『選ばれし黒衣の救世主』









 あれからしばらくの日数が経った学園。その食堂に、やはり救世主候補たちはいた。
 すでに食事も終え、全員が思い思いに食後の余韻を楽しんでいるのだが。

「というか、恭也」

我慢ならなくなったのか、大河はどこか呆れた口調で恭也に話かける。

「お前、何飲んでるんだ?」
「ん?」

そう聞かれて、恭也は飲んでいたものをテーブルに置く。

「知佳さんが探してくれてな、緑茶に似たお茶が、この世界にもあったんだ。それを飲んでる」
「知佳さんがわざわざ探してくれた、というのは、お前ばっかりうらやましいぞ、ゴラァ、と言いたいが、今はいい」
「言ってるぞ」
「気にするな」

端から聞いていると、漫才に聞こえてくるやりとりだ。

「まあいい、恭也、もう一度それを飲んでくれ」
「む? 訳がわからんな。まあいいが」

 そう言って、恭也は『湯飲み』を持ち上げて、その緑茶に似たお茶を再び飲み始めた。
その飲み方は実に様になっていて、そこはかとなく恭也自身も幸せそうに見える。
 だが、大河が言いたいのはそんなことではない。

「なんでこの世界に湯飲みがあるんだぁぁぁ!」

そして、とうとう叫んだのだった。





 第二十七章 実技訓練・チームワーク編





「大河、みんなが注目しているのだが」

大河の叫びで、食堂中の視線を集めてしまっている。

「恥ずかしいマネするんじゃないわよ、バカ」

 さすがに自分まで視線を集めたくないのか、いつもより低い声で言うリリィ。だがしっかりと大河を睨むのは忘れない。
他の者たちは苦笑い。
 
「でもおにーちゃん、本当にどこで手に入れたの、それ」

 この世界は食器などに限らず、ほとんどの生活様式が、恭也たちの世界で言うと、中世ヨーロッパに近い。
 そのため、湯飲みなど今の今まで見たことがなかったのだ。

「いや、この世界にもないことはないらしい。これもクレアに貰ったものだしな」

 と、恭也の何気ない発言に、頬をビクリと動かす四人がいたのだが、当然恭也が気づくことはない。

「恭也さん、クレア王女に貰った、ってどういうことかな?」

笑顔なのだが、なぜか黒いオーラを出しながら未亜が聞く。しかし、恭也はそれに気づいていないらしい。禁書庫から帰って来た時は気づけたのに。やはり相手が武器を所持していないためか。

「ああ、この前怪我をさせてしまった礼だと言っていた。
 緑茶に似たものは見つけていたものの、器がカップではな。クレアと話していた時もカップで飲んでいた。それを話したら、次の日には持ってきてくれた」

それを聞き、なのはとリコ、未亜、リリィが小声で話しだす。

「新たな敵、なの?」
「その場合、協定を……」
「ちょっと判断が難しいね。純粋なお礼の可能性も捨てきれないし」
「ふん、クレシーダ王女があんな男にそんな感情を持つとは思えないけどね」

リリィの発言を聞き、未亜たちはやはり小声で素直じゃないなぁとか呟いていたりする。
そんな四人には気にせず、恭也は大河の方に顔を向けていた。

「しかし、知佳さんに探してもらったと話したらうらやましいと言っていたが、これもか?」

 と湯飲みを見せながら聞く。

「俺はセルじゃねぇっつーの。あいつはなのはと一緒で守備範囲外だ。まあ光源氏計画も捨てがたいが、この二人にんなもん通用するとは思えん」
「よくわからんな」

恭也は首を傾げたあとに、もう一度湯飲みに口を寄せて飲み始める。
 
「恭也さん、そういう姿がよく似合うというか、なんというか」

 ベリオは苦笑しながら言う。
今の恭也の姿からは、戦う姿が想像できないくらいの雰囲気を出している。
 なんとうか、周りと一体化しているというか。
ただ、それでもこっちの恭也の方が、戦う姿よりもいいと思える。ある意味、平和の証だろう。

「見た目は青年、雰囲気は老人という感じだな。これで足下に猫でもいれば完璧なんだが」

大河の言動に、恭也は少し眉を寄せるものの、同じようなことを今まで散々言われてきたので、とくに言い返す気はなくなっているらしい。
なのはの方がその言葉に苦笑してしまっていた。

「家では本当に猫が寄ってきますよ。さらにいつもは縁側で飲んでます」

 なのははそう言って、縁側というものがわからない一部に、少しだけ説明する。
 すると、全員がその姿を頭の中で想像してしまった。
縁側で、湯飲みを持ち、膝の上で猫を寝かせる恭也の姿。

「……異常なくらい違和感がないんだけど」

リリィの発言に、全員が同時に頷く。
それはつい先程まで縁側というものを知らなかった者たちまで。
そこで何かを思いついたとばかりに大河が手を叩き、カエデの方へと向いた。

