山百合会の皆様方と遊びに出る約束が持ち上がってしまった恭也

 

しかし、その前に紅薔薇様である水野蓉子様のお宅に行くことになっている彼は果たしてどのような運命が待ち受けているのか?

 

でわでわ〜〜

 

薔薇に愛されし者

 

『薔薇様のお宅拝見♪ 〜蓉子編〜』

 

蓉子に手を引かれ歩いてゆく恭也

その瞳は先ほどまで寝ていたときの眠たそうなものとは違いとても生き生きしていた

 

「さあ。恭也くん。遠慮しないでなかに入って」

 

鍵を開けてから入ってまず、玄関先で恭也のために蓉子はお客様用のスリッパを出すと恭也に履きやすいようにそっと差し出した。

 

「ありがとうございます♪」

 

ニパッと笑顔を浮かべる恭也は感謝の言葉をきちんと告げてからその差し出されたスリッパを履いた。

お礼を言う恭也のことを愛しそうに眺めながら自らも靴を脱ぎ、中へ入って行った。

 

「ただいま……。お母さん、この前から言っていた恭也くんが来たんだけど」

 

一足先になかに入ると蓉子は、まず自分の母親に恭也のことを紹介しようとして探したがどうやら返事が返ってこない、留守のような感じである。

 

「何処行ったのかしら?」

 

首をかしげてリビングを見渡してみるとテーブルの上に一枚のメモが残されていた。

 

『ゴメンね、蓉子。今日ご近所の集まりがあるの。夕飯は適当に作るか店屋物を頼むかしてね。                            母より』

 

そのメモを読み終えると蓉子はピラピラと振ってから溜息を吐きながら呟いた

 

「はぁ。どうしようかな……。恭也くんが来ているんだから居てくれれば良いのに」

 

母が居ないことに対して不満を募らせているのか、蓉子がひとしきり溜息を吐いていると恭也が心配そうに足にしがみ付くようにしながら不安そうな瞳で見上げてきた。

 

「あ、あの……ボクどうしたら良いんでしょうか? やっぱりお邪魔ですか?」

 

潤んだ瞳で見上げながら告げてくる恭也のことを見て、内心可愛いと思いながらも人のことに対して過敏な恭也のことを思うと心の中が少し痛んだ。

 

(恭也くんは愛情に飢えているのね……。こんなに可愛い子なのに)

 

そう思うと、蓉子は膝を付き恭也と視線を合わせるようにすると『キュッ』と抱きしめ、髪を撫でながら耳もとに囁いてあげた。

 

「今、お姉さんが困っていたのはね、恭也くんのことを私のお母様に紹介できないことに対してなのよ。こんなに可愛い子が来たって自慢したかったの

だからね、恭也くんは今日一日私の家に居るのよ。良い?」

 

ひとしきり撫で終え、恭也の頬を軽く両手でおさえながら顔を上げさせ視線を合わせる。

すると恭也は涙目になりながら抱きついてきた

 

「はい、ボク居たいです。蓉子お姉さんと……」

 

蓉子の言葉に感極まった恭也はポロポロと涙をこぼしながらすがり付いた。

また、蓉子もそんな恭也の背にそっと手をまわしながら優しく抱きしめながら、また囁いてあげた

 

「ふふ、甘えん坊さんね〜〜恭也くんは。

これからお姉さんは、ちょっとお買い物に行こうと思うのだけれど一緒に行ってくれる?」

 

すると恭也は……

 

「はい! ご一緒します♪」

 

先ほどまでの涙が嘘のような元気の良い返事をし、嬉しそうに表情を明るくさせた

 

「じゃあ、ちょっとだけ待っていてね。急いで着替えてくるから」

 

それだけ言うと蓉子は自分のカバンを持ち上げて自分の部屋に文字通り飛んで行ってしまった。

 

それから待つこと五分

蓉子はゆったりとしたコートに身を包んで現れた

 

「お待たせ、恭也くん。それじゃあお姉さんと一緒にスーパーに買い物に行こうね♪」

 

「スーパーですか?」

 

いきなりスーパーに行くといわれたので驚いたのか、目がキョトンとしていた。

もちろん蓉子とのお出かけ先がスーパーであることが不満なのではなく純粋な疑問からであったが……

 

