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第2話
「いきなり登場?あの娘はイイナズケ!?」
鷹斗が一之瀬家との同居を承諾してから数日たったある日のこと・・・・・・・・・
「えへへへへ〜〜〜〜〜・・・・・・♪♪
うふふふふ〜〜〜〜〜・・・・・・♪♪♪」
春歌ちゃんは朝からご機嫌だった。なぜなら・・・・・・
現在時刻:朝ごはん終了直後
春歌ちゃんの現在地:鷹斗のひざの上
本日の朝食:鷹斗作・ご飯、味噌汁、焼き魚、お漬物
もちろん、食事中にひざに乗っている・・・なんてお行儀の悪いことはしませんよ?
みんなが食べ終わったから、鷹斗に抱っこしてもらってるんです
ちなみに・・・・・・まだ食べているのは現在おかわり五杯目に突入した隼斗さんだけだったり・・・・・・
朝から五杯って・・・・・・仕事前に大丈夫なの・・・・・・・・・?
「食わなきゃ力がでねぇだろうが?この仕事(警察)、体が資本だぜ?」
・・・・・・言ってることは正しい。正しいんだよ?
でも・・・・・・釈然としないのはナゼ・・・・・・・・・?
答:隼斗さんだからです
・・・・・・・・・・・・説得力がありすぎて何も言えません・・・
「おにいちゃん、おにいちゃん、今日のおみそしる、おいしかったです〜〜♪」
「ん?そうか?春歌には濃すぎるかと思ったが・・・・・・
口にあったのなら何よりだ」
「うちは、基本的に薄味だからね〜♪
小さいうちからあまり味が濃いもの食べるのもよくないし・・・
でも、これぐらいなら大丈夫だと思うわよ?」
「はい♪とってもおいしかったです〜〜♪」
「そうか」
耳元には、上から降り注ぐような鷹斗の穏やかな優しいテノールが・・・・・・
横からは優しくそよいでいくような夏葉のアルトが・・・・・・
そして身体全体を包み込むように鷹斗の温もりが・・・・・・
隣にはやはり大好きなお姉ちゃんの温もりが・・・・・・・・・
パパもママも、皇のおじさんもおばさんも、やさしく見つめてくれている・・・・・・
ふと視線を庭に向ければ、翔羽が気持ちよさそうに日向ぼっこをしている
・・・今、これ以上に幸せな場所などあるだろうか?
春歌ちゃんは、まさに陽だまりのような幸せの中にいた
そんな幸せの中・・・・・・
(こうして見てると、鷹斗と春っこと夏っこで親子みてぇだな?)
(はっはっは、鷹斗くんなら予行演習だって大歓迎さ♪
鷹斗くんには、ぜひとも夏葉ちゃんを幸せにしてもらわなきゃ♪)
(あらあら、パパったら気が早いんですね?)
(それにしても鷹斗・・・さっさと気がついてあげればいいのに・・・・・・
ったく、我が息子ながらなんであんなに鈍感の朴念仁の唐変木になっちゃったのかしら?)
などという両親‘Sのツッコミもあったりするが
まぁ、おおむね今日も今日とて皇&一之瀬家は朝から平和そのものだった
と、そのとき・・・・・・
prrrrr・・・・・・prrr・・・・・・
電話のベルが鳴り出す
「あぁ、私でてくるわ」
と、電話を取りにいく初子さん
「はい、もしもし皇・・・って、那美ちゃん?
え?鷹斗?いるけど・・・・・・ちょっと待っててね?
鷹斗〜〜、那美ちゃんから電話よ〜〜?」
「神咲から?わかった、すぐ出る
春歌、少し降りていてもらえるか?」
「はい、お電話ですね?
いってらっしゃ〜〜い♪」
よいしょ、と声をかけつつ今度は隣の夏葉に抱きついていく
「あらあら、春歌ったら甘えんぼなんだから〜〜♪
でも、那美ちゃんから電話なんて珍しいわね?」
「大方、恭也がらみだろう?
それ以外、夏葉ならともかく俺にかかってくる心当たりはあまりないからな」
「あははは〜〜・・・まぁ確かに・・・・・・
相変わらず愛されてるわねぇ、高町君・・・」
そんな会話をしつつ鷹斗は電話へ
「はい、お電話代わりました。鷹斗です」
と、電話に出た途端・・・・・・
「あ、す、皇先輩!!あ、あの、恭也さんから何か連絡頂いてませんか!?」
いきなりひどく心配そうな声が受話器から聞こえてきた
「?恭也から連絡?・・・いや、無いが・・・・・・どうかしたのか?」
「そ、それが昨日、桃子さんから連絡を頂いたんですが、
恭也さん達がまだ戻ってこないって、
私も何度も電話したんですけど、繋がらなくて・・・・・・
それで、皇先輩なら何か聞いてないかって、」
まるで息を継ぐ間も惜しいとばかりに説明する那美さん
「神咲、とりあえず落ち着け」
「は、はい、すみません!!」
「つまり、昨日から連絡が取れないんだな?