「カエデ、恭也の呼び方、もう決まったのか?」
「まだでござるよ。あれから色々あったでござるから」
「もう老師でいいだろう。むしろ、それが一番だ」
「老師でござるか?」
「そうだ。縁側の恭也の姿をもう一度想像してみろ。んで、その横に老師とか言って、お前がどこぞの影とか屋根裏とかから現れる」
「おお!」

カエデは手を組んで目を輝かせる。
ある意味、絵になる形ではある。ただ老師と言われるのが、まだ二十代前半の青年であるのだが、その青年も雰囲気が老成しすぎていて、違和感を覚えさせない。

「まさに忍でござるな!」
「うむ、そうだろう!」
「さすがは師匠でござる!」

すでにノリノリの師弟である。
流石にこのままでは、その呼ばれ方で決定してしまうと思い、恭也は口を開く。

「待て、お前ら」
「なんでござるか、老師!?」

どこか目を血走らせながら言ってくるカエデに、恭也は頬を引きつらせた。

「…………もういい、好きにしてくれ」

結局、ナナシの恭ちゃんと一緒で、ため息をつきながら受け入れる恭也であった。
恭也、とうとう老師にランクアップ?




「というわけで、今日の実技訓練は連携よ〜」

 と、闘技場にダリアの声が響く。

「相変わらず、というわけでの意味がわからないのだが」
「マスター……もう気にするのはやめた方が」

誰にも聞かれないぐらいの小声で恭也は言ったのだが、リコが少しだけ苦笑気味に、やはり他の者には聞こえないように小声で返してきた。
 今日の午後は実技の授業だったわけだが、ダリアはいつも通りに何の説明もなく、闘技場に現れると同時に、先の言葉で言い放ったのであった。

「けどよ、連携の訓練はいつもしてるじゃないか」

 大河はどこかぼやくようにして言う。
前衛と後衛で組み、二対二の訓練は、それこそ今まで飽きるほどしている。
 実際恭也以外の者たちは、納得がいかないという感じの表情をしていた。あの村の件で、破滅が動き出しているかもしれないということがわかり、いつも通りの訓練をしていてもいいのか、と考えているのだ。
もっとも、だからと言って何をしていいのかも、それぞれわかっていないのだが。

「でもこれ、恭也君から頼まれたのよん?」

 ダリアが首を傾けながら言うと、全員が恭也を見る。

「ダリア先生、大事な所が抜けてます。俺は四対四でやりましょう、と言ったんですが」
「四対四?」

 未亜が不思議そうに呟きに恭也は頷く。

「これからは救世主クラスだけで動くこともありそうだしな。それに正直な所、他の一般科の生徒たちでは、お前たちと連携をとるのは難しいだろう」

救世主候補たちは、その身体能力が一般の者たちからはかけ離れている。恭也は普通の人よりも高い身体能力と、それ以外のものでついていけている……というか引っ張っていっている……が、他の者たちではそうはいかない。無理に連携をとろうとしても、逆に邪魔となる可能性の方が高い。
そうなると、最終的に救世主クラスの者たちは、クラス内の者たちとしか連携がとれなくなってしまう。

「だから、救世主クラスの中でだけでも、もっと多くの者たちと連携の経験を積んでおいた方がいいと思ってな。連携というよりも、チームワークを身につけるためと言った所か」
「そういうことよぉ」

 ダリアがいつものように笑う。
 この説明は事前にしておいたはずなのだが。
 ダリアは恭也の心情など知らずにニコニコとしていたが、いきなり不思議そうな表情に変えて口を開いた。

「でもこのクラスで四対四に分けると、前衛二人のチームと前衛一人のチームになっちゃうわよねぇ。前衛一人、後衛三人組の方が戦いづらいんじゃないかしらぁ?」
「後衛が多い分フォローが広がりますから、その点は大丈夫だと思います。逆にそのぐらいカバーできる連携を組み立てるいい訓練になります。それにいずれは全員が後衛の組、というのも経験させた方がいいかもしれません」
「なるほどねー」

恭也の説明にダリアは何度も頷く。
 とは言っても、彼女ならばそのぐらい理解していただろう。おそらく恭也に説明させたかったのだ。

「それじゃあ、チームを決めちゃいましょうか」

 そう言って、その胸元からアレを取り出すダリア……。

「やっぱりダイスなんだ」

 なのはは苦笑いながら呟く。
 むしろどこから取り出すんだ、と言う場面のようにも思えるが、もはや全員慣れてしまったのだろう。若干一名、まだ慣れておらず、顔を赤くしている者もいたが。



 で。

「納得いかないんだけど」
 
リリィは顔を引きつらせて言う。
 おそらく運という結果で分けられたチーム。
 一つは、恭也、なのは、未亜、リコチーム。
 もう一つは、大河、ベリオ、カエデ、リリィチームである。