「夕飯は自分で作らなければならなくなったのよ。それでね、食材が無いかどうか見てみたら目ぼしいのが無くてね……。

せっかく作るのなら、恭也くんに美味しいものを食べて欲しいの。

有り合わせのものじゃなくて、ちゃんとした料理を作るために、ね」

 

恭也の手を握りながら蓉子はそう言うと、あることに気が付いた

 

「恭也くん、手が冷たいじゃな! ゴメンね、今まで気が付いてあげられなくて……

手袋をしてなかったら寒いわよね。ちょっと待っていてね」

 

そういうと蓉子は再び自分の部屋に戻り慌てて戻ってきた

 

「恭也くん、これ。私のだからどうしても女物になっちゃうけど、我慢してね?」

 

恭也の冷め切った手に毛糸の手袋をつけてあげ、首にはマフラーを巻いてあげる

 

「あ、あの、蓉子お姉さん。ボク大丈夫ですから、だからそんなにしてもらわなくても」

 

迷惑をかけてしまうと思った恭也は手袋を外して返そうとしたが、蓉子は恭也の手をそっと包み込むよう握り、それを止めさせる。

 

「良いのよ、恭也くんはもらっても。それにね、この手袋をつけて欲しいの、私のお願い聞いてくれない?」

 

右手は恭也の両手を押さえるようにし、開いた左手にて恭也の頬をそっとなぞりながら告げてあげると恭也の頬は見る見るうちに赤く染まり、蓉子の手の暖かさに上がっていた

 

「あ、あの……それじゃあ、この手袋つけさせてもらいます。

ちゃんとこの御礼はしますから……」

 

「あら、気にすること無いわよ? 恭也くんが居てくれるのが嬉しいんだから」

 

それだけを言うと、今度こそ買い物に行くために玄関にて靴に履き替え外に出た

 

 

 

再び手を握りながら歩く二人

その姿は仲睦まじい姿は姉弟のようであり、大通りを歩いているときに二人の姿を見た人たちは心温まるものがあった

 

そして、歩いている時に蓉子はふと気になったのか、恭也に質問した

 

「そう言えば、恭也くんはちゃんと勉強しているの?」

 

「あ、あの、旅してばかりでしたからあんまり……

漢字の書き取りとかは本とか新聞を読んでいるんで分かるんですけど、その算数とかが……」

 

始めは顔を上げて話していた恭也だったが,次第に俯くようにし始めだんだんと声が小さくなっていった。

そんな恭也の髪をそっと撫でながら蓉子は

 

「そっか、それじゃあお姉さんが家庭教師をしてあげるわ」

 

「ふぇ?」

 

驚いたような表情をした恭也。

どうやら彼は怒られると思っていたようだ

 

目をパチパチさせている恭也のことを愛しそうに見詰めながら話を続ける

 

「夕食を済ました後で、しっかりと見てあげるからね。

大丈夫、恭也くんならすぐにできるわよ」

 

「はい!!お願いします♪」

 

元気よく返事をした恭也

顔にフニャっとした笑顔を浮かべており、その姿は子猫を思わせるかのような可愛さであった。そんな恭也の子猫を思わせる表情に満足したのか、小さな手をキュッと握りなおして……

 

「じゃあ、まずは夕食の買出しをしましょうね」

 

「はぁ〜い♪ 蓉子お姉さん、何を作るつもりなんですか?」

 

小首をかしげながら『?』を浮かべる恭也

そんな恭也のしぐさが可愛かったためか、蓉子は頬を紅潮させながらも意地悪な表情を浮かべて

 

「ふふ、それはね〜〜食べるときのお楽しみよ」

 

「ふにゃ〜〜。教えてくださいよ」

 

足にしがみ付きながらじゃれる様にして聞く恭也

周りからは、やはり仲の良い姉弟にしか見えていないだろう……

その光景は何とも暖かな日常のひとコマのようであった

 

 

 

「えっと、これとこれとこれを買おうかしら?」

 

次々と商品を手に取り良いものがあったらカートに乗せていく蓉子

そんなカートを押している恭也

二人で買い物をしていくと必要なものがそろったのか、蓉子は恭也に告げる

 

