永久の眠り

 

第一話 

 

「お目覚めになりましたか?」

 

そう言いながら少女は優しく、恭也の額に浮いていた汗をふき取ってくれる。

 

「……ここは?」

 

そういいながら恭也は寝かせていた身を起こす。

 

(筋…骨…問題無し…霊力が消耗しているだけか…、これでは奥義は厳しいな、ほかに怪我は無いみたいだな…それに小太刀は…当然身の回りにはないと…)

 

「だめですよっ! まだ寝てないと」

 

そういいながら恭也の肩を掴んで寝かそうとする少女。

 

「いえ、大丈夫ですよ。特に大きな怪我はないみたいですし。看病して頂いたちゃんとしたお礼くらい言わせてください」

 

微笑みながら恭也はやんわりと少女の手を肩から外す。

 

「あ…」

 

恭也の微笑みと触れた手によって少女は顔を赤くするが、それが自分のせいだとは微塵も思ってなかったりする。

 

「えっと…おばあちゃん呼んできますね」

 

少女は、照れたように恭也から離れて部屋を出て行く。その様子を見ていた恭也は薫と那美の様子を伺う。どうやら自分と同じで気を失っていただけで、特に怪我をしている様子は無いので一安心する。

 

(しかし…ここは何処だ?)

 

今自分がいるこの部屋、外の風景を見る限り日本ではない…それ以前に自分はさっきまで海鳴にいたはずなのだから…。外の風景を見て考えを纏めているところに、三つの足音がする。

 

(戻ってきたみたいだな…、それに三人か…)

 

老人と先ほどの少女が部屋に入ってくる。もう一人はどうやら少女の背中に隠れているようで姿を見せようとはしない。

 

「ホッホッホ、その様子だと大丈夫そうじゃな」

 

「ええ、看病していただいたお陰です」

 

「当然の事をしたまでですから…」

 

恭也がそう答えると、少女は顔を赤らめながら俯いてしまう。

 

「名前を聞かせてもらえるかの?名前が無いと呼びにくいからのう」

 

(名乗ってもかまわんか…多分…とゆうか信じたくは無いがここは俺のいたところではない)

 

「…高町恭也です」

 

「タカマチキョウヤ…なかなか聞く名前ではないのう。わしはトゥスクルじゃ、この村で村長をしておる、それで恭也…、手当てしてくれたのが孫たちじゃ」

 

トゥスクルがそばにいる少女に挨拶を促す。

 

「エルルゥです…ほら、アルルゥも」

 

エルルゥと名乗った少女は、背中に隠れている女の子を挨拶するように促すが

 

「あ…」

 

恭也と目が合った時にすぐに部屋から逃げ出してしまう。

 

「ごめんなさい…あの子、人見知りが激しくて」

 

「いえ、いきなりですから、警戒するのは当たり前です」

 

恭也はエルルゥの言葉をやんわりと否定する。

 

「それじゃ、恭也よ。なんで、物騒なものを持ってあんな所に倒れていたのか聞かせてもらえるかね?」

 

「あんな所?」

 

トゥスクルがトーンを低くして聞いてくるが、とにかく恭也には答えようが無い。なんにせよ、気がついてみたらここにいたのだから。

 

「物騒なものに関しては否定は出来ませんが…、気がついていたらここにいたので、あんな所と言われても…」

 

「ふむ…嘘は言ってないようじゃの」

 

恭也の瞳をじっと見つめていたトゥスクルはそういいながらエルルゥに何かを持ってくるように伝える。うなづいてエルルゥは部屋を出てゆく。

 

「信じてもらえるのですか?」

 

「嘘をついている目をしておらんからの、分かったことから話してくれると助かるがの」

 

そういいながら、笑うトゥスクルを恭也は敵わないと思ってしまう。凶器を持っていて、突然運び込まれた男をこうもあっさりと信じてしまう度量など自分は持っていないのだから。

 

「おばあちゃん、これでいいの?」

 

エルルゥが神姫、黒牙、十六夜を抱えて部屋に入ってくる。

 

「あぁ、エルルゥや、恭也に渡しておやり」

 

トゥスクルにいわれエルルゥは恭也に三本の刀を渡す。恭也は受け取った刀を傍に置きトゥスクルに尋ねる。

 

「ありがとう…。でもすこし、無用心すぎはしませんか?俺がこの刀を使って危害を加えるかも知れないんですよ?」

 

「…気を失ってまで手放そうとしなかったのだから、大事ものなのだろう?それなら本人に返すのが筋じゃろうて」

 

そういいながら好々と笑うトゥスクルに恭也は先ほど敵わないと思ったことが間違いではないと感じる。

 

「さて、こっちの子達が目を覚ますまで村でも見て回ってくるといい。エルルゥ案内しておやり」

 

「はいっ」

 

エルルゥは嬉しそうに頷く。

 

「ホッホッホ、それじゃゆっくりしていくとええ」

 

トゥスクルはそういいながら、部屋から出て行ってしまう。

 

「それじゃあ行きましょうか…えっと」

 

「恭也で」

 

エルルゥがどう呼ぶか迷っているのを見てそう伝える

 

「それじゃ、恭也さんで。私のことはエルルゥと呼んでくださいね。それとその敬語もやめてもらえると嬉しいのですけど…」

 

「……解った、エルルゥ」

 

恭也はエルルゥの視線に根負けしたのか降参とばかりに、呼び捨てで呼ぶことにする。

 

「それじゃ、いきましょ。色々案内しますね」

 

エルルゥは嬉しそうに恭也の手を引いて、村へと連れ出すのだった。

 

 

 


あとがき

うわ…エルルゥが案外書きにくい…。

「ラスティ」…弱音はきかないよ?つーか短いんだけど

いや…そんなにすごい笑顔で脅さないでください…。書きにくいだけであって、書きたくないんじゃないので。ん〜次からは長くする予定だから…

「ラスティ」ふーん、にしても、うたわれとクロスしてるのに、重要なのはまだ出てこないんだ?薫達は目を覚ましてないし。

まだ一話っつてもプロローグ見たいな所だし、これから書くさ。もう少し、薫と那美を交えたほのぼのした空気で進める予定だが

「ラスティ」まぁいいわ、さっさと書いてくれれば

鬼だ…。

「ラスティ」拙い作品でありますが、ここまでよんでくれてありがとう〜。それではまた次の話でお会いしましょう。(踏みつけながら)

 

 




という訳で、うたわれとのクロス〜。
美姫 「まだ物語りは始まったばかり」
これから一体、どうなるのか!?
美姫 「とりあえず、恭也たちは現状の把握からかしら?」
どんな風に話が進むのか楽しみに待っていますね。
美姫 「待ってます〜」
ではでは。



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