「でも、ダイスで決まったわけですし」
「うん、こればっかりは仕方ないよ」
「……運命です」

 なのはと未亜とリコは、このチームを変えられてはたまらないとばかりに言うが、その顔は笑顔である。
その態度に、リリィはさらに顔を引きつらせるのだが、とりあえずチーム分けについてはもう何も言わなかった。
 だが、

「ふ、ふふ、私と敵対したことを心の底から後悔させてあげるから」

そう呟いた言葉は誰に向けられているのか。

「まあよくわからんが、早速始めるか」
 
恭也はリリィの態度が理解できずに言う。
そうして、模擬戦が始まろうとしていたのだが、大河が恭也の方を向いて声をかけた。

「ああ、ちょっと待ってくれ」
「なんだ?」
「作戦タイムとろうぜ」
「作戦?」

 恭也が不思議そうに問い返すと、大河は大きく頷く。

「実戦にそんな時間はないっていうのはわかってるけどよ。今回は違うんだし、今のうちからそういうのを話しておけば、その実戦の時に役に立つんじねぇか?」
「ふむ、確かにな」

恭也も一理あると頷き、ダリアの方を見た。
 これは授業なのだから、決定権はダリアにある。

「それじゃあ、十分でいいかしらぁ?」

 大河の意見を受け入れ、ダリアは笑いながら両手の指を広げてみせる。十分という意味を手で表したのだろう。
それに全員が頷き、それぞれのチームが闘技場の両脇へと移動する。
 

 こちらは大河チーム。

「さて今回、あっちのチームで一番ヤバイのはなんだと思う?」

 大河は開口一番にそう聞いた。
 それにそれぞれ考えるが、すぐに答えが出たらしい。

「老師自体もそうでござるが、今一番危険はなのは殿のあの攻撃でござるな」

 代表してカエデが言うと、やはり全員が頷いた。

「だよな、正直あれは反則だろう」

 あの村で見せたなのはの攻撃。あれはさすがの救世主候補たちでも、回避するのは不可能に近い。救世主候補最速であるカエデでも無理だろう。
大河は少し考えた後、ベリオの方へと視線を向ける。

「ベリオ、あれ、お前の魔法で防御できないか?」

 防御系の魔法ならば、クラスどころか学園で随一の腕であるから質問したのだが、ベリオは残念そうに首を振った。

「実は、私はあれを見るのは初めてではなかったんです」

そう言ってから、この前の訓練のことを話す。もっとも、そのあとの会話の内容まで言ったりはしないが。

「でもあれは手加減されていました、威力でも速度でも。それでも限界ギリギリだったんです。村で放った時の速度で放たれていたなら、魔法の発動が間に合わなかったでしょうし、逆に威力で放たれていても、完全に崩壊させられていました」

それを聞いて、大河はやれやれと首を振る。

「ホント反則だよな。完全に囲まれるから範囲外に逃げるのは無理。かといって、速度もあるから防ぐ術を使う前にやられる、できたとしてもそれごとやられるか。
 つーかリリィ、お前も魔法使いなんだから似たようなことできないのかよ?」
「できるわけないじゃない。あれはなのはだからできるのよ。逆に世界であれができるのはあの娘だけ。あれはなのはだけに使える裏技中の裏技なのよ」

 リリィの言いように、大河だけでなく、カエデも首を傾げる。

「リリィ殿、もしかしてあれがどんなものなのかわかったのでござるか?」
「まあね。ベリオも二度見てるなら、少しはわかるんじゃない?」
「まあ、本当に少しですが」

 ベリオの答えに、リリィもため息をつきながら頷く。

「私も全部わかったわけじゃないし、推測のところもあるからどこまで正しいかわからないけどね」
「とりあえず聞かせてくれ」
「そうね。まず、なのはがいつも使ってる魔法陣からでる『もの』。みんなも知ってると思うけど、あれはあくまで疑似であって、本当の魔法じゃないのよ」

 そう前置きを置いてから、リリィは説明を開始した。



 続いて恭也チームに移る。

「今回の問題点は、あちらは万能型ということだな」

 恭也の言葉の意味が理解できないらしく、未亜となのはが首を傾げる。
 リコは頷いて返したので、恭也の言いたいことがわかっているようだ。

「あちらは前衛が二人、それもパワー型とスピード型が揃っている。後衛も攻撃と防御魔法を得意とする二人、攻撃もフォローも防御もできる。ある意味、相手にするには一番厄介なチームだ」