「じゃあ、恭也くん。そろそろ、お会計しに行きましょうか?」

 

「は〜〜い。それじゃあ……」

 

『うぅ〜ん』と掛け声のような唸り声のようなものを上げながらカートの向きを変えレジの方へと歩いて行く

そんなガンバリ屋さんな、恭也の後を付いて歩く蓉子はその背中を見ながら微笑んでいたとか……

 

「はい、お会計3898円になります。それにしても可愛い子ですね〜〜、弟さん?」

 

レジに居た女子大生と思われる女性はにこやかな表情をしながら蓉子に話しかけた。

 

「ええ……。そんなものですの。可愛らしいでしょ?」

 

そっと恭也の頭を撫でてあげる蓉子

撫でられた恭也はと言うと、表情を緩ませてその暖かな手を受け入れながら蓉子から預かっていた財布から、3900円を出してお釣りを受け取っていた。

 

「ホント羨ましいな〜〜。そんな子が居たらものすごく可愛がるのに〜〜」

 

恭也の可愛らしく変わる表情を眺めながら『ホゥ』と溜息を吐き女子大生は眺めていた。

そんな彼女の心情も理解せぬまま、恭也は『ペコ』と軽く頭を下げながら

 

「ありがとうございます♪」

 

とにこやかな笑顔を残して去っていった

 

「早く良い男ゲットして、あんな子が欲しい……」

 

女子大生の方は恭也が去って行った後にそんなことを言っていたとかなんとか……

 

 

 

 

「さあ、家に帰ったらさっそく腕を揮わないとね♪」

 

食材が見事に集まったことに対して興奮したのか、はたまた美味しい料理を作り恭也に食べさせてあげたいために言っているのか……

 

そんな嬉しそうな表情をし、やる気でいる蓉子に恭也は声を掛けた

 

「あの、ボクお手伝いできることありますか?」

 

小首をかしげながら上目遣いに蓉子のことを見上げる恭也

まあ、身長の関係で仕方の無いことなのだが、そんなことに関係なくその仕草が可愛かったせいで蓉子は頬を赤らめながらも優しく諭すようにして告げた

 

「いいのよ、恭也くんは何もしないで。そうね、夜に勉強をするときのために先にお風呂に入ってくれる? その間に私は夕食の準備をするから」

 

「あの、でもそれじゃあボク……申し訳ないです」

 

しょんぼりと肩を落としながら暗い雰囲気になる恭也

そんな恭也の頬を肩にそれぞれ手を当てて蓉子は諭すようにして声を掛ける

 

「気にすることじゃないのよ、私がしたいって思ったからしているの

だから恭也くんはノビノビとしてなさい、良いわね?」

 

慈母に溢れた表情を浮かべながらそう言うと今度は恭也が顔を赤くしてしまった

 

「あら、どうしちゃったの?」

 

「あの、蓉子お姉さんの表情が綺麗で、その見とれて……」

 

最後の方は切れ切れになりながらも恭也がそう言うと、蓉子は嬉しそうに笑って『ありがと』と声を掛けた

 

 

それから、蓉子は料理を始め恭也はと言うと……

 

「あの、それじゃあ入らせてもらいます……」

 

「ゆっくり温まってきてね」

 

お風呂場に入って行く恭也の事を見送ってから、料理に取り掛かる蓉子

そんな蓉子に対して申し訳ないと思いながらも恭也はお風呂場へと向かった。

 

「さてと、恭也くんがアッと驚くような美味しいご飯を作らないとね♪」

 

そういうと蓉子は買ってきた材料で着々と料理を作っていった

その頃恭也はと言うと

 

「ふぁ〜〜、久しぶりにのんびりしてる気がする〜〜」

 

お風呂の中で幸せそうな顔でお湯に浸かっていた

そんなこんなで恭也はお風呂から出ると蓉子はテーブルに料理の数々を広げていた。

 

「あら、恭也くん。早かったわね、もう少しゆっくり入っていても良かったのに」

 

「いえ、十分ゆっくりさせてもらいました。あの、この料理って何ですか?」

 

お鍋の中に入っているなんともいえないスパイシーな香りにそそられて恭也はそう質問した。

 

「あら、これはね『キーマ・マタール』 挽肉を使ったカレーよ♪」

 