前もって恭也は何か言っていたのか?
あいつのことだから、事前に予定を伝えるくらいはしているだろう?」
「あ、はい、四日までには終わらせて、五日に戻る、と・・・・・・」
ここでカレンダーを確認
「・・・・・・今日は六日だな?」
「は、はい、今回はいつもより早く山に入って、
時間を作るからって言ってたんですが・・・・・・」
受話器の向こうではもう涙声に近いほど震える声が・・・・・・・・・
「わかった、今すぐ連絡をつける。だから待っていろ
桃子さんにも伝えておいてくれ」
「わ、わかりました、お願いします!!」
そして
がららっ
「翔羽!!」
「ぴ?」
「恭也に伝書だ、場所は稲神山!!」
「ぴぃ!!」
そのまま翔羽の足に文を括り付け、空高く飛んでいく翔羽を見送ると、
出かける準備を始める
「あれ?鷹斗、出かけるの?」
「おにいちゃん?おでかけですか?」
「恭也がまだ戻っていないそうだ
いつもの場所にいるだろうから、翔羽に呼びに行かせた。俺も迎えに行ってくる」
「まだ戻ってないって・・・・・・大丈夫なの!?」
「恭也のことだ、大方時間を忘れてるだけだろう
心配はいらん」
言いながら準備を済ませると玄関へ
「じゃあ、行ってくる」
「いってらっしゃい、気をつけてね?」
「いってらっしゃいです、おにいちゃん♪」
ドルルルルル・・・・・・!!!!
そうしてバイクに乗って出かける鷹斗と見送る夏葉と春歌
すると・・・・・・
(・・・・・・・・・やっぱり親子みてぇだよな?)
(なんだか仕事に出かけるダンナ様とそれを見送る若奥様と愛娘・・・・・・って感じね?)
(う〜〜ん・・・・・・ホントに違和感がないねぇ・・・・・・楽しみ楽しみ♪)
(あらあら、パパったら・・・ほんとに楽しみですね♪)
やっぱり両親‘Sの注目の的だった
一方そのころ・・・・・・
同時刻:稲神山上流付近のとある渓流・・・・・・
カンッカンッガキィッ!!
「九百九十七、九百九十八、あと二本!!」
「くっ、せいっ!!はっ!!」
「九百九十九、千!!よし、ここまでだ美由希」
「はぁー、はぁー、はぁー・・・・・・」
「よし、打ち込み千本終わり。これで今回の全ての鍛錬は終了だ」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・っはい、師範代、ありがとうございました」
「あとはクールダウンを忘れるな。水分も取っておけ」
そう言いながら、タオルと水筒を投げ渡す
「うん、ありがとう、恭ちゃん」
それらを受け取り、ストレッチと水分の補給をしている美由希を横目に、
恭也は食事の準備をはじめる
「あ、恭ちゃん、手伝うよ、・・・っと、ととっ」
と、何かに躓いたのかバランスを崩して転びそうになるが・・・
「大丈夫か、美由希?」
恭也が腕をとって体を支える
「あ、ありがと恭ちゃん」
「食事の準備は俺がするから、お前は休んでいろ」
「え、でも・・・うん、ありがと」
と、そのとき・・・・・・・・・・・・
ぴぃぃいいいいいいい・・・・・・・・・
と、どこからか甲高い鳴き声が聞こえてくる
するとおもむろにタオルを腕に巻きつける恭也
そして・・・・・・
ぴぃいいいいいい!!
指笛を鳴らすと・・・・・・
ぴぃいいいいい!!
鳴き声が返ってくる
そして差し出した恭也の腕に・・・・・・
ひゅ―――――・・・がしぃ!!ばさばさばさ・・・・・・
鷹が停まる
「・・・・・・恭ちゃん・・・とうとう鳥にまで・・・・・・
どんどん人間を捨てて、
ごん!!
っ痛ったぁ!!」
なにやら不穏当なことを言い出した美由希の頭に拳骨を落とす恭也
「美由希・・・・・・言いたいことはそれだけか?」
「痛いよ、恭ちゃん!!」
「おまえが失礼なことを言うからだろうが」
「だってだって、いきなり鷹だよ!?こんなところにいるのも驚きだけど、
それを普通に呼んでる恭ちゃんをみたら、誰だって異常に思うよ!!