そういう意味では、こちらのチームは、能力的にバラバラと言った感じのチームになってしまっている。
それがわかり、なのはと未亜は頷いた。

「ときになのは、村で使ったあの技は使えるのか?」
「使えるけど、あれは準備に時間がかかっちゃうの」
「やはりか」

恭也は村でなのはの動きを追っていたため、おそらくは時間がかかるものだとは思っていた。それにあちらも、あれは警戒しているだろう。

「それにたぶんリリィさんやベリオさんは、あれの原理にだいたい気づいてると思う」
「私もなんとなくわかりますから……リリィさんたちならある程度気づいてる……と思います」

リコも少しだけ考えながらも付け加える。

「ということは、対処方も考えられちゃってるわけだよね」

未亜の言う通り、リリィたちが気づいているのなら、その対処法も話しているだろう。
 それでもとりあえず、恭也がなのはにあの技の説明を求めると、彼女は説明してくれたのだが、さすがの恭也たちも、全てを聞いて驚きを通り越して唖然としていた。

「そ、そこまで考えてたんだ、やっぱりなのはちゃん、すごいね」
「そんなことないですよ〜」

未亜となのはのやり取りを聞きながらも、恭也は思案する。
 リリィたちがあの技の原理にある程度でも辿り着いているのなら、どのように行動するか。

「なのは、『あれ』の方は使えるか?」
「にゃ、あれ? えっと、おにーちゃんのあれだから……あ、うん、大丈夫だよ」
「そうか、ならいつでも使えるようにしておいてくれ。もしかしたら俺が一人で大河とカエデを押さえなくてはならない可能性がある。今の二人の強さだとかなりきつい」

なのはの言い回しは気になったものの、恭也はとくに聞かずに告げた。

「うん、わかった!」

 恭也に頼み事をされて嬉しいのだろう、なのはは笑顔で頷いたのだった。



 そうしてきっかり十分後、二チームは闘技場の真ん中で、それぞれの武器を取りだして、相対していた。

「それじゃあ、はっじめ〜」

 そんな、いつも通り緊張感のないダリアの声で試合が始まる。
それと同時に、大河がナックルで突っ込む。
 その高速の突撃に、なのはたちは反応ができなかった。しかし恭也だけは反応し、目の前に躍り出て、小太刀を交差させ、さらに後ろへと跳びながら、それを受け止める。だが、威力を殺すために後ろへと跳んだのと、大河の力によって、そのまま後方へと吹き飛ばされた。
援護しようとする恭也組の三人だったが、そこにリリィの火球が飛び込み、それが爆裂する。
 三人は咄嗟に回避したのだが、そのころには恭也との距離がかなり開いてしまっていた。
そして引き離された恭也は、大河と剣を交えていた。

「なるほど、俺を引き離す策か」
「へ、これだって一応チームワークだろ? なのはのあれもヤバイが、色んな意味で恭也が一番ヤバイのはよくわかってる。さらに、そっちには前衛がお前だけだからな」
「ふむ、よく考えている」

 恭也も大河と同じチーム分けになっていたなら、まったく同じ行動に出ただろう。それが戦術というものだ。ただ一人の前衛を同じく前衛が押さえても、もう一人前衛がいる。だが相手には前衛が一人しかいないのだから、残るのは後衛のみ。
 大河たちから言えば、恭也の相手は、カエデよりも大河の方がいい。それは相性というよりも、今までの戦闘訓練で、大河は恭也の相手をするのに慣れているためだ。
 だが、だからこそ、恭也は大河たちがこういう行動に出るかもしれないというのを読んでいた。
読んでいたからこそ恭也も慌ててはいないし、離れた場所にいるなのはたちも冷静に対処していた。
恭也は、大河の剣を慣れた様子で捌く。慣れているのは何も大河だけではない。恭也とて、大河の動きには慣れている。
 まだ矯正していなかった雑な動きを見つけ、その間に腹へと蹴りを入れて吹き飛ばすと、なのはたちの元に戻ろうとする。
 しかし、

「行かせるかっ!」

吹き飛ばされた大河は、トレイターをランスへと変え、そのまま勢いをつけるように一回転、さらに力を乗せるために腰を捻らせ、ランスをブン投げる。
 それはまるで弾丸……いや、砲弾のように恭也へと向かっていく。
 恭也はそれに驚きながらも、何とか横へと飛んでかわした。
 かわされたランスは、闘技場の壁を破壊して止まっていた。とんでもない威力である。

「トレイター!」

 大河の手から離れていようが、トレイターは大河が呼べばその手に現れる。やはりトレイターは、剣の形態に戻りながらも、次の瞬間には大河の手の中にあった。
 そして、大河はもう一度恭也へと斬りかかる。

「そう簡単には行かせねぇよ!」
「……本当にお前は」

恭也は笑った。本当に嬉しそうに。
 この男は本当にとんでもない勢いで成長していく。まさかトレイターを飛び道具に使ってくるとは思わなかった。だが、救世主候補随一の力を持ち、手から放たれようがトレイターはすぐに現れるのだから、理にかなっていた。
恭也は心の中でなのはたちに謝る。
 しばらくは戻れない、と。そして、この男が成長していく姿を見るのは、本当に楽しくて、もう少し戦っていたい、と。