蓉子は恭也の質問に対して嬉しそうにウインクしながら答えた。

 

「ふぁ〜〜美味しそうですね〜」

 

「う〜〜ん、恭也くんゴメンね先に食べててくれる?」

 

困った表情をしながら蓉子は恭也に告げた

 

「え?どうしてですか?」

 

「私、これからお風呂に入りたいと思ったからなのよ。恭也くんの勉強を見てあげるのなら先に済まさないと困るからね。お皿にもうご飯はよそってあるから、好きなだけカレーをかけて食べて頂戴」

 

それだけ言うと蓉子はお風呂には行ってしまった。

残された恭也はと言うと、やはり彼の性格を考えると先に食べるなんてことをせずに蓉子が出てくるのを待っていた。

 

 

 

「あら、恭也くん待っていたの?」

 

「はい、あの、一人で食べるのは嫌ですから……」

 

シュンとなって俯く恭也の頭を蓉子はそっと撫でながら耳もとにそっと『嬉しいわ』と囁きかけると恭也はピョコンと頭を上げると蓉子の顔を見てフニャと笑顔を浮かべた。

 

「早く食べましょ〜〜。蓉子お姉さん♪」

 

そういうと恭也は蓉子の分のご飯をよそってくると差し出した

 

「ありがとうね、一緒に食べましょう」

 

テーブルに着くと蓉子と恭也は食事を始めた。

恭也は終始笑顔満点で蓉子の作ったカレーを頬張っていた

 

「美味しい?」

 

「はい!!おいしいです〜〜」

 

恭也が嬉しそうに答えるのを蓉子は聞くと笑顔を浮かべながら恭也に近づき

 

「あらあら、ダメよ恭也くん。お口の周りを汚しちゃ〜〜」

 

手に持った布きんを使い恭也の口の周りに付いたカレーを拭いてあげる

目を細めながら蓉子のされるままでいる恭也は、嬉しそうでどこかハズカシそうな表情をしていた。

 

「はい、お終い。まだまだお代わりはあるからいっぱい食べてね?」

 

「はい!!」

 

パクパクとカレーを食べ、お代わりをして満腹になるまで食べた恭也は、至極幸福の表情をして小さく手を合わせてから『ご馳走様でした〜〜』と言ってから

 

「蓉子お姉さんのカレー美味しかったです♪いつも料理してるんですか?」

 

「そんなこと無いわよ。たまにお母さんの代わりとか、用事があっていないときなんかに作っているだけよ。

そんなに美味しいって言ってもらえるとお姉さん嬉しいな♪」

 

トコトコと小さな体にもてるだけの皿を持って台所のおけに浸してから、蓉子のそばに近づいて質問を恭也がすると、蓉子は嬉しそうに微笑みながら恭也の体を抱き寄せてその温もりを感じ始めた

 

「あう、恥ずかしいです〜〜」

 

「今は私と恭也くんしか居ないんだから、そんなに恥ずかしがらないで。

お姉さん、寂しくなっちゃうでしょ?」

 

そう言われると、恭也はそっと蓉子の背に手をまわし『キュッ』と抱きついた

 

それから二人は、ゆっくりと食後のマッタリとした時間を過ごしてから、蓉子は立ち上がり、恭也の手を引いて自分の部屋へと案内した。

 

「これから恭也くんは私と一緒にお勉強の時間ですよ。何の勉強からしようか?」

 

自分の部屋に小さな机を置き、恭也と対面で座ると蓉子はズイっと身を乗り出して恭也に聞いた。

 

「う〜〜んと、算数がしたいと思うんですけど……」

 

顎に指を当てて考え込む恭也の仕草に蓉子は、ついつい見とれてしまう自分を叱咤し恭也が勉強するために必要な教科書を取り出した。

 

「よかった、まだ私が使ってた教科書が残っていて。じゃあ、この問題を一緒に解きましょうね。」

 

それから恭也が『うぅ〜ん』と唸りながら問題を解いているのを蓉子はそっと横からヒントを出してあげて問題を解き進めていると

 

「あの、ここ……」

 

そう言って恭也が顔を上げると蓉子は何やら英語で書き綴られた本を読んでいた。

そんな蓉子の仕草を見ていると恭也は『カァー』っと顔を真っ赤にさせた

 