だいたい、いつの間に鷹と知り合ってたの!?」
「はぁ・・・何を言ってる
皇のところの翔羽だ。おまえだって何度か見てるだろうが?」
「え?翔羽・・・って・・・鷹斗さんのところの?翔羽ちゃん?」
「ああ」
「ぴ」
お久しぶりです、とばかりに頭を下げて挨拶する翔羽
「あ、お久しぶりです、翔羽ちゃん」
こちらもやっぱり律儀に頭を下げて挨拶を返す美由希
「なぁんだ、恭ちゃんが鷹匠になったり、鳥の知り合いが出来たりした訳じゃないんだ」
「・・・おまえは俺をなんだと思ってる?」
「だって恭ちゃんだもん、それぐらいやっててもおかしくないし」
こうして美由希はまたも拳骨をもらうことになったのだった
「で、どうした?翔羽
おまえがここにくるとは珍しいな?」
恨めしげに自分を見上げる美由希を無視して問いかけると・・・
「ぴ」
脚・・・正確にはそこに括られた伝書を差し出す
「む?鷹斗からか?」
と、伝書を開いた恭也は・・・・・・
しっかり三秒間ほど固まった
「恭ちゃん?どうしたの?」
と、不審に思った美由希も横から覗き込み・・・・・・これまた固まる
そこには
「今日は六日」
シンプルにその一文のみが書かれていた
「え、ぇえ!?む、六日!?
なんでなんで!?今日は五日のはずじゃあ・・・・・・」
すると、美由希の携帯にメールの着信を示すベルが
「あ、鷹斗さんから?」
そこにはただ一行
「海鳴駅前にて待つ 鷹斗」
と記されていた
・・・・・・・・・果し合いにでも呼んでるのか?あの男は・・・?
それはともかく
「美由希、急いで準備しろ、すぐに戻るぞ!!」
「あ、ま、待ってよ恭ちゃん!!」
こうして二人は急いで食事を終えると、すぐに後片付けと火の始末をして下山する
そして大慌てで列車に飛び乗り、揺られることしばし・・・・・・・・・
海鳴駅前
駅前の駐停車スペースで待っている鷹斗の視界に、二人がはいってくる
どうやら向こうも自分を見つけたらしい。真っ直ぐにこちらに走ってくる
「すまん、皇、手間を取らせた」
「来たか、思ったより早かったな」
「はぁ、はぁ、お久しぶりです、鷹斗さん!
連絡、ありがとうございました!!」
「いや、気にしなくていい」
そう言って挨拶をかわす三人
「まったく、確かに時間の感覚が無くなるような稽古ではあるが、
だからといって本当に時間を忘れてどうする?
最低限、携帯のバッテリーだけは切らすなと、前回桃子さんに怒られたばかりだろうが?」
「むぅ・・・・・・」
「恭ちゃん、また電源切れてたの!?」
「ぬぅ・・・」
とたんに始まる怒涛のツッコミ
が、自業自得なので反論もできない
そして
「まったく、桃子さんと神咲にきちんと連絡しておけよ?
神咲など電話口で泣きそうになっていたぞ」
鷹斗がそう告げた次の瞬間、
恭也の姿は消えていた。それはもう一瞬で
「・・・・・・神速でも使ったか?」
「い、いえ、使ってないはずです・・・・・・」
それぐらい見事な早業だった
「とりあえず、荷物を運んでしまうか」
そう言って美由希の荷物を取って歩き出す鷹斗
「あ、鷹斗さん、いいですよ、自分で持って帰りますから」
「かまわん、疲れているのだから無理はするな
恭也は・・・自分の荷物を持ったままか・・・・・・
なら、先におまえを送ってから、あとでさざなみまで荷物を取りに行くか」
「あ、あの・・・ありがとうございます・・・」
「気にするなと言ったろう?」
そうして、優しい眼差しを向ける鷹斗
美由希は少し頬を染めながら、やはり
「・・・ありがとうございます」
と告げるのだった
そして駐車場に停めていたバイクに到着
荷物を載せ、落ちないように固定すると、美由希にヘルメットを渡す
「では行くか。しっかり?まっていろ」
「は、はい」
そうしておもむろにドゥカティ(バイク)のエンジンをスタートさせる
って、ちょっっっと待たんか〜〜〜〜い!!!!
ふお!?ど、どうしたその2!?
どうしたもこうしたもあるか〜〜!!
なんっで高校生がドゥカティになんて乗っとるんじゃ〜〜〜い!?
お、おちつけその2!!気持ちはわかるがまずは落ち着け!!