リリィはちらりと大河と恭也の戦いを見る。大河はちゃんと恭也を押さえていた。これができるかどうか、実はかなり不安だったのだ。
 大河の戦闘能力は……あまり認めたくはないが……高いとは思っている。だが、恭也は大河にはない……いや、自分たちにはない、戦闘においての巧みさを持っていた。だから、簡単に引き離されるのではないかと思っていたのだ。
 少しはあのバカの評価を上げてやろう、とかも思うのだが、実の所、こちらの方があまりうまくいっていない。
 どうやら恭也を引き離すという策は、あちらも予想の範囲であったらしく、完全に対処されている。
 前衛が二人であるというこちらの武器で、一人はあちらの唯一の前衛を押さえた。残る後衛に、こちらのもう一人の前衛……カエデを主軸として攻撃をしかけるはずが、リコのテレポートに翻弄されてしまっている。さらに未亜の矢による援護もかなり的確だった。矢の方はベリオの防御魔法によって退けているが、策はあまりうまくいっていない。
 さらに最初は、カエデがなのはを押さえる……というか、素早く無力化するはずだったのだが、リリィがなのはを押さえなくてはならなくなっていた。

「ブレイズノン!」

 火球を投げつけるが、なのはは素早く回避する。
 どうも形が小太刀だからなのか、召喚器による能力のアップは、身体能力向上の方が高いらしい。対してリリィの場合はどちらかというと魔力より。そのため、自分の魔法は素早い動きでかわされてしまう。
だが、それでもかまわない。自分がしなければならないのは、なのはに『円』運動をさせないこと。正確には『球体』運動とでも言おうか。
この前あの村で放ったなのはのあれは、おそらく攻撃を遅延させた『疑似魔法』を、視覚阻害の『魔法』によって、巧妙に魔法陣ごと隠していたのだ。
 そう、なのははすでに魔法が使えた。己が大量の魔力を保有しているとわかった日から、努力を続け、その才能を開花させた。
その手助けをしていたリリィは、そのことを当然知っていた。もっとも、どちらかというと攻撃魔法に偏っていたリリィは、視覚阻害の魔法など使えないから教えられない。おそらくはリコか教師、もしくは他のクラスの生徒に習ったのだろう。
疑似魔法はあくまで疑似であって魔法ではない。それも疑似魔法で消費する魔力は白琴から送られてくる魔力で、なのは自身の魔力は消費されない。つまりなのはは疑似魔法を使いながらも、魔法を使うことができるのだ。これはどう考えてもなのはにしかできない裏技だ。
つまりなのはは、あの瞬間に全ての魔法陣を描いていたわけではない。遅延させる疑似魔法が出る魔法陣を、攻撃に使用する疑似魔法の魔法陣と共に描きながらも、魔法の呪文を詠唱し、隠していた。しかし見えないだけで、魔法陣は間違いなくあるのだ。だからこそ、彼女を動き回らせるわけにはいかない。
疑似魔法をどうやって遅延させているのかはわからないし、他にも疑問点はあるが、そう的外れな推測ではないはずである。
 これに対処するために一番いい方法は白琴を振るわせないことだが、それは難しい。ならば動き自体を封じ、なるべく広範囲に移動させないようにすればいい。そうすれば全範囲に魔法陣を仕掛けるのは不可能だ。
そう考えながらも、リリィは一気になのはへと近づき蹴りを放つ。
それをなのはは白琴の峰で受け止める。

「やっぱりバレちゃってますか」

 白琴で蹴りを受け止めたなのはは、少しだけ苦笑して言った。
 おそらくあまり大きく動かせてくれないことに気づいたのだろう。

「最初に貴方に魔法を教えたのは誰だと思ってるのよ?」
「確かにそうですね」
「まあ、わからない所は結構あるけどね」
「どんな事ですか?」

なのははリリィの足を払いながら問う。
リリィはそれに拳で答えるが、なのはは横に動いてかわす。やはりすばしっこい。
 とりあえず疑問に答えてくれるようだから聞いておこう。

「例えば魔力ね。白琴の魔力で疑似魔法は使ってるらしいけど、それだって無尽蔵なわけがないもの。確か前に、一度に使えるのは炎で言うと六発分、最大威力だとあの光の塊が最大って言ってたでしょ」

なのはのでたらめながらも、身体能力向上の影響か、かなり速い突きをかわす。

「それは簡単です。疑似魔法が発動した時じゃなくて、魔法陣を描いた時点で白琴の魔力は消費されてるんです。だから、疑似魔法が発動しても白琴の魔力消費はありません」
「なるほどね。じゃあどうやって遅延させてるの、よ!」

