永久の眠り

 

第四話

 

「エルルゥ、彼の容態はどうだ?」

 

「大分落ち着きました…でも油断はすることはできないですが…」

 

エルルゥは先程運んできた男の看病を続けていた、どうやら峠は越えたらしい

 

「そうか…、でもお疲れ様エルルゥ」

 

そういって恭也はついついエルルゥの頭を撫でてしまう。エルルゥは真っ赤になりながらうつむいていたりする。

 

「えっ…あっ、あっ、あっ…え〜と私看病に戻りますね」

 

なんとか理由をこじつけた様にエルルゥは仮面の男の看病に戻ってゆく。

 

(無意識なのがまた……)

 

(何のことだ?)

 

(ふん、我が主が相変わらず朴念仁だということだ)

 

(??)

 

緋色の小太刀、神姫からそんな思念が飛んでくるが恭也に理解できるはずも無い。恭也は村のはずれで待たせてある、那美と薫の元へ向かう。

 

(誰だ…? この気配は…まぁいいか)

 

恭也は薫達の背後の林に気配を感じる。それは極々最近知ったものであり、巧妙に隠されているが聞かせても良いだろうと判断しそのままにすることにする。

 

「薫さん、那美さん、お待たせしました」

 

「どうでした? 容態」

 

心配そうな那美に取り敢えずの峠は越えたと伝えると彼女は安堵した。しかし、薫の表情は一向に明るくなることは無い。

 

「恭也君…私たちだけでここにいるって事は何かわかったんだね?」

 

「判ったというより、パズルのピースが揃ってきたのが良いかもしれませんね」

 

「パズルのピース?」

 

恭也の言葉に那美は首をかしげる。

 

「二人ともあの男を見た瞬間に何か感じませんでしたか?」

 

「「………」」

 

二人は無言になる。少しの間、自らの経験を言葉に直そうと考えていると恭也先に語りだす。

 

「俺は、こちらに来たときと同じような感覚に捕らわれました…」

 

その言葉に二人はハッと顔を上げる。どうやら二人も似たようなもの感じることができたらしい。

 

「それと、もう一つ…多分十六夜さんは今は起きていますよね?」

 

「確かに…って何で恭也君がそれを?」

 

「神姫が目覚めましたから」

 

苦笑いをしながら答える。

 

「後は…彼女達に直接聞きましょう」

 

恭也は神姫に薫は十六夜に呼びかける。

 

その直後二人の隣にそれぞれの刃に宿る者があわられる。

 

「皆さんお久しぶりです」

 

十六夜がゆったりとみんなに挨拶する。その後は自然に神姫に視線が集まる。

 

「恭也…そなたから紹介してくれんのか?」

 

怪訝そうな表情で巫女服を着た黒髪の少女が恭也を見る。

 

「紹介といってもな…」

 

「はぁ、そなたに聞いたのが間違いだったか…お初にお目にかかる、神咲の者よ。我は不破の守護刃…銘は神姫、これから宜しく頼む」

 

「驚いた…ここまで霊挌の高いものだったなんて」

 

薫は素直に驚いていて、那美にいたっては十六夜以外で始めてみる神姫の姿に見ほれている。だが、なにかうずうずしているように見えるのは気のせいだろうか…。

 

「神姫さまの霊格がたかい…「十六夜、それは言わないでくれ」」

 

十六夜が補足しようとしたところに神姫が被せるように話を打ち切る。

 

「それに関して…今は対して意味がない。今の我は恭也の刃であるのだから」

 

神姫はなにか懐かしむように目を閉じる。

 

「では現状の説明をしようではないか、まず恭也…そなたは理由はもう判っておるか?」

 

「伝承した時に色々聞いてはいるが伝承者の義務と…後は何度か聞いた言葉から推測するくらいならな」

 

恭也は苦笑しながら答える。

 

「ふむ…なら神咲の者よそなたたちはどうだ?」

 

那美と薫は首を振る。

 

「こっちにきたときの事は覚えているな?」

 

「それはね」

 

薫の言葉に神姫は真剣な表情になる。

 

「まずこっちにきたことについては…神剣に宿り我らは古の盟約によりこの地に所持者を呼んだ…その瞬間に…そなたの持つ霊刀十六夜が共鳴したことで黒牙がそなたらを一緒に連れてきた…すまぬが終わるまで付き合ってくれると頼もしい」

 

薫や那美はその言葉を聞いてここまで聞いてもう引くつもり無いといった具合に頷く。もしかしたら恭也をものにして帰るかもしれないなんて考えたりもしたが。

 

「神姫といったな…状況はある程度わかった、それに黒牙とは?」

 