(注:その2は二輪免許持ちです)
これが落ち着いてられるか〜〜〜!!!
どういうことだ!!説明しろ、鷹斗!!!
と、目を血走らせながらますますヒートアップするその2
「どういうこと・・・と言われてもな?
これ(バイク)はもともと俺のじゃないし」
なんだと!?じゃあ、なんでそれに乗ってる!!!
「親父が、『飽きた』と言ってくれたものだ
これがどういうバイクなのかまでは俺も知らん」
飽きた!?飽きただとぉ!!?
じゃあ、あいつは今、何に乗ってるんだ!!?
「確か、ハーレー・ダビッドソンとかいうバイクを買ったと・・・・・・」
はぁれぇええええ!?
そぉうかぁ!!待ってろ、隼斗!!!
今すぐ殺しにいくからぁあああ!!!
そう叫びながら、全身の毛を逆立たせ黄金のオーラに包まれるその2!!
ぬおぉ!?その2が怒りのあまり、スーパーサイヤペンギンに!!?
バイク乗りの一念、見せてくれるわぁあああ!!!
ズドドドドドドドド・・・・・・・・・!!!
そのまま、金属製釘バット片手に特攻服を着込んで隼斗のもとへと一直線に突き進んでいくその2
・・・・・・・・・あいつ、バイク好きだからなぁ・・・
「えぇ〜〜っと・・・・・・そ、そんなに怒るようなことなの・・・?」
・・・・・・詳しくはあとがきで説明します・・・
あいつが予想外に暴走したおかげで、話が止まっちゃいましたんで・・・・・・
と、とりあえずお疲れでしょうから、どうぞ帰って休んでください・・・
「あ・・・はい・・・・・・」
「ふむ・・・今度調べてみるか」
こうして、どうでもいい騒動を引き起こしつつ高町家へ戻る一行であった・・・・・・
閑話休題
ドルルルルン・・・・・・
「ふぅ、ここに来るのも久しぶりだな」
美由希を送り届けた後、鷹斗はさざなみ寮に恭也の荷物を取りに来ていた
ぴ〜〜んぽ〜〜〜ん♪
「は〜〜〜い、今行きま〜〜す」
インターホンを鳴らすと、中から管理人の耕介が顔を見せる
「あれ?鷹斗くんじゃないか、おはよう、ひさしぶり〜〜」
「おはようございます。ご無沙汰してます、耕介さん」
「どうしたんだい?急にうちまで来るなんて?」
「恭也の荷物を受け取りに来たんです
山篭りの荷物を抱えたまま、こちらまで伺ったようなので」
そう鷹斗が切り出すと・・・・・・・・・
「あ〜〜、うん、さっき恭也くんが来てね、今、那美ちゃんの部屋にいるよ」
と、耕介も苦笑しながら納得するのだった
「ま、せっかく来てくれたんだし、もし時間があるならお茶でもどうだい?」
「ええ、そうですね。いただきます」
と、世間話に花が咲き出したころ・・・・・・
とんとんとん・・・・・・・・・
階段を下りる音が聞こえてくる
「おはようございます耕介さん、少し出かけてきます」
「ん?あ、そうかい?昼食の時間には帰るのかな?それとも、食べてくるの?」
「いえ、それまでには戻りま・・・・・・・・・」
と、階段から降りてきた・・・新寮生だろうか?
手荷物を持った女の子が、耕介との会話の途中、急に言葉を途切れさせる
その視線の先にいたのは・・・・・・
「・・・・・・・・・鷹・・・くん?」
「・・・・・・・・・穂乃香(ほのか)?」
「あれ?二人とも・・・知り合いなのかい?」
との耕介の疑問に
「ええ、い「許婚♪(ぽっ)・・・・・・」
鷹斗の言葉にかぶるように、頬を染めつつそう告げる
すると
ずびしぃ!!
「あう!!」
鷹斗のでこピンが決まる
「・・・・・・・・・鷹くん、痛いの・・・・・・」
涙目で抗議する穂乃香さんに対し、
「ただの従兄妹だ、変なことを言うんじゃない」
と言い放つのだった
「だって・・・おじさんも認めてくれたし・・・・・・」
「子どものころの他愛ない冗談だろうが?そんなことを真に受けてどうする」
と、内輪の話が盛り上がり始めたところで・・・・・・・・・
がしぃっ!!