 再び蹴りを放つと、なのはは慌てたように頭を下げる。
 蹴りは彼女の頭があった場所を通り抜けた。それと同時に、なのはは下から白琴を振り上げてくるが、やはり恭也のような技術はない。だがかなり早い。いっそ恭也に剣術を習えばいいのに、とも思いながら、身を反らしてかわす。

「それも簡単ですよ。私の意思次第です。疑似魔法は、私が放つと意識した時に魔法陣から発動するんです。だから、これはまだ発動しないでって思えば、疑似魔法はいつまで経っても発動しません、から!」

 今度は横に払ってくるが、それを今度はリリィが身を屈めてかわす。

「じゃあ、視覚阻害の魔法の効果をわざわざ打ち消すのは? そのまま放ってもいいはずで、しょ!?」 

今度はリリィがアッパーを繰り出すが、やはりなのはは、先程のリリィのように身を反らしてかわした。

「それは確認のためです」
「確認?」
「視覚阻害の魔法は術者以外のものにかけると、術者も見えなくなってしまいますから。描いてる時点で阻害させてるので、私自身どんな方向に描かれてるのか、だいたいしか把握できないんです。もしかしたら変な方向のがあったり、仲間の人を巻き込んでしまうのがあったりするかもしれせん。それがあったら大変です」

なるほどと頷く。これでだいたいの疑問点は消えた。
 その瞬間、未亜の援護で矢が飛んでくる。
 リリィは舌打ちしなからも、なのはから跳んで離れる。そして着地と同時に、手の中に作り上げた火球を投げつけようとしたが、なのはの手にもまったく同じ火球があった。
 だがそれには驚かない。すでにこの魔法はなのはに教えている。そして、その威力も知っていた。

「「ブレイズノン!」」

 二人の中央で火球がぶつかり合い、大きく爆裂する。
 だが、
 
(相殺した!?)

 リリィは、バカなと心の中で続けて叫ぶ。
同じ魔法でも絶対に自分の方が威力は上で、その効果はなのはが放った同じ魔法を飲み込み、彼女へと及ぶはずだったのだ。
 これはありえない。
 別に負け惜しみなどではなく、はっきりとした事実としてありえないはずなのだ。
 なのはの白琴の特性はあの疑似魔法を作り出すことと、他の召喚器と同じで身体能力のアップ。対してリリィのライテウスは、身体能力の向上……これは近接武器ではないせいか、他の者たちよりも少し低い効果……、そして自身の魔力の向上と、魔力を蓄えたり、増幅して放出する能力だ。
 ここで重要なのは、増幅して放出するということだ。いくらなのはの魔力が巨大でも、それに次ぐ魔力を持つリリィの……さらに召喚器の特性により向上され……増幅された魔力で作り出された魔法と同等の威力な訳がない。威力の違う他の魔法ならばともかく、まったく同じ魔法になれば、召喚器の特性で、その威力は絶対にリリィの方が上のはずなのだ。
実際になのはにブレイズノンを教えた時に、最大威力で使わせたが、ここまでではなかった。
 なのはの顔を見ると、彼女は舌を出して、悪戯っぽく笑っていた。

(つまり、裏技は一つじゃなかったってこと?)

そんなことを考えていると、なのはの十八番、疑似魔法が襲ってくる。それと同時に、未亜の矢も迫ってきていた。
 これはかわせない、と思ったが、いつのまにか目の前に障壁が張られていた。
 それはなのはの炎を防ぎ、未亜の矢を退ける。
 誰が使ったかなどわかっている。
 リリィは、ベリオに向けて目で礼を言う。ベリオは気にしないでとでも言いたげに笑っていたが、すぐにカエデの援護を開始する。
今は新たにできた謎を解き明かす時ではない。
 リリィは雷撃を放つが、それはなのはに生み出された魔法陣によって弾かれる。だが、その間にリリィは再び距離を詰めた。
 なのはの白琴は小太刀の形はしているが、刃がないので、鈍器と思えばいい。何より、近づかれると魔法陣がうまく描けないのだ。
 だからこそ、リリィは先程から接近戦を挑んでいた。できれば、間近で魔法を叩き込みたいのだが。

「リリィさん、少し勘違いしてますよね?」
「何がよ?」

なのはの言うことがわからず、リリィは訝しげに問い返す。

「おにーちゃん!!」

なのはは、リリィの問い返しには答えず、恭也の名前を声高に叫んだ。
 それと同時に、横……とは言ってもそれなり離れた場所……で、戦っていた恭也が、大河から距離をとる。
 恭也がこっちに来るかとも思ったが、違った。

「ディスペル!」

その呪文に大河チームの全員が息を呑む。
 それは視覚阻害の魔法の効力を打ち消す呪文。
 つまりあれが放たれる最後の呪文。
現れたのは三つほどの魔法陣。
 あのときの比にもならない少ない数。が、それはなのはから離れた場所に現れ、確かに『大河』を狙っていた。

(しまった!)

