート」
「私たちは全体を見てようか」
【Allright】
「それでは、ゴール地点で会いましょう。」
「「Ready 」」
「「Go」」
「はじまったはじまった」
「二人は先にスタートしたけれども、一人だけ出遅れた?」
試験開始前に掛けていた黒いバイザーを再び掛けている待宵に違和感を覚えるフェイト。
「フェイトちゃんは見たことなかったんやっけ? あの子の入学後期試験」
「その時も三人だったんやけど、待宵は二人の戦闘データを解析、現状で最も適切な指示を与えるんや、まるでインテリジェントディ
バイスさまさまやで」
アンカーガンで自分とスバルを吊り上げて敵の場所へと向かうティアナ。
「中はわたしが潰してくる」
「手早くね」
ガラスを突き破って侵入したスバルは、目の前のスフィアを拳で破壊したあと、蹴りで追撃する。だが、零距離の場所に敵がいない場
合はディバイスの力を借りた中距離攻撃魔法を使用する、いたって単純な攻撃パターンに絞られてしまう。
「ロードカートリッジ」
「リボルバぁぁぁぁ、シュュュゥート」
スバルがいる空間に存在する敵はすべて倒したかにみえたが、瓦礫に交じって数個のスフィアが隠れていた。
「バァァァン」
スバルは爆発音が聞こえた方向を見る。すると待宵がナイフを構えていた。
『隠れている敵を見逃しちゃダメだよ』
「あはは、ごめん、待宵」
「落ち着いて冷静に」
「しまった」
【シューティングカード】
破壊してはいけない対象にティアの攻撃が迫る。
突然別方向から来た魔力の攻撃に無効化された。
『危なかったね』
念話で話掛けてくる待宵の姿を探すと、三百メートル程先の道路の真ん中にいた。高低差と距離があるので、精密射撃はティアを超え
る腕前、正直ティアは嫉妬した。
「なかなかのタイム」
「当然」
『二人とも、私のフォロー回数多いし、ディバイスの負担いつもより1.75倍高いから』
「げっ」
「わかってるわよ」
「三人ともなかなかいいチームだね」
「そうやね、でも、難関は大型自動スフィア」
「何人もの試験受験者がここで脱落する、中距離自動攻撃型の狙撃スフィア」
「三人にはまだ辛い相手だけど」
「そこは、勇気と知恵の見せ所や」
「それにしても、あのディバイスって」
「何でも、通常は支給しているカードディバイスとほぼ同様の能力らしいんやけど」
ディバイスを拡大。フェイトは待宵のディバイスデータを見る。
「あれは、用途に合わせたカードディバイスを挿入することで、あらゆる局地での戦闘を目的としたディバイスらしいで」
「すごいね。でも、どうしてそんな情報を」
「本人から聞いたんや、何でそんなに支給ディバイスを必要としているのか」
本来支給されるディバイスは一台、まあ故障等も含めて二台までしか支給されない。それ以上必要となると申請が必要となる。その経
緯としてディバイスのことが記述してあったのだ。
「なるほど、こんな書類申請出してたんだ」
二人ともカートリッジを入れ替えているが、待宵のディバイスはすべてカートリッジシステムを搭載していないので、ディバイスの状
態を見ている。無論三人のディバイスの状態を。
どうして詳細にディバイスの状態を常に見れるのかというと、データ採取用のチップを二人に許可を得て搭載しているからだ。
「この次は」
「上、上がったら集中砲火がくるわよ」
『私が囮で上がる』
「その間にオプティックハイを使って、クロスシフトで瞬殺、いくわよ」
「5、4、3、2、1」
残り三秒の時に光学迷彩が解ける。
「クロスファイヤぁぁぁ」
「リボルバぁぁぁ」
「シュュュュュュュート!」
「あの子……、すごい、死角になる背後にバリアを張って、そこ以外はすべて魔力糸で捌いてる
「なるほど、これは確かに見応えがありそうだ」
「やろ、残るは最終関門」
「やったね」
「あれだけ時間があるんだから当たり前よ」
「でも、普段はマルチショットの命中率あんまり良くないのに……」
「やっぱティアは本番に強いね」
「うっさい」
『二人とも視界が晴れるから周囲に警戒して』
「言ってるそばから、スバル!」
「えっ」
「なんや」
「サーチャーに流れ弾が当たった?」
「リィンちょっと様子を見てくるね」
「はい、よろしくお願いします」
【バリアジャケットを装着しますか?】
「うん、お願い」
【Allright】
「ティア」
「騒がないで」
『応急処置はするけど……ちょっと周りはそんな時間をくれなさそうだよ』
「試験は中止ですっ!! 三人ともすぐそこからはなれてください!! 今すぐ魔導師さんに応援をよびますっ!!」
アラートは鳴り続ける。
「危険指定のガジェットがこんなに!!」
「外に出るよ」
「きゃっ、えっ、どうして」
外にでると、スフィアが攻撃をしてきた。それを、ティアとスバルは防御しようとするが、ティアの防御魔法が発動しない為、スバル
がリボルバーナックルで叩く。
「スフィアが活動している?」
『ガジェットに支配されている、ガジェットはAMFを使うから影響範囲では魔法は使えない』
「くっ、どうしよう、囲まれた」
三人は大量のガジェットに全方位を囲まれた。陸と空、逃げ場は……ない。
「ブレスタージェェェェェェェーット」
次回予告
もうダメかと諦めかけた時、すぐそばで、聞きなれていて一度も聞いたことのない声が響く……
その声は、涙声で……悲痛……
でも……力強く……私の心を揺さぶった
待宵……あんたは……
第一条
特断ブレッツエリスターは、いかなる場合でも令状なしに犯人を逮捕することができる。
第二条
特断ブレッツエリスターは、相手が犯行を認めた場合、自らの判断で犯人を処罰することができる。
第三条
特断ブレッツエリスターは、信じる心を最優先とし、これを顧みないあらゆる命令を排除することができる。
第四条
特断ブレッツエリスターは、あらゆる生命体の平和を破壊する者を、自らの判断で抹殺することができる
第五条
特断ブレッツエリスターは、人間の信じる心を利用し、犯行を行う者を自らの判断で処罰する事ができる。
第六条
特断ブレッツエリスターは、すべての司法機関の最上位にある。下された判決にはいかなる法、組織、機関であろうとも関与はできな
い。
第七条
特断ブレッツエリスターは、いかなる犯罪にも敗れてはならない。
第八条
特断ブレッツエリスター隊員は、証として自らのファミリーネームを不破と名乗らなければならない。
第九条
特断ブレッツエリスターが、上記八条で対応しきれない犯罪が発生した場合、超特別合法措置として特別断罪法を適用する。
という訳で、続けての投稿。
美姫 「ありがとうございます」
結局、試験は中止みたいだけど。
美姫 「うーん、不合格になるのかしらね」
どうなんだろう。
美姫 「でも、何が起こってるのかしらね」
本当に。それは次回で分かるんじゃないかな?
美姫 「それじゃあ、次回待ちね」
だな。