「ほっほぉう?ずいぶんと楽しそうな話をしてるじゃないか?なぁ、青年?」
・・・・・・・・・さざなみ寮の大魔王が降臨した・・・
「・・・・・・真雪さん、お久しぶりです
ひょっとして、今起きてこられたんですか?」
「いんや、徹夜。今原稿が仕上がったんでなぁ♪
そんなことより青年、コイツとはどんな関係なんだ?」
鷹斗の首にがっちりと腕を極めながら、実に楽しそうに話しかけるさざなみのヌシ
「・・・ツマミにされてぇか?クラゲ・・・・・・?」
い、いえいえ滅相もゴザイマセン・・・・・・
ですから心臓に突きつけたGペンをさげてくれませんでしょうか・・・?
「ケッ、まぁいいや。今はこっちの方が面白そうだしなぁ?」
ほ・・・・・・た、助かった・・・・・・・・・
「うんうん、実に楽しそうな話をしてるじゃない♪ボクも混ぜてよ♪」
・・・・・・・・・・・・さざなみの小魔王も降臨した
「そんなこと言ってるとサンダーブレイクだよ♪」
ばぢばぢばぢばぢぃ!!
うぎゃあああああ!!!
「あ〜〜・・・リスティ、帰ってくるなりいきなりそれはないんじゃないか?」
「ただいま、耕介。いいんだよ、ヒトの紹介をちゃんとしないこいつが悪いんだから♪」
ぷすぷすぷす・・・・・・・・・
モ、モウシワケアリマセンデシタ・・・・・・・・・
ナニトゾオユルシヲ、りすてぃサマ、マユキサマ・・・・・・
「けけけ、わかりゃあいいんだよ♪」
「そうそう、自業自得だね♪」
「それにしたってやりすぎな気が・・・・・・
いえ、なんでもないです」
メガネ越しの強烈な視線と、フィンこそ出ていないものの、
今にも電撃が発生しそうな雰囲気を感じ取って前言を撤回する耕介
「俺だって命は惜しいからね・・・・・・」
う・・・・・・裏切りも・・・・・・ぐふっ・・・
「「さ、負け犬はほっといてこっちこっち♪」」
しくしくしく・・・・・・×2
と、耕介と作者が己の立場に涙を流しているのを他所にこちらでは・・・・・・
「なんで穂乃香が海鳴に?
確か、地元の高校を受験した、と聞いていたのだが?」
「うん、地元の方でも受験はしたの。でも、こっちの学校も受験してたの」
「なに?」
「だって、こっちにも剣道の強い学校はあるって聞いてたし・・・
それに、こっちには鷹くんがいるし♪」
「・・・まさかそんなことで高校決めたのか?」
「だって、風芽丘の剣道部だって全国大会常連でしょ?
それにスポーツするにはやっぱり海鳴みたいに設備が整ってる方が嬉しいし、
ボクだってちゃんと剣道続けるからには強いところでやりたいの」
「む・・・」
と、冗談かと思ったら真面目な理由があったことで納得してしまう鷹斗
しかし、そんなところに黙っている二人ではもちろん無く・・・・・・・・・
「おぉ?なんだか盛り上がってるなぁ〜〜〜?」
「うんうん、ボクたち無視して楽しそうだねぇ〜〜?」
と、さっそくカラミだす・・・・・・いえ、もとい
さっそく話しかけてくる真雪&リスティコンビ
「ってぇことで、今日は新寮生の歓迎会・・・は終わっちまったから、
穂乃香と鷹斗のヒミツの関係大暴露大会ってことで一緒に朝まで飲み明かそうか♪」
「あ、それいいね♪ボクも最近、面白い話が聞けなくてつまんなかったところだし♪」
「そういやさっき、高町兄も那美んところにしけこんでたなぁ・・・?
ケケケ、一緒にまとめて色んな話が聞けそうだ♪」
「ボクも手伝うよ、真雪♪」
と、非常に危険な未来がようこそしかけたそのとき・・・・・・
「お姉ちゃん、リスティ!!
よそ様に迷惑かけちゃいけませんって言ってるでしょ!!」
バリバリバリバリバリ!!!
「「うっきゃああああ!?」」
さざなみ師弟コンビに天(知佳)からの雷(文字どうり)が落ちる!!
「ホントにもう!!たまの休みに帰ってきたらコレなんだから!!朝から何やってるのよ!!」
「知佳さん、お久しぶりです
それと、ありがとうございます。助かりました」
「あ、鷹斗くん、お久しぶり
ごめんね、うちのお姉ちゃんたちが迷惑かけて・・・・・・」
「痛っててて・・・知〜〜佳〜〜・・・・・・
いきなり電撃なんて、なんてことすんだよ!?」
「あイタタタ・・・っそうだそうだ!!ボクたちの楽しみを邪魔するなんて!!」
「問答無用です!!何が楽しみよ!!鷹斗くんも穂乃香ちゃんも困ってるでしょ!!」
「だから、歓迎会みたいなもんだって言ってるだろ!?」
「どこが歓迎会なの!!それに、那美ちゃんたちまで巻き込もうとして!!」
「んじゃあ、知佳は気にならねぇって言うのか!?