リリィはまたも心の中で叫ぶ。
 自分たちは、あの波状攻撃を警戒するあまりに、大切なことを忘れていた。
 別に、村で使ったあれを放つ必要はないのだ。何十個だろうと、数個だろうと構わない。それ自体が隠されているのだから、受ける方は不意打ちの攻撃になる。
なのはの言っていた勘違いとはこれのことだ。
数や方位にこだわる必要は、この技にはない。一番の優位性は、隠蔽されていることにあるのだ。

「大河、避けなさい!」

 リリィに言われるまでもなく、大河はすぐさま後方へと下がる。
 それと同時に、炎二つと光の塊が魔法陣より飛び出し、恭也と大河の間を抜けていく。
 その三つは、やはり闘技場の壁に当たり、爆発を起こした。
そして気づく、恭也がこっちに向かって来ている。あれは元々大河に当てるのではなく、引き離すために放たれた。
つまり、これもいつくかのパターンとして、事前に策としてあったのだろう。
 恭也はカエデへと突っ込み、リコから距離をとらす。その後ろから、追いかけてきた大河が斬りかかるのだが、未亜のうまい援護で阻止されていた。
 こちらもベリオが援護しているが、完全に混戦になってしまっている。
まずい、おそらくはこれすらも相手の策の内だ。
 絶対にまだ何か策がある、とリリィは考えるのだが、その策が何だかわからないので、手の打ちようがなく、自分も援護に入る。

「なのは!」

 混戦の場の中央にいた恭也が、なのはの名を叫ぶ。
 いったい今度は何だ、と本当に声に出して叫びたかった。

「ハイスピード!」

 恭也に応えるかのようになのはが叫ぶ。
 それと同時に恭也の元々速かった動きが、さらに速くなる。それはあの神速とまではいかないが、カエデのスピードすら凌駕していた。
 なのはが使った魔法、それは言うまでもなく補助魔法だ。魔力により対象者の脚力を増加させるごく一般的な補助魔法。
 だが……リコはわからないが……リリィもベリオも使えない魔法。それもそのはず、能力補助系の魔法など、召喚器の魔力により身体能力が上がっている彼女らには必要がないものだ。召喚器を持っているということは、つまり彼女らは常に身体全体に補助魔法が……もっと高等なものだが……かかっているに等しい。それなのに、わざわざもう一度身体に補助をかけても意味がない。
 必要がない、ということで、ベリオさえも能力補助系の魔法はほとんど使えない。
 だがなのはは、恭也のためにそれを学んだのだ。
元々身体能力が人間離れしている恭也が、魔力によってさらに身体能力が上がる。これがどうことなのかわからないリリィではない。
 今の恭也のは、救世主候補たちの誰よりも速いのだ。
いきなり速度の上がった恭也に、大河たちのペースが乱される。そして、カエデが斬撃を受け、混戦の中から弾き飛ばれた。
それでも大河が恭也を捕まえようとしていたのだが、彼は他のものを失念しすぎていた。背後にテレポートして現れたリコに気づかず、その掌底をまともに受け、沈んだ。
 未亜が怒濤の勢いでベリオへと様々な種類の矢を放つ。それをベリオは障壁で防ぐが、さらにリコが隕石を召喚し、障壁に当てる。
 そこになのはが、混戦の間に作り出していたのであろう、遅延させた魔法陣を解放。そこから飛び出した幾つもの疑似魔法が直撃し、障壁は崩壊。その余波でベリオは吹き飛ばされた。
 そしてリリィの目の前に、いつもよりさらに高速で恭也が現れ、その剣を突きだした。
 
「そこまで〜」

 それと同時に、ダリアの終了の声が響き、リリィは負けたことで、深々とため息をついた。




「ああ、もう! ホント納得いかないわよ!」
「そう言われてもな」

リリィの叫びに、恭也はため息をつきながら言う。
今回はこちらの……というか、ほとんどなのはの策がうまくいったにすぎない。
 他にも、恭也が大河チームの策を読んだりしたり、大河をよく知る未亜がその行動を言い当てたり、リコもやはりなのはの策を強固なものにしたり……つまり作戦タイムは、どちらかというと、恭也たちの方に都合良くなったということだ。
すでになのはの奇策というか、裏技はばれてしまったのだから、もう一度このチームで戦っても、先程のようにうまくいくことはないだろう。

「だいたい、なんでなのはが私と同じ魔法を使って相殺できるのよ!?」

 リリィはやはり叫ぶようにして問うが、なのははあっけらかんと答えた

「あれは疑似魔法で使うはずだった白琴の魔力をもらったんです」
「もらった?」
「もらったって言うか、私の魔力と掛け合わせたっていうか……二つの魔力を合わせることで力を相乗させたんです」
「そんなことできるの?」
「にゃ? できましたよ」

