この小説はとらハ3とリリカルなのはの世界の設定が混ざっているものです。
それに加えて独自解釈やオリジナル的な人、設定も入っています。
多少のキャラの関係や心情も変化しておりますので。
以上の事を踏まえて読んで下さると幸いです。
今を生きるものは過去に対してどう思っているのだろうか?
過去の者から受け継いだソレは何かしらの意味を持つのだろうか?
ただ、其れらの答えは其の者しか分かりえることはない。
知ろうとする者は覚悟を持たないといけない。
・・・理由は、分かるだろう?
―――人の触れてはいけない部分に足を踏み込むのだから・・・
リリカルとらハ〜外伝〜
―譲れないものありますか?―
第2話 発覚 今ある危機
とある一室に2人の青年が向かい合うように座っていた。
1人は髪の毛から靴まで黒で統一された青年。
もう1人は対面に座る青年と同じく黒で統一されているが、瞳の色だけが澄んだ碧(あお)色になっている点が違うだけである。
鏡と捉えれば正しくそうだろうと大多数の人間が言うはずだ。それだけこの2人は雰囲気や格好などが似ている。
「それで聞きたいんだけど、此処は何処なんだ?」
碧色の瞳をした青年―タカシが対面に座る青年に問いただした。
「此処が何処なのか知らないで着たのか」
問われた青年―恭也は呆れながらタカシを見ていた。
「何と言うか天啓によって跳ばされたんだよな〜」
天啓と聞いて恭也は「ああ、あれか」と納得する。
確かにソレならばランダムで跳ぶし前もって行き先なんか解る筈がないと。
「でも、まさか其の先に恭也達がいるなんて珍しい偶然だよな」
「確かにそうだが、俺としては何かしらの作用が働いたとも思えるが・・・」
「作用って考え過ぎだろう? 第一あいつの天啓は導きだから本当に俺に対して必要と思える場所にしか跳ばせないんだ。だから、此処にきたのは其の天啓による“必然性”。でも、恭也たちが其処にいたのは“偶然”として片付けられる」
そう、あくまでも偶然だ。
恭也は管理世界の地球にいるはずなんだから。
どうしてミッドチルダにいるかなんて知らないわけだし。
まあ、恭也に関しては其れで良いと思うけど・・・
問題は・・・
「そこで新たな疑問だけど、どうしてお前達がいるんだ?」
そう言って恭也の後ろに控えている少女達を見る。
とても見覚えのある少女達だ。彼女達のことを知らないわけではない。
寧ろ誰よりも知っていると自負できるぐらいだ。
「其の事について、お話があります」
銀髪ロングヘアーの少女―ガブリエルが神妙な顔でそう言った。
まさかソレが俺の運命を変えることになるとは今の俺には解らなかった。
******
ガブリエルの話を聞いて俺は深く深く溜息をついた。
「・・・・・・」
そして言葉も出ない。
「タカシ。俺が此処にいる理由が解っただろう?」
恭也の言葉も耳に入ってこない。
「あの・・・」
ガブリエルが不安そうに見つめてくるも、何も言うことは無い。
まさか、と思うことが現実で起こればヒトっていうのは思考回路を停止させるのである。
それは俺だって例外じゃない。
現に今の俺は何も出来ないのだから。
「聴こえているのか? ショックなのは解るが、今はどうすべきか決めることが最優先事項じゃないのか?」
また何かが聴こえた。何だろう?まあ、俺には関係な―――
バチンッ!
「おぐっ!?」
額にありえない衝撃が走った。
一瞬、閃光もとい煌く星々が見えたのは何でだろう?
「な、何だ!?」
額を押えながら見渡すと右手を突き出している恭也と目が合った。
「気付いたか?」
ああ、なるほど。徹込みのデコピンを俺は受けたんだな。
そりゃあ凄い衝撃が来るわけだ。
「悪い。迷惑かけた」
「気にするな。それより今後のことだが」
「ああ、解っている。救出が優先だな。なるだけ被害は極力抑えて・・・」
そこまで言って言葉を切る。果たして其れで良いのだろうか?
ただ助けただけでは意味が無いのでは?
また被害が出たらどうするんだ?
そういった事が頭の中を駆け巡る。
懸念材料は多い。すべきことも多い。
なら、どうするべきか。
顔を上げるとこっちを見ている恭也の姿が。
「救出は勿論だが、其れ以外のことも考えているんだな?」
お前の考えていることはお見通しという感じで聞いてくる。
まったく、付き合いが長いとこういうところで話が早いんだよな。
「ああ、其の通り。例え救出しても溝が出来るし、何よりまた同じことが起こる」
「ええ、そうですね。同じ考えを持つ者がいればそうなります」
「寧ろ躍起になって過激になったりするかもね」
「うー何でヒトってそうなんだろう」
「排他的な考えを持ったり、自己優位を保ちたいからだな」
ガブリエル、ルミエル、ミカエルの3者の言葉に続いて恭也が決定的な事を言った。
そうなのだ。ここで救出が成功しても考えが同じならもう1回来る可能性は高い。
何せヒトなのだから。ヒトである以上、異種族の存在は見過ごせないし、何より脅かされる以上に其の存在を詳しく調べたいと思う連中はいるだろう。
「どうやら一筋縄じゃいかないようだ」
天啓で来た、と思ったけど・・・
どうやら此れは彼女の作為的なことなんだろうと思う。
なら、せいぜい踊るか。
自分がどういった状況に置かれているか理解してないと立っていられないからな。
頭ではそう思っていたが、気付かないところでタカシは憤りを感じていた。
心の奥底で燃える青い炎。
其れは幼き頃に感じた以来出なかったモノ。
其れが今、静かに燃え始めた。
・・・そう、其れは憤怒という炎として。
あとがき
今回は少し短めに書きました。
次と次の話に繋げる為にそうなったわけでありまして、決して長くなりそうだからという理由ではありません。
この話、少し伏線やら張ってますがまだ気にしても長くなりそうなので放置していてもかまいません。
次の話では恭也とタカシの関係が明らかになる予定。
恐らく読んでいる方は凡その予想はあると思います。
多分、其の通りだと考えられます。
意外なのは1つだけかと。
ではでは・・・
恭也が現状の説明って感じだな。
美姫 「まだ、大きく動き出していないわね」
始まったばかりだしな。恭也とタカシの関係もそうだが、今回出た救出という言葉なども気になる所。
美姫 「一体、どんなお話になるのかしらね」
次回も待っています。
美姫 「待ってますね〜」