おなかま
高町兄の人間磁石仲間に、新しい獲物がかかってたことが判明したんだぞ!?」
「そ、それは確かにちょっと気になるかも・・・・・・・・・
っじゃなくて!!無理やり聞き出そうとすることがだめだって言ってるの!!」
「ほ〜〜ら、やっぱり知佳だって気になるんじゃないか〜〜・・・・・・」
「リスティ〜〜〜〜〜〜!!」
「・・・・・・・・・何やら訳のわからん会話だな・・・
従兄妹だと言っているのに、これ以上何を説明するんだ?
それに恭也と俺に何の関係があるんだ?何故か不愉快な気がするが・・・・・・気のせいか?」
・・・・・・・・・間違いなく気のせいではなく・・・
・・・・・・わかってないのはあなただけです・・・・・・
「むぅ・・・・・・?」
「鷹くん・・・やっぱり全然変わってないの・・・・・・
鷹くんらしいって笑っていいのか・・・・・・
それとも相変わらず前途多難なことを嘆けばいいのか・・・・・・はぁ・・・」
・・・・・・・・・滲み出てますねぇ・・・穂乃香さん・・・・・・
「・・・・・・・・・だから、何の話だ?」
恭也といい、鷹斗といい・・・・・・・・・
普段は鋭いのにナゼこうも恋愛事になると途端に鈍い・・・・・・?
答え:それが二人だからです
「ま、まぁまぁみんな、ここは玄関なんだし、ひとまずこの話は一旦お終い!!ね!?
みんな
あんまり騒いじゃ他の寮生も出てくるし、昼食の準備もしなきゃいけないしさ?
そういえば、鷹斗くんは恭也くんの荷物を取りに来たんだよね?
桃子さんたちも待ってるだろうし、急いであげた方がいいんじゃないかな?」
と、ここで気配りの人:耕介が絶妙にまとめにかかる。さすがだ!!管理人!!
「ちっ、命拾いしたな、青年・・・・・・・・・」
「今度はこうはいかないからね・・・・・・?」
「お姉ちゃん、リスティ!!
ご、ごめんね、鷹斗くん、変なことに巻き込んじゃって・・・」
「いえ、お気になさらず。耕介さん、また今度改めてご挨拶に伺いますね」
「鷹くん、もう行っちゃうの?」
「ああ、頼まれ事があったからさざなみに寄ったのでな。ちゃんと日を改めて会いに来る」
「・・・じゃあ、待ってるの♪」
自分にきちんと会いに来てくれる、と聞いたことで納得する穂乃香さん
・・・いや〜〜・・・幸せそうな顔してますねぇ・・・・・・
さすが恋する乙女・・・・・・・・・・・・・・・
なぁ鷹斗。殴っていいかい?このやるせない思いが消えるまで
「何故、俺が殴られなければならん?」
黙れ、男の敵!!キサマなんて月のない晩に切られちゃえ!!
「鷹くんなら返り討ちなの♪」
・・・・・・・・・ちくしょおおおおおおおお!!!
ズドドドドドドドド・・・・・・・・・!!!
限りなく現実に近い予想を提示され、血の涙を流しつつ走り去っていくその1
その光景に首を捻りながら恭也の荷物を受け取り、高町家へ向かう鷹斗
こうして、にぎやかな朝のひとときは幕を下ろしていくのであった・・・・・・
あとがき
その1「え〜〜・・・毎度毎度申し訳ありません!!
投稿までの期間が空きまくりな作者その1です!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その1「あ、そういえばその2は隼斗さんとこにケンカ売りに行ってたっけ・・・
では、さくさく進めましょう!!今回のゲストはこの方!!高町美由希さんで〜〜す!!」
美由希「え、えっと、ど、どうも、皆様、高町美由希です・・・・・・」
その1「あ〜〜・・・その・・・・・・美由希さん?
