『不破特断ファイル〜信じ続ける勇気を下さい〜』
1話-死を運ぶ幼稚園バス#5
特断ブレッツエリスターとは、
平和を願い、平穏を守り続ける『不破』恭也の願いを叶えようとしたエリスが、過剰とも言うべき行為から設立した........
『法務省特別断罪隊』を示すものである。
着化と男性型機械音声が発声する。
エンジン音が高い音域になり回転数が今まで以上に上がっている。
車体が浮いた。
時間にして僅か10秒程ではあるが、その10秒の間には劇的な変化が訪れた。
車体の下から隠されていた黒の装甲板が車を覆う。フロントバンパーの下からは発射口、『トリックレーザー』。
そして、後部からファンが現れ、上部には、大きな発射口『ケミカルディスチャージャー』。
最後に、フロントのヘッドライトがリトラクタブルになる『ウィルダーライト』
車内にいたシグナムとシャマルはその変化に驚く。
「戦闘魔導師が老いて一戦を引いた場合に乗り物のOSのサポートにディバイスを使用するとは聞いたことがあるが」
「こんな変形機構を装備した実戦用ディバイス見たこと有りません」
車外の二人も驚いていた。
「...!!」
大型犬は驚きの表情こそするが、声には出さない。
「かっけぇ〜」
特撮好きの少女は目を輝きでいっぱいにしていた。
白から黒へと色を変え形を変えた一台の車。
「サーチ」
「イリュージョン」
真っ昼間からヘッドライトを点灯する。
普通の光ではなく、三原色を幾田にも点滅させる者だった。
一般車とは違い、点灯する為の装置は、ドライバーの側左シフトドライバー横、ミッション表記部分が全てボタン形式になっている。
着化状態時にはシフトドライバーは固定されAT走行となる。
恭也は、Rと2の箇所を押した。
「ぐっ、これは普通の光ではないな」
光を初めから見ていた、シグナムの気分が急に悪くなった。
「どうしたの?シグナム」
「視覚に捉えてしまうと悪くて死ぬ光を極地的に当てた」
「なっ」
「お前、自分の妹を殺すのか!」
【あくまで死亡する可能性があるのは十歳未満のあそこにいる園児達よ】
「この声、アリサちゃんの」
「一般的症状は気分が悪くなること、進むと失神だ」
【この車、ブレッツコードのAIである私arrowはアリサの声を元にしてるってわけ】
「サーチ結果は?」
【バリア発生装置が二次的に作ったプラズマは、一撃でも直撃すればブレッツコードでも中破は免れません】
「対策は」
【バスから予測30メートル程離れるれば当たる確率は20%、直撃しても距離が離れている分威力は半減します。】
「それでは近づけないではないか!」
【少し黙ってくれない、私の中で暴れられるの嫌なのよ。掃除するの恭也なんだから】
「シグナム、貴女らしくないわよ」
「すまない」
arrowは、戦闘では意識的に感情を抑えているようだが、まだ成長途中なのかチラホラと感情が浮き出ている。
【マッシブテクターを着化後EMバリアを作動させれば対処可能】
「突破口は?」
【バリアはフルバースト二回で破壊可能。正し、魔力補正が必要の為、破壊する為にはマスター以上の、概算AAAクラスの魔力が必要
となります】
「効率は悪いだろうが、魔力のことは私がなんとかしよう」
守護騎士達の中で保有魔力が多いのはシャマルであるが、はやての容態が心配であるため、治癒専門の魔導師である者に無駄に魔力
を消耗させるわけにはいかない。
ヴィータがとなるとシグナムは魔力を無駄に使うことになる。シグナムは乗車人数から外れ、AMFと管轄外世界という二つのネック、
いくら速度を落としているとはいえ、人が走って車を追いかけるのは身体強化魔法を使用しなければ不可能だ。ザフィーラになった
としてもシグナムの行動は変わりなく、魔力変換属性を持っていて、ディバイスtoディバイスの魔力交換もできない状態のシグナムの
魔力を消去法で貰うことになった。
【次に、バリアを破壊してから30秒以内にバリア発生装置は爆発します。影響範囲は、エネルギーを使うほど小さくなりますが、バ
スは木端微塵になるのは確実です】
「犯人達を含めて30人弱を脱出させるのは不可能だ」