「それについてはまだ聞かないでもらえると助かる…。まだ目覚めていないのだ、時がきたら説明しよう」

 

その言葉に今はそれで良いだろうといった感じに納得する。

 

「う〜ん…神姫さん、盟約っていいますけど、その内容を教えてもらえませんか?」

 

「……古き、古き知人の願いをかなえてやりたいといった所だ」

 

「……判りました…、でも本当の事はあとで話してくださいね?」

 

那美は神姫の表情を見てそんなことを言う。なにか感じる部分があるのかただ単に情報が足りなくてその言葉を口にしたのかもしれない。神姫は無言になり、首を縦に振る。

 

「さて、そろそろ戻りましょうか。どうやらあの男が目を覚ましたようです」

 

外れから見えるエルルゥの家でなにやら動きがあったようだ。

 

「そうだね」

 

「そうですね」

 

二人も恭也に続いて家に戻る。その途中、薫は恭也に言葉をかける。

 

「そういえば、恭也君…呼ばれた理由の推測って?」

 

「あぁ…考えたくも無いですが…御神の伝承にもある、神殺し、さもなくば封印なんて離れ業をやらなければならないかもしれませんね…」

 

恭也はすこし自嘲気味に答える。薫さん達も着たときに聞いたでしょう?と恭也は続けた

薫と那美が言葉を失っている間に家に着いたため話はここまでとなる。

 

 

 

「…このタイミングで神姫に十六夜さんが目覚める…か、さてこれからどうなるんだろうな」

 

深夜、みなが寝静まったのを見計らって恭也は一人で月を眺めていた。恭也は薫や那美達と話していたときも感じた気配に声をかける。

 

「トゥスクルさん…盗み聞きは感心できませんよ?」

 

「ホッホッホ、やれやれ気が付いておったのかい」

 

「えぇ…最初から聞いていたみたいですね」

 

「なんのことだろうねぇ」

 

恭也の言葉にトゥスクルはごまかすように笑う。

 

「はぁ…まぁそういう事にしておきましょうか。では戻りましょうか…エルルゥがなにやら呼んでいるようです」

 

ため息をつきながら、恭也は立ち上がる。男の様子…薬草でも切れたのだろうがなぜ恭也を呼んでいるかは謎だったが…

 

 

 


あとがき

ふー終わった、終わった

「ラスティ」いつもながら遅いってば

今月はテストが多かったんだ勘弁してくれ

「ラスティ」そんなの駄目に決まってるじゃない

鬼…

「ラスティ」美姫お姉ちゃんくらい調教…が上手ければなぁ

ちょっと、調教って何だ!? 浩さんには悪いんだがしっかりと悪魔と付き合ってもらってないとこっちの身が…ぐっは…

「ラスティ」悪魔なんて言うから…それにしても今の攻撃は見習わないとね

たの…む、みならわ…な…いでくれ(ガクっ)

「ラスティ」あらら、力尽きちゃった。遅くなりすぎた作者に代わり報告と挨拶です〜。遅くなりすぎてごめんなさい、もう少し早く書かせますので次でお会いしましょう。おっと…ゴミはきっちり持ち帰らないと♪

 





美姫 「うーん。多分当たったと思うけど…」
美姫? 何をしてるんだ?
そんな、何かを投擲した後のような格好で。
美姫 「ああ、ちょっとね。不穏な気配を感じたから…」
おいおい。それだけの理由で、何か攻撃を仕掛けたのか?
美姫 「大丈夫よ。私だってばれないはずだし」
えらい自身だな。
美姫 「ええ。だって、凶器にアンタの名前が入ってるし」
おぉぉい! お、おま、何て事を!
美姫 「落ち着きなさいって。犯人が自分の名前の入った凶器を使うなんて誰も考えないわよ」
だ、だよな。
美姫 「まあ、アンタの場合はバカだからって理由で納得されるかもしれないけれどね」
駄目じゃん!
美姫 「大丈夫、いざというときは私が弁護をしてあげるわ」
ほ、本当か? ありがとう!
美姫 「ええ。咄嗟の行動だったから、本人は何も覚えてないんです。衝動的な犯行です、って」
それって、犯人として突き出しているよな!
それによくよく考えたら、お前が犯人で、お前の所為で俺が疑われるかもしれないのに、何で礼を言ってるんだ俺!?
美姫 「……今回はとうとう恭也の剣の一つ、神姫が目覚めたみたいね」
うわ〜。強引だな、おい。
美姫 「御神の伝承って何かしらね」
…目覚めた男と恭也たちはどうするのか!?
美姫 「お、アンタも諦めたのね」
まあな。次回も気になる所。
美姫 「それじゃあ、次回も待ってますね〜」
ではでは。



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