(蓉子お姉さん綺麗だな〜〜真っ白で、綺麗な肌……)

 

チラッと盗み見るようにして、恭也は蓉子のうなじを見てそんなことを考えてしまった。

呼ばれたことに蓉子は気が付くと、耳にかかった髪を指で逸らしなが身を乗り出すようにして恭也の解いた問題を見ようとした。

 

「あら、何処が分からないの?」

 

「にゃ、にゃうぅぅ……」

 

どうしたことか、恭也の顔は更に真っ赤になりながら俯いてしまった

何故こうなったかと言うと、蓉子が身を乗り出したことにより………パジャマの前の部分が『フワッ』と下がり蓉子の体を包んでいるものが見えてしまったからである

 

「どうしたの、顔が真っ赤だけど大丈夫?今日はもうここまでにする?」

 

心配そうな表情をしながら恭也の顔を覗き見る蓉子

そんな蓉子に心配をかけまいと恭也は顔を上げて告げた

 

「あ、あの、大丈夫です。ちょっとおトイレに行ってきますね?」

 

「そう?トイレは出てから少しいって右にあるからね?」

 

「は、はぁ〜い」

 

 

トイレに行くといった恭也は、実は洗面所に行き、顔を洗い出した

 

(ふにゅ……蓉子お姉さん無防備すぎだよ〜〜)

 

心の中で泣きながら恭也は顔を洗うとどこかスッキリとしたのか顔は晴れ晴れとしていた

 

「さってと、蓉子お姉さんにもっと算数のこと教えてもらわないと〜〜」

 

気合を入れなおすと、また部屋のドアをくぐり中に入ると蓉子は恭也のといた問題の答え合わせとをしていてくれていた。

 

「あら、お帰りなさい恭也くん。ゴメンね、ちょっと答え合わせさせてもらったわ」

 

「ありがとうございます。その、どうですか?余りできて無いような気がするんですけど」

 

蓉子の隣に座り、自信なさげに言う恭也の頭をそっと撫でながら教えてあげる

 

「確かに正解は余り無かったけれど、基本はしっかりと理解できているわ。簡単なミスとかが多かったから、これから一緒に見直しましょ?」

 

二人で見直して行くと本当に簡単な計算ミスが良くあった。

それを覗けば恭也はおおむね基本はできており恭也自身驚いていた

 

「ふぁ、ぜんぜん勉強したこと無いのにこんなにできるようになるなんて

ありがとうございます蓉子お姉さん。こんなにできたのは初めてです!!」

 

「ふふ、恭也くんに理解力があったからよ。私はそのお手伝いをしてあげただけ

さあ、もう遅いから、歯を磨いて寝ましょう?」

 

そういって蓉子に引き連れられて洗面所へと行く恭也

すると、どうだろう。タイミングよく玄関が開き一組の夫婦が入ってきた

 

「ただいま〜〜。

蓉子〜〜、今日はごめんなさいね。そう言えば、どなたか来るって言ってなかった?」

 

「ただいま〜〜。今日もお仕事大変だったよ……」

 

「お帰りなさい、今日とある子を預かるって言ってたのはこの子なの」

 

そういって、手を握っていた恭也をズイッと前に出す蓉子

恭也は少し恥ずかしそうにしながらも挨拶をすると二人は悔しがるようにして

 

「こんなに可愛い子がくるのなら、集まりを休めばよかったわ」

 

「確かに可愛い子だね……それにしても蓉子の手をしっかりと握ってまるで姉弟のようだね♪」

 

蓉子の母と父はそれぞれ恭也の頭を撫でると、にこやかな表情で居た

暖かな二人の手に撫でられたおかげか、恭也の緊張も取れ微笑を浮かべだすと

 

「ふふ、やっぱり可愛いわね、恭也くんは。さあ、歯磨きしたら寝ましょうね」

 

「あ!?ごめんなさい。今日お布団をしまったばかりなのよ

だから今日のところは蓉子、一緒に寝てあげてね?」

 

母が思い出したかのようにして蓉子に告げると蓉子もそのつもりだったのか、頷いて了解するのであった。

 

「はい、お口を開いて〜〜」

 