「バリア発生装置だけ宇宙に転移させれば」
「できるか? シャマル」
「ディバイス補助がないですし、バリア破壊直後だとAMFの影響が残っているかも。不安定過ぎて、せめて三分はないと」
「無理か、だが、バリア破壊に変更はない」
「着化」
【MaSSIvE.JACKET_arrow_action】
街から離れ高速道路へと向かうバスとのチェイスが始まる。
運転席での光景を隣で見ていたシャマルは、ただひたすら恭也を見ていることしかできなかった。
着化と再び恭也が叫ぶと、左腕のポシェットに入っている携帯から、着うたが流れ出す。その歌声から、すずかの姉が好きなシンガー
SEENAであることがわかるが彼女からすると歌うことの躊躇うハードバラード系の歌だった。
【〜♪ 疑い迷う日々に〜♪ 彷徨い流れ果て〜♪ 『手にした真実にはいつも嘘が混じり入る』】
「この歌詞は」
「シグナムは何の歌なのか分かるの?」
「「INSIDEofaWILDERNESS」テッサロッサが好きなシンガーフィアッセ・クリステラが歌っている曲だが?」
恭也の服装が黒のボディースーツに変わる。見た目バリアジャケットが全身を覆っているが、強度はそれほど高くない。
「回避にほぼ余力をまわすのか?」
シグナムは意味違いをしていた。
恭也は魔力資質は一般の武装局員並み、保有魔力はニアAランク程しかない。
バリアジャケットは、防御を高めると重さはないが、鎧と同じく動きが制限される。
高機動戦闘主体の御神流とは相性が悪い。
なので、ボディースーツは、普通の服より丈夫な位しか防御力はない。
そして、最大の勘違いは、このボディースーツは厳密にはバリアジャケットではない。無論バリアジャケットの役割もある。
車外に出てバスに向かって走る。
走っている最中に何処からでたのか白いロングコートを着る恭也。
「バスを止めるんだ!」
バリアの影響下にあるのか、それとも管理外世界から来た為に運転に慣れていないのか、恭也が魔法を使用しなくても追い付くこと
が可能なスピードだった。
「おい!スピードを上げろ!」
音もなく、徹、運動加速、物体強化魔法を使った飛針をバスの窓ガラスに投げつけた。
だが、途中に雷に撃たれ威力が殺がれ、バリアに当たった瞬間に飛針が消えてしまった。
予想外だったのか、少し前のりになってしまい、重心がずれた恭也に電撃が襲いかかる。
「まて、くっ」
電撃が直撃する前にコートでガードしたが煙が全身から立ち上がる。
【ケミカルディスチャージャー】
ブレッツコードが冷気の霧で恭也の体を冷やす。
「恭也!」
二刀で目の前に六芒星を描く。
「brettsAction」
描かれた六芒星から発せられる光とブレッツコードのライトが恭也に当たる。
光が収まり現れたのは――――――――――――――――。
バスの中でも物語は進んでいく。
『バスの中には30人いて、犯人は3人。魔導師ランクは女性が一番でAAA+、運転をしながらAMFが広がった後も魔法でパトカーを寄
せ付けなかった眼鏡を掛けた男性がAA、もう一人の男性がBBB』
紙に書いて意志疎通をはかるなのはとフェイト。
『全員を戦闘不能にできる?』
『無理だよ。危険すぎる』
恭也の警察官が説得するような声に後を振り向くとサイレンを点灯させて自家用車を走らせる本人がいた。
「えっ、(何ではやて酸素呼吸器着けてるの?)」
「−−――−−−−−−――−−−−−--」
『モールス信号覚えているな』
「っ!(お兄ちゃん)」
なのはは頷く。
『何でライトを消したり光らせたりしてるんだろう』
「ー−−---――--------------――――-」
『今から園児達を失神させる』
「−−――−−−−−−――−−−−−--」
『車が飛んだら目を30秒間閉じろ』
「ー−−---――--------------――――-」
『飛ぶって、その車飛べたの!?』
なのはは瞬きで恭也に合図する。
暗号表無くて良くやり取りできるな(汗)
『私が首を上に上げたら30秒間目を閉じてね』
フェイトも頷き了承した。
光が収まり現れた。
周囲の人々には、バイクのフルフェイスヘルメットを改造したようなものを被り、全身に金属のプロテクターを着た人にしか見えな