舞台裏のここでまで人見知りしなくても・・・・・・」
美由希「わ、わかってるんだけど、やっぱり知らない人に見られてるのって緊張するんだよ〜〜・・・」
その1「あ〜〜・・・まぁ、気持ちはわかりますが・・・・・・
まぁいいか。では、さっそく話を・・・・・・」
ずぅる・・・ずぅる・・・・・・ずぅる・・・・・・
美由希「ひ、ひいぃ!?お、おば、おばけぇえええ!!?」
その1「いえいえ、違いますよ美由希さん
その2
お帰り〜〜、ボロ雑巾〜〜〜〜〜
で、隼斗さんからボコられた感想は〜〜〜?」
と、非常に楽しそうに質問するその1
その2「ふ・・・ふふふっふふふ・・・・・・」
すると、今にも崩れそうなほどボロボロになりながら、
それでも痙攣するように笑いを返すその2
その2「一矢は・・・・・・報いた・・・・・・・・・」
ガクッ・・・・・・・・・
そう、満足そうに呟いて力尽きた
その1「な、なにぃ!?馬鹿な!?」
と、その2の頭に
ざく。
プラグ端子を突き刺すその1
そのまま手元のモニターに接続する。するとそこには、
その2の目線で隼斗さんと殴り合いをしている光景が映し出されていた
美由希「え、え〜〜〜っと・・・・・・
あなたたち、ぬいぐるみだよね・・・・・・?」
その1「そうですよ?」
真顔で不思議そうに言い返すその1に
美由希「で、でもそれ・・・・・・
う、ううん、なんでもない・・・・・・」
そう、微妙に疲れた表情をしながら前言を撤回するのだった
その2「キサマだけは!!キサマだけはぁああ!!!」
隼斗「ええい、いきなりなにしやがる、このペンギン!!」
その2「だまれぇええ!!
ドゥカティを『飽きた』などとぬかすバイク乗りの敵がぁああ!!」
どがぁ!!ばきぃ!!ズドガガガガガ!!!
まるで作品を間違えたかのような肉弾戦!!
拳が、蹴りが、お互いを喰らわんとする!!!
しかし、その戦いは常に隼斗優位に展開していた・・・・・・
その2「負けるものかぁあああ!!」
もはや隼斗の前になす術はない、そう誰もが思ったその時!!
どがぁああ!!!
その2の拳が、確かに隼斗の顔を捉えた!!
その1「なにぃいいい!!?」
隼斗「っ!!・・・・・・うりゃぁあああ!!!」
だが、一撃を食らいつつも隼斗が繰り出した拳が、その2を地面へと叩き付け、
その戦いに幕を下ろした・・・・・・・・・
その1「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
美由希「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
もはや言葉も出ない一人と一匹・・・・・・いや、
その1「・・・・・・見事だ、その2・・・
バイク乗りの一念、確かに魅せて貰ったぞ・・・・・・」
そう、感涙に咽びつつ漢を褒め称えるその1
美由希「・・・こ、ここまでするようなことなの・・・・・・?
そのバイクって・・・・・・・・・・・・?」
そして、極めて真っ当と思われる疑問を投げかける美由希
その1「ふむ・・・・・・そういえば、あとがきで説明すると言っていたな
ちょうどいい、では・・・・・・・・・」
がらがらがらがら
どこからともなくホワイトボードを取り出し
ごそごそごそごそ
白衣を着込み
ずびしぃ!!
指示棒をさす!!
その1「説明しましょう!!」
ガバァ!!!
その2「ナデシコか〜〜〜〜!?」
ぱたし・・・・・・
その1「・・・その2・・・・・・
こんなになってもツッコミは忘れんとは・・・・・・」
美由希「ぜ、絶対に意識無かったよ!?今!?」
その1「もはやその2にとってツッコミは本能ですからねぇ・・・
しょうがないなぁ、これがダメとなると・・・・・・コレしかないかな?」
かちゃり・・・
モノクル
すると、おもむろに片メガネをつけるその1
その1「こほん・・・・・・説明しよう!!」
ガバァ!!!
その2「忠介か〜〜〜〜〜!!?」
ぱたり・・・・・・・・・
美由希「・・・・・・・・・す、すごいんだね・・・本能って・・・?」
その1「・・・・・・どないせぇっちゅうねん?