できたからああいう結果になったのだろう。

「ホントに反則じゃない」

リリィは心の底から疲れたように呟くが、もしなのはと魔法合戦をすることになったとしても、間違いなく軍配はリリィに上がると恭也は思っていた。
 まだまだなのはは、リリィほど魔法の扱いになれていない。呪文を唱えるのにも時間がかかるだろうし、精度などもリリィの方が間違いなく上なのだから。
 もっともこの二人が戦うとしたら、魔法合戦だけになるなどというのはありえないだろうから、本当の軍配がどちらに上がるかは、恭也にもわからないが。

「とにかく、私はやりなおしを要求するわ! とくにチーム分け! 一番このチーム分けが納得いかないのよ!」
「あー、お前、それは俺でもおかしいこと言ってるってわかるぞ」

 大河が命知らずにも、そんなことを言う。

「何がよ!?」
「あのな、バランスって言う意味では、完全にこっちの方が勝ってるんだぞ。そりゃあ、お前は恭也と組みたいのかもしれんが」
「な、わ、私がいつ恭也と組みたいなんて言ったのよ!?」
「最初から」
「そんなわけないでしょ、バカ! だいたいアンタが恭也を押さえていなかったから負けたんじゃない!」
「あれは、お前がなのはを押さえられなかったからだろうが!」
「恭也が離れた瞬間について行ってれば引き離されなかったわよ! なのはのあれはもう描き終わってるから、向きは変えられないのよ!」
「俺は魔法使いじゃねぇんだ! んなもん俺が知るか!」

なんというか、途中から責任のなすりつけ合いになっている。
それを見て、恭也とベリオ、カエデがため息をつく。
 未亜が止めに入るが、まったく効果なし。
 そこで、

「大河さん! リリィさん! ケンカはダメ!」
「だ、だってなのは、このバカがへんなことを……」
「ちょっ、ちょっと待てよ、なのは。今回はどう考えてもリリィの方が理不尽……」

やはり責任をなすりつけ合う二人。
お互いの発言を聞き、さらに何かを言おうとするのだが、なのはが腰に手を当てて口を開く。

「ケ・ン・カ・は、ダメです!」

それはなんという威厳か、リリィと大河は同時に口を噤んでしまった。

「あはは、やっぱりなのはちゃんすごい」
「そうですね」
「大河君とリリィも、さすがになのはさんには敵わないみたいね」
「見習いたいでござるよ」

苦笑して、未亜とリコ、ベリオ、カエデは言う。
それに恭也も僅かに苦笑して頷いた。

「どうして二人はケンカばっかりするんですか! もう、晶ちゃんやレンちゃんみたいです」

 そんな四人には気づかず、なのははリリィと大河に説教を続ける。
闘技場に、いつまでもなのはの説教が響き渡ることになった。
 こうしていつも通りの救世主クラスの光景に戻り、今回の連携、チームワークでの戦いは終わった。





あとがき

 とりあえず、恭也は老師に決定。
エリス「それよりもなのは、凄い策士で、強いんだけど」
 なのは最強化へ一直線。
エリス「ホントに悪魔って呼ばれそうだね。魔法の名前が相変わらず安直だけど」
名前に関しては勘弁してください。大学卒業してるのに、中学生以下レベルでホント英語とかドイツ語とかダメなんです。むしろ魔法とかの名前は募集するか、他のゲームとかから持ってきたいぐらい、いや実際他のゲームから持ってきたんだけど。
 しかし今回の戦闘は今までで一番疲れた。戦闘を書くのは苦手なのに。
エリス「リコ、未亜、ベリオ、カエデの戦闘描写が限りなく少なかったけど」
 いや、一章分にするとしたら、これが限界なんだ。何章かに分けて書くならいけると思うけど。
エリス「前半にカエデの呼び名決定があったから、まあ今回は許そうかな」
 あ、ありがとうございます(なんか理不尽じゃないか?)。
エリス「何か言った?」
い、いえ、なんでもございません。
エリス「ん、まあいいや。とりあえず、今回はここまで。
 皆さんまた次回のお話で!」
 それではー。








ほうほう、老師に決定ですか。
美姫 「何となく落ち着くわね」
まあ、ぴったりかな。
美姫 「にしても、今回はなのはが凄いわね」
ああ。何よりも、補助魔法とは。
美姫 「いやー、本当に盲点よね」
確かにな。だが、召還器を持っていない恭也には効果があるからな。
美姫 「うんうん。恭也のために、っていうのもなのはらしいし」
いやー、本当に面白かった。
美姫 「次回も楽しみね」
ああ、待ち遠しいよ。
美姫 「それでは、次回を待っていますね」
ではでは。



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