い。
だが、こと物理攻撃に関しては、バリアジャケットを超える安定性を誇り、魔力に依存しない。
「ブレスターキャノン」
ブレッツコードから銃身が二メートルあるいかにも重そうな武器が転送され、恭也の手に渡る。
ブレッツコードが座標軸、威力等を調整する。恭一也はただ後は引き金を引くだけ。
「フルバースト、ファイヤ!」
バスを覆っていたバリアは、もう一度フルバーストを放つことなく破壊された。
【レフトトリックレイザー爆破、ライトトリックレイザー、魔力回路に異常発生、魔力攻撃使用不能】
【ケミカルディスチャージャー、冷却ファンオーバーヒート、科学消火及び、物理冷凍攻撃不能】
「どうしてだ?」
【さっき撃つ直前に解ったんだけど、フルバーストの次撃までのチャージと各チェックの間にバリアが修復されちゃうみたいなのよ】
【ディバイスのリミットブレイクだけでなんとかなったわね。うまくいくとは思ってなかったけど】
その影響か、魔力の急激な消耗によりシグナムは気を失っていた。
状況確認の合間合間に急激な魔力消費のため、恭也は何回も気を失っては目を覚ます。
バリア破壊から20秒経っていた。
「撃ち抜け」
掛け声をキーに、視力のみ神速を発動し、モノクロの視界の中を神速二段掛け位のスピード、高速移動を駆使してバスの中に入る。
微量とはいえ、人を殺せる程の電撃攻撃をかわしながらからバリア発生装置をバスから遠ざけ、上空に放り投げる。
【マッシブテクター強制排除】
丁度、マッシブテクターの稼働限界に達したため、恭也の鎧が弾けた。
「スティンガー、エグゼンプションシフト」
スティンガーブレードより小さく攻撃力が低そうな苦無のような針が数十個バリア発生装置に向かった。
「恭也、犯人達は捕まえた。美由希が入ればもっと楽にできたんだが」
「馬鹿弟子はAMFの中だと動けないからな」
「まあな。それで犯人はどうする? 管理局に預けたいんだが、こうopenになると、、、難しいな」
「そこは、管理局に手伝ってもらえ。」
「なのはとフェイト達の上官であるクロノと管理局の上層部の失態になるんだからな」
この事件の後、特断ブレッツエリスターは、法務省に籍を置き、逮捕権の規制緩和等、イギリス、香港と同様の活動が日本でも認めら
れた。
また、魔法犯罪に関しても逮捕権が与えられるようになっていく。
そして、これが時空管理局に監査組織として籍を置くことになる特断ブレッツエリスターの始まりだった。
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ブレッツコードの初期設定では、ヘッドライトは特殊武装にするつもりなかったんですが、バスの中の描写書くの難しい。
そこで、気絶させるか行動不能にしようと思いました。そこで『ウィルダーライト』、特殊発光する光線というわけです。
取りあえず1話完結です。
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次回予告 2話【悲しみの殺し人形(キリングドール)】
ふとしたきっかけからロストロギアが覚醒した。
そのロストロギアに寄生された生物は、殺戮をするだけのキリングドールと化す。
動物に寄生したその強さは、高速戦闘を得意とするフェイトすら追いつけなく、そして、そのスピードの中で繰り出されるのは、
なのはのディバインバスター並みの砲撃だった。
そんな寄生型のロストロギアが、次に寄生したのは御神美由希だった。
人に寄生したロストロギアの強さに、親類ということもあり、なのは達は重症を負ってしまう。
その時、恭也は宣言した。『美由希』を壊すと。
必死に止めようとするなのは達に、恭也は言った。
「―――何年も前に死んでいるやつに何を躊躇う?」
明かされるあの時の真実に、美佐斗は力なく蹲る。
自ら特断ブレッツエリスターの『信じる心を守ること最優先とする』を放棄した恭也。
それを意味するのは―――。
一話が幕を閉じ。
美姫 「休む間もなく次の事件ね」
さてさて、どうなるのかな。
美姫 「それでは、この辺で」
ではでは。