まぁ、いいや。無視して説明続けましょう」
と、さすがに呆れつつ話を進めるその1であった・・・・・・
その1「ではまずは、そもそもの原因となった鷹斗のバイクから
ドゥカティ(DUCATI)
イタリアのバイクメーカー、ドゥカティ社の看板バイク
オン・オフロードから市街まで、場所を選ばないスペックと豊富な車種が人気のバイク
さらに、パーツや保障も充実しており、一生涯乗れるバイクとして
バイク乗りの憧れの的である
ちなみに、一生ものというだけあってお値段もそれなりであり、
中古のドゥカティでさえ、下手をすれば普通乗用車二台分が新車で買えるだけの値段である」
美由希「ふ、普通乗用車二台分!?中古で!?」
その1「あくまでも、下手をすれば・・・ということです
もっとも、そんな高級モデル、滅多にありませんけど
でも新車のドゥカティならば、確実に新車二台分はします」
美由希「ふあ〜〜〜〜・・・・・・」
その1「その2が暴走した理由・・・・・・
少しはご理解いただけました?」
美由希「う、うん・・・・・・」
その1「では続いて隼斗さんの現在の愛車、ハーレーの紹介に
ハーレー・ダビッドソン(HARLEY・DAVIDSON)
言わずと知れたアメリカのバイクメーカー、ハーレー・ダビッドソンの看板バイク
その大型の車体と、場所を選ばない力強い走りから、バイク乗りに絶大な支持を得る
こちらもさまざまな車種・パーツ・保障が充実しており、一生もののバイクとして有名
ちなみに、お値段はかなりのもので、新車で買おうとすれば普通乗用車三台が新車で買える」
美由希「さ、さんだい!?そんなに高いの!!?」
その1「そうなのです。海外メーカーってだけでも高めになるのですが・・・・・・
二社ともなまじ保障やパーツが豊富なために値段にモロにでるのです」
美由希「う〜わ〜〜〜・・・・・・」
その1「そんな訳で、今回その2は暴走したわけですね
こやつ、バイクには乗る機会がなくなったって嘆いていたほどですから」
美由希「そ、それは・・・・・・わかる気がする・・・・・・」
その1「まぁ、こんなバイクの宣伝なんだか、
ネタ解説なんだかわかんない話はさておいて・・・・・・
ところで美由希さん?」
美由希「え?な、なに?」
その1「聞いた話によると、山篭りに出る前に、
第○回 鷹斗くんの料理教室が開かれたそうですが・・・・・・
美由希さんの出来映えはどうだったんですか?
あ、そういえば那美さんは恭也に食べてもらえたってよろこんでたそうで・・・」
ズドン!!!
その1「うげぁあああ!!?」
言葉が終わらぬうちに、美由希から零距離の射抜が放たれる!!
ドガァアアア!!!
そのまま壁に激突し、縫い付けられたその1に・・・・・・
美由希「どうせ!!どうせ私だけ〜〜〜〜!!!」
射抜が派生する!!
ドシュドシュドシュドシュ!!!
突き刺さった体を鞘に見立てての薙旋風!!
ドガガガガガ!!!
さらに遠心力を利用して、体勢を整えての虎乱!!
シュパアァアアア!!!
美由希「はぁあああああ!!」
御神流・正統奥義 鳴神!!
その1「ちょっと待て、伝授されてもいない奥義をなんでいきな・・・・・・
うぎゃああああああああ!!!」
げに恐ろしきは御神の血か、それとも不破の血か
美由希の放つ奥義がその1を滅す!!
美由希「うわ〜ん、どうせ私は料理できないも〜〜〜ん!!!」
そうして、泣きながら走り去っていった・・・・・・
するとそこに
とことことこ・・・・・・
????「あ〜ぁ、ボロボロなの」
その1だった布欠片「ぐふ・・・・・・
あ、あなたは穂乃香さん・・・?
お、お願い、助けて・・・・・・」
穂乃香「いや」
その1だった布欠片「はうあ!?何ですと!?」
穂乃香「だって、ボクの初登場だっていうのに紹介してくれなかったの」
その1だった布欠片「いや、次の話に穂乃香さんの紹介をちゃんとする予定で・・・」
穂乃香「なんで今回してくれなかったの?」
その1だった布欠片「い、いや、次回に新キャラをまとめて登場させる予定が・・・はっ!?」
穂乃香「・・・・・・ふぅん・・・・・・・・・」
その1だった布欠片「ほ、穂乃香さん!?そ、その手にあるマッチは!!?
やめて、よして、燃やさないで〜〜〜〜〜!!?」
穂乃香「えい」
ボッ!!!
その1だった布欠片「ぎゃあああああ!!!」
穂乃香「まったく、タダでさえライバルが多いのに・・・
これ以上増やされたらたまらないの!!
さっさとボクと鷹くんのらぶらぶな話を書くの!!
・・・・・・こほん。それではみなさま、こんな作者ですが、
見捨てないで次回をお待ちください!!
またお会いしましょうね〜〜!!!」
バイクは詳しくないから、暴走の理由もあまり分からなかったけれど。
美姫 「つまり、高いってことね」
その一言で済まして良いのか?
美姫 「と言っても、私も分からないしね」
あははは。ともあれ、色々と人間関係が複雑とまでは言ってないか。
美姫 「鷹斗の周辺で行くと、複雑化しつつあるけれどね」
従兄妹の穂乃香の登場で、さてさてどうなる事やら。
美姫 「それでは、また次回で〜」
ではでは。