「ア〜〜ン」

 

「うん、ちょっとここが汚れてるわね……

ちょっとの間の我慢だからね〜〜」

 

どうやら蓉子は恭也の歯磨きのチェックを行ったところ、汚れた場所があったようだ
蓉子は自分の膝に恭也の体を置くと、口を開かせて歯磨きを開始した

 

「よし、こんな所ね。じゃあ、うがいしてね」

 

「はぁ〜い」

 

二人がそんなことをしていると……

 

「ホントに仲が良いわね」

 

「家の子にできないかな?」

 

などと、不穏そうな会話がされていたとかいなかったとか

 

「じゃあ、父さん、母さん。おやすみなさい」

 

「ん、お休み。恭也くんも良い夢を」

 

「はい、おやすみなさい。明日恭也くんのお弁当作るわね」

 

恭也もペコリと頭を下げながら『おやすみなさい』と言ってその部屋を後にした。

それから蓉子に引き連れられて、ベッドに入るために蓉子が布団を上げるといそいそと入ろうとするがしかし、蓉子によって恭也の体は持ち上げられてしまった

 

「あの、蓉子お姉さん?」

 

不思議そうな表情で蓉子のことを見つめる恭也

蓉子が告げた答えは……

 

「ごめんなさい。ちょっと冷え性だから、恭也くんの温もりが欲しくて……」

 

「あ、あの、ボクでお役に立てるなら……。今日は蓉子お姉さんのおかげで色々と勉強できましたし」

 

そういうと恭也は顔を真っ赤にしながらおずおずと蓉子の背に手をまわした

蓉子は『キュッ』と恭也の体を抱きしめると少しだけ頬擦りしてからベッドに入り電気を消した

 

「恭也くん起きてる?」

 

「ふぁい〜。むにゃ、蓉子お姉さんありがとうございます〜〜」

 

そっと声を恭也に掛けると、どうやら完全に夢の世界に言っているようだ

どんな夢を見ているのか、恭也は蓉子の名前を呼びお礼を述べていた

 

「お礼を述べるのは私のほうだわ。ありがとうね、小さな王子様

今日はとっても充実した一日だったわ」

 

そういって蓉子は恭也の頬に小さくキスをすると目を閉じて暗闇の世界の落ちていった

 

 


〜あとがき〜〜

 

今回はスペシャルゲストの登場です、どうぞ〜〜

 

蓉子「ごきげんよう、恭也くんと素敵な一時が過ごせて良かったわ♪」

 

そういってもらえると嬉しい限りであります

 

蓉子「次回は何時ごろ出来るのです?早く恭也くんともっと遊びたいわ」

 

いや、申し訳ありませんが、ちょっとスランプなものでして。あとこれからの展開を考えるとうまく書けない次第で……

 

蓉子「仕方ないわね。では、『黒衣の守護者』の先生と私のLOVEロマンスものを書くので許してあげるわ」

 

そ、そんな、殺生な〜〜。死んでまいますよ〜〜私(泣)

 

少女S「よ〜う〜こ〜、自分ばかり良い思いをするな〜〜恭也くんとLOVEするのは私だ。

もう一度お風呂に入って、一緒にお出かけして……」

 

少女E「そうよ。先生と愛で結ばれるのは私なのよ……もちろん小さい恭也くんのことを物にするのも私よ……。蓉子ばかり良い思いはさせてあげないんだから」

 

蓉子「あらあら、負け犬さんたちが出てきたようで。では今日はここまで、皆様ごきげんよう」

 

ああ、シメの言葉を取られた〜〜

でわ〜〜


蓉子さま〜。
やっと蓉子さまの出番だよ〜。
美姫 「恭也くんがあいも変わらず可愛い〜」
次回も楽しみだね〜。
美姫 「本当に」
祥子さまの出番はいつ頃かな〜。
美姫 「それはそうと、後書きで蓉子さまと恭也先生の話が出てるわね」
うん。書いてくれるのかな〜。楽しみだね〜。タカさん、是非とも頑張って。
美姫 「そんな無茶言わないの。それに、人の事よりも、先に自分の方をしなさい!」
わ、分かったよ〜。
美姫 「じゃあ、またね♪」
またなのだー。





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